(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のポリエーテル(E)は、一般式(1)で表されるポリエーテルである。
一般式(1)におけるRは、水素原子又はメチル基である。不純物低減の観点から、水素原子であることが好ましい。本発明の一般式(1)におけるRは、水素原子又はメチル基以外の場合、アルデヒドの発生量が多くなり、pH低下などの問題が生じる。
【0009】
nはエチレンオキシ基の平均付加モル数を表し、4〜100,000の数である。なお、nは整数であるとは限らず、少数の場合もある。
nは、反応性の観点から好ましくは20〜1,000の数であり、更に好ましくは45〜300の数である。
【0010】
本発明の医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物は、カリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計がポリエーテル組成物の重量に基づいて30ppm未満である。カリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計は、経時安定性の観点から、好ましくは20ppm未満、更に好ましくは10ppm未満、特に好ましくは8ppm未満である。
【0011】
ナトリウムイオンの含量及びカリウムイオンの含量の測定方法は、ICP発光分析法による。
<ICP発光分析法によるポリエーテル中のナトリウムイオン及びカリウムイオン含量の測定方法>
ICP発光分析法には、ICP発光分析装置(VARIAN社製、Varian730−ES)を用いて分析した。超純水で1000倍に希釈した試料をICP発光分析装置で定量した。測定波長は、ナトリウムが589.592nmであり、カリウムが766.491nmであった。この時、ナトリウム及びカリウムを超純水で、50、100、200、500ppbに希釈したものを検量線として用いた。
【0012】
また本発明の医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物に含まれるアルデヒド含量は臭気、味及び安全性の観点から、ポリエーテル組成物の重量に基づいて好ましくは100ppm以下、更に好ましく10ppm以下、特に好ましく5ppm以下、最も好ましく1ppm以下である。
【0013】
アルデヒドの含有量は、フクシン亜硫酸試薬溶液を用いた発色法により下記測定条件で測定した値である。
(アルデヒド含量測定)
塩基性フクシン200mgを70〜90℃の湯120mlに溶かし、25℃になるまで放冷した後、無水亜硫酸ソーダ2gを水20mlに溶かした溶液及び塩酸2mlを加え、水を加えて200mlとする。使用前少なくとも25℃で1時間は放置し、これをフクシン亜硫酸試薬溶液とする。
測定試料約40gを精秤し、100mlメスフラスコに蒸留水(25℃)を加えて充分溶解する。この溶液1mlを共栓試験管に正確に採り、これにフクシン亜硫酸試薬溶液5mlを加え密栓混合し、30分間放置する。この溶液について波長562nmの吸光度測定を行う。別にホルマリン濃度既知の標準試料を同様の操作により発色させ検量線を作成し、この検量線より試料のアルデヒド含量を定量する。
【0014】
本発明における医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物とは、医薬品用又は化粧品用並びにそれらの添加剤として、安定化剤、界面活性剤、可塑剤、滑沢剤、基剤、結合剤、光沢化剤、コーティング剤、湿潤剤、乳化剤、粘着剤、粘着増強剤、賦形剤、粘稠剤、崩壊剤、溶剤及び溶解補助剤等が挙げられる。
【0015】
本発明のポリエーテル(E)の数平均分子量は反応性の観点から好ましくは200〜22,000であり、更に好ましくは400〜20,000である。
この測定法は、第16改正日本薬局方「マクロゴール」の平均分子量試験に準ずる。
【0016】
本発明の医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物は25℃で固体である場合、取り扱いの観点から、粉砕し、フレーク状、粉末状、顆粒状及びブロック状等の粉体にすることが好ましい。
【0017】
取り扱いの観点から、粒径500μm以下の粉体を好ましくは62重量%以下含有し、更に好ましくは60重量%以下含有する。粒径の測定は、JIS Z8815−1994に準拠して測定され、例えば、内径150mm、深さ45mmのふるい{目開き(μm):710、500、300、150及び106}を、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広い710μmのふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定することができる。
【0018】
