(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。以下、共通点の多い別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」又は「上側、下側」と付し、符号の末尾に「(A)、(B)」と付すことで区別し、総称するときはこれらを省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態の折戸装置10が用いられる屋外構造物12を示す斜視図である。
屋外構造物12は、ガーデンルーム等のような、外部空間から区画された内部空間を屋外に形成するためのものである。屋外構造物12は、複数の支柱14と、複数の支柱14により支持される屋根16と、屋根16の下方に配置される折戸装置10とを備える。折戸装置10は、複数の折戸22(後述する)が閉位置にあるとき、外部空間から区画された内部空間を形成する。
【0012】
図2は、折戸装置10を上下方向に沿って切断した断面図である。
折戸装置10は、主に、上下の枠20と、折戸22と、第1開き止め体24と、第2開き止め体26とを備える。折戸22は、上下の枠20間に収められ、上下の枠20間を開閉可能である。第1開き止め体24及び第2開き止め体26は、折戸22を折り畳み状態に保持するためのものである。本実施形態の折戸装置10は、第1開き止め体24及び第2開き止め体26に主な特徴の一つがあるが、先に周辺構造から説明する。
【0013】
(枠20)
枠20には上枠20(A)と下枠20(B)とが含まれる。本実施形態の上枠20(A)は、折戸22をガイドするとともに折戸22を支持する支持枠20(A)として機能する。本実施形態の下枠20(B)は、折戸22をガイドするが折戸22を支持しないガイド枠20(B)として機能する。上枠20(A)及び下枠20(B)は、折戸22の見込方向X(後述する)に対向する一対の壁部20bを含む溝状断面の本体部20aと、一対の壁部20bの開口側端部から見込方向Xの内側に突き出る一対のガイド壁部20cとを有する。
【0014】
図3は、枠20の一部を示す平面図である。本図では下枠20(B)のみ示す。
上下の枠20には、複数の折戸22がスライド可能なスライド経路28が設けられる。スライド経路28には、第1区間28aと、第2区間28bと、コーナー区間28cとが含まれる。第1区間28aは、矩形の四辺のうちの対辺の関係にある二つの第1辺に対応する位置に直線状に設けられる。第2区間28bは、矩形の四辺のうちの二つの第1辺と隣辺の関係にある第2辺に対応する位置に直線状に設けられる。コーナー区間28cは、隣り合う第1区間28aと第2区間28bとを繋ぐ曲り角として設けられる。上下の枠20のそれぞれは複数の枠部材を枠組みして構成され、スライド経路28の各区間28a〜28cは個別の枠部材に形成される。上下の枠20間には、スライド経路28の第1区間28aや第2区間28bに複数の折戸22が配置され、コーナー区間28cにスライド経路28に沿ってスライド可能なコーナー縦枠(不図示)が配置される。また、上下の枠20間には、スライド経路28の末端位置にフィックスパネル30が固定された状態で収められる。
【0015】
(折戸22)
図4は、伸長状態にある折戸22の平面図である。
本明細書では見込方向X、見付方向Yということがある。本明細書での見込方向X及び見付方向Yは、折戸22が伸長状態にあるとき、折戸22を正面から見たときの奥行方向及び水平方向をいう。本実施形態では見込方向Xの一方側が室外側Outとなり、見込方向Xの他方側が室内側Inとなる。
【0016】
折戸22は、一対の戸体32を有する。
図2、
図4に示すように、戸体32は、透光性をもつガラスパネル等の矩形状のパネル体34と、パネル体34の四周を囲むように設けられる框36とを備える。框36には、戸体32の上下方向両側の上横框36a及び下横框36bと、戸体32の見付方向Y両側の二つの縦框36c、36dとが含まれる。二つの縦框36c、36dには、戸体32の戸先側端部32a(後述する)を構成する戸先側縦框36cと、戸体32の戸尻側端部32b(後述する)を構成する戸尻側縦框36dとが含まれる。
【0017】
