(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サイドウォール形成工程は、導電体からなる前記サイドウォール材料を前記絶縁膜上に堆積することにより、前記ビア電極に電気的に接続される前記サイドウォールを形成する工程を含み、
前記抵抗体膜形成工程は、前記ビア電極に加えて、前記サイドウォールに電気的に接続される前記抵抗体膜を形成する工程を含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な縦断面図である。
図2は、
図1に示される一点鎖線IIにより囲まれた領域の拡大断面図である。
半導体装置1は、半導体基板2と、半導体基板2上に積層された複数の層間絶縁膜4,5,6とを含む。半導体基板2は、たとえば、その表面に能動素子や受動素子等の半導体素子3が作り込まれたシリコン基板からなる。複数の層間絶縁膜4,5,6には、半導体基板2の表面側から順に第1層間絶縁膜4、本発明の絶縁膜の一例としての第2層間絶縁膜5、および第3層間絶縁膜6が含まれる。第1層間絶縁膜4、第2層間絶縁膜5および第3層間絶縁膜6は、たとえば酸化シリコン(SiO
2)または窒化シリコン(SiN)の単層構造からなる。
【0015】
第1層間絶縁膜4上には第1配線層7が形成されており、第2層間絶縁膜5上には第2配線層8が形成されており、第3層間絶縁膜6上には最上配線層としての第3配線層9が形成されている。なお、図示はしないが、半導体基板2の上面には、半導体素子3に電気的に接続される最下配線層が形成されている。第1配線層7、第2配線層8および第3配線層9とは、対応する層間絶縁膜4,5,6上に配置された導電体物によって、当該層間絶縁膜4,5,6の上面に電流経路が形成された層の総称である。
【0016】
第1層間絶縁膜4上の第1配線層7は、間隔を空けて第1層間絶縁膜4上に形成された第1実配線10および第2実配線11を含む。第1実配線10および第2実配線11は、たとえば同一の方向に延びる直線状に形成されている。
図1には、これら第1実配線10および第2実配線11の直線方向に直交する方向の断面図が示されている。本実施形態では、第2実配線11における直線方向に直交する方向の幅が、第1実配線10における直線方向に直交する方向の幅よりも大きくされている。
【0017】
第1実配線10および第2実配線11は、いずれも複数の導電体層が積層された積層構造を有しており、第1層間絶縁膜4上から順に、下側バリアメタル層12、アルミニウム(Al)を含むAl配線層13および上側バリアメタル層14を含む。下側バリアメタル層12は、
図2に示されるように、第1層間絶縁膜4側から順にTi層15およびTiN層16を含む積層構造を有している。Al配線層13は、たとえばAlまたはAlCu合金からなる。上側バリアメタル層14は、
図2に示されるように、Al配線層13側からこの順に積層されたTi層17およびTiN層18を含む積層構造を有している。
【0018】
第2層間絶縁膜5は、第1実配線10および第2実配線11を被覆するように、第1層間絶縁膜4上に配置されている。第2層間絶縁膜5には、ビア電極19が埋め込まれている。ビア電極19には、第1実配線10に電気的に接続されるように第2層間絶縁膜5に埋め込まれた第1ビア電極21と、第2実配線11に電気的に接続されるように第2層間絶縁膜5に埋め込まれた第2ビア電極22とが含まれる。
【0019】
第1ビア電極21および第2ビア電極22は、いずれも、ビア本体23と、ビア本体23と第2層間絶縁膜5との間に介在するバリアメタル層24とを含む。ビア本体23は、たとえばタングステン(W)または銅(Cu)を含む。バリアメタル層24は、
図2に示されるように、第2層間絶縁膜5側からこの順に積層されたTi層25およびTiN層26を含む積層構造を有している。
【0020】
図2に示されるように、ビア電極19は、断面視において、第2層間絶縁膜5側から半導体基板2側に向けて先細りとなるテーパ形状に形成されている。ビア電極19は、第2層間絶縁膜5内に埋め込まれた埋め込み部27と、第2層間絶縁膜5の上面5aよりも上方に突出した突出部28とを有している。突出部28は、ビア電極19の上面19aと第2層間絶縁膜5の上面5aとの間に、第2層間絶縁膜5の上面5aから上方に立ち上がる側壁28aを有している。この突出部28により、ビア電極19の上面19aと第2層間絶縁膜5の上面5aとの間に段差部29が形成された構成とされている。
