特許第6704900号(P6704900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704900
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ポリオキサゾリン抗体薬物複合体
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/59 20170101AFI20200525BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20200525BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20200525BHJP
【FI】
   A61K47/59
   A61K47/68
   A61K47/54
【請求項の数】34
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2017-505548(P2017-505548)
(86)(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公表番号】特表2017-529322(P2017-529322A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】US2015043297
(87)【国際公開番号】WO2016019340
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年7月19日
(31)【優先権主張番号】62/031,382
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509241915
【氏名又は名称】セリナ・セラピユーテイツクス・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モレディス,ランドル
(72)【発明者】
【氏名】ベントレー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジーハオ
(72)【発明者】
【氏名】ビエガス,タシー
【審査官】 伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/020005(WO,A1)
【文献】 特表2011−510120(JP,A)
【文献】 ESKOW JAUNARAJS, K.L. et al.,Mov Disord,2013年,Vol.28, No.12,p.1675-82
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00
A61K 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキサゾリンポリマー、前記ポリオキサゾリンポリマーに連結する認識部分、任意選択による精製部分、及び加水分解性部分を含む遊離可能なリンカーを介して前記ポリオキサゾリンポリマーに連結する複数の薬剤を含む、ポリマー複合体であって、前記ポリマー複合体は、下記の一般式
−{[N(COX)CHCH−[N(COR)CH−CH)]−[N(COY)CH−CH)]−R20
を有し、式中、
は、開始基であり、
は、非置換アルキル基、置換アルキル基、非置換アルケニル基、置換アルケニル基、非置換アラルキル基、置換アラルキル基、非置換ヘテロシクリルアルキル基、置換ヘテロシクリルアルキル基から、各繰り返し単位について独立に選択され
各繰り返し単位のXは、第1のペンダント部分であり、少なくとも1個の第1のペンダント部分が、薬剤又は精製部分を含み、前記ポリマー骨格に前記薬剤又は前記精製部分を連結し、
各繰り返し単位のYは、第2のペンダント部分であり、前記第2のペンダント部分の各々が、任意選択的に前記薬剤又は前記精製部分を含み、前記ポリマー骨格に前記薬剤又は前記精製部分を連結し、
但し、前記薬剤を含む前記第1のペンダント部分及び前記第2のペンダント部分の各々は、以下の構造:
【化1】
を有し、前記精製部分を含む前記第1のペンダント部分及び前記第2のペンダント部分の各々は、以下の構造:
【化2】
は、−R−又は−C(O)−R−であり、式中、Rは、存在しないか、又は長さが1〜10個の炭素の置換若しくは非置換アルキルであり、
前記第1のペンダント部分又は前記第2のペンダント部分が精製部分を含むとき、Rは、−R−R−R−であり、加水分解性部分を欠いており、式中、
は、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アラルキル、又はポリマーであり、
は、連結基であり、
は、存在しない;
前記第1のペンダント部分又は前記第2のペンダント部分が薬剤を含むとき、Rは、−R−R−R−であり、少なくとも1つの加水分解性部分を含み、
は、U1−(pol)−U2−([NR16−C(R13)(R14)−C(O)])−NR17−Ar−(CHであり、任意選択的に、加水分解性部分を含み、
は、連結基であり、任意選択的に、加水分解性基又は加水分解性部分の一部分を含み、
は、存在しないが、但し、R又はRの少なくとも1つは、加水分解性部分を含み、
U1は、任意の連結基を表し、
polは、ポリマー部分を表し、
U2は、任意の連結基を表し、
17、R16、及びR13は各々独立して、Hまたは置換若しくは非置換C1−C5アルキルであり、
14は、天然型アミノ酸または非天然型アミノ酸上の側鎖基であり、
Arは、アリール基を表し、
bは、1〜15の整数であり、
cは、1〜10の整数であり、
sは、0〜4の整数であり、
20は、前記認識部分を含み、前記ポリマー骨格に前記認識部分を連結する、認識薬剤連結部分であり、
aは、ランダムコポリマーを示すran、又はブロックコポリマーを示すblockであり、
nは、0〜1000の整数であり、
o及びmは各々、0〜50から独立して選択される整数であるが、
但し、o及びmの両方が、各々0であることはなく、薬物対抗体の比率は、2以上であり、
前記精製部分は、ビオチンであり、前記認識部分は、抗体又は抗体断片である、
ポリマー複合体。
【請求項2】
前記認識部分は、抗体である、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項3】
前記抗体は、前記ポリオキサゾリンポリマーへの前記抗体の部位特異的複合化のための結合残基を含む、請求項2に記載のポリマー複合体。
【請求項4】
前記結合残基は、非天然のものである、請求項3に記載のポリマー複合体。
【請求項5】
前記結合残基は、セレノシステイン残基又はシステイン残基である、請求項3に記載のポリマー複合体。
【請求項6】
前記認識部分及び前記ポリオキサゾリンポリマーは、1:1の比率で存在する、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項7】
前記抗体は、一本鎖のIgG、IgM、IgA、IgE、又はIgD抗体である、請求項2に記載のポリマー複合体。
【請求項8】
前記薬剤は、細胞毒性剤である、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項9】
n、o、及びmの合計は、少なくとも30であり、500以下である、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項10】
少なくとも1個の第1のペンダント部分又は第2のペンダント部分は、薬剤又は精製部分に連結しない、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項11】
前記加水分解性部分は、カルボン酸エステル、炭酸エステル、カルバメート、二硫化物、硫化物、及びアミドからなる群から選択される、請求項に記載のポリマー複合体。
【請求項12】
前記薬剤を含む前記第1のペンダント部分及び第2のペンダント部分の各々における前記加水分解可能なリンカーは、前記加水分解性部分を含む生体安定加水分解性リンカーである、請求項に記載のポリマー複合体。
【請求項13】
【化3】
は、
【化4】
である、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項14】
は、−O−C(O)−である、請求項に記載のポリマー複合体。
【請求項15】
U1は、置換若しくは非置換C1−C10アルキルであるか、又は存在せず、U2は、−(CH−C(O)−、−C(O)−、若しくは−NH−によって表されるか、又は存在せず、polは、ポリエチレングリコールポリマーであり、Arは、ベンゼンであり、tは、1〜10の整数である、請求項14に記載のポリマー複合体。
【請求項16】
は、−R−O−C(O)−R−、−R−O−C(O)−O−R−、−R−O−C(O)−NH−R−、−R−S−S−R−、又はR−C(O)−NH−R−であり、R及びRは各々独立して、存在しないか、又は置換若しくは非置換アルキルである、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項17】
は、−(CH−又はC(O)−(CHであり、Rは、
【化5】
である、請求項に記載のポリマー複合体。
【請求項18】
は、−(CH−又はC(O)−(CHであり、Rは、
【化6】
である、請求項に記載のポリマー複合体。
【請求項19】
【化7】
は、
【化8】
である、請求項に記載のポリマー複合体。
【請求項20】
は、−(CH−又はC(O)−(CHであり、Rは、
【化9】
である、請求項に記載のポリマー複合体。
【請求項21】
20は、R21−Z−R22であり、
式中、
21は、−S−、−O−、又は−N−からなる群から選択され、
Zは、連結基であり、
22は、前記認識部分を含む部分である、
請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項22】
Zは、−(CH−であり、rは、1〜10の整数である、請求項21に記載のポリマー複合体。
【請求項23】
20は、−R21−(CHr1−R23−R24−(CHr2−R22であり、
式中、
21は、−S−、−O−、又は−N−からなる群から選択され、
22は、前記認識部分を含む部分であり、
23は、−C(O)−、又は−N−R25−であり、
24は、−O−、又は−N−R26−であり、
25及びR26は各々独立して、H又は置換若しくは非置換アルキル基であり、
r1及びr2は各々独立して、0〜10の整数である、
請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項24】
22は、−NH−C(O)−CH−S−Ab、−NH−C(O)−CH−Se−Ab、
【化10】
であり、Abは、抗体を表す、請求項23に記載のポリマー複合体。
【請求項25】
20は、−R21−(CHr1−R23−R24−(CHr2−R27−R28−(CHr3−R22であり、
式中、
21は、−S−、−O−、又は−N−からなる群から選択され、
22は、前記認識部分を含む部分であり、
23は、−C(O)−、又は−N−R25−であり、
24は、−O−、又は−N−R26−であり、
27は、存在しないか、又はN−R29若しくはC(O)−であり、
28は、存在しないか、又は−C(O)−若しくはN−R30であり、
25、R26、29、及びR30は各々独立して、H又は置換若しくは非置換アルキル基であり、
r1、r2、及びr3は各々独立して、0〜10の整数である、
請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項26】
22は、−S−Ab、−Se−Ab、
【化11】
からなる群から選択され、Abは、抗体を表す、請求項25に記載のポリマー複合体。
【請求項27】
m=0である、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項28】
以下の構造
【化12】
を有し、式中、
qは、1〜10の整数であり、
b及びdは各々独立して、1〜30の整数であり、
o1は、1〜5の整数であり、
o2は、1〜45の整数であり、
Agentは、前記薬剤を表し、