一対の戸体32は、互いの戸先側端部32aがヒンジ機構38を介して回動可能に連結される。一対の戸体32は、上下の枠20に対して回動軸40を介してそれぞれの戸尻側端部32bが連結される。回動軸40には、戸体32の戸尻側縦框36dの上端部から上方に突き出る上側回動軸40(A)と、戸尻側縦框36dの下端部から下方に突き出る下側回動軸40(B)とが含まれる。各回動軸40は、上枠20(A)や下枠20(B)の一対のガイド壁部20c間に配置される。回動軸40の先端部にはスライダ42が取り付けられる。本実施形態のスライダ42はローラである。スライダ42は一対のガイド壁部20cの裏側に配置され、支持枠20(A)に対して案内される。一対の戸体32は、支持枠20(A)のガイド壁部20c上にスライダ42を載せることで、支持枠20(A)に対して上側回動軸40(A)を介して支持される。本実施形態の折戸22は、上下の枠20に対して回動軸40やスライダ42を介して一対の戸体32のそれぞれがスライド可能である。
【0018】
図5は、折り畳み状態にある折戸22の平面図である。
図4、
図5に示すように、折戸22は、一対の戸体32のそれぞれが回動軸40周りの両側に回動することで、一対の戸体32の折り畳み動作及び伸長動作を伴い上下の枠20間を開閉可能である。詳しくは、折戸22は、一対の戸体32のそれぞれが回動軸40周りの一方側Pa1に回動することで、一対の戸体32の折り畳み動作を伴い上下の枠20間を開く。また、折戸22は、一対の戸体32のそれぞれが回動軸40周りの他方側Pa2に回動することで、一対の戸体32の伸長動作を伴い上下の枠20間を閉じる。以下、一対の戸体32のそれぞれの回動軸40周りの回動方向に関して、上下の枠20間を開くときの一方側Pa1の回動方向を開方向Pa1とし、上下の枠20間を閉じるときの他方側Pa2の回動方向を閉方向Pa2とする。
【0019】
(第1開き止め体24)
図6は、
図2の一部の拡大図である。
図7は、
図4の一部の拡大図である。
図6は、
図7のA−A線断面図でもある。
第1開き止め体24は、戸体32の見込方向Xの室外側Out寄りの位置で戸体32と上下に対向する位置に上枠20(A)に設けられる。本実施形態の第1開き止め体24は上枠20(A)とは別体に構成される。
【0020】
第1開き止め体24は、第1摩擦保持部24aと、第1ガイド面24bとを有する。第1開き止め体24は、各部位が一体成形された押出成形品(一体成形品)である。第1開き止め体24は、ゴムのような弾性的な潰れ変形をしない程度の硬質材を素材としている。この硬質材は、本実施形態ではアルミニウムであるが、他の金属や樹脂等でもよい。第1開き止め体24は、図示しないが、複数の折戸22に対して見付方向Yに跨がる範囲で設けられる。第1開き止め体24は、一つの折戸22の一対の戸体32に対して見付方向Yに跨がる範囲で設けられるともいえる。
【0021】
第1摩擦保持部24aの表面は、上側回動軸40(A)の中心軸線CLと直交するとともに見付方向Yに沿って延びるように平坦に形成される。本明細書での「直交」には、幾何学的に完全に直交する場合と、ほぼ直交する場合との両方が含まれる。第1ガイド面24bは、第1摩擦保持部24aの見込方向Xの室外側の端縁部24cから室外側に向かうにつれて、戸体32から離れるように傾斜する平坦面により形成される。第1摩擦保持部24aは板状をなし、その表面とは上下反対側の裏面からは支持枠20(A)に近づく側に向かって延び出る二つの延出部24dが設けられる。二つの延出部24dの先端部には見込方向Xに突き出る爪部24eが形成される。本実施形態の爪部24eは支持枠20(A)の長手方向に沿って延びる突条である。
【0022】
支持枠20(A)には、折戸22と上下に対向する位置に見込方向Xに間隔を空けて二つの突出壁部20dが形成される。二つの突出壁部20dには見込方向Xに臨む位置に支持枠20(A)の長手方向に沿って延びる溝部20eが形成される。第1開き止め体24は、支持枠20(A)の溝部20e内に爪部24eが配置され、支持枠20(A)の溝部20eに爪部24eが係合されることで、支持枠20(A)に対する位置が保持される。支持枠20(A)は、支持枠20(A)の長手方向の一方側に向かって開放する開口端(不図示)を有する。第1開き止め体24の爪部24eは、支持枠20(A)の開口端から支持枠20(A)の長手方向の他方側に向かって溝部20e内に差し込むことで、支持枠20(A)の溝部20e内に配置される。
【0023】
(第2開き止め体26)
