特許第6704888号(P6704888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704888
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】開閉体駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/622 20150101AFI20200525BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   E05F15/622
   B60J5/10 K
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-209245(P2017-209245)
(22)【出願日】2017年10月30日
(65)【公開番号】特開2019-82025(P2019-82025A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2019年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上甲 篤
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 実用新案登録第2505445(JP,Y2)
【文献】 特開2005−36469(JP,A)
【文献】 特開2015−158040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/622
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体と、
ストライカをラッチに係脱させて前記開閉体を閉状態または開状態とするラッチ機構と、
前記開閉体を全開位置と全閉位置との間で移動させる開閉体駆動部と、
前記開閉体駆動部の駆動を制御する制御部と、
前記開閉体の移動情報を出力する移動センサと、
を備え、
前記制御部は、
予め設定された前記ラッチ機構が所定状態となるときのカウント値である途中基準カウント値と、前記途中基準カウント値に加減することで前記開閉体が全閉状態となる押し込みカウント値とを有し、
前記開閉体が前記ラッチ機構と前記所定状態となったときの前記移動センサにより得られた現在カウント値と前記途中基準カウント値とを比較して前記現在カウント値を補正し、
前記途中基準カウント値に対応するカウント値から前記押し込みカウント値だけ前記開閉体が移動したときに前記開閉体が前記全閉位置に到達したとして前記開閉体駆動部の駆動を停止する、
開閉体駆動装置。
【請求項2】
前記開閉体駆動部は、外周に螺旋溝を有する軸部材と、前記軸部材を長さ方向の軸回りに回転させるモータと、前記軸部材と螺合し前記軸部材の回転により前記長さ方向に沿って進退可能なナット部材と、前記ナット部材の軸周り方向の回転を規制する回転規制部とを有する、
請求項1に記載の開閉体駆動装置。
【請求項3】
前記開閉体の前記ラッチ機構との前記所定状態は、前記ラッチ機構におけるハーフラッチ状態である、
請求項1または請求項2に記載の開閉体駆動装置。
【請求項4】
前記制御部は、補正された前記現在カウント値に基づいて前記開閉体の駆動速度を制御する、
請求項1〜3の何れか1項に記載の開閉体駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動部によって開閉体の開閉を行う駆動装置は、車両のバックドアの開閉装置の様に、電動の駆動部が採用される場合がある。電動の駆動部によって開閉体の開閉を行う場合には、開閉体が全開位置や全閉位置に至った状態でもなお、駆動部を駆動させてしまうと、駆動部に過負荷がかかってしまうので、開閉体の位置をパルスエンコーダより出力されたパルスカウント値を用いた位置情報にしたがって駆動部を停止することで過負荷の抑制がなされている。
【0003】
しかし、パルスカウント値を用いた位置情報は、開閉体が異物と衝突することなどによって、パルスカウント値による開閉体の位置情報と実際の開閉体の位置がずれてしまう場合がある。このような位置情報と実際の開閉体の位置との間に差を生じさせない装置として、例えば、特許文献1には、開閉体の移動をロックするラッチ機構がハーフラッチ状態となったときに、開閉体が全閉位置に到達したとする車両用開閉体制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−184429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、開閉体を開閉駆動させる開閉体駆動部がセルフロック機構を有する場合など、開閉体の閉鎖が阻害される原因を有する場合には、ラッチ機構がハーフラッチ状態となってから、ラッチ機構の駆動力で開閉体を全閉位置へと移動させることが難しい。そのため、開閉体のハーフラッチ状態からの移動量が適切な移動量となるように閉方向に開閉体を移動させなければ、開閉体が全閉位置に到達したにも関わらず開閉体を閉方向にさらに移動させようとすることとなって、開閉体駆動部に過度の負荷をかけることになる。
【0006】