PMは、前記精製部分を表す、
請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項29】
oは、1〜20の整数であり、mは、0であるか、又は1〜50の整数であり、nは、20〜500の整数である、請求項1に記載のポリマー複合体。
【請求項30】
以下の構造のポリマー複合体であって、
【化13】
式中、
o1、o2、及びmの合計は、50以下であり、
o1は、1〜5の整数であり、
o2は、1〜45の整数であり、
Agentは、薬剤を表し、
Abは、抗体を表し、
BRは、前記抗体上の結合残基を表し、
PMは精製部分を表す、
ポリマー複合体
【請求項31】
前記抗体は、一本鎖のIgG、IgM、IgA、IgE、又はIgD抗体である、請求項30に記載のポリマー複合体
【請求項32】
o1は、2以下であり、o2は、10以下であり、mは、10以下であり、nは、500以下である、請求項30に記載のポリマー複合体
【請求項33】
前記薬剤は、細胞毒性剤である、請求項32に記載のポリマー複合体
【請求項34】
複合体が、520の薬物対抗体の比率を有する、請求項1、28又は30のいずれか一項に記載のポリマー複合体
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
小分子医薬品は、限定されないが、癌を含む様々な疾患の治療において標準である。そのような小分子医薬品は、通常、液体、丸薬、カプセル等の形態で経口投与されるか、または注射液もしくは静脈内製剤の形態で非経口投与される。非常に多くの病態の治療において有効である一方で、多くの困難が残っている。これらには、薬物送達の速度を制御することと、化合物の送達を所望の作用部位に向けることと、循環血液中の化合物の半減期を最大化することと、が含まれるが、これらに限定されない。例えば、多くの化合物が作用部位に到達する前の新陳代謝に起因して、減少した有効性及び治療効果を呈する。さらに、多くの化合物が、水性溶媒に比較的不溶性であり、投与のために複雑な製剤の使用を必要とする。いくつかの事例において、これは、たとえこれらの化合物が前臨床試験において有効であったとしても、臨床でこれらの有用性を制限し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
薬物送達の分野における1つの目標は、所望の作用部位に化合物を優先的に送達することである。さらに、付加的な目標は、化合物が作用部位に達したら、少なくとも部分的に化合物の送達を制御することである。さらに、付加的な目標は、生体内に送達されたとき、化合物を安定化させ、生体内で化合物の半減期を延ばし、化合物、特に、水性溶媒に不溶性である化合物の可溶性において補助をする送達システムを用いて、前述の目標のうちの1つ以上を達成することである。
【0003】
当分野における不十分な点に対処するために、抗体薬物複合体(ADC)が研究されている。多くの研究及び開発が、ADCが、動物モデル及びヒトにおける癌細胞を標的とした破壊の提供に有効であることを示している(P.D.Senter and E.L.Sievers,Nature Biotechnology,30,631−637(2012)、C&EN,Antibody Drug Conjugates,June 18,2012,pages 12−18、J.D.Thomas,et al.,Bioconjugate Chem.,23,2007−2013(2012)、及びこれら内の参考文献)。この概念は長年論じられているが、この概念の実現には、実現させるために数十年かかった。最初の「武装抗体」は、2011年まで承認されなかった(P.D.Senter and E.L.Sievers,Nature Biotechnology,30,631−637(2012))。その最も一般的な形態において薬物または(本明細書で「作用剤」と称される)他の化合物の1〜4個の分子は、腫瘤内、または腫瘍細胞内へ作用剤を放出するように設計されたリンカー化学を使用して抗体にカップリングされる。この手法の1つの制約は、特により効能が低い毒素が使用されるときか、または腫瘍細胞表面上に存在する低減された抗原密度が存在するとき、不適当な毒素が抗体に結合して、特定の腫瘍を殺し得ることである。また、抗体上への毒素結合点の数の増加は、抗体結合能力を損ない得、癌細胞を殺すその能力を減少させ得る。さらに、この手法は、可溶化するのが困難な化合物では、問題があり得る。最後に、いくつかの毒素は、抗体に結合したとき、非常に疎水性であるため、毒素が抗体の結合領域から独立した標的組織外によって取り込まれ、したがって、これらの有効治療能力を限定する。
【0004】
別の手法は、酸化デキストランから誘導されたポリアセタール等の生分解性ポリマーを使用することである(Yurokovetskiyら、米国特許第8,685,383号)。そのような手法において、ポリマーADCは、ポリマー骨格に連結する作用剤の複数の複製を含み得、ポリマー自体は抗体に連結する。1超の薬物対抗体の比率(DAR)は、非標的ポリマー薬物複合体単独と比較したとき、改善された細胞毒性の結果を可能にする。上記ポリアセタール等の生分解性ポリマーは、分解の利点を有し、したがって、体内への蓄積を回避する。しかしながら、これらは、調製の間、または注入後体内でのいずれかで、所望されるよりも早い分解の欠点も有する。この手法は、循環の間の細胞毒性剤の時期尚早な放出をもたらし得、したがって、細胞毒性剤が標的細胞上の抗原に達する前に、その有効性を制限する。次に、上記のポリアセタールを含む多くのそのようなポリマーは、生体に由来し、これは、危険な不純物の除去に関する製造の困難をもたらし得、これは、対象に投与されたとき、有害反応の危険性を増加させ得る。
【0005】
付加的な手法は、抗体を(ポリマーADCと称される)生体適合性ポリマーに結合させることである。単純な手法は、ポリエチレングリコール(PEG)等の線状ポリマーを抗体と薬物との間に結合させることである。これは、Riggs−Sauthierらによって実施され(米国第2014/0088021号)、ここでは、2kDaまたは20kDaのいずれかの1つの線状ヘテロ二官能性PEGが、まず、マレイミド化学によってHER2抗体上の1個のチオールに結合される。次いで、PEG抗体複合体は、エステル連結によって1個の細胞毒性小分子にカップリングされる。この手法は、エステル連結が生体内で安定せず、それが標的細胞上の抗原に達する前に、加水分解して、血中に細胞毒性剤を放出するため重大な欠点を有し得る。この研究における生体内での有効性研究は、2kDaまたは20kDaポリマーのいずれかが使用されたとき、ポリマーADCの能動的標的指向性を示すことができなかった。示された有効性は、恐らく、PEG部分に起因する細胞毒性剤の薬物動態の半減期延長に起因した。さらに、PEGポリマーADCは、薬物単独と比較したとき、細胞毒性アッセイにおいて生物活性を失った。このシナリオにおける薬物対抗体の比率(DAR)は、1つだけであり、非ポリマーADC手法を超える利点を提供しない。線状PEGポリマー上での薬物または抗体のいずれかの複数の複製の武装は、この手法では達成することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述のことを考慮して、本分野は、ADC、具体的には、上述の制約に対処するポリマーADCを必要としている。本出願は、合成品製造のものであるポリマーADCを提供することによってこれらの問題に対する解決策を提供し、標的抗体上への作用剤の増加した積載(より高いDAR値)を提供し、生体内で複合体のより長い半減期を提供し、標的作用剤(すなわち、抗体)の結合活性を実質的に阻害しない。さらに、本開示のポリマーADC複合体は、容易に構築され、これらは、送達される化合物の改善された可溶性を提供することができる。最後に、本開示のポリマーADC複合体は、ポリマーADC複合体が標的細胞上の抗原に到達し、吸収されるまで薬物を放出せず、ここで、作用剤は、ポリマーからの開裂の後に放出される。本出願において、HBL−2、MEC−1、及びラモス細胞株(ヒトB細胞リンパ腫誘導細胞株)が例として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】HBL−2及びMEC−1細胞を用いたR11 POZビオチンのフローサイトメトリープロットを示す。
図1B】HBL−2及びMEC−1細胞を用いたR11 POZビオチンのフローサイトメトリープロットを示す。
図2】精製前、精製の間、及び精製後の、CD79bのPOZ MMAE複合体のSDS−PAGEを示す。
図3】ELISAアッセイによる、ROR1抗原への生来の抗体及びポリオキサゾリン複合化R11抗体の結合を示す。
図4】ラモス細胞の生存率への、MMAE及びデアセチルコルヒチン(DC)のCD79b POZ薬物複合体の濃度の影響を示す。
図5】MEC−1細胞の生存率における、MMAE及びデアセチルコルヒチン(DC)のCD79b POZ薬物複合体の濃度の影響を示す。
図6】HBL−2及びMEC−1細胞の生存率への、MMAEのR11POZ 薬物複合体の濃度の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の要約
本開示において、ポリマー複合体、及びヒト疾患を治療するためのそのようなポリマーの使用を説明する。一実施形態において、ポリマー複合体は、ポリマーADCのである。一実施形態において、ポリマー複合体は、生体安定である。別の実施形態において、全てまたはある特定のリンカーは、生体安定である。ポリマーADCは、多くのポリマー結合作用剤を含有するように設計される(高DAR)。これらのポリマーADCは、(限定されないが、抗体等の)認識部分とポリマーとの間の単一の結合点または複数の結合点も有してもよく、結合点(単数または複数)は、認識部分の結合部位とは遠く離れていてもよい。ある特定の実施形態において、単一の認識部分は、本明細書に記載される2つ以上のポリマーADCを結合させ得る。記載されるポリマーADCは、従来のADCと比較して改善された薬物動態及び可溶性を有する。さらに、これらのポリマーADCは、調製の間、または送達の間に分解されない利点を有する。さらに、ポリマーADCのポリマー部分は、合成物質であり、生物学的不純物を含まない。作用剤とポリマーとの間のリンカーは、腫瘍細胞等の作用部位の所望の部位でかつ所望の条件下で、毒素の放出を提供するように適合され得る。本発明のポリマーADCの付加的特徴は、限定されないが、ビオチン等の精製部分がポリマー骨格上に結合して、複雑な複合体の容易な精製を提供できることである。
【0009】
定義
本明細書において使用する場合、用語「作用剤」は、治療または診断用途を有する任意の分子を指し、作用剤は、ポリマー上の官能基、またはポリマーと結合した連結基と連結を形成し得、作用剤には、(限定されないが、薬物等の)治療剤、診断剤、または有機小分子が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、作用剤は、癌の治療に有用である。
【0010】
本明細書において使用する場合、用語「連結する」、「連結した」、「連結」、または「リンカー」は、本明細書に記載されるポリマーもしくは作用剤、またはこれらの構成成分に関して使用されるとき、通常化学反応の結果として形成される基または結合を指す。ある特定の実施形態において、特定の連結は、共有結合的連結である。ある特定の実施形態において、特定の連結は、加水分解性である。
【0011】
