(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(第1実施形態の説明)
図1は、第1実施形態のインキュベータ格納装置の斜視図である。
図2は、第1実施形態のインキュベータ格納装置の吸排気系統を示す図である。
図3は、本実施形態のインキュベータ格納装置が設置された施設の室内の一例を示している。
【0016】
第1実施形態のインキュベータ格納装置100は、細胞等の生体試料を培養するためのインキュベータ101を格納できる格納室11を有し、かつ格納室11の排気機能を備えた棚状の装置である。
【0017】
図3に示すように、第1実施形態のインキュベータ格納装置100は、医薬品製造施設、食品工場、再生医療施設、研究施設等などの施設の室内102に配置されている。インキュベータ格納装置100が配置される室内102には、空調機107により空調された空気が吹出口103から供給される。また、室内102には、例えば、培地交換、継代、観察等の作業を作業者が行なうために、安全キャビネット105が配置される。なお、インキュベータ格納装置100が配置される室内102は、作業環境の一例である。
【0018】
また、インキュベータ格納装置100に格納されるインキュベータ101は、断熱材で覆われた恒温室を有しており、生体試料を収容した培養容器を内部に配置して生体試料の培養を行うことができる。インキュベータ101の正面には扉101aが設けられており、扉101aを開けることで作業者が恒温室に培養容器を出し入れすることが可能となる。なお、第1実施形態のインキュベータの扉101aは、インキュベータ101の正面右側を回転軸として開閉する右開きの扉である。
【0019】
また、インキュベータ101は、温度調節手段および湿度調節手段を有しており、恒温室の内部雰囲気は生体試料の培養に適した条件に維持される。例えば、生体試料が細胞の場合、恒温室の内部雰囲気は温度37℃、相対湿度95%に維持される。特に限定するものではないが、インキュベータ101は、内部の二酸化炭素濃度を調整可能なCO
2インキュベータであってもよい。
【0020】
一方、第1実施形態のインキュベータ格納装置100は、上下2段に配置された2つの格納室11を有している。各々の格納室11は、正面側に開口部が形成された直方体状の空間であって、この開口部から格納室11の内部にそれぞれインキュベータ101を格納できるようになっている。各々の格納室11の正面には、格納室の開口部を開閉する開閉扉12が設けられている。開閉扉12は、格納室11ごとに設けられており、それぞれ独立して開閉することができる。また、各々の開閉扉12には、後述の電気錠(22)のシリンダを受ける錠受け12aが設けられている。
【0021】
また、各々の格納室11の内部には、インキュベータの扉101aや開閉扉12が開放される側における格納室11の開閉扉12の外側近傍の空気(格納室近傍の空気とも称する)を、格納室内に配置されたインキュベータの扉101aから漏出する内部空気を同伴しながら作業環境の外(室外)に排気する局所排気路13がそれぞれ個別に設けられている。第1実施形態では、局所排気路13の吸込口はいずれも格納室の左側面に設けられている。2つの局所排気路13は下流側で接続されて合流し、後述の排気ユニット16に合流後の出口が接続されている。また、合流前の2つの局所排気路13には、各々の局所排気路13の送風量を個別に調節するために、分岐したそれぞれの局所排気路13に並列配置されるようにモータダンパMD1、MD2が設けられている。モータダンパMD1、MD2は、第1の風量調節装置の一例である。なお、合流後の局所排気路13には、局所排気路13で排気される空気の流圧を計測する共通の圧力計14が設けられている。なお、圧力計14は、作業環境と局所排気路13との差圧計であってもよい。
【0022】
ここで、第1実施形態のインキュベータ格納装置100について、一方の格納室に注目して説明すると、格納室11の開閉扉12が開放されたときにはその格納室11に対応するモータダンパは全開となる。これにより、開閉扉12が開放された格納室11では局所排気路13を介して、その格納室内に配置されたインキュベータの扉101aから漏出するインキュベータ101の内部空気を同伴しながら格納室近傍の空気が排気される。また、格納室11の開閉扉12が閉止されているときには、その格納室11に対応するモータダンパは全閉となる。これにより、開閉扉12が閉止されている格納室11では局所排気路13からの排気は停止される。なお、各々の格納室11での開閉扉12の開閉に応じて、モータダンパMD1、MD2はそれぞれ独立して動作する。
