(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
[樹脂サッシ10の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂サッシ10の平面図である。樹脂サッシ10は、矩形の窓1の外枠として構成され、窓ガラス40の外縁部を保持している。樹脂サッシ10は、ポリ塩化ビニルを主成分とするフレーム材20及びカバー材30を有する。
【0019】
フレーム材20は、異形押出成形により形成された部材20a,20b,20c,20dを有する。部材20a,20bは相互に対向する長辺部材を構成し、部材20c,20dは相互に対向する短辺部材を構成する。部材20a,20b,20c,20dは溶着により相互に接合されて矩形状とされている。
【0020】
カバー材30は、異形押出成形により形成された部材30a,30b,30c,30dを有する。部材30a,30bは相互に対向する長辺部材を構成し、部材30c,30dは相互に対向する短辺部材を構成する。部材30a,30b,30c,30dは嵌合により相互に接合されて矩形状とされている。
【0021】
フレーム材20の部材20a,20b,20c,20dの接合方法、及びカバー材30の部材30a,30b,30c,30dの接合方法は、溶着や嵌合に限定されず、適宜公知の方法を採用可能である。
【0022】
図2は窓1の
図1のA−A'線に沿った部分断面図であり、
図3は樹脂サッシ10のフレーム材20の拡大断面図である。樹脂サッシ10のフレーム材20及びカバー材30は、中空構造に形成され、窓ガラス40の外縁部を挟持している。
【0023】
窓ガラス40は、相互に対向する2枚のガラス41a,41bと、ガラス41a,41bの外縁部を機密に封止するスペーサ42と、を有する。窓ガラス40は、ガラス41a,41bの間の空間にアルゴンガスが封入された複層ガラスとして構成される。このような構成の窓ガラス40は、高い断熱性を発揮することができる。
【0024】
なお、窓ガラス40の構成は任意である。例えば、窓ガラス40に封入されるガスは、アルゴンガスでなくてもよく、例えば、クリプトンガス、乾燥空気などであってもよい。また、窓ガラス40は、複層ガラスでなくてもよく、トリプルガラスや単板ガラスなどであってもよい。更に、ガラス41a,41bは、公知のガラスから任意に選択可能であり、表面コーティングが施されて構成されていてもよい。
【0025】
図3に示すように、フレーム材20は、窓ガラス40の端面を保持する保持面22と、保持面22に隣接して設けられた第1嵌合部21と、保持面22から略垂直に延びる第1挟持部23と、を有する。第1嵌合部21と第1挟持部23とは保持面22を挟んで相互に反対側に配置されている。
【0026】
図2に示すように、カバー材30は、第2嵌合部31と、第2挟持部32と、を有する。第2嵌合部31は、フレーム材20の第1嵌合部21に嵌合可能に構成されている。つまり、カバー材30は、第2嵌合部31を第1嵌合部21に嵌合させることにより、フレーム材20に取り付けられる。フレーム材20に取り付けられたカバー材30の第2挟持部32は、フレーム材20の第1挟持部23に対向するように第2嵌合部31から延びている。
【0027】
つまり、カバー材30がフレーム材20に取り付けられた樹脂サッシ10は、保持面22及び嵌合部21,31によって窓ガラス40の外縁部を受容するための凹部を形成している。この凹部内には、ガラス受台50と、気密材51a,51bと、が設けられている。ガラス受台50及び気密材51a,51bは樹脂材料で形成されている。
【0028】
ガラス受台50は、窓ガラス40の端面を保持している。気密材51aは、カバー材30の第2挟持部32と窓ガラス40のガラス41aとに挟持されている。気密材51bは、フレーム材20の第1挟持部23と窓ガラス40のガラス41bとに挟持されている。ガラス受台50及び気密材51a,51bによって、窓ガラス40と樹脂サッシ10との間において、気密性が向上するとともに、がたつきが解消される。
