(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自走可能な下部走行体と、前記下部走行体に旋回装置を介して支持された上部旋回体と、前記上部旋回体の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられたフロント装置とからなり、
前記上部旋回体は、
支持構造体をなす旋回フレームと、
前記フロント装置との重量バランスをとるために前記旋回フレームの後側に取付けられたカウンタウエイトと、
前記カウンタウエイトの前側に位置して前記旋回フレームに左,右方向に延在する横置き状態で搭載され油圧ポンプを駆動する原動機と、
前記原動機の上側を覆うように前記旋回フレーム上に設けられ運転席が取付けられる運転席台座と、
前記運転席台座の前側に位置して前記旋回フレームに設けられ左,右方向の左側が前記運転席への乗降口となったフロア部材とを備え、
少なくとも前記上部旋回体の後側は、前記下部走行体の車幅内で旋回可能な小旋回型の小型油圧ショベルにおいて、
前記フロア部材の前部位置には、制御弁装置に対するパイロット圧の給排を制御するパイロット弁が設けられ、
前記パイロット弁には、前記フロア部材よりも上側に位置してオペレータにより上,下方向に足踏み操作されることによりパイロット圧の給排を行う操作ペダルが設けられ、
前記操作ペダルは、
前記パイロット弁に上,下方向に回転可能に取付けられ上面が踏み面となった第1の踏み板と、
前記第1の踏み板の後部位置に設けられた回転軸と、
前記第1の踏み板に対し前記回転軸を介して前,後方向に開閉可能に取付けられ、前記第1の踏み板の踏み面側に重なる格納位置と前記第1の踏み板の後側に回転されて前記第1の踏み板と共に踏み面を形成する使用位置との間で前記回転軸を中心にして回転変位される第2の踏み板とにより構成され、
前記第2の踏み板の前,後方向の長さ寸法は、前記第1の踏み板の前,後方向の長さ寸法よりも長く形成され、
前記第1の踏み板の前側には、前記第2の踏み板が前記格納位置に回転されたときに前記第1の踏み板から前方に向けて突出した前記第2の踏み板の先端と係合することにより前記操作ペダルに対する足踏み操作を規制するストッパが設けられており、
前記第2の踏み板は、長さ方向の一側に位置し前記回転軸を介して前記第1の踏み板に回転可能に取付けられた取付部と、前記取付部から長さ方向に延び上面が踏み面となった平板部と、前記平板部の長さ方向の他側に位置して凸状または凹状に形成された係合部とを有し、
前記パイロット弁は、外殻を構成する弁本体部と、前記弁本体部の外周側に設けられ前記パイロット弁を前記フロア部材に取付けるためのフランジ部とを有し、
前記ストッパは、前記フランジ部から上方に立上った立上部と、前記立上部の上端側に設けられ前記第2の踏み板の前記係合部が係合するように凹状または凸状に形成された被係合部とからなることを特徴とする小型油圧ショベル。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、以下に説明する複数の発明を包含する発明群に属する発明であり、以下に、その発明群の実施の形態として、第1の実施の形態、第2の実施の形態、および、第1ないし第3の変形例について説明するが、そのうち、第2の実施の形態が、特許請求の範囲に記載した発明に対応するものである。
以下、本発明に係る小型油圧ショベルの実施の形態を、超小旋回型の小型油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1ないし
図10は、本発明の第1の実施の形態を示している。
図1、
図2において、超小旋回型の小型油圧ショベル1は、例えば市街地における道路脇の側溝掘り作業などの狭い場所での掘削作業に用いられ、積載重量が4トン未満の一般的なトラックによって搬送できるように、例えば機械重量が0.8〜4トン程度に設定されている。この小型油圧ショベル1は、トラックフレーム2Aの左,右両側にクローラ式の走行装置2Bを備えた自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に支持された上部旋回体4と、下部走行体2の前側に設けられた排土板5と、上部旋回体4の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられたオフセットフロント装置6とを含んで構成されている。
【0017】
旋回装置3は、下部走行体2と上部旋回体4との間に設けられた旋回輪3Aと、上部旋回体4を旋回駆動する旋回モータ3B(
図3参照)とにより構成されている。旋回輪3Aは、後述する旋回フレーム7のセンタフレーム7Aに取付けられた外輪と、下部走行体2のトラックフレーム2A上に取付けられた内輪とを、複数個の鋼球を介して回転自在に接続する構成となっている。旋回モータ3Bは、内輪の内周側に設けられた内歯にピニオン(いずれも図示せず)を介して噛合している。