本発明の医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物はいかなる方法で製造されてもよいが、通常、以下の方法等で製造することができる。アルカリ金属化合物(A)の存在下、メタノール又はグリコール(B)にエチレンオキサイドを反応温度90〜190℃で開環付加反応した後、130℃〜150℃において、6.7kPa以下の減圧条件で5時間、脱エチレンオキサイド工程を行い、粗ポリエーテルを得ることができる。
その後、pH調整を行うことで医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物を製造する方法等が例示できる。エチレンオキサイドの添加方法は特に限定されず、一度に全量を加えてもよいし、複数回に分割して添加してもよい。通常、開環付加反応における圧力は、安全性の観点から−0.1MPaG〜0.5MPaGであることが好ましい。
【0019】
アルカリ金属化合物(A)としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又はナトリウムメチラート等が挙げられる。これらは1種類でもよいし2種類以上を併用してもよい。開環付加反応を複数回に分けて行う場合は、反応ごとに異なる種類の化合物を使用してもよい。これらのうち、アルカリ金属化合物(A)としては、反応性の観点から水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムが好ましい。
【0020】
アルカリ金属化合物(A)の使用量は、反応性の観点からメタノール又はグリコール(B)1molに対して、好ましくは1〜100mmolであり、更に好ましくは1〜10mmolである。
【0021】
グリコール(B)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、これらのモノメチルエーテル及びこれらのエチレンオキサイド付加物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0022】
本発明におけるpH調整には、pH調整剤(C)を使用することができる。pH調整剤(C)としては、リン酸及び/又は有機酸(C1)等が挙げられる。
リン酸及び/又は有機酸(C1)としては、リン酸;有機カルボン酸[蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸等]が挙げられる。これらのうち、安定性の観点からリン酸、シュウ酸及びクエン酸が好ましい。
pH調整剤(C)は、前記の(C1)を水で希釈してもよく、10〜95重量%に希釈したものが好ましい。
【0023】
pH調整は、リン酸及び/又は有機酸(C1)を含有するpH調整剤(C)を加えて行い、中和後のポリエチレングリコール5重量%水溶液のpHが経時での安定性の観点から好ましくは5.5〜7.5であり、更に好ましくは6.5〜7.5である。pHはポリエチレングリコール5重量%水溶液を用いて測定したものである。
【0024】
本発明のポリエーテル組成物の製造方法は、二酸化炭素を含有する圧縮流体を、一般式(1)で表されるポリエーテル(E)に接触させて、ポリエーテル組成物中のカリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計をポリエーテル組成物の重量に基づいて30ppm未満に低減する工程を有する製造方法である。
カリウムイオンの含量とナトリウムイオンの含量の合計を30ppm未満に低減する工程には、精製の工程等がある。
【0025】
精製の工程は、pH調整をする前であっても、pH調整をした後であっても、さらにはミキサー粉砕した後であっても構わないが、精製の効率の観点からpH調整をした後、若しくはミキサー粉砕した後に行われることが好ましい。
また精製の方法はいかなる方法でも構わないが、二酸化炭素を含有する圧縮流体を用いて、カリウムイオン、ナトリウムイオン及びアルデヒド等を抽出する方法が好ましい。二酸化炭素を含有する圧縮流体を用いて抽出する方法では効率よく精製でき、またカリウムイオン、ナトリウムイオン及びアルデヒド以外に残存触媒や過酸化物等の不純物の除去もできる。
【0026】
二酸化炭素を含有する圧縮流体を用いた精製方法としては、二酸化炭素を含有する圧縮流体を、前記ポリエーテル(E)に接触させる方法であり、精製効率の観点から、ポリエーテルと圧縮流体とを混合する工程と、混合物から圧縮流体を分離除去する工程とを有する方法が好ましい。
【0027】
二酸化炭素を含有する圧縮流体を、前記ポリエーテル(E)に接触させる際に、圧縮流体中の二酸化炭素濃度及び圧縮流体の圧力は、抽出できるならいかなる濃度及び圧力であっても構わない。より効率的に抽出するために、二酸化炭素濃度はポリエーテルの重量に基づいて1重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上である。二酸化炭素濃度は1重量%以下では抽出効率が低くなる恐れがある。
また圧縮流体の圧力は1.0MPa〜100MPaが好ましく、より好ましくは3.0MPa〜50MPa、更に好ましくは5.0MPa〜30MPa、特に好ましくは7.0MPa〜20MPaである。圧力が1.0MPaより小さい場合、抽出効率が低くなる恐れがある。一方圧力が100MPaより大きい場合、設備上、大型化が困難になる恐れがある。
