【実施例】
【0020】
図1は、本願発明の実施の形態に係る見積額演算装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2は、
図1の見積額演算装置1の動作の一例を示すフロー図である。
図3は、機器表の一例を示す図である。
図4〜9は、見積額演算装置1の動作において表示される画面の一例を示す。
【0021】
図1の見積額演算装置1は、機器表データ記憶部3と、設定可能機器情報記憶部5と、表示部7と、種別表管理部9と、種別表表示部11と、機器表データ表示部13と、コピー処理部15と、種別指定部17と、機器指定部19と、設定可能機器項目データ記憶部21と、項目データ入力部23と、見積額演算部25を備える。
【0022】
機器表データ記憶部3は、機器表データを記憶するものである。機器表データにおける各機器表では、設定項目が共通する設定機器のグループごとに、表形式で記載されている。各機器表では、種別名が表示され、表形式により、複数の設定項目と、各設定項目名に対応する設定項目データ(名称や能力データなど)が記載されている。
【0023】
図3は、機器表の一例を示す。本実施例では、同じ設定項目のものを種別した名前を「種別名」という。そして、表形式により、各設定機器について、各設定項目に対応するデータが定められている。
【0024】
図3(a)では、種別名は「脱気装置」である。共通する設定項目は、設置場所、記号、機器名称、系統、型式、台数、仕様、動力、及び、付属品である。そして、例えば、第2行では、設置場所の階は「9F」で室名が「熱源機械室」、記号が「C-09-C-DSK-001」、機器名称が「脱気装置」、系統は「オフィス低層冷水系統」、型式は「膜式配管防食用脱気装置ユニット」、台数は「1」、仕様は「標準処理水量:2500lit/h 原水圧力:0.1MPa」、動力は、kWが「2.0」、φ/Vが「3/400」、起動が「L-S」、操作が「R」、監視は「〇」、種別は「〇」、付属品は、防振が「S」、制御盤は「〇」等と規定されている。第4行、第6行及び第8行も、同様のデータが記載されている。なお、※1には、「<全体共用>」と記載されている。また、通常、備考欄が設けられ、この備考欄などでは、複数行に渡り記載されている場合がある。そのため、行によっては、項目の記載がなかったり、他の行のデータと併せたものとしたりする必要がある。
【0025】
図3(b)では、種別名は「水槽類」である。共通する項目は、設置場所、記号、機器名称、系統、型式、台数、材質、有効容量、寸法、耐震、監視、及び、オプションである。例えば、第2行では、設置場所の階は「9F」で室名が「屋上」、記号が「C-09-C-EXT-001」、機器名称が「膨張タンク(冷水用)」、系統は「オフィス低層温水系統」、型式は「密閉式」、台数は「1」、材質は「SUS444」、有効容量(lit)は「1,600」、寸法は、W(mm)が「1200φ」、L(mm)は空欄で、H(mm)は「1,600」、耐震は「2.0G」、付属品、監視、オプションは空欄である。第3行、第5行、第6行及び第9行も、同様のデータが記載されている。なお、※2には、「<全体共用>」と記載されている。※3には「<ビジネスサポート>」と記載されている。
【0026】
一般に、機器表では、
図3にあるように、種別名ごとに表形式で記載されている。そして、近年、PDFデータのように、書類作成ソフトにより作成されていることが多い。本実施例では、PDFデータのような場合には、機器表を表示するための表示用データを利用して、機器表における設定項目と設定項目データの対応関係を分析することにより、設定項目に対応する設定項目データを読み出す。例えば、行を表すラインによって設置する機器を区別し、列を表すラインによって設定項目を区別する。なお、表計算ソフトなどで作成されている場合には、機器表の構成が明確であり、設定項目と設定項目データとの対応関係を読み出せばよい。
【0027】
設定可能機器情報記憶部5は、機器情報入力装置1において、利用者が選択することにより設定可能な設定可能機器について、設定すべき設定可能項目が共通するもので種別されており、各種別で設定すべき設定可能項目を記憶する。