【0021】
第2層間絶縁膜5上の第2配線層8は、ビア電極19に電気的に接続されるように第2層間絶縁膜5の上面5aに配置された抵抗体膜30を含む。
図2に示されるように、本実施形態に係る半導体装置1は、ビア電極19の突出部28の側方に、第2層間絶縁膜5の上面5aとビア電極19の上面19aとの間に形成された段差部29の高低差を緩和するための段差緩和構造31が設けられており、抵抗体膜30が、ビア電極19に電気的に接続されるように、段差緩和構造31、第2層間絶縁膜5の上面5aおよびビア電極19の上面19aに沿って配置されていることを特徴としている。
【0022】
より具体的には、本実施形態では、ビア電極19の突出部28の側壁28aを被覆する段差緩和構造31としてのサイドウォール32が第2層間絶縁膜5上に配置されており、抵抗体膜30が、ビア電極19に電気的に接続されるように、第2層間絶縁膜5の上面5a、サイドウォール32の表面32aおよびビア電極19の上面19aに沿って配置されている。本実施形態では、このサイドウォール32(段差緩和構造31)により、ビア電極19の上面19aと第2層間絶縁膜5の上面5aとの間に形成された段差部29の高低差を緩和することによって、抵抗体膜30の成膜性を向上させて、抵抗体膜30とビア電極19とを良好に電気的に接続させるものである。
【0023】
図2に示されるように、サイドウォール32の表面32aは、ビア電極19の上面19aから第2層間絶縁膜5の上面5aに向けて傾斜している。本実施形態では、サイドウォール32の表面32aは、ビア電極19に対して外側に向かって湾曲した円弧状に形成されており、かつ、ビア電極19の上面19aと段差なく繋がっている。
一つの形態として、サイドウォール32は、導電体からなり、かつビア電極19に電気的に接続されるようにビア電極19の突出部28の側壁28aを被覆していてもよい。この場合、抵抗体膜30は、ビア電極19に加えて、サイドウォール32に電気的に接続されている。したがって、抵抗体膜30をビア電極19の突出部28上に良好な成膜性で形成できると共に、抵抗体膜30とビア電極19の突出部28との接続部において、抵抗体膜30とビア電極19とを良好に電気的に接続させることが可能となる。
【0024】
サイドウォール32は、導電体として、たとえば、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)または導電性が付与されたポリシリコンを含んでいてもよい。
他の形態として、サイドウォール32は、絶縁体からなっていてもよい。サイドウォール32は、絶縁体として、酸化シリコン(SiO
2)または窒化シリコン(SiN)を含んでいてもよい。この構成において、サイドウォール32は、第2層間絶縁膜5とは異なる絶縁体、より具体的には、第2層間絶縁膜5とはエッチング選択比が異なる絶縁体により形成されていることが好ましい。たとえば、第2層間絶縁膜5が酸化シリコン(SiO
2)からなる場合、サイドウォール32は、窒化シリコン(SiN)からなることが好ましい。また、たとえば、第2層間絶縁膜5が窒化シリコン(SiN)からなる場合、サイドウォール32は酸化シリコン(SiO
2)からなることが好ましい。
【0025】
サイドウォール32(段差緩和構造31)は、
図2に示される形態に代えて、
図3または
図4に示される形態とされてもよい。
図3は、
図2に対応する部分の断面図であって、サイドウォール32の他の形態を示す図である。
図4は、
図2に対応する部分の断面図であって、サイドウォール32のさらに他の形態を示す図である。
図3に示されるように、サイドウォール32の表面32aは、ビア電極19の上面19aから第2層間絶縁膜5の上面5aに向けて傾斜し、ビア電極19に対して内側に向かって湾曲する凹面状に形成されていてもよい。また、
図4に示されるように、サイドウォール32の表面32aは、ビア電極19の上面19aから第2層間絶縁膜5の上面5aに向けて直線状に傾斜するように形成されていてもよい。
