特許第6704752号(P6704752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704752機器情報入力装置、機器情報入力方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704752
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】機器情報入力装置、機器情報入力方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20200525BHJP
【FI】
   G06Q30/06 310
   G06Q30/06 320
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-31103(P2016-31103)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-151537(P2017-151537A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】302024548
【氏名又は名称】株式会社コスモ・ソフト
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】吉村 幸治
【審査官】 山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−041650(JP,A)
【文献】 特開2008−047002(JP,A)
【文献】 特開2003−058746(JP,A)
【文献】 特開2012−133507(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0068703(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器表データから情報を入力するための機器情報入力装置であって、
前記機器表データは、設定項目が共通する複数の設定機器群を含み、
当該機器情報入力装置において設定可能な設定可能機器は、設定可能項目が共通する複数の設定可能機器群に種別されており、
利用者により前記機器表データにおける前記設定機器群の一つが指定されると、指定された前記設定機器群に対応する設定可能機器群を特定する種別指定手段と、
前記各設定機器群を特定する設定機器種別名と、前記各設定機器群における前記設定項目及び前記各設定項目に対応する設定項目データを記憶する機器表データ記憶手段と、
前記各設定可能機器群を特定する設定可能機器種別名と、前記各設定可能機器群における前記設定可能項目を記憶する設定機器項目記憶手段と、
利用者により指定された設定可能機器を、設定可能機器群ごとに種別表により管理する種別表管理手段と、
前記種別表に情報を入力する機器指定手段を備え、
前記種別指定手段は、利用者により前記機器表データにおける前記設定機器群の一つが指定されると、
指定された前記設定機器群の前記設定項目と特定した前記設定可能機器群の設定可能項目の対応関係を分析し、
指定された前記設定機器群の設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、前記設定可能機器群に属する設定可能機器の設定可能項目データとし、
前記種別指定手段は、特定した前記設定可能機器群に対応する種別表を追加するものであり、
前記種別表管理手段は、
利用者により前記設定可能機器群が指定されると、当該設定可能機器群のための種別表を追加し、
利用者により前記設定可能機器が指定されると、当該設定可能機器が属する設定可能機器群の種別表に、当該設定可能機器に関する項目を追加するものであり、
前記機器指定手段は、
利用者により種別表及び前記機器表データにおける前記設定項目データが指定されると、指定された前記設定項目データの設定項目と指定された前記種別表の設定可能項目との対応関係を分析して、指定された前記設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、前記種別表の設定可能項目データとし、
利用者により種別表における設定可能機器及び前記機器表データにおける前記設定項目データが指定されると、指定された前記設定項目データの設定項目と指定された前記設定可能機器の設定可能項目との対応関係を分析して、指定された前記設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、指定された前記設定可能機器の設定可能項目データとする、機器情報入力装置。
【請求項2】
前記機器表データ記憶手段は、前記設定項目及び前記設定項目データを表形式で表示するための表示用データを記憶し、
利用者は、表示された表形式の一部又は全部を指定し、
指定された前記設定機器種別の設定項目と前記設定項目データとの対応関係は、前記表示用データを分析して得られるものである、請求項記載の機器情報入力装置。
