(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した内外気混入モードに切り替えられる空調装置を搭載した車両が降雪時に走行している状況を想定すると、窓ガラスが曇らない範囲で内気循環量を高めるべく内外気切替ダンパが作動し、外気導入口が開いた状態になっている場合がある。外気導入口が開いていると、雪がカウルの開口部から外気導入口に入ってしまい、内外気切替ダンパに付着することが考えられる。
【0008】
その後、例えば外気温度が氷点下となる環境下に長時間駐車すると、内外気切替ダンパに付着した雪が固着することがあるとともに、雪解け水が再度凍結して氷となり、内外気切替ダンパに固着することがある。
【0009】
こうなると空調装置を作動させて内外気切替ダンパを動かそうとしても、内外気切替ダンパに雪や氷に固着していることから、車室内が暖まって雪や氷が溶けるまで内外気切替ダンパを動かすことができなくなる。
【0010】
このことが特に問題となるのは以下の場合である。すなわち、内外気混入モードでは、窓ガラスが曇らない範囲で内気循環量を高める制御を行っていることから、できるだけ内気循環量が多くなるように内気導入口の開度が設定されている。言い換えると、曇り難い定常状態では外気導入口の開度が小さく設定されることになり、この外気導入口の開度が小さい状態で上記したように雪や氷が内外気切替ダンパに固着してしまうと、その後、空調装置を作動させた場合に暖房初期で窓ガラスが曇り易い状況であるにも関わらず、外気導入口の開度を大きくすることができず、ひいては窓ガラスの曇りを晴らすのに時間がかかる結果となる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内外気切替ダンパによって内外気混入モードに切替可能に制御する場合に、冬季に雪等が内外気切替ダンパに固着したとしても、その後の空調開始時に窓ガラスの曇りを早く晴らすことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では、シフトレンジまたはパーキングブレーキの作動状態を検出して駐車時間が長いと考えられる場合に内外気切替ダンパによる外気導入口の開度を大きくし、たとえ内外気切替ダンパが雪や氷の固着によって動かなくなったとしても、その後の空調開始時に低湿度の外気導入量を多くすることができるようにした。
【0013】
第1の発明は、
車室内の空気を導入して車室内に循環させる内気導入口と、車室外の空気を導入する外気導入口とが形成された送風ケーシングと、
上記送風ケーシングに設けられ、上記内気導入口及び上記外気導入口を開閉する内外気切替ダンパと、
上記内外気切替ダンパを駆動する駆動手段と、
上記駆動手段を制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、車両の窓ガラスの曇り易さを検出し、この検出結果に基づいて窓ガラスが曇り易い場合には外気導入量が増える方向に上記内外気切替ダンパを作動させるべく上記駆動手段を制御し、一方、窓ガラスが曇り難い場合には内気循環量が増える方向に上記内外気切替ダンパを作動させるべく上記駆動手段を制御する内外気混入モードを選択可能に構成された車両用空調装置において、
上記車両用空調装置は、上記車両に設けられている変速機のシフトレンジを検出するシフトレンジ検出手段を備え、
上記制御装置は、
オートエアコン制御と、乗員によるマニュアル操作とに切替可能に構成されるとともに、上記オートエアコン制御時で暖房時かつ上記内外気混入モードが選択されているときに、上記シフトレンジ検出手段により上記変速機がパーキングレンジにあることが検出された場合には上記変速機が走行レンジにあるときよりも、上記外気導入口の開度が大きくなるように上記駆動手段を制御する外気導入口開度増大制御を行い、一方、上記シフトレンジ検出手段により上記変速機が走行レンジにあることが検出された場合には上記外気導入口開度増大制御を禁止することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、内外気混入モードが選択されているときには、窓ガラスの曇り易さに基づいて外気導入量及び内気循環量が変更されるので、窓ガラスが曇らない範囲で内気循環量を高めることが可能になり、これにより換気量が減少して暖房に要するエネルギ消費量が少なくなる。
【0015】
また、内外気混入モードが選択されているときに、変速機のシフトレンジがパーキングレンジにされた場合には、その後、駐車時間が長いと考えられるので、例えば冬季では内外気切替ダンパに雪や氷が固着する可能性が高くなる。このとき、本発明では、走行レンジにあるときよりも外気導入口の開度が大きくなるので、例えば内外気切替ダンパが雪や氷の固着によって動かなくなったとしても、その後の空調開始時に低湿度の外気導入量を多くすることが可能になり、窓ガラスの曇りが早く晴れる。
【0016】
尚、変速機が走行レンジにされた場合には、外気導入口開度増大制御が禁止されるので、窓ガラスの曇り易さに基づいて外気導入量及び内気循環量が変更されて暖房に要するエネルギ消費量が少なくなる。
【0017】
第2の発明は、
車室内の空気を導入して車室内に循環させる内気導入口と、車室外の空気を導入する外気導入口とが形成された送風ケーシングと、
上記送風ケーシングに設けられ、上記内気導入口及び上記外気導入口を開閉する内外気切替ダンパと、
上記内外気切替ダンパを駆動する駆動手段と、
