(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外装ケースの底面には、前記底面の外周端から前記底面の中心に向かって延伸して形成されるとともに、前記ケース軸方向に凹んだ第3凹部が形成されることによって当該第3凹部の裏面に位置するケース底面の裏面にケース開口側に向かって隆起する第3隆起部が形成されている
ことを特徴とする請求項2ないし請求項5の少なくともいずれかに記載の電子部品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のケースは、内周面に形成した複数の環状の凸部によって素子の円周全体を押圧して固定するが、最も素子の振動幅が大きくなるケース底面側の振動を抑制するためには押圧力を強くする必要があるので、素子形状にばらつきがある場合、形状の大きな部分に過剰な押圧力が作用しやすく、ひいては素子が破損するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、簡素な構造で耐振性および耐久性に優れた電子部品の製造方法および電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような電子部品の製造方法および電子部品を提供する。
【0008】
すなわち、本発明の実施態様に係る電子部品の製造方法は、下記の構成を有する。
セパレータを介して陽極箔と陰極箔を重ね合わせて巻回してなる素子を有底円筒状の外装ケース内に封止してなる電子部品の製造方法であって、
有底円筒状の底面から開口側に向かって径方向の高さが低くなるテーパ状の第1隆起部を内周面に形成された前記外装ケースに、2本のリード部を挿通した封止体を有する前記素子を挿入する挿入過程と、
前記外装ケースに前記素子を挿入
することによって前記第1隆起部を前記素子に当接させた後に、当該外装ケースの外周に沿って環状の凹部を形成することによって外装ケースの内面に
その高さが前記第1隆起部の高さよりも小さい第2隆起部を形成
し、当該第2隆起部を前記素子に当接させる隆起部形成過程と、
前記外装ケースの外周を押圧して封止体を締め付ける締付け過程と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この方法によれば、外装ケースに素子を挿入する過程で、当該素子に部分的に外形寸法の大きな箇所がある場合、第1隆起部から離れて隣り合う第1隆起部同士の間に入り込むようにして案内誘導される。すなわち、第1隆起部との接触によって素子に過剰な押圧力が作用するのを回避することができる。前述とは逆に、素子の直径が小さい場合、第1隆起部は、円周方向での接触面積が小さいので保持力が低下する傾向にある。しかしながら、環状の第2隆起部を形成することによって、当該第2隆起部が素子の円周全体と接触するので、素子の保持力を高めることができる。さらに、素子の形状の大きい箇所は、第1隆起部と第2隆起部とによって囲われる領域に案内されているので、複数の環状の凸部によって保持される素子に比べて過剰な押圧力が素子にかかり難く、ひいては素子の損傷を抑制することができる。
【0010】
また、本発明の実施態様に係る電子部品は、下記の構成を有する。
セパレータを介して陽極箔と陰極箔を重ね合わせて巻回してなる素子と、
前記素子を収納する有底円筒状の外装ケースと、
前記外装ケースの開口を封止する封止体と、を備えた電子部品であって、
前記外装ケースの外周面は、前記有底円筒状の底面から開口側に向かって径方向の深さが浅くなるテーパ状の第1凹部が外周面に複数個形成されることによって、当該第1凹部の裏面に位置するケースの内周面に径方向中心側に向かって隆起するテーパ状に形成された第1隆起部と、
前記外周面に沿って形成された環状の第2凹部によって、当該第2凹部の裏面に位置するケース内周面に径方向中心に向かって隆起する環状の第2隆起部と、を有し、
前記第2隆起部の高さは前記第1隆起部の高さよりも小さく、
前記第1隆起部と第2隆起部とによって前記素子を当接支持することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、素子に部分的に外形寸法の大きな箇所がある場合、隆起部から離れて隣り合う隆起部同士の間に入り込むようにして案内誘導される。すなわち、第1隆起部との接触によって素子に過剰な押圧力が作用するのを回避することができる。素子の直径が小さい場合、第1隆起部は、円周方向での接触面積が小さいので保持力が低下する傾向にあるが、環状の第2隆起部によって、素子の円周全体を当接支持することができる。したがって、素子の保持力を高めることができる。
