特許第6704810号(P6704810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704810
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】チョーク操作補助装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 1/02 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   F02M1/02 E
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-133725(P2016-133725)
(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公開番号】特開2018-3759(P2018-3759A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000215187
【氏名又は名称】追浜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 利幸
(72)【発明者】
【氏名】川原 篤
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−303848(JP,A)
【文献】 実開昭57−036342(JP,U)
【文献】 実開昭52−062718(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 77/08
F02M 1/02
F02P 1/00− 3/12、 7/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン始動のために手動チョークを備えた機械に着脱可能なチョーク操作補助装置であって、
前記手動チョークの操作を補助する表示を行う回路部と、
前記回路部に電力を供給するバッテリと、
前記表示を外部から視認可能に前記回路部および前記バッテリを収容する筐体と、を有し、
前記回路部は、
前記チョーク操作補助装置が前記機械に取り付けられた状態で、前記エンジンの点火時に発せられる無線電波を受信する受信回路と、
前記無線電波から点火を検知する検知回路と、
点火の時間間隔を順次算出し、該時間間隔の変化に基づいてエンジンの状態を判断し、前記エンジンの状態に基づいて、行うべき前記手動チョークの操作を決定する処理部と、
決定された前記操作を補助するための第1操作補助表示を表示する表示部と、を有する、
チョーク操作補助装置。
【請求項2】
前記第1操作補助表示は前記手動チョークをオフにすることを促す表示であり、
前記処理部は前記時間間隔の変化に基づいて初爆を検知し、
前記表示部は、前記初爆が検知されると前記第1操作補助表示を表示する、
請求項1に記載のチョーク操作補助装置。
【請求項3】
前記処理部は、一連の連続的な点火が発生している間に、前記時間間隔が前回の時間間隔よりも所定時間を超える時間だけ短くなったら前記初爆を検知する、
請求項2に記載のチョーク操作補助装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記時間間隔を移動平均により算出する、請求項3に記載のチョーク操作補助装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記一連の連続的な点火のうち最初の点火から所定時間内、または最初の所定回数の点火が起こっている時間内は、前記初爆の検知を行わない、請求項3に記載のチョーク操作補助装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記一連の連続的な点火が所定回数繰り返し起こっても前記初爆が検知されないとき前記手動チョークをオフにすべきと判断し、
前記表示部は、前記処理部が前記手動チョークをオフにすべきと判断すると、前記第1操作補助表示を表示する、請求項3に記載のチョーク操作補助装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記第1操作補助表示が表示された後の一連の連続的な点火において、点火の時間間隔が単調増加して点火が発生しなくなった場合、警告を表示すべきと判断し、前記点火の時間間隔が所定時間より短い状態から点火が停止した場合、スイッチオフによる正常なエンジン停止と判断し、
前記表示部は、前記警告を表示すべきと判断されると、前記警告を表わす第2操作補助表示を表示する、