第2開き止め体26は、第1開き止め体24に対して戸体32の見込方向Xの室内側In寄りの位置であって、戸体32の戸尻側寄りの位置にて支持枠20(A)と上下に対向する位置に設けられる。本実施形態の第2開き止め体26は、戸体32の上横框36aとは別体に構成される。第2開き止め体26は、一対の戸体32のそれぞれに設けられる(
図4参照)。
【0024】
第2開き止め体26は、第2摩擦保持部26aと、第2ガイド面26bと、第3ガイド面26cと、取付部26dとを有する。第2開き止め体26は、各部位が一体成形された押出成形品(一体成形品)である。第2開き止め体26は、ゴムのような弾性的な潰れ変形をしない程度の硬質材を素材としている。この硬質材は、本実施形態では6−ナイロンであるが、他の樹脂や金属等でもよい。
【0025】
第2摩擦保持部26aの表面は、上側回動軸40(A)の中心軸線CLと直交するように平坦に形成される。第2摩擦保持部26aの表面は、室外側Outに臨む室外側端縁部26eが曲線形の線状をなしており、その室外側端縁部26eを介して第2ガイド面26bに連ねられている。また、第2摩擦保持部26aの表面は、室内側Inに臨む室内側端縁部26fが直線形の線状をなしており、その室内側端縁部26fを介して第3ガイド面26cに連ねられている。
【0026】
第2ガイド面26bは、第2摩擦保持部26aの表面に対して室外側Outに設けられる。第2ガイド面26bは、上側回動軸40(A)の中心軸線CLと直交する面に対して傾斜している。第2ガイド面26bは、第2摩擦保持部26aの室外側端縁部26eから室外側及び戸先側(
図7の紙面の下側)に向かうにつれて、戸体32に近づくような截頭円錐状の曲面により形成される。第2ガイド面26bは、上側回動軸40(A)の軸線方向Cでの位置に関して、第1開き止め体24の第1ガイド面24bと少なくとも一部が重なるように設けられる。
【0027】
第3ガイド面26cは、第2摩擦保持部26aの表面に対して室内側Inに配置される。第3ガイド面26cは、上側回動軸40(A)の中心軸線CLと直交する面に対して傾斜している。第3ガイド面26cは、第2摩擦保持部26aの室内側端縁部26fから室内側Inに向かうにつれて、戸体32に近づくような平坦面により形成される。
【0028】
取付部26dは板状をなし、第2摩擦保持部26aの表面に対して室内側Inに配置される。第2開き止め体26は、ビス等の締結具44によって、戸体32の上横框36aの外壁部と自らの取付部26dとを共締めすることにより、戸体32に取り付けられる。
【0029】
第2開き止め体26には、第2摩擦保持部26aの裏面側に凹部26gが形成される。第2開き止め体26は、凹部26gを挟んで見込方向Xの両側部分が戸体32と接触している。凹部26gは、後述のように、第2摩擦保持部26aを含む部位の弾性的な撓み変形を許容するために設けられる。
【0030】
以上の第1開き止め体24及び第2開き止め体26の動作を説明する。
図8は、折戸22の一部を模式的に示す平面図である。本図では、第1開き止め体24の第1摩擦保持部24a、第1ガイド面24bを破線で示す。
【0031】
図8(a)に示すように、折戸22が伸長状態にあるとき、第1開き止め体24と第2開き止め体26とは離れた位置に配置される。この状態から、一対の戸体32を開方向Pa1に回動させることで折戸22を開く場合を考える。この場合、
図8(b)に示すように、第2開き止め体26の第2ガイド面26bは、第1開き止め体24の第1ガイド面24bに対して接触し、戸体32の回動量の増大に伴い、第1ガイド面24bに対して摺動する。
【0032】
図9は、第2開き止め体26が第1開き止め体24を摺動するときの途中状態を模式的に示す図である。
図9(a)では、第2開き止め体26の第2ガイド面26bが第1開き止め体24の第1ガイド面24bに対して接触し始めた時点を示す。この時点から、戸体32とともに第2開き止め体26が開方向Pa1に回動すると、第2開き止め体26の第2ガイド面26bが第1ガイド面24bに対して摺動する。これにより、
図9(b)に示すように、第2開き止め体26の第2摩擦保持部26aを含む部位を支持枠20(A)から上下に離れる方向Pbに弾性的に撓み変形させることができる。ここから戸体32とともに第2開き止め体26を更に開方向Pa1に回動させることで、第2開き止め体26の第2摩擦保持部26aの表面と第1開き止め体24の第1摩擦保持部24aの表面とを接触させることができる。
【0033】