上記駆動手段を制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、車両の窓ガラスの曇り易さを検出し、この検出結果に基づいて窓ガラスが曇り易い場合には外気導入量が増える方向に上記内外気切替ダンパを作動させるべく上記駆動手段を制御し、一方、窓ガラスが曇り難い場合には内気循環量が増える方向に上記内外気切替ダンパを作動させるべく上記駆動手段を制御する内外気混入モードを選択可能に構成された車両用空調装置において、
上記車両用空調装置は、上記車両に設けられているパーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキ検出手段を備え、
上記制御装置は、
オートエアコン制御と、乗員によるマニュアル操作とに切替可能に構成されるとともに、上記オートエアコン制御時で暖房時かつ上記内外気混入モードが選択されているときに、上記パーキングブレーキ検出手段により上記パーキングブレーキが作動状態にあることが検出された場合には上記パーキングブレーキが非作動状態にあるときよりも、上記外気導入口の開度が大きくなるように上記駆動手段を制御する外気導入口開度増大制御を行い、一方、上記パーキングブレーキ検出手段により上記パーキングブレーキが非作動状態にあることが検出された場合には上記外気導入口開度増大制御を禁止することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、内外気混入モードが選択されているときには、窓ガラスの曇り易さに基づいて外気導入量及び内気循環量が変更されるので、窓ガラスが曇らない範囲で内気循環量を高めることが可能になり、これにより換気量が減少して暖房に要するエネルギ消費量が少なくなる。
【0019】
また、内外気混入モードが選択されているときに、パーキングブレーキが作動した場合には、その後、駐車時間が長いと考えられるので、例えば冬季では内外気切替ダンパに雪や氷が固着する可能性が高くなる。このとき、本発明では、パーキングブレーキが非作動状態にあるときよりも外気導入口の開度が大きくなるので、例えば内外気切替ダンパが雪や氷の固着によって動かなくなったとしても、その後の空調開始時に低湿度の外気導入量を多くすることが可能になり、窓ガラスの曇りが早く晴れる。
【0020】
尚、パーキングブレーキが非作動状態にされた場合には、外気導入口開度増大制御が禁止されるので、窓ガラスの曇り易さに基づいて外気導入量及び内気循環量が変更されて暖房に要するエネルギ消費量が少なくなる。
【0021】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記制御装置は、上記外気導入口開度増大制御を行うときに上記外気導入口を全開にするように構成されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、駐車時間が長いと考えられる場合に外気導入口を全開にしておくことが可能になるので、その後の空調開始時に低湿度の外気導入量が多くなり、窓ガラスの曇りがより一層早く晴れる。
【0023】
第4の発明は、第1の発明において、
上記制御装置は、上記内外気混入モードが選択されているときに、上記シフトレンジ検出手段により上記変速機が後退レンジにあることが検出された場合には上記変速機が走行レンジにあるときよりも、上記外気導入口の開度が大きくなるように上記駆動手段を制御する外気導入口開度増大制御を行うことを特徴とする。
【0024】
すなわち、例えばパーキングレンジにする前に後退レンジとなるように変速機の操作レバーを操作する場合がある。本発明では、後退レンジであることが検出された場合に外気導入口開度増大制御を行うようにしたので、パーキングレンジにする前の段階から外気導入口の開度が大きくなる。よって、パーキングレンジにされた後、イグニッションスイッチが切られてしまうまでに、外気導入口の開度を大きく確保しておくことが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明によれば、内外気混入モードが選択されているときに変速機がパーキングレンジにあることが検出されると外気導入口の開度が大きくなるので、冬季における長時間駐車によって雪等が内外気切替ダンパに固着したとしても、その後の空調開始時に窓ガラスの曇りを早く晴らすことができる。
【0026】
第2の発明によれば、内外気混入モードが選択されているときにパーキングブレーキが作動状態にあることが検出されると外気導入口の開度が大きくなるので、冬季における長時間駐車によって雪等が内外気切替ダンパに固着したとしても、その後の空調開始時に窓ガラスの曇りを早く晴らすことができる。
【0027】
第3の発明によれば、外気導入口開度増大制御を行うときに外気導入口を全開にするので、ガラスの曇りをより一層早く晴らすことができる。
【0028】
第4の発明によれば、変速機が後退レンジにあることが検出された場合に外気導入口開度増大制御を行うようにしたので、イグニッションスイッチが切られてしまうまでに外気導入口の開度を大きく確保しておくことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用空調装置100の概略構造を示す図である。この車両用空調装置100は、空調用空気を送風するための送風ユニット1と、送風ユニット1から送風された空調用空気を温度調節して車室の各部に供給するための空調ユニット2と、制御装置3(
図4に示す)とを備えている。送風ユニット1及び空調ユニット2は車室の前端部に設けられたインストルメントパネル(図示せず)の内部に収容されている。空調ユニット2は車室の左右方向の略中央部に配置され、送風ユニット1は車室の助手席側(右ハンドル車の場合左側)に配置される。送風ユニット1と空調ユニット2は別体に構成することもできるし、一体に構成することもできる。送風ユニット1及び空調ユニット2を別体に構成した場合には、図示しない中間ダクト等によって接続すればよい。