【0023】
また、インキュベータ格納装置100において、格納室11の背面(11a)側には、換気路の一例として背部換気路15が設けられている。背部換気路15は、インキュベータ格納装置100の格納室11の下側に位置する吸込口15aから上下2つの格納室11の背面(11a)側をカバーするように上方に向けて延在している。この背部換気路15は、インキュベータ格納装置100の筐体を利用して、筐体と格納室11とを区切ることでダクトを形成するようにすると有利である。この背部換気路15は、後述の排気ユニット16に出口が接続されている。
【0024】
また、インキュベータ格納装置100の上側には、排気ユニット16が設けられている。排気ユニット16は、背部換気路15の送風量を調整するモータダンパMD3を有している。モータダンパMD3は、第2の風量調節装置の一例である。なお、第1実施形態では、モータダンパMD1、MD2の開度の変化に拘わらず、モータダンパMD3は所定の開度で常時固定された状態となる。この常時固定された所定の開度は、格納室11の下側に位置する吸込口15aの、モータダンパMD1、MD2両方全閉時の吸込み風量と、モータダンパMD1、MD2どちらかの開放時の吸込み風量とを予め測定しながら調整され、どの場合でも吸込口15aからの吸い込み風量が確保されるように所定の開度が設定される。
【0025】
そして、排気ユニット16において、局所排気路13からの流路と、モータダンパMD3を経た背部換気路15からの流路とが合流し、この合流後の流路が屋外排気用の排気ダクト106に接続されている(
図1、
図2では排気ダクトの図示は省略している)。なお、排気ユニット16内には、排気ダクト106へ空気を送り出すファンが設けられていてもよい。また、背部換気路15は、排気ダクト106または排気ユニット16内に設けられたファンの吸気により、施設の室内(作業環境)102よりも負圧に保持される。
【0026】
ここで、室内102の安全キャビネット105に必要な給気、室自体の換気のために必要な給気は空調機107にて空調されて吹出口103から供給され、その一部はインキュベータ101のインキュベータ格納装置100への給気として吸引され排気ダクト106を介して排出される。この給気全体量と、排気ダクト106を介して排出される排気量が一致しているのが
図3の状態だが、通常はこの給気量と排気量とは一致せず、
図3には図示されずに
図13に示される排気口104から排気される室内102への給気量が有る場合が多い。
【0027】
また、
図4は、第1実施形態のインキュベータ格納装置の格納室部分の正面図である。
図5は、第1実施形態のインキュベータ格納装置の格納室部分の横断面図である。なお、第1実施形態のインキュベータ格納装置でのそれぞれの格納室の構成は同一または同様であるので、1つの格納室の構成を説明することで他の格納室に関する重複説明はいずれも省略する。
【0028】
格納室11の開閉扉12は、格納室11の開口部の右側部を回転軸として右開きとなるように回動する。閉止時の開閉扉12は、格納室11の正面と水平な位置にあり、格納室11の開口部全体を覆うことで、格納室11内に配置されたインキュベータの扉101aの開放操作を抑止する。一方、開閉扉12の開放時には、インキュベータの扉101aを自由に開くことが可能となる。
【0029】
また、各々の格納室の背面11aは、例えばグレーチングやパンチメタル等の部材で構成されている。そのため、格納室の背面11aにおいて、格納室11と背部換気路15との間ではある一定の通過圧力損失をもって空気の流れが生じる。開閉扉の閉止時には、吸込口15aから取り込んだ装置外部の空気(室内の空気)の流れが背部換気路15内を負圧にする。また、閉鎖されている2つの格納室内部にあるインキュベータ101へのケーブル、配管の格納室と外部との貫通部隙間など(格納室の通気箇所とも称する)から作業環境である室内の空気が入ってきて格納室の背面11aから背部換気路15へ少しずつ吸引される。そして、インキュベータの放熱で温度が上昇した格納室11の空気は、背部換気路15からインキュベータ格納装置100が配置される作業環境(102)の外に排気される。これにより、背部換気路15を流れる空気流れによりインキュベータ格納装置100内部を負圧にし、作業環境内の空気吸引によりインキュベータ101を空冷することができる。なお、格納室の背面11aの開口率は、格納室の背面11aの格納室11から背部換気路15への極微量の空気量での吸い込みによる圧力損失が、局所排気路13のモータダンパMD1またはMD2全開時での風量における吸い込みによる圧力損失よりも小さくなるように決定される。