本発明の目的は、開閉体の駆動の際に開閉体駆動部に過度の負荷をかけることを抑制することが可能な開閉体駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開閉体駆動装置は、
開閉体と、
ストライカをラッチに係脱させて前記開閉体を閉状態または開状態とするラッチ機構と、
前記開閉体を全開位置と全閉位置との間で移動させる開閉体駆動部と、
前記開閉体駆動部の駆動を制御する制御部と、
前記開閉体の移動情報を出力する移動センサと、
を備え、
前記制御部は、
予め設定された前記ラッチ機構が所定状態となるときのカウント値である途中基準カウント値と、前記途中基準カウント値に加減することで前記開閉体が全閉状態となる押し込みカウント値とを有し、
前記開閉体が前記ラッチ機構と前記所定状態となったときの前記移動センサにより得られた現在カウント値と前記途中基準カウント値とを比較して前記現在カウント値を補正し、
前記途中基準カウント値に対応するカウント値から前記押し込みカウント値だけ前記開閉体が移動したときに前記開閉体が前記全閉位置に到達したとして前記開閉体駆動部の駆動を停止する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開閉体の駆動の際に開閉体駆動部に過度の負荷をかけることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の開閉体駆動装置を備えた自動車の概略側面図である。
図2】本実施の形態の開閉体駆動装置の開閉体駆動部の一例の要部構成を示す部分断面図である。
図3】本実施の形態の開閉体駆動装置の開閉体駆動部の一例の要部構成を示す部分断面図である図2に示すA−A線断面図である。
図4】本実施の形態の開閉体駆動装置を備えた自動車後部の部分拡大側面図である。
図5A】ラッチ機構におけるフルラッチ状態を示す図である。
図5B】ラッチ機構におけるフルラッチ状態からハーフラッチ状態に遷移する様子を示す図である。
図5C】ラッチ機構におけるハーフラッチ状態を示す図である。
図5D】ラッチ機構におけるアンラッチ状態を示す図である。
図6】開閉体駆動装置の制御系の説明に供するブロック図である。
図7】開閉体駆動装置における開閉体駆動制御の説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態では、開閉体駆動装置1の一例として、バックドアを開閉制御する自動車を例示するが、開閉体駆動装置1は、店舗やガレージ等の構造物に設置されるシャッター、引き戸、開き扉、または、構造物正面の開口の上方に配置される折りたたみ式の庇の開閉を制御する装置にも適用可能である。
【0011】
[開閉体駆動装置の全体構成]
図1は、本実施の形態の開閉体駆動装置を備えた自動車の概略側面図である。
【0012】
図1に示すように、開閉体駆動装置1は、開口部11を有する開口部材10と、開閉体20と、開閉体駆動部30と、制御部50と、移動センサ60(図6参照)と、ラッチ機構70(図4参照)と、ラッチ状態検出部80(図6参照)とを備える。
【0013】
開閉体駆動装置1は、開閉体20を移動させることにより開口部材10の開口部11を開状態と閉状態とにさせる装置である。
【0014】
[開口部材]
開口部材10は、本実施の形態の開閉体駆動装置1を用いた自動車において、車体の進行方向に対して後部に設けられている。開口部材10は、この自動車に用いられる車体であり、開口部材10の縁部によって開口部11が形成されている。開口部11の形状は、矩形状、円形状等、どのような形状であっても良い。
【0015】
[開閉体]
開閉体20は、開口部材10の開口部11を開状態(図1参照)または閉状態(図4参照)とする。開口部11の開状態は、車両の後部においては、荷物等の対象物を、開口部11を介して外部から後部荷室に入出可能とする状態である。開口部11の閉状態は、開口部11を閉塞した状態である。換言すると、荷物等の対象物が開口部11を通って反対側へ移動することを阻害する位置に開閉体20があるとき、開閉体20は、開口部11を閉状態とすることができる。また、当該対象物が開口部11を通って反対側へ移動することを許容する位置に開閉体20があるとき、開閉体20は、開口部11を開状態とすることができる。
【0016】
本実施の形態において、開閉体20の上辺部は、開口部材10における開口部11の上縁部側にヒンジとしての軸部を介して回動可能に取り付けられている。開閉体20は、軸部を中心に下辺部側が上下動するように旋回し、開口部11から接触または離間することにより、開口部11を開状態または閉状態とする。本実施の形態では、開閉体20の位置変更が上記の旋回機構によって実現されているが、開閉体20の位置変更のための機構は、旋回に限定されず、開口部11を開状態または閉状態とすることができればいかなる機構であっても良い。
【0017】
[開閉体駆動部]
開閉体駆動部30は、開口部材10の開口部11に対して開閉体20を開方向と閉方向とに移動させる。開閉体駆動部30は、複数あっても良い。本実施の形態では、開閉体駆動部30は、開閉体20の左右両端および開口部11の左右の両縁に1つずつの計2つ設けられている。それぞれの開閉体駆動部30が駆動することにより開閉体20を移動させることで、開閉体20を開口部材10に対して相対移動させて、開口部11を開状態または閉状態とする。
【0018】