【0028】
また、圧縮流体の温度は0℃〜170℃が好ましい。より好ましくは10℃〜150℃、更に好ましくは20℃〜140℃、特に好ましくは30℃〜130℃である。温度が0℃より低い場合、抽出効率が悪くなる恐れがある。一方、温度が170℃より高い場合は、樹脂が分解する恐れがある。
【0029】
ポリエーテル(E)と、抽出物を含有した圧縮流体とを分離する工程では分離ができれば、いかなる方法であっても構わない。分離する方法としてはフィルターでろ過する方法等が挙げられる。
分離後、減圧して常圧に戻し、精製されたポリエーテル(E)を得ることができる。
【0030】
このような精製方法に用いる装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明における、ポリエーテル(E)の精製に用いた実験装置のフローチャートである。
ポリエーテル(E)と二酸化炭素を含有する圧縮流体の混合方法としては、まず、ポリエーテル(E)を加圧ろ過槽(T1)に仕込んだ後、圧縮流体をボンベB1からポンプP1を通じて、バルブV1を開くことにより加圧ろ過槽(T1)に導入し、圧縮流体が液状又は超臨界状態となる圧力及び温度となるよう調整し、混合物を得る。次いでトラップT2に通じるバルブV2を開くことにより大気圧まで減圧膨張させ、圧縮流体を気化させて除き、一方でフィルターF1にてポリエーテル(E)を捕捉することで精製されたポリエーテル(E)が得られる。
【0031】
本発明のポリエーテル組成物の製造方法は、ポリエーテル組成物の熱劣化がしにくい、及び臭気の発生が少ないという観点から、好ましくは医薬品用又は化粧品用のポリエーテル組成物の製造方法である。
【0032】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
<実施例1>
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール60g(0.6mol)、水酸化ナトリウム0.13g(3.3mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド1805.8g(40.9mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして240分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)を行い、710μmの篩で分級し、ポリエチレングリコール(1a)を得た。
【0034】
続いて、
図1の実験装置において、加圧ろ過槽T1に上記で得たポリエチレングリコール(1a)を250部仕込んで密閉した後、ボンベB1、ポンプP1、バルブV1より二酸化炭素を導入し、15MPa、40℃に調整してバルブV1を閉じた。15MPa、40℃を10分間維持した後、バルブV2を開いて圧力を大気圧まで減圧した。この間、抽出されたアルデヒド等を含む二酸化炭素をトラップ槽T2に排出すると共に、精製されたポリエチレングリコールをフィルターF1に捕捉し、これを710μmの篩で分級し、ポリエーテル(E−1)を得た。このとき、アルデヒド含有量は0.5ppmであり、またナトリウム含量は7ppm、カリウム含量は1ppmであり、粒径500μm以下の粉体は、60重量%であった。
【0035】
<実施例2>
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール60g(0.6mol)、水酸化カリウム0.19g(3.3mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド1805.8g(40.9mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして30分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)し、粉砕されたポリエチレングリコール(2a)を得た。
【0036】
続いて、実施例1においてポリエチレングリコール(1a)250部をポリエチレングリコール(2a)250部に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエーテル(E−2)を得た。このとき、アルデヒド含有量は0.5ppmであり、またナトリウム含量は2ppm、カリウム含量は5ppmであり、粒径500μm以下の粉体は、64重量%であった。
【0037】
<実施例3>
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール45g(0.4mol)、水酸化ナトリウム0.35g(6.2mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド3157.2g(71.6mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして240分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)を行い、710μmの篩で分級し、ポリエチレングリコール(3a)を得た。