【0030】
また、格納室11の開口部には、リミットスイッチ21と、電気錠22とが設けられている。また、インキュベータ格納装置100には、個々の格納室に対応するインジケータ23が設けられている。
【0031】
リミットスイッチ21は、開閉扉12の開閉状態を検知する検知部の一例である。リミットスイッチ21は、アクチュエータ内部のバネ機構に開閉扉12のヒンジの閉止側への付勢力を伝えることで可動接点を動かし、開閉扉12の閉止時には開閉扉12に押圧されてオンとなり、開閉扉12の開放時には押圧が解除されてオフとなる。開閉扉12のヒンジの構成としては、グラビティーヒンジを用いて閉止側に付勢力を付与してもよく、落とし込み機構を備えたクリックヒンジやストッパーヒンジを用いて閉止側へ付勢力を付与してもよい。
【0032】
電気錠22は、リミットスイッチ21の押圧状態に基づく電気信号の入力に応じて、例えば電磁石と電磁体との反発吸引力でシリンダを移動させることで、シリンダが突出した閉状態とシリンダが収納された開状態とを切り替える。また、電気錠22は、格納室11の開口部正面に固定されており、電気錠22のシリンダは、閉止時の開閉扉の錠受け12aと係合する。したがって、開閉扉12の閉止時に電気錠22が閉状態になると、電気錠22のシリンダが錠受け12aと係合することで開閉扉12が施錠される。
【0033】
なお、第1実施形態において、2つの格納室11の電気錠22は、他の格納室11のリミットスイッチ21によって他の格納室の開閉扉12が開放状態であることを検知したときにそれぞれ閉状態となる。したがって、インキュベータ格納装置100において、一方の格納室11の開閉扉12が開放状態にあるときには、他方の格納室11の開閉扉12は電気錠22により施錠される制御が行われる。
【0034】
また、インジケータ23は、通知部の一例であって、例えばランプ等を点灯/消灯させることで情報を通知する表示装置である。このインジケータ23は、格納室11の開閉扉12を開放したときに、局所排気路13の排気が機能している状態にあるか(換言すれば、格納室11に配置されたインキュベータの扉101aが開放可能な状態であるか)否かを示す通知を行う。なお、インジケータ23は、液晶ディスプレイ等の表示装置であってもよい。
【0035】
また、
図6は、第1実施形態におけるモータダンパの開閉制御を行う回路の例を示す図である。
図6の例では、2つの格納室のうち一方の格納室(図中上側の格納室)に対応する回路を示し、他方の格納室(図中下側の格納室)に対応する回路は同一または同様であるため重複説明を省略する。
【0036】
図6に示す回路は、リミットスイッチ21と、第1スイッチ25と、第2スイッチ26とを含む。
図6において、リミットスイッチ21は、開閉扉12が閉止時に「0」となり、開閉扉12が開放時に「1」となるように出力が切り替わる。
【0037】
リレー、あるいは電磁接触器である第1スイッチ25および第2スイッチ26は、それぞれノーマルオープン接点のスイッチであり、いずれもモータダンパMD1に出力が接続されている。第1スイッチ25は、リミットスイッチ21が「0」のときにリミットスイッチ21からの計装電気信号が通電されて電磁的にオンとなり、リミットスイッチ21が「1」のときにリミットスイッチ21からの計装電気回路が開放されて通電が無くなり電磁的にオフとなる。そして、第1スイッチ25は、オンのときにモータダンパMD1に全閉を指示する電気信号CLS1を出力する。また、第2スイッチ26は、リミットスイッチ21が「1」のときにオンとなり、リミットスイッチ21が「0」のときにオフとなる。そして、第2スイッチ26は、オンのときにモータダンパMD1に全開を指示する電気信号OPN1を出力する。
【0038】
これにより、開閉扉12の閉止時にはモータダンパMD1に電気信号CLS1が出力され、開閉扉12の開放時にはモータダンパMD1に電気信号OPN1が出力される。
【0039】
以下、本実施形態のインキュベータ格納装置の作用効果を説明する。なお、以下の説明は、2つの格納室のうち一方の格納室(図中上側の格納室)を開閉する例であり、他方の格納室(図中下側の格納室)の開閉扉は常時閉止されているものとする。なお、他方の格納室を開閉する場合の作用効果も同一または同様であることはいうまでもない。
【0040】
図7は、開閉扉12の閉止時における格納室11の空気の流れを示す。
図8は、開閉扉12の開放時における格納室11の空気の流れを示す。