【請求項3】
機器表データから情報を入力するための機器情報入力装置における機器情報入力方法であって、
前記機器表データは、設定項目が共通する複数の設定機器群を含み、
当該機器情報入力装置において設定可能な設定可能機器は、設定可能項目が共通する複数の設定可能機器群に種別されており、
前記機器情報入力装置が備える種別指定手段が、利用者により前記機器表データにおける前記設定機器群の一つが指定されると、指定された前記設定機器群に対応する設定可能機器群を特定するステップを含み、
前記機器情報入力装置は、
前記各設定機器群を特定する設定機器種別名と、前記各設定機器群における前記設定項目及び前記各設定項目に対応する設定項目データを記憶する機器表データ記憶手段と、
前記各設定可能機器群を特定する設定可能機器種別名と、前記各設定可能機器群における前記設定可能項目を記憶する設定機器項目記憶手段と、
利用者により指定された設定可能機器を、設定可能機器群ごとに種別表により管理する種別表管理手段と、
前記種別表に情報を入力する機器指定手段を備え、
前記種別指定手段は、利用者により前記機器表データにおける前記設定機器群の一つが指定されると、
指定された前記設定機器群の前記設定項目と特定した前記設定可能機器群の設定可能項目の対応関係を分析し、
指定された前記設定機器群の設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、前記設定可能機器群に属する設定可能機器の設定可能項目データとし、
前記種別指定手段は、特定した前記設定可能機器群に対応する種別表を追加するものであり、
前記種別表管理手段は、
利用者により前記設定可能機器群が指定されると、当該設定可能機器群のための種別表を追加し、
利用者により前記設定可能機器が指定されると、当該設定可能機器が属する設定可能機器群の種別表に、当該設定可能機器に関する項目を追加するものであり、
前記機器指定手段は、
利用者により種別表及び前記機器表データにおける前記設定項目データが指定されると、指定された前記設定項目データの設定項目と指定された前記種別表の設定可能項目との対応関係を分析して、指定された前記設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、前記種別表の設定可能項目データとし、
利用者により種別表における設定可能機器及び前記機器表データにおける前記設定項目データが指定されると、指定された前記設定項目データの設定項目と指定された前記設定可能機器の設定可能項目との対応関係を分析して、指定された前記設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、指定された前記設定可能機器の設定可能項目データとする、機器情報入力方法。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の機器情報入力装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、機器情報入力装置、機器情報入力方法及びプログラムに関し、特に、機器表データから情報を入力するための機器情報入力装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、長年、見積もりソフトを販売してきた(非特許文献1参照)。図10は、出願人が採用している建物建築などにおける機器設置の見積額を計算するための入力画面である。図10の画面は、設置する機器について、利用者が能力値などを手入力するために表示されるものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社コスモ・ソフト,PLANEST(プラネスト)シリーズ|製品情報|「プラネストefシリーズ」の開発・販売,[online],[平成28年2月18日検索],インターネット<URL:http://www2.cosmosoft.co.jp/product/list/planest.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、機器表は、例えばPDFデータなどで電子的に作成されている。しかしながら、機器表のフォーマットが定まっておらず、機器表は、様々なフォーマットで作成されている。そのため、利用者は、機器表を見ながら見積もりソフトに手入力する必要があるなど、機器表と見積もりソフトとの連携は不十分なものとなっていた。
【0005】
そこで、本願発明は、機器表の電子データを有効に活用して情報を入力することに適した機器情報入力装置等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点は、機器表データから情報を入力するための機器情報入力装置であって、前記機器表データは、設定項目が共通する複数の設定機器群を含み、当該機器情報入力装置において設定可能な設定可能機器は、設定可能項目が共通する複数の設定可能機器群に種別されており、利用者により前記機器表データにおける前記設定機器群の一つが指定されると、指定された前記設定機器群に対応する前記設定可能機器種別群を特定する種別指定手段を備えるものである。