【0012】
なお、上記構成において、第2凹部および第2隆起部は、例えば以下のように外装ケースに形成してもよい。
【0013】
第2の形態として、第2凹部および第2隆起部は、第1凹部および第1隆起部の外装ケースの開口側に向かう先端と封止体の間に形成する。
【0014】
この構成によれば、第1隆起部から封止体までの間に第2凹部および第2隆起部を形成するので、素子が非保持となる間隔が短くする。したがって、第1隆起部および第2隆起部によって、素子を安定して保持することができるので、電子部品の耐振性の向上を図ることができる。
【0015】
第3の形態として、第2凹部および第2隆起部は、第1凹部および第1隆起部と接するまたは交差するように形成する。
【0016】
この構成によれば、第1隆起部と第2隆起部が交差する部分は、2次元的に素子を保持するので、保持力が増加し、ひいては、電子部品の耐振性の向上を図ることができる。
【0017】
第4の形態として、第2凹部および第2隆起部は、複数個からなり、
第1凹部および第1隆起部の外装ケースの開口側に向かう先端と前記封止体の間と、第1凹部および第1隆起部に接するまたは交差するように形成する。
【0018】
この構成によれば、第2および第3の形態の構成を組み合わせることによって、素子を安定して当接支持するので、第2および第3の形態に比べてより耐振性が向上する。
【0019】
また、上記構成において、以下のように構成してもよい。
【0020】
例えば、外装ケースの底面には、前記底面の外周端から前記底面の中心に向かって延伸して形成されるとともに、前記ケース軸方向に凹んだ第3凹部が形成されており、
当該第3凹部の裏面に位置するケース底面の裏面にケース開口側に向かって隆起する第3隆起部が形成されていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、素子の挿入先端側が外装ケースの底面の裏面側に形成された第2隆起部と接触するので、外装ケースの内周面と裏面とによって素子をより安定して当接支持することができる。その結果、素子の外周のみを隆起部によって当接支持する場合に比べて耐振性がより高くなる。
【0022】
また、上記構成において、素子は、前記陰極箔と前記セパレータを前記陽極箔よりも軸方向に突き出させた状態で巻回され、前記第3隆起部が前記陰極箔および前記セパレータに接触していることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、陽極箔よりも底面側に突き出た陰極箔とセパレータが、外装ケースの底面側の隆起部と接触するので、当該隆起部を介して外装ケースをヒートシンクとして機能させることができる。したがって、放熱効果に優れた電子部品を構成することができる。
【0024】
さらに、上記構成において、前記第1隆起部の径方向中心側の頂部が、前記ケース底面側の外周端を起点にして軸方向に沿って所定長さを前記外装ケース底面に対して垂直に形成してあることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、底面側の外周端から隆起高さが低くなるテーパ状の隆起部よりも隆起部と素子の接触長さが長くなるので、耐振性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡素な構成で機械的強度が高く、耐振性などの耐環境性能が高い電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による電解コンデンサの構成を示す断面図である。
【
図2】本発明による電解コンデンサで使用されるコンデンサ素子の斜視図である。
【
図3】本発明による電解コンデンサで使用される外装ケースの斜視図である。
【
図4】本発明による電解コンデンサに使用される外装ケースの底面図である。
【
図5】本発明による電解コンデンサの製造工程を示す模式図である。
【
図6】本発明による電解コンデンサの製造工程を示す模式図である。
