(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記作業地情報記憶部に記憶された高さ情報に基づいて、前記位置情報取得部により取得される前記作業地の標高を示す高度情報を補正する補正部を備える請求項2に記載の作業地情報作成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、作業車にカメラを備えておく必要があるため、カメラを備えていない作業車では圃場の硬さを測定することができない。また、カメラを備えた作業車しか圃場の硬さを測定できないので、複数の圃場の硬さを測定する場合には、当該作業車の数が少ない場合には、測定に時間を要することになる。また、画像処理により測定するので、たとえば水が張られた圃場や平坦でない圃場では、誤差が生じ易く、正確に圃場の硬さを測定することができない。
【0006】
そこで、正確に作業地の状態を示す作業地情報を作成することが可能な作業地情報作成システムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業地情報作成システムの特徴構成は、作業地の状態を示す作業地情報を作成する作業地情報作成システムであって、前記作業地を走行する作業車に備えられ、位置情報を取得する位置情報取得部と、前記作業車に備えられ、前記作業車が走行する走行路の表面を検出する路面検出部と、前記作業車が前記作業地の状態の計測を開始する前の、前記作業車に対する前記路面検出部の位置を基準位置として予め記憶しておく基準位置記憶部と、前記作業車が計測対象となる作業地を走行している時の、前記作業車に対する前記路面検出部の位置を算定する位置算定部と、前記位置算定部により算定された前記位置と、前記基準位置記憶部に記憶されている前記基準位置とに基づいて、前記作業地情報を作成する作業地情報作成部と、前記作業地における所定の区画毎に、前記位置情報に基づいて前記作業地情報作成部により作成された前記作業地情報を紐付けして記憶する作業地情報記憶部と、を備えている点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、作業車が作業地の状態の計測を開始する前に予め記憶された作業車に対する路面検出部の位置と、作業車が計測対象となる作業地を走行している時に取得された作業車に対する路面検出部の位置とに基づいて、作業地の状態を計測することが可能となる。したがって、位置情報取得部を備える作業車であれば、例えばカメラを搭載することなく作業地の状態を計測することが可能となる。また、作業地において作業する作業車にあっては、カメラを備える作業車よりも位置情報取得部を備えた作業車の方が多いため、作業地の状態を計測する機会を増やすことができる。また、作業地における所定の区画毎に作業地の状態を計測し、記憶するので、正確に作業地の状態を示す作業地情報を作成することが可能となる。
【0009】
また、前記作業地情報作成部は、前記位置算定部により算定された前記位置と、前記基準位置記憶部に記憶されている前記基準位置とに基づいて、前記作業地の硬さを示す硬さ情報を作成する硬さ情報作成部と、前記硬さ情報作成部により作成される前記硬さ情報に基づいて、前記所定の区画毎に、前記作業車の車輪が接地する接地面から前記表面までの高さを算定する高さ算定部とを備え、前記作業地情報記憶部は、前記所定の区画毎に前記高さ算定部により算定された前記接地面から前記表面までの高さを示す高さ情報を紐付けして記憶すると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、作業車の車輪の接地面と、作業車が走行する走行路の表面とから作業車の沈下量を算定し、作業地情報として区画毎に記憶することが可能となる。
【0011】
また、前記作業地情報作成システムは、前記作業地情報記憶部に記憶された高さ情報に基づいて、前記位置情報取得部により取得される前記作業地の標高を示す高度情報を補正する補正部を備えると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、作業地において作業車が沈下している場合には、沈下量を用いて高度情報を補正し、作業車が走行する作業地の正確な高度情報を取得することが可能となる。
【0013】
また、前記路面検出部は、前記作業車に連結される対地作業装置に設けられていると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、対地作業装置を用いて作業を行いながら、作業地の状態を計測することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る作業地情報作成システムは、作業地の状態を示す作業地情報を作成する機能を備えている。以下、本実施形態の作業地情報作成システム1について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る作業地情報作成システム1の構成を模式的に示したブロック図である。