図7、
図8の例では、2つの格納室のうち一方の格納室の構成を示すが、他方の格納室の構成は同一または同様であるため重複説明を省略する。
【0041】
また、
図9は、第1実施形態で開閉扉12を開閉したときの背部換気路15および局所排気路13の排気状態の一例を示す図である。
図9の縦軸は単位時間当たりの排気量Q(m
3/h)を示し、
図9の横軸は時間(t)を示す。また、
図9において、背部換気路15の排気量の変化は破線で示し、局所排気路13の排気量の変化は実線で示す。
【0042】
まず、
図7に示すように、開閉扉12の閉止時には格納室11の開口部が開閉扉12で覆われるので、格納室11の開口部から格納室11への空気の流出入は生じない。しかし、閉鎖されている2つの格納室内部にあるインキュベータ101へのケーブル、配管の格納室と外部との貫通部隙間などからわずかに室内の空気が流入できる状態ではある。また、開閉扉12の閉止時には、開閉扉12によってインキュベータの扉101aの開放が抑止される。インキュベータの扉101aを開ける前に開閉扉12を開ける手順があることで、作業者が扉を開けるべきインキュベータか否かを確認する機会が生じ、開けるべきではないインキュベータの扉を誤って開けてしまう等の人為的なミスは起こりにくくなる。
【0043】
また、開閉扉12の閉止時には、リミットスイッチ21がオンの状態にあってモータダンパMD1が全閉となるので、局所排気路13から室外への排気は停止される。このとき、背部換気路15は、施設の室内102よりも負圧に保持されているため、施設の室内102の空気が吸込口15aから背部換気路15に流入する(
図9(a))。
【0044】
格納室11と背部換気路15との間では格納室の背面11aを介して空気の流れが生じるので、開閉扉の閉止時には、吸込口15aから取り込んだ装置外部の空気(室内の空気)の流れが背部換気路15内を負圧にし、閉鎖されている2つの格納室内部にあるインキュベータ101へのケーブル、配管の格納室と外部との貫通部隙間など(格納室の通気箇所から作業環境である室内の空気が入ってきて格納室の背面11aから背部換気路15へ少しずつ吸引される。これにより、室内の空気が格納室11に導入される一方で、インキュベータの放熱で温度が上昇した空気は、背部換気路15および排気ユニット16を経て排気ダクト106に排出される。したがって、インキュベータ101の放熱はインキュベータ格納装置100によって作業環境外に排出されるので、インキュベータ101の発熱負荷で室内の温度が上昇するおそれが低減する。第1実施形態によれば、インキュベータ101の配置された室内の空調について、排気口104で室外へ排出される排気の一部がインキュベータ格納装置100によってインキュベータ101由来の発熱と共に排出され、インキュベータ101の発熱負荷を考慮せずに通常の室内空調に要求される熱量の負荷のみを考慮すれば足りるようになるので、従来と比べて空調機107で室内に供給する冷却熱量を抑制することが容易となる。
【0045】
一方、開閉扉12を開いたときには、作業者はインキュベータの扉101aを開くことが可能となる。なお、一方の格納室11の開閉扉12を開いたときには、上記のように、他方の格納室11の開閉扉12は電気錠22により施錠される制御が行われる。
【0046】
そして、開閉扉12を開いたときには、リミットスイッチ21がオフの状態となることで、モータダンパMD1が全開となり、局所排気路13の吸込口から空気の吸い込みが開始される(
図9(b))。格納室の背面11aの格納室11から背部換気路15への極微量の空気量での吸い込みによる圧力損失は、局所排気路13のモータダンパMD1またはMD2全開時での風量における吸い込みによる圧力損失よりも小さくなるように設定されるため、開閉扉12を開放すると、局所排気路13から例えばグレーチングやパンチングメタル等の部材を通じて最低限の排気量に減少するものの閉止時と同じ向きに排気され、背部換気路15の排気量は開閉扉12の閉止時よりも小さくなる。これにより、局所排気路13の吸込口からの吸引風量は確保される。このため、扉101aや開閉扉12が開放される側における格納室11の開閉扉12の外側近傍の空気(格納室11の開口近傍の空気)は、その格納室内に配置されるインキュベータ101の扉101aから漏出する内部空気を同伴しながら、局所排気路13の吸込口から吸い込まれて排気ダクト106へ排出されることとなる。
【0047】