【0029】
また、フレーム材20には、その外縁部から突出する固定部24,25が設けられている。固定部24,25の突出方向は相互に直交し、固定部24は外周方向に突出し、固定部25は室内方向に突出している。固定部24,25は、建物の壁や屋根などに形成された開口部に、例えば、ネジなどの固定部材によって固定されている。つまり、窓1が建物の開口部に設置される際、固定部24,25が建物の開口部に固定される。
【0030】
[樹脂パイプのリサイクル方法]
図4は、樹脂パイプを樹脂サッシ10としてリサイクルする方法を示すフローチャートである。以下、
図4に沿って、樹脂パイプを樹脂サッシ10としてリサイクルする方法について説明する。
【0031】
本実施形態では、樹脂パイプをリサイクルすることにより、樹脂サッシ10のフレーム材20を製造する例について説明する。なお、樹脂サッシ10のカバー材30も、フレーム材20と同様に製造可能である。
【0032】
(ステップS10:樹脂パイプの回収)
ステップS10では、ポリ塩化ビニルを主成分とする樹脂パイプを回収する。ステップS10で回収する樹脂パイプは特定の種類に限定されない。
【0033】
このような樹脂パイプとしては、例えば、硬質ポリ塩化ビニル管(VP・VM・VUなど)、耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)、建設内排水用硬質ポリ塩化ビニル管(IDVP)、埋設排下水用硬質ポリ塩化ビニル管(ISVP)、水輸送用硬質ポリ塩化ビニル管(IWVP)などが挙げられる。
【0034】
また、ステップS10では、ポリ塩化ビニルが部分的に用いられている樹脂パイプから、ポリ塩化ビニルを主成分とする部分を取り出してもよい。部分的にポリ塩化ビニルが用いられている樹脂パイプとしては、例えば、リサイクル硬質ポリ塩化ビニル三層管(RS−VU)、下水道用リサイクル三層硬質塩化ビニル管(RS−VU)などが挙げられる。
【0035】
ステップS10で回収する樹脂パイプに含まれるポリ塩化ビニルは、重合度が1000であることが好ましい。重合度が1000のポリ塩化ビニルを主成分とする樹脂パイプでは、フレーム材20として成形する際に適切な流動性が得られやすく、フレーム材20を良好に成形することが可能となる。
【0036】
また、錫系安定剤は、ポリ塩化ビニルを軟化させるとともに、鉛と反応して黒化するため、ステップS10で回収する樹脂パイプには、錫系安定剤を含む樹脂パイプが含まれていないことが好ましい。
なお、複数種類の樹脂パイプを回収する場合には、フレーム材20に悪影響を及ぼさない範囲内で錫系安定剤を含む樹脂パイプを用いてもよい。この場合、回収する樹脂パイプ全体に対し、錫系安定剤を含む樹脂パイプの量が10重量%以下であることが好ましい。
【0037】
必要に応じ、回収した樹脂パイプにおけるポリ塩化ビニル以外の不純物を減少させるために、樹脂パイプに対して以下に示す処理を行ってもよい。
・1次切断及び良好な部位の選別
・端部などの汚れが多い部位を除去するための2次切断
・軟質ポリ塩化ビニル、テープ、錆などの付着物の除去
・ウエスでの拭き取り、高圧洗浄、エアブローなどによる汚れの除去
・金属探知機による金属部材の探知及び除去
【0038】
これにより、ポリ塩化ビニルを主成分とするリサイクル原料である樹脂パイプの回収が完了する。
【0039】
(ステップS20:樹脂パイプの粉砕)
ステップS20では、ステップS10で回収された樹脂パイプを粉砕することによりリサイクル材を作製する。ステップS20には、例えば、二軸粉砕機や高速渦流粉砕機などを用いることができる。
【0040】
ステップS20では、粉砕前の樹脂パイプが大きい又は長い場合には、粉砕機による粉砕が困難となる。この場合には、予め樹脂パイプを所定の大きさ以下に切断する。例えば、樹脂パイプを、まず輪切りにした後に、更に小さく切断する。
【0041】
樹脂パイプの粉砕は、2段階で行うことが可能である。つまり、第1段階では樹脂パイプを粗粉砕することにより5〜10mmメッシュを通過可能な粒径の粗粉砕粉末とし、第2段階では粗粉砕粉末を微粉砕することにより1mmメッシュを通過可能な粒径の微粉砕粉末とすることができる。
