特許第6704825号(P6704825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704825タッチ入力装置の製造方法及びタッチ入力装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704825
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】タッチ入力装置の製造方法及びタッチ入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20200525BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   G06F3/041 660
   G06F3/044 128
【請求項の数】17
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-187920(P2016-187920)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-55221(P2018-55221A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】篠田 浩司
【審査官】 星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−056117(JP,A)
【文献】 特開平09−252171(JP,A)
【文献】 特開2014−026584(JP,A)
【文献】 特開2015−004997(JP,A)
【文献】 特開2009−265646(JP,A)
【文献】 特開2013−089181(JP,A)
【文献】 特開2014−135044(JP,A)
【文献】 特開2005−224953(JP,A)
【文献】 特開2014−025973(JP,A)
【文献】 特開2002−260290(JP,A)
【文献】 特開2015−191347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸延伸された原反フィルムであって、前記原反フィルムの短手方向の互いに異なる一部分のエリアであり且つ当該原反フィルムの長手方向に延びた複数の有効エリアを有し、前記複数の有効エリアが前記長手方向の異なる部分である第1部及び第2部を各々し、前記第1部及び前記第2部が第1面とその反対側の第2面とを各々有する、前記原反フィルムを用意し、
前記複数の有効エリアの前記第1部上及び前記第2部上の何れか一方に電極群を各々形成し、
前記原反フィルムを裁断して前記複数の有効エリアの前記第1部を含む第1個片を作成し、
前記原反フィルムを裁断して前記複数の有効エリアの前記第2部を含む第2個片を作成し、
前記第1個片の前記複数の有効エリアの前記第1部の向き前記第2個片の前記複数の有効エリアの前記第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記第1個片の前記第1部の前記第2面と前記第2個片の前記第2部の前記第1面とを各々貼り合わせ、貼り合わされる前記第1部及び前記第2部は、前記複数の有効エリアのうち同じ有効エリア内に位置しており、且つ
前記第1個片及び前記第2個片を裁断して、貼り合わされた同じ有効エリアの前記第1部及び前記第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する
ことを備えるタッチ入力装置の製造方法。
【請求項2】
二軸延伸された原反フィルムであって、前記原反フィルムの短手方向の一部分のエリアであり且つ当該原反フィルムの長手方向に延びた有効エリアを有し、前記有効エリアが前記長手方向の異なる部分である複数の第1部及び第2部を有しており、前記有効エリアの前記複数の第1部は、前記長手方向に一列で並んでおり且つ第1面とその反対側の第2面とを各々有し、前記有効エリアの前記複数の第2部は、前記長手方向に一列で並んでおり且つ第1面とその反対側の第2面とを各々有する、前記原反フィルムを用意し、
前記複数の第1部上及び前記複数の第2部上の何れか一方に電極群を形成し、
前記原反フィルムを裁断して前記複数の第1部を含む第1個片を作成し、
前記原反フィルムを裁断して前記複数の第2部を含む第2個片を作成し、
前記第1個片の前記複数の第1部及び前記第2個片の前記複数の第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記第1個片の前記複数の第1部の前記第2面と前記複数の第2個片の前記第2部の前記第1面とを各々貼り合わせ、且つ
前記第1個片及び前記第2個片を裁断して、貼り合わされた前記第1部及び前記第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する
ことを備えるタッチ入力装置の製造方法。
【請求項3】
請求項記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記原反フィルムの前記有効エリアは複数であり、この複数の有効エリアは、互いに前記原反フィルムの前記短手方向の異なる部分のエリアであり、
前記電極群の形成は、前記複数の有効エリアの前記複数の第1部上及び前記複数の第2
部上の何れか一方に前記電極群を各々形成することを含み、
前記第1個片の作成は、前記原反フィルムを裁断して前記複数の有効エリアの前記複数の第1部を含む前記第1個片を作成することを含み、
前記第2個片の作成は、前記原反フィルムを裁断して前記複数の有効エリアの前記複数の第2部を含む前記第2個片を作成することを含み、
前記第1個片及び前記第2個片の貼り合わせは、前記第1個片の前記複数の第1部の向き及び前記第2個片の前記複数の第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記複数の第1部の前記第2面と前記複数の第2部の前記第1面を各々貼り合わせることを含み、貼り合わされる前記第1部及び前記第2部は、前記複数の有効エリアのうち同じ有効エリア内に位置しており、
前記第1個片及び前記第2個片の裁断は、前記第1個片及び前記第2個片を裁断して、貼り合わされた前記第1部及び前記第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成することを含むタッチ入力装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記原反フィルムの前記有効エリアは、前記第1部及び前記第2部と前記長手方向の異なる部分である第3部を更に有しており、
前記電極群の形成は、前記有効エリアの前記第1部上に前記電極群を形成することを含み、
前記製造方法は、前記第3部上に電極群を形成し、
前記原反フィルムを裁断して前記第3部を含む第3個片を作成し、且つ
前記第1部と前記第2部とを貼り合わせた後、前記第1個片の前記第1部、前記第2個片の前記第2部及び前記第3個片の前記第3部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記第2個片の前記第2部と前記第3個片の前記第3部とを貼り合わせることを更に備えるタッチ入力装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜の何れかに記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記原反フィルムの前記有効エリアは、前記第1部及び前記第2部と前記長手方向の異なる部分である第3部を更に有しており、
前記電極群の形成は、前記有効エリアの前記第1部上に前記電極群を形成することを含み、
前記製造方法は、前記第3部上に電極群を形成し、且つ
前記第1部と前記第2部とを貼り合わせた後、前記第1個片の前記第1部及び前記第2個片の前記第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記第2個片の前記第2部と前記原反フィルムの前記第3部とを貼り合わせることを更に備えるタッチ入力装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3の何れかに記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記第1個片及び前記第2個片の作成は、前記電極群の形成後に行うタッチ入力装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記第1個片、前記第2個片及び前記第3個片の作成は、前記第1部及び前記第3部上に前記電極群を形成した後に行うタッチ入力装置の製造方法。
【請求項8】
二軸延伸された原反フィルムであって、前記原反フィルムの短手方向の一部分のエリアであり且つ当該原反フィルムの長手方向に延びた有効エリアを有し、前記有効エリアが前記長手方向の異なる部分である第1部及び第2部を有し、前記第1部及び前記第2部が第1面とその反対側の第2面とを各々有する、前記原反フィルムを用意し、
前記第1部上及び前記第2部上の何れか一方に電極群を形成し、
前記原反フィルムを裁断して前記第1部を含む第1個片を作成し、
前記第1個片の作成の後、前記第1個片の前記第1部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記第1個片の前記第1部の前記第2面を前記原反フィルムの前記第2部の前記第1面に貼り合わせ、且つ
前記第1個片及び前記原反フィルムを裁断して、貼り合わされた前記第1部及び前記第2部を有する光学フィルム積層体を作成する
ことを備えるタッチ入力装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記原反フィルムの前記有効エリアは複数であり、この複数の有効エリアは、互いに前記原反フィルムの前記短手方向の異なる部分のエリアであり、
前記電極群の形成は、前記複数の有効エリアの前記第1部上及び前記第2部上の何れか一方に前記電極群を各々形成することを含み、
前記第1個片の作成は、前記原反フィルムを裁断して前記複数の有効エリアの前記第1部を含む前記第1個片を作成することを含み、
前記第1個片及び前記原反フィルムの貼り合わせは、前記第1個片の前記複数の有効エリアの前記第1部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記第1個片の前記第1部の前記第2面と前記原反フィルムの前記第2部の前記第1面を各々貼り合わせることを含み、貼り合わされる前記第1部及び前記第2部は、前記複数の有効エリアのうち同じ有効エリア内に位置しており、
前記光学フィルム積層体の作成は、前記第1個片及び前記原反フィルムを裁断して、貼り合わされた前記第1部及び前記第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成することを含むタッチ入力装置の製造方法。
【請求項10】
請求項記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記有効エリアの前記第1部は、複数であって、前記長手方向に一列で並んでおり、
前記有効エリアの前記第2部は、複数であって、前記長手方向に一列で並んでおり、
前記電極群の形成は、前記複数の第1部上及び前記複数の第2部上の何れか一方に前記電極群を各々形成することを含み、
前記第1個片の作成は、前記原反フィルムを裁断して前記複数の第1部を含む前記第1個片を作成することを含み、
前記第1個片及び前記原反フィルムの貼り合わせは、前記第1個片の前記複数の第1部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記第1個片の前記複数の第1部の前記第2面と前記原反フィルムの前記複数の第2部の前記第1面とを各々貼り合わせることを含み、
前記光学フィルム積層体の作成は、前記第1個片及び前記原反フィルムを裁断して、貼り合わされた前記第1部及び前記第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成することを含むタッチ入力装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記原反フィルムの前記有効エリアは複数であり、この複数の有効エリアは、互いに前記原反フィルムの短手方向の異なる一部分のエリアであり、
前記電極群の形成は、前記複数の有効エリアの前記複数の第1部上及び前記複数の第2部上の何れか一方に前記電極群を各々形成することを含み、
前記第1個片の作成は、前記原反フィルムを裁断して前記複数の有効エリアの前記複数の第1部を含む前記第1個片を作成することを含み、
前記第1個片及び前記原反フィルムの貼り合わせは、前記第1個片の前記複数の有効エリアの前記複数の第1部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、前記第1個片の前記複数の第1部の前記第2面と前記原反フィルムの前記複数の第2部の前記第1面を各々貼り合わせることを含み、貼り合わされる前記第1部及び前記第2部は、前記複数の有効エリアのうち同じ有効エリア内に位置しており、
