特許第6704799号(P6704799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6704799-車載充電装置および電動車両 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704799
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】車載充電装置および電動車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/14 20190101AFI20200525BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B60L53/14
   H02J7/00 P
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-113521(P2016-113521)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-221019(P2017-221019A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2018年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼口 良輔
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−278706(JP,A)
【文献】 特開2012−85467(JP,A)
【文献】 特開2016−52160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/00−58/40
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リレーが設けられた第1電力線を介して第1充電口に接続されるとともに、第2リレーが設けられた第2電力線を介して第2充電口に接続される車載充電装置であって、
前記第1リレーと前記第1充電口の間における前記第1電力線の電圧、および前記第2リレーと前記第2充電口の間における前記第2電力線の電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部によって検出された前記電圧の差および該電圧の位相差が予め定められた許容範囲内に収まっていることを条件に前記第1および第2リレーの両方を閉状態とする制御部と、
閉状態とされた前記第1および第2リレーを介して供給される交流電力を直流化して出力する電力変換部と、
を備え
前記制御部は、前記第1充電口に接続された第1外部電源が出力可能な電流値である第1出力可能電流、および前記第2充電口に接続された第2外部電源が出力可能な電流値である第2出力可能電流を取得し、前記電圧検出部によって検出された前記電圧の差および該電圧の位相差が前記許容範囲内に収まっており、かつ前記第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が他方よりも大きい場合に、前記第1および第2リレーの両方を閉状態とする
ことを特徴とする車載充電装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電圧検出部によって検出された前記電圧の差および該電圧の位相差が前記許容範囲内に収まっていない、または前記第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が大きい方よりも小さい場合に、前記第1電力線の電圧および前記第1出力可能電流の積である第1入力可能電力と、前記第2電力線の電圧および前記第2出力可能電流の積である第2入力可能電力とを比較し、前記第1入力可能電力の方が大きければ前記第1リレーのみを閉状態とし、前記第2入力可能電力の方が大きければ前記第2リレーのみを閉状態とする
ことを特徴とする請求項に記載の車載充電装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記電圧検出部によって検出された前記電圧の差および該電圧の位相差が前記許容範囲内に収まっていない、または前記第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が大きい方よりも小さい場合に、前記第1出力可能電流と前記第2出力可能電流とを比較し、前記第1出力可能電流の方が大きければ前記第1リレーのみを閉状態とし、前記第2出力可能電流の方が大きければ前記第2リレーのみを閉状態とする
ことを特徴とする請求項に記載の車載充電装置。
【請求項4】
第1充電口と、
第2充電口と、
第1リレーが設けられた第1電力線を介して前記第1充電口に接続され、かつ第2リレーが設けられた第2電力線を介して前記第2充電口に接続された車載充電装置と、
電力貯蔵部と、
を備え、
前記車載充電装置は、
前記第1リレーと前記第1充電口の間における前記第1電力線の電圧、および前記第2リレーと前記第2充電口の間における前記第2電力線の電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部によって検出された前記電圧の差および該電圧の位相差が予め定められた許容範囲内に収まっていることを条件に前記第1および第2リレーの両方を閉状態とする制御部と、
閉状態とされた前記第1および第2リレーを介して供給される交流電力を直流化して前記電力貯蔵部に出力する電力変換部と、
を含み、
