特許第6704835号(P6704835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704835
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/00 20170101AFI20200525BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   E05F5/00 D
   E06B3/46
   E05F5/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-212237(P2016-212237)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2018-71192(P2018-71192A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大輔
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04262450(US,A)
【文献】 実公昭60−037991(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
E06B 3/04− 3/46
E06B 9/52− 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦材と横材とが枠組みされた枠体と、
前記枠体に取り付けられる枠体取付部材と、を有し、
前記枠体は、前記縦材又は前記横材の長手方向に沿って設けられ面内方向に沿う壁面を形成する壁面形成部と、
前記壁面形成部に設けられた被係合部と、を有し、
前記枠体取付部材は、本体部と、
前記本体部内にて前記被係合部に係合されて当該枠体取付部材が前記枠体に保持される係合部と、
を有し、
前記本体部は、前記壁面形成部との間に、当該本体部の内外を連通する連通部を有し、
前記枠体取付部材は、前記縦材又は前記横材の長手方向に沿ってスライドさせることにより前記係合部が前記被係合部に係合し、
前記連通部は、前記枠体取付部材をスライドする際の進行方向の後方側に設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項に記載の建具であって、
前記被係合部は、見込み方向に貫通する切欠部であり、
前記係合部は、前記枠体取付部材をスライドする際の進行方向における前方側から後方側に向かって延出された腕部と、前記腕部の後方側に設けられ見込み方向に突出する突起と、を有し、
前記枠体取付部材をスライドする前に前記腕部が前記壁面形成部に押圧されて撓み変形しており、前記枠体取付部材が前記スライドされて前記突起が前記切欠部に至ったときに前記腕部が撓み変形状態から復元して前記突起が前記切欠部に挿入されて係合することを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項に記載の建具であって、
前記連通部から挿入された治具を操作し、前記係合部の前記腕部を撓み変形させて前記係合が解除されることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項または請求項に記載の建具であって、
前記係合部は、前記突起より、前記枠体取付部材をスライドする際の進行方向における後方側に突出する突出部を有することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に取り付けられる枠体取付部材を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
枠体に取り付けられる枠体取付部材としては、例えば、引戸の戸当たりブロックが知られている(例えば、特許文献1参照)。戸当たりブロックは、下枠の基面に突設された突条片の下部または下枠の立上がり壁のいずれか一方に形成した係止溝に、戸当たりブロックの内部に形成した係止部を弾発的に嵌装係止させて、枠体に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭60−37991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の戸当たりブロックは、取り外すことが考慮されていない。このため、例えば、補修やメンテナンス等により戸当たりブロックを取り外す場合には、縦枠と戸当たりブロックとの僅かな隙間にマイナスドライバー等の薄く長い部材を差し込んで、戸当たりブロックを押すことにより係止部を係止溝から外して取り外している。