【0007】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の機器情報入力装置であって、前記各設定機器群を特定する設定機器と、前記各設定機器群における前記設定項目及び前記各設定項目に対応する設定項目データを記憶する機器表データ記憶手段と、前記各設定可能機器群を特定する設定可能機器種別名と、前記各設定可能機器群における前記設定可能項目を記憶する設定機器項目記憶手段を備え、前記種別指定手段は、利用者により前記機器表データにおける前記設定機器群の一つが指定されると、指定された前記設定機器群の前記設定項目と特定した前記設定可能機器群の設定可能項目の対応関係を分析し、指定された前記設定機器群の設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、前記設定可能機器群に属する設定可能機器の設定可能項目データとするものである。
【0008】
本願発明の第3の観点は、利用者により指定された設定可能機器を、設定管理機器群ごとに種別表により管理する種別表管理手段と、前記各種別表に情報を入力する機器指定手段を備え、前記種別指定手段は、特定した前記設定可能機器種別群に対応する種別表を追加するものであり、前記種別表管理手段は、利用者により前記設定可能機器群が指定されると、当該設定可能機器群のための種別表を追加し、利用者により前記設定可能機器が指定されると、当該設定可能機器が属する設定可能機器群の種別表に、当該設定可能機器に関する項目を追加するものであり、前記機器指定手段は、利用者により種別表及び前記機器表データにおける前記設定項目データが指定されると、指定された前記設定項目データの設定項目と指定された前記種別表の設定可能項目との対応関係を分析して、指定された前記設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、前記種別表の設定可能項目データとし、利用者により種別表における設定可能機器及び前記機器表データにおける前記設定項目データが指定されると、指定された前記設定項目データの設定項目と指定された前記設定可能機器の設定可能項目との対応関係を分析して、指定された前記設定項目データを、分析した対応関係を用いて並べ替えて、指定された前記設定可能機器の設定可能項目データとするものである。
【0009】
本願発明の第4の観点は、第2又は第3の観点の機器情報入力装置であって、前記機器表データ記憶手段は、前記設定項目及び前記設定項目データを表形式で表示するための表示用データを記憶し、利用者は、表示された表形式の一部又は全部を指定し、指定された前記設定機器種別の設定項目と前記設定項目データとの対応関係は、前記表示用データを分析して得られるものである。
【0010】
本願発明の第5の観点は、機器表データから情報を入力するための機器情報入力装置における機器情報入力方法であって、前記機器表データは、設定項目が共通する複数の設定機器群を含み、当該機器情報入力装置において設定可能な設定可能機器は、設定可能項目が共通する複数の設定可能機器群に種別されており、前記機器情報入力手段が備える種別指定手段が、利用者により前記機器表データにおける前記設定機器群の一つが指定されると、指定された前記設定機器群に対応する前記設定可能機器種別群を特定するステップを含むものである。
【0011】
本願発明の第6の観点は、コンピュータを、第1から第4のいずれかの観点の機器情報入力装置として機能させるためのプログラムである。
【0012】
なお、本願発明を、第6の観点のプログラムを定常的に記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の各観点によれば、機器表データにおいて、一般的に、項目が共通する機器が表形式で定まっていることを利用して、機器情報入力手段が設定可能な設定可能機器を、項目が共通するものでグループ化して管理し、機器表データの表の一つが指定されたとき、それに対応する設定可能機器のグループを特定することにより、設定可能機器のグループでは、機器表と同様に、項目が統一されていることから、電子データである機器表データを利用して、一括して複数の設定可能機器に能力データ等を容易に入力することができる。
【0014】
従来の見積もりソフトでは、図10にあるように、個々の設定可能装置に対してデータを入力する必要があった。他方、機器表データでは、通常、種別名によって種別して、表形式で記載されている。本願発明は、設定すべき項目によってグループ化して、見積もりソフト等の入力形式と機器表データの形式とを整合させることにより、機器表データと見積額計算等との連携を実現にするものである。
【0015】