【0042】
リサイクル材の平均粒径は300μm以下とすることが好ましい。
リサイクル材は平均粒径が小さいほど表面積が大きくなるため、後述のステップS40においてリサイクル材と添加剤とを混合する際に、添加剤がリサイクル材に浸透しやすくなる。これにより、均一な混練体が得られる。
【0043】
この一方で、リサイクル材の平均粒径が300μmより大きいと、混練体において添加剤が偏在しやすくなり、安定生産が困難になるとともに、後述のステップS50の押出成形で得られる成形体の寸法精度が低下してしまう。また、リサイクル材の平均粒径が300μmより大きいと、押出成形の際にゲル化が進みにくくなり、押出成形体であるフレーム材20に凹凸形状が生じ、平滑な表面が得られにくくなる。
【0044】
リサイクル材の粒径は、JIS Z8801基準ふるいを使用したロータップ式自動ふるいにて測定可能である。
【0045】
(ステップS30:添加剤の配合)
ステップS30では、得られたリサイクル材に添加剤を配合する。ステップS30では、リサイクル材をそのまま用いてフレーム材20を製造する場合の問題点を克服するために有効な添加剤をリサイクル材に配合する。添加剤としては、必要に応じて複数種類を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
添加剤としては、例えば、強化剤、熱安定剤、紫外線安定剤、内部滑剤、外部滑剤、トルク向上剤、着色剤、可塑剤、充填剤、加工助剤、酸化チタン、炭酸カルシウムなどから選択可能である。リサイクル材に添加する添加剤の種類及び量は、フレーム材20に必要な成分のうち、樹脂パイプに含まれていない成分の種類及び量から決定することができる。
【0047】
特に、添加剤として強化剤を用いることにより、樹脂パイプ由来の剛性を克服することができ、高い機械的強度のフレーム材20が得られる。また、添加剤として加工助剤や滑剤を用いることにより、樹脂パイプ由来の押出成形特性を克服することができ、複雑な形状のフレーム材20を押出成形することが可能となる。
【0048】
内部滑剤は、極性基を有し、ポリ塩化ビニルと相溶することにより、混練トルクを低下させる。外部滑剤は、ポリ塩化ビニルと不相溶の炭化水素鎖であり、ポリ塩化ビニルと金型との滑性を向上させる。
【0049】
内部滑剤及び外部滑剤としては、例えば、エメリーオレオケミカル社のLOXIOL(登録商標)シリーズから選択することができる。内部滑剤としては、例えば、G60、G32などを選択可能である。外部滑剤としては、例えば、VPN963、VPN233、G21などを選択可能である。
【0050】
また、リサイクル材に添加する添加剤の種類及び量は、リサイクル材の評価を行い、その評価結果に基づいて決定してもよい。これにより、リサイクル材をそのまま用いてフレーム材20を製造する場合の問題点をより確実に把握することができる。リサイクル材の評価方法は特定の方法に限定されない。
【0051】
例えば、ステップS30では、ステップS20で得られたリサイクル材をそのまま用いて成形体を作製することができる。この成形体の物性測定を行うことにより、リサイクル材をそのまま用いてフレーム材20を製造した場合に不足する物性を把握可能となる。リサイクル材の成形体は、例えば、ロール混錬及びプレス成形によって作製することができる。
【0052】
ステップS30において有効な成形体の物性測定方法を以下に例示する。
・シャルピー衝撃試験
・熱分解時間測定
・引張降伏応力測定
・曲げ弾性率測定
これらの測定は、例えば、無可塑ポリ塩化ビニル製建具用形材JISA5558に準拠して行うことができる。
【0053】
例えば、シャルピー衝撃試験によって、リサイクル材の成形体の耐衝撃性が不足していた場合には、添加剤として強化剤を用いることができる。強化剤としては、例えば、アクリル系強化剤を用いることができる。
【0054】