このように、第2開き止め体26の第2ガイド面26bは、第1開き止め体24に対して摺動することで、第1開き止め体24との間での上下方向での相対変位をガイドする。第1開き止め体24の第1ガイド面24bは、第2開き止め体26に対して摺動することで、第2開き止め体26との間での上下方向での相対変位をガイドしているともいえる。
【0034】
図10は、折戸22が折り畳み状態にあるときの戸体32の一部を示す図である。
図8(c)、
図10に示すように、折戸22が折り畳み状態になるまで一対の戸体32を開方向Pa1に回動させると、第2開き止め体26は、第1開き止め体24の第1摩擦保持部24aの表面に対して自らの第2摩擦保持部26aの表面が接触する位置(以下、保持位置という)に移動する。このとき、第2開き止め体26の第2摩擦保持部26aを含む部位は弾性的に撓み変形しており、第2開き止め体26の第2摩擦保持部26aは、自らの弾性反発力により、第1開き止め体24の第1摩擦保持部24aに対して方向Pcに押し付けられた状態となる。これにより、第2開き止め体26は、第1開き止め体24の第1摩擦保持部24aとの間で生じる摩擦により、折戸22を折り畳み状態に保持する。
【0035】
このように、第2開き止め体26は、折戸22を開くときに第1開き止め体24に対して摺動することで、第1開き止め体24との間で生じる摩擦により折戸22を折り畳み状態に保持する保持位置に移動する。また、第2開き止め体26は、折戸22を閉じるとき、第1開き止め体24に対して摺動することで第1開き止め体24から離れ、折戸22の保持を解除する保持解除位置に移動する。
【0036】
以上の折戸装置10の作用効果を説明する。
本実施形態の第2開き止め体26は、折戸22を開くときに第1開き止め体24に対して摺動することで、折戸22を折り畳み状態に保持する保持位置に移動可能である。よって、複雑な機構を要することなく、一対の戸体32を回動軸40周りに回動させるだけで、第2開き止め体26を保持位置に移動させることができ、簡易な構造により折戸22を折り畳み状態に保持できる。また、折戸22を折り畳み状態に保持するために複雑な機構を要しないため、部品点数の削減により製品コストの軽減が図られる。
【0037】
また、第1開き止め体24と第2開き止め体26とは、折戸22が伸長状態にあるとき、枠20と戸体32との間で上下に対向する位置に設けられる。よって、これらは使用者の視野に入りにくいところに設けられるため、これらの外部への露出を抑えることで良好な意匠性を得られる。
【0038】
また、第1開き止め体24は、上下の枠20のうちの支持枠20(A)に設けられるため、次の利点がある。特許文献1のロック装置では、上側の支持枠ではなく下側のガイド枠に対して昇降ロッドが接触することで、折戸をロックする構造である。積雪等の外的要因や施工誤差等に起因してガイド枠に撓みが生じたとき、その撓みに追従して戸体が変位せず、戸体とガイド枠との間のクリアランスが変動してしまう。この影響により昇降ロッドの昇降時に昇降ロッドをガイド枠に接触させ難くなり、安定して折戸を折り畳み状態に保持できないケースが生じ得る。
【0039】
この点、支持枠20(A)に撓みが生じた場合、その撓みに追従して戸体32が変位するため、支持枠20(A)と戸体32との間のクリアランスLa(
図10参照)が変動し難い。本実施形態では、このような支持枠20(A)に第1開き止め体24が設けられているため、支持枠20(A)に撓みが生じた場合でも、第1開き止め体24と第2開き止め体26との間での上下方向での相対的な位置関係が変化し難い。よって、支持枠20(A)に撓みが生じた場合でも、戸体32を開くときに第2開き止め体26を第1開き止め体24に接触させ易くなり、各開き止め体24、26により安定して折戸22を折り畳み状態に保持できるようになる。
【0040】
また、本実施形態によれば、支持枠20(A)に撓みが生じたときでも、第1開き止め体24と第2開き止め体26との間での上下方向での相対的な位置関係が変化し難い。よって、折戸22を開閉するときに折戸22に入力すべき荷重が変動し難くなり、折戸22の開閉動作時に一定の操作感を得やすくなる。
【0041】
また、第2開き止め体26は、折戸22を開くときに第1開き止め体24との間での上下方向での相対変位をガイドする第2ガイド面26bを有する。よって、折戸22を開くときに、第2開き止め体26を保持位置にまでスムーズに移動させ易くなる。
【0042】