図1に示されるように、作業地情報作成システム1は、位置情報取得部10、路面検出部20、基準位置記憶部30、位置算定部40、作業地情報作成部50、作業地情報記憶部60、補正部70の各機能部を備えて構成され、特に本実施形態では作業地情報作成部50は、硬さ情報作成部51、高さ算定部52を備えて構成される。これらの機能部は、上記作業地情報の作成に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。本実施形態では、位置情報取得部10、路面検出部20、基準位置記憶部30、及び位置算定部40は作業車2(
図2参照)に搭載され、作業地情報作成部50、作業地情報記憶部60、及び補正部70は作業車2とは異なるサーバ4に搭載されている例を挙げて説明する。
【0018】
位置情報取得部10は、作業地3(
図2参照)を走行する作業車2に備えられ、位置情報を取得する。作業地3とは、作業車2が作業を行いながら走行する場所をいう。本実施形態では、作業車2とは圃場において各種の作業を行う農作業機であり、作業地3は圃場が相当する。位置情報とは、緯度、経度、高度(標高)を含む位置情報が相当する。したがって、位置情報取得部10は、圃場の緯度、経度、高度を含む情報である位置情報を取得する。
【0019】
ここで、本実施形態では、作業車2の具体例としてトラクタを例に挙げて説明する。
図2にはトラクタが示される。このトラクタは、設定された走行経路に基づいて有人または無人で走行するように構成される。このトラクタは、畦によって境界づけられた圃場(作業地3)に対して耕耘作業を行うロータリ耕耘装置を対地作業装置90として装備している。このトラクタは、前輪91と後輪92とによって支持された車体100の中央部に操縦部93が設けられている。車体100の後部には油圧式の昇降機構94を介して対地作業装置90を昇降可能に支持している。対地作業装置90には、耕耘後の作業地3の表面(作業車2が走行する走行路の表面の一例)を検出するために上述した路面検出部20が設けられている。前輪91は操向輪として機能し、その操舵角を変更することでトラクタの走行方向が変更される。前輪91の操舵角は操舵機構95の動作によって変更される。操舵機構95には自動操舵のための操舵モータ96が含まれている。手動走行の際には、前輪91の操舵は操縦部93に配置されているステアリングホイール97の操作によって可能である。
【0020】
トラクタのキャビン98には、GNSSモジュールとして構成されている衛星測位モジュール99が設けられている。この衛星測位モジュール99が上述した位置情報取得部10の具体例にあたる。衛星測位モジュール99の構成要素として、GPS信号やGNSS信号を受信するための衛星用アンテナがキャビン98の天井領域に取り付けられている。なお、衛星測位モジュール99には、衛星航法を補完するために、ジャイロ加速度センサや磁気方位センサを組み込んだ慣性航法モジュールを含めることができる。もちろん、慣性航法モジュールは、衛星測位モジュール99とは別の場所に設けてもよい。
【0021】
路面検出部20は、作業車2に備えられ、作業車2が走行する走行路の表面を検出する。作業車2が走行する走行路とは、上述したようにトラクタが走行経路に基づいて走行する場所である。ここで、トラクタが作業地3の耕耘作業を行う場合には、耕耘前の作業地3の表面の位置と、耕耘後の作業地3の表面の位置とは異なる。耕耘作業を行う対地作業装置90は通常、耕耘後の作業地3の表面を検出するように構成されていることから、本実施形態では、路面検出部20は、耕耘後の作業地3の表面を検出する。したがって、走行路の表面とは、耕耘後の作業地3の表面が相当する。本実施形態では、路面検出部20は、作業車2に連結される上述した対地作業装置90に設けられる。
【0022】
基準位置記憶部30は、作業車2が作業地3の状態の計測を開始する前の、作業車2に対する路面検出部20の位置を基準位置として予め記憶しておく。作業地3の状態とは、作業地3の硬さを示すさまであり、本実施形態では、作業車2は作業地3の状態として、作業地3を耕耘しながら作業地3の硬さを計測する。したがって、作業車2が作業地3の状態の計測を開始する前とは、作業車2が作業地3の硬さを計測する前であり、作業地3を耕耘する前をいう。ここで、
図3には、
図2において示したトラクタが作業地3を耕耘する前の状態の側面図が示される。
図3では、
図2に対して対地作業装置90が作業地3の表面に設置され、この状態において路面検出部20は作業地3の表面を検出する。作業車2に対する路面検出部20の位置とは、作業車2から見た路面検出部20の位置であり、具体的には作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置にあたる。基準位置記憶部30は、作業車2が作業地3を耕耘する前に