また、熱分解時間測定によって、リサイクル材の成形体の熱安定性が不足していた場合には、添加剤として熱安定剤を用いることができる。熱安定剤は、鉛系安定剤及びカルシウム・亜鉛系安定剤の少なくとも一方であることが好ましい。なお、錫系安定剤は、ポリ塩化ビニルを軟化させるとともに、鉛と反応して黒化するため好ましくない。
【0055】
また、ステップS30では、リサイクル材のゲル化特性を評価することにより、後述のステップS50においてリサイクル材を混練するために不足している物性を把握可能となる。ゲル化特性は、例えば、プラストグラフを用いて評価することができる。
【0056】
例えば、ゲル化条件として、ゲル化時間の第1範囲、及びゲル化初期トルクの第2範囲を設定することができる。つまり、ゲル化時間が第1範囲外の場合に、ゲル化時間を第1範囲内とするために有効な添加剤を選択することができる。また、ゲル化初期トルクが第2範囲外の場合に、ゲル化初期トルクを第2範囲内とするために有効な添加剤を選択することができる。
【0057】
図5及び
図6は、様々な成分のサンプルにおけるゲル化特性を、プラストグラフを用いて評価した評価結果を示すグラフである。
図5及び
図6では、横軸が時間(秒)を示し、縦軸がトルク(N・m)を示している。
プラストグラフ試験機には、ブラベンダー社製の装置を用いた。また、チャンバー温度は180℃とし、ローラの回転数は40rpmとした。
【0058】
図5は、サンプルA、サンプルB、及びサンプルCのゲル化特性の評価結果を示している。
サンプルAは、一般的な樹脂サッシの製造に用いられる成分からなる。つまり、サンプルAでは、ポリ塩化ビニルの粉末として、ステップS20で得られたリサイクル材を用いず、未使用のバージン材のみを用いている。サンプルAには、バージン材と、所定の添加剤と、が含まれている。
サンプルBは、ステップS20で得られたリサイクル材のみで構成される。つまり、サンプルBには、一切の添加剤が含まれていない。
サンプルCには、ステップS20で得られたリサイクル材と、強化剤及び加工助剤と、が含まれている。
【0059】
良好なゲル化特性が得られているサンプルAに対し、リサイクル材をそのまま用いたサンプルBでは、ゲル化時間が大幅に長く、ゲル化初期トルクが大幅に低いことがわかる。したがって、サンプルBでは、良好な混練を行うことが困難である。これに対し、添加剤として強化剤及び加工助剤を添加したサンプルCでは、サンプルAには及ばないものの、サンプルBよりもゲル化初期トルクが向上するとともに、ゲル化時間が短縮された。
【0060】
このように、添加剤として強化剤や加工助剤を用いることにより、ゲル化特性が改善される。しかし、サンプルCでもゲル化特性が充分でなく、つまりゲル化時間が第1範囲より長く、ゲル化初期トルクが第2範囲より小さい場合には、添加剤としてトルク向上剤を添加することができる。トルク向上剤としては、ゲル化時間を短くする作用や、ゲル化初期トルクを高める作用を有するものを適宜選択可能である。
【0061】
トルク向上剤としては、例えば、酸価が15以上18以下である酸化ポリエチレンワックスを用いることができる。このような酸化ポリエチレンワックスとしては、例えば、LOXIOL(登録商標)VPG1631(エメリーオレオケミカル社の製品名)が挙げられる。
【0062】
図6は、添加剤としてトルク向上剤を添加したサンプルD及びサンプルEのゲル化特性の評価結果を示している。
サンプルD及びサンプルEでは、サンプルCに更に酸化ポリエチレンワックスが添加されている。サンプルDでは、59.9gのサンプルCに対し、0.01gの酸化ポリエチレンワックスを添加されている。サンプルEでは、59.8gのサンプルCに対し、0.02gの酸化ポリエチレンワックスが添加されている。
【0063】
図6に示すように、サンプルD及びサンプルEでは、ゲル化時間がサンプルAより短く、サンプルAと同等のゲル化初期トルクが得られている。また、サンプルEではサンプルDよりもゲル化時間が短くなっており、トルク向上剤の添加量が多いほどゲル化時間が短くなる傾向が見られる。したがって、トルク向上剤の添加量によってゲル化特性を最適化することができる。