また、第1開き止め体24も、折戸22を開くときに第2開き止め体26との間での相対変位をガイドする第1ガイド面24bを有する。よって、折戸22を開くときに、第2開き止め体26を保持位置にまでよりスムーズに移動させ易くなる。
【0043】
(ヒンジ機構38)
次に、本実施形態の折戸装置10の他の特徴を説明する。
図11は、一対の戸体32の戸先側端部32a周りを拡大した平面断面図である。
図4、
図11に示すように、一対の戸体32は互いの戸先側端部32aがヒンジ機構38を介して回動可能に連結される。本実施形態のヒンジ機構38は、接続部材46と、カバー部材48とを備える。
【0044】
図11に示すように、接続部材46は、第1軸受部46aと、第2軸受部46bと、接続部46cとを有する。第1軸受部46aは、一対の戸体32のうちの一方の戸体32(A)(以下、単に第1戸体32(A)という)の戸先側端部32aに形成される第1挿通孔32c内に挿通される。第2軸受部46bは、一対の戸体32のうちの他方の戸体32(B)(以下、単に第2戸体32(B)という)の戸先側端部32aに形成される第2挿通孔32d内に挿通される。第1軸受部46a及び第2軸受部46bの内部には上下方向に沿って延びるとともに溝状をなす空洞部46dが形成される。
【0045】
接続部46cは、第1軸受部46aと第2軸受部46bとを接続する。接続部46cは、折戸22の見込方向Xの一方側(室外側Out)から他方側(室内側In)に向かって折り返すような板状の形状をなす。折戸22の第1挿通孔32cと第2挿通孔32dとは互いに見付方向Yに対向する位置が切り欠かれており、接続部材46の接続部46cは挿通孔32c、32dの切り欠きを通るように配置される。
【0046】
図4に示すように、カバー部材48は、カバー部48aと、第1ヒンジ軸部48bと、第2ヒンジ軸部48cとを有する。カバー部48aは、第1戸体32(A)の第1挿通孔32cや第2戸体32(B)の第2挿通孔32dの上下方向両側それぞれの開口端を覆うように設けられる。第1ヒンジ軸部48bは、図示しないが、カバー部48aから第1挿通孔32c内に突き出ており、接続部材46の第1軸受部46aを回転自在に支持する。第2ヒンジ軸部48cは、図示しないが、カバー部48aから第2挿通孔32d内に突き出ており、接続部材46の第2軸受部46bを回転自在に支持する。以上のヒンジ機構38は、一対の戸体32のそれぞれを第1ヒンジ軸部48bや第2ヒンジ軸部48c周りに回転可能に連結することになる。
【0047】
ここで、接続部材46は、金属等の硬質素材を用いて、各部位が一体成形される押出成形品(一体成形品)である。接続部材46は、一対の戸体32の上端から下端にかけての高さ寸法と同等の高さ寸法をもつ。接続部材46は一体成形品であるため、これを複数の部品により構成する場合と比べて継ぎ目のない構造となり、すっきりとした外観にすることで良好な意匠性を得られる。
【0048】
また、接続部材46の各軸受部46a、46bやカバー部材48の各ヒンジ軸部48b、48cは、折戸22が伸長状態にあるとき、折戸22の見込方向Xの一方側(室内側In)から戸体32の第1挿通孔32cや第2挿通孔32dにより覆われる。よって、折戸22の見込方向Xの室内側Inから見たとき、接続部材46の各軸受部46a、46bやカバー部材48の各ヒンジ軸部48b、48cが外観に現れにくくなり、すっきりとした外観にすることで良好な意匠性を得られる。
【0049】
また、一対の戸体32それぞれの戸先側端部32aの突き合わせ面には個別のシール部材50が取り付けられる。接続部材46は、折戸22が伸長状態にあるとき、折戸22の見付方向の他方側(室外側Out)から個別のシール部材50により覆われる。よって、折戸22の見込方向Xの室外側Outから見たとき、接続部材46が外観に現れにくくなり、すっきりとした外観にすることで良好な意匠性を得られる。
【0050】
(ガイド面)
本実施形態では、上下の枠20間に折戸22を収めるうえで、次の工程を経ている。
図12は、次の工程S2を説明するための平面図であり、
図13は、
図12の矢視Fv1から見た図である。
【0051】
まず、一対の戸体32のそれぞれから接続部材46やカバー部材48を取り外しておく(S1)。
図12、
図13(a)に示すように、支持枠20(A)やガイド枠20(B)を構成する枠部材は、一方側の長手方向の開口端20fから他方側に向かう方向Pdに回動軸40やスライダ42を挿入可能な中空形状である。