本明細書において使用する場合、用語「加水分解性リンカー」または「遊離可能な加水分解性リンカー」は、加水分解性リンカーを含む本開示の複合体が対象に投与された後、対象内の特定の生理的条件下で、対象の生体内で開裂可能な化学連結を指す。さらなる実施形態において、加水分解性リンカーは、生体安定でもよい。加水分解性リンカーは、本明細書で論じられるように加水分解性部分を含んでもよく、ある特定の状況で、加水分解性リンカーは、2つ以上の加水分解性リンカーを含んでもよい。一実施形態において、加水分解性リンカーは、限定されないが、腫瘍細胞等の作用部位への送達の際に開裂可能である。一実施形態において、加水分解性リンカーは、限定されないが、腫瘍細胞等の細胞によって(例えば、エンドサイトーシスによって)吸収されるときにのみ開裂可能である。一実施形態において、加水分解性リンカーは、リソソームまたはエンドソーム内で開裂可能である。一実施形態において、加水分解性リンカーは、化学反応によって開裂される。この実施形態の態様において、開裂は、限定されないが、二硫化物等の容易に還元される基の還元、または自壊性反応による。一実施形態において、加水分解性リンカーは、対象内に自然に存在するか、または存在するように誘発される物質によって開裂される。この実施形態の態様において、そのような物質は、酵素またはポリペプチドである。したがって、一実施形態において、加水分解性リンカーは、酵素反応によって開裂される。一実施形態において、加水分解性リンカーは、前述のものの組み合わせによって開裂される。一実施形態において、加水分解性リンカー内に含まれる加水分解性部分は、同じ条件下、及び同じ機構によって開裂される。
【0012】
本明細書において使用する場合、用語「生体安定」は、ヒト対象を含む対象に投与されたとき、ポリマーまたはポリマー複合体が(限定されないが、腫瘍細胞等の)作用部位に到達するまで、開裂に耐性があるポリマーまたはポリマー複合体(限定されないが、これら内に含まれる加水分解性リンカー等の任意のリンカーもしくは連結を含む)を指す。「開裂に耐性があるに耐性がある」は、少なくとも80%、90%、95%、98%、または99%以上のポリマーまたはポリマー複合体が、ポリマーが作用部位に到達するまで開裂されないことを意味する。一実施形態において、生体安定ポリマーまたはポリマー複合体は、80%超、90%、95%、98%、99%以上のポリマーまたはポリマー複合体が血流中で開裂されないような、対象の血流中での開裂への耐性を示す。用語、生体安定」は、ヒト対象を含む対象に投与されたとき、連結のリンカーが(限定されないが、腫瘍細胞等の)作用部位に配置されるまで、リンカーまたは連結が開裂に耐性があるような、限定されないが、加水分解性リンカー等のリンカーまたは連結も指す。したがって、一実施形態において、生体安定リンカーまたは連結は、80%超、90%、95%、98%、99%以上のリンカーまたは連結が血流中で開裂しないような、対象の血流中での開裂への耐性を示す。
【0013】
本明細書において使用する場合、用語「アルキル」は、単独で、または置換基の一部として使用されるかに関わらず、1〜20個の炭素原子を含む直鎖炭化水素基を含む。したがって、この語句は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖アルキル基を含む。この語句は、例として提供される、−CH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH、−C(CH、−C(CHCH、−CHCH(CH2,−CHCH(CH)(CHCH)、−CHCH(CHCH、−CHC(CH、−CHC(CHCH、−CH(CH)CH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CH、−CHCHCH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CHCH、−CHCHC(CH、−CHCHC(CHCH、−CH(CH)CHCH(CH、−CH(CH)CH(CH)CH(CH)CH(CH、−CH(CHCH)CH(CH)CH(CH)(CHCH)、及び他のものを含むがこれらに限定されない、直鎖アルキル基の分岐鎖異性体も含む。この語句は、上で定義されるように、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル等の環状アルキル基、ならびに分岐鎖及び分岐鎖アルキル基で置換されたそのような環も含む。この語句は、上で定義されるように、限定されないが、アダマンチルノルボルニル、及びビシクロ[2.2.2]オクチル等の多環式アルキル基、ならびに直鎖及び分岐鎖アルキル基で置換されたそのような環も含む。
【0014】
本明細書において使用する場合、用語「アルケニル」は、単独で、または置換基の一部として使用されるかに関わらず、任意の2個の隣接した炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を有するアルキル基を含む。
【0015】
本明細書において使用する場合、用語「アルキニル」は、単独で、または置換基の一部として使用されるかに関わらず、任意の2個の隣接した炭素原子間に少なくとも1つの三重結合を有するアルキル基を含む。
【0016】
本明細書において使用する場合、用語「非置換アルキル」、「非置換アルケニル」、及び「非置換アルキニル」は、ヘテロ原子を含まないアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基を指す。
【0017】
本明細書において使用する場合、用語「置換アルキル」、「置換アルケニル」、及び「非置換アルキニル」は、上に定義されるように、炭素(複数可)または水素(複数可)との1つ以上の結合が、限定されないが、アルコキシ基ならびにアリールオキシ基等の基の中の酸素原子、アルキル及びアリール硫化物基、スルホン基、スルホニル基、ならびにスルホキシド基等の基の中の硫黄原子、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、ならびにトリアリールシリル基中等の基の中のケイ素原子、ならびに様々な他の基内の他のヘテロ原子等の、非水素または非炭素原子との結合によって置き換えられた、アルキルアルケニル及びアルキニル基を指す。
【0018】
本明細書において使用する場合、用語「非置換アラルキル」は、上に定義されるように、非置換または置換アルキルまたはアルケニル基の水素または炭素結合が、上に定義されるように、置換または非置換アリール基との結合に置き換えられた非置換アルキルまたはアルケニル基を指す。例えば、メチル(CH)は、非置換アルキル基である。メチル基の水素原子がフェニル基との結合に置き換えられたば場合、例えば、メチルの炭素が、ベンゼンの炭素と結合した場合には、その化合物は、非置換アラルキル基(すなわち、ベンジル基)である。
【0019】
本明細書において使用する場合、用語「置換アラルキル」は、置換アリール基が非置換アリール基に関して有したものと同じ意味を、非置換アラルキル基に関して有する。しかしながら、置換アラルキル基は、その基のアルキルの部分の炭素または水素結合が、非炭素または非水素原子との結合によって置き換えられた基も含む。
【0020】
本明細書において使用する場合、用語「非置換アリール」は、ヘテロ原子を含まない、限定されないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ビフェニル、及びジフェニル基等の、環部分の中に6〜12個の炭素原子を有する単環式または二環式芳香族炭化水素基を指す。語句「非置換アリール」はナフタレン等の縮合環を含む基を含むが、トリル等のアリール基は以下に記載されるように、置換アリール基であるとみなされるため、「非置換アリール」は、環員のうちの1つと結合したアルキルまたはハロ基等の他の基を有するアリール基を含まない。しかしながら、非置換アリール基は、親化合物中の1個以上の炭素原子(複数可)、酸素原子(複数可)、窒素原子(複数可)、及び/または硫黄原子(複数可)と結合し得る。
【0021】
本明細書において使用する場合、用語「置換アリール基」は、置換アルキル基が非置換アルキル基に関して有したものと同じ意味を、非置換アリール基に関して有する。しかしながら、置換アリール基は、芳香族炭素のうちの1つが、限定されないが、置換アルキルに関して上に記載される原子等の、非炭素または非水素原子のうちの1つと結合しているアリール基も含み、かつ、アリール基の1個以上の芳香族炭素が本明細書で定義される置換及び/または非置換アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基と結合しているアリール基も含む。これは、アリール基の2個の炭素原子が、アルキルまたはアルケニルの2つの原子と結合し、縮合環系(例えば、ジヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチル)を画定するために分類する結合配列を含む。したがって、語句「置換アリール」は、数ある中でも、トリル、及びヒドロキシフェニルを含むが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書において使用する場合、用語「非置換ヘテロシクリル」は、3つ以上の環員であって、これらのうちの1つ以上が、限定されないが、N、O、及びS等のヘテロ原子である、3つ以上の環員を含む単環式、二環式、及び多環式環状化合物を含む、芳香族及び非芳香族環状化合物の両方を指す。語句「非置換ヘテロシクリル」は、ベンズイミダゾリル等の縮合複素環を含むが、2−メチルベンズイミダゾリル等の化合物は、以下に定義されるように「置換ヘテロシクリル」基であるため、「非置換ヘテロシクリル」は、環員のうちの1つと結合したアルキルまたはハロ基等の他の基を有するヘテロシクリル基を含まない。ヘテロシクリル基の例には、1〜4個の窒素原子を含む不飽和3〜8員環、1〜4個の窒素原子を含む縮合不飽和複素環式基、1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜8員環、1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子そのようなを含む飽和3〜8員環、1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環式基、1〜3個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜8員環、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜8員環、1〜2個の硫黄原子を含む飽和及び不飽和3〜8員環、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環、酸素原子を含む不飽和3〜8員環、1〜2個の酸素原子を含む不飽和縮合複素環、1個の酸素原子及び1〜2個の硫黄原子を含む不飽和3〜8員環、1〜2個の酸素原子及び1〜2個の硫黄原子を含む飽和3〜8員環、1〜2個の硫黄原子を含む不飽和縮合環、ならびに1個の酸素原子及び1〜2個の酸素原子を含む不飽和縮合複素環が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基は、環中の1個以上のS原子が1個または2個の酸素原子(スルホキシド及びスルホン)と二重結合している上述のものも含む。
【0023】
本明細書において使用する場合、用語「置換ヘテロシクリル」は、置換アルキル基が非置換アルキル基に関して有したものと同じ意味を、非置換ヘテロシクリル基に関して有する。しかしながら、置換ヘテロシクリル基は、炭素のうちの1つが、限定されないが、置換アルキル及び置換アリール基に関して上述される原子等の非炭素または非水素原子のうちの1個と結合しているヘテロシクリル基も含み、かつ、ヘテロシクリル基の1個以上の炭素が、本明細書に定義されるように、置換及び/もしくは非置換アルキル、アルケニル、またはアリール基と結合しているヘテロシクリル基も含む。これは、縮合環系を画定するための、ヘテロシクリル基の2個の炭素原子がアルキル、アルケニル、またはアルキニル基の2個の原子と結合している結合配列を含む。例には、数ある中でも、2−メチルベンズイミダゾリル、5−メチルベンズイミダゾリル、5−クロロベンズチアゾリル、1−メチルピペラジニル、及び2−クロロピリジルが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において使用する場合、用語「非置換ヘテロシルアルキル(unsubstituted heterocylalkyl)」は、上に定義されるように、非置換アルキルまたはアルケニル基の水素または炭素結合が、上に定義されるように、置換または非置換ヘテロシクリル基との結合に置き換えられた非置換アルキルまたはアルケニル基を指す。例えば、メチル(CH)は、非置換アルキル基である。メチル基の水素原子がヘテロシクリル基との結合に置き換えられた場合、例えば、メチルの炭素がピリジンの炭素2(ピリジンのNと結合している炭素のうちの1つ)、またはピリジンの炭素3もしくは4と結合した場合には、化合物は、非置換ヘテロシクリルアルキル基である。