さらに、本願発明の第2の観点によれば、各グループで項目が統一されていることを利用して、グループ化した設定可能機器の設定項目と、機器表の設定項目との対応関係を分析し、機器表データにおける機器の項目と設定可能機器の項目の対応関係を用いて、機器表データの各項目のデータを並べ替えて設定可能機器のデータとすることができる。機器表データは、一般に、様々な形式で記載されているが、これにより、コピー・アンド・ペーストに類似した直感的な作業により、機器表データの情報を、設定可能機器のデータとして入力することができる。なお、ペーストするときに対応関係を用いて並べ替えて設定可能機器のデータとする点は、通常のコピー・アンド・ペーストとは異なる。
【0016】
さらに、本願発明の第3の観点によれば、利用者は、従来と同様に、設定可能機器を指定して能力データを入力することもできる。すなわち、機器表データ全体を用いて、自動的に、種別表を追加して、かつ、能力データ等をも入力するだけでなく、利用者は種別表を指定し、能力データ等を自動入力することもでき、また、利用者は、設定可能機器を指定し、能力データ等を個別に自動入力することもできる。能力データ等の自動入力では、対応関係を分析して自動的に並べ替えることにより、コピー・アンド・ペーストに類似した直感的な作業により、機器表データの情報を、設定可能機器のデータとして入力することができる。
【0017】
さらに、本願発明の第4の観点によれば、PDF形式のように表組の構成に関する情報が直接的に保存されていなくても、表示された表から表組の構成を読み取ることにより項目とデータの組み合わせを容易に把握することができる。そのため、機器表データは、表計算ソフトなどを用いて作成したものである必要はなく、文書作成・編集ソフトなどで作成したものを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願発明の実施の形態に係る見積額演算装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図1の見積額演算装置1の動作の一例を示すフロー図である。
図3図1の機器表データ記憶部3に記憶される機器表の一例を示す図である。
図4図1の見積額演算装置1の処理開始時の画像の一例を示す図である。
図5図1の見積額演算装置1の機器選択及び時の画像の一例を示す第1図である。
図6図1の見積額演算装置1の機器選択時の画像の一例を示す第2図である。
図7図1の見積額演算装置1の付帯の入力画像の一例を示す図である。
図8図1の見積額演算装置1の付属品の入力画像の一例を示す図である。
図9図1の見積額演算装置1の単価(労務単価と機器本体単価)の入力画像の一例を示す図である。
図10】従来の機器拾いのための入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
図1は、本願発明の実施の形態に係る見積額演算装置の構成の一例を示すブロック図である。図2は、図1の見積額演算装置1の動作の一例を示すフロー図である。図3は、機器表の一例を示す図である。図4〜9は、見積額演算装置1の動作において表示される画面の一例を示す。
【0021】
図1の見積額演算装置1は、機器表データ記憶部3と、設定可能機器情報記憶部5と、表示部7と、種別表管理部9と、種別表表示部11と、機器表データ表示部13と、コピー処理部15と、種別指定部17と、機器指定部19と、設定可能機器項目データ記憶部21と、項目データ入力部23と、見積額演算部25を備える。
【0022】
機器表データ記憶部3は、機器表データを記憶するものである。機器表データにおける各機器表では、設定項目が共通する設定機器のグループごとに、表形式で記載されている。各機器表では、種別名が表示され、表形式により、複数の設定項目と、各設定項目名に対応する設定項目データ(名称や能力データなど)が記載されている。
【0023】
図3は、機器表の一例を示す。本実施例では、同じ設定項目のものを種別した名前を「種別名」という。そして、表形式により、各設定機器について、各設定項目に対応するデータが定められている。
【0024】
図3(a)では、種別名は「脱気装置」である。共通する設定項目は、設置場所、記号、機器名称、系統、型式、台数、仕様、動力、及び、付属品である。そして、例えば、第2行では、設置場所の階は「9F」で室名が「熱源機械室」、記号が「C-09-C-DSK-001」、機器名称が「脱気装置」、系統は「オフィス低層冷水系統」、型式は「膜式配管防食用脱気装置ユニット」、台数は「1」、仕様は「標準処理水量:2500lit/h 原水圧力:0.1MPa」、動力は、kWが「2.0」、φ/Vが「3/400」、起動が「L-S」、操作が「R」、監視は「〇」、種別は「〇」、付属品は、防振が「S」、制御盤は「〇」等と規定されている。第4行、第6行及び第8行も、同様のデータが記載されている。なお、※1には、「<全体共用>」と記載されている。また、通常、備考欄が設けられ、この備考欄などでは、複数行に渡り記載されている場合がある。そのため、行によっては、項目の記載がなかったり、他の行のデータと併せたものとしたりする必要がある。