請求項2に記載のチョーク操作補助装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記エンジンが停止してから所定時間が経過するまで、前記手動チョークをオフのままで前記エンジンを始動することを促す第3操作補助表示を表示する、請求項1に記載のチョーク操作補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エンジンへ供給される混合気における燃料の比率を上げる手動操作チョークの操作タイミングを提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
芝刈り機や刈払機などには、エンジンの始動を容易にするためにチョークが設けられている。チョークは、エンジンへ供給する吸気の空気と燃料の比率を上げることにより、エンジンの始動、特に冷間での始動を容易にする。チョークには、冷間時に自動的に混合気の燃料濃度を上げるオートチョークと、チョークレバーやスタータレバーを手動操作で操作することにより混合気の燃料濃度を上げる手動チョークとがある。近年の自動車などではオートチョークが一般的となっているが、芝刈り機や刈払機など小型機械には簡易に構成できる手動チョークが用いられる。
【0003】
デコンプレッション機構(デコンプ)を備えるエンジンにおける手動チョークの操作を伴う始動手順は例えば以下の通りである。
【0004】
まず、手動でデコンプバルブ釦を押し込む。これによりデコンプバルブが開放されてシリンダの穴が開き、ピストン上昇時の圧力を逃がすことができるようになる。これにより、ピストンが動きやすくなりスターターロープが軽く引けるようになる。
【0005】
次に、チョークレバー(あるいはチョークノブ)を引いて、混合気の生成に空気を供給する空気流路を塞ぐ、あるいは、混合気の生成に供給する燃料を増やす。これによって燃焼室の空気内の燃料の濃度が高くなる。
【0006】
続いて、リコイルスターターのスターターロープを引いてロータを回転させ、クランクシャフトに回転を与える。これと同時にスパークプラグが点火される。
【0007】
スターターロープを数回繰り返し引くうちに初爆が起こる。慣れたユーザならば音と振動で初爆が起こったことが分かる。初爆の爆圧によりデコンプバルブは自動的に閉じる。
【0008】
通常、ここでエンジンはいったん停止するので、チョークレバーを戻してからスターターロープを再び引く。これにより完全にエンジンが始動する。
【0009】
以上の手順を正しく行えばエンジンは正常に始動するが、ユーザが不慣れや不注意で手順を誤ることがある。特に、初爆が起こったらチョークを戻す必要があるが、不慣れなユーザはしばしばチョークを戻し忘れる。チョークを戻し忘れたまま、スターターロープを引き続けると、不完全燃焼により、次第にスパークプラグがかぶってエンジンが止まり、その後かからなくなってしまう。そのため、正常な新品の芝刈り機等がエンジン不調として返品されるという事態が頻発し、問題視されている。
【0010】
これに関連して、特許文献1には、チョークノブが引かれた状態にあることを報知するチョークウォーニング装置が開示されている。また、特許文献2には、チョークバルブの作動時および戻し操作のタイミングを点灯表示手段によって警告する警告装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開昭61−110855号公報
【特許文献2】実開昭60−72952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
チョークの戻し忘れは慣れたユーザであればほとんど起こすことが無い。しかしながら、特許文献1のチョークウォーニング装置や特許文献2の警告装置は機械に組み込まれている。そのため、これを芝刈り機や刈払機などの小型機械に適用すれば機器コストを上げる要因となってしまう。
【0013】
本発明の目的は、機械のコストアップを抑えつつ手動チョークの操作を補助する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの実施形態に従うチョーク操作補助装置は、エンジン始動のために手動チョークを備えた機械に着脱可能なチョーク操作補助装置であって、前記手動チョークの操作を補助する表示を行う回路部と、前記回路部に電力を供給するバッテリと、前記表示を外部から視認可能に前記回路部および前記バッテリを収容する筐体と、を有し、前記回路部は、前記チョーク操作補助装置が前記機械に取り付けられた状態で、前記エンジンから点火時に発せられる無線電波を受信する受信回路と、前記無線電波から点火を検知する検知回路と、点火の時間間隔を順次算出し、該時間間隔の変化に基づいてエンジンの状態を判断し、前記エンジンの状態に基づいて、行うべき前記手動チョークの操作を決定する処理部と、決定された前記操作を補助するための第1操作補助表示を表示する表示部と、を有している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、チョーク操作補助装置が機械に着脱可能に取り付けられるので、機械のコストアップを抑えて、手動チョークの操作の補助を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態によるチョーク操作補助装置を刈払機に取り付けた様子を示す概略斜視図である。