【0018】
オフセットフロント装置6は、後述する旋回フレーム7の左,右の前縦板7B,7Cにフート部6A1が俯仰動可能に取付けられたロアブーム6Aと、ロアブーム6Aの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアッパブーム6Bと、アッパブーム6Bの先端側に左,右方向に揺動可能に取付けられたアーム支持体6Cと、アーム支持体6Cの先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたアーム6Dと、アーム6Dの先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたバケット6Eと、ロアブーム6Aとアーム支持体6Cとの間を連結するリンク6Fと、これらを動作させるためのブームシリンダ6G、オフセットシリンダ6H、アームシリンダ6J、バケットシリンダ6Kとにより構成されている。
【0019】
図3に示すように、ロアブーム6Aのフート部6A1は、左,右の前縦板7B,7Cの前側に位置して連結ピン(図示せず)を介して回動可能に結合されている。さらに、各シリンダ6G〜6Kは、それぞれ後述の制御弁装置13に各油圧ホース14を介して接続されている。
【0020】
オフセットフロント装置6は、オフセットシリンダ6Hが伸長、縮小することにより、アーム6Dをロアブーム6Aに対して左,右方向に平行移動させる。この状態でロアブーム6Aを俯仰動させつつアーム6D、バケット6Eを回動させることにより、側溝等の掘削作業を行うことができる。
【0021】
ここで、
図1に示すように、オフセットフロント装置6は、ロアブーム6Aの先端側を最も後方まで仰動させ、かつアーム6Dをロアブーム6A側に折り畳むことにより、超小旋回姿勢をとることができる。オフセットフロント装置6を超小旋回姿勢とした状態(上方に立上げた状態)では、上部旋回体4を旋回させたときに、上部旋回体4とオフセットフロント装置6とが、下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内で全旋回することができる構成となっている。この場合、
図2に示すように、下部走行体2の車幅寸法は、左,右の走行装置2B間の幅寸法L1によって設定されている。
【0022】
上部旋回体4は、後述する旋回フレーム7、カウンタウエイト9、エンジン10、油圧ポンプ11、熱交換器12、運転席台座15、フロア部材16、左パイロット弁21、左操作ペダル24を含んで構成されている。
【0023】
ここで、
図2に示すように、上部旋回体4は、下部走行体2の車幅寸法(左,右の走行装置2B間の幅寸法L1)とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有している。一方、カウンタウエイト9の外周面9Aは、上部旋回体4の旋回中心O1を中心とした旋回半径Rの仮想円A内に収まるように、上方から見て円形状に形成されている。これにより、小型油圧ショベル1は、オフセットフロント装置6を上方に立上げた超小旋回姿勢の状態で、上部旋回体4が下部走行体2上で旋回中心O1を中心として旋回したときに、上部旋回体4がオフセットフロント装置6と共に下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内に収まるか、作業上で問題にならない範囲で部分的に一部(例えば運転室を構成する床の外縁)が少し出るが実質的に収まる超小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0024】
次に、上部旋回体4の支持構造体をなす旋回フレーム7の構成について、
図3〜
図5を参照しつつ説明する。
【0025】
旋回フレーム7は、上部旋回体4のベースとなるもので、強固な支持構造体を形成している。旋回フレーム7は、旋回装置3を構成する旋回輪3Aの外輪が取付けられる平板状のセンタフレーム7Aと、センタフレーム7Aの前,後方向の中間部から前側に位置してセンタフレーム7A上に左,右方向に一定の間隔を保った状態で前,後方向に延びて立設された左前縦板7B、右前縦板7Cと、センタフレーム7Aの前,後方向の中間部に位置する右前縦板7Cの後端から左,右方向の左側に延びて立設された中間横板7Dと、センタフレーム7Aの左端近傍に位置して中間横板7Dから後方に延びて立設された左後縦板7Eと、右前縦板7Cの後側に連続するように中間横板7Dから後方に延びて立設された右後縦板7Fと、左,右の後縦板7E,7Fの後端に亘って左,右方向に延びて立設された後横板7Gと、後述するフロア支持フレーム8とを含んで構成されている。
【0026】
左,右の前縦板7B,7Cは、上部旋回体4の旋回中心O1よりも左,右方向の右側に片寄った位置に配置されている。左,右の前縦板7B,7Cのうち旋回中心O1よりも前側となる部位には、ロアブーム6Aのフート部6A1が俯仰動可能に取付けられる。中間横板7Dは、旋回中心O1よりも後側に位置し、後述するエンジン10と制御弁装置13との間を仕切ると共に、後述する運転席台座15の前側を支持するものである。