2つの開閉体駆動部30は、開口部11を開状態とする方向(開方向)と、開口部11を閉状態とする方向(閉方向)とに開閉体20を移動可能であれば、開閉体駆動部30のそれぞれが同方向であって同一駆動量で開閉体20を駆動しても良い。また、2つの開閉体駆動部30のそれぞれが、開方向と閉方向とに開閉体20を移動可能であれば、異なる方向の駆動であっても、異なる駆動量で開閉体20を駆動するようにしても良い。本実施の形態においては、各開閉体駆動部30が同一の駆動を同期して行うように設けられている。
【0019】
開閉体駆動部30は、開口部材10と開閉体20とに渡されて、開閉体20が開口部材10に対して相対移動可能に設けられている。開閉体20が開口部材10に対して旋回移動するために、開閉体駆動部30のそれぞれは、車体である開口部材10に対して旋回しながら駆動して、開閉体20を移動可能に開口部材10に取り付けられている。
【0020】
具体的には、各開閉体駆動部30は、伸縮する棒状の外観を有し、二つの部分が相対移動することにより伸縮駆動する。各開閉体駆動部30は、駆動本体部と、進退部とを有する。駆動本体部は、開閉体駆動部30の一端部側に配置され、開口部材10側に接続される。進退部は、開閉体駆動部30の他端部側に配置され、開閉体20側に接続される。進退部は、駆動本体部の他端部側から出没可能に取り付けられている。
【0021】
開閉体駆動部30は、駆動本体部に対して進退部を、開閉体駆動部30の長手方向に進退させて、開閉体20を、全閉位置、つまり、開口部11を完全に閉塞する位置と、全開位置、つまり、開口部11が最大限に開状態となる位置とに移動できる。各開閉体駆動部30は、モータ等の回転運動を直線方向の伸縮運動に変換することにより、開閉体20を開方向または閉方向に移動させる。
【0022】
開閉体駆動部30は、自動車後部の左右の両端にそれぞれ1つずつの計2個設けられているが、その使用個数は特に限定されない。また、開閉体駆動部30は、開閉体20の開閉を可能とするものであれば、その構造、形状や配置位置に付いては特に限定されない。
【0023】
図2は、本実施の形態の開閉体駆動装置の開閉体駆動部の一例の要部構成を示す部分断面図であり、図3は、図2に示すA−A線断面図である。
【0024】
本実施の形態では、開閉体駆動部30は、本体筒部31、スライド筒部32、開閉モータ33、スピンドル34、スピンドルナット35、付勢部材36等を有する。開閉体駆動部30において、本体筒部31、開閉モータ33、スピンドル34、付勢部材36等が駆動本体部に対応し、スライド筒部32、スピンドルナット35が進退部に対応する。
【0025】
本体筒部31は、一端部側が開口部材10に旋回可能に固定され、他端部側が開口している。本体筒部31の内側には、スライド筒部32が、本体筒部31の他端部側から出没するように、長手方向にスライド移動可能に配置される。
【0026】
なお、本体筒部31の一端側には、一端側の開口を閉塞する固定端部39が設けられる。固定端部39は、ボールソケット部を有する。ボールソケット部に、開口部材10に固定される取付部材12のボールを接続することにより、本体筒部31は、開口部材10に回動自在に接続される。
【0027】
開閉モータ33は、駆動して、駆動本体部に対し、進退部を長手方向に移動させて開閉体駆動部30を伸縮させる。開閉モータ33は、直流モータまたは交流モータである。開閉体駆動装置1が自動車に適用される場合には、自動車の直流電源を用いることを考慮して、開閉モータ33として直流モータを適用することが望ましい。なお、開閉モータ33は、制御部50に接続され、制御部50により、正回転、逆回転の双方の回転駆動が制御される。
【0028】
開閉モータ33には、長手方向で延在し、且つ、スライド筒部32の内側に配置されるスピンドル34の基端部34aが接続される。
【0029】
スピンドル34は、開閉モータ33の回転軸と同軸上に配置され、基端部34aで本開閉モータ33の回転軸に連結されている。スピンドル34は、基端部34a側で本体筒部31にベアリングを介して軸回りに回転自在に配置されている。
【0030】
スピンドル34の外周に雄ねじ部341、つまり、螺旋溝が形成されており、スピンドルナット35に螺合する。スピンドル34は、本発明の「軸部材」に対応する。
【0031】
スピンドルナット35は、スピンドル34の回転により駆動され、スピンドル34上をスピンドル34の回転軸方向へ移動する。つまり、スピンドルナット35は、スピンドル34の回転により回転軸方向(長さ方向)に進退可能である。スピンドルナット35は、本発明の「ナット部材」に対応する。
【0032】
具体的には、スピンドルナット35は、筒状体であり、基端側の内周面に、スピンドル34の外周の雄ねじ部341と螺号する雌ねじ部35aが設けられている。
【0033】
スピンドル34の先端部は、スピンドルナット35内に配置され、軸受け41が取り付けられている。スピンドル34の先端部は、軸受け41を介してスピンドルナット35内を長手方向に移動自在である。
【0034】
スピンドルナット35の他端部は、スライド筒部32の他端部とともに蓋部37を介してスライド端部40に固定されている。
【0035】
付勢部材36は、スライド端部40を固定端部39から離間する方向に付勢して、開閉体駆動部30が支持する開閉体20の自重に抗するように、開閉体駆動部30が伸長する方向の力を発生させている。