【0025】
本明細書において使用する場合、用語「置換ヘテロシルアルキル」は、置換アリール基が非置換アリール基に関して有したものと同じ意味を、非置換ヘテロシクリルアルキル基に関して有する。しかしながら、置換ヘテロシクリルアルキル基は、非水素原子が限定されないが、ピペリジニルアルキル基のピペリジン環中の窒素原子等のヘテロシクリルアルキル基のヘテロシクリル基中のヘテロ原子に結合している基も含む。
【0026】
簡単にするために、化学的部分は、全体にわたって、当業者に明らかな適切な構造的状況下で、1価の化学的部分(例えば、アルキル、アリール等)または多価の部分であり得ると定義及び称される。例えば、「アルキル」部分は、1価のラジカル(例えば、CH−CH−)と称され得るか、または他の事例において、2価の連結部分は、「アルキル」であり得、この場合、当業者は、アルキルが2価のラジカル(例えば、−CH−CH−)であり、これは、用語「アルキレン」と同等であることを理解するであろう。同様に、2価の部分が必要であり、かつ「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリ(heteroary)」、「複素環式」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」、または「シクロアルキル」と述べられる状況において、当業者は、これらの用語が対応する2価の部分を指すことを理解するであろう。
【0027】
本明細書において使用する場合、用語「治療」、「治療する」、及び「治療すること」は、疾患もしくは病態の症状、態様、もしくは特性を取り除くか、または低減するために、そのような疾患もしくは病態の症状、態様、もしくは特性の発症後、開始される(複合体または薬学的組成物の投与等の)一連の行動を指す。そのような治療は、有用であることが絶対的である必要はない。
【0028】
本明細書において使用する場合、用語「治療を必要とする」は、患者が必要とするか、または治療から恩恵を受ける、介護人によって下された判断を指す。この判断は、介護人の専門知識の分野おける様々な要因に基づいて下されるが、これは、本開示の方法または化合物によって治療可能な疾患または病態の結果として、患者が病気であるか、または病気になるという知識を含む。
【0029】
本明細書において使用する場合、用語「予防を必要とする」は、患者が必要とするか、または予防から恩恵を受ける、介護人によって下された判断を指す。この判断は、介護人の専門知識の分野おける様々な要因に基づいて下されるが、これは、本開示の方法または化合物によって予防可能な疾患または病態の結果として、患者が病気になるか、または病気になり得る知識を含む。
【0030】
本明細書において使用する場合、用語「個人」、「対象」、または「患者」は、ネズミ、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類等の哺乳動物、及びヒトを含む、あらゆる動物を指す。この用語は、オスもしくはメスまたは両方を指定し得るか、あるいはオスもしくはメスを考慮しない場合がある。
【0031】
本明細書において使用する場合、用語「治療有効量」は、疾患または病態の任意の症状、態様、または特性への任意の検出可能な好影響を有し得る、単独または薬学的組成物の一部としてのいずれかでの複合体の量を指す。そのような効果は、有益であることが絶対的である必要はない。
【0032】
ポリオキサゾリンポリマー
ポリオキサゾリン(POZ)は、2−置換−2−オキサゾリンモノマーから調製されたポリマーである。これらのポリマーは、水溶性であり、哺乳類のモデル系において非毒性であると報告されている。POZは一般に、適切な化学量論量の2−アルキル−2−オキサゾリンを、メチルトリフレート(CH−OSO−CF)等の求電子性開始剤、またはトリフリン酸もしくはp−トルエンスルホン酸等の強酸と反応させ、続いて、限定されないが、水酸化物、チオール、またはアミン等の求核試薬で停止させることによって調製される。生成されたポリマーは、開始基が左端の基によって示され、末端基が右端の基によって示され、2−アルキル−2−オキサゾリン構成成分が真ん中にある、省略表現で便利に記載される。したがって、この省略表現説明が本明細書で使用されるとき、指定されない限り、記号表示の左側が「開始剤端」を示し、記号表示の右側が「末端」を示すことが意図される。
【0033】
例えば、2−アルキル−2−オキサゾリンが2−メチル−2−オキサゾリンであるとき、メチルトリフレートが開始剤として使用され、水酸化物が停止剤として使用され、以下のPOZが生成される。
CH−[N(COCH)CHCH−OH
上記のポリマーは、省略表現表記法でM−PMOZ−OHと便利に記載され、この中で、メチル開始剤は左端のMによって示され、PMOZはポリメチルオキサゾリンを表し、繰り返し単位のメチルはPMOZのMによって示され、末端ヒドロキシルは−OHによって示される。
【0034】
別の一般的に使用されるモノマーは、2−エチル−2−オキサゾリンであり、これは、メチルトリフレートでの開始及び水酸化物での停止で、以下のPOZポリマーを提供する。
CH−[N(COCHCH)CHCH−OH
上記のポリマーは、省略表現表記法でM−PEOZ−OHと便利に記載され、この中で、メチル開始剤は左端のMによって示され、PEOZはポリメチルオキサゾリンを表し、繰り返し単位のエチルはPEOZのEによって示され、末端ヒドロキシルは−OHによって示される。
【0035】
よく特徴づけられたポリマーの重合度、nは、おおよそ3〜1000超の範囲にわたり得る。
【0036】
重合プロセスは、求電子剤を用いた開始がオキサゾリニウムカチオンを生成し、次いでこれが連鎖反応で追加のモノマー単位と反応して、成長する「生きた」カチオンを生成するため、生きたカチオン重合と称される。
【化1】
【0037】
当業者は、現実には、環状形態が確実に最も重要であるが、生きたカチオンが(メチルトリフレートで開始された2−メチル−2−オキサゾリンの重合の場合)以下の非環状形態で表され得ると仮定することにより、停止の生成物を予測することができる。
CH−[N(COCH)CHCH−N(COCH)CHCH
本考察において、我々は、このカチオンをM−PMOZと表す。上で述べたように、このPOZカチオンは、水酸化物、チオール、またはアミン等の求核試薬と反応させることにより、「停止」され得る。
【0038】
オキサゾリン重合は、機能的求電子剤を用いても開始することができる。例えば、求電子性開始剤のエチル3−ブロモプロピオネートが、2−エチル−2−オキサゾリン重合を開始するために使用されている。水酸化物を用いた停止は、以下のポリマーを提供する。
HOC−CHCH−[N(COCHCH)CHCH−OH
官能基を有するポリオキサゾリンを調製するためのさらに別の手段は、2位に官能基を有するオキサゾリンモノマーで、2−エチル−2−オキサゾリン等のモノマーを共重合することである(F.C.Gaertner,R.Luxenhofer,B.Blechert,R.Jordan and M.Essler,J.Controlled Release,2007,119,291−300)。例えば、Jordan及びその同僚は、アセチレンを用いてオキサゾリンを調製し、2位のアルデヒド、カルボン酸、及びアミンを保護した。これらの官能性モノマーの2−エチル−2−オキサゾリンとの共重合で、複数のペンダントまたは側鎖官能基を有するランダムコポリマーが得られる。例えば、2−エチル−2−オキサゾリンと2−ペンチニル−2−オキサゾリンとの重合のメチルトリフレートを用いた開始、続いてピペラジン(NHCNH)を用いた停止で、以下のランダムコポリマーが得られる。
CH−{[N(COCHCH)CHCH−[N(COCHCHCH−CCH)CHCHran−NCNH
下付き文字「ran」は、ポリマーがランダムコポリマーであることを示す。nの値が、典型的におおよそ20〜30である一方で、mは、おおよそ2〜5である。
【0039】
ペンダント官能基及び末端官能基を有するこれらのコポリマーは、ペンダント及び末端官能基が「化学的直交性」官能基であり得るという点で有用である。化学的直交性官能基は、互いに反応しないが、他の官能基と選択的に反応する官能基である。例えば、上記の分子は、2個の官能基、末端二級アミン及びペンダントアセチレンを有する。アセチレンは、アミンとは反応しないが、例えば、アジド基(−N)とは反応する。同様に、アミンは、アセチレンまたはアジドとは反応しないが、例えば、イソチオシアネート基(−NCS)とは反応する。Jordanは、このコポリマーを使用して、アジド官能化RGDペプチドをアセチレン基と、及びイソチオシアネート官能化金属キレート剤をアミンとカップリングしている。RGDペプチドは、腫瘍を標的にすることで知られており、診断放射性核種または治療放射性核種は、キレート基と結合することができる。最終複合体は、腫瘍を撮像または治療するために使用することができる(R.Luxenhofer,M.Lopez−Garcia,A.Frannk,H.Kessler and R.Jordan,Proceedings of the American Chemical Society,PMSE Prepr.2006,95,283−284)。
【0040】
上述のピペラジンまたはピペリジン末端ポリオキサゾリンを含む、従来技術のポリオキサゾリンポリマーの使用を妨げる1つの問題は、これらの精製が困難であることである。この困難は、停止の間に存在する汚染水が、水による求核攻撃及び二級アミン不純物の結果的形成をもたらすために起こる(O.Nuyken,G.Maier,A.Gross,Macromol.Chem.Phys.197,83−95,1996)。ピペラジン及びピペリジン停止からの生成物が常に三級アミンを含有するため、イオン交換クロマトグラフィーを、汚染二級アミンを除去するために使用することができない。
【0041】
上に例示されるペンダントポリオキサゾリンのさらに別の制約は、これらの化合物が単一の末端官能基を有することである。結果として、この構造配置は、末端に結合することができる薬物または標的部分の数を制限し、治療、診断、及び標的用途のためのそのような化合物の効果的な使用は、これらの部分の複数回の充填を必要とし得る。本開示のポリマーは、2個の化学的反応性基及び直交官能基の各々の複数の複製を提供することにより、この制限を回避する。
【0042】
ポリオキサゾリンポリマー抗体複合体
いくつかのポリオキサゾリンポリマーが、本発明で使用され得る。そのようなポリマーは、米国特許第8,110,651号、同第8101,706号、及び同第8,383,093号、ならびにPCT出願第PCT/US2012/063088号に記載される(これらの各々は、そのような教示のために参照により本明細書に組み込まれる)。一実施形態において、記載されるADCにおける使用のためのポリオキサゾリンポリマーは、2種以上の、限定されないが、細胞毒性剤等の作用剤を運搬する。一実施形態において、記載されるADCにおける使用のためのポリオキサゾリンポリマーは、5種以上の、限定されないが、細胞毒性剤等の作用剤を運搬する。別の実施形態において、記載されるADCにおける使用のためのポリオキサゾリンポリマーは、8種以上の、限定されないが、細胞毒性剤等の作用剤を運搬する。一実施形態において、記載されるADCにおける使用のためのポリオキサゾリンポリマーは、10種以上の、限定されないが、細胞毒性剤等の作用剤を運搬する。前述の実施形態の各々において、作用剤は同じでもよいか、または作用剤(複数可)は異なってもよい(例えば、癌の成長を抑制するように経路内で順次作用する2つの細胞毒性化合物)。一実施形態において、作用剤は同じである。代表的な作用剤が本明細書に記載される。一実施形態において、ポリオキサゾリンポリマーは、記載されるように、3種以上、5種以上、8種以上、20種以上、または40種以上の、限定されないが、細胞毒性剤等の作用剤を運搬するヘテロ官能性ポリマーでもよい。