【0028】
一般に、建築に使用される機器は、形式的には様々な表現があるとしても、仕様として定められるべき実質的な項目は共通する。そのため、機器表データ記憶部3の種別名と、設定可能機器情報記憶部5の各種別は、一対一で対応づけることができる。また、機器表データ記憶部3における機器表の設定項目と、設定可能機器情報記憶部5に記憶された各種別で設定すべき設定可能項目は、一対一に対応づけることができる。そのため、機器表データ記憶部3の種別名と設定可能機器情報記憶部5の各種別の種別名や、設定項目と設定可能項目とは、例えば、類義語データなどを保持しておけば容易に対応付けることができる。また、機器表の形式は一般に繰り返し使用されるため、事前に複数の対応関係のパターンを用意しておき、それらを選択や修正などをして対応付けることもでき。例えば、設定項目と設定可能項目の対応関係の一例を説明する。「水槽類」の種別名で、機器表データの設定項目では、材質、有効容量、寸法の項目順であるのに対し、設定可能機器情報記憶部7に記憶された設定可能項目では、寸法、材質、有効容量の順であれば、同じ項目名のものに対応させる。すなわち、品別設定機器項目名記憶部7に記憶された各設定可能項目に、機器表での3番目、1番目、2番目のデータを対応させる。
【0029】
なお、例えば
図3(a)の※1や
図3(b)の※2及び※3は、次行から空白行までの機器の性質を示すタイトルと考えられるため、次行から空白行までの機器の情報として付加する。また、備考欄に記載され、他の項目が空欄である場合には、他の項目が空欄でない上の行の備考欄に追加してデータとする。また、単純な空白の行は無視する。罫線の幅(太/細)で情報の区切りを示している場合は、罫線も判断条件とする。
【0030】
表示装置7は、ディスプレイなどであり、種別表表示部11及び機器表データ表示部13の制御により、種別表や機器表を表示する。
図4〜9は、この表示装置7における表示例を示す。
【0031】
種別表管理部9は、種別表を管理するものである。種別表は、利用者により指定された設定可能機器を、設定可能項目が共通するもので種別して、複数の設定可能項目と、各設定可能項目に対応する設定可能項目データとの対応関係を示す表である。従来、
図10にあるように、個々の機器に対して設定可能項目と設定可能項目データを表示していた。それに対し、本願発明では、種別名ごとにグループ化することにより、表形式で入力可能なものとしている。
【0032】
種別表表示部11は、表示装置7に、種別表を表示するものである。
【0033】
機器表データ表示部13は、表示装置7に、機器表データを表示するものである。
【0034】
コピー処理部15は、表示装置7に表示された機器表において、利用者が指定したもののコピー処理を行う。例えば、種別名及び機器表の全体が指定された時は、種別名と、機器表の設定項目及び各設定項目に対応する設定項目データを記憶する。利用者は、種別名を指定せず、機器表の設定項目及び各設定項目に対応する設定項目データを指定してもよく、また、機器表の一部の設定機器の設定項目データのみを指定してもよい。
【0035】
種別指定部17は、利用者が、種別の自動追加を指定中に、機器表の一つを指定したときに、指定した機器表の種別名に対応する種別表を追加し、機器表における各設定項目に対応する設定項目データを、順番を変更して種別表の各設定可能項目データとするものである。
【0036】
機器指定部17は、利用者が、種別表の一つを指定中に、機器表の設定項目データを指定したときに、指定された設定項目データを、順番を変更して指定された種別表における一つ又は複数の設定可能機器の設定可能項目データとしたり、一つ又は複数の設定可能機器を追加して、追加した設定可能機器の設定可能項目データとしたりするものである。
【0037】
設定可能機器項目データ記憶部21は、種別指定部17、機器指定部19及び項目データ入力部23により指定された、各設定可能項目に対応する設定可能項目データを記憶する。
【0038】
項目データ入力部23は、利用者が種別表の設定項目データを入力して追加・修正・削除などを行うためのものである。