前記光学フィルム積層体の作成は、前記第1個片及び前記原反フィルムを裁断して、貼り合わされた前記第1部及び前記第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成することを含むタッチ入力装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8〜11の何れかに記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記原反フィルムの前記有効エリアは、前記第1部及び前記第2部と前記長手方向の異なる部分である第3部を更に有しており、
前記電極群の形成は、前記有効エリアの前記第1部上に前記電極群を形成することを含み、
前記製造方法は、前記第3部上に電極群を形成し、
前記第1部と前記第2部とを貼り合わせた後、前記原反フィルムを裁断して前記第2部を有する第2個片を作成し、且つ
前記第1個片の前記第1部及び前記第2個片の前記第2部の向きを裁断前の向きと略同
じ状態で、前記第2個片の前記第2部と前記原反フィルムの前記第3部とを貼り合わせることを更に備えるタッチ入力装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜3及び8〜11の何れかに記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記第1部上及び前記第2部上の他方に電極群を形成することを更に備えるタッチ入力装置の製造方法
【請求項14】
請求項8〜13の何れかに記載のタッチ入力装置の製造方法において、
前記第1個片の作成は、前記電極群の形成後に行うタッチ入力装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜3及び8〜11の何れかに記載のタッチ入力装置の製造方法によって製造されるタッチ入力装置において、
前記原反フィルムの前記短手方向の一部分のエリアであり且つ当該原反フィルムの前記長手方向に延びた前記有効エリアの前記第1部で構成された第1基材と、
前記有効エリアの前記第1部と前記長手方向の異なる部分である第2部で構成された第2基材と、
前記第1基材及び前記第2基材の何れか一方上に形成された前記電極群である複数の第1電極と、
前記第1基材の進相軸と前記第2基材の進相軸とが略平行となるように、前記第1基材と前記第2基材とを貼り合わせた粘着層とを備えているタッチ入力装置。
【請求項16】
請求項15記載のタッチ入力装置において、
前記第1基材及び前記第2基材の他方上に形成された複数の第2電極を更に備えており、
前記第1電極と前記第2電極とが互いに交差しているタッチ入力装置。
【請求項17】
請求項4、5又は12記載のタッチ入力装置の製造方法によって製造されるタッチ入力装置において、
前記原反フィルムの短手方向の一部分のエリアであり且つ当該原反フィルムの前記長手方向に延びた前記有効エリアの前記第1部で構成された第1基材と、
前記有効エリアの前記第1部と前記長手方向の異なる部分である第2部で構成された第2基材と、
前記有効エリアの前記第1部及び前記第2部と前記長手方向の異なる部分である第3部で構成された第3基材と、
前記第1基材上に形成された前記電極群である複数の第1電極と、
前記第1電極と交差するように前記第3基材上に形成された前記電極群である複数の第2電極と、
前記第1基材の進相軸と前記第2基材の進相軸とが略平行となるように、前記第1基材と前記第2基材とを貼り合わせた第1粘着層と、
前記第2基材の進相軸及び前記第3基材の進相軸が略平行となるように、前記第2基材と前記第3基材とを貼り合わせた第2粘着層とを備えているタッチ入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチ入力装置の製造方法及びタッチ入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルメーカーは、タッチ入力装置に使用する光学フィルム積層体の原材料となる原反フィルムを次の通りに得る。まず、PETフィルムメーカーが押出成形機を用いて数メートル幅のPETフィルムを二軸延伸し、当該PETフィルムを短手方向(TD方向(Transverse Direction))に複数に分割し、これをITOフィルムメーカーに出荷する。次に、ITOフィルムメーカーが分割されたPETフィルムの面上にITO膜を成膜した後、当該PETフィルムを短手方向に更に複数に分割する。この分割されたITO膜付きのPETフィルムが原反フィルムとなり、タッチパネルメーカーに出荷される。
【0003】
タッチパネルメーカーは、上記のとおりに取得した原反フィルムの面上に複数の電極群を形成し、この電極群が形成された複数の部分を裁断して基材を形成し、この基材を二枚貼り合わせてタッチ入力装置用の光学フィルム積層体を作成している。
【0004】
ところで、偏光サングラス等の偏光板を介した視認性の向上等の目的から、二枚の基材の進相軸のなす角度は略平行であることが好ましい。しかし、従来の製造方法は、二枚の基材の進相軸のなす角度を略平行とし且つ光学フィルム積層体を量産することが困難である。原反フィルムは、二軸延伸されたPETフィルムを短手方向に複数に分割したものであることから、各原反フィルムの進相軸のなす角度が全く異なる。よって、異なる原反フィルムから得られた二枚の基材は、その進相軸のなす角度が全く相違し、両者の進相軸を事前に測定することなく、両者の進相軸を略平行として貼り合わせることが非常に困難であるからである。
【0005】
他方で、下記特許文献1には、従来のタッチ入力装置の製造方法が記載されている。この従来の製造方法では、光学フィルム積層体を加熱するときに、光学フィルム積層体に発生するカールを抑制する目的で、二軸延伸された原反ロールの短手方向で隣り合う二つの部分を選択して裁断し、裁断された二枚の基材を対称に貼り合わせることで、二枚の基材の厚みを略等しくし、且つ両者の光学軸の配向角度の差を20°以下としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−56117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、二枚の基材は原反ロールの短手方向に隣り合う部分であり且つ対称に貼り合わされていることから、両者の光学軸をなす角度のバラツキが大きくなる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、貼り合わせた二つの基材の進相軸のなす角度のバラツキを低減でき且つ量産化できるタッチ入力装置の製造方法及びタッチ入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様のタッチ入力装置の製造方法は、少なくとも下記1)〜5)を備えている。1)二軸延伸された原反フィルムを用意する。この原反フィルムは、原反フィルムの短手方向の一部分のエリアであり且つ当該原反フィルムの長手方向に延びた有効エリアを有する。有効エリアは、長手方向の異なる部分である第1部及び第2部を有する。2)第1部上及び第2部上の何れか一方に電極群を形成する。3)原反フィルムを裁断して第1部を含む第1個片を作成する。4)原反フィルムを裁断して第2部を含む第2個片を作成する。5)第1個片の第1部及び第2個片の第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第1個片の第1部と第2個片の第2部とを貼り合わせる。
【0010】
このような態様の製造方法は以下の第1及び第2技術的効果を奏する。第1は、貼り合わせた二つの基材の進相軸のなす角度のバラツキを低減できる。本発明者は、二軸延伸された原反フィルムにおいて、原反フィルムの短手方向の一部分である有効エリアの第1部及び第2部は、当該有効エリアの長手方向のどの部分であっても、第1部及び第2部の進相軸をなす角度のバラツキが殆どない知見を得た。このため、同じ有効エリアの第1部及び第2部を裁断前の向きと略同じ状態で貼り合わせてタッチ入力装置の二つの基材とすることで、当該二つの基材の進相軸をなす角度のバラツキを低減することができる。第2に、タッチ入力装置を量産化することができる。裁断前の向きと略同じ状態で有効エリアの第1部及び第2部を貼り合わせるだけであるので、第1部及び第2部の進相軸をなす角度を測定等する必要がない。
【0011】
原反フィルムの有効エリアは複数であり、この複数の有効エリアは互いに原反フィルムの短手方向の異なる部分のエリアとすることが可能である。この場合、下記2-1)、3-1)、4-1)、5-1)及び6-1)のとおりである。2-1)電極群の形成は、複数の有効エリアの第1部及び第2部上の何れか一方に電極群を各々形成するようにしても良い。3-1)第1個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の有効エリアの第1部を含む第1個片を作成するようにしても良い。4-1)第2個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の有効エリアの第2部を含む第2個片を作成するようにしても良い。5-1)第1部及び第2部の貼り合わせは、第1個片の複数の有効エリアの第1部及び第2個片の複数の有効エリアの第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第1部及び第2部を各々貼り合わせるようにしても良い。貼り合わされる第1部及び第2部は、複数の有効エリアのうち同じ有効エリア内に位置していると良い。上記タッチ入力装置の製造方法は、6-1)第1個片及び第2個片を裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成することを更に備えていても良い。
【0012】
このような態様の製造方法は更にタッチ入力装置を量産化することができる。複数の有効エリアの第1部及び第2部を各々貼り合わせ、第1個片及び第2個片を裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する複数の光学フィルム積層体を一度に作成することができる。よって、この光学フィルム積層体を備えたタッチ入力装置を量産できる。
【0013】
又は、有効エリアの第1部は、複数であって、長手方向に一列で並んでおり、且つ有効エリアの第2部は、複数であって、長手方向に一列で並んでいても良い。この場合、下記2-2)、3-2)、4-2)、5-2)及び6-2)のとおりである。2-2)電極群の形成は、複数の第1部上及び複数の第2部上の何れか一方に電極群を各々形成するようにしても良い。3-2))第1個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の第1部を含む第1個片を作成するようにしても良い。4-2)第2個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の第2部を含む第2個片を作成するようにしても良い。5-2)第1個片及び第2個片の貼り合わせは、第1個片の複数の第1部及び第2個片の複数の第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、複数の第1部と複数の第2部を各々貼り合わせるようにしても良い。タッチ入力装置の製造方法は、6-2)第1個片及び第2個片を裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成することを更に備えていても良い。
【0014】
このような態様の製造方法は更にタッチ入力装置を量産化することができる。複数の第1部及び複数の第2部を各々貼り合わせ、第1個片及び第2個片を裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する複数の光学フィルム積層体を一度に作成することができる。よって、この光学フィルム積層体を備えたタッチ入力装置を量産できる。
【0015】
複数の有効エリアの各々が上記長手方向に一列で並ぶ複数の第1部及び第2部を有していても良い。この場合、下記2-2-1)、3-2-1)、4-2-1)、5-2-1)及び6-2-1)のとおりである。2-2-1)電極群の形成は、複数の有効エリアの複数の第1部上及び複数の第2部上の何れか一方に電極群を各々形成するようにしても良い。3-2-1)第1個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の有効エリアの複数の第1部を含む第1個片を作成するようにしても良い。4-2-1)第2個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の有効エリアの複数の第2部を含む第2個片を作成するようにしても良い。5-2-1)第1個片及び第2個片の貼り合わせは、第1個片の複数の第1部の向き及び第2個片の複数の第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、複数の第1部及び複数の第2部を各々貼り合わせるようにしても良い。貼り合わされる第1部及び第2部は、複数の有効エリアのうち同じ有効エリア内に位置していると良い。6-2-1)第1個片及び第2個片の裁断は、第1個片及び第2個片を裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成するようにしても良い。
【0016】
このような態様の製造方法は更に光学フィルム積層体を量産化することができる。複数の有効エリアの複数の第1部及び複数の第2部を各々貼り合わせ、第1個片及び第2個片を裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する複数の光学フィルム積層体を一度に作成することができる。