図2】本実施形態によるチョーク操作補助装置の外観を示す概略斜視図である。
図3】本実施形態によるチョーク操作補助装置のブロック図である。
図4】本実施形態による処理部16のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】初爆を検知してチョークオフを促す表示を行う処理を示すフローチャートである。
図6】エンジン停止後の手動チョークの操作を補助する表示を行う処理を示すフローチャートである。
図7】一連の点火を繰り返しても初爆が発生しないときに手動チョークをオフにするように促す表示を行う処理を示すフローチャートである。
図8】点火プラグに電流を供給する配線から電磁波として放出される一連の点火ノイズと振動を示すグラフである。
図9】一連の点火によりエンジンから生じる点火ノイズと振動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態のチョーク操作補助装置は刈払機に取り付けて使用される。図1は、本実施形態によるチョーク操作補助装置を刈払機に取り付けた様子を示す概略斜視図である。図1を参照すると、刈払機A1にチョーク操作補助装置10が取り付けられている。刈払機A1は、チョークスイッチA12、リコイルスタータノブA13、およびプラグケースA15を備えたエンジン筐体A11にクラッチケースA14が接続されている。一例として面ファスナーによりチョーク操作補助装置10が刈払機A1に取り付けられている。エンジン筐体A11にはエンジン(不図示)および燃料タンク(不図示)が収容されている。
【0019】
手動のチョークスイッチA12によりチョークのオンとオフを切り替えることができる。リコイルスタータノブA13にはスタータロープ(不図示)が接続されており、これを引くとエンジンに回転を与えることができる。エンジンで発生する動力はクラッチケースA14内のクラッチを介して刈払刃を回転させる。プラグケースA15にはエンジン点火用のプラグ(不図示)が収容されている。
【0020】
図2は、本実施形態によるチョーク操作補助装置の外観を示す概略斜視図である。図2に示すように、チョーク操作補助装置10は筐体11から表示部であるLED17aが露出した形状である。
【0021】
図3は、本実施形態によるチョーク操作補助装置のブロック図である。本実施形態によるチョーク操作補助装置10は刈払機や芝刈り機など、エンジンで駆動され、エンジン始動のために手動チョーク(不図示)を備えた機械に着脱可能な装置である。チョーク操作補助装置10はユーザによる手動チョークの操作を補助するための表示を行う装置である。
【0022】
チョーク操作補助装置10は、回路部12とバッテリ13が筐体11に収容された構成である。回路部12は、手動チョークの操作を補助する表示を行う。バッテリ13は回路部12に電力を供給する。回路部12は、受信回路14、検知回路15、処理部16、および表示部17を有する。
【0023】
受信回路14は、アンテナ(不図示)を備え、チョーク操作補助装置10が機械に取り付けられた状態で、エンジンから点火時に発せられる無線電波を受信し、装置内で用いる電気信号に変換する。エンジンから点火時に発せられる無線電波は、エンジンの点火プラグ(不図示)がスパークするのに伴って放出される電磁ノイズである。
【0024】
検知回路15は、受信回路14が無線電波を変換した電気信号に基づいて、エンジンの点火を検知する。
【0025】
始動時にユーザがリコイルスターター(不図示)のスターターロープ(不図示)を引くと、エンジンでは複数の連続した点火が発生する。処理部16は、時間的に隣接する点火時期の時間間隔を順次算出し、時間間隔の変化に基づいてエンジンの状態を判断し、エンジンの状態に基づいて、行うべき手動チョークの操作を決定する。具体例として、処理部16は、初爆が起こったと判断すると、手動チョークをオフにすることを決定する。
【0026】
表示部17は、処理部16によって決定された操作をユーザが行うのを補助するための表示(第1操作補助表示)を行う。具体例として、表示部17はLEDを点灯あるいは点滅させるものであり、初爆の検知により手動チョークをオフにすることが決定された場合、表示部17は、LEDを点灯させ、手動チョークをオフにすることをユーザに促す。LEDの点灯は一例として5秒間の継続点灯である。