【0039】
見積額演算部25は、設定可能機器項目データ記憶部21に記憶されたデータを利用して、機器の設置作業等に必要な費用の見積額を演算するものである。
【0040】
図2(a)は、利用者による指示により種別表を追加する処理の一例を示すフロー図である。利用者は、設定可能機器の種別名の一覧から一つの種別名を選択し、種別の追加を指示する(ステップSTC1)。種別表管理部9は、新規の種別が選択されたか否かを判断する(ステップSTC2)。新規の種別が選択されたときには、選択された種別に対応する種別表を追加し、この種別表を表示する(ステップSTC3)。選択された種別が新規の種別でないときは、選択された種別の種別表を表示する。
【0041】
図2(b)は、利用者による指示により種別表に設定可能機器を追加する処理の一例を示すフロー図である。利用者は、設定可能機器の名称の一覧から一つの名称を選択し、この設定可能機器の追加を指示する(ステップSTD1)。種別表管理部9は、選択された設定可能機器が属する種別が新規であるか否かを判断する(ステップSTD2)。新規の種別であるときには、この種別に対応する種別表を追加し(ステップSTD3)、設定可能機器を追加する(ステップSTD4)。選択された設定可能機器が属する種別が新規でないならば、この設定可能機器が属する種別の種別表に設定可能機器を追加する(ステップSTD4)。
【0042】
図2(c)は、項目データ入力部23による設定可能機器の設定可能項目データを入力する処理の一例を示すフロー図である。利用者は、種別表を選択し、設定可能機器の一つを指定する(ステップSTS1)。項目データ入力部23は、利用者の入力に従い、指定された設定可能項目の一部の値を追加・削除・変更などを行う(ステップSTS2)。
【0043】
図2(d)は、
図2の種別指定部17及び機器指定部19による処理の一例を示すフロー図である。
【0044】
利用者は、表示画面中の種別表の欄を指定する(ステップST1)。コピー処理部15は、指定された機器表データの値を保持するとともに、指定された種別表を判断する(ステップST2)。自動追加である場合、種別指定部17による種別表並びに設定可能機器及び設定可能項目データの自動追加を行う。既に存在する種別表である場合、機器指定部19による設定可能機器及び設定可能項目データの自動追加を行う。既に存在する設定可能機器である場合、機器指定部19による設定可能項目データの自動追加を行う。なお、対応関係の分析は、予め利用者が指定しておくように、事前に行ってもよい。
【0045】
まず、自動追加欄の場合について説明する。コピー処理部15は、利用者により指定された機器表の一つについて、種別名並びに機器表における設定項目及び設定項目データを保持する(ステップST3)。種別指定部17は、機器表の種別名に対応する設定可能項目の種別を特定し、種別表を追加する(ステップST4)。なお、種別表が既に存在するならば、機器表の一つを重複して追加している可能性が高いため、利用者に設定可能機器を追加するか否かを確認し、利用者が依然として追加を指示するならば、既存の種別表に設定可能機器を追加するようにしてもよい。続いて、種別指定部17は、機器表における設定項目と設定可能項目の対応関係を分析する(ステップST5)。種別指定部17は、設定可能機器を追加するとともに、対応関係を利用して設定項目データの順番を並べ替えて、設定可能項目に対応する設定可能項目データとする(ステップST6)。ここで、一般的なコピー・アンド・ペースト処理とは異なり、設定項目及び設定可能項目の対応関係を利用して並べ替えるものである。
【0046】
続いて、種別表の場合について説明する。コピー処理部15は、利用者により指定された機器表の一つについて、機器表における設定項目及び設定項目データを保持する(ステップST7)。続いて、機器指定部19は、機器表における設定項目と設定可能項目の対応関係を分析する(ステップST8)。機器指定部19は、設定可能機器を追加するとともに、対応関係を利用して設定項目データの順番を並べ替えて、設定可能項目に対応する設定可能項目データとする(ステップST9)。
【0047】