【0032】
尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」
というものとする。
【0033】
(送風ユニットの構成)
送風ユニット1は、
図2及び
図3にも示すように、送風ケーシング10と、内外気切替ダンパ20と、送風ファン25と、ファン駆動モーター26とを備えている。送風ケーシング10は、
図2に示すように左右方向の中間部において左右に分割された左側部材11及び右側部材12を組み合わせることによって構成されている。
【0034】
送風ケーシング10の上部前側には、車室外の空気(外気)を導入する外気導入口10aが形成されている。外気導入口10aは、左右方向に長い形状とされている。外気導入口10aは、図示しないが車体のカウル部材に形成された開口部に接続されて車室外部と連通している。送風ケーシング10の上部後側には、車室内の空気(内気)を導入する上部内気導入口10bが形成されている。上部内気導入口10bは、送風ケーシング10の上壁部において左端から右端に亘って形成されている。上部内気導入口10bの左右両側は、送風ケーシング10の左側壁部及び右側壁部にも開口している。上部内気導入口10bは、インストルメントパネルの内部に開口している。
【0035】
内外気切替ダンパ(インテークダンパ)20は、送風ケーシング10内において上部に設けられている。内外気切替ダンパ20は、送風ケーシング10の側壁部に回動可能に支持される支軸21(
図2にのみ示す)と、支軸21の外面から径方向に突出する端壁部22(
図3に示す)と、端壁部22の突出方向先端部から支軸21の中心線と平行に左右方向に延びる閉塞板部23とを備えている。内外気切替ダンパ20は、
図1に示す内外気切替アクチュエータ(駆動手段)24によって駆動されて支軸21周りに回動する。
【0036】
すなわち、内外気切替ダンパ20は、内外気切替アクチュエータ24によって任意の回動角度となるように駆動される。これによりインテークモードが切り替えられる。内外気切替アクチュエータ24は、制御装置3によって制御される。例えば、
図1に示すように外気導入口10aを全閉にし、かつ、内気導入口10bを全開にするまで内外気切替ダンパ20を回動させると、インテークモードが内気循環モードとなる。このときの内外気切替ダンパ20の開度は100%とする。一方、
図3に示すように外気導入口10aを全開にし、かつ、内気導入口10bを全閉にするまで内外気切替ダンパ20を回動させると、インテークモードが外気導入モードとなる。このときの内外気切替ダンパ20の開度は0%とする。
【0037】
そして、内外気切替ダンパ20の開度が1%〜99%の間にあるときには、外気導入口10aと内気導入口10bの両方が開状態となり、内気と外気の両方が送風ケーシング10の内部に同時に導入されて混合し、空調用空気として送風される。内気と外気の両方が送風ケーシング10の内部に同時に導入されるインテークモードが内外気混入モードである。内外気混入モード時には、内外気切替ダンパ20の開度によって内気と外気の導入比率が変更される。インテークモードの切替制御の詳細及び、内外気混入モードの具体的な説明については後述する。
【0038】
図2に示すように、送風ケーシング10の左側壁部には、空気流出口10cが形成されている。送風ケーシング10の下部にはスクロール部13が形成されており、このスクロール部13の内部が空気流出口10cと連通している。スクロール部13の内部には、送風ファン25が設けられている。送風ファン25は、例えば遠心式ファンで構成することができ、回転中心線が上下方向に延びる姿勢で配置されている。送風ケーシング10のスクロール部13の底壁部には、ファン駆動モーター26が設けられている。ファン駆動モーター26の出力軸はスクロール部13の内部へ向けて上方へ突出するように設けられている。ファン駆動モーター26の出力軸に送風ファン25の中心部が固定されている。送風ファン25がファン駆動モーター26によって駆動されることで空調用空気を送風ファン25の上方から吸い込んでスクロール部13の内部に吐出する。スクロール部13の内部に吐出された空調用空気はその周方向の一部に連通する空気流出口10cから空調ユニット2に送風されるようになっている。
【0039】
送風ケーシング10における上部内気導入口10bと、スクロール部13との間には、フィルタ収容部14が設けられている。このフィルタ収容部14の内部には、
図3に示すフィルタFが収容されている。フィルタFは、板状をなしており、その空気通過面が略水平に延びる姿勢で配置されている。フィルタ収容部14の後側には、着脱可能な蓋部材15が取り付けられている。
【0040】
送風ケーシング10における上部内気導入口10bと、フィルタ収容部14との間には、後側へ膨出する膨出部16が一体に設けられている。膨出部16は、全体として左右方向に長い形状とされている。この膨出部16における膨出方向先端壁部は上下方向に延びており、この先端壁部には、後側に向けて開口する開口部16aが送風ケーシング10の内部に連通するように形成されている。開口部16aは左右方向に長い略矩形状であり、開口部16aの左縁部は送風ケーシング10の左側壁部近傍に位置し、右縁部は送風ケーシング10の右側壁部近傍に位置している。開口部16aの下縁部は、フィルタ収容部14の上方に位置している。また、膨出部16における左右両端部には、係合孔16bがそれぞれ形成されている。
【0041】