このとき、強い力で押圧された戸当たりブロックの係止部を破損する、縦枠と下枠とのシーラーが欠損する、或いは、縦枠が押し曲げられて変形してしまう、という課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に取り外すことが可能な枠体取付部材を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、縦材と横材とが枠組みされた枠体と、 前記枠体に取り付けられる枠体取付部材と、を有し、前記枠体は、前記縦材又は前記横材の長手方向に沿って設けられ面内方向に沿う壁面を形成する壁面形成部と、前記壁面形成部に設けられた被係合部と、を有し、前記枠体取付部材は、本体部と、前記本体部内にて前記被係合部に係合されて当該枠体取付部材が前記枠体に保持される係合部と、を有し、前記本体部は、前記壁面形成部との間に、当該本体部の内外を連通する連通部を有し、前記枠体取付部材は、前記縦材又は前記横材の長手方向に沿ってスライドさせることにより前記係合部が前記被係合部に係合し、前記連通部は、前記枠体取付部材をスライドする際の進行方向の後方側に設けられていることを特徴とする建具である。
【0006】
このような建具によれば、枠体取付部材は、本体部内にて被係合部に係合部が係合されて枠体に保持されており、本体部は、壁面形成部との間に、当該本体部の内外を連通する連通部を有しているので、連通部から係合部と被係合部との係合を容易に解除することが可能である。このため、容易に取り外すことが可能な枠体取付部材を備えた建具を提供することが可能である。
【0008】
また、縦材又は横材の長手方向に沿ってスライドさせて取り付けられる枠体取付部材が取り付けられた後は、スライドされた枠体取付部材の進行方向後方側に、必ずスライドした分の空間が存在する。このため、連通部が進行方向後ろ側に設けられていると、少なくともスライドした分の空間を利用して係合を解除できるので、係合の解除操作が容易である。
【0009】
かかる建具であって、前記被係合部は、見込み方向に貫通する切欠部であり、前記係合部は、前記枠体取付部材をスライドする際の進行方向における前方側から後方側に向かって延出された腕部と、前記腕部の後方側に設けられ見込み方向に突出する突起と、を有し、前記枠体取付部材をスライドする前に前記腕部が前記壁面形成部に押圧されて撓み変形しており、前記枠体取付部材が前記スライドされて前記突起が前記切欠部に至ったときに前記腕部が撓み変形状態から復元して前記突起が前記切欠部に挿入されて係合することが望ましい。
【0010】
このような建具によれば、枠体取付部材をスライドさせるだけで、係合部を被係合部に係合させることが可能である。また、係合部は、腕部が撓み変形した状態から復元することにより突起が切欠部に係合されるので、より確実に係合させるとともに係合が自然に解除され難い。このため、枠体取付部材をより確実に容易に取り付けることが可能である。
【0011】
かかる建具であって、前記連通部から挿入された治具を操作し、前記係合部の前記腕部を撓み変形させて前記係合が解除されることが望ましい。
このような建具によれば、係合部は見込み方向に貫通する切欠部に、見込み方向に突出する突起が挿入されて係合しているので、連通部から挿入された治具により腕部を見込み方向に弾性変形させて撓ませるだけで容易に係合を外すことが可能である。
【0012】
かかる建具であって、前記係合部は、前記突起より、前記枠体取付部材をスライドする際の進行方向における後方側に突出する突出部を有することが望ましい。
このような建具によれば、係合部が有する突出部は、突起が切欠部に挿入されたときには、切欠部を形成している壁面形成部と対向している。このため、突出部と壁面形成部との間に治具を挿入して係合部を撓ませることが可能なので、係合部を切欠部からより容易に解除することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に取り外すことが可能な枠体取付部材を備えた建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る建具を示す横断面図である。
図2】戸当たり部材を示す斜視図である。
図3】戸当たり部材における室内部の上面部より下側を示す断面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5】下枠の被係合部を示す斜視図である。
図6】戸当たり部材の取付方法を示す斜視図である。
図7】戸当たり部材をスライドさせたときの係合部の状態を示す斜視図である。