【0043】
一実施形態において、ポリオキサゾリン抗体複合体は、認識部分に連結するポリオキサゾリンを含み、認識部分は、結合残基を含み、ポリオキサゾリンは、複数の作用剤を含み、ポリオキサゾリンは、結合残基で認識作用剤に連結する。ポリオキサゾリン抗体複合体及び薬学的に許容される担体を含む組成物も、提供される。
【0044】
一実施形態において、認識部分は、限定されないが、一本鎖の抗体等の抗体または抗体断片である。さらなる実施形態において、認識部分は、限定されないが、一本鎖の抗体等の抗体または抗体断片であり、結合残基は、理論結合残基であり、ポリオキサゾリンポリマー及び抗体は、1:1の比率で理論結合残基に結合する。さらなる実施形態において、認識部分は、限定されないが、一本鎖の抗体等の抗体または抗体断片であり、結合残基は、セレノシステイン残基であり、ポリオキサゾリンポリマー及び抗体は、1:1の比率でセレノシステイン残基に結合する。さらなる実施形態において、認識部分は、一本鎖の抗体であり、結合残基は、セレノシステイン残基であり、ポリオキサゾリンポリマー及び一本鎖の抗体は、1:1の比率でセレノシステイン残基に結合する。ある特定の実施形態において、複数のポリオキサゾリンポリマーは、記載されるように、単一の認識部分に結合してもよい。ある特定の実施形態において、2個、4個、6個、8個、または10個のポリオキサゾリンポリマーが、異なる位置で単一の認識部分に結合する。ある特定の実施形態において、2個、3個、4個、または5個のポリオキサゾリンポリマーが、異なる位置で単一の認識部分に結合する。
【0045】
一実施形態において、ポリオキサゾリン複合体は、以下の一般構造によって表され、
−{[N(COX)CHCH−[N(COR)CH−CH)]−[N(COY)CH−CH)]−R20
式中、
は、開始基であり、
は、非反応性ペンダント部分である。
各繰り返し単位のXは、第1のペンダント部分であり、少なくとも1個の第1のペンダント部分が、作用剤または精製部分を含み、ポリマー骨格に作用剤または精製部分を連結し、
各繰り返し単位のYは、第2のペンダント部分であり、各第2のペンダント部分が、任意選択的に作用剤または精製部分を含み、ポリマー骨格に作用剤または精製部分を連結し、
20は、認識部分を含む認識作用剤連結部分であり、ポリマー骨格に認識部分を連結し、
aは、ランダムコポリマーを示すran、またはブロックコポリマーを示すblockであり、
nは、0〜1000の整数であり、
o及びmは各々、0〜50から独立して選択される整数であるが、
但し、o及びmの両方が各々0であることはなく、n、o、及びmの合計が、少なくとも30であり、少なくとも1種の作用剤が存在することを条件とする。
【0046】
記載されるポリマー複合体中、作用剤は独立して、1種類以上の作用剤がポリマー複合体中に存在するように、各繰り返し単位について選択されてもよい。同様に、精製部分は独立して、1種類以上の精製部分がポリマー複合体中に存在するように、各繰り返し単位について選択されてもよい。ある特定の実施形態において、わずか1種類の作用剤及び1種類の精製部分が存在する。ある特定の実施形態において、2種類の作用剤及び1種類の精製部分が存在する。本明細書で論じられるように、ある特定の実施形態において、(第1のペンダント部分及び第2のペンダント部分の一部分を含み得る)作用剤及び/または精製部分は、独立して合成され、ポリマー複合体と連結することができ、連結したそのようなペンダント部分の数は、ペンダント部分のモル比によって制御することができ、それにより単一の反応で複数の種類の作用剤及び/または精製部分の追加を可能にする。他の組み合わせもまた、本開示の範囲内である。
【0047】
一実施形態において、o及びmのうちの1つは、0であり、oまたはmの他方は、3、5、8、10、15、20、30、40以上〜最大50であり、o、m、及びnの合計は、20〜1000、30〜500、30〜250、または30〜100である。一実施形態において、o及びmのうちの1つは、0であり、oまたはmの他方は、5以上〜20以下であり、o、m、及びnの合計は、20〜1000、30〜500、30〜250、または30〜100である。一実施形態において、o及びmのうちの1つは、0であり、oまたはmの他方は、5以上〜15以下であり、o、m、及びnの合計は、20〜1000、30〜500、30〜250、または30〜100である。一実施形態において、o及びmのうちの1つは、0であり、oまたはmの他方は、5以上〜10以下であり、o、m、及びnの合計は、20〜1000、30〜500、30〜250、または30〜100である。一実施形態において、前述のいずれかのうち、mは、0であるよりもむしろ1〜50、1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であり得る。一実施形態において、前述のいずれかのうち、mは0であるよりもむしろ1〜50、1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、または1〜5であり得、第2のペンダント部分の全てまたは一部分は、作用剤または精製部分を有しない。
【0048】
一実施形態において、1〜10個、1〜4個、または1〜2個の精製部分が存在する。本明細書で論じられるように、そのような精製部分は、X及び/またはY中に含まれてもよい。精製部分は同じでもよいか、または精製部分は異なってもよい。一実施形態において、2〜20種、2〜15種、2〜10種、または2〜7種の作用剤が存在する。一実施形態において、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種の作用剤が存在する。一実施形態において、最大40種の作用剤が存在する。本明細書で論じられるように、そのような作用剤は、X及び/またはY中に含まれてもよい。作用剤は、同じでもよいか、または作用剤は異なってもよい。本明細書に開示されるある特定の構造において、複合体中に存在する精製部分の数は、o1の記号表示によって示され、複合体中に存在する作用剤の数は、o2の記号表示によって示される。
【0049】
複合体に連結する作用剤及び/または精製部分の数は、o及びmの合計以下である。例えば、o及びmの合計が15である場合、ポリマーに連結する作用剤及び/または精製部分の最大数は、15である。ある特定の実施形態において、複合体に連結する作用剤及び/精製部分の数は、o及びmの合計未満であり、ある特定の実施形態において、遊離第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分が存在することを意味する。したがって、全てのペンダント部分が、作用剤及び/または精製部分を含む必要があるとは限らない。ある特定の実施形態において、複合体は、2〜40、2〜20、5〜20、10〜20、または20〜40のDARを有する。ある特定の実施形態において、複合体は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のDARを有する。
【0050】
第1のペンダント部分及び第2のペンダント部分の性質は、異なり得るが、但し、基が作用剤及び/または精製部分、ならびにポリマーとの連結のための構造を有することを条件とする。第1のペンダント部分及び第2のペンダント部分の代表的な構造が、本明細書に記載される。一実施形態において、第1のペンダント部分及び第2のペンダント部分は各々、官能基(すなわち、第1の官能基及び第2の官能基)を含む。官能基は、本明細書に記載されるように、ポリマーへの作用剤及び/または精製部分との連結に関与する。一実施形態において、第1の官能基及び第2の官能基は、互いに対して化学的直交性であり、ポリマーへの作用剤及び/または精製部分への異なる反応化学の使用を可能にする。第1の官能基及び第2の官能基には、アルキン、アミン、オキシアミン、アルデヒド、ケトン、アセタール、ケタール、マレイミド、エステル、カルボン酸、(限定されないが、N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)及び1−ベンゾトリアジネイル(benzotriazineyl)活性エステル等の)活性カルボン酸、活性炭酸塩、クロロホルメート、アルコール、アジド、ビニルスルホン、またはオルトピリジル二硫酸塩(OPSS)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、第1のペンダント部分及び第2のペンダント部分は、限定されないが、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、非置換もしくは置換アラルキル、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルアルキル基等の、官能基をポリマー骨格に連結する追加の基を含んでもよい。ある特定の実施形態において、第1の官能基及び/または第2の官能基は、アルキンである。ある特定の実施形態において、第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分のうちの少なくとも1つは、作用剤または精製部分に連結しない。
【0051】
ある特定の実施形態において、ポリマー複合体は、生体安定ポリマー複合体である。ある特定の実施形態において、第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分は、生体安定である。ある特定の実施形態において、第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分は、加水分解性部分を含む加水分解性リンカーを含み、加水分解性リンカー及び加水分解性部分は、生体安定である。
【0052】
は、非反応性ペンダント部分である。そのため、Rは、官能基を有さず、一実施形態において、Rは独立して、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、非置換もしくは置換アラルキル、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルアルキル基から、各繰り返し単位について選択される。別の実施形態において、R2は、長さが1〜10個または1〜5個の炭素の非置換または置換アルキルである。
【0053】
例となる開始基には、水素、アルキル、置換アルキル、アラルキル、または置換アラルキル基が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、開始基は、メチル基である。一実施形態において、R基は、官能基を有さないように選択される。追加の例となる開始基は、PCT出願第PCT/US2008/078159号に開示され、これは、そのような教示のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
一実施形態において、ポリマー複合体は、以下の一般構造によって表され得、
【化2】
式中、作用剤は、本明細書に記載される任意の作用剤であり、Xは、第1のペンダント部分を表し、Yは、第2のペンダント部分を表す。前述の一実施形態において、oは、3〜15であり、mは、1〜45であり、n、m、及びoの合計は、30〜500(またはその中もしくは本明細書に記載される任意の部分範囲)である。この実施形態において、第2のペンダント部分Yは、作用剤または精製部分への結合を有さずに示される。さらに、この実施形態における非反応性ペンダント基は、簡単にするためにエチルとして示され、Rに関して記載されるあらゆる基が存在し得ることが理解される。ペンダント部分が上記のY等の作用剤または精製部分に連結しないとき、ペンダント部分は、アルキン(及び本明細書に記載される他の基)でもよい。例えば、Yがアルキンであるとき、ポリマー複合体は、以下の構造を有し得る。
【化3】
【0055】
一実施形態において、ポリマー複合体は、以下の一般構造によって表され得、
【化4】