【0027】
フロア支持フレーム8は、左端側が上部旋回体4の仮想円Aに沿って円弧状に湾曲した略扇状の平板からなる下板8Aと、下板8Aの前側位置に立設された縦板からなる支柱8Bと、支柱8Bの上部に左,右方向に延びて設けられたレバー・ペダル取付板8Cとを含んで構成されている。フロア支持フレーム8は、下板8Aが旋回フレーム7のセンタフレーム7Aの一部を構成し、レバー・ペダル取付板8Cがフロア部材16の一部を構成している。
【0028】
フロア支持フレーム8のレバー・ペダル取付板8Cには、左,右方向の中央に位置する箱形状の取付台8Dと、この取付台8Dを挟んで配置された左取付開口8E、右取付開口8Fとが設けられている。
【0029】
ここで、レバー・ペダル取付板8Cの取付台8Dには、後述する左,右の走行操作レバー・ペダル20が上方に延びて設けられている。また、左取付開口8Eには、追加アタッチメント(図示せず)を操作するための左パイロット弁21、左操作ペダル24が設けられている。さらに、右取付開口8Fには、オフセットフロント装置6のオフセット操作するための右操作ペダル33等が設けられている。
【0030】
次に、小型油圧ショベル1に設けられたカウンタウエイト9、エンジン10、運転席台座15、フロア部材16等の部材について述べる。
【0031】
図1、
図2等に示すように、カウンタウエイト9は、オフセットフロント装置6との重量バランスをとるために旋回フレーム7の後側に取付けられている。カウンタウエイト9は、左,右方向の中央が後方に突出する円弧状の重量物として形成されている。これにより、カウンタウエイト9の外周面9Aは、前述した旋回半径Rの仮想円A内に収まる円弧面として形成されている。
【0032】
原動機としてのエンジン10は、カウンタウエイト9の前側に位置して旋回フレーム7上に搭載されている。エンジン10は、旋回フレーム7の中間横板7Dと後横板7Gとの間に位置して各後縦板7E,7F上に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン10の左側には、後述する油圧ポンプ11が取付けられている。一方、エンジン10の右側には、冷却ファン10A(
図4参照)が設けられている。
【0033】
油圧ポンプ11は、エンジン10の左側に取付けられ、エンジン10により回転駆動される。この油圧ポンプ11は、後述の作動油タンク36内から油液を吸込みつつ、この油液を高圧な圧油として吐出する。油圧ポンプ11から吐出された圧油は、制御弁装置13、各油圧ホース14を介してオフセットフロント装置6の各油圧シリンダ6G〜6K等に供給される。
【0034】
図3に示すように、熱交換器12は、エンジン10の冷却ファン10Aに対面するように旋回フレーム7上に設けられている。この熱交換器12は、ラジエータ、オイルクーラ等を含んで構成されている。
【0035】
制御弁装置13は、フロア支持フレーム8の下板8A上に搭載されている。制御弁装置13は、レバー・ペダル取付板8Cの後側近傍に位置し、複数個の制御弁を左,右方向に連ねることにより構成されている。制御弁装置13は、オフセットフロント装置6の各シリンダ6G〜6K、下部走行体2の走行モータ、旋回装置3の旋回モータ3Bおよび油圧ポンプ11に複数本の油圧ホース14を介して接続されている。
【0036】
運転席台座15は、旋回フレーム7を構成する左前縦板7Bの左側に位置し、エンジン10の上側を覆うように旋回フレーム7上に設けられている。この運転席台座15は、上部旋回体4の旋回中心O1を通る前,後方向の中心線をB−B(
図2参照)としたときに、この中心線B−Bを越えて左前縦板7Bまで達する領域を、オペレータの居住空間として設定している。このように、本実施の形態による小型油圧ショベル1は、上部旋回体4のうちオフセットフロント装置6の左側に形成される狭い領域を最大限に有効利用することにより、運転席台座15によって設定されるオペレータの居住空間を、可能な限り大きく確保することができる構成となっている。
【0037】
ここで、
図4、
図5に示すように、運転席台座15は、旋回フレーム7の中間横板7D上に位置して左,右方向に延びて立設された前面部位15Aと、前面部位15Aの上部から後側に延びた運転席取付部位15Bと、運転席取付部位15Bの後部から後側に向けて斜め上側に傾斜した背板部位15Cと、背板部位15Cの上部(後部)から後側に延びたウエイト取付部位15Dとを含んで構成されている。
【0038】
運転席台座15は、前面部位15Aの下部が旋回フレーム7の中間横板7Dの上部に取付けられ、ウエイト取付部位15Dがカウンタウエイト9の上面に取付けられている。これにより、運転席台座15は、エンジン10、油圧ポンプ11の前側と上側を覆っている。運転席台座15の運転席取付部位15Bには、後述の運転席17、左,右のフロント操作装置18,19等が取付けられている。