図13(b)に示すように、このような支持枠20(A)やガイド枠20(B)の内部に、個々の戸体32の回動軸40やスライダ42を挿入することで、上下の枠20間に戸体32を収める(S2)。この後、一対の戸体32のそれぞれに接続部材46やカバー部材48を取り付ける(S3)。以上の工程S1〜S3を経ることで、上下の枠20間に折戸22を収める作業が完了する。
【0052】
工程S2では、
図12に示すように、平面視において、上下の枠20に対して交差するように戸体32を配置した状態で、上下の枠20の内部に開口端20fから回動軸40等を挿入する。本実施形態では、上下の枠20に対して直交するように戸体32を配置した状態にする。このとき、上下の枠20間には、一対の戸体32のうち第1戸体32(A)が先に収められ、第2戸体32(B)が後に収められる。
【0053】
ここで、第1戸体32(A)の第2開き止め体26の第2ガイド面26bは、第1戸体32(A)の回動軸40を枠20の開口端20fから挿入するとき、第1開き止め体24に対して摺動することで、第1開き止め体24との間での上下方向での相対変位をガイドする。また、第2戸体32(B)の第2開き止め体26の第3ガイド面26cは、第2戸体32(B)の回動軸40を枠20の開口端20fから挿入するとき、第1開き止め体24に対して摺動することで、第1開き止め体24との間での上下方向での相対変位をガイドする。ここでの「ガイドする」とは、
図9を用いて説明したような、第2開き止め体26の第2摩擦保持部26aを含む部位を支持枠20(A)から上下に離れる方向Pbに弾性的に撓み変形させることで行われる。これにより、上下の枠20内に開口端20fから回動軸40を挿入するとき、戸体32をスムーズに移動させ易くなる。
【0054】
(保持部材)
図11に示すように、折戸22は、一対の戸体32それぞれの戸先側縦框36cの突き合わせ面に個別に取り付けられる一対の保持部材52を備える。一対の保持部材52には、第1戸体32(A)に取り付けられる第1保持部材52(A)と、第2戸体32(B)に取り付けられる第2保持部材52(B)とが含まれる。
【0055】
保持部材52は、戸体32の突き合わせ面にビス等の締結具(不図示)により締結される板状の固定部52aと、固定部52aから対向する他の戸先側縦框36cの突き合わせ面に突き出る腕部52bとを有する。
【0056】
第1保持部材52(A)の腕部52bは、固定部52aの見込方向Xの室外側Outの端縁部から突き出ており、第2保持部材52(B)の腕部52bも固定部52aの見込方向Xの室外側Outの端縁部から突き出ている。第1保持部材52(A)の腕部52bは第2保持部材52(B)の腕部52bに対して見込方向Xの室外側Outに配置される。
【0057】
各保持部材52(A)の腕部52bの先端部には爪部52cが形成される。第1保持部材52(A)の爪部52cは、第2保持部材52(B)の腕部52bがある見込方向Xの室内側Inに突き出ており、第2保持部材52(B)の爪部52cは、第1保持部材52(A)の腕部52bがある見込方向の室外側Outに突き出る。第1保持部材52(A)の腕部52bは弾性的な撓み変形を許容するために基端部が切り欠かれている。第1保持部材52(A)の腕部52bは、見込方向の室外側Outに弾性的に撓み変形した状態で、第2保持部材52(B)に接触している。
【0058】
以上の折戸22では、第2保持部材52(B)が取り付けられた戸体32が回動軸40周りに開方向Pa1に回動しようとしたとき、第2保持部材52(B)の腕部52bと第1保持部材52(A)の腕部52bとの係合により、戸体32が回動し難くなる。この結果、第1保持部材52(A)と第2保持部材52(B)との係合により、一対の戸体32を伸長状態に保持可能となる。よって、バネ等の付勢部材をヒンジ機構38に組み込まなくとも一対の戸体32を伸長状態に保持し易くなり、ヒンジ機構38の小型化が図られる。
【0059】
また、第1保持部材52(A)及び第2保持部材52(B)は前述の接続部材46やシール部材50により見込方向Xの両側から覆われる。よって、折戸22の見込方向Xから見たとき、第1保持部材52(A)や第2保持部材52(B)が外観に現れにくくなり、すっきりとした外観にすることで良好な意匠性を得られる。
【0060】
(戸当たり部材)
図14は、折り畳み状態にある二つの折戸22の平面図である。