図3におけるこの位置を基準位置として予め記憶しておく。
【0023】
図1に戻り、位置算定部40は、作業車2が計測対象となる作業地3を走行している時の、作業車2に対する路面検出部20の位置を算定する。計測対象となる作業地3とは、作業車2が作業地3の硬さを計測する作業地である。したがって、作業車2が計測対象となる作業地3を走行している時とは、作業車2が作業地3の硬さを計測し、且つ、耕耘作業を行いながら走行している時をいう。作業車2に対する路面検出部20の位置とは、上述したように、作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置である。したがって、位置算定部40は、作業車2が作業地3の硬さを計測し、且つ、耕耘作業を行いながら走行している時の、作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置を算定する。
【0024】
作業地情報作成部50は、位置算定部40により算定された位置と、基準位置記憶部30に記憶されている基準位置とに基づいて、作業地情報を作成する。位置算定部40により算定された位置とは、上述したように作業車2が作業地3の硬さを計測し、且つ、耕耘作業を行いながら走行している時の、作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置であり、位置算定部40から伝達される。基準位置記憶部30に記憶されている基準位置とは、作業車2が作業地3を耕耘する前に基準位置記憶部30に予め記憶されている、作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置である。作業地情報作成部50は、これらの位置及び基準位置を用いて作業地3の状態を示す作業地情報を作成する。
【0025】
作業地情報記憶部60は、作業地3における所定の区画毎に、位置情報に基づいて作業地情報作成部50により作成された作業地情報を紐付けして記憶する。本実施形態では、作業地3は所定の区画毎に予めメッシュ状に区画されている。作業車2は、このメッシュ状に区画された作業地3を走行しながら作業地情報を取得し、作業地情報記憶部60は取得された作業地情報を夫々の区画に関連付けて記憶する。
【0026】
ここで、特に本実施形態では、作業地情報作成部50は、
図1に示されるように、硬さ情報作成部51と高さ算定部52とを備えている。硬さ情報作成部51は、位置算定部40により算定された位置と、基準位置記憶部30に記憶されている基準位置とに基づいて、作業地3の硬さを示す硬さ情報を作成する。
【0027】
例えば、作業地3が硬い場合には、
図2に示されるように作業車2の前輪91及び後輪92は、耕耘作業時に走行路に沈下せず、前輪91及び後輪92の接地面と路面検出部20により検出される走行路の表面とが略同じ位置となる。ここで、この時の作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置までの距離をAとする。
【0028】
図4には、
図2よりも作業地3が柔らかい場合の例が示される。この場合には、
図4に示されるように作業車2の前輪91及び後輪92は耕耘作業時に走行路に沈下し、前輪91及び後輪92の接地面が路面検出部20により検出される走行路の表面よりも低くなる。この時の作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置までの距離をBとする。このBは上述した作業地3が硬い場合の距離Aよりも短くなる。
【0029】
図5には、
図4よりも更に作業地3が柔らかい場合の例が示される。この場合には、
図5に示されるように作業車2の前輪91及び後輪92は耕耘作業時に更に走行路に沈下し、前輪91及び後輪92の接地面が路面検出部20により検出される走行路の表面よりも更に低くなる。この時の作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置までの距離をCとする。このCは上述した距離A及び距離Bよりも短くなる。
【0030】
このように、作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置までの距離を算定することにより、作業地3の硬さを評価することができる。硬さ情報作成部51は、このような硬さを示す硬さ情報を作成する。
【0031】