【
図7】本発明による電解コンデンサを部分断面図である。
【
図8】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図9】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図10】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図11】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図12】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図13】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図14】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図15】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースを示す底面図である。
【
図16】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図17】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図18】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースを示す底面図である。
【
図19】本発明による変形例の電解コンデンサに使用される外装ケースの斜視図である。
【
図20】
図19に示す電解コンデンサのA−A矢視断面図である。
【
図21】本発明による変形例の電解コンデンサの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、本実施形態では、電子部品として電解コンデンサを例にとって説明する。
【0029】
<電解コンデンサ>
図1に示すように、本実施形態の電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、弾性封口材3と、外装ケース4とを備える。なお、コンデンサ素子2は、本発明の素子に相当し、弾性封口材3は、本発明の封止体に相当する。
【0030】
図2に示すように、コンデンサ素子2は、陽極箔5と、陰極箔6とがセパレータ(電解紙)7を介して巻回された巻回部を構成している。また、コンデンサ素子2の最外周は、セパレータ7が巻回されている。
【0031】
陽極箔5と陰極箔6には平坦状のリードタブ(図示省略)がそれぞれ接続されており、このリードタブを介して陽極箔5および陰極箔6からそれぞれリード部8が引き出されている。2つのリード部8は、コンデンサ素子2の一方の端面から導出されている。各リード部8は、リードタブの先端に連結された丸棒状の接続部8Aと、接続部8Aの先端部に溶接されたリード線8Bとから構成されている。
【0032】
陽極箔5は、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属で形成されている。陽極箔5の表面は、エッチング処理により粗面化されるとともに、陽極酸化(化成)による陽極酸化皮膜(図示せず)が形成されている。
【0033】
また、陰極箔6も、陽極箔5と同様にアルミニウムなどで形成され、その表面は粗面化されるとともに、自然酸化皮膜(図示せず)が形成されている。なお、陰極箔6には、陽極酸化皮膜を形成した箔、チタン、窒化チタン等を表面に蒸着した箔、カーボンやチタン等を担持した箔を用いることもできる。
【0034】
また、セパレータ7には駆動用電解液が保持されている。これにより、陽極箔5とセパレータ7との間に駆動用電解液が保持され、陰極箔6とセパレータ7との間にも駆動用電解液が保持されている。駆動用電解液は、コンデンサ素子2を駆動用電解液中に含浸させることにより保持される。
【0035】
図1に示すように、コンデンサ素子2は、有底円筒状に形成された外装ケース4に収納されている。
【0036】
外装ケース4は、アルミニウムなどにより形成されている。
図3および