【0036】
開閉体駆動部30により開閉体20を開作動する際、つまり、スライド筒部32を伸長方向に移動させる際に、開閉モータ33がスピンドルナット35を回転させる際に加わる開閉体20の自重による負荷を、付勢部材36が発生させる伸長方向の力により、低減できる。
【0037】
ここでは付勢部材36は、コイルバネであり、スライド筒部32の内側で、且つ、スピンドルナット35の周囲に配置される。付勢部材36は、コイルベース38と、スライド端部40との間に介装される。
【0038】
コイルベース38は、付勢部材36の付勢力により本体筒部31内に固定されるが、接着剤、溶接等により固定されても良い。
【0039】
スライド筒部32は、長手方向にスライド移動することにより、本体筒部31の他端部から突出し、開閉体駆動部30全体として伸縮するよう構成されている。
【0040】
スライド筒部32は、外周に凸部32aを有する。
【0041】
スライド筒部32と、スライド筒部32を囲む本体筒部31との間には、ガイド筒部43が配置される。
【0042】
ガイド筒部43は、本体筒部31の内側に配置され、コイルベース38によって軸周り方向の回転が規制されており、長手方向に延在する溝状のガイド部43aを有する。ガイド部43a内には、スライド筒部32の凸部32aが配置される。スライド筒部32は、長手方向に移動自在であるが、周周り方向への回転が規制される。そのため、ガイド筒部43は、スライド筒部32の他端部とともにスライド端部40に固定されるスピンドルナット35の軸周りの回転を規制する。ガイド筒部43は、本発明の「回転規制部」に対応する。
【0043】
このように構成された開閉体駆動部30において、開閉モータ33を駆動すると、スピンドル34が回転し、この回転により、スライド筒部32を介して長手方向にのみ移動可能に規制されたスピンドルナット35は、長手方向に移動する。このスピンドルナット35の移動にともない進退部は移動して、スライド端部40が、移動する。スライド端部40には開閉体20が接続されているので、開閉体20自体が開方向、或いは閉方向へ移動し、全開位置、全閉位置に位置させることができる。
【0044】
開閉体駆動部30には、スピンドル34にスピンドルナット35を螺合した構成が含まれる。この構成は、スピンドルナット35を収縮させようとする力が開閉体20からスピンドルナット35に作用しても、スピンドル34がスピンドルナット35との摩擦によってスピンドルナット35の動きを拘束する、セルフロック機構である。セルフロック機構においてスピンドルナット35の動きが拘束されるとき、開閉体20の閉方向移動が抑制される。
【0045】
なお、開閉体駆動部30が備えるセルフロック機構は、例えばウォームホイールとウォームギアとを含む構成等であっても良いし、その他の構成等であっても良い。
【0046】
[ラッチ機構]
図4は、本実施の形態の開閉体駆動装置を備えた自動車後部の部分拡大側面図である。図5Aは、ラッチ機構におけるフルラッチ状態を示す図である。図5Bは、ラッチ機構におけるフルラッチ状態からハーフラッチ状態に遷移する様子を示す図である。図5Cは、ラッチ機構におけるハーフラッチ状態を示す図である。図5Dは、ラッチ機構におけるアンラッチ状態を示す図である。
【0047】
図4および図5Aに示すように、ラッチ機構70は、開口部11に対して開閉体20を閉状態で移動規制するために設けられる機構であり、ラッチ71と、ストライカ72と、回動軸73と、ポール74と、クロージャモータ75(図6参照)とを有する。
【0048】
ラッチ71は、ストライカ72と係合が可能な部材であり、開閉体20の内側下端部に設けられている。ラッチ71は、基部71Aと、基部71Aの上端部から延びる第1アーム71Bと、基部71Aの下端部から延びる第2アーム71Cとを有する。第1アーム71Bおよび第2アーム71Cは、基部71Aから同じ方向(図5Aにおける左から右に向かう方向)にそれぞれ延びている。
【0049】
ストライカ72は、ラッチ71と係合が可能な部材であり、ラッチ71の基部71A、第1アーム71Bおよび第2アーム71Cで形成される凹部71Dに入り込むことが可能な棒状の部分を有している。ストライカ72の棒状の部分としては、例えば、図4における左右方向に平行な部分である。
【0050】
ストライカ72は、開口部材10における開口部11の下縁部分において、開閉体20が閉状態となった際に、当該棒状の部分がラッチ71にフルラッチ状態で係合するような位置に設けられている。なお、ラッチ71が開口部材10側に設けられる場合、ストライカ72は開閉体20側に設けられる。
【0051】
ラッチ71は、回動軸73を中心に回動可能に構成されている。ラッチ71は、例えば、クロージャモータ75の駆動力により回動することで、フルラッチ状態(図5Aの状態)と、ハーフラッチ状態(図5Cの状態)と、アンラッチ状態(図5Dの状態)とに遷移する。
【0052】
フルラッチ状態は、ストライカ72がラッチ71の凹部71Dから離脱できないように係合する完全係合状態である。ハーフラッチ状態は、フルラッチ状態のときよりもラッチ71とストライカ72との係合力が弱い状態であり、ストライカ72が、外力が負荷されることによりラッチ71の凹部71Dから容易に離脱できる状態である。アンラッチ状態は、ラッチ71とストライカ72との係合が完全に解除された状態である。
