特許第6704763号(P6704763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社MASSの特許一覧 ▶ 鎌田 拓史の特許一覧

<>
  • 特許6704763-LED照明器具 図000002
  • 特許6704763-LED照明器具 図000003
  • 特許6704763-LED照明器具 図000004
  • 特許6704763-LED照明器具 図000005
  • 特許6704763-LED照明器具 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704763
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】LED照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20200525BHJP
   F21K 9/275 20160101ALI20200525BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200525BHJP
【FI】
   F21V23/00 150
   F21K9/275
   F21V23/00 140
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-56672(P2016-56672)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-174529(P2017-174529A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】505423416
【氏名又は名称】株式会社MASS
(73)【特許権者】
【識別番号】516030443
【氏名又は名称】鎌田 拓史
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100140327
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 千秋
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 拓史
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3191461(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0176743(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21K 9/27 − 9/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源と、前記LED光源を制御する制御回路とを有するLED灯と、
前記LED灯の両端に取り付けられる一対のエンドキャップとを備え、
前記制御回路は、
交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、
前記AC/DCコンバータからの前記直流電圧を所定の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、
前記AC/DCコンバータからの前記直流電圧を前記LED光源に供給し、調光制御信号に基づいて前記LED光源を調光する調光制御回路とを含み、
前記一対のエンドキャップのうち第1又は第2のエンドキャップは、前記DC/DCコンバータ及び前記調光制御回路に接続され、前記DC/DCコンバータからの前記所定の直流電圧を外部に供給し、かつ、前記調光制御信号を受けるUSBポートを有し、
前記第1又は第2のエンドキャップは、前記AC/DCコンバータに接続され、前記交流電圧を受ける電極として機能するピンを有する、LED照明器具。
【請求項2】
前記USBポートは前記第1のエンドキャップに設けられ、前記電極として機能するピン前記第2のエンドキャップに設けられる、請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記第1のエンドキャップはさらに、支持部材として機能するピンを有する、請求項2に記載のLED照明器具。
【請求項4】
前記USBポートは、前記LED光源の発光面側に開口するように設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のLED照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(Light Emitting Diode)素子を用いた照明器具(以下、LED照明器具)の普及が進んでいる。下記特許文献1には、直管型の蛍光灯のソケットに取り付け、蛍光灯のソケットから電力供給を受けてLED素子を点灯させる照明装置が開示されている。この照明装置は、LED照明管を取り付ける照明灯本体カバーに、リチウムイオン電池が内蔵された照明用電源装置が設けられ、停電時にリチウムイオン電池を放電させてLED照明管に電力を供給する。また、この照明装置の照明灯本体カバーには、USBソケットが設けられており、USBソケットに携帯電話を接続して携帯電話を充電したり、USBソケットにPC(Personal Computer)を接続して照明用電源装置の内部メモリの読み書きを行ったりすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5811601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、様々なIoT(Internet of Things)サービスが提案されている。IoTサービスを提供するために用いられる各種センサーや通信機器等のIoT機器は電力を必要とする。ビーコン発信機等の小型のIoT機器は、電池によって駆動させることもできるが、定期的に電池を交換しなければならない。