図15は、
図14の矢視Fv2から見た図である。
図4、
図15に示すように、折戸22は、一対の戸体32の他に、戸体32の戸尻側端部32bの見付方向Yに臨む外壁面に取り付けられる第1戸当たり部材54を備える。
図15に示すように、第1戸当たり部材54は、戸尻側端部32bの長手方向両端部に取り付けられる。
【0061】
図4に示すように、折戸22は、戸体32の戸尻側端部32bに取り付けられる第2戸当たり部材56と、戸体32の戸先側端部32aに取り付けられる第3戸当たり部材58とを備える。第2戸当たり部材56は、戸尻側端部32bの長手方向両端部のそれぞれに取り付けられる。第3戸当たり部材58は、戸先側端部32aの長手方向両端部のそれぞれに取り付けられる。
【0062】
図14、
図15に示すように、一方の戸体32の第1戸当たり部材54は、一対の戸体32が折り畳み状態にあるとき、他方の戸体32の戸尻側端部32bに対して突き当てられる第1戸当たり部54aを有する。第1戸当たり部54aは、他方の戸体32の戸尻側端部32bに対して、その他方の戸体32の戸尻側端部32bに取り付けられる第1戸当たり部材54の第1戸当たり部54aを介して突き当てられる。第1戸当たり部54aは、一対の戸体32同士が接触するときの衝撃を緩衝する役割をもつ。
【0063】
図14に示すように、第2戸当たり部材56は、一対の戸体32が折り畳み状態にあるとき、隣り合う他の折戸22の戸尻側端部32bに対して突き当たる第2戸当たり部56aを有する。第2戸当たり部56aは、他の折戸22の戸尻側端部32bに対して、その他の戸尻側端部32bに取り付けられる第2戸当たり部材56の第2戸当たり部56aを介して突き当てられる。第2戸当たり部56aは、隣り合う折戸22の戸体32同士が接触するときの衝撃を緩衝する役割をもつ。
【0064】
第3戸当たり部材58は、一対の戸体32が折り畳み状態にあるとき、隣り合う他の折戸22の戸先側端部32aに対して突き当たる第3戸当たり部58aを有する。第3戸当たり部58aは、他の折戸22の戸先側端部32aに対して、その他の戸先側端部32aに取り付けられる第3戸当たり部材58の第3戸当たり部58aを介して突き当てられる。第3戸当たり部58aも、隣り合う折戸22の戸体32同士が接触するときの衝撃を緩衝する役割をもつ。
【0065】
(第2の実施の形態)
図16は、第2実施形態の折戸装置10の一部を
図7と同じ視点から見た図である。
図17は、
図16の第2開き止め体26のB−B線断面図である。
第2実施形態は、第1実施形態と比べて、第2開き止め体26の構成が相違する。第2開き止め体26の第2摩擦保持部26aの表面は、室外側端縁部26e及び室内側端縁部26fが連続する曲線状の線状をなしている。第2開き止め体26の第2ガイド面26b及び第3ガイド面26cは、第2摩擦保持部26aの室外側端縁部26e及び室内側端縁部26fから見込方向Xの両側及び戸先側に離れるにつれて、戸体32に近づくような截頭円錐状の連続する曲面により形成される。取付部26dは、第2摩擦保持部26aの表面に対して見込方向Xの室内側Inに配置される他、その表面に対して見込方向Xの室外側Outに配置される。
【0066】
第1実施形態の第2開き止め体26は、第2摩擦保持部26aの弾性的な撓み変形を許容するため、第2摩擦保持部26aの裏面側に切欠60が形成される。切欠60は、見込方向Xの両側、かつ、戸尻側(
図16の紙面の上側)に向かって開放している。
【0067】
本実施形態の折戸装置10によっても、第1実施形態で説明した内容と同様の作用効果を得られる。
【0068】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変更が可能である。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0069】
本実施形態の枠20は、矩形の三辺に対応する位置に沿って延びるように設けられる例を説明した。枠20は、その具体的な配置態様に関して特に限られず、たとえば、単に直線状に延びるように設けられてもよい。また、本実施形態では上枠20(A)が支持枠であり、下枠20(B)がガイド枠である例を説明したが、下枠20(B)が支持枠であり、上枠20(A)がガイド枠でもよい。つまり、上枠20(A)と下枠20(B)との何れか一方が折戸22を支持する支持枠であればよい。なお、ここでの支持とは、折戸22の鉛直荷重を受けて支持することをいう。