前記制御部は、前記第1充電口に接続された第1外部電源が出力可能な電流値である第1出力可能電流、および前記第2充電口に接続された第2外部電源が出力可能な電流値である第2出力可能電流を取得し、前記電圧検出部によって検出された前記電圧の差および該電圧の位相差が前記許容範囲内に収まっており、かつ前記第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が他方よりも大きい場合に、前記第1および第2リレーの両方を閉状態とする
ことを特徴とする電動車両。
【請求項5】
前記制御部は、
前記電圧検出部によって検出された前記電圧の差および該電圧の位相差が前記許容範囲内に収まっていない、または前記第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が大きい方よりも小さい場合に、前記第1電力線の電圧および前記第1出力可能電流の積である第1入力可能電力と、前記第2電力線の電圧および前記第2出力可能電流の積である第2入力可能電力とを比較し、前記第1入力可能電力の方が大きければ前記第1リレーのみを閉状態とし、前記第2入力可能電力の方が大きければ前記第2リレーのみを閉状態とする
ことを特徴とする請求項に記載の電動車両。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電圧検出部によって検出された前記電圧の差および該電圧の位相差が前記許容範囲内に収まっていない、または前記第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が大きい方よりも小さい場合に、前記第1出力可能電流と前記第2出力可能電流とを比較し、前記第1出力可能電流の方が大きければ前記第1リレーのみを閉状態とし、前記第2出力可能電流の方が大きければ前記第2リレーのみを閉状態とする
ことを特徴とする請求項に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の充電口に接続された車載充電装置、および該車載充電装置を備えた電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド車等の電動車両は、外部電源と車載充電装置とを接続するための充電口を備えている。外部電源が屋内外に設けられたコンセントである場合、充電口は、該コンセントに差し込み可能なプラグ状を有する。また、外部電源が駐車場等に設置された設置型充電器である場合、充電口は、充電器から延びた充電ケーブルの先端に設けられたいわゆる充電ガンと嵌合可能なソケット状を有する。
【0003】
このように、電動車両の充電口は、外部電源に応じて様々なタイプが存在する。また、利便性を高めるために、タイプが異なる2つ充電口を備えた電動車両も検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−15548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電動車両では、2つの充電口が排他的に使用される。このため、この電動車両では、2つの外部電源を同時に利用(併用)して充電時間を短くすることができない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、複数の外部電源を好適に利用可能な車載充電装置および該車載充電装置を備えた電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る車載充電装置は、第1リレーが設けられた第1電力線を介して第1充電口に接続されるとともに、第2リレーが設けられた第2電力線を介して第2充電口に接続される車載充電装置であって、第1リレーと第1充電口の間における第1電力線の電圧、および第2リレーと第2充電口の間における第2電力線の電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部によって検出された電圧の差および該電圧の位相差が予め定められた許容範囲内に収まっていることを条件に第1および第2リレーの両方を閉状態とする制御部と、閉状態とされた第1および第2リレーを介して供給される交流電力を直流化して出力する電力変換部とを備え、制御部は、第1充電口に接続された第1外部電源が出力可能な電流値である第1出力可能電流、および第2充電口に接続された第2外部電源が出力可能な電流値である第2出力可能電流を取得し、電圧検出部によって検出された電圧の差および該電圧の位相差が許容範囲内に収まっており、かつ第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が他方よりも大きい場合に、第1および第2リレーの両方を閉状態とすることを特徴とする。
【0008】
この構成では、第1および第2電力線の電圧の差および該電圧の位相差が予め定められた許容範囲内に収まっていることを条件に第1および第2リレーの両方が閉状態とされる。したがって、この構成によれば、第1充電口に接続された外部電源および第2充電口に接続された外部電源を併用して充電時間を短くすることができる。
【0010】
ここで、第1および第2リレーの両方を閉状態として第1および第2外部電源を併用する場合、第1および第2外部電源から電力変換部に流れ込む電流は自ずと等しくなる。例えば、第1出力可能電流Iが第2出力可能電流Iよりも大きい場合(I>I)、電力変換部には、I+IでもI×2でもなくI×2の電流が流れ込む。したがって、両者に2倍を超える開きがある場合に第1および第2外部電源を併用すると、かえって充電時間が長くなる。