【0025】
図3(b)では、種別名は「水槽類」である。共通する項目は、設置場所、記号、機器名称、系統、型式、台数、材質、有効容量、寸法、耐震、監視、及び、オプションである。例えば、第2行では、設置場所の階は「9F」で室名が「屋上」、記号が「C-09-C-EXT-001」、機器名称が「膨張タンク(冷水用)」、系統は「オフィス低層温水系統」、型式は「密閉式」、台数は「1」、材質は「SUS444」、有効容量(lit)は「1,600」、寸法は、W(mm)が「1200φ」、L(mm)は空欄で、H(mm)は「1,600」、耐震は「2.0G」、付属品、監視、オプションは空欄である。第3行、第5行、第6行及び第9行も、同様のデータが記載されている。なお、※2には、「<全体共用>」と記載されている。※3には「<ビジネスサポート>」と記載されている。
【0026】
一般に、機器表では、図3にあるように、種別名ごとに表形式で記載されている。そして、近年、PDFデータのように、書類作成ソフトにより作成されていることが多い。本実施例では、PDFデータのような場合には、機器表を表示するための表示用データを利用して、機器表における設定項目と設定項目データの対応関係を分析することにより、設定項目に対応する設定項目データを読み出す。例えば、行を表すラインによって設置する機器を区別し、列を表すラインによって設定項目を区別する。なお、表計算ソフトなどで作成されている場合には、機器表の構成が明確であり、設定項目と設定項目データとの対応関係を読み出せばよい。
【0027】
設定可能機器情報記憶部5は、機器情報入力装置1において、利用者が選択することにより設定可能な設定可能機器について、設定すべき設定可能項目が共通するもので種別されており、各種別で設定すべき設定可能項目を記憶する。
【0028】
一般に、建築に使用される機器は、形式的には様々な表現があるとしても、仕様として定められるべき実質的な項目は共通する。そのため、機器表データ記憶部3の種別名と、設定可能機器情報記憶部5の各種別は、一対一で対応づけることができる。また、機器表データ記憶部3における機器表の設定項目と、設定可能機器情報記憶部5に記憶された各種別で設定すべき設定可能項目は、一対一に対応づけることができる。そのため、機器表データ記憶部3の種別名と設定可能機器情報記憶部5の各種別の種別名や、設定項目と設定可能項目とは、例えば、類義語データなどを保持しておけば容易に対応付けることができる。また、機器表の形式は一般に繰り返し使用されるため、事前に複数の対応関係のパターンを用意しておき、それらを選択や修正などをして対応付けることもでき。例えば、設定項目と設定可能項目の対応関係の一例を説明する。「水槽類」の種別名で、機器表データの設定項目では、材質、有効容量、寸法の項目順であるのに対し、設定可能機器情報記憶部7に記憶された設定可能項目では、寸法、材質、有効容量の順であれば、同じ項目名のものに対応させる。すなわち、品別設定機器項目名記憶部7に記憶された各設定可能項目に、機器表での3番目、1番目、2番目のデータを対応させる。
【0029】
なお、例えば図3(a)の※1や図3(b)の※2及び※3は、次行から空白行までの機器の性質を示すタイトルと考えられるため、次行から空白行までの機器の情報として付加する。また、備考欄に記載され、他の項目が空欄である場合には、他の項目が空欄でない上の行の備考欄に追加してデータとする。また、単純な空白の行は無視する。罫線の幅(太/細)で情報の区切りを示している場合は、罫線も判断条件とする。
【0030】
表示装置7は、ディスプレイなどであり、種別表表示部11及び機器表データ表示部13の制御により、種別表や機器表を表示する。図4〜9は、この表示装置7における表示例を示す。
【0031】
種別表管理部9は、種別表を管理するものである。種別表は、利用者により指定された設定可能機器を、設定可能項目が共通するもので種別して、複数の設定可能項目と、各設定可能項目に対応する設定可能項目データとの対応関係を示す表である。従来、図10にあるように、個々の機器に対して設定可能項目と設定可能項目データを表示していた。それに対し、本願発明では、種別名ごとにグループ化することにより、表形式で入力可能なものとしている。
【0032】
種別表表示部11は、表示装置7に、種別表を表示するものである。
【0033】
機器表データ表示部13は、表示装置7に、機器表データを表示するものである。
【0034】
コピー処理部15は、表示装置7に表示された機器表において、利用者が指定したもののコピー処理を行う。例えば、種別名及び機器表の全体が指定された時は、種別名と、機器表の設定項目及び各設定項目に対応する設定項目データを記憶する。利用者は、種別名を指定せず、機器表の設定項目及び各設定項目に対応する設定項目データを指定してもよく、また、機器表の一部の設定機器の設定項目データのみを指定してもよい。