式中、作用剤は、本明細書に記載される任意の作用剤であり、PMは、精製部分を表し、Xは、第1のペンダント部分を表し、Yは、第2のペンダント部分を表す。前述の一実施形態において、o1は、1〜4であり、3〜15であり、mは、1〜45であり、n、m、及びoの合計は、30〜500(またはその中もしくは本明細書に記載される任意の部分範囲)である。この実施形態において、第2のペンダント部分Yは、作用剤または精製部分への結合を有さずに示される。さらに、この実施形態における非反応性ペンダント基は、簡単にするためにエチルとして示され、Rに関して記載されるあらゆる基が存在し得ることが理解される。ペンダント部分が上記のY等の作用剤または精製部分に連結しないとき、ペンダント部分は、アルキン(及び本明細書に記載される他の基)でもよい。例えば、Yがアルキンであるとき、ポリマー複合体は、以下の構造を有し得る。
【化5】
【0056】
作用剤及び精製部分の数は、実施例に記載されるように、中間体の調整によって複合体の合成の間に制御され得る。一実施形態において、作用剤及び(存在する場合)精製部分の追加のための反応化学は、同じである。別の実施形態において、反応化学は異なる。例えば、反応化学が同じであり、2個の精製部分及び6種の作用剤が最終複合体中に所望される場合、複合反応の間に、精製部分を含む2モル当量のペンダント部分、及び作用剤を含む6モル当量のペンダント部分が反応混合物に添加され、所望の構造が得られる。作用剤及び精製部分が存在するとき、ペンダント連結部分の性質は、同じであり得るか、または異なり得る。換言すると、第1のペンダントリンカーの性質は、本明細書に記載されるように、同じであり得るか、または異なり得る。さらに、本明細書に記載されるように、X及びYペンダント連結部分の性質は、存在する反応性基が直交官能基を提供し、異なる反応化学を介した作用剤と精製部分との結合を可能にし得るようなものであり得る。
【0057】
当分野で既知の任意の精製部分が、本明細書に記載されるポリマー複合体に使用されてもよい。一実施形態において、精製部分は、ビオチンである。一実施形態において、1〜3個のビオチン分子が、本複合体中に存在する。一実施形態において、2個のビオチン分子が存在する。
【0058】
一実施形態において、作用剤は、遊離可能な加水分解性連結によって、ポリ(オキサゾリン)ポリマーに連結する(すなわち、第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分が加水分解性リンカーである)。そのような場合、第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分は、少なくとも1個の加水分解性部分を含み、対象にポリ(オキサゾリン)ポリマー複合体が投与された後、連結が開裂されることを可能にする。第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分は、単一の加水分解性部分、または2個以上の加水分解性部分を含んでもよい。加水分解性部分は、酵素によって、または化学反応によって開裂可能であり得る。実施例において、2個以上の加水分解性部分が存在する場合、1個の加水分解性部分は、酵素によって開裂可能であり得、1個の加水分解性部分は、化学反応によって開裂可能であり得るか、または全部が、同じ機構によって開裂可能であり得る。一実施形態において、第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分は、1個の加水分解性部分を含む。別の実施形態において、第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分は、2個の加水分解性部分を含む。別の実施形態において、第1のペンダント部分及び/または第2のペンダント部分は、2個の加水分解性部分を含み、1個のそのような部分は、酵素によって開裂可能である。
【0059】
一実施形態において、精製部分は、安定リンカー(連結は、作用部位ですら開裂しない)、または加水分解性リンカーによって、ポリ(オキサゾリン)ポリマーに連結する。そのため、作用剤及び精製部分が各々、同じ反応化学によってポリマーに連結するとき(すなわち、第1のペンダント部分が同じ反応化学を使用して、作用剤及び精製部分の両方を連結させるために使用されるとき)、第1のペンダント部分の一部分は、加水分解性部分を含んでもよく、第1のペンダント部分の一部分は、安定した連結を含んでもよい。別の実施形態において、精製部分は、本明細書に記載されるように、遊離可能な加水分解性連結によってポリオキサゾリンポリマーに連結する。加水分解性リンカーは、ある特定の実施形態において、生体安定でもよい。そのため、作用剤及び精製部分が各々、同じ反応化学によってポリマーに連結するとき、(すなわち、第1のペンダント部分が同じ反応化学を使用して、作用剤及び精製部分の両方を連結させるために使用されるとき)、作用剤及び精製部分の全ての連結は、加水分解性部分を含む。しかしながら、加水分解性部分の性質は、所望により作用剤と精製部分との間で異なってもよい。
【0060】
いくつかの酵素が、加水分解性部分を開裂するために使用され得る。一実施形態において、開裂に関与する酵素は、血中または血漿中に存在しない。一実施形態において、開裂に関与する酵素は、限定されないが、リソソームまたはエンドソーム等の細胞内区画内に存在する。特定の実施形態において、酵素は、限定されないが、カテプシン等のペプチダーゼである。代表的なカテプシンは、カテプシンBである。特定の実施形態において、加水分解性連結及び加水分解性部分は、作用剤及び/または精製部分が血流中に著しい量まで放出されないように、血中または血漿中で生体安定である。一実施形態において、酵素によって開裂された加水分解性部分は、アミド結合であり、そのようなアミド結合は、アミノ酸配列内に含まれ得る。
【0061】
例となる加水分解性部分には、カルボン酸エステル(−C(O)−O−)、炭酸エステル(−O−C(O)−O−)、カルバメート(−O−C(O)−NH−)、二硫化物(−S−S−)、硫化物(−S−)、アセタール(−CH(OR’)(OR’’))、ヘミアセタール(−CH(OR’)(OH))、リン酸塩(−O−P(O)(OH)−(O)−)、ホスホン酸塩(−O−P(O)(OR’)−(O)−)及びアミド(−C(O)−NH−)が含まれるが、これらに限定されず、他の加水分解性部分は、本明細書で論じられ、式中、R’及びR’’は、Hまたは置換もしくは非置換アルキルである。特定の実施形態において、加水分解性部分は、エステルである。別の特定の実施形態において、加水分解性部分は、アミドである。さらに、遊離可能な加水分解性連結は、天然型アミノ酸、非天然型アミノ酸、または1個以上の天然型アミノ酸及び/もしくは非天然型アミノ酸に連結するポリマー中に含まれ得る。
【0062】
一実施形態において、遊離可能な加水分解性連結は、RまたはR基のうちの1個の中に加水分解性部分を含む、ジ−置換トリアゾールである。一実施形態において、加水分解性部分は、R基の中にある。特定の実施形態において、ジ−置換トリアゾールは、以下の構造を有する。
【化6】
別の実施形態において、ジ−置換トリアゾールは、以下の構造を有する。
【化7】
前述の構造の各々中、
は、ポリマー鎖にトリアゾール部分を連結するリンカーである。一実施形態において、Rは、ポリマー鎖上の官能基によって(少なくとも部分的に)画定される。一実施形態において、Rは、−R−または−C(O)−R−であり、式中、Rは、存在しないか、または長さが1〜10個の炭素の置換もしくは非置換アルキルである。一実施形態において、Rは、長さが1〜10個の炭素の非置換アルキルである。一実施形態において、Rは、長さが1〜5個の炭素の非置換アルキルである。
は、トリアゾール部分と作用剤との間に連結を形成する。R基の性質は、異なってもよいが、但し、連結機能が遊離可能な様式で達成される(すなわち、連結が加水分解性部分を含む)ことを条件とする。一実施形態において、Rは、アルキル部分を含む。別の実施形態において、Rは、ポリマー部分を含む。別の実施形態において、Rは、1個以上のアミノ酸を含む。別の実施形態において、Rは、ポリマー部分及び1個以上のアミノ酸を含み、ここで、加水分解性部分は、アミノ酸部分中のアミド結合である。好適なポリマーは、当分野で既知であるか、または本明細書に記載される任意の水溶性ポリマーを含む。一実施形態において、水溶性ポリマーは、−(O−CH−CH−によって表されるポリエチレングリコール(PEG)ポリマーであり、式中、sは、1〜15、1〜10、または1〜5の整数である。sの特定の値には、2、3、4、及び5が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
一実施形態において、Rは、−R−R−R−であり、式中、
は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アラルキル、ポリマー、または(以下に記載される)U1−(pol)−U2−([NR16−C(R13)(R14)−C(O)])−NR17−Ar−(CHであり、任意選択的に加水分解性部分を含み、
は、連結基であり、任意選択的に加水分解性部分または加水分解性部分の一部分を含み、
は、存在しないか、またはO、S、CR、またはNRであり、Rは、Hまたは置換もしくは非置換アルキルであるが、但し、R及びRのうちの少なくとも1つが、加水分解性部分を含むことを条件とする。
【0064】
一実施形態において、2個以上の加水分解性部分は、R中に存在する。一実施形態において、単一の加水分解性部分は、R中に存在する。一実施形態において、結合したR及びRが、加水分解性部分を形成する。一実施形態において、Rは、加水分解性部分を含む。一実施形態において、Rは、加水分解性部分を含む。一実施形態において、加水分解性部分は、R及びRの両方に存在する。そのような加水分解性部分は、同じ機構によって、または異なる機構によって開裂可能であり得る。
【0065】
前述の一実施形態において、Rは、直鎖の置換もしくは非置換C1−C16アルキル、または分岐鎖の置換もしくは非置換C1−C16アルキルである。前述の一実施形態において、Rは、直鎖の置換もしくは非置換C1−C5アルキル、または分岐鎖の置換もしくは非置換C1−C5アルキルである。一実施形態において、Rは、−(CH−であり、式中、pは、1〜16、1〜10、または1〜5である。
【0066】
別の実施形態において、Rは、ポリマーである。好適なポリマーは、当分野で既知であるか、または本明細書に記載される任意の水溶性ポリマーを含む。一実施形態において、水溶性ポリマーは、−(O−CH−CH−によって表されるポリエチレングリコール(PEG)ポリマーであり、式中、bは、1〜30、1〜15、1〜10、または1〜5の整数である。bの特定の値には、2、3、4、及び5が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態において、ポリマーは、アミノ酸ポリマーである。好適なアミノ酸ポリマーとしては、長さが1〜10個のアミノ酸のポリ−グリシンポリマー及びポリ−アラニンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。PEGまたはアミノ酸ポリマーを含むそのようなポリマーは、連結から得られた追加の末端基を含み得る。
【0067】
別の実施形態において、Rは、アミノ酸部分に連結する(各々が上述のとおりである)直鎖の置換もしくは非置換、分岐鎖の置換もしくは非置換アルキル、またはポリマーを含む(ポリマーがアミノ酸ポリマーである場合、2個のアミノ酸部分が結合される)。アミノ酸部分は、1〜6個のアミノ酸、1〜4個のアミノ酸、または1〜2個のアミノ酸を含み得る。好適なアミノ酸は、天然型アミノ酸、非天然型アミノ酸、または前述のものの組み合わせを含む。ある特定の実施形態において、アミノ酸は、バリン、シトルリン、リジン、及びフェニルアラニンでもよい。ある特定の実施形態において、アミノ酸部分は、バリン及びシトルリンまたはリジン及びフェニルアラニンである。
【0068】