図3および
図4のいずれの形態においても、サイドウォール32の表面32aは、ビア電極19の上面19aと段差なく繋がるように形成されていることが好ましい。
【0026】
以下、
図5を参照して、ビア電極19、抵抗体膜30およびサイドウォール32の平面形状について具体的に説明する。
図5は、
図1に示されるV-V線に沿う横断面図である。
図5に示されるように、本実施形態では、ビア電極19(第1ビア電極21および第2ビア電極22)は、一辺の幅Wが、たとえば0.1μm以上0.5μm以下(本実施形態では0.22μm程度)とされた平面視四角形状に形成されている。サイドウォール32は、ビア電極19の突出部28の側壁28aに沿って平面視四角環状に形成されている。平面視におけるビア電極19の周縁とサイドウォール32の周縁との間の寸法Sは、たとえば1nm以上200nm以下(本実施形態では20nm程度)である。なお、平面視円形状のビア電極19が採用されることによって、平面視円環状のサイドウォール32が形成されてもよい。
【0027】
抵抗体膜30は、第1ビア電極21および第2ビア電極22に電気的に接続されるように、第1ビア電極21および第2ビア電極22に跨って配置されている。抵抗体膜30は、第1ビア電極21および第2ビア電極22に電気的に接続されるように、第1ビア電極21と第2ビア電極22との間の領域に配置された接続領域33と、接続領域33から側方に張り出すように接続領域33と一体的に設けられたトリミング領域34とを含む。
【0028】
抵抗体膜30の接続領域33は、平面視において第1ビア電極21と第2ビア電極22との間の領域を直線状に延びる長方形状に形成されている。トリミング領域34は、その一部が選択的に除去可能とされた領域であり、接続領域33の長手方向に沿う一辺33aからその側方に向けて平面視矩形状に張り出している。トリミング領域34は、たとえばレーザ照射、ダイシングブレードまたはエッチング(以下、単に「レーザ照射等」という。)によって部分的に除去される。
【0029】
これにより、抵抗体膜30の抵抗値、延いては第1ビア電極21および第2ビア電極22間の抵抗値が所望の値に設定される。トリミング領域34は、レーザ照射等によって刻設されたトリミング溝35を選択的に有している。なお、抵抗値の調整が不要とされた場合には、トリミング領域34は、レーザ照射等によって部分的に切断されないので、トリミング領域34がトリミング溝35を有さない構成とされる。
【0030】
なお、抵抗体膜30は、
図5に示される構成に代えて、
図6に示されるような構成とされてもよい。
図6は、
図5に対応する部分の横断面図であって、抵抗体膜30の他の形態の平面形状を示す図である。
図6に示されるように、抵抗体膜30は、第1ビア電極21および第2ビア電極22に電気的に接続されるように、第1ビア電極21および第2ビア電極22に跨って配置されている。抵抗体膜30は、平面視長方形状に形成されており、抵抗体膜30における第1ビア電極21と第2ビア電極22との間の領域がレーザ照射等によって部分的に除去される構成とされている。
図6に示される抵抗体膜30は、
図5に示される抵抗体膜30と異なり、第1ビア電極21と第2ビア電極22とを結ぶ直線を横切るようにトリミング溝35が刻設される構成とされている。
【0031】
抵抗体膜30は、薄膜抵抗体であり、その厚さは、たとえば0.5nm以上100nm以下である。抵抗体膜30の材料としては、たとえば、CrSi、NiCr、TaN、TiN等を使用できるが、この実施形態では、CrSi膜が用いられている。抵抗体膜30の材料としては、導電性が付与されたポリシリコンを使用することも可能であるが、温度の変動および電圧の変動に対して抵抗値が大きく変動するという課題がある。以下、
図7を参照して、抵抗体膜30の温度特性について説明する。
【0032】
図7は、抵抗体膜30の温度特性を説明するためのグラフである。
図7のグラフにおいて、横軸は温度(℃)であり、縦軸は抵抗値(Ω)である。