図8】戸当たり部材をスライドさせたときの係合部の状態を示す横断面図である。
図9】戸当たり部材を取り外す様子を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の建具1は、例えば図1に示すように、左右にそれぞれ配置される縦材としての左右の縦枠2と上下に配置される横材としての上枠及び下枠3とが枠組みされた枠体4と、枠体4に案内されて移動する左右方向に引違い障子5、6とを備えている。また、枠体4を構成する上枠及び下枠3と縦枠2とが接合されている角部近傍に位置させて、障子5、6を開いたときに障子5、6の召合せ框5a、6aが縦枠2に衝突することを防止する、枠体取付部材としての戸当たり部材7、8が上枠及び下枠3に取り付けられている。尚、上枠及び上枠に設けられている戸当たり部材は図示していない。
【0016】
以下の説明においては、建物に取り付けられている建具1を室外側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、奥行き方向を見込み方向として示す。建具1の各部位であっても、また、建具1をなす各部材が単体の状態であっても、取り付けられた状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。また、障子5、6及び障子5、6が備える面材の表面に沿う方向を単に面内方向、面材の表面と直交する方向を単に面外方向ともいう。
【0017】
枠体4は、左右に配置される2本の縦枠2間の上下端部に上枠及び下枠3がビスにより接合されて矩形状をなしている。上枠及び下枠3には、各々長手方向に沿って設けられ、互いに対向する方向に突出されて、引違い障子5、6が案内されるレール3a、3bが設けられている。
【0018】
上枠、下枠3及び縦枠2は、いずれもアルミニウム製の押出成形材であり、上枠及び下枠3に設けられたレール3a、3bは、障子5、6の面内方向に沿う壁面を形成する板状をなし、上枠及び下枠3にて互いに対向する平面をなす上枠平面部及び下枠平面部3cから互いに対向する側に突出している。すなわち、本実施形態においてはレール3a、3bが壁面形成部に相当する。
【0019】
障子5、6は、ガラス5b、6bの周端部を収容する矩形状の框体を備えており、内障子5と外障子6との召合せ部の室内側には、クレセント錠9が設けられている。
【0020】
本実施形態の建具1には、障子5、6を開いたときに内障子5の召合せ框5aに設けられたクレセント錠9と縦枠2とが、また、外障子6の召合せ框6aと縦枠2とが衝突することを防止する戸当たり部材7、8が、上枠及び下枠3の左右方向における端部に設けられている。各々の戸当たり部材7、8は、障子5、6をより広く開くことができるように左右の両端部にて、より縦枠2側に設けられているが、縦枠2とは接触しないように、縦枠2との間には僅かな隙間が設けられている。
【0021】
左右の戸当たり部材7、8のうちの、右側に位置し、内障子5を開いたときに内障子5の召合せ框5aが移動する方向に設けられた内障子用の戸当たり部材7は、内障子5の召合せ框5aに設けられているクレセント錠9の衝突を避けるために、左側に位置する戸当たり部材(外障子用の戸当たり部材)8より左右方向の幅が広く形成されている。
【0022】
内障子5用の戸当たり部材7と外障子用の戸当たり部材8の取付構造は、同じなので、以下では、下枠3に取り付けられる内障子5用の戸当たり部材(以下、単に戸当たり部材という)7を例に挙げて説明する。
【0023】
戸当たり部材7は、合成樹脂製の成形部材であり、開いた内障子5が衝突することにより内障子5の移動を規制するだけの充分な剛性を備えている。図2図4に示すように、戸当たり部材7は、内障子5が案内される内レール3aを含む領域を覆い下枠3との間に中空部71aを形成し、下側が開放された箱状をなす本体部71と、本体部71に設けられ、中空部71a内にて内レール3aに設けられた、後述する被係合部31に係合される係合部72と、を有している。
【0024】
本体部71は、内レール3aと、外障子6が案内される外レール3bとの間から内レール3aよりも室内側に至る領域を覆う上面部73と、上面部73の室内側及び室外側の端から垂設された室内壁部74及び室外壁部75と、上面部73の左右の端から垂設された左側壁部76及び右側壁部77とを有している。
【0025】
室外壁部75は外レール3bの室内側の面と近接して対向する位置に配置される。左側壁部76及び右側壁部77には、中空部71aの内外にわたって設けられる内レール3aとの干渉を避けるための、レール挿通凹部76a、77aが設けられている。
【0026】