【0011】
上記の構成によれば、第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が他方よりも大きい場合に限って、第1および第2リレーの両方が閉状態とされ、第1および第2外部電源が併用されるので、充電時間がかえって長くなるのを防ぐことができる。
【0012】
第1および第2外部電源を併用することが不適当な場合、すなわち、電圧検出部によって検出された電圧の差および該電圧の位相差が許容範囲内に収まっていないか、第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が他方よりも小さい場合の制御部の動作としては、例えば、以下の(1),(2)が考えられる。
【0013】
(1)第1電力線の電圧および第1出力可能電流の積である第1入力可能電力と、第2電力線の電圧および第2出力可能電流の積である第2入力可能電力とを比較し、第1入力可能電力の方が大きければ第1リレーのみを閉状態とし、第2入力可能電力の方が大きければ第2リレーのみを閉状態とする。
(2)第1出力可能電流と第2出力可能電流とを比較し、第1出力可能電流の方が大きければ第1リレーのみを閉状態とし、第2出力可能電流の方が大きければ第2リレーのみを閉状態とする。
【0014】
なお、上記(1)において、第1入力可能電力および第2入力可能電力が等しい場合は、第1電力線の電圧と第2電力線の電圧とを比較し、電圧が高い方の電力線のリレーのみを閉状態とする。電圧も等しい場合は、優先的に使用することが予め定められた充電口側のリレーのみを閉状態とする。上記(2)において、第1出力可能電流および第2出力可能電流が等しい場合も、優先的に使用することが予め定められた充電口側のリレーのみを閉状態とする。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る電動車両は、第1充電口と、第2充電口と、第1リレーが設けられた第1電力線を介して第1充電口に接続され、かつ第2リレーが設けられた第2電力線を介して第2充電口に接続された車載充電装置と、電力貯蔵部とを備え、車載充電装置は、第1リレーと第1充電口の間における第1電力線の電圧、および第2リレーと第2充電口の間における第2電力線の電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部によって検出された電圧の差および該電圧の位相差が予め定められた許容範囲内に収まっていることを条件に第1および第2リレーの両方を閉状態とする制御部と、閉状態とされた第1および第2リレーを介して供給される交流電力を直流化して電力貯蔵部に出力する電力変換部とを含み、制御部は、第1充電口に接続された第1外部電源が出力可能な電流値である第1出力可能電流、および第2充電口に接続された第2外部電源が出力可能な電流値である第2出力可能電流を取得し、電圧検出部によって検出された電圧の差および該電圧の位相差が許容範囲内に収まっており、かつ第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が他方よりも大きい場合に、第1および第2リレーの両方を閉状態とすることを特徴とする。
【0017】
第1および第2外部電源を併用することが不適当な場合、すなわち、電圧検出部によって検出された電圧の差および該電圧の位相差が許容範囲内に収まっていないか、第1および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が他方よりも小さい場合の制御部の動作としては、例えば、以下の(1),(2)が考えられる。
【0018】
(1)第1電力線の電圧および第1出力可能電流の積である第1入力可能電力と、第2電力線の電圧および第2出力可能電流の積である第2入力可能電力とを比較し、第1入力可能電力の方が大きければ第1リレーのみを閉状態とし、第2入力可能電力の方が大きければ第2リレーのみを閉状態とする。
(2)第1出力可能電流と第2出力可能電流とを比較し、第1出力可能電流の方が大きければ第1リレーのみを閉状態とし、第2出力可能電流の方が大きければ第2リレーのみを閉状態とする。
【0019】
なお、上記(1)において、第1入力可能電力および第2入力可能電力が等しい場合は、第1電力線の電圧と第2電力線の電圧とを比較し、電圧が高い方の電力線のリレーのみを閉状態とする。電圧も等しい場合は、優先的に使用することが予め定められた充電口側のリレーのみを閉状態とする。上記(2)において、第1出力可能電流および第2出力可能電流が等しい場合も、優先的に使用することが予め定められた充電口側のリレーのみを閉状態とする。
【0020】
これらの構成によっても、本発明に係る車載充電装置と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の外部電源を好適に利用可能な車載充電装置および該車載充電装置を備えた電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例に係る車載充電装置を備えた電動車両のブロック図である。
図2】本発明の実施例に係る車載充電装置に備えられた制御部の動作を示すフロー図である。
図3】本発明の変形例に係る車載充電装置に備えられた制御部の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る車載充電装置および電動車両の実施例について説明する。
【0024】