図4に外装ケース4を記載しているが、説明の便宜上、底面を上向としている。この外装ケース4は、有底円筒状の底面4Aから開口側に垂直に向かうに連れて深さが浅くなるテーパ状の第1凹部9を外周面4Bに所定間隔(本実施形態では等間隔)をおいて複数個形成されている。また、第1凹部9は、凹入湾曲形状である。また、この第1凹部9の裏面に位置する内周面には、底面4Aから開口側に垂直に向い、かつ、径方向中心側への隆起高さが低くなるテーパ状の第1隆起部10が形成されている。したがって、当該第1隆起部10も第1凹部9と同様に所定間隔をおいて複数個形成されている。なお、第1隆起部10の頂部は、外装ケース4の中心に向いている。このとき、第1凹部9の外装ケース4の底面円周上の幅は、例えば、〔外装ケースの円周/凹部の本数〕×N%となるように設定される。なお、Nは、外装ケースのサイズなど外形寸法に応じて1〜30%の範囲で適宜設定される。また、第1凹部9Aの本数は、例えば、3本以上が好ましく、6本以上であればコンデンサ素子のリード部8が第1凹部9Aに対してどこに位置しても耐振性を向上することができる。
【0037】
また、外装ケース4には、第1凹部9の開口側の先端から封止体3までの間に外周面4Bの周方向に沿った環状の第2凹部14が形成されている。また、この第2凹部14の裏面に位置する外装ケース4の内周面には、頂部を外装ケース4の中心に向けた第2隆起部15が形成されている。
【0038】
これら第1隆起部10および第2隆起部15は、
図1、
図5および
図7に示すように、コンデンサ素子2を当接支持する。
【0039】
また、第1凹部9及び第2凹部14の深さD(
図7)は、コンデンサ素子2の破損および断線の生じない範囲でコンデンサ素子2に対して隆起部10の接触部分の一部を食い込ませるよう設定される。例えば、外装ケース4の直径が18mm、長さ40mmの場合、隆起部10Aが、コンデンサ素子2に食い込むように設定される。なお、隆起部10Aがコンデンサ素子2に食い込む深さは、素子にストレスを与えないようコンデンサ素子2の直径の10%以下とすることが望ましい。なお、第1凹部9と第2凹部14の深さは、異なっていてもよい。
【0040】
第1隆起部10は、外装ケース4の開口側からコンデンサ素子2を収納する過程で、
図5に示すように、コンデンサ素子2の外周面の挿入先端側からリード部側の基端に向かって第1隆起部10の長さ方向および幅方向に接触面積を徐々に増やしながらコンデンサ素子2を当接支持してゆく。換言すれば、第1隆起部10が、僅かであるがコンデンサ素子2を弾性変形させながらコンデンサ素子2を当接支持する。
【0041】
また、第1隆起部10は、コンデンサ素子2の収納過程で次のように機能する。コンデンサ素子2に直径や形状など部分的に外形寸法の大きな箇所がある場合、第1隆起部10と接触によって当該箇所に作用する押圧力が他の部分に作用する押圧力よりも大きくなる。したがって、第1隆起部10の頂部が面取りされているとともに、コンデンサ素子2の弾性変形に伴う復元力(反発力)によって、コンデンサ素子2の外形の大きな箇所が離れて隣り合う第1隆起部10同士の間に入り込むようにして案内誘導される。
【0042】
外装ケース4の開口は、
図1に示すように、2本のリード部8が外部に引き出された状態で、弾性封口材3によって封止されている。弾性封口材3は、外装ケース4の開口に形成された巻き締め部11によって圧縮された状態で配置されている。なお、外装ケース4の底部には、弁(図示せず)が設けられており、内圧が上昇した際に、当該弁が開弁して内圧を外部に逃がすようになっている。
【0043】
弾性封口材3には、2本のリード部8(接続部8A)がそれぞれ貫通される2つの貫通孔12が形成されている。弾性封口材3に力が作用していない無負荷状態での貫通孔12の径は、接続部8Aの外径よりも僅かに小さい。
【0044】
弾性封口材3は、ゴムまたは熱可塑性エラストマーを基材とする組成物により形成されている。弾性封口材3を構成するゴムとしては、具体的には、EPT(エチレンプロピレンターポリマー)、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー共重合体)、IIR(イソプレンイソブチレンラバー)などが用いられる。
【0045】