【0005】
照明装置には電力が供給されるため、上記特許文献1のように、照明装置の照明灯本体カバーにUSBのポートを設けることで、USBポートにIoT機器を接続して利用することはできる。しかしながら、上記特許文献1の場合、照明灯本体カバーにUSBポートが設けられるため、USBポートの設置工事が必要となる。また、USBポートは照明灯本体カバーに固定されているため、IoT機器が設置される位置が限定される。
【0006】
本発明は、USBポートの設置工事を必要とせず、USB接続可能な機器の配置の自由度を向上させうる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るLED照明器具は、LED光源と、前記LED光源を制御する制御回路とを有するLED灯と、前記LED灯の両端に取り付けられる一対のエンドキャップとを備え、前記エンドキャップの一方は、前記制御回路に接続されるUSBポートを有し、前記エンドキャップの一方は、前記制御回路に接続され、交流電力が供給される電極を有する。
【0008】
この構成によれば、LED照明器具は、LED光源とLED光源に電力を供給する制御回路とを有するLED灯と、LED灯の両端に取り付けられる一対のエンドキャップとを有する。LED照明器具は、一対のエンドキャップのうちのいずれか一方に電極を有し、LED灯に設けられた制御回路により、電極から供給される交流電力をLED光源に供給して点灯させる。また、一対のエンドキャップのうちのいずれか一方に、制御回路と接続されたUSBポートが設けられる。そのため、USB対応機器を接続するためのUSBポートの設置工事が不要であり、LED照明器具が設置される場所であればどこでもUSB対応機器をUSBポートに接続することができる。
【0009】
また、上記LED照明器具において、前記USBポートは前記エンドキャップの一方に設けられ、前記電極は前記エンドキャップの当該他方に設けられることとしてもよい。
【0010】
この構成によれば、USBポートは電極が設けられるエンドキャップと異なるエンドキャップに設けられる。そのため、電極を有するエンドキャップにUSBポートを設ける場合と比べ、USBポートを設ける空間を確保し易い。
【0011】
また、上記LED照明器具において、前記USBポートは、前記LED光源の発光面側に開口するように設けられることとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、LED光源の発光面側の空間は、通常、LED光源の発光面と反対側の空間よりも広くなるため、USBポートにUSB対応機器を接続し易い。
【0013】
また、上記LED照明器具において、前記制御回路は、前記USBポートを介して入力される制御信号に基づいて前記LED光源を制御することとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、LED照明器具ごとに、LED照明器具に設けられたUSBポートを介してLED光源を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態におけるLED照明器具の上面を模式的に表した上面図である。
図2図2は、図1に示すLED照明器具のA−A断面を模式的に表した断面図である。
図3図3は、図1に示すLED照明器具を直管型の蛍光灯の取り付け器具に取り付けた状態を示す模式図である。
図4図4は、実施形態における制御回路の構成例と、制御回路とUSBポートとの接続関係を示すブロック図である。
図5図5の(a)は、変形例(2)におけるLED照明器具の上面を模式的に表した上面図である。図5の(b)は、図5の(a)におけるLED照明器具の側面を模式的に表した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図中同一及び相当する構成については、同一の符号を付して同じ説明を繰り返さない。
【0017】
図1は、本実施形態に係るLED照明器具の上面を模式的に表した上面図である。図2は、図1に示すLED照明器具1のA−A断面を模式的に表した断面図である。以下、図1及び図2を用いてLED照明器具1の構成について説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、LED照明器具1は、LED灯11と、LED灯11の両端に設けられた口金部(エンドキャップ)12L、12Rとを有する。
【0019】