【0017】
原反フィルムの有効エリアは、第1部及び第2部と前記長手方向の異なる部分である第3部を更に有する構成とすることが可能である。この場合、電極群の形成は、有効エリアの第1部上に電極群を形成するようにすると良い。上記製造方法は、第3部上に電極群を形成し、原反フィルムを裁断して第3部を含む第3個片を作成し、且つ第1部と第2部とを貼り合わせた後、第1個片の第1部、第2個片の第2部及び第3個片の第3部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第2個片の第2部と第3個片の第3部とを貼り合わせることを更に備えていても良い。又は、上記一態様の製造方法は、第3部上に電極群を形成し、且つ第1部と第2部とを貼り合わせた後、第1個片の第1部及び第2個片の第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第2個片の第2部と原反フィルムの第3部とを貼り合わせることを更に備えていても良い。
【0018】
本発明の別の態様のタッチ入力装置の製造方法は、少なくとも下記1)〜5)を備えている。1)上記原反フィルムを用意する。2)第1部上及び第2部上の何れか一方に電極群を形成する。3)原反フィルムを裁断して第1部を含む第1個片を作成する。4)第1個片の第1部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第1個片の第1部を原反フィルムの第2部に貼り合わせる。5)第1個片及び原反フィルムを裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を有する光学フィルム積層体を作成する。
【0019】
このような態様の製造方法は上記第1及び第2技術的効果と同様の効果を得ることができる。しかも、第2個片を作成する必要がないので、工程が簡略化でき、より量産化に適する。
【0020】
原反フィルムの有効エリアは複数であり、この複数の有効エリアは、互いに原反フィルムの短手方向の異なる部分のエリアとすることが可能である。この場合、下記2-1)、3-1)、4-1)及び5-1)のとおりである。2-1)電極群の形成は、複数の有効エリアの第1部上及び第2部上の何れか一方に電極群を各々形成するようにしても良い。3-1)第1個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の有効エリアの第1部を含む第1個片を作成するようにしても良い。4-1)第1個片及び原反フィルムの貼り合わせは、第1個片の複数の有効エリアの第1部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第1個片の第1部と原反フィルムの第2部を各々貼り合わせるようにしても良い。貼り合わされる第1部及び第2部は、複数の有効エリアのうち同じ有効エリア内に位置していると良い。5-1)光学フィルム積層体の作成は、第1個片及び原反フィルムを裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成するようにしても良い。
【0021】
このような態様の製造方法は更に光学フィルム積層体を量産化することができる。複数の有効エリアの第1部及び第2部を各々貼り合わせ、第1個片及び原反フィルムを裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する複数の光学フィルム積層体を一度に作成することができる。
【0022】
又は、有効エリアの第1部は、複数であって、長手方向に一列で並んでおり、且つ有効エリアの第2部は、複数であって、長手方向に一列で並んでいても良い。この場合、下記2-2)、3-2)、4-2)及び5-2)のとおりである。2-2)電極群の形成は、複数の第1部及び複数の第2部上の何れか一方に電極群を各々形成するようにしても良い。3-2)第1個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の第1部を含む第1個片を作成するようにしても良い。4-2)第1個片及び原反フィルムの貼り合わせは、第1個片の複数の第1部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第1個片の複数の第1部と原反フィルムの複数の第2部とを各々貼り合わせるようにしても良い。5-2)光学フィルム積層体の作成は、第1個片及び原反フィルムを裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成するようにしても良い。
【0023】
このような態様の製造方法は更に光学フィルム積層体を量産化することができる。複数の第1部及び複数の第2部を各々貼り合わせ、第1個片及び原反フィルムを裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する複数の光学フィルム積層体を一度に作成することができる。
【0024】
複数の有効エリアの各々が上記長手方向に一列で並ぶ複数の第1部及び第2部を有していても良い。この場合、下記2-2-1)、3-2-1)、4-2-1)及び5-2-1)のとおりである。2-2-1)電極群の形成は、複数の有効エリアの複数の第1部上及び複数の第2部上の何れか一方に電極群を各々形成するようにしても良い。3-2-1)第1個片の作成は、原反フィルムを裁断して複数の有効エリアの複数の第1部を含む第1個片を作成するようにしても良い。4-2-1)第1個片及び原反フィルムの貼り合わせは、第1個片の複数の有効エリアの複数の第1部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第1個片の複数の第1部と原反フィルムの複数の第2部を各々貼り合わせるようにしても良い。貼り合わされる第1部及び第2部は、複数の有効エリアのうち同じ有効エリア内に位置していると良い。5-2-1)光学フィルム積層体の作成は、第1個片及び原反フィルムを裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成するようにしても良い。
【0025】
このような態様の製造方法は更に光学フィルム積層体を量産化することができる。複数の有効エリアの複数の第1部及び原反フィルムの複数の第2部を各々貼り合わせ、第1個片及び原反フィルムを裁断して、貼り合わされた第1部及び第2部を一つずつ有する複数の光学フィルム積層体を一度に作成することができる。
【0026】
原反フィルムの有効エリアは、第1部及び第2部と長手方向の異なる部分である第3部を更に有していても良い。この場合、電極群の形成は、有効エリアの第1部上に電極群を形成するようにしても良い。上記製造方法は、第3部上に電極群を形成し、第1部と第2部とを貼り合わせた後、原反フィルムを裁断して第2部を有する第2個片を作成し、且つ第1個片の第1部及び第2個片の第2部の向きを裁断前の向きと略同じ状態で、第2個片の第2部と原反フィルムの第3部とを貼り合わせることを更に備えていても良い。
【0027】
上記した何れかの態様の光学フィルム積層体の第1及び第2製造方法は、第1部上及び第2部上の他方に電極群を形成することを更に備えていても良い。
【0028】
本発明の一態様のタッチ入力装置は、第1基材と、第2基材と、複数の第1電極と粘着層とを備えている。第1基材は、上記原反フィルムの有効エリアの第1部で構成されている。第2基材は、原反フィルムの有効エリアの第2部で構成されている。第1電極は、第1基材及び第2基材の何れか一方上に形成されている。粘着層は、第1基材の進相軸と第2基材の進相軸とが略平行となるように、第1基材と第2基材とを貼り合わせている。
【0029】
このような態様のタッチ入力装置は以下の第1及び第2技術的効果を奏する。第1は、同じ有効エリアの第1部及び第2部を貼り合わせてタッチ入力装置の二つの基材としているので、当該二つの基材の進相軸をなす角度のバラツキを低減することができる。第2に、タッチ入力装置を量産化することができる。第1部及び第2部の進相軸をなす角度のバラツキが殆どないので、裁断前の向きと略同じ状態で有効エリアの第1部及び第2部を貼り合わせるだけで、第1部及び第2部の進相軸をなす角度を測定等する必要がない。
【0030】
上記タッチ入力装置は、複数の第2電極を更に備えていても良い。第2電極は、第1基材及び第2基材の他方上に形成されていると良い。第1電極と第2電極と互いに交差している。
【0031】
上記タッチ入力装置は、第3基材、複数の第2電極及び第1、第2粘着層を更に備えた構成とすることが可能である。第3基材は、原反フィルムの有効エリアの第1部及び第2部と長手方向の異なる部分である第3部で構成されていても良い。第2電極は、第1電極と交差するように第3基材上に形成されている。第1粘着層は、第1基材の進相軸と第2基材の進相軸とが略平行となるように、第1基材と第2基材とを貼り合わせている。第2粘着層は、第2基材の進相軸及び第3基材の進相軸が略平行となるように、第2基材と第3基材とを貼り合わせている。
【0032】
このような態様のタッチ入力装置は以下の第1及び第2技術的効果を奏する。第1は、同じ有効エリアの第1部、第2部及び第3部を貼り合わせてタッチ入力装置の三つの基材としているので、当該三つの基材の進相軸をなす角度のバラツキを低減することができる。第2に、タッチ入力装置を量産化することができる。第1部、第2部及び第3部の進相軸をなす角度のバラツキが殆どないので、裁断前の向きと略同じ状態で有効エリアの第1部、第2部及び第3部を貼り合わせるだけで、第1部、第2部及び第3部の進相軸をなす角度を測定等する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】本発明の実施例1に係るタッチ入力装置の概略的断面図であり、且つ前記タッチ入力装置、画像表示装置及び偏光板との位置関係を説明するための図である。
図1B】前記タッチ入力装置の概略的平面図である。
図2】前記タッチ入力装置の第1製造方法のフローチャートである。
図3A】前記第1製造方法の第1電極群の形成工程を示す斜視図である。
図3B】前記第1製造方法の第1個片の作成工程を示す概略図である。
図4】前記第1製造方法の前記第1個片と第2個片の貼り合わせ工程を示す概略図である。
図5A】前記第1製造方法において、前記第1個片と前記第2個片を貼り合わせて得られた一つの光学積層体の概略的斜視図である。
図5B】前記第1製造方法において、前記第1個片と前記第2個片を貼り合わせて得られた別の一つの光学積層体の概略的斜視図である。
図6】前記第1製造方法の設計変形例を示す概略図であって、複数の有効エリアのうち一つの有効エリアの前記第1個片及び前記第2個片が、別の有効エリアの前記第1個片及び前記第2個片に対して傾斜している態様を説明するための図である。
図7A】前記第1製造方法の前記設計変形例において、前記第1個片と前記第2個片を貼り合わせて得られた一つの光学積層体の概略的斜視図である。
図7B】前記第1製造方法の前記設計変形例において、前記第1個片と前記第2個片を貼り合わせて得られた別の一つの光学積層体の概略的斜視図である。
図8】前記タッチ入力装置の第2製造方法のフローチャートである。
図9】本発明の実施例2に係るタッチ入力装置の概略的断面図であり、且つ前記タッチ入力装置、画像表示装置及び偏光板との位置関係を説明するための図である。
図10】前記タッチ入力装置の第3製造方法のフローチャートである。
図11】前記第3製造方法の第1個片の作成工程を示す概略図である。
図12】前記第3製造方法の第2個片と第3個片の貼り合わせ工程を示す概略図である。
図13】前記タッチ入力装置の第4製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0035】
以下、本発明の実施例(実施例1を含む。)に係るタッチ入力装置T1について図1A図1Bを参照しつつ説明する。図1A及び図1Bには、実施例1に係るタッチ入力装置T1が示されている。
【0036】
タッチ入力装置T1は画像表示装置Dの前側(光の射出側)に配置可能である。また、タッチ入力装置T1はサングラス等の偏光板Gと画像表示装置Dとの間に配置することも可能である。ユーザーは、偏光板G及びタッチ入力装置T1を通じて画像表示装置Dの表示を視認可能であるし、偏光板Gを介さずタッチ入力装置T1を通じて画像表示装置Dの表示を視認可能である。タッチ入力装置T1のリタデーション値は、2000〜8000nmであると良いが、これに限定されることはない。なお、図1Aに示されるZ−Z’方向は、タッチ入力装置T1の厚み方向に相当する。Z方向は、画像表示装置Dの光の射出方向に相当し、Z’方向は射出方向の反対方向に相当する。図1A図1Bに示されるY−Y’方向は、タッチ入力装置T1の長手方向に相当する。Y−Y’方向はZ−Z’方向に直交している。図1Bに示されるX−X’方向は、タッチ入力装置T1の短手方向に相当する。X−X’方向は、Z−Z’方向及びY−Y’方向に直交している。
【0037】
画像表示装置Dは、例えば、液晶ディスプレイ (LCD)、プラズマディスプレイ (PDP)、有機ELディスプレイ (OLED)、又はDLPプロジェクタ (DLP)等である。画像表示装置Dは、バックライト光源として白色LEDを備えていても良いが、これに限定されることはない。
【0038】