上述のように、本実施形態に係る電解コンデンサ1の構成によれば、有底円筒状の底面4Aから開口側に垂直に向かうに連れて深さが浅くなるテーパ状の第1凹部9を外周面4Bに複数個形成することによって、当該外周面の裏面側に形成された第1凹部9と同形状の第1隆起部10によってコンデンサ素子2を鉛直方向および幅方向で押圧支持している。さらに、第2隆起部15によって、コンデンサ素子3を円周全体で押圧支持している。したがって、コンデンサ素子2の支持箇所および面積が増えるので、電解コンデンサ1の耐振性を高めることができ、第1凹部9および第2凹部14によって外装ケース自体の強度を高めることができる。
【0046】
特に、第1隆起部10の先端から弾性封口材3の間では、コンデンサ素子2が非保持状態にある。しかしながら、第1隆起部10の先端から弾性封口材3の間に第2隆起部15を形成することによって、コンデンサ素子2が非保持となる距離を短くするので、衝撃を受けたときのコンデンサ素子2の振動が小さくなるので、当該振動に伴うコンデンサ素子2の撓みによる破損を抑制し、ひいては電解コンデンサ1の耐振性を高めることができる。
【0047】
また、外装ケース内面に形成された第1隆起部10が、外装ケース4の軸中心に向かって隆起しているので、コンデンサ素子2を外装ケース4に収納する過程でガイドとして機能するとともに、コンデンサ素子2をアライメントさせる機能も有する。
【0048】
また、コンデンサ素子2に部分的に外形寸法の大きな箇所がある場合、当該箇所が、第1隆起部10から離れて隣り合う第1隆起部同士の間に入り込むようにして案内誘導される。したがって、本実施形態の電解コンデンサ1によれば、コンデンサ素子2と第1隆起部10との接触によって当該コンデンサ素子2に過剰な押圧力が作用するのを回避することができ、ひいてはコンデンサ素子2が、損傷するのを防止することができる。
【0049】
さらに、コンデンサ素子2の挿入先端側からリード部側基端に向かう外周面は、第1隆起部10の頂部と所定長さおよび所定面積で接触しているので、コンデンサ素子2への押圧力が分散され、ひいてはコンデンサ素子2が損傷するのを防止することができる。
【0050】
<電解コンデンサの製造方法>
次に、上記電解コンデンサを製造する方法について、説明する。
【0051】
所定の電解液が含浸されたコンデンサ素子2が、
図5に示すように、外装ケース4に挿入されてゆく。
【0052】
コンデンサ素子2の挿入過程で、コンデンサ素子2は、第1隆起部10によって底面4A側に誘導案内される。このとき、コンデンサ素子2に部分的に外形寸法の大きな箇所がある場合、第1隆起部10の頂部が面取りされているとともに、コンデンサ素子2の弾性変形に伴う復元力によって、当該箇所が第1隆起部10から離れて隣り合う第1隆起部同士の間に入り込むようにして案内誘導される。
【0053】
コンデンサ素子2が外装ケース4に収納されると、弾性封口材3によって開口が封止される。その後、
図6に示すように、封口機の保持部20が、外装ケース4を吸着保持する。外装ケース4が吸着保持されると、加締めローラ21が、第1凹部9の開口側の先端と弾性封口材3の中間位置に移動する。その後、加締めローラ21が、外装ケース4の外周に所定の押圧力をかけながら転動して第2凹部14を形成する。
【0054】
第2凹部14の形成が完了すると、
図6の鎖線で示すように、加締めローラ21が、弾性封口材3の収納された部位に移動し、所定の押圧力をかけながら外装ケース4の外周を転動して締め付け部11を形成する。以上で、コンデンサ素子2が外装ケース4に封止され、一連の製造工程が完了する。
【0055】
上記電解コンデンサ1の製造方法によれば、コンデンサ素子2の挿入過程でコンデンサ素子2のアライメントを行って、外形寸法の大きな箇所を第1隆起部同士の間に入り込ませた後に、第2凹部14および第2隆起部を形成するので、挿入時にコンデンサ素子2の外形寸法の大きな箇所に過剰な負荷がかかるのを回避することができる。
【0056】
さらに、
図7に示すように、第1隆起部10の高さH1と第2隆起部15の高さH2の関係をH1=H2に設定するよりもH1>H2に設定することが好ましい。すなわち、この設定条件によれば、第2隆起部15はコンデンサ素子全周で食い込むため、素子へのストレスが大きくなるが、第1隆起部10が強固にコンデンサ素子を固定するため、第2隆起部15の食い込み量を少なくしてもコンデンサ素子を保持することができる。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態の電解コンデンサの構成に限定されず、以下のように構成してもよい。