戸当たり部材7は、内レール3aがレール挿通凹部76a、77aに配置されて装着された状態で、室内壁部74、室外壁部75、左側壁部76及び右側壁部77の下端が、下枠平面部3c上に載置される。
【0027】
戸当たり部材7は、開かれた内障子5が移動した際に下框と本体部71とが接触するように、見込み方向において内レール3aの両側に跨がって、内障子5の下框の下端より高い位置に上面部73が位置する室内部7aと、内レール3aと外レール3bとの間における外レール3b側に、外障子6が上面部73と接触することなく通過できるように、外障子6の下端より低い位置に上面部73が位置する室外部7bと、を有している。高さが異なる室内部7aと室外部7bとの間は、左右方向に沿う室内壁部74及び室外壁部75と平行をなす中央壁部78が設けられている。
【0028】
本体部71の室内部7a側には、室内壁部74と中央壁部78とにわたるように2枚のリブ79が、戸当たり部材7の左右方向における中央より、内障子5側に偏らせて設けられている。このリブ79にも、内レール3aとの干渉を避けるためのレール配置凹部(不図示)が設けられている。
【0029】
2枚のリブ79のうちの内障子5側に位置するリブ79からは、内障子5側に向かって突出された係合部72が設けられている。係合部72は、戸当たり部材7が取り付けられたときに内レール3aと近接して平行をなすように配置される腕部72aと、腕部72aの先端側、すなわちリブ79と反対側の端部に、内レール3a側に突出する突起72bが設けられている。腕部72aは、見込み方向に押圧されたときに、リブ79側を基端として、突起72bが設けられている先端側が見込み方向に移動して撓むように弾性変形可能に設けられている。尚、2枚のリブ79の間には、係合部72の近傍の2箇所にて連結する補強リブ79aが設けられ、剛性が高められている。
【0030】
突起72bは、先端側に向かって腕部72aからの突出量が大きくなるような第1傾斜部72cを有しており、突起72bの先端は、腕部72aが撓まない状態で見込み方向に沿う見込み面72dを有している。突起72bは、上面が腕部72aと同じ平面をなし、突起72bの下端側には腕部から離れるにつれて上下方向の厚みが薄くなるような第2傾斜部72eを有している。
【0031】
また、腕部72aには、突起72bより内障子5側、すなわち見込み面72dより内障子5側に突出させた突出部72fを有している。突出部72fは、突起72bの突出方向と反対側の面が腕部72aと繋がった平面をなし、先端に向かって見込み方向の厚みが薄くなるような突出部傾斜部72gを有している。
【0032】
内レール3aには、右側の端部近傍に、外レール3bには、左側の端部近傍に、それぞれ戸当たり部材7、8の係合部72が係合される被係合部31が設けられている。被係合部31は、内レール3a及び外レール3bを切り欠いた切欠部である。ここでは、内レール3aの右端に設けられている被係合部31を例に挙げて説明する。
【0033】
下枠3の被係合部31は、図5に示すように、下枠3の端部側となり縦枠2に近い側に形成され、内レール3aの上端から下方に切り欠かれた縦切欠部31aと、縦切欠部31aの下側の部分と繋がって、下枠3の左右方向における中央側に切り欠かれた横切欠部31bと、が一つの切欠部をなしている。すなわち、横切欠部31bの上には、内レール3aが残存する張出部31cが設けられている。
【0034】
戸当たり部材7は、建物に取り付けられる前の枠体4に予め取り付けられる。内障子5用の下側の戸当たり部材7は、まず、上面部73を上にして下枠3上に下枠3と間隔を空けて配置する。このとき、戸当たり部材7は、2枚のリブ79が、被係合部31の縦切欠部31aの上方に位置し、係合部72の突起72bが、横切欠部31bよりも下枠3の左右方向における中央側に位置するように配置する。すなわち、戸当たり部材7は、最終的に取り付けられる位置よりも左右方向において中央側に位置している。
【0035】
次に、2枚のリブ79が縦切欠部31aに進入するように戸当たり部材7を降下させて下枠平面部3c上に載置する。このとき、図7図8に示すように、内レール3aが左側壁部76及び右側壁部77のレール挿通凹部76a、77a内に配置されるように降下していくと、係合部72の突起72bに設けられた第2傾斜部72eが内レール3aを摺動しつつ腕部72aが撓み変形され、腕部72aが撓んだ状態で突起72bが内レール3aの室内側面を押圧する。
【0036】
次に、戸当たり部材7を右方向にスライドさせる。戸当たり部材7は、係合部72の腕部72aが撓んだ状態で突起72bが内レール3aの室内側面を摺動しつつスライドする。戸当たり部材7の取り付け時にスライドする際の進行方向において先方側が右側に相当し、後方側が左側に相当する。