【0070】
本実施形態の折戸22は、上下の枠20に対して回動軸40等を介して一対の戸体32のそれぞれがスライド可能な例を説明した。これに限られず、折戸22は、一対の戸体32のうちの少なくとも一方の戸体32が回動軸40を介して上下の枠20に対してスライド可能であればよい。この場合、一対の戸体32のうちの他方の戸体32は回動軸40を介して上下の枠20に対してスライド不能に設けられる。
【0071】
第1開き止め体24は上下の枠20の一方の枠20と別体に構成される例を説明した。この他にも、一方の枠20の一部として一体成形されていてもよい。第1開き止め体24は、上下の枠20のうちの支持枠20(A)に設けられる例を説明したが、ガイド枠20(B)に設けられていてもよい。
【0072】
第2開き止め体26は戸体32と別体に構成される例を説明した。この他にも、戸体32の框36の一部として一体成形されていてもよい。
【0073】
第2開き止め体26が保持位置に移動したとき、第2開き止め体26の一部が弾性的に撓み変形し、その弾性反発力により、第1開き止め体24に対して押し付けられた状態になる例を説明した。第2開き止め体26が保持位置にあるとき、第1開き止め体24に対して押し付けられるための手段は特に限られない。たとえば、第2開き止め体26が保持位置にあるとき、戸体32全体が僅かに傾斜するようにしておき、戸体32の自重によって、第1開き止め体24に対して押し付けられてもよい。
【0074】
第1開き止め体24は第1ガイド面24bを有し、第2開き止め体26は第2ガイド面26bを有する例を説明したが、これに限られない。たとえば、第1ガイド面24b、第2ガイド面26bの両方がなくともよい。また、第1ガイド面24b及び第2ガイド面26bの何れか一方のみあってもよい。つまり、第1開き止め体24及び第2開き止め体26の一方が、折戸22を開くときに他方の開き止め体に対して摺動することで、他方の開き止め体との間での上下方向での相対変位をガイドするガイド面を有していればよい。
【0075】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
【0076】
第2態様の折戸装置は、第1態様において、前記第1開き止め体は、前記上下の枠のうち、前記一対の戸体を前記回動軸を介して支持する支持枠に設けられてもよい。
支持枠に撓みが生じたとき、その撓みに追従して戸体が変位するため、支持枠と戸体との間のクリアランスは変動し難い。この態様によれば、このような支持枠に第1開き止め体が設けられているため、支持枠に撓みが生じたときでも、第1開き止め体と第2開き止め体との間での上下方向での相対的な位置関係が変化し難い。よって、支持枠に撓みが生じたときでも、戸体を開くときに第2開き止め体を第1開き止め体に接触させ易くなり、各開き止め体により安定して折戸を折り畳み状態に保持できるようになる。
【0077】
第3態様の折戸装置は、第1の態様又は第2の態様において、前記第1開き止め体及び前記第2開き止め体の一方は、前記折戸が開くときに他方の開き止め体に対して摺動することで、前記他方の開き止め体との間での上下方向での相対変位をガイドするガイド面を有してもよい。
この態様によれば、折戸を開くときに、第2開き止め体を保持位置にまでスムーズに移動させ易くなる。
【0078】
第4態様の折戸装置は、第3態様において、前記第1開き止め体及び前記第2開き止め体の他方は、前記折戸が開くときに一方の開き止め体のガイド面に対して摺動することで、前記一方の開き止め体との間での上下方向での相対変位をガイドするガイド面を有していてもよい。
この態様によれば、折戸を開くときに、第2開き止め体を保持位置にまでよりスムーズに移動させ易くなる。
【0079】
第5態様の折戸装置は、第1態様〜第4態様のいずれかにおいて、前記上下の枠は、一方側の長手方向の開口端から他方側に向かって前記回動軸を挿入可能な中空形状であり、前記第2開き止め体は、平面視において前記上下の枠に対して交差するように前記戸体を配置した状態で前記上下の枠内に前記開口端から前記回動軸を挿入するときに、前記第1開き止め体に対して摺動することで、前記第1開き止め体との間での上下方向での相対変位をガイドするガイド面を有してもよい。
この態様によれば、上下の枠内に開口端から回動軸を挿入するとき、戸体をスムーズに移動させ易くなる。