図1に、本発明の実施例に係る電動車両10を示す。同図に示すように、電動車両10は、第1充電口20と、第2充電口30と、第1充電口20に接続された第1電力線11および通信線15と、第2充電口30に接続された第2電力線12と、第1電力線11および通信線15を介して第1充電口20に接続されるとともに、第2電力線12を介して第2充電口30に接続された車載充電装置1と、電力貯蔵部40とを備えている。
【0025】
電動車両10は、さらに、第1電力線11の途中に設けられた第1リレー13と、第2電力線12の途中に設けられた第2リレー14とを備えている。第1リレー13および第2リレー14は、車載充電装置1によって開状態または閉状態とされる。
【0026】
第1充電口20は、SAE J1772規格に準拠したソケット状の充電口である。第1充電口20は、使用時に第1外部電源21に接続される。この実施例では、設置型充電器が第1外部電源として機能する。一方、第2充電口30は、使用時に屋内外に設けられた第2外部電源31に接続される。この実施例では、AC200Vの商用交流電力が供給されるコンセントが第2外部電源として機能し、第2充電口30は、当該コンセントに差し込まれるプラグ状の充電口である。設置型充電器21は、本発明の「第1外部電源」の一例である。また、200Vの商用交流電力が供給されるコンセント31は、本発明の「第2外部電源」の一例である。
【0027】
電力貯蔵部40は、リチウムイオン電池等の二次電池、大容量キャパシタ等からなる。電力貯蔵部40に蓄えられた電力は、電動車両10の走行用モータ(不図示)を駆動するために利用される。
【0028】
車載充電装置1は、電圧検出部2と、電流検出部3と、記憶部4と、制御部5と、電力変換部6とを備えている。これらのうち、電圧検出部2、電流検出部3、記憶部4および制御部5は、マイクロプロセッサ(MPU,Micro-processing unit)等からなる。
【0029】
電圧検出部2は、第1リレー13と第1充電口20の間における第1電力線11の電圧、および第2リレー14と第2充電口30の間における第2電力線12の電圧を所定の周期でサンプリングし、その結果を制御部5に送出し続ける。
【0030】
電流検出部3は、第1電力線11を流れる電流、および第2電力線12を流れる電流を所定の周期でサンプリングし、その結果を制御部5に送出し続ける。図1に示すように、電流検出部3は、第1リレー13と電力変換部6の間、および第2リレー14と電力変換部6の間において電流をサンプリングする。電流検出部3は、第1リレー13と第1充電口20の間、および第2リレー14と第2充電口30の間において電流をサンプリングしてもよい。
【0031】
電力変換部6は、制御部5によって開閉制御される複数の電力用半導体スイッチング素子等からなるAC/DCコンバータである。電力変換部6は、第1充電口20を介して供給される交流電力および第2充電口30を介して供給される交流電力のいずれか一方、または両方を直流化し、電力貯蔵部40に出力する。
【0032】
制御部5は、電圧検出部2の検出結果と、電流検出部3の検出結果と、第1充電口20に接続された第1外部電源21の出力可能電流(以下、「第1出力可能電流」という)と、第2充電口30に接続された第2外部電源31の出力可能電流(以下、「第2出力可能電流」という)とに基づいて、電力変換部6と、第1リレー13と、第2リレー14とを制御する。制御部5は、通信線15を介して第1外部電源21から第1出力可能電流を取得する。また、制御部5は、記憶部4を参照することにより該記憶部4に予め格納された第2出力可能電流を取得する。
【0033】
図2を参照しながら、制御部5の動作についてさらに詳しく説明する。
【0034】
第1充電口20または第2充電口30に新たに外部電源が接続されると、制御部5は、接続中の外部電源の数が2であるか否かを判定する(ステップS1)。この判定は、電圧検出部2がサンプリングした第1電力線11および第2電力線12の電圧に基づいて行われる。例えば、制御部5は、第1電力線11の電圧がゼロであれば、第1充電口20に第1外部電源21が接続されていないと判定し、ゼロでなければ、第1充電口20に第1外部電源21が接続されていると判定する。第2電力線12についても同様である。
【0035】
接続中の外部電源の数が1である場合(ステップS1において“No”)、制御部5は、外部電源が接続されている方の電力線のリレーを閉状態とするととともに、電力変換部6に充電開始指令を送出して充電を開始させる(ステップS2,S8)。例えば、第2充電口30が第2外部電源31に接続されている場合、制御部5は、第2リレー14を開状態から閉状態に切り替え、第2外部電源31を利用して電力貯蔵部40を充電させる。このとき、制御部5は、第1リレー13を開状態のままとする。
【0036】
一方、接続中の外部電源の数が2である場合(ステップS1において“Yes”)、制御部5は、第1出力可能電流および第2出力可能電流を取得(ステップS3)した後に、ステップS4,S5,S6の判定を行う。
【0037】
ステップS4において、制御部5は、同じ時刻にサンプリングされた第1電力線11の電圧および第2電力線12の電圧の差が予め定められた許容範囲内に収まっているか否かを判定する。また、ステップS5において、制御部5は、第1電力線11の電圧および第2電力線12の電圧の位相差が予め定められた許容範囲内に収まっているか否かを判定する。いずれかの判定において“No”となった場合、制御部5は、第1外部電源21および第2外部電源31のうちの一方を利用して電力貯蔵部40を充電させる(ステップS9,S10,S8)。電圧差および/または位相差が許容範囲を超えている場合に第1リレー13および第2リレー14の両方を閉状態として第1外部電源21および第2外部電源31の出力を短絡させると、第1外部電源21および第2外部電源31に過大な負荷がかかるおそれがあるからである。