【0058】
(1)上記実施形態の電解コンデンサの製造方法では、コンデンサ素子2を外装ケース4に挿入した後に当該外装ケース4に第2凹部14および第2隆起部15を形成していたが、コンデンサ素子2の挿入前に第1凹部9および第1隆起部10と同様に予め外装ケース4に第2凹部14および第2隆起部15を形成してもよい。
【0059】
この構成の場合、
図7に示すように、第1隆起部10の高さH1と第2隆起部15の高さH2の関係をH1=H2に設定するよりもH1>H2に設定することが好ましい。すなわち、この設定条件によれば、コンデンサ素子2を外装ケース4に挿入する過程で、挿入先端側のコンデンサ素子2の外形寸法の大きな箇所と第1隆起部10の摩擦抵抗よりも後端側のコンデンサ素子と第2隆起部15の摩擦抵抗が小さくなる。したがって、コンデンサ素子2の挿入先端側と後端側で生じる接触抵抗の差によって、外形寸法の大きな箇所が第1隆起部9を通過するときに回転し易くなる。したがって、コンデンサ素子2の外形寸法の大きな箇所は、第1隆起部同士の間に入り込み易くなる。なお、高さH1とH2のギャップGは、第1隆起部10がコンデンサ素子2に食い込む深さを考慮して、適宜に設定される。
【0060】
(2)上記実施形態の電解コンデンサ1では、第1凹部9の挿入側の先端と弾性封口材3の間に第2凹部14および第2隆起部15を形成していたが、当該形態に限定されず、以下のように構成してもよい。
【0061】
例えば、第1凹部9に第2凹部14を交差するように形成する。すなわち、
図8に示すように、第1凹部9の開口側の先端に接して環状の第2凹部14を形成する。或は、
図9に示すように、第1凹部9に環状の第2凹部14を交差させる。この構成によれば、第1凹部9および第2凹部14の内周面に形成された第1隆起部10と第2隆起部15とによってコンデンサ素子2の中心軸に沿った縦方向とコンデンサ素子2の円周に沿った横方向から2次元的にコンデンサ素子2を当接支持するので、コンデンサ素子2の保持力が増加する。したがって、電解コンデンサ1の耐振性の向上を図ることができる。
【0062】
また、他の実施形態として、複数個の第2凹部および第2隆起部を外装ケース4に形成してもよい。例えば、
図10に示すように、第1凹部9の先端に接して環状の第2凹部14を形成するとともに、第1凹部9の先端から弾性封口材4までの間に第2凹部14を形成する。すなわち、2個の第2凹部14、14によって形成される2個の第2隆起部10、10によって、コンデンサ素子2を当接支持するピッチが狭くなるので、衝撃を受けたときのコンデンサ素子自体の振動による撓みが抑制され、ひいてコンデンサ素子2の破損を抑制することができる。
【0063】
(2)上記実施形態の外装ケースに形成された第1凹部9は、外装ケース4の開口側に垂直に向かうように形成されていたが、当該形態に限定されず、以下のように形成してもよい。
【0064】
例えば、第1凹部9は、
図11に示す第2の実施形態のように形成されている。底面4Aを正面視したとき、6個の第1凹部9が、底面4Aに対して等間隔に形成されている。第1凹部9は、底面4Aから開口側に斜めに向い、かつ、開口側に向かうに連れて深さが浅くなるテーパ状でもある。したがって、隆起部10の先端も凹部9と同様に隣の凹部9の下側に回り込むように形成されている。なお、凹部9および隆起部10の先端は、隣の凹部9および隆起部の下側に回り込まずに鉛直線上に位置にするように形成してもよい。
【0065】
なお、この実施形態おいて、第1凹部9は、
図12に示すように、湾曲していてもよい。凹部9の先端は、隣の第1凹部9の底面4A側から開口に向かう鉛直線Lを越えて当該隣の第1凹部9の下側に回り込むように形成されている。或は、当該湾曲した凹部9の開口に向かう先端が、隣の第1凹部9の底面4A側の基端の位置と重なり合ってもよい。
【0066】
また、第1凹部9は、