タッチ入力装置T1は、複数の基材100と、少なくとも一つの粘着層200とを備えている。複数の基材100は、Z−Z’方向に積層されており且つ当該基材100を通じて画像表示装置Dの表示を視認可能となる程度の透明性を有している。基材100は、部分的に透明であっても良いし、全体的に透明であっても良い。
【0039】
少なくとも一つの粘着層200は、Z−Z’方向で隣り合う二つの基材100を貼り合わせることができるものであれば良い。例えば、粘着層200は、粘着剤又はOCA(Optically Clear Adhesive;登録商標)フィルム等とすることが可能である。
【0040】
複数の基材100は、少なくとも第1基材100a及び第2基材100bを含んでいる。第1基材100a及び第2基材100bは、第1面と、その反対側の第2面とを各々有している。第1基材100aの第2面及び第2基材100bの第1面がZ−Z’方向において粘着層200で貼り合わされている。第1基材100a及び第2基材100bは電極基材層としての処理がされている。第1基材100a及び第2基材100bが後記する光学フィルム積層体を構成している。
【0041】
第1基材100a及び第2基材100bは、押出成形機によって二軸延伸されたフィルムで構成されている。この二軸延伸フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム又はポリアミドフィルム等とすることが可能である。第1基材100a及び第2基材100bの進相軸のなす角度は略平行(10°以下)となっている。なお、複数の基材100は、第1基材100a及び第2基材100b以外の基材を含んでいても良い。この基材は、上記二軸延伸されたフィルムで構成されていても良いし、二軸延伸フィルム以外の可撓性を有するフィルム(例えば、二軸延伸されていない上記フィルムや高リタデーションフィルム等の光学フィルム)で構成されていても良い。
【0042】
全ての基材100が上記二軸延伸フィルムで構成され且つ当該基材100の進相軸のなす角度は略平行(10°以下)とすることが可能である。この場合、1)全ての基材100の進相軸が画像表示装置Dの偏光軸に対する角度が略45°となるように配置されるようになっていても良いし、2)全ての基材100の進相軸が画像表示装置Dの偏光軸に対して略平行又は略直交するように配置されるようになっていても良い。1)の場合、画像表示装置Dから射出される直線偏光が基材100で円偏光(楕円偏光を含む)に変換される。直線偏光は、偏光板を通して見ると、両者の軸関係に応じて透過光量が変化するが、円偏光の場合は変化しないので、偏光板を介した画像表示装置Dの表示の視認性が向上する。2)の場合、基材100が等方性部材として機能するため、画像表示装置Dから射出される直線偏光は、基材100を通過しても直線偏光の状態が保たれる。一般的に、画像表示装置Dの偏光軸は、偏光板の吸収軸に対して直交又は45°に位置しているので、画像表示装置Dから射出され、基材100を通過した直線偏光の光は偏光板にカットされない。この場合も、偏光板を介した画像表示装置Dの表示の視認性が向上する。
【0043】
タッチ入力装置T1は、複数の第1電極110a及び複数の第2電極110bを更に備えている。第1電極110a及び第2電極110bは、静電容量型のタッチ入力装置T1の電極である。第1電極110aは、図1Bに示されるように、Y−Y’方向に延びた透明導電膜又は導体であって、第1基材100aの第1面上にX−X’方向に間隔をあけて設けられている。第2電極110bは、X−X’方向に延びた透明導電膜又は導体であって、第2基材100bの第1面上にY−Y’方向に間隔をあけて設けられている。第2電極110bは第1電極110aに対して交差又は図1Bに示すように直交している。なお、第1基材100aの第1面には、第1電極110aを覆うように電極保護層(レジスト層)が設けられていても良い。
【0044】
前記透明導電膜は、例えば、ITO(酸化インジウム+酸化錫)、CNT(カーボンナノチューブ)、IZO(酸化インジウム+酸化亜鉛)、AZO(AIドープ酸化亜鉛)又は導電性高分子(PEDOT又はPSS)等で構成可能である。前記導体は、例えば、感光性銀、銀ナノインク、銀ナノワイヤ、蒸着銅、圧延銅又は銅ナノインク等とすることが可能である。
【0045】
タッチ入力装置T1は、カバーパネル300を更に備えていても良い。カバーパネル300は、第1基材100aのZ方向側に配置されていている又は図1Aに示されるように、第1基材100aのZ方向側に位置するように第1基材100aに粘着層200で固着されている。
【0046】
以下、タッチ入力装置T1を製造する第1製造方法について図2図5Bを参照しつつ説明する。この第1製造方法では押出成形機によって二軸延伸された原反フィルムFを使用する。この原反フィルムFは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム又はポリアミドフィルム等であって、ロール状に巻かれている。原反フィルムFの長手方向が原反フィルムFのMD方向(Machine Direction)であり、原反フィルムFの短手方向が原反フィルムFのTD方向(Transverse Direction)である。
【0047】
原反フィルムFは、図3Aに示されるように、少なくとも一つの有効エリアF1を有している。少なくとも一つの有効エリアF1は、原反フィルムFのTD方向の一部分のエリアであり且つ原反フィルムFのMD方向に延びている。少なくとも一つの有効エリアF1は、少なくとも一つの第1部F11及び第2部F12を有している。少なくとも一つの第1部F11及び第2部F12は、互いに同じ形であり且つ有効エリアF1のMD方向の異なる部分である。後記する第1部F11及び第2部F12を貼り合わせるときに、第1部F11及び第2部F12が互いに完全に重なるように、原反フィルムFの有効エリアF1における第1部F11及び第2部F12の向き及びTD方向の位置が一致している。図3Aでは、第1部F11及び第2部F12は長方形であり、各有効エリアF1において、全ての第1部F11及び第2部F12の向き及びTD方向の位置が一致している。
【0048】
第1製造方法は、以下のA)〜C)の何れかの態様とすることが可能である。何れの態様でも、原反フィルムFをロール・ツー・ロール(Roll to Roll) 方式等で連続的にMD方向に移動させながら行っても良いし、原反フィルムFのMD方向の端部を原反フィルムFのロールからMD方向に引き出した状態で行っても良い。なお、図3A図5Bでは、有効エリアF1、第1部F11、第2部F12、第1部F11の進相軸、第2部F12の進相軸及び原反フィルムFの進相軸が破線で示されている。図3B図5Bでは、第1電極群及び第2電極群が図示省略されている。
【0049】
A)原反フィルムFを用意する(S1)。原反フィルムFは一つの有効エリアF1を有している。一つの有効エリアF1が第1部F11及び第2部F12を少なくとも一つずつ有している。有効エリアF1が複数の第1部F11及び複数の第2部F12を有する場合、第1部F11がMD方向に一列で並んでおり且つ第2部F12がMD方向に一列で並んでいる。一つの有効エリアF1において、複数の第1部F11のMD方向の間隔と、複数の第2部F12のMD方向の間隔は同じである。
【0050】
有効エリアF1の少なくとも一つの第1部F11の第1面上に第1電極群を形成する(S2)。具体的には、以下の1)〜3)の何れかの方法で、第1電極群を作成可能である。1)原反フィルムFの第1面上全体又は第1部F11の第1面上に上記透明導電膜又は上記導体を形成する。なお、前記透明導電膜又は前記導体は、S1において用意される原反フィルムFの第1面に予め形成されていても良い。前記透明導電膜又は前記導体上にレジストを塗布する。当該レジストに対してマスクを用いて露光、現像を行い、レジストにパターニングを行う。このパターニングによってレジストから露出した前記透明導電膜又は前記導体をエッチングし、少なくとも一つの第1部F11の第1面上に第1電極群を形成する。その後、レジストは除去される。2)原反フィルムFの第1部F11の第1面上にレジストを塗布する。当該レジストに対してマスクを用いて露光、現像を行い、レジストにパターニングを行う。その後、上記導体を蒸着等行い、少なくとも一つの第1部F11の第1面上に第1電極群を形成する。その後、レジストは除去される。3)原反フィルムFの第1面上に周知の印刷法(例えば、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法)を用いて第1電極群を印刷する。この場合、第1電極群は上記導体となる。その後、図示しない第1裁断機を使用して原反フィルムFを裁断し、少なくとも一つの第1部F11を含む第1個片P1を作成する(S3(図3B参照))。
【0051】
第1電極群を形成する方法と同様の方法で、第2部F12の第1面上に第2電極群を形成する(S4)。その後、第1裁断機を使用して原反フィルムFを裁断し、少なくとも一つの第2部F12を含む第2個片P2を作成する(S5)。なお、S2及びS4の後に、S3及びS5を行っても良い。
【0052】
第1個片P1及び第2個片P2の作成後、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11及び第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1及び第2個片P2の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11の第1面の裏側の第2面と第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12の第1面とを粘着層200で貼り合わせる(S6(図4参照))。このS6では、第1個片P1及び第2個片P2の各々に目印を複数形成しておき、第1個片P1の複数の目印と第2個片P2の複数の目印を各々一致させることで、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11と第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12との位置合わせを行っても良い。又は、第1個片P1の外形と第2個片P2の外形を一致させることで、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11と第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12との位置合わせを行っても良い。この場合、第1個片P1のTD方向の寸法と第2個片P2のTD方向の寸法を一致させると共に、第1個片P1のMD方向の寸法と第2個片P2のMD方向の寸法を一致させると良い。
【0053】
第1個片P1が複数の第1部F11を有し、第2個片P2が複数の第2部F12を有する場合、S6で第1部F11と第2部F12を各々貼り合わせた後、第1個片P1及び第2個片P2を図示しない第2裁断機を使用して裁断し、貼り合わせた第1部F11及び第2部F12を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S7)。一方、第1個片P1が一つの第1部F11を有し、第2個片P2が一つの第2部F12を有する場合、第1部F11及び第2部F12の貼り合わせによって、第1部F11及び第2部F12を有する一つの光学フィルム積層体が得られる。この場合S7は省略される。
【0054】
B)原反フィルムFを用意する(S1)。原反フィルムFは複数の有効エリアF1を有している(図3A参照)。複数の有効エリアF1は、互いに原反フィルムFのTD方向の異なる部分のエリアである。各有効エリアF1が第1部F11及び第2部F12を一つずつ有している。複数の有効エリアF1のうち、隣り合う有効エリアF1の第1部F11のMD方向の位置関係と、隣り合う有効エリアF1の第2部F12のMD方向の位置関係とが一致している。
【0055】
その後、上記A)の第1電極群の形成工程と同様に、複数の有効エリアF1の第1部F11の第1面上に第1電極群を各々形成する(S2)。その後、第1裁断機を使用して原反フィルムFを裁断し、複数の有効エリアF1の第1部F11を含む第1個片P1を作成する(S3)。このようにして得られた第1個片P1は複数の第1部F11を有する。
【0056】
また、上記A)の第2電極群の形成工程と同様に、複数の有効エリアF1の第2部F12の第1面上に第2電極群を各々形成する(S4)。その後、第1裁断機を使用して原反フィルムFを裁断し、複数の有効エリアF1の第2部F12を含む第2個片P2を作成する(S5)。このようにして得られた第2個片P2は複数の第2部F12を有する。なお、S2及びS4の後に、S3及びS5を行っても良い。
【0057】
第1個片P1及び第2個片P2の作成後、第1個片P1の複数の有効エリアF1の第1部F11及び第2個片P2の複数の有効エリアF1の第2部F12の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1及び第2個片P2の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、複数の有効エリアF1の第1部F11の第2面と複数の有効エリアF1の第2部F12の第1面とを各々粘着層200で貼り合わせる(S6)。貼り合わされる第1部F11及び第2部F12の各々は、複数の有効エリアF1のうち同じ有効エリアF1内に位置している。例えば、複数の有効エリアF1が二つの有効エリアF1を含む場合、二つの有効エリアF1のうちの一つの有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12を粘着層200で貼り合わせると同時に、別の一つの有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12を粘着層200で貼り合わせる。このS6でも、上記A)のS6のとおり、第1個片P1の複数の目印と第2個片P2の複数の目印とを各々一致させることで第1部F11及び第2部F12を各々位置合わせしても良いし、第1個片P1の外形と第2個片P2の外形を一致させることで第1部F11及び第2部F12を各々位置合わせしても良い。