一実施形態において、Rは、−R−O−C(O)−R−、−R−O−C(O)−O−R−、−R−O−C(O)−NH−R−、−R−CH(OH)−R−、−R−S−S−R−、−R−S−R−、−R−O−P(O)(OR11)−R−(式中、R11は、Hまたは置換もしくは非置換C1−C5アルキルである)、あるいは−R−C(O)−NH−R−であり、式中、R及びRは各々独立して、存在しないか、または置換もしくは非置換アルキルである。別の実施形態において、R及びRは各々独立して、存在しないか、またはC1−C16置換もしくは非置換アルキルである。別の実施形態において、R及びRは各々独立して、存在しないか、またはC1−C5置換もしくは非置換アルキルである。別の実施形態において、R及びRは各々、存在しない。
【0069】
ある特定の実施形態において、Rは、−R−C(O)−R−、−R−O−C(O)−R−であり、R及びRは各々、存在せず、RはOであり、Rは−R−O−C(O)−R−または−R−C(O)−Rであり、R及びRは各々、存在せず、RはNHであり、Rは、−R−S−S−R−、−R−S−R−であり、R及びRは各々、存在せず、Rは、存在しない。
【0070】
ある特定の実施形態において、Rは、−R−O−C(O)−R−、−R−O−C(O)−O−R−であり、R及びRは各々、存在せず、Rは、存在しない。
【0071】
一実施形態において、Rは、U1−(pol)−U2−([NR16−C(R13)(R14)−C(O)])−NR17−Ar−(CHによって表され、式中、
U1は、任意の連結基を表し、
polは、ポリマー部分を表し、
U2は、任意の連結基を表し、
17、R16、及びR13は各々独立して、Hまたは置換もしくは非置換C1−C5アルキルであり、
14は、天然型アミノ酸または非天然型アミノ酸上の側鎖基であり、
Arは、アリール基を表し、
bは、1〜15の整数であり、
cは、1〜10の整数であり、
sは、0〜4の整数である。
【0072】
好適なポリマーは、当分野で既知であるか、または本明細書に記載される任意の水溶性ポリマーを含む。一実施形態において、水溶性ポリマーは、−(O−CH−CH−によって表されるポリエチレングリコール(PEG)ポリマーであり、式中、sは、1〜15、1〜10、または1〜5の整数である。sの特定の値には、2、3、4、及び5が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態において、ポリマーは、アミノ酸ポリマーである。好適なアミノ酸ポリマーとしては、長さが1〜10個のアミノ酸のポリ−グリシンポリマー及びポリ−アラニンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
ある特定の実施形態において、U1は、長さが1〜10個、1〜8個、1〜5個、または1〜3個の炭素の置換もしくは非置換アルキルである。一実施形態において、U1は、長さが1〜5個の炭素の非置換アルキルである。ある特定の実施形態において、U1は、存在しない。
【0074】
ある特定の実施形態において、U2は、−(CH−C(O)−、−C(O)−、または−NH−によって表される。ある特定の実施形態において、U2は、存在しない。前述のものにおいて、tは、1〜10、1〜8、1〜5、または1〜3である。
【0075】
ある特定の実施形態において、R16及びR13は各々、Hである。
【0076】
ある特定の実施形態において、R14は、バリン、シトルリン、リジン、またはフェニルアラニンからの側鎖を表す。ある特定の実施形態において、cは、2と等しく、R14は、バリン及びシトルリンまたはリジン及びフェニルアラニンからの側鎖である。ある特定の実施形態において、加水分解性部分は、基、−([NR16−C(R13)(R14)−C(O)])−内のアミド結合である。
【0077】
Ar基は、単環を含んでもよいか、または多環式でもよい。ある特定の実施形態において、Ar基は、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チオフェン、ナフタレン、アントラセン、及びフェナントレンからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、Ar基は、ベンゼンである。
【0078】
ある特定の実施形態において、sは、1である。
【0079】
一実施形態において、Rは、U1−(pol)−U2−([NR16−C(R13)(R14)−C(O)])−NR17−Ar−(CHであり、Rは、−O−C(O)−であり、Rは、存在しない。一実施形態において、Rは、U1−(pol)−U2−([NR16−C(R13)(R14)−C(O)])−NR17−Ar−(CHであり、Rは、−O−C(O)−であり、Rは、存在せず、U1は、置換もしくは非置換C1−C10アルキルであるか、または存在せず、U2は、−(CH−C(O)−、−C(O)−、もしくは−NH−であるか、または存在せず、polは、ポリエチレングリコールポリマーであり、Arは、ベンゼンである。一実施形態において、Rは、U1−(pol)−U2−([NR16−C(R13)(R14)−C(O)])−NR17−Ar−(CHであり、Rは、−O−C(O)−であり、Rは、存在せず、U1は、置換もしくは非置換C1−C10アルキルであるか、または存在せず、U2は、−(CH−C(O)−、−C(O)−、もしくは−NH−であるか、または存在せず、polは、ポリエチレングリコールポリマーであり、Arはベンゼンであり、bは4であり、cは2であり、sは1である。
【0080】
さらに、精製部分が複合体上に存在するとき、R及びR部分は、加水分解性部分を有さない。
【0081】
一実施形態において、R3及びR4部分は、加水分解性部分を有さず、Rは、U3−(pol)−U4によって表され、式中、
U3は、任意の連結基を表し、
polは、ポリマー部分を表し、
U4は、任意の連結基を表し、
bは、1〜15の整数である。
【0082】
好適なポリマーは、当分野で既知であるか、または本明細書に記載される任意の水溶性ポリマーを含む。一実施形態において、水溶性ポリマーは、−(O−CH−CH−によって表されるポリエチレングリコール(PEG)ポリマーであり、式中、sは、1〜15、1〜10、または1〜5の整数である。sの特定の値には、2、3、4、及び5が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態において、ポリマーは、アミノ酸ポリマーである。好適なアミノ酸ポリマーとしては、長さが1〜10個のアミノ酸のポリ−グリシンポリマー及びポリ−アラニンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
ある特定の実施形態において、U3は、長さが1〜10個、1〜8個、1〜5個、または1〜3個の炭素の置換もしくは非置換アルキルである。一実施形態において、U3は、長さが1〜5個の炭素の非置換アルキルである。ある特定の実施形態において、U3は、存在しない。
【0084】
ある特定の実施形態において、U4は、−C(O)−または−NH−によって表される。ある特定の実施形態において、U4は、存在しない。
【0085】
ある特定の実施形態において、Rは、存在しない。
【0086】
ある特定の実施形態において、Rは、−(CH−または−C(O)−(CH−であり、Rは−CH−C(O)−O−、−CH−CH−C(O)−O−、または−CH(CH)−C(O)−O−である。
【0087】
特定の実施形態において、Rは、−(CH−または−C(O)−(CHであり、Rは、
【化8】
である。
特定の実施形態において、Rは、−(CH−または−C(O)−(CHであり、Rは、
【化9】
である。
特定の実施形態において、Rは、−(CH−または−C(O)−(CHであり、Rは、
【化10】
である。
別の実施形態において、遊離可能な加水分解性連結は、構造、R−Y−R10を有し、式中、Yは、加水分解性部分であり、R及びR10は各々、ポリマー複合体及び作用剤それぞれにYを連結する基である。R及びR10は、同じまたは異なっていてもよい。一実施形態において、R及びR10は各々独立して、存在しないか、または置換もしくは非置換アルキルである。別の実施形態において、R及びR10は各々独立して、存在しないか、またはC1−C16置換もしくは非置換アルキルである。一実施形態において、R及びR10は各々、存在しない。
【0088】
前述の一実施形態において、連結基は、−R−C(O)−O−R10−、−R−O−C(O)−O−R10−、−R−O−C(O)−NR18−R10−(式中、R18はaはHまたは置換もしくは非置換C1−C5アルキルである)、−R−CH(OH)−O−R10−、R−CH(OR12)−O−R10−(式中、R12はHまたは置換もしくは非置換C1−C5アルキルである)、−R−S−S−R10−、−R−S−R10−、−R−O−P(O)(OR12)−O−R10−(式中、R12はHまたは置換もしくは非置換C1−C5アルキルである)、−R−C(O)−NR18−R10−(式中、R18は、aはHまたは置換もしくは非置換C1−C5アルキルである)、あるいは−R−[NR18−C(R13)(R14)−C(O)]−R10−(式中、R18はaはHまたは置換もしくは非置換C1−C5アルキルであり、R13は、HまたはC1−C5アルキルであり、R14は、天然型アミノ酸または非天然型アミノ酸上の側鎖基であり、cは1〜10である)である。
【0089】
一実施形態において、加水分解性部分の開裂の速度は、遊離可能な加水分解性連結の性質によって制御される。前述のものの各々において、遊離可能な加水分解性連結の加水分解性部分は、作用剤を放出するように開裂され得る。一実施形態において、遊離可能な加水分解性連結の加水分解性部分は、対象に投与された後、対象内の生理的条件下で化学的に開裂される。一実施形態において、遊離可能な加水分解性連結の加水分解性部分は、対象に投与された後、対象内の生理的条件下で、対象中に自然に存在するか、存在するように誘発された物質によって開裂される。一実施形態において、そのような物質は、酵素またはポリペプチドである。一実施形態において、遊離可能な加水分解性連結の加水分解性部分は、前述のものの組み合わせによって開裂される。
【0090】
一実施形態において、ポリマーADCは、以下の一般構造によって表され得、
【化11】
式中、作用剤は、本明細書に記載されるか、または当分野で既知の任意の作用剤であり、PMは、本明細書に記載されるか、または当分野で既知の任意の精製部分であり、qは、1〜10の整数であり、b及びdは独立して、1〜30の整数であり、残りの変数は、本明細書で定義されるとおりである。
【0091】
前述の一実施形態において、oは、3〜15であり、m及びoの合計は、1〜50であり、nは、1〜1000または1〜500である。ある特定の実施形態において、mは0である。別の実施形態において、o1、o2、及びmの合計は、50以下であり、o1は、1〜5の整数であり、o2は、3〜45の整数であり、mは、1〜50の整数であり、nは、1〜1000または1〜500である。
【0092】
一実施形態において、R20は、ポリマーに認識部分を連結する役目をする連結基である。一実施形態において、R20は、認識部分上で結合残基と反応する、反応性基を含む。一実施形態において、反応性基は、特異的に、かつ1:1の比率で認識部分上の化学量論的結合残基と反応する。特定の態様において、認識部分は、限定されないが、一本鎖の抗体等の抗体であり、化学量論的結合残基は、本明細書に記載されるセレノシステイン部分であり、反応性基は、マレイミド基である。特定の態様において、認識部分は、限定されないが、一本鎖の抗体等の抗体であり、化学量論的結合残基は、本明細書に記載されるセレノシステイン部分であり、反応性基は、ヨードアセトイミド基である。一態様において、R20は、認識部分とポリオキサゾリンポリマーとの隔たりを提供するためのスペーサを組み込む。一態様において、R20は、本開示のポリオキサゾリンポリマーを停止求核試薬と反応させ、任意選択的にこの構造をさらなる化学反応に供することによって形成することができる。
【0093】
特定の実施形態において、R20は、以下の構造によって表され得、
21−Z−R22、式中、
21は、S、O、またはNからなる群から選択され、
Zは、連結基であり、
22は、認識部分を含む部分である。
【0094】
一実施形態において、Zは、−(CH−によって表され、式中、rは1〜10である。
【0095】