図7には、直線L1と直線L2とが示されている。直線L1は、抵抗体膜30が、導電性が付与されたポリシリコン膜を含む場合の抵抗値の温度特性を示しており、直線L2は、抵抗体膜30が、CrSi膜を含む場合の抵抗値の温度特性を示している。
【0033】
直線L1および直線L2を参照して、CrSi膜は、導電性が付与されたポリシリコン膜と比較して、温度の変動に対する抵抗値の変動が小さいことが理解される。したがって、CrSi膜であれば、抵抗体膜30の薄膜化および抵抗体膜30の面積の低減を良好に図りつつ、抵抗体膜30の微細化に伴う高抵抗化を良好に図ることが可能となる。なお、抵抗体膜30の総重量に対するCrの含有量は、5重量%以上50重量%以下であってもよい。また、抵抗体膜30の抵抗値は、100Ω/□以上50000Ω/□以下であってもよい。
【0034】
このように、本実施形態では、サイドウォール32(段差緩和構造31)によって、抵抗体膜30を一様な厚さで、第2層間絶縁膜5の上面5aおよびビア電極19の上面19aを被覆させることができる。これにより、抵抗体膜30とビア電極19とを良好に電気的に接続させることができるから、ビア電極19と抵抗体膜30とのオーミック性の安定性を向上させることができる。つまり、ビア電極19から供給される電流や電圧の大きさに対して、抵抗値の変動の少ない抵抗体膜30を提供できる。
【0035】
図1および
図2を再度参照して、抵抗体膜30上には、保護膜36が配置されている。保護膜36は、抵抗体膜30の平面形状と整合する平面形状で抵抗体膜30上に配置されており、抵抗体膜30の上面に対してコンフォーマルに形成されている。つまり、保護膜36の上面および下面は、抵抗体膜30の上面に沿うように形成されている。保護膜36は、たとえば酸化シリコン(SiO
2)または窒化シリコン(SiN)の単層構造からなる。
【0036】
第3層間絶縁膜6は、抵抗体膜30および保護膜36を被覆するように、第2層間絶縁膜5上に配置されている。第3層間絶縁膜6上の第3配線層9は、第3層間絶縁膜6上に形成された第3実配線37を含む。第3実配線37は、第2実配線11の直上の領域に配置されており、たとえば第1実配線10および第2実配線11と同一の方向に延びる直線状に形成されている。第3実配線37は、本実施形態では、第3層間絶縁膜6の厚さ方向に第2実配線11と対向していると共に、第3層間絶縁膜6の厚さ方向に抵抗体膜30および保護膜36と対向している。
【0037】
第3実配線37は、第1実配線10および第2実配線11と同様に、複数の導電体層が積層された積層構造を有しており、第3層間絶縁膜6上から順に、下側バリアメタル層38、アルミニウムを含むAl配線層39および上側バリアメタル層40を含む。下側バリアメタル層38は、第3層間絶縁膜6側から順にTi層およびTiN層を含む積層構造を有している。Al配線層39は、たとえばAlまたはAlCu合金からなる。上側バリアメタル層40は、Al配線層39側からこの順に積層されたTi層およびTiN層を含む積層構造を有している。
【0038】
第3実配線37は、第3層間絶縁膜6の厚さ方向に第2実配線11と対向する部分において、第3層間絶縁膜6の表面から第2実配線11に至るように第3層間絶縁膜6に埋め込まれた第3ビア電極41を介して第2実配線11に電気的に接続されている。第3ビア電極41は、前述のビア電極19と同様に、タングステンを含むビア本体42と、ビア本体42と第2層間絶縁膜5との間およびビア本体42と第3層間絶縁膜6との間に介在するバリアメタル層43とを含む。バリアメタル層43は、第2層間絶縁膜5側および第3層間絶縁膜6側からこの順に積層されたTi層およびTiN層を含む積層構造を有している。
【0039】
第3層間絶縁膜6上には、第3実配線37を被覆するように、たとえば窒化シリコン(SiN)からなるパッシベーション膜50が形成されている。パッシベーション膜50には、第3実配線37の一部を電極パッド51として選択的に露出させるパッド開口52が形成されている。また、パッシベーション膜50における抵抗体膜30と対向する領域には、当該パッシベーション膜50を貫通して第3層間絶縁膜6の一部が掘り下げるように形成されたトリミング開口53が形成されている。このトリミング開口53を介して抵抗体膜30にレーザ照射等が実行されて、抵抗体膜30にトリミング溝35が刻設される。