【0053】
また、ラッチ71は、図示しない付勢部材により、図5A図5Dにおいて、時計回り方向に回動するように付勢されていても良い。これにより、後述するポール74の回動を制御して、付勢部材の付勢力によりラッチ71をフルラッチ状態からアンラッチ状態に回動させることができる。
【0054】
ポール74は、ラッチ71の回動を規制することが可能な部材であり、ラッチ71の第1アーム71Bおよび第2アーム71Cの何れかと当接可能な位置に設けられている。ポール74は、回動可能に設けられており、クロージャモータ75の駆動の下、時計回り方向における上流側から第1位置(図5A参照)、第2位置(図5C参照)および第3位置(図5D参照)に位置するように制御される。
【0055】
ここで、ラッチ機構70における動作の一例について説明する。まず、フルラッチ状態からアンラッチ状態に遷移する際の動作について説明する。
【0056】
図5Aに示すように、ポール74が第1位置のとき、フルラッチ状態のラッチ71における第2アーム71Cの先端とポール74とが当接する。これにより、ラッチ71の回動が規制されてラッチ71のフルラッチ状態が維持される。
【0057】
図5Bに示すように、ポール74が第1位置から時計回り方向に回動すると、第2アーム71Cとの当接が解除される。ラッチ71は、クロージャモータ75の駆動力により時計回り方向に回動する。
【0058】
図5Cに示すように、ポール74がさらに回動して第2位置に位置すると、ポール74とラッチ71の第1アーム71Bとが当接する。このとき、ラッチ71は、ハーフラッチ状態の位置であり、ラッチ71の回動がポール74により規制されることにより、ラッチ71のハーフラッチ状態が維持される。
【0059】
図5Dに示すように、ポール74がさらに回動して第3位置に位置すると、ポール74とラッチ71の第1アーム71Bとの当接が解除される。これにより、ラッチ71は、クロージャモータ75の駆動力により時計回り方向に回動して、アンラッチ状態の位置に位置する。すなわち、ラッチ71とストライカ72との係合が完全に解除される。
【0060】
また、ポール74を第2位置から回動させなくても、ハーフラッチ状態のときのラッチ71とストライカ72との係合力は、フルラッチ状態のときと比べて弱くなっている。そのため、開閉モータ33の駆動力により、開閉体20を開方向に移動させる力によって、ラッチ71とストライカ72との係合を解除させることも可能である。
【0061】
次に、アンラッチ状態からフルラッチ状態に遷移する際の動作について説明する。まず、図5Cおよび図5Dに示すように、アンラッチ状態の位置から、開閉体駆動部30による開閉体20の移動により、ラッチ71がストライカ72に係合することでラッチ機構70がハーフラッチ状態となる。
【0062】
そして、後述する制御部50の制御の下、開閉モータ33およびクロージャモータ75が作動して、図5Bに示すように、ラッチ71を反時計回り方向に回動させて、ラッチ71の凹部71D内にストライカ72を引き込むようにしてラッチ機構70がフルラッチ状態となる。
【0063】
なお、ラッチ機構70は、クロージャモータ75により駆動可能な構成であれば、どのような構成であっても良い。
【0064】
[制御系の構成]
図6は、開閉体駆動装置1の制御系を示すブロック図である。
開閉体制御装置1において、制御系は、制御部50と、移動センサ60と、ラッチ状態検出部80とを備える。開閉体駆動装置1の制御系は、開閉モータ33を備える開閉体駆動部30により駆動される開閉体20を制御する。
【0065】
[移動センサ]
移動センサ60は、例えば開閉体駆動部30の動作を検知することで、開閉体20の位置の移動を検知し、その検知結果である開閉体20の移動情報を制御部50に出力する。
【0066】
例えば、移動センサ60は、ホール素子を含み、開閉モータ33の回転状態を磁気的に検出することで、開閉体駆動部30の動作ひいては開閉体20の位置の移動を検知する。この場合、開閉モータ33の回転軸に設けた円盤に、磁石を周方向に異なる間隔で配置し、これに対向する位置に、移動センサ60のホール素子を配置する。ホール素子により、開閉モータ33の回転軸の回転に伴って移動する磁石を捕捉してパルスを発生させる。制御部50は、このパルスをカウントしたカウント値により、開閉体20の位置を算出し、カウント値の変化により、開閉体20の駆動速度を算出する。
【0067】
移動センサ60は、捕捉したパルスをカウントし、制御部50は、カウント値を開閉体20の移動情報として、制御部50における開閉体20の位置および駆動速度の算出にパルスのカウント値を使用できるようにする。なお、移動センサ60が、パルスのカウントだけでなく、そのカウント値に基づく開閉体20の位置および駆動速度の算出をも行ったうえで、その算出結果を制御部50へと出力するようにしても良い。
【0068】
また、移動センサ60は、開閉体20の位置の移動に関する情報を検知可能であれば、どのような構成であっても良く、例えば、開閉体駆動部30の動作を検知することなく直接的に開閉体20の位置の移動を検知しても良い。検知の方式は、ホール素子を用いて磁気的に行うものに限られず、開閉体20の位置に応じたカウント値を生成可能であれば、どのような方式であっても良い。また、ここでは移動センサ60を、後述する制御部50とは別々に設けられるものとして説明したが、移動センサ60は、制御部50に組み込まれたものであっても良い。