LED灯11は、X軸方向に延伸された円筒形状を有する。LED灯11は、図2に示すように、例えば、透明又は半透明の樹脂等の素材で形成された照明カバー11aで覆われている。LED灯11の照明カバー11aの内側には、基板14と、複数のLED素子15aが直列に接続されたLED光源15と、制御回路16とが設けられている。
【0020】
基板14は、基板14上に設けられたLED光源15を駆動するための駆動回路(図示略)を有し、制御回路16と電気的に接続されている。
【0021】
LED光源15の各LED素子15aは、例えば白色発光ダイオードで構成され、基板14上に一定の間隔で配置されている。
【0022】
制御回路16は、交流電圧を直流電圧に変換したり、変換した直流電圧を所定電圧に変換したりする。なお、制御回路16の詳細については後述する。
【0023】
口金部12L、12Rはそれぞれ、口金121L、121R及びピン122L、122Rを有する。口金121L、121Rは、LED灯11よりも径が大きい円筒形状を有し、例えばポリカーボネート等の樹脂素材で形成されている。
【0024】
ピン122L、122Rは、口金121L、121Rにおいて、LED灯11と反対側の端部にそれぞれ設けられている。ピン122L、122Rは、既存の蛍光灯のソケットに装着可能な形状を有する。
【0025】
LED照明器具1は、図3に示すように、直管型の蛍光灯を取り付ける器具20(以下、取り付け器具)のソケット201にピン122L、122Rがそれぞれ装着されて固定される。本実施形態において、ピン122Lは制御回路16と電気的に接続され、ソケット201から供給される交流電力を制御回路16に供給する。一方、ピン122Rは制御回路16と電気的に接続しておらず、制御回路16に電力を供給しない。つまり、この例において、ピン122Lは、制御回路16に電力を供給する電極として機能するが、ピン122Rは、LED照明器具1を支持するために用いられる支持部材として機能する。
【0026】
また、図1及び図2において、口金121Rの上面(Z軸正方向)にはUSBポート123が設けられている。つまり、USBポート123は、口金121Rの上面(Z軸正方向)から下面(Z軸負方向)に向かってUSBコネクタが差し込まれるように、LED光源15の発光面側が開口しており、口金121Rの内部空間において支持されている。本実施形態では、口金121Lの内部は、制御回路16や、ピン122Lと制御回路16とを接続するための配線等の素子(図示略)が設けられるが、口金121Rの内部にはこのような素子が配置されない。そのため、本実施形態では、口金121Rの内部空間をUSBポート123に利用している。
【0027】
USBポート123は、USB2.0又はUSB3.0の規格に対応している。USBポート123は、図示しない信号線を介して制御回路16と電気的に接続されている。
【0028】
この例において、USBポート123は、4つの端子(電源端子(GND,+5v)、データ端子(D+,D−))を有する。USBポート123には、例えば、USB2.0の規格に対応した無線通信機器(図示略)が接続される。無線通信機器は、USBポート123の電源端子(GND,+5v)を介し、5vの直流電圧の電力が供給されて駆動する。無線通信機器は、LED光源15を調光する調光制御信号を無線通信により受信する。そして、無線通信機器は、受信した調光制御信号に基づく電圧信号を、USBポート123のデータ端子(D+,D−)を介して制御回路16に入力する。本実施形態では、LED光源15の調光方法としてアナログ調光とPWM調光とが用いられ、例えばデータ端子(D−)にはアナログ調光用の調光制御信号が入力され、データ端子(D+)にはPWM調光用の調光制御信号が入力される。
【0029】
図4は、この場合における制御回路16の構成例と、制御回路16とUSBポート123との接続を示す図である。図4に示すように、制御回路16は、AC/DCコンバータ161と、DC/DCコンバータ162と、調光制御回路163とを有する。
【0030】
AC/DCコンバータ161は、ピン122Lと接続され、ピン122Lが装着されたソケット201から供給される交流電圧(例えば100v)を直流電圧(例えば32v)に変換する。
【0031】
DC/DCコンバータ162は、USBポート123の電源端子(GND)1231と電源端子(+5v)1232とに接続されている。DC/DCコンバータ162は、AC/DCコンバータ161で変換された直流電圧を所定の直流電圧(例えば+5v)に変換する。
【0032】
調光制御回路163は、データ端子(D+)1233とデータ端子(D−)1234とに接続されている。調光制御回路163は、データ端子(D+)1233又はデータ端子(D−)1234に入力される調光制御信号に基づいて、AC/DCコンバータ161によって変換された直流電圧をLED光源15に供給する。つまり、データ端子(D+)1233にPWM調光用の調光制御信号が入力された場合、調光制御回路163は、調光制御信号に基づいて、LED光源15に直流電圧(32v又は0v)を印加してLED光源15の点灯時間と消灯時間とを制御することにより調光する。また、データ端子(D−)1234にアナログ調光用の調光制御信号が入力された場合、調光制御回路163は、調光制御信号に応じた直流電圧をLED光源15に印加することにより調光する。
【0033】