【0058】
その後、第2裁断機を使用して第1個片P1及び第2個片P2を裁断し、貼り合わされた第1部F11及び第2部F12を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S7)。
【0059】
C)原反フィルムFを用意する(S1)。原反フィルムFは、図3Aに示されるように、複数の有効エリアF1を有している。各有効エリアF1は、複数の第1部F11及び複数の第2部F12を有している。各有効エリアF1において、複数の第1部F11がMD方向に一列で並んでおり且つ第2部F12がMD方向に一列で並んでいる。各有効エリアF1において、複数の第1部F11のMD方向の間隔と、複数の第2部F12のMD方向の間隔は同じである。
【0060】
その後、上記A)の第1電極群の形成工程と同様に、複数の有効エリアF1の複数の第1部F11の第1面上に第1電極群を各々形成する(S2)。その後、図3Bに示されるように、第1裁断機を使用して原反フィルムFを裁断し、複数の有効エリアF1の複数の第1部F11を含む第1個片P1を作成する(S3)。このようにして得られ第1個片P1は複数の有効エリアF1に各々対応する複数列を有し、各列において複数の第1部F11がMD方向に並んでいる。
【0061】
また、上記A)の第2電極群の形成工程と同様に、複数の有効エリアF1の複数の第2部F12の第1面上に第2電極群を各々形成する(S4)。その後、第1裁断機を使用して原反フィルムFを裁断し、複数の有効エリアF1の複数の第2部F12を含む第2個片P2を作成する(S5)。このようにして得られた第2個片P2は複数の有効エリアF1に対応する複数列を有し、各列において複数の第2部F12がMD方向に並んでいる。なお、S2及びS4の後に、S3及びS5を行っても良い。
【0062】
その後、図4に示されるように、第1個片P1の複数列の複数の第1部F11及び第2個片P2の複数列の複数の第2部F12の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1及び第2個片P2の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、複数の第1部F11の第2面と複数の第2部F12の第1面を各々粘着層200で貼り合わせる(S6)。貼り合わされる第1部F11及び第2部F12の各々は、複数列(複数の有効エリアF1)のうち対応する列(同じ有効エリアF1)内に位置している。なお、図4では、複数の有効エリアF1が二つの有効エリアF1を含み、そのうちの一つの有効エリアF1(図4の上列)では、第1部F11が第1部F111、F112、F113を含み且つ第2部F12が第2部F121、F122、F123を含んでおり、別の一つの有効エリアF1(図4の下列)では、第1部F11が第1部F114、F115、F116を含み且つ第2部F12が第2部F124、F125、F126を含んでいる。S6において、上列の第1部F111、F112、F113と上列の第2部F121、F122、F123とを各々粘着層200で貼り合わせると同時に、下列の第1部F114、F115、F116と下列の第2部F124、F125、F126とを各々粘着層200で貼り合わせる。このS6でも、上記A)のS6のとおり、第1個片P1の複数の目印と第2個片P2の目印を各々一致させることで第1部F11及び第2部F12を各々位置合わせしても良いし、第1個片P1の外形と第2個片P2の外形を一致させることで第1部F11及び第2部F12を各々位置合わせしても良い。
【0063】
その後、図5A及び図5Bに示されるように、第2裁断機を使用して第1個片P1及び第2個片P2を裁断して、貼り合わされた第1部F11及び第2部F12を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S7)。なお、図5Aでは、貼り合わされた第1部F111及び第2部F121を有する光学フィルム積層体が示されているが、貼り合わされた第1部F111及び第2部F121が説明の便宜上、互いに離間して示されている。図5Bでは、貼り合わされた第1部F114及び第2部F124を有する光学フィルム積層体が示されているが、貼り合わされた第1部F114及び第2部F124が説明の便宜上、互いに離間して示されている。
【0064】
以上のとおりに得られた少なくとも一つの光学フィルム積層体では、第1部F11及び第2部F12は第1基材100a及び第2基材100bとなる。第1基材100aの進相軸のなす角度と第2基材100bの進相軸のなす角度は、略平行(10°以下)となる。第1基材100aの第1面上の第1電極群は、複数の第1電極110aとなり、第2基材100bの第1面上の第2電極群は、複数の第2電極110bとなる。このような少なくとも一つの光学フィルム積層体がタッチ入力装置T1となる。タッチ入力装置T1がカバーパネル300を備えている場合、少なくとも一つの光学フィルム積層体を得た後(上記A)〜C)の何れかのS7後)、当該光学フィルム積層体の第1基材100aの第1面にカバーパネル300を粘着層200で貼り合わせると良い。
【0065】
なお、複数の有効エリアF1が第1有効エリアF1と第2有効エリアF1とを含む場合、第1有効エリアF1から得られる第1部F11及び第2部F12の進相軸のなす角度と、第2有効エリアF1から得られる第1部F11及び第2部F12の進相軸のなす角度とが略平行となるように、第1有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12が、第2有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12に対して各々傾斜していても良い。図6では、図示上側の第1有効エリアF1から得られる第1部F111、F112、F113及び第2部F121、F122、F123の進相軸のなす角度と、図示下側の第2有効エリアF1から得られる第1部F114、F115、F116及び第2部F124、F125、F126の進相軸のなす角度とが略平行となるように、第1有効エリアF1の第1部F111、F112、F113及び第2部F121、F122、F123が、第2有効エリアF1の第1部F114、F115、F116及び第2部F124、F125、F126に対して斜めに傾斜している。この場合も、上記した何れかの態様の第1製造方法によって光学フィルム積層体を製造することが可能である。第1有効エリアF1から図7Aに示される光学フィルム積層体が得られ、第2有効エリアF1から図7Bに示される光学フィルム積層体が得られる。前者の光学フィルム積層体の第1部F111及び第2部F121の進相軸のなす角度と、後者の光学フィルム積層体の第1部F114及び第2部F124の進相軸のなす角度とが略平行となる。
【0066】
以下、タッチ入力装置T1を製造する第2製造方法について図8を参照しつつ説明する。この第2製造方法は、S5が省略されており(第2個片P2を作成しない。)且つS6〜S7の代りにS5’〜S6’を備える点で第1製造方法と相違している。この相違点以外は、第2製造方法は第1製造方法と同じであるので、以下、その相違点についてのみA)〜C)の態様に分けて詳しく説明し、第1製造方法と重複する説明は省略する。第2製造方法のA)〜C)の態様は、第1製造方法のA)〜C)の態様に対応している。なお、第2製造方法では、S4はS3の前又は後に行うことが可能である。
【0067】
A)上記S3及びS4の後、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11の第2面と原反フィルムFの少なくとも一つの第2部F12の第1面とを粘着層200で貼り合わせる(S5’)。このS5’では、第1個片P1及び原反フィルムFの各々に目印を複数形成しておき、第1個片P1の複数の目印と原反フィルムFの複数の目印を各々一致させることで、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11と原反フィルムFの少なくとも一つの第2部F12との位置合わせを行うことが可能である。
【0068】
第1個片P1が一つの第1部F11を有し、原反フィルムFが一つの第2部F12を有する場合、第1個片P1及び原反フィルムFを図示しない第2裁断機を使用して裁断し、貼り合わせた第1部F11及び第2部F12を有する光学フィルム積層体を一つ作成する(S6’)。一方、第1個片P1が複数の第1部F11を有し、原反フィルムFが複数の第2部F12を有する場合、第1個片P1及び原反フィルムFを図示しない第2裁断機を使用して裁断し、貼り合わせた第1部F11及び第2部F12を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S6’)。
【0069】
B)上記S3及びS4の後、第1個片P1の複数の有効エリアF1の第1部F11の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、第1個片P1の複数の有効エリアF1の第1部F11の第2面と原反フィルムFの複数の有効エリアF1の第2部F12の第1面とを各々粘着層200で貼り合わせる(S5’)。貼り合わされる第1部F11及び第2部F12の各々は、複数の有効エリアF1のうち同じ有効エリアF1内に位置している。例えば、複数の有効エリアF1が二つの有効エリアF1を含む場合、そのうちの一つの有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12を粘着層200で貼り合わせると同時に、別の一つの有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12を粘着層200で貼り合わせる。このS5’でも、上記A)のS5’のとおり第1個片P1の複数の目印と原反フィルムFの複数の目印を各々一致させて第1部F11及び第2部F12を各々位置合わせしても良い。
【0070】
その後、図示しない第2裁断機を使用して第1個片P1及び原反フィルムFを裁断し、貼り合わされた第1部F11及び第2部F12を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S6’)。
【0071】
C)上記S3及びS4の後、第1個片P1の複数列の複数の第1部F11の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、第1個片P1の複数の第1部F11の第2面と原反フィルムFの複数の第2部F12の第1面を各々粘着層200で貼り合わせる(S5’)。貼り合わされる第1部F11及び第2部F12の各々は、複数列(複数の有効エリアF1)のうち対応する列(同じ有効エリアF1)内に位置している。例えば、複数の有効エリアF1が二つの有効エリアF1を含む場合、そのうちの一つの有効エリアF1の複数の第1部F11及び複数の第2部F12を粘着層200で各々貼り合わせると同時に、別の一つの有効エリアF1の複数の第1部F11及び複数の第2部F12を粘着層200で各々貼り合わせる。このS5’でも、上記A)のS5’のとおり第1個片P1の複数の目印と原反フィルムFの複数の目印を各々一致させて第1部F11及び第2部F12を各々位置合わせしても良い。
【0072】
その後、第2裁断機を使用して第1個片P1及び原反フィルムFを裁断して、貼り合わされた第1部F11及び第2部F12を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S6’)。
【0073】
以上のとおりに得られた少なくとも一つの光学フィルム積層体でも、第1部F11及び第2部F12は第1基材100a及び第2基材100bとなる。第1基材100aの進相軸のなす角度と第2基材100bの進相軸のなす角度は、略平行(10°以下)となる。第1基材100aの第1面上の第1電極群は、複数の第1電極110aとなり、第2基材100bの第1面上の第2電極群は、複数の第2電極110bとなる。このような少なくとも一つの光学フィルム積層体がタッチ入力装置T1となる。タッチ入力装置T1がカバーパネル300を備えている場合、少なくとも一つの光学フィルム積層体を得た後(上記A)〜C)の何れかのS6’後)、当該光学フィルム積層体の第1基材100aの第1面にカバーパネル300を粘着層200で貼り合わせると良い。
【0074】
なお、第2製造方法において用いられる原反フィルムFの複数の有効エリアF1が第1有効エリアF1と第2有効エリアF1を含む場合、第1製造方法と同様に、第1有効エリアF1から得られる第1部F11及び第2部F12の進相軸のなす角度と、第2有効エリアF1から得られる第1部F11及び第2部F12の進相軸のなす角度とが略平行となるように、第1有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12が、第2有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12に対して各々傾斜していても良い(図6参照)。