また、局所排気路13から排気される空気の流量は、局所排気路13のダクトとしての寸法が固定であることから動圧(全圧)を何らかの度合いで検知できれば風量換算できるので、簡便安価に圧力計14により計測される。そして、局所排気路13の空気の動圧が閾値以上で局所排気路13の排気が機能しているときには、インキュベータの扉101aが開放可能な状態である旨の通知をインジケータ23が行う。一例として、局所排気路13の排気量が設定された下限排気量を超える時点で、インジケータ23によりインキュベータの扉101aが開放可能な状態である旨が通知される(
図9(c))。かかるインジケータ23の通知により、作業者は局所排気路13の排気が機能しているか否かを把握できる。例えば、モータダンパMD1を全開にした直後で局所排気路13の排気が不十分であるときには、作業者がインキュベータの扉101aを開けないようにすることで、インキュベータ内の汚染物質が作業環境に放出されるおそれが抑制される。
【0048】
その後、開閉扉12を開いて一定時間が経過すると、局所排気路13と背部換気路15の排気量が安定した定常状態となる(
図9(d))。例えば、この定常状態の期間において、作業者はインキュベータの扉101aを開いて、インキュベータ101の内部に培養容器を出し入れすることが可能となる。
【0049】
図8に示すように、インキュベータの扉101aの開放状態では、インキュベータの内部雰囲気を含む空気は、開閉扉12の外側近傍の空気や格納室11の開口近傍の空気に同伴されながら、局所排気路13の入口から吸い込まれて排気ダクト106に排出される。これにより、インキュベータ内の汚染物質が作業環境に放出されるおそれが大幅に低下する。このように、第1実施形態によれば、インキュベータ101の内部雰囲気が作業環境に放出されなくなるので、インキュベータ101の周囲でコンタミネーションが拡散するおそれが抑制される。
【0050】
そして、作業者がインキュベータの扉101aを閉めた上で、格納室11の開閉扉12を閉めると、リミットスイッチ21がオンの状態となることで、モータダンパMD1が全閉となる。これにより、局所排気路13の吸込口からの空気の吸い込みが停止し、背部換気路15の排気量は開閉扉12の閉止時の状態に戻る(
図9(e))。
【0051】
(第2実施形態の説明)
次に、第2実施形態のインキュベータ格納装置を説明する。第2実施形態は、第1実施形態の変形例であって、モータダンパMD1,MD2の開動作に応じてモータダンパMD3を閉動作し、モータダンパMD1,MD2の閉動作に応じてモータダンパMD3を開動作する点で相違する。なお、第2実施形態におけるインキュベータ格納装置の構成は、第1実施形態と同一または同様であるので重複説明を省略する。
【0052】
図10は、第2実施形態におけるモータダンパの開閉制御を行う回路の例を示す図である。なお、簡単のため、第2実施形態の回路の説明では、モータダンパMD1とモータダンパMD3に対応する回路を示し、モータダンパMD2を制御する回路は省略している。
【0053】
図10に示す回路は、
図6の回路に、第3スイッチ27と、第4スイッチ28とがさらに付加されている。リレー、あるいは電磁接触器である第3スイッチ27および第4スイッチ28は、それぞれノーマルオープン接点のスイッチであり、いずれもモータダンパMD3に出力が接続されている。第3スイッチ27は、リミットスイッチ21が「1」のときにリミットスイッチからの計装電気信号が通電されて電磁的にオンとなり、リミットスイッチ21が「0」のときにリミットスイッチからの計装電気回路が開放されて通電が無くなり電磁的にオフとなる。そして、第3スイッチ27は、オンのときにモータダンパMD3に全閉を指示する電気信号CLS1を出力する。また、第4スイッチ28は、リミットスイッチ21が「0」のときにオンとなり、リミットスイッチ21が「1」のときにオフとなる。そして、第4スイッチ28は、オンのときにモータダンパMD3に全開を指示する電気信号OPN1を出力する。
【0054】
これにより、開閉扉12の閉止時にはモータダンパMD1に電気信号CLS1が出力され、モータダンパMD3に電気信号OPN1が出力される。また、開閉扉12の開放時にはモータダンパMD1に電気信号OPN1が出力され、モータダンパMD3に電気信号CLS1が出力される。つまり、第2実施形態では、開閉扉12の開放時には、背部換気路15の送風量を開閉扉12の閉止時よりも低下させるようにモータダンパMD3が制御される。
【0055】
図11は、第2実施形態で開閉扉12を開閉したときの背部換気路15および局所排気路13の排気状態の一例を示す図である。
図11の記載は、
図9に対応するので重複説明を省略する。
【0056】