膨出部16には、別部品からなる内気導入部30が組み付けられるようになっている。内気導入部30は送風ケーシング10内に内気を導入可能に構成されたものであり、送風ケーシング10の一部を構成するものである。内気導入部30は、開口部16aの後側に配置される左右方向に長い縦板部31と、縦板部31の周縁部から前側へ突出して周方向に連続する周壁部32とを有している。周壁部32の左右両側には、係合片33がそれぞれ前方へ突出するように形成されている。係合片33は、送風ケーシング10の係合孔16bに挿入された状態で係合孔16bの周縁部に係止する。
【0042】
縦板部31の上下方向中間部には、内気導入口10bとは別に開閉され、内気を導入するための複数の下部補助内気導入口31aが左右方向に互いに間隔をあけて形成されている。下部補助内気導入口31aは、ケーシング10内においてフィルタFよりも上流側の空間に連通している。下部補助内気導入口31aの全開口面積は、下部補助内気導入口31aの全開口面積よりも小さく設定されている。
【0043】
各下部補助内気導入口31aは、左右方向に長い略矩形状とされている。左右方向に隣り合う下部補助内気導入口31aの間隔は狭く設定されており、縦板部31の表面積に対する下部補助内気導入口31aの開口面積ができるだけ広くなるようにしている。
【0044】
図3に示すように、縦板部31における送風ケーシング10内に臨む面(縦板部31の前側の面)には、送風ケーシング10内へ向けて突出する複数の爪部34が左右方向に互いに間隔をあけて設けられている。これら爪部34は、下部補助内気導入口31の形成部位よりも上方に位置している。
【0045】
内気導入部30はサブドア40を備えている。このサブドア40は、縦板部31の前側に配置された状態で、縦板部31の爪部34が差し込まれて係止することによって内気導入部30に取り付けられるように構成されている。サブドア40は、可撓性を有する板状の樹脂材やゴム材等からなるものであり、全体として左右方向に長い矩形状に形成されている。サブドア40の材料としては例えば弾性材が好ましい。
【0046】
サブドア40の大きさは、縦板部31の外形よりも小さく、かつ、下部補助内気導入口31aの形成範囲よりも大きく設定されており、サブドア40によって全ての下部補助内気導入口31aをその前側、即ち、送風ケーシング10内側から閉塞することができるようになっている。
【0047】
送風していないときや送風量が少ないときには、サブドア40によって下部補助内気導入口31aが閉じられている。一方、例えば外気導入モード時に送風量が多く、送風ケーシング10内におけるサブドア40近傍の圧力が送風ケーシング10外の圧力よりも低くなると、サブドア40に対して送風ケーシング10内へ向かう力が作用する。これにより、
図3に仮想線で示すようにサブドア40が撓み変形して下部補助内気導入口31aが開く。これにより、内気が下部補助内気導入口31aから送風ケーシング10内に導入されるので、例えば暖房時には暖房効率が向上する。
【0048】
図示しないが、補助内気導入口の形成箇所は上記した箇所に限られるものではなく、送風ケーシング10の側壁部等であってもよい。また、サブドア40の構造は、上記した構造に限られるものではなく、送風ケーシング10内外の圧力差によって開くように構成されたものであればよい。
【0049】
また、下部補助内気導入口31a及びサブドア40を省略してもよい。
【0050】
(空調ユニットの構成)
空調ユニット2は、送風ユニット1から送風された空調用空気の温度調節を行うためのユニットである。
図1に示すように、空調ユニット2は空調ケーシング2aを備えている。空調ケーシング2aの内部には、冷却用熱交換器50と加熱用熱交換器51とエアミックスドア52とが配設されている。すなわち、空調ケーシング2aの内部には、空気流れ方向上流側に冷風通路R1が形成され、この冷風通路R1に冷却用熱交換器50が収容されている。また、冷風通路R1の下流側は温風通路R2とバイパス通路R3とに分岐しており、温風通路R2に加熱用熱交換器51が収容されている。バイパス通路R3は、温風通路R2をバイパスして延びる通路である。
【0051】
冷却用熱交換器50は、例えばヒートポンプ装置の冷媒蒸発器等で構成することができるが、これに限られるものではなく、空気を冷却することができるものではあればよい。また、加熱用熱交換器51は、例えばエンジンの冷却水が供給されるヒータコア等で構成することができるが、これに限られるものではなく、例えば電気式ヒータ等、空気を加熱することができるものではあればよい。また、電気式ヒータを補助熱源として付加することもできる。
【0052】
エアミックスドア52は、冷却用熱交換器50と加熱用熱交換器51の間に配設されており、温風通路R2の上流端とバイパス通路R3の上流端とを開閉するものである。エアミックスドア52は、例えば板状の部材で構成することができ、空調ケーシング2aの側壁に対して回動可能に支持されている。エアミックスドア52は、エアミックスアクチュエータ52aによって任意の回動角度となるように駆動される。エアミックスアクチュエータ52aは、制御装置3によって制御される。
【0053】
エアミックスドア52が温風通路R2の上流端を全開にし、かつ、バイパス通路R3の上流端を全閉にすると、冷風通路R1で生成された冷風の全量が温風通路R2に流入して加熱されるので、空調ケーシング2aの空気流れ方向下流側に設けられている吹出方向切替部54には温風が流入する。一方、エアミックスドア52が温風通路R2の上流端を全閉にし、かつ、バイパス通路R3の上流端を全開にすると、冷風通路R1で生成された冷風の全量がバイパス通路R3に流入するので、吹出方向切替部54には冷風が流入する。エアミックスドア52が温風通路R2の上流端及びバイパス通路R3の上流端を開く回動位置にあるときには、冷風及び温風がエアミックスドア52の空気流れ方向下流側で混合してから吹出方向切替部54に流入することになる。