【0038】
ステップS4,S5の両方の判定において“Yes”となった場合に行われるステップS6において、制御部5は、第1出力可能電流および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍が他方よりも大きいか否かを判定する。
【0039】
第1リレー13および第2リレー14を閉状態とし、第1外部電源21および第2外部電源31の合算電力で充電を行う場合、各外部電源21,31から電力変換部6に流れ込む電流は自ずと等しくなる。例えば、第1出力可能電流Iが第2出力可能電流Iよりも大きい場合(I>I)、電力変換部6には、I+IでもI×2でもなくI×2の電流が流れ込む。したがって、両者に2倍を超える開きがある場合に、第1外部電源21および第2外部電源31の合算電力で充電を行うと、かえって充電時間が長くなる。このような理由から、ステップS6の判定において“No”となった場合、制御部5は、第1外部電源21および第2外部電源31のうちの一方の電力で電力貯蔵部40を充電させる(ステップS9,S10)。
【0040】
ステップS4,S5,S6の全ての判定において“Yes”となった場合、すなわち、第1外部電源21および第2外部電源31の合算電力で充電を行うことが適当な場合、制御部5は、第1リレー13および第2リレー14を開状態から閉状態に切り替えるとともに、電力変換部6に充電開始指令を送出して充電を開始させる(ステップS7,S8)。
【0041】
このとき、制御部5は、電流検出部3によって検出された第1電力線11および第2電力線12のそれぞれの電流を参照しながら、第1出力可能電流を超過した電流が第1電力線11を介して電力変換部6に流れ込んだり、第2出力可能電流を超過した電流が第2電力線12を介して電力変換部6に流れ込んだりすることがないよう、電力変換部6をフィードバック制御する。この制御は、第1出力可能電流および第2出力可能電流のうちの小さい方の2倍を超過した電流が電力変換部6に流れ込むことを防ぐ制御にほぼ等しい。
【0042】
一方、ステップS4,S5,S6のいずれかの判定において“No”となった場合、すなわち、第1外部電源21および第2外部電源31の合算電力で充電を行うことが不適当な場合、制御部5は、第1入力可能電力および第2入力可能電力を算出する(ステップS9)。より詳しくは、制御部5は、第1電力線11の電圧および第1出力可能電流の積により第1入力可能電力を算出し、第2電力線12の電圧および第2出力可能電流の積により第2入力可能電力を算出する。
【0043】
そして、制御部5は、第1入力可能電力と第2入力可能電力とを比較し、第1入力可能電力の方が大きければ第1リレー13のみを閉状態とし、第2入力可能電力の方が大きければ第2リレー14のみを閉状態とする(ステップS10)。入力可能電力が大きい外部電源を利用した方が、充電時間が短くなるからである。なお、第1入力可能電力および第2入力可能電力が等しい場合は、第1電力線11の電圧と第2電力線12の電圧とを比較し、電圧が高い方の電力線のリレーのみを閉状態とすればよい。電圧も等しい場合は、優先的に使用することが予め定められた充電口側のリレーのみを閉状態とすればよい。
【0044】
以上、本発明に係る車載充電装置および電動車両の実施例について説明してきたが、本発明の構成は実施例の構成に限定されるものではない。
【0045】
例えば、充電口の数およびタイプは任意に変更することができる。すなわち、本発明に係る電動車両の充電口は、(1)設置型充電器に接続される2以上の充電口のみで構成されていてもよいし、(2)コンセントに接続される2以上の充電口のみで構成されていてもよいし、(3)設置型充電器に接続される1以上の充電口とコンセントに接続される1以上の充電口とで構成されていてもよい。
【0046】
また、本発明に係る制御部は、ステップS9,S10によってではなく、ステップS11によって閉状態とするリレーを選択してもよい(図3参照)。すなわち、制御部5は、第1出力可能電流と第2出力可能電流とを比較し、第1出力可能電流の方が大きければ第1リレー13のみを閉状態とし、第2出力可能電流の方が大きければ第2リレー14のみを閉状態としてもよい。この構成によっても、実施例とほぼ同等の効果が得られる。なお、第1出力可能電流および第2出力可能電流が等しい場合は、優先的に使用することが予め定められた充電口側のリレーのみを閉状態とすればよい。
【0047】
また、本発明に係る制御部は、ステップS1の判定を任意の方法で行うことができる。例えば、制御部は、相互通信が確立している外部電源(設置型充電器)の数を数えることにより、ステップS1の判定を行ってもよい。
【0048】
また、電力貯蔵部40が車載バッテリである場合、本発明にかかる制御部は、ステップS10の判定において、第1入力可能電力と第2入力可能電力とに差があったとしても、その差が予め定められた許容値以下である場合は、第1電力線11の電圧と第2電力線12の電圧とを比較し、電圧が高い方の電力線のリレーを閉状態とするように構成されていることが好ましい。入力される電圧が高いと、電力変換部6の電力変換効率が良くなるからである。
【符号の説明】
【0049】
1 車載充電装置
2 電圧検出部
3 電流検出部
4 記憶部
5 制御部
6 電力変換部
10 電動車両
11 第1電力線
12 第2電力線
13 第1リレー
14 第2リレー
15 通信線
20 第1充電口
21 第1外部電源
30 第2充電口
31 第2外部電源
40 電力貯蔵部
図1
図2
図3