図1に戻り、高さ算定部52は、硬さ情報作成部51により作成される硬さ情報に基づいて、作業地3における所定の区画毎に、作業車2の車輪が接地する接地面から表面までの高さを算定する。硬さ情報作成部51により作成される硬さ情報とは、上述したように作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置までの距離を算定することにより評価した作業地3の硬さを示す情報である。所定の区画とは、上述したようにメッシュ状の区画である。作業車2の車輪とは、作業車2の前輪91及び後輪92であり、作業車2の車輪が接地する接地面とは、作業車2の前輪91及び後輪92が接地する接地面である。この接地面は、
図2の場合には作業地3の表面に相当するが、
図4や
図5のように前輪91及び後輪92が沈下している場合には沈下状態における前輪91及び後輪92が位置する面が相当する。表面とは、路面検出部20により検出される走行路の表面である。したがって、高さ算定部52は、作業地3の硬さを示す情報に基づいて、作業地3におけるメッシュ状の区画毎に、作業車2の前輪91及び後輪92が接地する接地面から路面検出部20により検出される走行路の表面までの高さを算定する。
【0032】
具体的には、基準位置記憶部30に記憶された基準位置に基づき算出した作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置までの距離(
図3におけるL)から、位置算定部40により算定された現在の路面検出部20の位置に基づき算出した作業車2における路面検出部20の取付位置から見た路面検出部20により検出される路面の表面の位置までの距離(
図2にあってはA、
図4にあってはB、
図5にあってはC)を減ずることにより、前輪91及び後輪92の接地面から路面検出部20により検出される路面の表面までの高さが算出される。作業地情報記憶部60は、所定の区画毎に高さ算定部52により算定された接地面から表面までの高さを示す高さ情報を紐付けして記憶する。
【0033】
ここで、位置情報取得部10により取得される位置情報には、作業車2の標高(高度)を示す高度情報が含まれ、この高度情報により示される標高と作業車2における位置情報取得部10が設けられる位置(地上からの高さ)とに基づいて、作業車2が位置する作業地3の標高(高度)を演算することが可能である。しかしながら、作業車2の前輪91及び後輪92が
図4や
図5に示されるように作業地3に沈下している場合には、上記のように演算した作業地3の標高は、沈下量だけ低い値となってしまう。そこで、補正部70は、作業地情報記憶部60に記憶された高さ情報に基づいて、位置情報取得部10により取得される作業地3の標高を示す高度情報を補正する。作業地情報記憶部60に記憶された高さ情報とは、高さ算定部52により算定された前輪91及び後輪92の接地面から走行路の表面までの高さを示す情報である。位置情報取得部10により取得される作業地3の標高を示す高度情報とは、位置情報取得部10により取得される位置情報に含まれる。ここで、高さ情報に含まれる前輪91及び後輪92の接地面から走行路の表面までの高さから、耕耘作業前後の路面の高低差を減じることにより、前輪91及び後輪92の沈下量を算定することができる。補正部70は、高度情報に含まれる標高に、算定した沈下量を加えることにより、前輪91及び後輪92が作業地3に沈下していない場合の標高を正確に取得することが可能となる。なお、耕耘作業前後の路面の高低差は、対地作業装置90の耕耘状況に応じて定まるが、この高低差の演算については公知であるので説明は省略する。
【0034】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、位置情報取得部10、路面検出部20、基準位置記憶部30、及び位置算定部40は作業車2に搭載され、作業地情報作成部50、作業地情報記憶部60、及び補正部70は作業車2とは異なるサーバ4に搭載されている例を挙げて説明したが、位置情報取得部10、路面検出部20、基準位置記憶部30、位置算定部40、作業地情報作成部50、作業地情報記憶部60、及び補正部70の全てを作業車2に搭載するように構成することも可能であるし、上記全ての機能部をサーバ4に搭載するように構成しても良い。
【0035】
上記実施形態では、作業車2としてトラクタを例に挙げて説明したが、他の作業を行う作業車であっても良い。
【0036】
上記実施形態では、作業地情報作成部50は、硬さ情報作成部51及び高さ算定部52を備えているとして説明したが、作業地情報作成部50が硬さ情報作成部51及び高さ算定部52を備えずに構成することも可能である。
【0037】
上記実施形態では、作業地情報作成システム1が補正部70を備えているとして説明したが、補正部70を備えずに構成することも可能である。
【0038】
上記実施形態では、路面検出部20が作業車2に備えられる対地作業装置90であるとして説明したが、路面検出部20を対地作業装置90以外の装置を用いて構成することも可能である。