【0054】
エアミックスドア52の回動位置によって吹出方向切替部54に流入する冷風量と温風量とが変更されて所望温度の調和空気が生成される。尚、エアミックスドア52は、上記した板状のドアに限られるものではなく、冷風量と温風量とを変更することができる構成であればその構成はどのような構成であってもよい。例えばロータリドアやフィルムドア等であってもよい。また、温度調節機構の構成は上記した構成でなくてもよく、下流側へ流れる冷風量と温風量とを変更することができる構成であればよい。
【0055】
吹出方向切替部54は、上述のようにして温度調節された調和空気を車室の各部に供給するための部分である。吹出方向切替部54には、デフロスタ吹出口54aと、ベント吹出口54bと、ヒート吹出口54cとが形成されている。デフロスタ吹出口54aは、インストルメントパネルに形成されたデフロスタノズル55に接続されている。このデフロスタ吹出口54aは、フロントウインドガラス(窓ガラス)Gの車室内面に調和空気を供給するためのものである。デフロスタ吹出口54aの内部には、デフロスタ吹出口54aを開閉するためのデフロスタドア59が設けられている。
【0056】
ベント吹出口54bは、インストルメントパネルに形成されたベントノズル56に接続されている。ベントノズル56は、主に前席の乗員の上半身に調和空気を供給するためのものであり、インストルメントパネルの車幅方向中央部と、左右両側にそれぞれ設けられている。ベント吹出口54bの内部には、ベント吹出口54bを開閉するためのベントドア60が設けられている。
【0057】
ヒート吹出口54cは、乗員の足元近傍まで延びるヒートダクト57に接続されている。ヒートダクト57は、乗員の足元に調和空気を供給するためのものである。ヒート吹出口54cの内部には、ヒート吹出口54cを開閉するためのヒートドア61が設けられている。
【0058】
デフロスタドア59、ベントドア60及びヒートドア61は吹出方向切替アクチュエータ62によって駆動されて開閉動作する。吹出方向切替アクチュエータ62は、制御装置3によって制御される。デフロスタドア59、ベントドア60及びヒートドア61は、図示しないがリンク部材を介して連動するようになっており、例えば、デフロスタドア59が開状態で、ベントドア60及びヒートドア61が閉状態となるデフロスタモード、デフロスタドア59及びヒートドア61が閉状態で、ベントドア60が開状態となるベントモード、デフロスタドア59及びベントドア60が閉状態で、ヒートドア61が開状態となるヒートモード、デフロスタドア59及びベントドア60が開状態で、ヒートドア61が閉状態となるデフベントモード、デフロスタドア59及びヒートドア61が開状態で、ベントドア60が閉状態となるバイレベルモード等の複数の吹出モードの内、任意の吹出モードに切り替えられる。
【0059】
図4に示すように、車両用空調装置1には、外気温度センサ70、内気温度センサ71、日射量センサ72、冷却水温センサ73、エバポレータセンサ74、フロントウインド温度センサ75、フロントウインド近傍温度センサ76、フロントウインド近傍湿度センサ77、操作スイッチ78、シフトレンジセンサ79及びパーキングブレーキセンサ80を備えている。これらセンサ70〜77、79、80は制御装置3に接続され、制御装置3へ信号を出力している。また、操作スイッチ78も制御装置3に接続されており、乗員による操作状態を制御装置3が検出できるようになっている。
【0060】
外気温度センサ70は、例えば車室外において車両前部や側部等に配設されており、車両の周囲の空気温度(外気温度)を検出するものである。内気温度センサ71は、例えば車室内においてインストルメントパネルの近傍等に配設されており、車室内の空気温度(内気温度)を検出するものである。日射量センサ72は、例えば車室内においてインストルメントパネルの近傍等に配設されており、車室に照射される日射量を検出するものである。
【0061】
冷却水温センサ73は、車両に搭載されているエンジンの冷却水の温度を検出するものであり、この冷却水温センサ73により、加熱用熱交換器51に流入するエンジンの冷却水の温度を推定することができる。エバポレータセンサ74は、冷却用熱交換器50の空気流れ方向下流側に配設されており、冷却用熱交換器50の表面温度を検出するものである。
【0062】
フロントウインド温度センサ75は、フロントウインドガラスGの車室内面に配設されており、フロントウインドガラスGの車室内面の温度を検出するものである。フロントウインド近傍温度センサ76は、フロントウインドガラスGの車室内面から離れ、かつ、該内面近傍に配設されており、フロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度を検出するものである。フロントウインド近傍湿度センサ77は、フロントウインドガラスGの車室内面から離れ、かつ、該内面近傍に配設されており、フロントウインドガラスGの車室内面近傍の湿度を検出するものである。
【0063】
操作スイッチ78は、例えばインストルメントパネル等に配設されており、例えば、空調装置1のON/OFFの切替スイッチ、送風量を増減させる風量切替スイッチ、車室の温度を設定する温度設定スイッチ、内気循環、外気導入及び内外気混入モードを切り替える内外気切替スイッチ、オートエアコン制御とするか否かを選択するオートスイッチ、吹出方向を切り替える吹出モード切替スイッチ、デフロスタスイッチ等で構成されている。