続いて、設定可能機器の場合について説明する。コピー処理部15は、利用者により指定された機器表における一つの機器の設定項目データを保持する(ステップST10)。このとき、指定された設定項目データに対応する設定項目も併せて保持する。続いて、機器指定部19は、機器表における設定項目と設定可能項目の対応関係を分析する(ステップST11)。種別指定部17は、利用者が指定した設定可能機器について、対応関係を利用して設定項目データの順番を並べ替えて、設定可能項目に対応する設定可能項目データとする(ステップST12)。
【0048】
図4は、前処理のための画面の一例である。
図4(a)の画像において、利用者は丸印の「表拾い」のアイコンを指定すると、
図4(b)の画面が表示され、利用者は、工事を選択する。
【0049】
設定機器選択部13は、
図5(a)の画面を表示する。利用者は、メーカー、品目、品名、仕様を選択することにより、拾う機器を選択する。選択された機器は、品名を表示した表形式により、下部に表示される。ここでは、メーカーとして「[501]機器類」、品目として「[166]パッケージ型空調機」、品名として「[001]水冷(標準)パッケージ」、仕様として「[16601]水冷(標準)パッケージ」が選択されている。右上欄には、機器リスト又は入力一覧の選択行の機器仕様を表示する。そして、下部には、品名として「水冷(標準)パッケージ」が表示され、「水冷(標準)パッケージ」の行が追加されている。表示グループは、アイコンによって切り替えることができ、固定列の位置、表示項目は、表示グループごとに任意に変更することができるとする。また、自動追加処理の欄があり、利用者がこれを選択すると、機器表から自動的に種別表を追加して設置可能機器及び設置可能項目データを追加する。
図5(b)並びに
図6(a)及び(b)では、
図5(a)の右下欄のみを記載している。
【0050】
図5(b)は、複数の種別表が存在する場合の表示例である。品名が「水冷(標準)パッケージ」、「水浄H.P(標準)」及び「空冷H.Pビル用マルチエアコン」の種別表が表示されている。利用者は、これらの種別表を切り替えて、表示させたり、入力したりすることができる。
【0051】
図6(a)は、本願発明により値を入力した場合の一例を示す。機器表の値をコピーして、
図5(a)の状態での「水冷(標準)パッケージ」の設置可能機器の一つを選択してペーストすることにより、冷房塗力及び暖房能力の欄に「30.0」という値が入力されている。
【0052】
図6(b)は、本願発明により値を入力した場合の他の一例を示す。機器表における6つの設置機器の設置項目データをコピーして、
図5(a)の状態での「水冷(標準)パッケージ」の種別表を選択してペーストすることにより、6つの設置可能機器が追加され、設置可能項目データに値が入力されている。なお、
図6(b)を参照して、利用者は、表形式を操作することにより、既存の行をコピーして行追加することなど、一般的な表形式への操作が可能である。
【0053】
同様に、自動追加処理の欄を指定し、利用者が、機器表を指定して追加指示をすることにより、種別表を追加して、機器表の設置機器に対応する設置可能機器の追加及び設置可能項目データを追加することができる。
【0054】
項目データ入力部23は、付加情報の入力処理を行う。
図7は、
図1の見積額演算装置1の付属品の入力画像の一例を示す図である。
図7(a)は、特定機器の仕様の選択画面であり、
図7(b)は、「揚重」の金額の詳細を示す画面である。
図8は、
図1の見積額演算装置1の付帯の入力画像の一例を示す図である。利用者は、付属品の操作ボタンのアイコンを操作することにより、付属品の追加等を行うことができる。付属品を追加すると、付属品の明細行が表示される。
図9は、
図1の見積額演算装置1の単価(労務単価と機器本体単価)の入力画像の一例を示す図である。
図9(a)の状態で一つの機器の「歩掛」を選択すると、
図9(b)の労務単価変更画面を表示し、利用者は単価を変更することができる。また、比較単価があれば、「比較」を選択することにより、
図9(c)にあるように比較単価入力画面を表示する。