図13に示す第3の実施形態のように形成されている。底面4Aを正面視したとき、6個の第1凹部9が形成されている。当該6個の第1凹部9のうち底面4A上で重なる2個の第1凹部9A、9Bを1組とする3組が、底面4Aに対して等間隔に形成されている。また、各組の第1凹部9A、9Bは、底面4Aの第1箇所から相反する斜め方向に分岐するよう形成される。すなわち、各組の第1凹部9A、9Bは、外装ケース4の表面にアルファベットの逆V字状に形成されている。したがって、当該第1凹部9A、9Bの裏面の内周面には、第1凹部9A、9Bと同形状である逆V字状の第1隆起部10A、10Bが形成されている。なお、第1隆起部10A、10Bは、外装ケース4の開口に向かうに連れて径方向中心側への隆起高さが低くなるテーパ状でもある。なお、第1凹部9A、9Bおよび第1隆起部10A、10Bの個数は、1箇所から分岐した2個を1組とする3組の合計6個に限定されず、外装ケース4のサイズなどによって適宜に設定変更される。
【0067】
また、第1凹部9は、
図14および
図15に示す第4の実施形態のように形成されている。底面4Aを正面視したとき、6個の第1凹部9が形成されている。当該6個の第1凹部9のうち底面4A上で短い距離で隣り合う2個の第1凹部9A、9Bを1組とする3組が、底面4Aに対して等間隔に形成されている。各組の第1凹部9A、9Bは、外装ケース4の底面4Aから開口側に向かって相反する外開きの斜めに向かって形成されている。したがって、第1凹部9A、9Bの裏面には、第1凹部9A、9Bと同形状の第1隆起部10A、10Bが形成されている。すなわち、第1隆起部10A,10Bは、底面4Aから開口側に向かって相反する外開きの斜めに向かって形成されている。なお、第1隆起部10A、10Bは、外装ケース4の開口に向かうに連れて径方向中心側への隆起高さが低くなるテーパ状でもある。なお、第1凹部9A、9Bおよび第1隆起部10A、10Bは、3組の合計6個に限定されず、外装ケース4のサイズなどによって適宜に設定変更される。また、各組の第1凹部9A、9Bおよび第1隆起部10A、10B間の距離も適宜に設定変更される。
【0068】
上記第3の実施形態は、
図16に示す第5の実施形態のように第1凹部9を形成してもよい。隣り合う組の第1凹部9A、9Bの開口側に向かう先端が、互いに接触してもよい。すなわち、第1凹部9A、9BによってアルファベットのV字状の第1凹部9を形成する。なお、第1凹部9は、外装ケース4の外周面に3個形成される。したがって、第1凹部9A、9Bの裏面には、第1凹部9A、9Bと同形状であるアルファベットのV字状の第1隆起部10が形成されている。なお、第1隆起部10は、径方向中心側への隆起高さが低くなるテーパ状でもある。
【0069】
さらに、第1凹部9は、
図17に示す第6の実施形態のように、形成されている。底面4Aを正面視したとき、6個の第1凹部9が形成されている。当該6個の第1凹部9のうち底面4A上で短い距離で隣り合う2個の第1凹部9A、9Bを1組とする3組が、底面4に対して等間隔に形成されている。各組の第1凹部9A、9Bは、外周面4Bに沿った長さ方向の略中間で互いの第1凹部9A、9Bが交差するように、底面4Aから開口側に向かって斜めに形成されている。すなわち、1組の第1凹部9A、9Bは、アルファベットのX字状に形成されている。したがって、第1凹部9A、9Bの裏面には、第1凹部9A、9Bと同形状であるアルファベットのX字状の第1隆起部10A、10Bが形成されている。なお、第1隆起部10A、10Bは、径方向中心側への隆起高さが低くなるテーパ状でもある。また、第1凹部9A、9Bおよび第1隆起部10A、10Bは、3組の合計6個に限定されず、外装ケース4のサイズなどによって適宜に設定変更される。また、各組の第1凹部9A、9Bおよび第1隆起部10A、10B間の距離も適宜に設定変更される。
【0070】
上述の第2の実施形態から第5の実施形態では、第2凹部14を第1凹部9の先端と弾性封口材3との間に形成しているが、当該形態に限定されない。すなわち、上記変形例と同様に、第1凹部9に第2凹部14を交差させ、第1隆起部10と第2隆起部15によってコンデンサ素子2を当接支持する。或は、第1凹部9と交差する位置および第1凹部9と弾性封口材3の間の中間位置に第2凹部14を形成してもよい。これら第2の実施形態から第5の実施形態のいずれも、上記各実施形態と同様の効果を奏する。
【0071】
(3)上記各実施形態の外装ケース4に形成された第1凹部9、9Aは、凹入湾曲形状であったが、
図18に示すように、外装ケース4の底面から見て矩形であり、底面4Aから開口側に向かって先細りテーパ状の楔形状であってもよい。