【0064】
シフトレンジセンサ79は、車両に設けられている変速機(図示せず)のシフトレンジを検出するシフトレンジ検出手段であり、例えば周知のインヒビタスイッチ等で構成することができる。この車両の車室内には、変速機の操作レバーが配設されており、この操作レバーを乗員が操作することによって変速機のシフトレンジを自由に選択することができるようになっている。シフトレンジは、駐車時に選択されるパーキングレンジと、車両を後退させる際に選択される後退レンジと、エンジンの駆動力が車軸に対して非伝達状態になるニュートラルレンジと、一般走行用の走行レンジとを少なくとも含んでおり、車室内では、パーキングレンジ、後退レンジ、ニュートラルレンジ及び走行レンジの順でシフトポジションが並んでいる。従って、乗員が例えば走行レンジからパーキングレンジに変更する場合に操作レバーを動かすと、ニュートラルレンジと後退レンジとが一瞬選択されたようにシフトレンジセンサ79がシフトレンジを検出する。
【0065】
パーキングブレーキセンサ80は、車両に設けられているパーキングブレーキ(図示せず)の作動状態を検出するパーキングブレーキ検出手段であり、例えばパーキングブレーキが作動状態にあるときにON信号を出力する一方、パーキングブレーキが非作動状態(ブレーキ解除状態)にあるときにOFF信号を出力する周知のスイッチ等で構成することができる。
【0066】
また、車両には図示しないドアセンサも設けられている。ドアセンサは、車体に設けられており、車両の側部に設けられているフロントドア及びリヤドア(共に図示せず)の開閉状態を検出するドア開閉状態検出手段である。左側フロントドア、右側フロントドア、左側リヤドア及び右側リヤドアの各々について開状態にあるか、閉状態にあるかを検出することができるようになっており、開状態にあるときにONとなる一方、閉状態にあるときにOFFとなる周知のドアスイッチ等で構成することができる。フロントドア及びリヤドアは、前端部がヒンジを介して車体に支持されて回動するようになっている。尚、ドアはスライドドアであってもよいし、車両の後部に設けられるバックドアであってもよい。
【0067】
制御装置3は、図示しない中央演算処理装置や記憶装置等を備えたマイクロコンピュータで構成されており、記憶装置に予め記憶されている所定のプログラムに従って動作するように構成されている。すなわち、制御装置3は、上記センサ70〜77、79、80から出力される信号(出力値)と、操作スイッチ78の操作状態とに基づいて、内外気切替アクチュエータ24、エアミックスアクチュエータ52a、吹出方向切替アクチュエータ62及びファン駆動モーター26を制御する。
【0068】
具体的には、操作スイッチ78のオートスイッチによってオートエアコン制御が選択された場合には、車室外の温度、車室内の温度、日射量、エンジン冷却水温度、冷却用熱交換器50の表面温度、乗員による室内設定温度等に基づいて、車室内に供給する調和空気の目標吹出温度を決定するとともに、この目標吹出温度となるようにエアミックスドア52の開度を演算し、エアミックスドア52がこの開度となるようにエアミックスアクチュエータ52aを制御してエアミックスドア52を回動させる。これにより、調和空気の温度が目標吹出温度となる。
【0069】
また、制御装置3は、冷房時には吹出モードが主にベントモードとなるように吹出方向切替アクチュエータ62を制御し、暖房時には吹出モードが主にヒートモードとなるように吹出方向切替アクチュエータ62を制御する。また、冷房時や暖房時であっても弱めの場合には、バイレベルモードやデフベントモードとなるように吹出方向切替アクチュエータ62を制御する。さらに、操作スイッチ78が有するデフロスタスイッチがONにされると、吹出モードがデフロスタモードとなるように吹出方向切替アクチュエータ62を制御する。
【0070】
例えば冬季に長時間放置された車両で暖房を行う場合や、夏季で長時間放置された車両で冷房を行う場合には、目標吹出温度と内気温度との差が大きくなる。このような場合には、制御装置3は、風量が多くなるようにファン駆動モーター26を制御するが、乗員が風量切替スイッチを操作して好みの風量にすることもできるようになっている。また、オートエアコン制御では、目標吹出温度と内気温度との差が小さくなるにつれて風量が少なくなるようにファン駆動モーター26を制御する。ファン駆動モーター26の制御は印加電圧の変更によって行われるが、これに限られるものではなく、ファン駆動モーター26bの回転数を変更可能な方法であればよい。
【0071】
制御装置3によるファン駆動モーター26の制御及び吹出モードの切替制御によって乗員の上半身への送風量を検出することができる。すなわち、吹出モードがベントモードである場合には、主に乗員の上半身へ調和空気が送風されることになり、このベントモード時におけるファン駆動モーター26への印加電圧を検出することで乗員の上半身への送風量を検出することができる。また、ヒートモード時には、ベントモード時に比べて全体的に乗員の上半身への送風量が少なくなり、このことも制御装置3によって検出できる。
【0072】
また、制御装置3は、
図5に示すフローチャートの手順に従って内外気切替アクチュエータ24を制御する。この内外気切替アクチュエータ24の制御は、車両のイグニッションスイッチがONで、かつ、車両用空調装置1がONとされて制御装置3が暖房を行う必要があると判断した場合に、所定のタイミングで繰り返されている。尚、冷房時には、基本的には乗員が選択したモード(外気導入モードか内気循環モード)となるように内外気切替アクチュエータ24を制御する。
【0073】