【0037】
係合部72は、突起72bが横切欠部31bに至ったときに腕部72aの弾性により撓んだ状態から復元して、突起72bが室内側に押し出され、内レール3aの被係合部31に係合する。このとき、右側のリブ79が、縦切欠部31aの右側の縁31dを形成する内レール3aの部位と僅かな間隔を空けて対向し、係合部72の見込み面72dが、横切欠部31bの左側の縁31eを形成する部位と、僅かな間隔を空けて対向する。すなわち、係合部72が被係合部31に係合すると、戸当たり部材7の左右方向の移動が規制される。
【0038】
また、横切欠部31bに挿入された突起72bは、上方に張出部31cが位置しており、戸当たり部材7の縦枠2側の端部が縦枠2の、中央側に突出した部位2aの下側に入り込んでいるため、戸当たり部材7の上方への移動も規制された状態で取り付けられる。戸当たり部材7が取り付けられた状態では、内レール3aと左側壁部76のレール挿通凹部76aとの間に隙間Sが形成されている。この隙間Sが、中空部71aの内外を連通する連通部に相当する。
【0039】
取り付けられている戸当たり部材7を、取り外す場合には、図9に示すように、少なくとも先端が薄板状の細長い部材、例えばマイナスドライバー等の治具10を、内レール3aと左側壁部76のレール挿通凹部76aとの間に隙間Sから内レール3aに沿って挿入し、係合部72に設けられた突出部72fと内レール3aとの間に挿入して係合部72の先端側を室外側に押圧する。係合部72は、押圧されて腕部72aが撓み変形し、突起72bが被係合部31から抜けて内レール3aより室外側に移動される。突起72bが被係合部31から抜け出た状態で、戸当たり部材7を左右方向の左側にスライドさせることにより戸当たり部材7が取り外される。
【0040】
本実施形態の建具1によれば、戸当たり部材7をスライドさせるだけで、係合部72を被係合部31に係合させて、戸当たり部材7を容易に取り付けることが可能である。また、本体部71が下枠3の下枠平面部3cとともに形成する中空部71a内にて被係合部31に係合部72が解除可能に係合されて枠体4に保持されており、本体部71は、係合部72を解除すべく操作するための、内レール3aとレール挿通凹部76aとの間に隙間Sを有しているので、当該隙間Sから治具10等にて操作することにより係合部72と被係合部31との係合を容易に解除することが可能である。このため、容易に取り外すことが可能な戸当たり部材7を備えた建具1を提供することが可能である。
【0041】
また、下枠3の長手方向に沿ってスライドさせて取り付けられる戸当たり部材7が取り付けられた後は、スライドされた戸当たり部材7の進行方向後方側に、すなわち左側に必ずスライドした分の空間が存在する。このため、進行方向後ろ側に位置する左側壁部76にレール挿通凹部76aが設けられていると、少なくともスライドした分の空間を利用して係合部72と被係合部31との係合を解除する操作ができるので、係合の解除操作が容易である。
【0042】
また、係合部72は見込み方向に貫通する切欠部31a、31bに、見込み方向に突出する突起72bが挿入されて係合しているので、隙間Sから挿入された治具10により腕部72aを見込み方向に弾性変形させて撓ませるだけで容易に係合を外すことが可能である。
【0043】
また、係合部72が有する突出部72fは、突起72bが横切欠部31bに挿入されたときには、横切欠部31bを形成している内レール3aにおける、被係合部31よりレール挿通凹部76a側の部位と、対向している。このため、突出部72fと内レール3aとの間に治具10を挿入して係合部72を撓ませることが可能なので、より容易に係合部72を横切欠部31bから解除することが可能である。
【0044】
上記実施形態においては、枠体取付部材を、上枠及び下枠3に取り付けられる、障子5、6用の戸当たり部材7、8を例に挙げて説明したが、これに限るものはなく、上枠、下枠3、及び縦枠2のいずれかに取り外し可能に取り付ける部材であれば構わない。
【0045】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 建具、2 縦枠、3 下枠、3a 内レール、3b 外レール、
3c 下枠平面部、4 枠体、5 内障子(障子)、6 外障子(障子)、
7 戸当たり部材、8 戸当たり部材、10 治具、31 被係合部、
31a 縦切欠部、31b 横切欠部、71 本体部、71a 中空部、
72 係合部、72a 腕部、72b 突起、72f 突出部、
76 左側壁部、76a レール挿通凹部、S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9