【0039】
フロア部材16は、運転席台座15の前側に位置して旋回フレーム7に設けられている。また、フロア部材16は、左,右方向の左側が運転席17への乗降口となっている。フロア部材16は、左,右方向に延びる長方形の平板によって形成されている。フロア部材16は、前側がフロア支持フレーム8のレバー・ペダル取付板8Cに取付けられ、後側が運転席台座15の前面部位15Aの下部に取付けられている。フロア部材16は、フロア支持フレーム8のレバー・ペダル取付板8Cと協働してオペレータの足置き場を形成している。
【0040】
次に、オペレータが着座する運転席17、オペレータによって操作される左,右のフロント操作装置18,19、左,右の走行操作レバー・ペダル20の構成について述べる。
【0041】
図2、
図4〜
図6に示すように、運転席17は、運転席台座15の運転席取付部位15Bに取付けられ、オペレータが着座するものである。運転席17の左,右両側には、旋回装置3、オフセットフロント装置6を操作するための左フロント操作装置18と右フロント操作装置19とが設けられている。
【0042】
左,右の走行操作レバー・ペダル20は、運転席17の前方に位置してフロア部材16の前側部分を構成するフロア支持フレーム8のレバー・ペダル取付板8Cに設けられている。この走行操作レバー・ペダル20は、前,後方向に傾転操作することにより、下部走行体2の走行装置2Bを操作するものである。
【0043】
次に、左パイロット弁21、左操作ペダル24について説明する。
【0044】
図7、
図8に示すように、左パイロット弁21は、フロア部材16の前部位置、即ちフロア支持フレーム8左取付開口8Eに挿通された状態で、レバー・ペダル取付板8Cに設けられている。左パイロット弁21は、本発明のパイロット弁を構成するもので、制御弁装置13に対するパイロット圧の給排を制御するものである。
【0045】
この左パイロット弁21は、レバー・ペダル取付板8Cに取付けられた減圧弁型のパイロット弁で、左,右方向で扁平な直方体状のケーシング21Aと、ケーシング21Aの上部側に設けられた蓋体21Bと、蓋体21Bの上側に上,下方向に回転可能に設けられたペダル取付板21Cと、ケーシング21A、蓋体21Bに前,後方向に間隔をもって設けられペダル取付板21Cによって上,下方向に移動する前,後のプッシャ21D,21Eとを含んで構成されている。ケーシング21Aと蓋体21Bとは、左パイロット弁21の外殻を構成している。
【0046】
蓋体21Bには、外周側に突出したフランジ部21B1が設けられている。フランジ部21B1は、ボルト22を用いてレバー・ペダル取付板8Cに取付けられている。これにより、左パイロット弁21は、蓋体21Bがレバー・ペダル取付板8Cよりも上側に突出して配設されている。また、蓋体21Bとペダル取付板21Cとの間には、例えばゴム等の弾性部材により形成され、ペダル取付板21Cと前,後のプッシャ21D,21Eとの外周側を覆う保護カバー23が設けられている。
【0047】
各プッシャ21D,21Eは、左パイロット弁21の回転中心O2を挟んで前,後方向に設けられている。そして、左パイロット弁21は、後述の左操作ペダル24が上,下方向に回転するように足踏み操作されると、各プッシャ21D,21Eが軸方向に変位する。これにより、左パイロット弁21は、解体作業に用いられるグラップル等の追加アタッチメントに圧油を給排する切換弁に油圧パイロット信号を出力する。即ち、左操作ペダル24の足踏み操作に応じて、油圧ポンプ11からグラップルに向けて圧油が給排される構成となっている。
【0048】
左操作ペダル24は、左パイロット弁21の上端側に設けられている。この左操作ペダル24は、レバー・ペダル取付板8Cよりも上側に位置してオペレータにより上,下方向に足踏み操作されることにより、グラップル等の追加アタッチメントにパイロット圧の給排を行うものである。左操作ペダル24は、本発明の操作ペダルを構成するものである。そして、左操作ペダル24は、取付ブラケット25、第1の踏み板27、回転軸28、および第2の踏み板29を含んで構成されている。
【0049】
取付ブラケット25は、第1の踏み板27の一部を構成するもので、左パイロット弁21のペダル取付板21Cにボルト26を用いて取付けられている。
図8に示すように、取付ブラケット25は、例えば皿状(凹状)に形成され、凹部25A内にボルト26が配設されている。そして、取付ブラケット25の上端には、後述の第1の踏み板27が取付けられている。
【0050】