【0038】
続いて、実施例1においてポリエチレングリコール(1a)250部をポリエチレングリコール(3a)250部に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエーテル(E−3)を得た。このとき、アルデヒド含有量は1.0ppmであり、またナトリウム含量は7ppm、カリウム含量は2ppmであり、粒径500μm以下の粉体は、61重量%であった。
【0039】
<実施例4>
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール60g(0.6mol)、水酸化カリウム0.19g(3.3mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド1953.6g(44.4mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして30分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)し、粉砕されたポリエチレングリコール(2a)を得た。
【0040】
続いて、実施例1においてポリエチレングリコール(1a)250部をポリエチレングリコール(2a)250部に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエーテル(E−2)を得た。このとき、アルデヒド含有量は0.5ppmであり、またナトリウム含量は5ppm、カリウム含量は3ppmであり、粒径500μm以下の粉体は、64重量%であった。
【0041】
<比較例1>
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール60(0.6mol)、水酸化ナトリウム0.13g(3.3mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド1805.8g(40.9mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして60分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)し、粉砕されたポリエーテル(H−1)を得た。このとき、アルデヒド含有量は250ppmであり、ナトリウム含量は35ppm、カリウム含量は8ppmでありまた粒径500μm以下の粉体は、56重量%であった。
【0042】
<比較例2>
撹拌機、加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器にジエチレングリコール45g(0.4mol)、水酸化ナトリウム0.35g(6.2mmol)を仕込み、窒素置換後、145℃に昇温し、そこにエチレンオキサイド3157.2g(71.6mol)を仕込み、160〜175℃に調整しながら開環付加反応させた。その後、140±5℃に冷却し、窒素を液中に0.045L/分で通気させ、6.7kPa以下で脱エチレンオキサイドを行った。6.7kPa以下にして240分後、窒素通気下で0.05MPaまで圧を戻し、0.05MPaの圧力を5分間保持した。80±5℃まで冷却後、圧力を常圧に戻し、90%のリン酸水溶液を0.21g加え、80±5℃で60分間撹拌し中和を行った。耐圧反応容器中のポリエチレングリコールを離型紙に流し入れ、室温で放置した。固化後、ミキサー粉砕(Panasonic社製、MX−X59、高速回転)し、粉砕されたポリエーテル(H−2)を得た。このとき、アルデヒド含有量は255ppmであり、ナトリウム含有量は33ppm、カリウム含量は9ppmであり、粒径500μm以下の粉体は、61重量%であった。
【0043】
<ポリエチレングリコールの熱劣化処理方法>
実施例1〜3、比較例1で作製したポリエチレングリコールをスターラーチップが入ったスクリュー管に20g入れて、70℃に温調したウォーターバス中で、大気存在下で回転速度250rpm、23時間撹拌を行い熱劣化したポリエチレングリコールを作製した。
【0044】
製造直後及び熱劣化させたポリエーテルの臭気及びpH測定し、その結果を表1に示す。
【0045】
<臭気評価>
試料を製造直後、70mLマヨネーズ瓶に30gを入れて密栓し、40℃で1時間静置した後の臭気男女各5名のパネラーが以下の基準で評価した。全10名の評点の平均値により、臭気の評価とする。数値が少ないほど臭気が少ないことを示す。
[評価基準]
0:ほとんど臭気なし
1:僅かに臭気あり
2:明らかに臭気あり
3:臭気が強い
4:非常に臭気が強い
【0046】
<pH測定>
pHはポリエーテル5重量%水溶液のpHを測定した。なお、ポリエチレングリコールの製造直後と熱劣化後においてポリエチレングリコール5重量%水溶液のpHの差が低いほど、製品安定性に優れていることを示す。