【0069】
なお、移動センサ60がカウント値ではない出力値を制御部50に出力する場合、例えば移動センサ60の出力結果に応じて、予め設定されたカウント値を制御部50が記憶部等から取得するようにしても良い。
【0070】
[ラッチ状態検出部]
ラッチ状態検出部80は、ラッチ機構70のラッチ状態を検出して、その検出結果を制御部50に出力する。ラッチ状態検出部80は、例えば、ラッチ71の回動状態に基づいて、ハーフラッチ状態等のラッチ状態を検出する。
【0071】
ラッチ状態検出部80は、ラッチ71が図5Cの状態になるとON状態に遷移し、ラッチ71が図5C以外の状態になるとOFF状態に遷移するようなハーフラッチ検出スイッチを含む。具体的には、ラッチ機構70には、図示しないリンク機構が設けられ、当該リンク機構を介することにより、ラッチ71の回動状態に応じて、ハーフラッチ検出スイッチがON状態とOFF状態とに切り替わる。これにより、後述する制御部50が、ラッチ状態検出部80が出力する、ON状態時の信号およびOFF状態時の信号に基づいて、ラッチ機構70がハーフラッチ状態であるか否かについて判定する。
【0072】
また、ラッチ状態検出部80は、アンラッチ状態やフルラッチ状態を検出可能なスイッチを含んでいても良い。
【0073】
また、ラッチ状態検出部80は、ラッチ機構70のラッチ状態を検出可能であれば、どのようなものであっても良い。
【0074】
また、ラッチ状態検出部80は、開閉体駆動装置1に設けられていなくても良い。この場合、開閉体駆動装置1が、外部からラッチ状態の検出信号を取得できるようにすれば良い。
【0075】
[制御部]
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して開閉体制御装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部(図示略)に格納されている各種データが参照される。記憶部(図示略)は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。制御部50は、例えば、車両の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)に組み込まれても良く、また、開閉体駆動部30に搭載されていても良い。
【0076】
制御部50は、移動センサ60が出力する開閉体20の移動情報を取得し、当該移動情報を用いて、開閉体駆動部30を介して開閉体20の開閉移動を制御する。具体的に、制御部50は、移動センサ60の検出結果に基づいて、開閉体20の位置を判断する。制御部50により判断された開閉体20の位置情報は、記憶部(図示略)に随時記憶される。また、制御部50は、開閉体20の動作指示等があった場合、開閉体20の現在の位置情報に応じて、開閉体20の駆動速度を制御する。
【0077】
位置情報は、例えば、移動センサ60が出力するパルスのカウント値に対応するものであり、当該カウント値に応じて各位置が予め設定されている。例えば、開閉体20の全閉位置におけるカウント値が0であり、開閉体20の全開位置におけるカウント値が1500である場合、全閉位置から全開位置までの各位置が、カウント値0〜1500の範囲で、全閉位置から開方向に向かうにつれ大きくなるように設定される。
【0078】
制御部50は、パルスの現在のカウント値である現在カウント値に基づいて開閉体20の駆動速度を制御する。例えば、全開位置から全閉位置まで開閉体20を移動させる場合、制御部50は、所定の目標速度になるように開閉体20の駆動速度を制御する。
【0079】
所定の目標速度は、開閉体20に対して予め設定された目標速度であり、例えば、開閉体20の開閉操作時に、開閉体20が移動することで生じる開閉体20での挟み込みや衝突を、開閉体20の位置に応じた回避行動によって回避可能な速度とすることができる。
【0080】
開閉体20が全閉位置付近における、ラッチ機構70がハーフラッチ状態となる位置まで移動すると、制御部50は、例えば、後述するラッチ状態検出部80の検出結果に基づいて、ラッチ機構70がハーフラッチ状態に達したと判定する。そして、制御部50は、ラッチ機構70におけるクロージャモータ75を駆動させる。
【0081】
ここで、開閉体駆動部30は、上述したようにセルフロック機構を有する。ハーフラッチ状態からフルラッチ状態に遷移させる際、クロージャモータ75の駆動力によって開閉体20に対して閉方向に移動させる力が働いたとしても、開閉体駆動部30が有するセルフロック機構による開閉体20を回動させないようにする力とが開閉体20に対して働くために、クロージャモータ75の駆動力がセルフロック機構のロックする力によって打ち消されてしまって、開閉体20の閉方向への移動が阻害される。また、開閉体20の閉方向への移動が阻害される要因の例としては、セルフロック機構の他に開閉体20に備えられるゴム等の反発力、斜面や悪天候等がある。
【0082】