第1の踏み板27は、前,後方向に長尺な長方形状の板体からなり、取付ブラケット25の上端に溶接等により固着されている。これにより、第1の踏み板27は、取付ブラケット25を介して左パイロット弁21に上,下方向に回転可能に取付けられている。第1の踏み板27は、左パイロット弁21の上端側に長さ方向(前,後方向)に延び上面が踏み面27A1となった平板部27Aとして形成されている。平板部27Aの踏み面27A1には、例えば凹凸状の滑り止め加工が形成され、運転席17に着座したオペレータの左足が乗せられる。
図8、
図10に示すように、第1の踏み板27(平板部27A)には、厚さ方向(上,下方向)に貫通する貫通孔27Bが設けられている。この貫通孔27Bは、第1の踏み板27をペダル取付板21Cに螺着するためにボルト26が貫通されるものである。
【0051】
回転軸28は、第1の踏み板27の後部位置に設けられている。この回転軸28は、軸方向が第1の踏み板27の幅方向(左,右方向)に延びている。また、回転軸28の回転中心O3は、左パイロット弁21の回転中心O2よりも後側、かつ上側に位置して設けられている。回転軸28には、後述する第2の踏み板29の取付部29Aが取付けられている。これにより、回転軸28は、第1の踏み板27の後側に第2の踏み板29を前,後方向に回転可能に支持している。
【0052】
第2の踏み板29は、第1の踏み板27に対し回転軸28を介して前,後方向に開閉可能に取付けられている。第2の踏み板29は、第1の踏み板27の踏み面27A1側に重なる格納位置(
図7、
図9の状態)と、第1の踏み板27の後側に回転されて第1の踏み板27と共に踏み面29B1を形成する使用位置(
図8、
図10の状態)との間で回転軸28を中心として回転変位される。
【0053】
そして、第2の踏み板29は、長さ方向(前,後方向)の一側(前端側)に位置し回転軸28を介して第1の踏み板27に回転可能に取付けられた取付部29Aと、取付部29Aから長さ方向に延び上面が踏み面29B1となった平板部29Bと、平板部29Bの長さ方向の他側(後端側)に位置して凸状に形成された係合部29Cとを有している。
【0054】
平板部29Bの踏み面29B1には、例えば凹凸状の滑り止め加工が形成され、運転席17に着座したオペレータの左足が乗せられる。第2の踏み板29は、回転軸28側が回転端となり、係合部29C側が自由端となっている。
図10に示すように、係合部29Cは、平板部29Bの後端から上方に向けて突出している。係合部29Cは、第2の踏み板29が格納位置にあるときに、後述のストッパ30の被係合部30Cに係合するものである。
【0055】
第2の踏み板29の幅寸法は、第1の踏み板27の幅寸法と同じ幅寸法として形成されている。一方、第2の踏み板29の前,後方向の長さ寸法は、第1の踏み板27の前,後方向の長さ寸法よりも長く形成されている。即ち、
図8に示すように、第1の踏み板27の前端から回転軸28の回転中心O3までの長さ寸法L2は、第2の踏み板29の後端から回転軸28の回転中心O3までの長さ寸法L3よりも短く形成されている。これにより、第2の踏み板29を折り畳んだ状態(格納位置)では、第2の踏み板29の係合部29Cが第1の踏み板27の前端よりも前方に向けて突出し、係合部29Cが後述のストッパ30に係合する構成となっている。
【0056】
次に、第1の踏み板27の前側に設けられたストッパ30について説明する。
【0057】
ストッパ30は、第1の踏み板27の前側に位置してレバー・ペダル取付板8Cに設けられている。このストッパ30は、第2の踏み板29が格納位置に回転されたときに、第1の踏み板27から前方に向けて突出した第2の踏み板29の先端に位置する係合部29Cと係合することにより、左操作ペダル24に対する足踏み操作を規制するものである。
【0058】
そして、ストッパ30は、ボルト31によりレバー・ペダル取付板8Cに着脱可能に取付けられた取付板部30Aと、取付板部30Aから上方に立上った立上部30Bと、立上部30Bの上端側に設けられ第2の踏み板29の係合部29Cが係合するように凹状に形成された被係合部30Cとにより構成されている。ボルト31は、本発明の締結具を構成している。ストッパ30は、左パイロット弁21および左操作ペダル24とは別個にレバー・ペダル取付板8Cに取付けられている。従って、左パイロット弁21および左操作ペダル24をレバー・ペダル取付板8Cに残した状態でストッパ30のみを自由に着脱することができる。
【0059】
図7、
図9に示すように、第2の踏み板29を閉じた状態(格納位置)では、第2の踏み板29の係合部29Cがストッパ30の被係合部30Cに係合することにより、左パイロット弁21の回転を規制している。具体的には、
図7に示すように、回転軸28の回転軌跡Cと左パイロット弁21の回転軌跡Dとは、係合部29Cと被係合部30Cとの係合部位32で交差している。これにより、前側への足踏み操作は、係合部29Cが被係合部30Cの底面部30C1に当接することにより規制されている。一方、後側への足踏み操作は、係合部29Cが被係合部30Cの壁面部30C2に当接することにより規制されている。従って、左パイロット弁21の操作は、第2の踏み板29を閉じた状態ではロックされる構成となっている。