【0075】
以上のようなタッチ入力装置T1、第1製造方法及び第2製造方法は、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1は、貼り合わされた二つの基材100の進相軸のなす角度のバラツキを低減できる。本発明者は、二軸延伸された原反フィルムFにおいて、原反フィルムFの短手方向の一部分のエリアである有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12は、当該有効エリアF1の長手方向のどの部分であっても(例えば、原反フィルムFの長手方向の一端から1mの部分であっても100mmの部分であっても)、当該第1部F11及び第2部F12の進相軸をなす角度のバラツキが殆どない(概ね3°以下となる)知見を得た。このため、同じ有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12を貼り合わせて光学フィルム積層体の二つの基材100とすることで、二つの基材100の進相軸をなす角度のバラツキを低減することができる。但し、本発明において、少なくとも一つの有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12の進相軸をなす角度のバラツキは10°以下であれば良い。
【0076】
第2に、タッチ入力装置T1を量産化することができる。その理由は以下の通りである。上記したように、同じ有効エリアF1の長手方向の異なる部分である第1部F11及び第2部F12を貼り合わせるだけであるので、第1部F11及び第2部F12の進相軸をなす角度を測定等する必要がない。原反フィルムFが複数の有効エリアF1を有し、各有効エリアF1が少なくとも一つの第1部F11及び第2部F12を有する場合、又は原反フィルムFの一つの有効エリアF1が複数の第1部F11及び複数の第2部F12を有する場合、一度に複数の第1部F11及び複数の第2部F12を各々貼り合わせ、第1部F11及び第2部F12を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数得ることができるので、光学フィルム積層体を用いてタッチ入力装置T1を更に量産化することができる。
【0077】
第3に、複数の有効エリアF1が第1有効エリアF1と第2有効エリアF1を含む場合、第1有効エリアF1から得られた光学フィルム積層体の第1部F111及び第2部F121の進相軸のなす角度と、第2有効エリアF1から得られた光学フィルム積層体の第1部F114及び第2部F124の進相軸のなす角度とを略平行にできる。その理由は以下の通りである。第1有効エリアF1から得られる光学フィルム積層体の第1部F11及び第2部F12の進相軸のなす角度と、第2有効エリアF1から得られる光学フィルム積層体の第1部F11及び第2部F12の進相軸のなす角度とが略平行となるように、第1有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12が、第2有効エリアF1の第1部F11及び第2部F12に対して各々傾斜している。
【0078】
第4に、上記第2製造方法の場合、第2個片P2を作成する必要がないので、工程数を低減することができる。
【実施例2】
【0079】
以下、本発明の別の実施例(実施例2を含む。)に係るタッチ入力装置T2について図9を参照しつつ説明する。図9には、実施例2に係るタッチ入力装置T2が示されている。タッチ入力装置T2は、下記相違点以外、タッチ入力装置T1と同様の構成となっている。相違点1)複数の基材100が第3基材100cを更に含んでいる。相違点2)粘着層200が複数である。相違点3)第2電極110bが第2基材100bの第1面上ではなく、第3基材100cの第1面上に形成されている。以下、これらの相違点についてのみ詳しく説明し、タッチ入力装置T1と重複する説明は省略する。図9においても、Z−Z’方向及びY−Y’方向が示されている。X−X’方向については、図1Bを借りて参照する。
【0080】
第3基材100cは、第1基材100a及び第2基材100bと同様に、上記二軸延伸フィルムで構成されている。第3基材100cは、第1面と、その反対側の第2面とを有している。第1基材100a、第2基材100b及び第3基材100cが、この順でZ−Z’方向に積層されている。換言すると、第1基材100aの第2面と第2基材100bの第1面とが粘着層200(第1粘着層)で貼り合わされ、且つ第3基材100cの第1面と第2基材100bの第2面とが別の粘着層200(第2粘着層)で貼り合わされている。第1基材100a、第2基材100b及び第3基材100cの進相軸のなす角度は略平行(10°以下)となっている。
【0081】
第2電極110bは、X−X’方向に延びた上記透明導電膜又は上記導体であって、第3基材100cの第1面上にY−Y’方向に間隔をあけて設けられている。第2電極110bは第1電極110aに対して交差又は直交している。
【0082】
以下、タッチ入力装置T2の少なくとも一つの光学フィルム積層体を製造する第3製造方法について図10図12を参照しつつ説明する。第3製造方法では、押出成形機によって二軸延伸された原反フィルムF’を使用する。原反フィルムF’は、図11に示されるように、少なくとも一つの有効エリアF1が、少なくとも一つの第1部F11、第2部F12及び第3部F13を有している点で、原反フィルムFと相違している以外、原反フィルムFと同様の構成である。少なくとも一つの第1部F11、第2部F12及び第3部F13は、互いに同じ形であり且つ有効エリアF1のMD方向(長手方向)の異なる部分である。後記する第1部F11及び第2部F12を貼り合わせるときに、第1部F11及び第2部F12が互いに完全に重なるように、原反フィルムF’の有効エリアF1における第1部F11’及び第2部F12’の向き及びTD方向(短手方向)の位置が一致しており、且つ第2部F12及び第3部F13を貼り合わせるときに、第2部F12及び第3部F13が互いに完全に重なるように、原反フィルムF’の有効エリアF1における第2部F12及び第3部F13の向き及びTD方向の位置が一致している。図11では、第1部F11、第2部F12及び第3部F13は長方形であり、各有効エリアF1において、全ての第1部F11、第2部F12及び第3部F13の向き及びTD方向の位置が一致している。
【0083】
第3製造方法は、以下のA)〜C)の何れかの態様とすることが可能である。何れの態様でも、原反フィルムF’をロール・ツー・ロール(Roll To Roll) 方式等で連続的にMD方向に移動させながら行っても良いし、原反フィルムF’のMD方向の端部を原反フィルムF’のロールからMD方向に引き出した状態で行っても良い。なお、図11及び図12では、有効エリアF1、第1部F11、第2部F12、第3部F13、第1部F11の進相軸、第2部F12の進相軸、第3部F13の進相軸及び原反フィルムF’の進相軸が破線で示されている。図11及び図12では、第1電極群及び第2電極群が図示省略されている。
【0084】
A)原反フィルムF’を用意する(S10)。原反フィルムF’は一つの有効エリアF1を有している。一つの有効エリアF1が、第1部F11、第2部F12及び第3部F13を少なくとも一つずつ有している。有効エリアF1が複数の第1部F11、複数の第2部F12及び複数の第3部F13を有する場合、第1部F11がMD方向に一列で並んでおり、第2部F12がMD方向に一列で並んでおり且つ第3部F13がMD方向に一列で並んでいる。一つの有効エリアF1において、複数の第1部F11のMD方向の間隔と、複数の第2部F12のMD方向の間隔と、複数の第3部F13のMD方向の間隔とは同じである。
【0085】
上記第1製造方法のA)のS2と同様に、有効エリアF1の少なくとも一つの第1部F11の第1面上に第1電極群を形成する(S11)。その後、図示しない第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、少なくとも一つの第1部F11を含む第1個片P1を作成する(S12(図11参照))。
【0086】
その後、第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、少なくとも一つの第2部F12を含む第2個片P2を作成する(S13)。なお、S10において、用意される原反フィルムF’の第1面に、前記透明導電膜又は前記導体が予め形成されている場合、S13の前に、第2部F12の第1面上の前記透明導電膜又は前記導体をエッチング等で除去すると良い。
【0087】
その後、第1電極群を形成する方法と同様の方法で、第3部F13の第1面上に第2電極群を形成する(S14)。その後、第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、少なくとも一つの第3部F13を含む第3個片P3を作成する(S15)。なお、S11及びS14の後に、S12、S13及びS15を行っても良い。
【0088】
第1個片P1及び第2個片P2の作成後、第1製造方法のA)のS6のとおりに、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11の第1面の裏側の第2面と第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12の第1面とを粘着層200で貼り合わせる(S16(図4を借りて参照))。
【0089】
S16後、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11、第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12及び第3個片P3の少なくとも一つの第3部F13の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12の第1面の裏側の第2面と第3個片P3の少なくとも一つの第3部F13の第1面とを粘着層200で貼り合わせる(S17(図12参照))。このS17でも、第1製造方法のA)のS6と同様に、第2個片P2の複数の目印と第3個片P3の複数の目印とを各々一致させることで少なくとも一つの第2部F12及び少なくとも一つの第3部F13を位置合わせしても良いし、第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3の外形を一致させることで少なくとも一つの第2部F12及び少なくとも一つの第3部F13を位置合わせしても良い。
【0090】
第1個片P1が複数の第1部F11を有し、第2個片P2が複数の第2部F12を有し、且つ第3個片P3が複数の第3部F13を有する場合、S17で第2部F12と第3部F13を各々貼り合わせた後、第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3を図示しない第2裁断機を使用して裁断し、貼り合わせた第1部F11、第2部F12及び第3部F13を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S18)。一方、第1個片P1が一つの第1部F11を有し、第2個片P2が一つの第2部F12を有し且つ第3個片P3が一つの第3部F13を有する場合、第2部F12及び第3部F13の貼り合わせによって、第1部F11、第2部F12及び第3部F13を有する一つの光学フィルム積層体が得られる。この場合S18は省略される。
【0091】
B)原反フィルムF’を用意する(S10)。原反フィルムF’は複数の有効エリアF1を有している(図10参照)。複数の有効エリアF1は、互いに原反フィルムF’のTD方向の異なる部分のエリアである。各有効エリアF1が、第1部F11、第2部F12及び第3部F13を一つずつ有している。複数の有効エリアF1のうち、隣り合う有効エリアF1の第1部F11のMD方向の位置関係と、隣り合う有効エリアF1の第2部F12のMD方向の位置関係とが一致している。
【0092】
その後、上記A)の第1電極群の形成工程と同様に、複数の有効エリアF1の第1部F11の第1面上に第1電極群を各々形成する(S11)。その後、第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、複数の有効エリアF1の第1部F11を含む第1個片P1を作成する(S12)。このようにして得られた第1個片P1は複数の第1部F11を有する。
【0093】
その後、第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、複数の有効エリアF1の第2部F12を含む第2個片P2を作成する(S13)。このようにして得られた第2個片P2は複数の第2部F12を有する。なお、S10において、用意される原反フィルムF’の第1面に、前記透明導電膜又は前記導体が予め形成されている場合、S13の前に、第2部F12の第1面上の前記透明導電膜又は前記導体をエッチング等で除去すると良い。
【0094】
その後、上記A)の第2電極群の形成工程と同様に、複数の有効エリアF1の第3部F13の第1面上に第2電極群を各々形成する(S14)。その後、第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、複数の有効エリアF1の第3部F13を含む第3個片P3を作成する(S15)。このようにして得られた第3個片P3は複数の第3部F13を有する。なお、S11及びS14の後に、S12、S13及びS15を行っても良い。