【0035】
種別指定部17は、利用者が、種別の自動追加を指定中に、機器表の一つを指定したときに、指定した機器表の種別名に対応する種別表を追加し、機器表における各設定項目に対応する設定項目データを、順番を変更して種別表の各設定可能項目データとするものである。
【0036】
機器指定部17は、利用者が、種別表の一つを指定中に、機器表の設定項目データを指定したときに、指定された設定項目データを、順番を変更して指定された種別表における一つ又は複数の設定可能機器の設定可能項目データとしたり、一つ又は複数の設定可能機器を追加して、追加した設定可能機器の設定可能項目データとしたりするものである。
【0037】
設定可能機器項目データ記憶部21は、種別指定部17、機器指定部19及び項目データ入力部23により指定された、各設定可能項目に対応する設定可能項目データを記憶する。
【0038】
項目データ入力部23は、利用者が種別表の設定項目データを入力して追加・修正・削除などを行うためのものである。
【0039】
見積額演算部25は、設定可能機器項目データ記憶部21に記憶されたデータを利用して、機器の設置作業等に必要な費用の見積額を演算するものである。
【0040】
図2(a)は、利用者による指示により種別表を追加する処理の一例を示すフロー図である。利用者は、設定可能機器の種別名の一覧から一つの種別名を選択し、種別の追加を指示する(ステップSTC1)。種別表管理部9は、新規の種別が選択されたか否かを判断する(ステップSTC2)。新規の種別が選択されたときには、選択された種別に対応する種別表を追加し、この種別表を表示する(ステップSTC3)。選択された種別が新規の種別でないときは、選択された種別の種別表を表示する。
【0041】
図2(b)は、利用者による指示により種別表に設定可能機器を追加する処理の一例を示すフロー図である。利用者は、設定可能機器の名称の一覧から一つの名称を選択し、この設定可能機器の追加を指示する(ステップSTD1)。種別表管理部9は、選択された設定可能機器が属する種別が新規であるか否かを判断する(ステップSTD2)。新規の種別であるときには、この種別に対応する種別表を追加し(ステップSTD3)、設定可能機器を追加する(ステップSTD4)。選択された設定可能機器が属する種別が新規でないならば、この設定可能機器が属する種別の種別表に設定可能機器を追加する(ステップSTD4)。
【0042】
図2(c)は、項目データ入力部23による設定可能機器の設定可能項目データを入力する処理の一例を示すフロー図である。利用者は、種別表を選択し、設定可能機器の一つを指定する(ステップSTS1)。項目データ入力部23は、利用者の入力に従い、指定された設定可能項目の一部の値を追加・削除・変更などを行う(ステップSTS2)。
【0043】
図2(d)は、図2の種別指定部17及び機器指定部19による処理の一例を示すフロー図である。
【0044】
利用者は、表示画面中の種別表の欄を指定する(ステップST1)。コピー処理部15は、指定された機器表データの値を保持するとともに、指定された種別表を判断する(ステップST2)。自動追加である場合、種別指定部17による種別表並びに設定可能機器及び設定可能項目データの自動追加を行う。既に存在する種別表である場合、機器指定部19による設定可能機器及び設定可能項目データの自動追加を行う。既に存在する設定可能機器である場合、機器指定部19による設定可能項目データの自動追加を行う。なお、対応関係の分析は、予め利用者が指定しておくように、事前に行ってもよい。
【0045】
まず、自動追加欄の場合について説明する。コピー処理部15は、利用者により指定された機器表の一つについて、種別名並びに機器表における設定項目及び設定項目データを保持する(ステップST3)。種別指定部17は、機器表の種別名に対応する設定可能項目の種別を特定し、種別表を追加する(ステップST4)。なお、種別表が既に存在するならば、機器表の一つを重複して追加している可能性が高いため、利用者に設定可能機器を追加するか否かを確認し、利用者が依然として追加を指示するならば、既存の種別表に設定可能機器を追加するようにしてもよい。続いて、種別指定部17は、機器表における設定項目と設定可能項目の対応関係を分析する(ステップST5)。種別指定部17は、設定可能機器を追加するとともに、対応関係を利用して設定項目データの順番を並べ替えて、設定可能項目に対応する設定可能項目データとする(ステップST6)。ここで、一般的なコピー・アンド・ペースト処理とは異なり、設定項目及び設定可能項目の対応関係を利用して並べ替えるものである。
【0046】
続いて、種別表の場合について説明する。コピー処理部15は、利用者により指定された機器表の一つについて、機器表における設定項目及び設定項目データを保持する(ステップST7)。続いて、機器指定部19は、機器表における設定項目と設定可能項目の対応関係を分析する(ステップST8)。機器指定部19は、設定可能機器を追加するとともに、対応関係を利用して設定項目データの順番を並べ替えて、設定可能項目に対応する設定可能項目データとする(ステップST9)。