【0040】
次に、
図8を参照しつつ、本実施形態に係る半導体装置1の効果について説明する。
図8は、参考例に係る半導体装置101の部分拡大断面図である。なお、
図8は、
図2に対応する部分の断面図であり、参考例に係る半導体装置101は、サイドウォール32(段差緩和構造31)を有していない点を除いて、本実施形態に係る半導体装置1と略同様の構成を有している。
図8において、
図1〜
図7に示された構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0041】
図8に示されるように、参考例に係る半導体装置101は、サイドウォール32(段差緩和構造31)を有していない。したがって、抵抗体膜30は、ビア電極19の上面19a、突出部28の側壁28aおよび第2層間絶縁膜5の上面5aを被覆するように、これらに沿って形成されている。そのため、
図8に示されるように、抵抗体膜30における突出部28の側壁28aに沿う部分102、とりわけビア電極19の上面19aおよび突出部28の側壁28aによって形成される角部に沿う部分103が薄く形成されるか、または、全く形成されない虞がある。その結果、抵抗体膜30とビア電極19との接続部における電気的な接続が不十分となり、ビア電極19と抵抗体膜30とのオーミック性が不安定となる。
【0042】
これに対して、本実施形態に係る半導体装置1では、
図2に示されるように、第2層間絶縁膜5上にビア電極19の突出部28の側壁28aを被覆するサイドウォール32が配置されており、第2層間絶縁膜5の上面5a、サイドウォール32の表面32aおよびビア電極19の上面19aに沿って抵抗体膜30が配置されている。このサイドウォール32により、ビア電極19の上面19aと第2層間絶縁膜5の上面5aとの間に形成された段差部29の高低差を緩和できる。
【0043】
特に、本実施形態では、
図2に示されるように、サイドウォール32の表面32aが、ビア電極19に対して外側に向かって湾曲した円弧状に形成されており、かつ、ビア電極19の上面19aと段差なく繋がっている。したがって、ビア電極19の上面19aと第2層間絶縁膜5の上面5aとの間に形成された段差部29の高低差を効果的に緩和できる。
【0044】
これにより、第2層間絶縁膜5の上面5aおよびビア電極19の上面19aを被覆する抵抗体膜30の成膜性を効果的に向上させることができる。つまり、抵抗体膜30を一様な厚さで、第2層間絶縁膜5の上面5a、サイドウォール32の表面32aおよびビア電極19の上面19aを被覆するように形成できる。これにより、抵抗体膜30とビア電極19とを良好に電気的に接続させることができる。その結果、ビア電極19と抵抗体膜30とのオーミック性の安定性を良好に向上させることができる。
【0045】
次に、
図9A〜
図9Oを参照して、半導体装置1の製造方法の一例について説明する。
図9A〜
図9Oは、
図1に示される半導体装置1の製造方法の一工程を示す縦断面図である。
半導体装置1を製造するに当たり、まず、
図9Aに示されるように、その表面に半導体素子3が形成された半導体基板2が準備される。次に、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、絶縁材料(たとえば酸化シリコン)が半導体基板2上に堆積されて第1層間絶縁膜4が形成される。
【0046】
次に、第1層間絶縁膜4上に、たとえばスパッタ法により、下側バリアメタル層12、Al配線層13および上側バリアメタル層14が順に成膜される。下側バリアメタル層12は、スパッタ法により、第1層間絶縁膜4側からTi層15およびTiN層16(
図2参照)をこの順に成膜することにより形成される。Al配線層13は、スパッタ法により、AlCu合金を下側バリアメタル層12上に成膜することにより形成される。上側バリアメタル層14は、スパッタ法により、Al配線層13側からTi層17およびTiN層18(
図2参照)をこの順に成膜することにより形成される。
【0047】
次に、