【0095】
その後、第1製造方法のB)のS6のとおり、複数の有効エリアF1の第1部F11の第2面と複数の有効エリアF1の第2部F12の第1面とを各々粘着層200で貼り合わせる(S16)。貼り合わされる第1部F11及び第2部F12の各々は、複数の有効エリアF1のうち同じ有効エリアF1内に位置している。
【0096】
S16後、第1個片P1の複数の有効エリアF1の第1部F11、第2個片P2の複数の有効エリアF1の第2部F12及び第3個片P3の複数の有効エリアF1の第3部F13の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、複数の有効エリアF1の第2部F12の第2面と複数の有効エリアF1の第3部F13の第1面とを各々粘着層200で貼り合わせる(S17)。貼り合わされる第2部F12及び第3部F13の各々は、複数の有効エリアF1のうち同じ有効エリアF1内に位置している。例えば、複数の有効エリアF1が二つの有効エリアF1を含む場合、二つの有効エリアF1のうちの一つの有効エリアF1の第2部F12及び第3部F13を粘着層200で貼り合わせると同時に、別の一つの有効エリアF1の第2部F12及び第3部F13を粘着層200で貼り合わせる。このS17でも、第3製造方法のA)のS17と同様に、第2個片P2の複数の目印と第3個片P3の複数の目印とを各々一致させることで第2部F12及び第3部F13を各々位置合わせしても良いし、第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3の外形を一致させることで第2部F12及び第3部F13を各々位置合わせしても良い。
【0097】
その後、第2裁断機を使用して第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3を裁断し、貼り合わせた第1部F11、第2部F12及び第3部F13を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S18)。
【0098】
C)原反フィルムF’を用意する(S10)。原反フィルムF’は、図11に示されるように、複数の有効エリアF1を有している。各有効エリアF1は、複数の第1部F11、複数の第2部F12及び複数の第3部F13を有している。各有効エリアF1において、複数の第1部F11がMD方向に一列で並んでおり、第2部F12がMD方向に一列で並んでおり且つ第3部F13がMD方向に一列で並んでいる。各有効エリアF1において、複数の第1部F11のMD方向の間隔と、複数の第2部F12のMD方向の間隔と、複数の第3部F13のMD方向の間隔とは同じである。
【0099】
その後、上記A)の第1電極群の形成工程と同様に、複数の有効エリアF1の複数の第1部F11の第1面上に第1電極群を各々形成する(S11)。その後、図11に示されるように、第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、複数の有効エリアF1の複数の第1部F11を含む第1個片P1を作成する(S12)。このようにして得られたた第1個片P1は複数の有効エリアF1に各々対応する複数列を有し、各列において複数の第1部F11がMD方向に並んでいる。
【0100】
その後、第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、複数の有効エリアF1の複数の第2部F12を含む第2個片P2を作成する(S13)。このようにして得られた第2個片P2は複数の有効エリアF1に対応する複数列を有し、各列において複数の第2部F12がMD方向に並んでいる。なお、S10において、用意される原反フィルムF’の第1面に、前記透明導電膜又は前記導体が予め形成されている場合、S13の前に、第2部F12の第1面上の前記透明導電膜又は前記導体をエッチング等で除去すると良い。
【0101】
また、上記A)の第2電極群の形成工程と同様に、複数の有効エリアF1の複数の第3部F13の第1面上に第2電極群を各々形成する(S14)。その後、第1裁断機を使用して原反フィルムF’を裁断し、複数の有効エリアF1の複数の第3部F13を含む第3個片P3を作成する(S15)。このようにして得られた第3個片P3は複数の有効エリアF1に対応する複数列を有し、各列において複数の第3部F13がMD方向に並んでいる。なお、S11及びS14の後に、S12、S13及びS15を行っても良い。
【0102】
その後、第1製造方法のC)のS6のとおり、複数の第1部F11の第2面と複数の第2部F12の第1面を各々粘着層200で貼り合わせる(S16)。貼り合わされる第1部F11及び第2部F12の各々は、複数列(複数の有効エリアF1)のうち対応する列(同じ有効エリアF1)内に位置している。
【0103】
その後、第1個片P1の複数列の複数の第1部F11、第2個片P2の複数列の複数の第2部F12及び第3個片P3の複数列の複数の第3部F13の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、複数の第2部F12の第2面と複数の第3部F13の第1面を各々粘着層200で貼り合わせる(S17)。貼り合わされる第2部F12及び第3部F13の各々は、複数列(複数の有効エリアF1)のうち対応する列(同じ有効エリアF1)内に位置している。なお、図11では、複数の有効エリアF1が二つの有効エリアF1を含み、そのうちの一つの有効エリアF1(図11の上列)では、第2部F12が第2部F121、F122、F123を含み且つ第3部F13が第3部F131、F132、F133を含んでおり、別の一つの有効エリアF1(図11の下列)では、第2部F12が第2部F124、F125、F126を含み且つ第3部F13が第3部F134、F135、F136を含んでいる。S17において、上列の第2部F121、F122、F123と上列の第3部F131、F132、F133とを各々粘着層200で貼り合わせると同時に、下列の第2部F124、F125、F126と下列の第3部F134、F135、F136とを各々粘着層200で貼り合わせる。このS17でも、上記B)のS17のとおり、第2個片P2の複数の目印と第3個片P3の目印を各々一致させることで第2部F12及び第3部F13を各々位置合わせしても良いし、第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3の外形を一致させることで第2部F12及び第3部F13を位置合わせしても良い。
【0104】
その後、第2裁断機を使用して第1個片P1、第2個片P2及び第3個片P3を裁断して、貼り合わせた第1部F11、第2部F12及び第3部F13を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S18)。
【0105】
以上のとおりに得られた少なくとも一つの光学フィルム積層体では、第1部F11、第2部F12及び第3部F13は第1基材100a、第2基材100b及び第3基材100cとなる。第1基材100aの進相軸のなす角度と、第2基材100bの進相軸のなす角度と、第3基材100cの進相軸のなす角度とは、略平行(10°以下)となる。第1基材100aの第1面上の第1電極群は、複数の第1電極110aとなり、第3基材100cの第1面上の第2電極群は、複数の第2電極110bとなる。この少なくとも一つの光学フィルム積層体がタッチ入力装置T2となる。タッチ入力装置T2がカバーパネル300を備えている場合、少なくとも一つの光学フィルム積層体を得た後(上記A)〜C)の何れかのS18後)、当該光学フィルム積層体の第1基材100aの第1面にカバーパネル300を粘着層200で貼り合わせると良い。
【0106】
なお、第3製造方法において、S15を省略することが可能である。この場合、S17及びS18を以下の通りにすると良い。S17において、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11及び第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1、第2個片P2及び原反フィルムF’の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、少なくとも一つの第2部F12の第2面と少なくとも一つの第3部F13の第1面を粘着層200で貼り合わせる。S18において、第2裁断機を使用して第1個片P1、第2個片P2及び原反フィルムF’を裁断して、貼り合わせた第1部F11、第2部F12及び第3部F13を一つずつ有する光学フィルム積層体を作成する。
【0107】
なお、複数の有効エリアF1が第1有効エリアF1と第2有効エリアF1とを含む場合、第1有効エリアF1から得られる第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度と、第2有効エリアF1から得られる第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度とが略平行となるように、第1有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13が、第2有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13に対して各々傾斜していても良い(図6を借りて参照)。この場合も、上記した何れかの態様の第3製造方法によって光学フィルム積層体を製造することが可能である。第1有効エリアF1から光学フィルム積層体が得られ、第2有効エリアF1から光学フィルム積層体が得られる。前者の光学フィルム積層体の第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度と、後者の光学フィルム積層体の第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度とが略平行となる。
【0108】
以下、タッチ入力装置T2を製造する第4製造方法について図13を参照しつつ説明する。この第4製造方法は、第3製造方法のS13〜S18に代えて、S13’〜S17’を備える点で第3製造方法と相違している。この相違点以外は、第4製造方法は第3製造方法と同じであるので、以下、その相違点についてのみA)〜C)の態様に分けて詳しく説明し、第3製造方法と重複する説明は省略する。第4製造方法のA)〜C)の態様は、第3製造方法のA)〜C)の態様に対応している。
【0109】
A)上記S12の後、第2製造方法のA)のS5’のとおりに、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11の第2面と原反フィルムF’の少なくとも一つの第2部F12の第1面とを粘着層200で貼り合わせる(S13’)。なお、S10において、用意される原反フィルムF’の第1面に、前記透明導電膜又は前記導体が予め形成されている場合、S13’の前に、第2部F12の第1面上の前記透明導電膜又は前記導体をエッチング等で除去すると良い。
【0110】
その後、原反フィルムF’を、第1裁断機を使用して裁断し、少なくとも一つの第2部F12を有する第2個片P2を作成する(S14’)。
【0111】
その後、第3製造方法のA)のS14と同様に、原反フィルムF’の少なくとも一つの第3部F13の第1面上に第2電極群を各々形成する(S15’)。このS15’はS12の前に行うことが可能である。
【0112】
その後、第1個片P1の少なくとも一つの第1部F11及び第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1及び第2個片P2の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12の第2面と原反フィルムF’の少なくとも一つの第3部F13の第1面とを粘着層200で貼り合わせる(S16’)。このS16’では、第2個片P2及び原反フィルムF’の各々に目印を複数形成しておき、第2個片P2の複数の目印と原反フィルムF’の複数の目印を各々一致させることで、第2個片P2の少なくとも一つの第2部F12と原反フィルムF’の少なくとも一つの第3部F13との位置合わせを行うことが可能である。
【0113】
第1個片P1が一つの第1部F11を有し、第2個片P2が一つの第2部F12を有し、且つ原反フィルムF’が一つの第3部F13を有する場合、第1個片P1、第2個片P2及び原反フィルムF’を図示しない第2裁断機を使用して裁断し、貼り合わせた第1部F11、第2部F12及び第3部F13を有する光学フィルム積層体を一つ作成する(S17’)。一方、第1個片P1が複数の第1部F11を有し、第2個片P2が複数の第2部F12を有し、且つ原反フィルムF’が複数の第3部F13を有する場合、第1個片P1、第2個片P2及び原反フィルムF’を図示しない第2裁断機を使用して裁断し、貼り合わせた第1部F11、第2部F12及び第3部F13を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S17’)。
【0114】