【0064】
なお、トルク向上剤の添加などによって、ゲル化時間が第1範囲より短くなってしまった場合や、ゲル化初期トルクが第2範囲より高くなってしまった場合には、添加剤として更に滑剤を添加することにより、ゲル化特性を調整することができる。滑剤としては、任意に選択可能であり、例えば、LOXIOL(登録商標)G60やLOXIOL(登録商標)G32(いずれもエメリーオレオケミカル社の製品名)などを用いることができる。
【0065】
各添加剤の添加量は、適宜決定可能である。一例として、リサイクル材100重量部に対し、強化剤の添加量を5重量部以下とし、熱安定剤の添加量を4重量部以下とし、滑剤の添加量を2重量部以下とし、トルク向上剤の添加量を1重量部以下とし、加工助剤の添加量を2重量部以下とすることができる。
【0066】
また、必要に応じて、添加剤として、未使用のポリ塩化ビニル材(バージン材)を用いることもできる。添加剤としてバージン材を用いることにより、フレーム材20の物性を容易に向上させることができる。しかし、省資源化及び低コスト化の観点から、バージン材の添加量は、リサイクル材及びバージン材からなるポリ塩化ビニル全体に対して30重量%以内とすることが好ましい。
【0067】
(ステップS40:リサイクル材と添加剤との混合)
ステップS40では、ステップS20で得られたリサイクル材と、ステップS30で配合された添加剤と、を混合して混練物を作製する。リサイクル材と添加剤との混合は、例えば、100〜140℃でのホットプレンドにより行うことができる。
【0068】
(ステップS50:押出成形)
ステップS50では、ステップS40で得られた混練物を異形押出成形することにより、フレーム材20の部材20a,20b,20c,20dを作製する。具体的には、
図3に示す断面形状の部材を連続して押し出し、各部材20a,20b,20c,20dごとに切断する。
【0069】
混練物の押出成形には、例えば、60mmφコニカル2軸押出機を用いることができる。この場合、シリンダの温度を170〜210℃とし、アダプタの温度を180〜200℃とし、金型の温度を185〜205℃とすることができる。金型出口での樹脂溶融温度は、190〜205℃程度であることが好ましい。
【0070】
その後、ステップS50で得られた各部材20a,20b,20c,20dを溶着することによりフレーム材20が完成する。
【0071】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0072】
例えば、上記実施形態に係る樹脂パイプのリサイクル方法では、上記実施形態に係る樹脂サッシ10に限らず、多種多様な構成の樹脂サッシを新たに製造可能である。
【0073】
また、樹脂パイプのリサイクルによって製造する樹脂サッシは、リサイクル材を用いて成形されるリサイクル組成物と、リサイクル材を用いずにバージン材のみを用いて成形されるバージン組成物と、の複合体として構成されていてもよい。このような樹脂サッシは、リサイクル組成物とバージン組成物とを別々に共押出しすることにより成形可能である。
【0074】
一例として、中空構造の樹脂サッシ10において、内層をリサイクル組成物とし、外層をバージン組成物とすることができる。つまり、樹脂サッシ10の外観に現れる外層にバージン組成物を用いることにより、リサイクル組成物を用いない場合と同等の外観が得られる。一方、樹脂サッシ10の意匠性に影響を与えない内層をリサイクル組成物とすることにより、省資源化及び低コスト化が可能である。なお、バージン組成物には、色調に影響を与えない範囲内でリサイクル材を添加することもできる。
【0075】
更に、必要に応じ、上記実施形態で得られる樹脂サッシの表面には被覆層が設けられていてもよい。例えば、樹脂サッシの表面には、表層共押出によるアクリル系やASA系樹脂の層、樹脂製のフイルムやコーティング、あるいはアルミニウム等の金属製のカバーなどが設けられていてもよい。また、樹脂サッシは、各種塗料などにより塗装されていてもよい。