【0060】
図6に示すように、右操作ペダル33は、フロア支持フレーム8のレバー・ペダル取付板8Cの右側位置に設けられている。右操作ペダル33は、左操作ペダル24と同様に、右取付開口8Fに設けられた右パイロット弁の上側部位に取付けられている。右操作ペダル33は、オペレータにより上,下方向に足踏み操作されることにより、例えばオフセットフロント装置6を左,右方向にオフセット動作させるオフセットシリンダ6Hにパイロット圧の給排を行うものである。
【0061】
なお、右操作ペダル33は、オフセットフロント装置6が左,右方向にオフセットする動作に対応するように、左,右方向に長尺となるように横向きに配設され、左側または右側を踏み込むことにより、オフセットフロント装置6を左,右方向にオフセット動作させる。横向きに配設された右操作ペダル33は、運転席17側に突出していないので、オペレータは右足をフロアマット39上に余裕をもって置くことができる。
【0062】
図3に示すように、センタジョイント34は、上部旋回体4の旋回中心O1に設けられている。センタジョイント34は、下部走行体2と上部旋回体4との間で圧油を流通させるものである。このセンタジョイント34は、下部走行体2を構成するトラックフレーム2Aの中央位置に取付けられている。
【0063】
燃料タンク35は、オフセットフロント装置6のフート部6A1の右側に位置して旋回フレーム7に搭載されている。燃料タンク35は、エンジン10に供給される燃料を貯溜している。
【0064】
作動油タンク36は、オフセットフロント装置6のフート部6A1の右側に位置して旋回フレーム7に搭載されている。作動油タンク36は、オフセットフロント装置6の各シリンダ6G〜6K、下部走行体2の走行モータ、旋回装置3の旋回モータ3B等の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜している。
【0065】
図1、
図2に示すように、外装カバー37は、旋回フレーム7を構成するフロア支持フレーム8の前側から左側を覆う左前カバー部37Aと、左前カバー部37Aとカウンタウエイト9との間を覆う左後カバー部37Bと、燃料タンク35、作動油タンク36等を覆うタンクカバー部37Cと、タンクカバー部37Cの後側に位置して熱交換器12等を覆う熱交換器カバー部37Dと、エンジン10のメンテナンス用にカウンタウエイト9に開閉可能に設けられたエンジンカバー部37Eとを含んで構成されている。
【0066】
キャノピ38は、運転席17の上方と右側方を覆うように旋回フレーム7、カウンタウエイト9の上側に設けられている。このキャノピ38は、例えば3柱式のキャノピとして構成されている。また、フロアマット39は、フロア支持フレーム8のレバー・ペダル取付板8Cとフロア部材16の上側を覆うように敷設されている。
【0067】
第1の実施の形態による超小旋回型の小型油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次にその動作について説明する。
【0068】
まず、オペレータは、フロア部材16に搭乗し、運転席17に着座する。運転席17に着座したオペレータが、走行操作レバー・ペダル20を操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。一方、オペレータが、左,右のフロント操作装置18,19をレバー操作することにより、上部旋回体4の旋回動作、オフセットフロント装置6による土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0069】
この場合、超小旋回型の小型油圧ショベル1は、オフセットフロント装置6を
図2に示す超小旋回姿勢とすることにより、上部旋回体4とオフセットフロント装置6とを、下部走行体2の左,右方向の幅寸法(車幅寸法)と前,後方向の長さ寸法内で全旋回させることができる。これにより、小型油圧ショベル1は、市街地等の狭い作業現場においても、周囲の障害物に干渉することなく、オフセットフロント装置6を用いて側溝掘り作業等を円滑に行うことができる。
【0070】
次に、バケット6Eに代えてグラップルを取付けた場合に、左操作ペダル24によりグラップルを操作する作業(動作)について述べる。
【0071】
超小旋回型の小型油圧ショベル1は、下部走行体2の左,右方向の幅寸法内で全旋回できるように上部旋回体4がコンパクトに形成されている。従って、オペレータが運転席17に着座したときの足元スペースが狭くなる。特に、運転席17の右側にオフセットフロント装置6が配置された超小旋回型の小型油圧ショベル1では、オフセットフロント装置6の分だけさらに足元スペースが狭くなる。従って、左操作ペダル24は、グラップルが装備されていない非使用時には、前,後方向で折り畳むことにより、足元スペースを広くしている。
【0072】