B)上記S12の後、第2製造方法のB)のS5’のとおりに、第1個片P1の複数の有効エリアF1の第1部F11の第2面と原反フィルムF’の複数の有効エリアF1の第2部F12の第1面とを各々粘着層200で貼り合わせる(S13’)。貼り合わされる第1部F11及び第2部F12の各々は、複数の有効エリアF1のうち同じ有効エリアF1内に位置している。なお、S10において、用意される原反フィルムF’の第1面に、前記透明導電膜又は前記導体が予め形成されている場合、S13’の前に、第2部F12の第1面上の前記透明導電膜又は前記導体をエッチング等で除去すると良い。
【0115】
その後、原反フィルムF’を、第1裁断機を使用して裁断し、複数の有効エリアF1の第2部F12を有する第2個片P2を作成する(S14’)。このようにして得られた第2個片P2は複数の第2部F12を有する。
【0116】
その後、第3製造方法のB)のS14と同様に、原反フィルムF’の複数の有効エリアF1の第3部F13の第1面上に第2電極群を各々形成する(S15’)。このS15’はS12の前に行うことが可能である。
【0117】
その後、第1個片P1の複数の有効エリアF1の第1部F11及び第2個片P2の複数の有効エリアF1の第2部F12の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1及び第2個片P2の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、第2個片P2の複数の有効エリアF1の第2部F12の第2面と原反フィルムF’の複数の有効エリアF1の第3部F13の第1面とを各々粘着層200で貼り合わせる(S16’)。貼り合わされる第2部F12及び第3部F13の各々は、複数の有効エリアF1のうち同じ有効エリアF1内に位置している。例えば、複数の有効エリアF1が二つの有効エリアF1を含む場合、そのうちの一つの有効エリアF1の第2部F12及び第3部F13を粘着層200で貼り合わせると同時に、別の一つの有効エリアF1の第2部F12及び第3部F13を粘着層200で貼り合わせる。このS16’でも、第4製造方法のA)のS16’と同様に、第2個片P2の複数の目印と原反フィルムF’の複数の目印を各々一致させて第2部F12及び第3部F13を各々位置合わせしても良い。
【0118】
その後、図示しない第2裁断機を使用して第1個片P1、第2個片P2及び原反フィルムF’を裁断し、貼り合わされた第1部F11、第2部F12及び第3部F13を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S17’)。
【0119】
C)上記S12の後、第2製造方法のC)のS5’のとおりに、第1個片P1の複数の第1部F11の第2面と原反フィルムF’の複数の第2部F12の第1面を各々粘着層200で貼り合わせる(S13’)。貼り合わされる第1部F11及び第2部F12の各々は、複数列(複数の有効エリアF1)のうち対応する列(同じ有効エリアF1)内に位置している。なお、S10において、用意される原反フィルムF’の第1面に、前記透明導電膜又は前記導体が予め形成されている場合、S13’の前に、第2部F12の第1面上の前記透明導電膜又は前記導体をエッチング等で除去すると良い。
【0120】
その後、原反フィルムF’を、第1裁断機を使用して裁断し、複数の有効エリアF1の複数の第2部F12を有する第2個片P2を作成する(S14’)。このようにして得られた第2個片P2は複数の有効エリアF1に対応する複数列を有し、各列において複数の第2部F12がMD方向に並んでいる。
【0121】
その後、第3製造方法のC)のS14と同様に、原反フィルムF’の複数の有効エリアF1の複数の第3部F13の第1面上に第2電極群を各々形成する(S15’)。このS15’はS12の前に行うことが可能である。
【0122】
その後、第1個片P1の複数列の複数の第1部F11及び第2個片P2の複数の有効エリアF1の複数の第2部F12の向きを裁断前の向きと略同じ状態(換言すると、第1個片P1及び第2個片P2の向きを裁断前の向きと略同じ状態)で、第2個片P2の複数の第2部F12の第2面と原反フィルムF’の複数の第3部F13の第1面を各々粘着層200で貼り合わせる(S16’)。貼り合わされる第2部F12及び第3部F13の各々は、複数列(複数の有効エリアF1)のうち対応する列(同じ有効エリアF1)内に位置している。例えば、複数の有効エリアF1が二つの有効エリアF1を含む場合、そのうちの一つの有効エリアF1の複数の第2部F12及び複数の第3部F13を粘着層200で各々貼り合わせると同時に、別の一つの有効エリアF1の複数の第2部F12及び複数の第3部F13を粘着層200で各々貼り合わせる。このS16’でも、第4製造方法のA)のS16’と同様に、第2個片P2の複数の目印と原反フィルムF’の複数の目印を各々一致させて第2部F12及び第3部F13を各々位置合わせしても良い。
【0123】
その後、第2裁断機を使用して第1個片P1、第2個片P2及び原反フィルムF’を裁断して、貼り合わされた第1部F11、第2部F12及び第3部F13を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数作成する(S17’)。
【0124】
以上のとおりに得られた少なくとも一つの光学フィルム積層体でも、第1部F11、第2部F12及び第3部F13は第1基材100a、第2基材100b及び第3基材100cとなる。第1基材100aの進相軸のなす角度と、第2基材100bの進相軸のなす角度と、第3基材100cの進相軸のなす角度は、略平行(10°以下)となる。第1基材100aの第1面上の第1電極群は、複数の第1電極110aとなり、第3基材100cの第1面上の第2電極群は、複数の第2電極110bとなる。このような少なくとも一つの光学フィルム積層体がタッチ入力装置T2となる。タッチ入力装置T2がカバーパネル300を備えている場合、少なくとも一つの光学フィルム積層体を得た後(上記A)〜C)の何れかのS17’後)、当該光学フィルム積層体の第1基材100aの第1面にカバーパネル300を粘着層200で貼り合わせると良い。
【0125】
なお、第4製造方法において用いられる原反フィルムF’の複数の有効エリアF1が第1有効エリアF1と第2有効エリアF1を含む場合、第3製造方法と同様に、第1有効エリアF1から得られる第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度と、第2有効エリアF1から得られる第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度とが略平行となるように、第1有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13が、第2有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13に対して各々傾斜していても良い(図6を借りて参照)。
【0126】
以上のようなタッチ入力装置T2、第3製造方法及び第4製造方法は、以下の技術的特徴及び効果を奏する。第1は、貼り合わされた二つの基材100の進相軸のなす角度のバラツキを低減できる。本発明者は、二軸延伸された原反フィルムF’において、原反フィルムF’の短手方向の一部分のエリアである有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13は、当該有効エリアF1の長手方向のどの部分であっても(例えば、原反フィルムF’の長手方向の一端から1mの部分であっても100mmの部分であっても)、当該第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸をなす角度のバラツキが殆どない(概ね3°以下となる)知見を得た。このため、同じ有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13を貼り合わせて光学フィルム積層体の三つの基材100とすることで、三つの基材100の進相軸をなす角度のバラツキを低減することができる。但し、本発明において、少なくとも一つの有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸をなす角度のバラツキは10°以下であれば良い。
【0127】
第2に、タッチ入力装置T2を量産化することができる。その理由は以下の通りである。上記したように、同じ有効エリアF1の長手方向の異なる部分である第1部F11、第2部F12及び第3部F13を貼り合わせるだけであるので、第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸をなす角度を測定等する必要がない。原反フィルムF’が複数の有効エリアF1を有し、各有効エリアF1が少なくとも一つの第1部F11、第2部F12及び第3部F13を有する場合、又は原反フィルムF’の一つの有効エリアF1が複数の第1部F11、複数の第2部F12及び複数の第3部F13を有する場合、一度に複数の第1部F11及び複数の第2部F12を各々貼り合わせ、第1部F11及び第2部F12を一つずつ有する光学フィルム積層体を複数得ることができるので、光学フィルム積層体を用いてタッチ入力装置T2を更に量産化することができる。
【0128】
第3に、複数の有効エリアF1が第1有効エリアF1と第2有効エリアF1を含む場合、第1有効エリアF1から得られた光学フィルム積層体の第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度と、第2有効エリアF1から得られた光学フィルム積層体の第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度とを略平行にできる。その理由は以下の通りである。第1有効エリアF1から得られる光学フィルム積層体の第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度と、第2有効エリアF1から得られる光学フィルム積層体の第1部F11、第2部F12及び第3部F13の進相軸のなす角度とが略平行となるように、第1有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13が、第2有効エリアF1の第1部F11、第2部F12及び第3部F13に対して各々傾斜している。
【0129】
第4に、上記第4製造方法の場合、第3個片P3を作成する必要がないので、工程数を低減することができる。
【0130】
なお、上記したタッチ入力装置の製造方法及びタッチ入力装置は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。
【0131】
タッチ入力装置T1の複数の第2電極110bは、第2基材100bの第1面上ではなく、第1基材100aの第1面の裏側の第2面上に設けることが可能である。この場合、本発明のタッチ入力装置の第1又は第2製造方法は、上記S3の前に、複数の第2電極となる第2電極群を第2部F12の第1面上ではなく、第1部F11の第1面の裏側の第2面上に形成すると良い。その形成方法は、上記S4の形成方法と同様とすれば良い。
【0132】
本発明の原反フィルムの第1部及び第2部の外形(すなわち、第1基材及び第2基材の外形)が互いに相違していても良い。本発明の原反フィルムの第1部、第2部及び第3部の外形(すなわち、第1基材、第2基材及び第3基材の外形)が互いに相違していても良い。
【0133】
本発明の上記した何れかの態様の製造方法は、第1電極群及び/又は第2電極群の形成工程を省略することができる。第1電極群又は第2電極群の形成工程が省略される場合、上記した何れかの態様の製造方法では、第1部及び第2部が粘着層で貼り合わされ、且つ第1部及び第2部の何れか一方の電極群が形成された光学積層体、又は、第1部、第2部及び第3部が粘着層で貼り合わされ、且つ第1部及び第3部の何れか一方に電極群が形成された光学積層体が少なくとも一つ得られる。第1電極群及び第2電極群の形成工程が省略される場合、上記した何れかの態様の製造方法では、電極群が形成されていない第1部及び第2部が粘着層で貼り合わされた光学積層体、又は電極群が形成されていない第1部、第2部及び第3部が粘着層で貼り合わされた光学積層体が少なくとも一つ得られる。この電極群を有していない光学積層体と、少なくとも一つの電極群を有する光学積層体に貼り合わせてタッチ入力装置を得ることが可能である。なお、電極群が形成されていない基材は、電極基材層としての処理をする必要はない。以上のことから、本発明のタッチ入力装置は第1電極又は第2電極を省略することが可能である。
【0134】
上記実施例及び設計変形例におけるタッチ入力装置の製造方法の各工程を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記実施例及び設計変形例におけるタッチ入力装置の各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記した実施例の各態様及び設計変更例は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0135】
T1、T2:タッチ入力装置
100:基材
100a:第1基材
100b:第2基材
100c:第3基材
110a:第1電極
110b:第2電極
200:粘着層
300:カバーパネル
D:画像表示装置
G:偏光板
F、F’:原反フィルム
F1:有効エリア
F11:第1部
F12:第2部
F13:第3部
P1:第1個片
P2:第2個片
P3:第3個片

図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13