【0047】
続いて、設定可能機器の場合について説明する。コピー処理部15は、利用者により指定された機器表における一つの機器の設定項目データを保持する(ステップST10)。このとき、指定された設定項目データに対応する設定項目も併せて保持する。続いて、機器指定部19は、機器表における設定項目と設定可能項目の対応関係を分析する(ステップST11)。種別指定部17は、利用者が指定した設定可能機器について、対応関係を利用して設定項目データの順番を並べ替えて、設定可能項目に対応する設定可能項目データとする(ステップST12)。
【0048】
図4は、前処理のための画面の一例である。図4(a)の画像において、利用者は丸印の「表拾い」のアイコンを指定すると、図4(b)の画面が表示され、利用者は、工事を選択する。
【0049】
設定機器選択部13は、図5(a)の画面を表示する。利用者は、メーカー、品目、品名、仕様を選択することにより、拾う機器を選択する。選択された機器は、品名を表示した表形式により、下部に表示される。ここでは、メーカーとして「[501]機器類」、品目として「[166]パッケージ型空調機」、品名として「[001]水冷(標準)パッケージ」、仕様として「[16601]水冷(標準)パッケージ」が選択されている。右上欄には、機器リスト又は入力一覧の選択行の機器仕様を表示する。そして、下部には、品名として「水冷(標準)パッケージ」が表示され、「水冷(標準)パッケージ」の行が追加されている。表示グループは、アイコンによって切り替えることができ、固定列の位置、表示項目は、表示グループごとに任意に変更することができるとする。また、自動追加処理の欄があり、利用者がこれを選択すると、機器表から自動的に種別表を追加して設置可能機器及び設置可能項目データを追加する。図5(b)並びに図6(a)及び(b)では、図5(a)の右下欄のみを記載している。
【0050】
図5(b)は、複数の種別表が存在する場合の表示例である。品名が「水冷(標準)パッケージ」、「水浄H.P(標準)」及び「空冷H.Pビル用マルチエアコン」の種別表が表示されている。利用者は、これらの種別表を切り替えて、表示させたり、入力したりすることができる。
【0051】
図6(a)は、本願発明により値を入力した場合の一例を示す。機器表の値をコピーして、図5(a)の状態での「水冷(標準)パッケージ」の設置可能機器の一つを選択してペーストすることにより、冷房塗力及び暖房能力の欄に「30.0」という値が入力されている。
【0052】
図6(b)は、本願発明により値を入力した場合の他の一例を示す。機器表における6つの設置機器の設置項目データをコピーして、図5(a)の状態での「水冷(標準)パッケージ」の種別表を選択してペーストすることにより、6つの設置可能機器が追加され、設置可能項目データに値が入力されている。なお、図6(b)を参照して、利用者は、表形式を操作することにより、既存の行をコピーして行追加することなど、一般的な表形式への操作が可能である。
【0053】
同様に、自動追加処理の欄を指定し、利用者が、機器表を指定して追加指示をすることにより、種別表を追加して、機器表の設置機器に対応する設置可能機器の追加及び設置可能項目データを追加することができる。
【0054】
項目データ入力部23は、付加情報の入力処理を行う。図7は、図1の見積額演算装置1の付属品の入力画像の一例を示す図である。図7(a)は、特定機器の仕様の選択画面であり、図7(b)は、「揚重」の金額の詳細を示す画面である。図8は、図1の見積額演算装置1の付帯の入力画像の一例を示す図である。利用者は、付属品の操作ボタンのアイコンを操作することにより、付属品の追加等を行うことができる。付属品を追加すると、付属品の明細行が表示される。図9は、図1の見積額演算装置1の単価(労務単価と機器本体単価)の入力画像の一例を示す図である。図9(a)の状態で一つの機器の「歩掛」を選択すると、図9(b)の労務単価変更画面を表示し、利用者は単価を変更することができる。また、比較単価があれば、「比較」を選択することにより、図9(c)にあるように比較単価入力画面を表示する。
【符号の説明】
【0055】
1 機器情報入力装置、3 機器表データ記憶部、5 設定可能機器情報記憶部、7 表示装置、9 種別表管理部、11 種別表表示部、13 機器表データ表示部、15 コピー処理部、17 種別指定部、19 機器指定部、21 設定可能機器項目データ記憶部、23 項目データ入力部、25 見積額演算部
図1
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図3
図4
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図10