【0027】
筐体11は、回路部12による表示を外部から視認可能に回路部12およびバッテリ13を収容する。ここでは一例として、筐体11はLEDを露出させる開口部を有するものとする。
【0028】
本実施形態では、チョーク操作補助装置10が機械に着脱可能に取り付けられるので、機械の操作に慣れたユーザはチョーク操作補助装置10を用いる必要がなく、不慣れなユーザにはチョーク操作補助装置10で手動チョークの操作を補助することができる。そのため、機械のコストアップを抑えてつつ、必要に応じて手動チョークの操作を補助することができる。本実施形態では、初爆を検知すると第1操作補助表示を表示するので、ユーザは手動チョークをオフにすべき時期を容易に知ることができる。
【0029】
図4は、本実施形態による処理部16のハードウェア構成を示すブロック図である。処理部16は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、およびI/O(Input/Output)ポート24、25を有している。
【0030】
CPU21がROM23からプログラムを読み出し、RAM22を利用しながら実行する。その際、CPU21は検知回路15で検知された点火のタイミングをI/Oポート24経由で所得し、処理に利用する。また、CPU21はI/Oポート25経由で表示部17に、手動チョークの操作を補助する表示を行わせる。CPU21がプログラムを実行することにより行う処理の詳細を以下に説明する。
【0031】
図5は、初爆を検知してチョークオフを促す表示を行う処理を示すフローチャートである。処理部16は、点火の発生を監視しており(ステップ101)、点火を検知すると、前回の点火から経過した時間(点火の時間間隔)を算出する(ステップ102)。
【0032】
次に、処理部16は、その点火が一連の点火のうちの初回の点火であるか否か判定する(ステップ103)。一連の点火とは、リコイルスターターのスターターロープを引くことにより連続的に発生する複数の点火のことである。一連の点火のうち初回の点火であるか否かの判定は、前回の点火から今回の点火までの時間間隔が所定時間以上、例えば300msec以上であったら、一連の点火のうちの初回の点火であるというように判定すればよい。
【0033】
ステップ103の判定で、今回の点火が一連の点火のうちの初回の点火であったら、処理部16はステップ101に戻る。一方、今回の点火が一連の点火のうちの初回の点火でなかったら、処理部16は、今回の点火で初爆が起きたか否か判定する(ステップ104)。
【0034】
スターターロープを引いて一連の点火が始まった後、初爆が発生しなければ、エンジンが惰性で回転するだけなので点火の時間間隔は徐々に長くなっていき、いずれ停止する。つまり、点火の時間間隔は単調増加となる。これに対して、初爆が発生すると初爆の爆発力でエンジンが惰性ではなく強制的に回転するので、そのときは点火の時間間隔が短くなる。よって、例えば、初爆が起きたか否かの判定は、今回の点火の時間間隔が前回の点火の時間間隔よりも短かったら初爆が起きたと判定すればよい。あるいは点火タイミングのバラツキを考慮して、今回の点火の時間間隔が前回の点火の時間間隔よりも所定割合(例えば20%)以上短かったら初爆が起きたと判定してもよい。あるいは、やはり点火タイミングのバラツキを考慮して、今回の点火の時間間隔が前回の点火の時間間隔よりも所定時間以上短かったら初爆が起きたと判定してもよい。
【0035】
初爆が起きていなければ、処理部16はステップ101に戻る。一方、初爆が起きていれば処理部16は表示部17に、手動チョークをオフにすることをユーザに促す表示を開始させる(ステップ105)。その後、処理部16は、エンジンが完全に始動することを監視する(ステップ106)。エンジンが完全に始動したら、処理部16は、表示部17に、手動チョークをオフにする表示を終了させ(ステップ107)、処理を終了する。なお、一連の点火が所定時間以上持続したらエンジンが完全に始動したと判断すればよい。例えば、点火が3.0sec以上連続したらエンジンが完全に始動したと判断することにしてもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、ステップ104において、今回の点火の時間間隔が前回の点火の時間間隔よりも短かったら初爆が発生したと判断することにした。しかし、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、処理部16は、一連の連続的な点火が発生している間、ステップ104において、点火の時間間隔が前回の時間間隔よりも所定時間を超える時間だけ短くなったら初爆を検知することにしてもよい。これによれば、点火の時間間隔が所定時間を超えるだけ短くなったときに初爆と判断するので、点火のタイミングにバラツキがあっても初爆の誤検出を防止し、正確に初爆を検知することができる。