第2実施形態での開閉扉12の開放時には、モータダンパMD1が全開となり、モータダンパMD3が全閉となる。そのため、開閉扉12を開いてから一定時間が経過した定常状態において、背部換気路15の排気量はゼロとなるが、局所排気路13の排気量は開閉扉12を閉じているときの背部換気路15の排気量と同じになる。その他は、
図9の例と同様である。
【0057】
図10、
図11に示した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果に加え、開閉扉12の開放時に局所排気路13からの排気量を第1実施形態よりも大きくすることができるので、インキュベータ内の汚染物質が作業環境に放出されるおそれを第1実施形態の場合よりも低くできる。
【0058】
また、
図12は、第2実施形態におけるモータダンパの開閉制御を行う回路の別例を示す図である。この別例では、モータダンパMD1およびモータダンパMD3の開閉角度が設定された角度(最小開度A、最大開度B)である点で
図10、
図11の例と相違する。
【0059】
図12に示す回路は、リミットスイッチ21と、第1スイッチ25と、第2スイッチ26と、第3スイッチ27と、第4スイッチ28と、4つのタイマTM1−TM4とを含む。
【0060】
図12に示す回路では、第1スイッチ25は、予め設定された最小開度A(0°<A<45°)を指示する電気信号CLS2を、オンのときに出力する。タイマTM1は、第1スイッチ25からの電気信号CLS2を受け、モータダンパMD1の閉動作の時間を調整することで、第1スイッチ25がオンのときにモータダンパMD1を最小開度Aにする。
【0061】
また、第2スイッチ26は、予め設定された最大開度B(45°<B<90°)を指示する電気信号OPN2を、オンのときに出力する。タイマTM2は、第2スイッチ26からの電気信号OPN2を受け、モータダンパMD1の開動作の時間を調整することで、第2スイッチ26がオンのときにモータダンパMD1を最大開度Bにする。
【0062】
また、第3スイッチ27は、予め設定された最小開度Aを指示する電気信号CLS2を、オンのときに出力する。タイマTM3は、第3スイッチ27からの電気信号CLS2を受け、モータダンパMD3の閉動作の時間を調整することで、第3スイッチ27がオンのときにモータダンパMD3を最小開度Aにする。
【0063】
また、第4スイッチ28は、予め設定された最大開度Bを指示する電気信号OPN2を、オンのときに出力する。タイマTM4は、第4スイッチ28からの電気信号OPN2を受け、モータダンパMD3の開動作の時間を調整することで、第4スイッチ28がオンのときにモータダンパMD3を最大開度Bにする。
【0064】
これにより、開閉扉12の閉止時にはモータダンパMD1が最小開度Aとなり、モータダンパMD3が最大開度Bとなる。また、開閉扉12の開放時にはモータダンパMD1が最大開度Bとなり、モータダンパMD3が最小開度Aとなる。したがって、
図12の例でも、開閉扉12の開放時には、背部換気路15の送風量を開閉扉12の閉止時よりも低下させるようにモータダンパMD3が制御される。
図12の例においても、
図10、
図11の例と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
(実施形態の補足事項)
(1)インキュベータ格納装置100の格納室11の数および配置は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、格納室11は単数であってもよく、3以上の格納室11を有していてもよい。また、格納室11は左右に並列して配置されていてもよい。
【0066】
(2)インキュベータ格納装置100の局所排気路13の吸込口は、格納室11の左側部に限定されるものではない。例えば、局所排気路13の吸込口を格納室11の上部や下部に配置してもよい。また、インキュベータの扉が左開きのときには、局所排気路13の吸込口を格納室11の右側部に配置してもよい。
【0067】
(3)上記実施形態では、局所排気路13の空気の流圧が閾値以上のときに、インキュベータの扉101aが開放可能な状態である旨をインジケータ23が通知する。しかし、局所排気路13の空気の流速を計測し、流速が閾値以上のときにインキュベータの扉101aが開放可能な状態である旨をインジケータ23が通知するようにしてもよい。
【0068】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および同等物に拠ることも可能である。