図9Bに示されるように、第1実配線10および第2実配線11を形成すべき領域を被覆するレジストマスク60が上側バリアメタル層14上に配置される。そして、当該レジストマスク60を介するドライエッチング(たとえばRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法)により、下側バリアメタル層12、Al配線層13および上側バリアメタル層14の不要な部分が除去される。これにより、
図9Cに示されるように、第1実配線10および第2実配線11が第1層間絶縁膜4上に形成される。
【0048】
次に、
図9Dに示されるように、たとえばCVD法により、第1実配線10および第2実配線11を被覆するように、絶縁材料(たとえば酸化シリコン)が第1層間絶縁膜4上に堆積されて第2層間絶縁膜5が形成される。
次に、たとえばレジストマスク(図示せず)を介するドライエッチング(RIE法)により、第1実配線10および第2実配線11を選択的に露出させるビアホール61が第2層間絶縁膜5に形成される。
【0049】
次に、たとえばスパッタ法により、第2層間絶縁膜5の上面5a、ビアホール61の内壁面、ビアホール61から露出する第1実配線10の露出面およびビアホール61から露出する第2実配線11の露出面に沿ってバリアメタル層24が形成される。バリアメタル層24は、スパッタ法により、第2層間絶縁膜5側からTi層25およびTiN層26(
図2参照)をこの順に成膜することにより形成される。
【0050】
次に、たとえばスパッタ法またはCVD法によって、ビアホール61を埋めて第2層間絶縁膜5を被覆するように導電体(たとえばタングステン)が第2層間絶縁膜5上に堆積されて、導電体膜62が形成される。
次に、
図9Eに示されるように、たとえば研磨剤(砥粒)を用いたCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法により、第2層間絶縁膜5上に形成された導電体膜62およびバリアメタル層24が、第2層間絶縁膜5の上面5aが露出するまで研磨されて除去される。これにより、ビアホール61に埋め込まれた導電体膜62がビア本体23となり、ビア本体23およびバリアメタル層24を含むビア電極19(第1ビア電極21および第2ビア電極22)が形成される。
【0051】
次に、
図9Fに示されるように、たとえば薬液を用いた洗浄により、第2層間絶縁膜5上に残存する研磨剤(砥粒)が除去される。この工程では、研磨剤(砥粒)と共に第2層間絶縁膜5の上面5aの一部が薬液によって除去される。これにより、第2層間絶縁膜5に埋め込まれた埋め込み部27と、当該第2層間絶縁膜5の上面5aよりも上方に突出した突出部28とを有するビア電極19が形成される。
【0052】
次に、
図9Gに示されるように、たとえばスパッタ法またはCVD法により、ビア電極19を被覆するようにサイドウォール材料が第2層間絶縁膜5上に堆積されて、サイドウォール材料膜63が形成される。サイドウォール材料は、導電体であってもよいし絶縁体であってもよい。
次に、
図9Hに示されるように、たとえばドライエッチング(RIE法)を利用したエッチバックにより、サイドウォール材料膜63が選択的に除去される。これにより、
図9Iに示されるように、ビア電極19の突出部28の側壁28aを被覆する段差緩和構造31としてのサイドウォール32が形成される。エッチバックによれば、ビア電極19の上面19aから第2層間絶縁膜5の上面5aに向けて傾斜する表面を有するサイドウォール32が形成される。本実施形態では、その表面が、ビア電極19に対して外側に向かって湾曲した円弧状に形成されており、かつ、ビア電極19の上面19aと段差なく繋がっているサイドウォール32が形成される。
【0053】
この工程では、ドライエッチングの条件を調整することにより、前述の
図3に示されるように、ビア電極19に対して内側に向かって湾曲する凹面状の表面を有するサイドウォール32を形成できる。同様に、ドライエッチングの条件を調整することにより、前述の
図4に示されるように、ビア電極19の上面19aから絶縁膜の上面に向けて直線状に傾斜する表面を有するサイドウォール32を形成することもできる。
【0054】
なお、