スタート後のステップSA1では、各センサ70〜77、79、80の出力値を読み込むとともに、操作スイッチ78の操作状態を読み込む。ステップSA1に続くステップSA2では、露点温度を計算する。露点温度は、フロントウインド近傍温度センサ76から出力されるフロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度と、フロントウインド近傍湿度センサ77から出力されるフロントウインドガラスGの車室内面近傍の湿度とに基づいて得られる。
【0074】
ステップSA3では、目標露点温度を計算する。目標露点温度は、フロントウインド温度センサ75から出力されるフロントウインドガラスGの車室内面の温度よりも低い温度とする。例えば、フロントウインドガラスGの車室内面の温度が10℃の場合、それよりも2〜3℃程度低い温度を目標露点温度とする。上記露点温度及び目標露点温度は、周知の手法に従って得ることができる。
【0075】
ステップSA4ではインテーク制御を行う。具体的には、
図6に示すフローチャートに示すように、ステップSB1において、オート制御であるか否か、即ち、オートエアコン制御と乗員によるマニュアル操作とのいずれが選択されているかを判定する。オートエアコン制御であるか否かは、操作スイッチ78のうち、オートスイッチが押されているか否かで判定できる。ステップSB1においてNOと判定されてオートエアコン制御でなく、マニュアル操作が選択されている場合にはステップSB2に進み、インテークモードが外気導入モードであるか否かを判定する。尚、マニュアル操作では内外気混入モードを選択できないので、ステップSB2では、外気導入モードと内気循環モードとのうち、いずれのモードであるかを判定することになる。
【0076】
ステップSB2においてYESと判定されて外気導入モードにある場合には、乗員が外気導入モードを積極的に選択しているということであることからステップSB3に進み、内外気切替ダンパ20の目標開度を外気導入開度とする。外気導入開度は、外気導入口10aを全開にし、かつ、内気導入口10bを全閉にする開度であり、0%である。一方、ステップSB2において、NOと判定されて内気循環モードにある場合には、乗員が内気循環モードを積極的に選択しているということであることからステップSB4に進み、内外気切替ダンパ20の目標開度を内気循環開度とする。内気循環開度は、外気導入口10aを全閉にし、かつ、内気導入口10bを全開にする開度であり、100%である。
【0077】
上記ステップSB1においてYESと判定されてオートエアコン制御である場合にはステップSB5に進む。ステップSB5では、
図5に示すフローチャートのステップSA2で計算した露点温度が、ステップSA3で計算した目標露点温度となるように、内外気切替ダンパ20の目標開度(f)を計算する。例えば、露点温度が目標露点温度よりも高い場合には、外気導入量を増やすように内外気切替ダンパ20の目標開度(f)を計算し、露点温度が目標露点温度よりも低い場合には、内気循環量を増やすように内外気切替ダンパ20の目標開度(f)を計算する。露点温度が目標露点温度よりも高い場合に、その差が大きくなるほど、外気導入量を増やし、また、露点温度が目標露点温度よりも低い場合に、その差が大きくなるほど、内気循環量を増やす。つまり、制御装置3は、フロントウインドガラスGの曇り易さを検出し、基本的には、この検出結果に基づいてフロントウインドガラスGが曇り易い場合には外気導入量を増やす一方、フロントウインドガラスGが曇り難い場合には内気循環量を増やすように構成されている。このように、オートエアコン制御では、基本的に、フロントウインドガラスGの曇り易さに基づいて外気導入量及び内気循環量を変更する内外気混入モードが選択される。
【0078】
ステップSB5において内外気切替ダンパ20の目標開度(f)を計算した後、ステップSB6に進んでシフトレンジが上述した複数のレンジのうち、パーキングレンジ(P)または後退レンジ(R)にあるか否かを判定する。これはシフトレンジセンサ79の出力に基づいて行われる。ステップSB6でNOと判定された場合には、シフトレンジがパーキングレンジまたは後退レンジに無いということであることから、走行レンジにあって走行中であるか、信号待ち等の短時間の停車のためにニュートラルレンジにされている場合と考えられる。
【0079】
この場合は、ステップSB8に進み、ステップSB5において計算された内外気切替ダンパ20の目標開度(f)を出力する。そして、
図5に示すフローチャートのステップSA5では、ステップSB5において計算された内外気切替ダンパ20の目標開度(f)となるように、内外気切替アクチュエータ24の駆動処理を行う。具体的には、目標開度(f)となるまで内外気切替ダンパ20が回動するように内外気切替アクチュエータ24に制御信号を出力する。これにより、内外気切替ダンパ20が目標開度(f)となり、内気と外気とが同時に導入される。
【0080】
図6に示すフローチャートのステップSB6においてYESと判定されてシフトレンジがパーキングレンジまたは後退レンジにあることが検出された場合にはステップSB7に進む。シフトレンジがパーキングレンジにあるということは、これから長時間駐車することが考えられるので、以下のステップSB9で外気導入口開度増大制御を行う。また、シフトレンジが後退レンジにあることが検出されたということは、乗員が操作レバーを走行レンジからパーキングレンジに移動させる途中であることが考えられ、これから長時間駐車する可能性があるので、以下のステップSB9で外気導入口開度増大制御を行う。つまり、これから長時間駐車することが考えらえるシフトレンジを検出した場合にステップSB7に進む。