左操作ペダル24を用いてグラップルを操作する場合には、第1の踏み板27の踏み面27A1側に折り畳まれた第2の踏み板29を後側に回転させて使用位置に配置する必要がある。そこで、第1の踏み板27の踏み面27A1側に折り畳まれた第2の踏み板29を、回転軸28(回転中心O3)を中心にして後側に回転させる。これにより、
図8、
図10に示すように、第2の踏み板29を使用位置に配置させることができる。
【0073】
第2の踏み板29を使用位置に配置したら、各踏み板27,29の踏み面27A1,29B1に左足を乗せ、上,下方向に足踏み操作する。これにより、グラップルに圧油を給排する切換弁に油圧パイロット信号を出力し、この足踏み操作に応じてグラップルを動作させることができる。
【0074】
次に、使用位置にある第2の踏み板29を閉じるときの動作について説明する。
【0075】
図7、
図9に示すように、回転軸28を中心にして第2の踏み板29を前方に回転させる。これにより、第1の踏み板27の踏み面27A1側に第2の踏み板29を重ねて格納することができる。この第2の踏み板29の格納状態では、オペレータの足元スペースを広くすることができる。
【0076】
また、第1の踏み板27の踏み面27A1側に第2の踏み板29を重ねた状態(第2の踏み板29を折り畳んだ状態)では、第2の踏み板29の係合部29Cが第1の踏み板27の前端よりも前方に向けて突出して、ストッパ30の被係合部30Cに係合する。これにより、ストッパ30は、第1の踏み板27と第2の踏み板29とを上,下方向(ペダル操作方向)で固定することができ、左操作ペダル24に対する足踏み操作を規制することができる。従って、この状態では、左操作ペダル24に左足を乗せてフットレストとして利用することができる。
【0077】
かくして、第1の実施の形態によれば、左操作ペダル24は、左パイロット弁21に上,下方向に回転可能に取付けられ上面が踏み面27A1となった第1の踏み板27と、第1の踏み板27の後部位置に設けられた回転軸28と、第1の踏み板27に対し回転軸28を介して前,後方向に開閉可能に取付けられ、第1の踏み板27の踏み面27A1側に重なる格納位置と第1の踏み板27の後側に回転されて第1の踏み板27と共に踏み面29B1を形成する使用位置との間で回転軸28を中心にして回転変位される第2の踏み板29とにより構成されている。第2の踏み板29の前,後方向の長さ寸法は、第1の踏み板27の前,後方向の長さ寸法よりも長く形成されている。
【0078】
そして、第1の踏み板27の前側には、第2の踏み板29が格納位置に回転されたときに第1の踏み板27から前方に向けて突出した第2の踏み板29の先端(係合部29C)と係合することにより左操作ペダル24に対する足踏み操作を規制するストッパ30が設けられている。
【0079】
従って、グラップルを操作するときには、
図8、
図10に示すように第2の踏み板29を開くことにより、第1の踏み板27の踏み面27A1と第2の踏み面29B1とより大きな踏み面を形成することができるので、操作性を向上することができる。
【0080】
一方、グラップルを操作しないときには、
図7、
図9に示すように第2の踏み板29を、回転軸28を中心にして回転させることにより、第1の踏み板27の踏み面27A1側に第2の踏み板29を重ねて格納することができる。これにより、オペレータの足元のスペースを広くすることができる。また、運転席への乗降口を広くすることができるので、オペレータの乗り降りをスムーズに行うことができる。
【0081】
また、第2の踏み板29を格納した状態では、第2の踏み板29の係合部29Cを、ストッパ30の被係合部30Cに係合することができる。即ち、
図7に示すように、回転軸28の回転軌跡Cと左パイロット弁21の回転軌跡Dとは、係合部29Cと被係合部30Cとの係合部位32で交差している。これにより、前側への足踏み操作は、係合部29Cが被係合部30Cの底面部30C1に当接することにより規制され、後側への足踏み操作は、係合部29Cが被係合部30Cの壁面部30C2に当接することにより規制される。
【0082】
従って、ストッパ30は、第1の踏み板27と第2の踏み板29とを上,下方向に固定することができ、左操作ペダル24に対する足踏み操作を規制することができるので、例えば、左操作ペダル24に左足を乗せてフットレストとして利用することができる。この結果、追加のアタッチメント等を使用しない場合には、簡単な作業によって左操作ペダル24を折り畳んでコンパクト化することができ、かつ左操作ペダル24の足踏み操作を規制することができる。
【0083】
次に、
図11は、本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ストッパ43を左パイロット弁41のフランジ部41B1に固着させたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0084】