図9Gの工程において、導電体からなるサイドウォール材料膜63を第2層間絶縁膜5上に形成することにより、ビア電極19に電気的に接続されるサイドウォール32を形成してもよい。導電体からなるサイドウォール32を形成することによって、後の工程において、ビア電極19に加えて、サイドウォール32に電気的に接続される抵抗体膜30を形成できる。
【0055】
また、
図9Gの工程において、絶縁体からなるサイドウォール材料膜63を第2層間絶縁膜5上に形成してもよい。この場合、第2層間絶縁膜5とは異なる絶縁体、より具体的には、第2層間絶縁膜5とは異なるエッチング選択比を有する絶縁体からなるサイドウォール材料膜63が第2層間絶縁膜5上に堆積されることが好ましい。この場合、第2層間絶縁膜5をエッチングストップ層とするエッチバックによりサイドウォール材料膜63を選択的に除去できる。よって、第2層間絶縁膜5上にサイドウォール32を良好に形成できる。
【0056】
次に、
図9Jに示されるように、たとえばスパッタ法により、第2層間絶縁膜5の上面5a、サイドウォール32の表面32aおよびビア電極19の上面19aを被覆するように、抵抗体膜30の材料(本実施形態ではCrSi)が第2層間絶縁膜5上に堆積される。これにより、CrSi膜からなる抵抗体膜30が形成される。
次に、
図9Kに示されるように、たとえばスパッタ法またはCVD法により、抵抗体膜30の全域を被覆するように絶縁材料(たとえば酸化シリコンまたは窒化シリコン)が抵抗体膜30上に堆積される。これにより、抵抗体膜30を保護するための保護膜36が形成される。次に、
図9Lに示されるように、抵抗体膜30を形成すべき領域を選択的に被覆するレジストマスク64が保護膜36上に形成される。次に、当該レジストマスク64を介するドライエッチング(たとえばRIE法)により、保護膜36および抵抗体膜30の不要な部分が除去される。
【0057】
これにより、
図9Mに示されるように、ビア電極19(第1ビア電極21および第2ビア電極22)に電気的に接続される所定パターン(
図5も併せて参照)の抵抗体膜30と、当該抵抗体膜30を被覆する保護膜36とが同時に形成される。
次に、
図9Nに示されるように、たとえばCVD法により、抵抗体膜30および保護膜36を被覆するように、絶縁材料(たとえば酸化シリコン)が第2層間絶縁膜5上に堆積されて第3層間絶縁膜6が形成される。次に、たとえばレジストマスク(図示せず)を介するドライエッチング(RIE法)により、第3層間絶縁膜6の表面から第2実配線11に至るビアホール65が形成される。次に、たとえばスパッタ法により、第3層間絶縁膜6の上面、ビアホール65の内壁面、ビアホール65から露出する第2実配線11の露出面に沿ってバリアメタル層43が形成される。バリアメタル層43は、スパッタ法により、第3層間絶縁膜6側からTi層およびTiN層をこの順に成膜することにより形成される。
【0058】
次に、たとえばCVD法によって、ビアホール65を埋めて第3層間絶縁膜6を被覆するように導電体(たとえばタングステン)が第3層間絶縁膜6上に堆積されて、導電体膜(図示せず)が形成される。次に、たとえば研磨剤(砥粒)を用いたCMP法により、第3層間絶縁膜6上に形成された導電体膜およびバリアメタル層43が、第3層間絶縁膜6の上面が露出するまで研磨されて除去される。
【0059】
これにより、ビアホール65に埋め込まれた導電体膜がビア本体42となり、ビア本体42およびバリアメタル層43を含む第3ビア電極41が形成される。この工程の後、
図9Fと同様に、たとえば薬液を用いた洗浄により、第3層間絶縁膜6上に残存する研磨剤(砥粒)が除去されてもよい。
次に、
図9Oに示されるように、第3層間絶縁膜6上に、たとえばスパッタ法により、下側バリアメタル層38、Al配線層39および上側バリアメタル層40が順に成膜される。下側バリアメタル層38は、スパッタ法により、第3層間絶縁膜6側からTi層およびTiN層をこの順に成膜することにより形成される。Al配線層39は、スパッタ法により、AlCu合金を下側バリアメタル層38上に成膜することにより形成される。上側バリアメタル層40は、スパッタ法により、Al配線層39側からTi層およびTiN層をこの順に成膜することにより形成される。
【0060】