そこで、制御部50は、クロージャモータ75に加えて開閉モータ33の駆動力を用いて、開閉体20を全閉位置に移動させる。このようにすることで、ハーフラッチ状態のラッチ機構70を確実にフルラッチ状態とすることができ、ひいては開閉体20を全閉位置に移動させることができる。
【0083】
ところで、ハーフラッチ状態における開閉体20のハーフラッチ位置は、フルラッチ状態における開閉体20のフルラッチ位置に対して開方向にずれた位置である。そのため、移動センサ60におけるカウント値が、ハーフラッチ位置とフルラッチ位置とで異なるカウント値となる。
【0084】
ここで、本実施の形態では、例えば、開閉体20の全閉位置(フルラッチ位置)におけるカウント値を0とし、開閉体20の全開位置におけるカウント値を1500とし、全閉位置から全開位置までの各位置を、カウント値0〜1500の範囲で、全閉位置から開方向に向かうにつれ大きくなるように設定したとする。そして、ハーフラッチ位置におけるカウント値を20とする。この場合、ハーフラッチ状態からフルラッチ状態まで移動させる際に必要な開閉体20の移動量は、カウント値20個分の移動量となる。
【0085】
しかしながら、例えば開閉体20が開閉動作を繰り返すうちに、移動センサ60がパルスカウントを誤ったり、制御部50のスリープ状態において開閉体20が外力によって移動し、その結果、移動センサ60における現在のカウント値(以下、「現在カウント値」という)と、ラッチ71が所定状態となるときの、予め設定されたカウント値(以下、「途中基準カウント値」という)とが、ずれた値になる可能性がある。現在カウント値と途中基準カウント値とがずれる例としては、外力による開閉体20の微小な動きを移動センサ60が見逃す場合等が挙げられる。
【0086】
制御部50は、ラッチ状態検出部80の検出結果により、ラッチ機構70が所定状態、例えばハーフラッチ状態となったとき、現在カウント値と途中基準カウント値とを比較する。制御部50は、現在カウント値と途中基準カウント値とが異なる場合、現在カウント値を補正する。ここで、所定状態をハーフラッチ状態とすると、ハーフラッチ位置のカウント値は20であるから、途中基準カウント値は20となる。この場合、ハーフラッチ状態での現在カウント値が20でない値、例えば30であれば、本実施の形態では、現在カウント値の補正を行う。
【0087】
現在カウント値の補正方法としては、例えば、現在カウント値を途中基準カウント値のカウント値に置き換える、現在カウント値と途中基準カウント値との差分を現在カウント値に加算するなど、どのような方法を用いても良い。
【0088】
現在カウント値を補正した後、制御部50は、途中基準カウント値に対応するカウント値、つまり補正された現在カウント値から、押し込みカウント値だけ開閉体20が移動したときに、開閉体20が全閉位置に到達したとして開閉体駆動部30の駆動を停止する。なお、途中基準カウント値に対応するカウント値は、必ずしも補正された現在カウント値に等しい値でなくても良く、補正された現在カウント値付近の値、例えば、補正された現在カウント値からカウント値1、2個程度ずれた値としても良い。
【0089】
押し込みカウント値は、ハーフラッチ位置から全閉位置までに必要となる移動量に対応するカウント値である。つまり、押し込みカウント値を途中基準カウント値に加減することで開閉体20は全閉状態となる。
【0090】
具体的には、制御部50は、ハーフラッチ位置の開閉体20を、補正された現在カウント値に対応する駆動速度で移動させ、徐々に駆動速度を下げていき、開閉体20が全閉位置に到達するときに駆動速度が0になるように、開閉体20の駆動速度を制御する。
【0091】
ラッチ機構70がハーフラッチ状態のとき、途中基準カウント値は20となるが、現在カウント値が例えば、30である場合、仮に本実施の形態の現在カウント値補正を行わずそのままのカウント値で開閉体20を移動させたとすると、開閉体20が全閉位置に到達した後も、開閉体20が移動しようとしてしまう。
【0092】
これに対し、本実施の形態では、現在カウント値を30から20に補正し、補正した現在カウント値の分だけ開閉体20を移動させる。このようにすることで、ハーフラッチ状態から開閉体駆動部30による開閉体20の移動量を適切な移動量とすることができる。これにより、例えば、全閉位置に開閉体20が到達した後も、開閉モータ33が回転し続けることを抑制することができる。そのため、開閉モータ33に過電流がかかること等のような開閉モータ33自身に負荷がかかることや、開閉モータ33の回転により回転するスピンドルナット35等が空回りしてしまうこと等の開閉体駆動部30に過度の負荷がかかることを抑制することができる。
【0093】
また、補正された現在カウント値を用いて開閉体20の駆動速度を制御する。本実施の形態では、補正された現在カウント値から把握できる開閉体20の位置に応じて、開閉体20の駆動速度を可変に制御する。例えば、ハーフラッチ位置付近の位置は、開閉体20が全閉位置の直前の位置であるため、開閉体20の速度を所定の速度から停止状態である速度0までに徐々に減速させる制御が行われる。つまり、当該位置付近では、開閉体20の駆動速度が変動する。仮に現在カウント値を補正せずに開閉体20の駆動速度を制御したとすると、例えば想定よりも速い駆動速度で開閉体20が動作する現象が発生する。これに対し、本実施の形態では、ハーフラッチ状態の際に現在カウント値を補正するので、ハーフラッチ位置から開閉体20を移動させる際の駆動速度を適切なものとすることができる。そのため、想定よりも速い駆動速度により開閉体20が動作する現象が発生することを抑制することができる。