上述した実施形態において、LED照明器具1は、既存の蛍光灯の取り付け器具に取り付けられる。LED照明器具1は、一方の口金部12Lに設けられたピン122Lから供給される電力によってLED光源15を点灯させる。また、LED照明器具1は、ピン122Lから供給される交流電力から変換した直流電力を所定電圧に変換して、一方の口金部12Rに設けられたUSBポート123に供給する。従って、既存の蛍光灯の取り付け器具が設けられた場所であればどこでもLED照明器具1を使用することができるので、USB対応機器を接続するための設置工事等を行うことなく、USB対応機器を接続することができる。
【0034】
また、上述した実施形態のように、LED照明器具1のUSBポート123に無線通信機器を接続することにより、多数のLED照明器具1が設置されている場合であっても、LED照明器具1ごとに無線通信機器を介して外部から調光することができる。
【0035】
また、上述した実施形態では、図3に示したように、取り付け器具20にLED照明器具1は取り付けられる。この場合、LED光源15の発光面(Z軸正方向)と反対側(Z軸負方向)の空間は発光面側の空間よりも狭くなる。そのため、口金121Rにおいて、LED光源15の発光面と反対側の面にUSBポート123を設けると、USB対応機器の設置スペースが狭くなり、USB対応機器を接続しにくい。一方、図3に示すように発光面側の面にUSBポート123を設けることで、USB対応機器の設置スペースが広がり、USB対応機器を接続し易くすることができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0037】
(1)上述した実施形態では、USBポート123は、支持部材として機能するピン122Rが設けられた口金121Rに設けられる例を説明したが、USBポート123が設けられる位置はこれに限らない。つまり、電極として機能するピン122Lが設けられた口金121Lの内部に、USBポート123を設置可能な空間がある場合には、口金121LにUSBポート123が設けられていてもよい。また、上述の実施形態において、USBポート123は、口金121Rにおいて、LED光源15に対してLED光源15の発光面側の面に設けられるが、LED照明器具1の取り付け器具20とLED照明器具1との間にUSB機器を取り付け可能な空間があれば、発光面と反対側の面に設けてもよい。要するに、USBポート123は、LED灯11の一方の端部に設けられた口金部(エンドキャップ)に設けられていればよい。
【0038】
(2)上述した実施形態では、LED灯11の両端に、ピン122L、122Rを有する口金部12L、12Rが設けられたLED照明器具1について説明したが、LED照明器具の形状はこれに限定されず、例えば、図5に示すLED照明器具であってもよい。図5に示すLED照明器具1Aは、従来のコンパクト型蛍光灯のソケットに装着可能であり、LED照明器具1よりも長さが短いLED灯11を有する。図5(a)(b)に示すLED照明器具1Aは、LED灯11の両端にエンドキャップ1210a、1210bを有する。エンドキャップ1210aには4本のピン1220a〜1220dが設けられ、エンドキャップ1210bにはUSBポート123が設けられている。
【0039】
エンドキャップ1210aの4本のピン1220a〜1220dは、従来のコンパクト型蛍光灯のソケットに装着され、ピン1220a〜1220dのうちの2本のピンは電極として機能し、他の2本のピンは支持部材として機能する。図示を省略するが、上述した実施形態と同様、LED灯11の内部には、基板14上に配置されたLED光源15と、制御回路16とが設けられている。ピン1220a〜1220dのうちの電極として機能する2本のピンは、エンドキャップ1210aの内部において制御回路16と電気的に接続されている。図5において、LED灯11におけるLED光源15の発光面はZ軸負方向側の面である。本変形例において、エンドキャップ1210bに設けられたUSBポート123は、LED光源15の発光面側の面に設けられるが、USBポート123の位置はこれに限定されない。
【0040】
(3)上述した実施形態では、USBポート123に無線通信機器を接続する例を説明したが、USBポート123に接続される機器はこれに限定されない。例えば、USBポート123の規格に対応し、USBポート123の電源端子に供給される直流電圧で駆動可能なセンサーやカメラ等の機器であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,1A・・・LED照明器具、11・・・LED灯、11a・・・照明カバー、12L,12R・・・口金部(エンドキャップ)、14・・・基板、15・・・LED光源、15a・・・LED素子、16・・・制御回路、20・・・取り付け器具、201・・・ソケット、121L,121R・・・口金、122L,122R,1220a〜1220d・・・ピン、123・・・USBポート、161・・・AC/DCコンバータ、162・・・DC/DCコンバータ、163・・・調光制御回路、1210a,1210b・・・エンドキャップ、1231・・・電源端子(GND)、1232・・・電源端子(+5v)、1233・・・データ端子(D+)、1234・・・データ端子(D−)
図1
図2
図3
図4
図5