【0037】
また、本実施形態の他の例として、処理部16は、ステップ102において、点火の時間間隔を移動平均により算出することにしてもよい。その場合、移動平均のウィンドウには、複数の点火の時間間隔が含まれるようなウィンドウ幅を用いるのが好ましく、例えばウィンドウ幅を100〜200msec程度に設定すればよい。移動平均により誤差が相殺されるので点火時期がばらついても時間間隔の変化の様子を正しく把握することが可能である。
【0038】
また、本実施形態では、一連の連続的な点火の初期の状態から点火の時間間隔が短くなったら初爆を検知することとした。しかし、本発明がこれに限定されることは無い。他の例として、処理部16は、一連の連続的な点火のうち最初の点火から所定時間内は初爆の検知を行わないことにしてもよい。具体的には、ステップ103において、一連の連続的な点火のうち最初の所定時間内はNOと判定し、ステップ101に戻ることにすればよい。あるいは、処理部16は、一連の連続的な点火のうち最初の所定回数の点火が起こっている時間内は初爆の検知を行わないことにしてもよい。具体的には、ステップ103において、一連の連続的な点火のうち最初の所定回数の点火が起こっている時間内はNOと判定し、ステップ101に戻ることにすればよい。最初の不安定な点火の時間間隔のバラツキで初爆を誤検知することを防止することができる。また、使用していないときに外乱等のノイズを初爆として誤検出し、LEDを点灯させてしまうのを防止することにもなる。
【0039】
図6は、エンジン停止後の手動チョークの操作を補助する表示を行う処理を示すフローチャートである。エンジンが完全に始動した後、処理部16は、エンジンの停止を監視する(ステップ201)。例えばユーザがスイッチをオフにすることによりエンジンは停止する。停止した直後のエンジンは十分に温まっているので、エンジン停止から冷えるまでの時間は再びエンジンを始動するときに手動チョークをオンにする必要が無い。本実施形態では、その時間をタイマーで計測する。
【0040】
エンジンが停止すると、処理部16はタイマーをスタートする(ステップ202)。続いて、処理部16は表示部17に、エンジン始動時に手動チョークをオフのままでエンジンを始動することを促す表示を開始させる(ステップ203)。手動チョークをオフのままでエンジンを始動することを促す表示は例えばLEDの低速での点滅である。起動時にチョークを引く必要がない状態であることをLED低速点滅でユーザに知らせる。
【0041】
例えば、エンジンが所定時間(時間A)動作した後に停止したらその後所定時間(時間B)、LEDを低速点滅させる。時間A、時間Bはそれぞれ予め定められた一定時間であってもよい。あるいは、時間Bを所定の関係で時間Aに連動させてよい。例えば、時間Aが長ければ時間Bの長くなるように関係を定めてもよい。あるいは、時間Bは、エンジンの温度によって定めてもよい。エンジンの温度が高ければ時間Bが長くなるように関係を定めてもよい。
【0042】
更に、処理部16は、タイマーが満了するまでタイマーの監視を続ける(ステップ204)。タイマーが満了すると、処理部16はエンジン始動時に手動チョークをオフのままでエンジンを始動することを促す表示を終了させ(ステップ205)、処理を終了する。
【0043】
本実施形態によれば、処理部16は、エンジンが停止してから所定時間が経過するまで、手動チョークをオフのままでエンジンを始動することを促す表示(第3操作補助表示)を表示するので、ユーザは手動チョークをオンにせずにリコイルスターターを操作すればエンジンが起動することを容易に知ることができる。
【0044】
なお、手動チョークをオンにしてリコイルスターターのスターターロープを繰り返し引き一連の点火の発生を繰り返しても初爆が発生しないときがある。そのような場合には、手動チョークをオフにしてスターターロープを引くとエンジンが始動する可能性がある。そこで本実施形態ではそのような場合には手動チョークをオフにするようにユーザに促す表示を行うものとする。
【0045】
図7は、一連の点火を繰り返しても初爆が発生しないときに手動チョークをオフにするように促す表示を行う処理を示すフローチャートである。処理部16は一連の点火の終了を監視する(ステップ301)。例えば、最後の点火から所定時間経過しても次の点火が発生しないとき、一連の点火が終了したと判断すればよい。具体的には、例えば、最後の点火から300msecが経過しても次の点火が発生しないとき一連の点火が終了したと判断すればよい。
【0046】