【0094】
なお、所定状態をハーフラッチ状態として説明したが、ラッチ機構70の状態に応じて開閉体20の位置を識別可能であれば、ハーフラッチ状態以外の状態を所定状態としても良い。
【0095】
[開閉体駆動装置における開閉体の駆動制御]
図7は、開閉体駆動装置1における開閉体駆動制御の説明に供するフローチャートである。なお、図7における制御は、開閉体20が開状態となっているときに、制御部50が開閉体20を閉状態とする動作指示を受けたときの制御であることを前提としている。
【0096】
図7に示すように、制御部50は、開閉体20を駆動させるよう開閉体駆動部30を制御する(ステップS101)。次に、制御部50は、ラッチ状態検出部80の検出結果に基づいてラッチ機構70がハーフラッチ状態であるか否かについて判定する(ステップS102)。
【0097】
判定の結果、ラッチ機構70がハーフラッチ状態ではない場合(ステップS102、NO)、ステップS102の処理が繰り返される。一方、ラッチ機構70がハーフラッチ状態である場合(ステップS102、YES)、制御部50は、現在カウント値が途中基準カウント値に等しいか否かについて判定する(ステップS103)。
【0098】
判定の結果、現在カウント値が途中基準カウント値に等しい場合(ステップS103、YES)、制御部50は、現在カウント値を用いて開閉体20を駆動する(ステップS104)。なお、ステップS104においては、開閉体20の駆動の他、ラッチ機構70も駆動される。
【0099】
一方、現在カウント値が途中基準カウント値に等しくない場合(ステップS103、NO)、制御部50は、現在カウント値を補正する(ステップS105)。ステップS105の後、処理はステップS104に遷移する。つまり、制御部50は、補正された現在カウント値を用いて開閉体20を駆動する。
【0100】
次に、制御部50は、開閉体20が押し込みカウント値分移動したか否かについて判定する(ステップS106)。判定の結果、開閉体20が押し込みカウント値分移動していない場合(ステップS106、NO)、ステップS106の処理が繰り返される。一方、開閉体20が押し込みカウント値分移動した場合(ステップS106、YES)、制御部50は、開閉体20の駆動を停止する(ステップS107)。その後、本制御は終了する。
【0101】
以上のような本実施の形態によれば、ラッチ機構70が所定状態、例えば、ハーフラッチ状態のときに、移動センサ60からの現在カウント値に応じて当該現在カウント値を補正する。これにより、移動センサ60における現在カウント値を適正化することができるので、所定状態であるハーフラッチ状態から開閉体駆動部30による開閉体20の移動量を適切な移動量とすることができる。そのため、例えば、全閉位置に開閉体20が到達した後も、開閉モータ33が回転し続けることを抑制することができるので、開閉体20の駆動の際に、開閉体駆動部30に過度の負荷がかかることを抑制することができる。
【0102】
また、補正された現在カウント値を用いて開閉体20の駆動速度を制御するので、ハーフラッチ位置から開閉体20を移動させる際の駆動速度を適切なものとすることができる。そのため、想定よりも速い駆動速度により開閉体20が動作する現象が発生することを抑制することができ、ひいては開閉体20の駆動速度制御の精度を向上させることができる。そのため、開閉体20が比較的低速で移動する区域を比較的高速で移動するような駆動を予防することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、ラッチ状態検出部80等の開閉体20の位置を正確に認識可能な信号を用いるので、簡易な構成により、移動センサ60における現在カウント値を適正化することができる。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0105】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る開閉体駆動装置は、開閉体の駆動の際に開閉体駆動部に過度の負荷をかけることを抑制することが可能な開閉体駆動装置として有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 開閉体駆動装置
10 開口部材
11 開口部
12 取付部材
20 開閉体
30 開閉体駆動部
31 本体筒部
32 スライド筒部
32a 凸部
33 開閉モータ
34 スピンドル
35 スピンドルナット
36 付勢部材
37 蓋部
38 コイルベース
39 固定端部
40 スライド端部
41 軸受け
43 ガイド筒部
43a ガイド部
50 制御部
60 移動センサ
70 ラッチ機構
71 ラッチ
71A 基部
71B 第1アーム
71C 第2アーム
71D 凹部
72 ストライカ
73 回動軸
74 ポール
75 クロージャモータ
80 ラッチ状態検出部
341 雄ねじ部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7