【0081】
ステップSB7では、パーキングブレーキが作動状態にあるか否かを判定する。これはパーキングブレーキセンサ80の出力に基づいて行われる。ステップSB7においてNOと判定された場合には、パーキングブレーキが非作動状態にあるということであり、これから長時間駐車しない可能性が高い。この場合には、ステップSB8に進む。一方、ステップSB7においてYESと判定された場合には、パーキングブレーキが作動状態にあるということであり、これから長時間駐車する可能性が高いので、以下のステップSB9で外気導入口開度増大制御を行う。
【0082】
ステップSB9では、内外気切替ダンパ20の目標開度を外気導入開度とする。そして、
図5に示すフローチャートのステップSA5において外気導入開度となるように、内外気切替アクチュエータ24の駆動処理を行う。これにより、内外気切替ダンパ20が外気導入モードとなる。
【0083】
つまり、ステップSB1において内外気混入モードが選択されているときに、ステップSB6において変速機がパーキングレンジにあることが検出された場合には、ステップSB9において変速機が走行レンジにあるときよりも、外気導入口10aの開度が大きく設定され、ステップSA5においてその開度となるように内外気切替アクチュエータ24を制御する外気導入口開度増大制御が行われる。
【0084】
また、ステップSB1において内外気混入モードが選択されているときに、ステップSB7においてパーキングブレーキが作動状態にあることが検出された場合には、ステップSB9においてパーキングブレーキが非作動状態にあるときよりも、外気導入口10aの開度が大きく設定され、ステップSA5においてその開度となるように内外気切替アクチュエータ24を制御する外気導入口開度増大制御が行われる。
【0085】
さらに、ステップSB1において内外気混入モードが選択されているときに、ステップSB6において変速機が後退レンジにあることが検出された場合には、ステップSB9において変速機が走行レンジにあるときよりも、外気導入口10aの開度が大きく設定され、ステップSA5においてその開度となるように内外気切替アクチュエータ24を制御する外気導入口開度増大制御が行われる。
【0086】
上述のようにしてエアミックスドア18の開度を決定する。また、吹出モード、風量(ファン駆動モーター26への印加電圧)も周知の制御手法に基づいて決定する。
【0087】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る車両用空調装置100によれば、送風ユニット1の送風ケーシング10に下部補助内気導入口31aを設け、下部補助内気導入口31aを可撓性部材からなるサブドア40により開閉可能にしているので、外気導入時には、送風ケーシング10内の負圧によってサブドア40が下部補助内気導入口31aを開くように撓み変形し、これにより、送風ケーシング10に内気も一部導入されて暖房効率の向上が図られる。特に、上下方向に延びる板状のサブドア40とし、その上端部を送風ケーシング10に取り付け、下端部を自由端としたので、外気導入時に送風ケーシング10内の負圧によってサブドア40の下端部が下部補助内気導入口31aを開く方向に容易に変位し、これにより、下部補助内気導入口31aを確実に開くことができる。
【0088】
また、内外気混入モードが選択されているときには、フロントウインドガラスGの曇り易さに基づいて外気導入量及び内気循環量が変更されるので、フロントウインドガラスGが曇らない範囲で内気循環量を高めることが可能になり、これにより換気量が減少して暖房に要するエネルギ消費量が少なくなる。
【0089】
また、
図6に示すように、ステップSB1でオート制御とされている場合には内外気混入モードが選択されており、このときに、ステップSB6で変速機がパーキングか後退レンジにあり、かつ、ステップSB7でパーキングブレーキが作動状態であることが検出されると、それ以外の場合よりも外気導入口10aの開度が大きく設定され、その設定された開度となるように内外気切替ダンパ20が作動する。従って、駐車時間が長いと考えられる場合に外気導入口10aの開度が大きくなるので、例えば内外気切替ダンパ20が雪や氷の固着によって動かなくなったとしても、その後の空調開始時に低湿度の外気導入量を多くすることが可能になるので、フロントウインドガラスGの曇りが早く晴れる。
【0090】
尚、ステップSB6の判定とステップSB7の判定とを入れ替えてよい。この場合、パーキングブレーキの作動状態を判定した後、シフトレンジを判定することになる。
【0091】
また、ステップSB6の判定を省略してもよい。この場合、シフトレンジがどのレンジにあるかに関わらずパーキングブレーキの作動状態を判定することになるが、パーキングブレーキが作動状態にあるということは長時間駐車する可能性が高いので、上述した作用効果を奏することができる。
【0092】
また、例えばステップSB6で後退レンジであることが検出された場合にステップSB7に進むことなく、ステップSB9に進んで外気導入口開度増大制御を行うようにしてよい。これにより、パーキングレンジにする前の段階から外気導入口10aの開度が大きくなる。よって、パーキングレンジにされた後、イグニッションスイッチが切られてしまうまでに、外気導入口10aの開度を大きく確保しておくことが可能になる。
【0093】
尚、外気導入口開度増大制御を行う際、外気導入口10aは全開にしなくてもよく、例えば10%以下の開度となるようにするのが好ましい。
【0094】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。