【0072】
(4)外装ケース4は、
図19に示すように、底面4Aの外周から開口側に向かって先細り形状とする第1凹部9Aと、第1凹部9Aと同形状で、第1凹部9Aと連結する態様で底面4Aの外周からその中心に向かって先細り形状となる第3凹部9Cとを備えた構成であってもよい。すなわち、有底円筒状の底面4Aから開口側に向かって径方向の深さが浅くなるテーパ状の第1凹部9Aと、底面4Aの外周側で第1凹部9Aと連結して底面4Aの中心に向かって軸方向の深さが浅くなるテーパ状に第3凹部9Cとを形成する。当該、第1凹部9Aおよび第3凹部9Cの裏面側には、第1隆起部10Aおよび第3隆起部10Cが形成されている。
【0073】
底面4Aに形成された第3凹部9Cの長さは、上記実施例のように外装ケース4の直径が18mmの場合、例えば4mmに設定される。すなわち、当該実施例を含む本発明によれば、第3凹部9Cの長さは、外装ケース4の底面4Aの直径に対して、例えば25%以内に設定される。なお、底面4Aに弁(例えば十字弁)を設ける場合、弁と第3凹部9Cとが重なり合わないように第3凹部9Cを底面4Aに形成する。
【0074】
この外装ケース4を利用して電解コンデンサ1を作成する場合、コンデンサ素子2を以下のように構成することが好ましい。
【0075】
図20に示すように、例えば陰極箔6およびセパレータ7の先端が、陽極箔5よりも突き出て外装ケース4の底面4Aの裏面に形成された第3隆起部10Cと接触させる。この構成において、陰極箔6の幅(軸方向の長さ)を陽極箔5の幅よりも長くしてもよいし、或いは陰極箔6の幅が陽極箔5と同じ幅の場合には、陽極箔5に対して陰極箔6を外装ケース4の底面側にずらすように構成すればよい。これら陽極箔5、陰極箔6およびセパレータ7を巻き回してコンデンサ素子2を構成する。なお、セパレータ7は、陽極箔5と陰極箔6とが接触することない幅を有することは言うまでもない。
【0076】
この構成によれば、コンデンサ素子2の先端側と外装ケース4とが接触するので、電解コンデンサ1の耐振性を高めることができるのみならず、陰極箔6と外装ケース4とが接触しているので、外装ケース4がヒートシンクとして機能する。したがって、放熱性にも優れた電解コンデンサを構成することができる。なお、外装ケース4の底面側の裏面に形成した第3隆起部10Cの一部をコンデンサ素子2の上部と平行になるように構成してもよい。
【0077】
(5)上記各実施形態の外装ケース4に形成された第1隆起部10、10Aは、底面4A側を基端にしてケース開口に向かって径方向中心側への隆起高さが連続的に低くなるよう構成していたが、次のように構成してもよい。
【0078】
例えば、
図21に示すように、外装ケース4の内周面側に第1隆起部10の頂部が、底面4A側の外周端を起点にして所定長さを外装ケース4の底面に対して垂直となるように構成してもよい。実施例の一例として、電解コンデンサの外形寸法は、次のとおりである。外装ケース4の外径が18.0mm、第1隆起部10の形成されていない箇所における外装ケース4の内径が17.3mm、第1凹部9は底面4Aの周方向に沿って等間隔に6個形成され、コンデンサ素子2の直径が16.2mmである。
【0079】
この電解コンデンサの場合、第1凹部9の径方向の深さD1を0.6mm、軸方向の長さL1を15.0mm、第1隆起部10のコンデンサ素子2との接触長さL2を10.0mm、コンデンサ素子2への第1隆起部10の食い込みD2を0.05mmに設定した。また、陽極箔5および陰極箔6からセパレータ6をはみ出させて外装ケース4の底面4Aの裏面側と接触するように設定した。このときの両箔5、6からのセパレータ7の軸方向のはみ出し長L3を1.0mmに設定した。さらに、コンデンサ素子2への隆起部15の食い込みを0.02mmに設定した。
【0080】
この構成によれば、第1隆起部10のコンデンサ素子2との接触長さが長くなるので、さらなる耐振性の向上を図ることができる。
【0081】
(6)上記実施形態では、電解コンデンサを例にとって説明したが、電解コンデンサに限らず、例えば、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどの円筒状の外装ケースで素子を封止する電子部品に、上記各実施形態に記載の外装ケース4を適用することができるのはいうまでもない。