次に、第3実配線37を形成すべき領域に選択的に開口を有するレジストマスク(図示せず)が上側バリアメタル層40上に配置される。そして、当該レジストマスクを介するドライエッチング(たとえばRIE法)により、下側バリアメタル層38、Al配線層39および上側バリアメタル層40の不要な部分が除去される。これにより、第3層間絶縁膜6上に第3実配線37が形成される。
【0061】
次に、たとえばCVD法により、第3実配線37を被覆するように、絶縁材料(たとえば窒化シリコン)が第3層間絶縁膜6上に堆積されてパッシベーション膜50が形成される。次に、パッド開口52およびトリミング開口53を形成すべき領域に選択的に開口を有するレジストマスク(図示せず)がパッシベーション膜50上に形成される。次に、当該レジストマスクを介するドライエッチング(たとえばRIE法)により、パッド開口52およびトリミング開口53が同時に形成される。
【0062】
その後、トリミング開口53を介したレーザ照射等によって、抵抗体膜30にトリミング溝35(
図5および
図6も併せて参照)が選択的に刻設されて、抵抗体膜30の抵抗値が所望の値に合わせ込まれる。以上の工程を経て、半導体装置1が製造される。
以上のように、本実施形態の半導体装置1の製造方法によれば、サイドウォール32の形成工程(
図9G〜
図9I参照)において形成されるサイドウォール32により、ビア電極19の上面19aと第2層間絶縁膜5の上面5aとの間に形成された段差部29の高低差を緩和できる。これにより、抵抗体膜30の形成工程(
図9J参照)の際に、抵抗体膜30を良好な成膜性で、第2層間絶縁膜5の上面5a、サイドウォール32の表面32aおよびビア電極19の上面19aを被覆するように形成できる。
【0063】
つまり、抵抗体膜30を一様な厚さで、第2層間絶縁膜5の上面5a、サイドウォール32の表面32aおよびビア電極19の上面19aを被覆するように形成できる。これにより、抵抗体膜30とビア電極19とを良好に電気的に接続させることができる。その結果、ビア電極19と抵抗体膜30とのオーミック性の安定性を向上させることができる半導体装置1を製造できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、抵抗体膜30が、第2層間絶縁膜5に形成された第1ビア電極21を介して第1実配線10に電気的に接続され、第2層間絶縁膜5に形成された第2ビア電極22を介して第2実配線11に電気的に接続された例について説明した。しかし、この構成に代えて、
図10に示される構成が採用されてもよい。
図10は、変形例に係る半導体装置71の模式的な縦断面図である。
図10において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0065】
図10に示されるように、本変形例では、第3実配線37は、第3層間絶縁膜6の厚さ方向に抵抗体膜30と対向する部分において、第3層間絶縁膜6の表面から保護膜36を貫通して抵抗体膜30に至る第2ビア電極72を介して抵抗体膜30に電気的に接続されている。第2ビア電極72は、第3層間絶縁膜6に形成されている点を除いて、前述の第2ビア電極22と略同様の構成とされている。つまり、本変形例では、抵抗体膜30は、第2層間絶縁膜5に形成された第1ビア電極21を介して第1実配線10に電気的に接続されていると共に、第3層間絶縁膜6に形成された第2ビア電極72を介して第3実配線37に電気的に接続されている。
【0066】
このような第2ビア電極72は、前述の
図9Nの工程において、第3ビア電極41の形成工程の前後、またはそれと同時に第2ビア電極72を形成する工程を追加すればよい。第2ビア電極72は、第3ビア電極41の形成工程と略同様の工程を経て形成できる。このように、抵抗体膜30は、必ずしも二つのビア電極19を被覆するように形成されている必要はなく、一つのビア電極19を被覆するように形成された構成とされてもよい。
【0067】
半導体装置1,71は、たとえば、自動車(電気自動車を含む)や、産業用ロボット等の高精度アナログICの一部として組み込むことができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。