左パイロット弁41は、第1の実施の形態による左パイロット弁21と同様に、減圧弁型のパイロット弁で、ケーシング41A、蓋体41B,ペダル取付板(図示せず)、および前,後のプッシャ(図示せず)を含んで構成されている。蓋体41Bには、外周側に突出したフランジ部41B1が設けられている。フランジ部41B1は、ボルト42を用いてレバー・ペダル取付板8Cに取付けられている。ケーシング41Aと蓋体41Bとは、左パイロット弁41の外殻を構成している。
【0085】
ストッパ43は、第1の踏み板27の前側に位置して左パイロット弁41のフランジ部41B1上に溶接等により固着されている。ストッパ43は、フランジ部41B1から上方に立上った立上部43Aと立上部43Aの上端側に設けられ第2の踏み板29の係合部29Cが係合するように凹状に形成された被係合部43Bとにより構成されている。
【0086】
ストッパ43は、第2の踏み板29が格納位置に回転されたときに、第1の踏み板27から前方に向けて突出した第2の踏み板29の先端に位置する係合部29Cと係合することにより、左操作ペダル24に対する足踏み操作を規制するものである。
【0087】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、左パイロット弁41とストッパ43とを一体的に構成している。これにより、左パイロット弁41とストッパ43とは、ボルト42により一緒にレバー・ペダル取付板8Cに取付けることができるので、組付け作業の作業性を向上することができる。
【0088】
なお、上述した第1の実施の形態では、第2の踏み板29の後端側に凸状の係合部29Cを設け、ストッパ30の上端側に凹状の被係合部30Cを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図12に示す第1の変形例のように、第2の踏み板51の後端側に凹状の係合部51Aを設け、ストッパ52の上端側に凸状の被係合部52Aを設けてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0089】
また、
図13に示す第2の変形例のように、第2の踏み板61の係合部61Aに凹部61Bを形成し、ストッパ62の被係合部62Aに凹部61Bに嵌合する突起62Bを形成して、第2の踏み板61の係止および左パイロット弁21の操作を規制してもよい。なお、第2の踏み板61の係合部61Aに突起を形成し、ストッパ62の被係合部62Aに凹部を形成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0090】
また、上述した第1の実施の形態では、第2の踏み板29の係合部29Cがストッパ30の被係合部30Cの底面部30C1に当接し、ストッパ30の上面と第2の踏み板29とは非接触とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図14に示す第3の変形例のように、第2の踏み板71とストッパ72の上面72Aとを接触させることにより、左パイロット弁21の前側への踏み込みを規制させてもよい。このことは、第2の実施の形態移ついても同様である。
【0091】
また、上述した第1の実施の形態では、左足で操作する左操作ペダル24を、第1の踏み板27と第2の踏み板29とから折り畳み可能とし、この左操作ペダル24にストッパ30を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、右足で操作する右操作ペダルおよび走行操作レバー・ペダルに左操作ペダル24の構成を用いてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0092】
また、上述した第2の実施の形態では、ストッパ43を溶接によりフランジ部41B1に固着させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本実施の形態はこれに限らず、例えばストッパをボルトによりフランジ部に取付けてもよい。
【0093】
また、各実施の形態では、運転席17の上方と右側方を覆うキャノピ38が設けられたキャノピ仕様の小型油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転席の上方と周囲を覆うキャブが設けられたキャブ仕様の小型油圧ショベルに適用してもよい。
【0094】
さらに、各実施の形態では、上部旋回体4とオフセットフロント装置6とが下部走行体2の幅寸法内で全旋回することができる超小旋回型の小型油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば外周面が円形のカウンタウエイトの外周面のみが下部走行体2の幅寸法に収まり、下部走行体2の車幅内で旋回できるようになった後方小旋回型の小型油圧ショベルに適用してもよい。