一連の点火が終了すると、処理部16は、その一連の点火の間に初爆があったか否か判定する(ステップ302)。初爆があった場合には処理部16はそのまま処理を終了する。一方、初爆が無かったら、処理部16は、初爆が起きない一連の点火の回数を数えるカウンタに+1を加算し(ステップ303)、カウンタの値が所定値(ここでは一例として「5」とする)に達したか否か判定する(ステップ304)。
【0047】
カウンタの値が5に達していなければ、処理部16はステップ301に戻る。一方、カウンタの値が5に達していれば、処理部16は上述したステップ105に進み、表示部17に、手動チョークをオフにすることを促す表示を開始させる(ステップ305)。それ以降の処理は図5に示した通りである。
【0048】
上述したように、本実施形態によれば、処理部16は、一連の連続的な点火が所定回数起こっても初爆が検知されないとき手動チョークをオフにすべきと判断する。表示部17は、処理部16が手動チョークをオフにすべきと判断すると、その旨の表示(第1操作補助表示)を表示する。これによれば、手動チョークをオンにしておく必要がないのにオンにしてエンジンを始動しようとしている場合に、手動チョークをオフにするように促す第1操作補助表示をすることができるので、手動チョークをオフにしてエンジンを始動することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、上述したような手動チョークの操作を促す表示に加え、警告を発する機能を備えている。処理部16は、第1操作補助表示が表示された後の一連の連続的な点火において、点火の時間間隔が単調増加して点火が発生しなくなった場合、警告を表示すべきと判断し、点火の時間間隔が所定時間より短い状態から点火が停止した場合、スイッチオフによる正常なエンジン停止と判断する。表示部17は、処理部16にて警告を表示すべきと判断されると、警告を表わす表示(第2操作補助表示)を表示する。警告を表わす表示は例えばLEDの高速な点滅である。このように、チョーク戻し時期を通知し、手動チョークをオフにするように促した後に、点火タイミングの間隔が徐々に延びていきそのまま点火が終了するのを検知したら、チョーク戻し時期通知LEDの点灯後のチョーク戻し忘れ、またはガス欠によるエンジン停止であると考えられる。本実施形態によれば、その場合にユーザに警告を発することができる。なお、アイドリング回転数以上の回転数から急激に停止したら、ユーザがストップスイッチを操作したことによるエンジン停止なので、LED高速点滅による警告はしないので、ユーザが意図的にエンジンを停止したときには警告を発生しないようにすることができる。
【0050】
図8は、点火プラグに電流を供給する配線から電磁波として放出される一連の点火ノイズと振動を示すグラフである。横軸は時間であり、1目盛が20msecである。点火ノイズは縦軸が電圧であり、1目盛が10.0Vである。更に参考として振動ピックアップ(不図示)で測定したエンジンの振動が示されている。
【0051】
ユーザがリコイルスターターのスターターロープを引くと、一連の点火に伴って複数の連続したパルス状の点火ノイズ・・30a、30b、30c・・・し、1回点火する毎に瞬間的にプラス側あるいはマイナス側あるは両側に大きな波形が発生する。点火の時間間隔は徐々に長くなり、いずれはエンジン停止となる。図8に例示したものでは15〜25回程度の点火が起こっている。
【0052】
図9もまた、一連の点火によりエンジンから生じる点火ノイズと振動を示すグラフである。図9では、点火ノイズ30aまでは点火ノイズの時間間隔が徐々に長くなる単調増加であるが、点火ノイズ30aと点火ノイズ30bの時間間隔よりも点火ノイズ30bと点火ノイズ30cの時間間隔の方が短くなっている。スターターロープを引き切ってから、初爆がなければ、エンジンは惰性で回転するため、徐々に点火ノイズの周期は長くなり、やがて回転が止まる。スターターロープを引き切った後に点火の周期が短くなるということは、初爆が起こり、その爆発力がロータを回転させたことを意味する。
【0053】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
A1…刈払機、A11…エンジン筐体、A12…チョークスイッチ、A13…リコイルスタータノブ、A14…クラッチケース、A15…プラグケース、10…チョーク操作補助装置、11…筐体、12…回路部、13…バッテリ、14…受信回路、15…検知回路、16…処理部、17…表示部、17a…LED、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…I/Oポート、25…I/Oポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9