別の実施形態において、Zは、−(CHr1−R23−R24−(CHr2−によって表され、式中、R23は、存在しないか、または−C(O)−、もしくは−N−R25−であり、R25は、Hまたは置換もしくは非置換アルキル基であり、R24は、存在しないか、または−O−、もしくは−N−R26−であり、R26は、Hまたは置換もしくは非置換アルキル基であり、r1及びr2は各々独立して、0〜10の整数である。
【0096】
前述のものの一態様において、R23は、−C(O)−である。一態様において、R24は、−O−または−NH−である。一態様において、r1は、1〜4の整数であり、r2は、0〜4の整数である。一態様において、R23は、−C(O)−であり、R24は、−O−であり、r1は2であり、r2は0である。一態様において、R23は、−C(O)−であり、R24は、−NH−であり、r1は2であり、r2は2である。
【0097】
前述のものの一態様において、式中、Zは、−(CHr1−R23−R24−(CHr2−によって表され、R22は、−NH−C(O)−CH−S−Ab、−NH−C(O)−CH−Se−Ab、
【化12】
であり、Abは、及び抗体を表す。
別の実施形態において、Zは、−(CHr1−R23−R24−(CHr2−R27−R28−(CHr3−によって表され、式中、R23は、存在しないか、またはC=O、もしくはN−R25であり、R25は、Hまたは置換もしくは非置換アルキル基であり、R24は、存在しないか、またはO、もしくはN−R26であり、R26は、Hまたは置換もしくは非置換アルキル基であり、R27は、存在しないか、またはN−R29であり、R29は、Hまたは置換もしくは非置換アルキル基、または−C(O)−であり、R28は、存在しないか、または−C(O)−もしくはN−R30であり、R30は、Hまたは置換もしくは非置換アルキル基であり、r1、r2、及びr3は各々独立して、0〜10の整数である。
【0098】
前述のものの一態様において、R23は、−C(O)−である。一態様において、R24は、−O−または−NH−である。一態様において、r1は、1〜4の整数であり、r2は、0〜4の整数であり、r3は、0〜4の整数である。一態様において、R23は、−C(O)−であり、R24は、−NH−であり、R27は、−NH−であり、R28は、−C(O)−であり、r1は2であり、r2は2であり、r3は1である。
【0099】
前述のものの一態様において、式中、Zは、−(CHr1−R23−R24−(CHr2−R27−R28−(CHr3−によって表され、R22は、S−AbまたはSe−Abであり、Abは、及び抗体を表す。
【0100】
一態様において、R22は、認識部分のポリマーへの連結に使用される、反応性基の全てまたは一部分を含む。代表的な連結基には、認識部分に連結する、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、クロロアセトアミド、マレイミド、またはアクリルアミド基が含まれるが、これらに限定されない。一態様において、R22は、認識部分に連結するマレイミド基またはヨードアセトアミド基である。別の実施形態において、R22のそのような部分を有さない
【0101】
さらなる態様において、認識部分は、抗体であり、結合残基は、システイン残基である。さらなる態様において、認識部分は、SC抗体であり、結合残基は、システイン残基である。
【0102】
さらなる態様において、認識部分は、抗体であり、結合残基は、セレノシステイン残基であり、ポリオキサゾリンポリマー及び抗体は、1:1の比率でセレノシステイン残基に結合する。
【0103】
さらなる態様において、認識部分は、SC抗体であり、結合残基は、セレノシステイン残基であり、ポリオキサゾリンポリマー及びSC抗体は、1:1の比率でセレノシステイン残基に結合する。
【0104】
そのような態様において、R22基は、以下の構造によって表され得る。代表的な反応性基及び結合残基の構造が示される一方で、本出願の本開示は、開示される例に限定されるべきではない。マレイミドが抗体をポリマーに結合させるために使用される反応性基であるとき、R22は、以下の構造を有し得る。
【化13】
【0105】
ヨードアセトアミドが抗体をポリマーに結合させるために使用される反応性基であるとき、R22は、以下の構造を有し得る。
【化14】
【0106】
そのため、代表的なR20基には、(以下の構造中のセレン、Seが、硫黄、Sまたは他の結合残基に置き換えられるという理解のもとで)以下が含まれるが、これらに限定されない。
【化15】
【0107】
一実施形態において、本開示は、以下の複合体を提供し、式中、o1、o2の合計は、50以下であり、o1は、1〜5の整数であり、o2は、1〜45の整数であり、mは、1〜50の整数であり、aは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーを表し、作用剤は、作用剤を表し、BRは、抗体上の結合残基を表し、Abは、抗体を表し、PMは、精製部分を表す。
【化16】
【0108】
一実施形態において、Abは、SC抗体を表す。一実施形態において、Abは、IgG、IgM、IgA、IgE、またはIgD抗体を表す。Abという用語は、本明細書に記載されるか、または当分野で既知の抗体のうちのいずれかを表し得る。一実施形態において、BRは、セレノシステインを表す。一実施形態において、BRは、硫黄を表す。BRという用語は、記載される抗体上に存在し得る任意の結合残基を表し得る。一実施形態において、作用剤は、(限定されないが、デアセチルコルヒチン等の)コルヒチン、または(限定されないが、モノメチルオーリスタチンE、モノメチルオーリスタチンF、もしくはデスメチル−オーリスタチンF等の)オーリスタチンである。作用剤は、本明細書に記載されるか、または当分野で既知の任意の作用剤でもよい。
【0109】
ポリオキサゾリンポリマーの合成方法
一実施形態において、本開示のポリマーは、官能基を含む適切な2−置換−2−オキサゾリンの共重合によって調製される。例えば、単純2−アルキル−2−オキサゾリンに加えて、アルキン基及びアセタール基を有する水溶性コポリマーの調製は、以下のオキサゾリンモノマーを使用して合成することができる。
【化17】
【0110】
重合は、限定されないが、メチルトリフレート、メチルトシレート、p−トルエンスルホン酸、またはトリフリン酸等の求電子剤によって開始される。共重合は、本明細書で論じられる求核試薬によって停止することができる。末端官能基が所望される場合、限定されないが、メチルチオールアセテート等の官能化停止剤が使用され得る。非反応性停止末端については、アルキルメルカプタン等の求核試薬が使用され得る。同様に、停止ヒドロキシル基も、多くの試薬に対して非反応性であり、したがって、この用途に有用であり得る。重合のために好ましい溶媒は、クロロベンゼンまたはアセトニトリルである。好ましい温度範囲は、約40℃〜約120℃である。重合のために必要な時間は、温度、所望の分子量、及び溶媒に左右され、約1時間〜約100時間の範囲にわたり得る。ある特定の実施形態において、実質的に重合反応を完了させるのに必要な時間に重合反応を制限することが望ましい。一実施形態において、重合反応の進捗は、MALDI及び/またはGPCを使用して監視される。
【0111】
重合は、いくつかの手段で行われ得る。一実施形態において、適切なオキサゾリン構成成分の混合物を、好ましい溶媒中で、撹拌しながら開始剤と反応させてもよい。この反応で、オキサゾリン構成成分が互いに対して同じように反応性であるとき、ランダムコポリマーを、またはオキサゾリン構成成分のうちの1つ以上が互いに対してより低い反応性であるとき、ブロックコポリマーが得られる。代替実施形態において、ポリマーは、わずか1つのオキサゾリン構成成分を使用して、好ましい溶媒中で適切な開始剤を用いて重合を開始することにより、ブロック中でも合成され得る。反応は、反応が実質的に完了したことを判定するために、MALDIまたはGPCを用いて監視してもよい。第1のブロックの重合が完了したとき、第2のオキサゾリン構成成分が、ポリマー鎖の末端で初期の生きたカチオンを用いて重合を再開始するために添加され、重合反応の監視が、記載されるように実施されてもよい。溶媒は、第1の重合反応と同じ、または異なってもよく、反応温度及び他の変数もまた、望みどおりに調節されてもよい。第2のブロックの重合が完了したら、第3のオキサゾリン構成成分が、ポリマー鎖の末端で生きたカチオンを用いて重合を再開始するために添加され、重合反応の監視が、記載されるように実施されてもよい。溶媒は、第1の重合反応または第2の重合反応と同じ、または異なってもよく、反応温度及び他の変数もまた、所望のとおりに調節されてもよい。第3の重合工程が完了したとき、重合は、停止剤の添加によって停止されてもよい。オキサゾリン構成成分は、官能基を含んでもよいか、または官能基を有さなくてもよい。逐次重合は、任意の順序で行うことができる。別の実施形態において、オキサゾリンモノマーのうちの2つのランダム共重合と、続いて第3のブロックの連続重合も、ランダム構成及びブロック構成の両方を有するポリマーを生成するために、行われ得る。一実施形態において、オキサゾリンモノマーのうちの1つは、官能基を有さない。
【0112】
所望の重合プロセスが完了したら、ポリマーを、例えば、エチルエーテル中で数回沈殿させ、真空下で乾燥させる。ポリマーは、限定されないが、MALDI、NMR、及びGPC等の標準的技法によってさらに特徴づけられてもよい。
【0113】
ポリエチレングリコールに関する研究は、標的分子の変更において、20,000Da以上の分子量(MW)、及び1.1未満の分子量分布、または多分散度(PD)のポリマーの利用が必要であることを示している。上記の範囲内のMW及びPDが、POZ鎖に関して、従来の技法では達成できないことを示す多数の研究が存在する。当分野で知られているように、PD値は、MWと共に変化し、一般に、分子量が増加するに従い、PD値も増加する。一般に、成長しているPOZ鎖の分子量がおおよそ5,000Daに達したとき、多分散度が明らかに上昇すると考えられている。限定されないが、連鎖移動を含む副反応の重要性が高まり始める。上述の従来技術は、高MWのPOZ鎖を生成するために使用されるとき、許容できないPD値を有するPOZ誘導体を生成する。本開示のポリオキサゾリン誘導体は、低PD値を有するポリオキサゾリン誘導体と、限定されないが、連鎖移動等の不必要な副反応によって生成される、より少ない量の不純物と、を生じる新規の方法を使用して製造されたポリオキサゾリン鎖を使用して、生成され得る。一実施形態において、ポリオキサゾリン鎖は、限定されないが、連鎖移動等の不必要な副反応を最小化し、低PD値を有する上昇した純度のPOZ誘導体の生成を可能にするために製造される。したがって、本開示のPOZ誘導体は、薬学的用途における使用に好適な、上昇した純度及び低PD値で精製され得る。そのような方法は、PCT出願第PCT/US2008/078159号に記載され、これは、そのような教示のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
一実施形態において、作用剤は、クリック化学を使用してポリオキサゾリンポリマーに連結する。クリック化学手法は、アルキン基とアジド基との間の反応を伴う。一態様において、クリック化学反応は、作用剤に対するアジドエステルの反応、及びポリオキサゾリンポリマーに対するアルキンの反応を伴う。この態様の特定の実施形態において、アジドエステル基が、作用剤に対する、限定されないが、ヒドロキシル基等の化学基との好適な化学反応によって形成される。例となる反応は、ハロ酸からのハライドをアジ化ナトリウムで置換して、アジド酸を形成し、続いて、(ここでロチゴチンと例示される)作用剤上のヒドロキシル基でアジド酸をエステル化することによる、アジドエステルの調製である。
【化18】
【0115】
次いで、アジドエステルは、ポリオキサゾリンポリマー上に存在するアルキン官能基に連結する。特定の実施形態において、アルキン官能基は、ポリオキサゾリンポリマー上のペンダントの位置に存在するアセチレン官能基である。
【0116】
上記の方法が使用されてもよい一方で、加水分解性部分の形成の他の手法も使用されてもよい。例えば、エステル加水分解性部分を含む連結は、ポリオキサゾリンポリマー上にアジド官能基を、例えば、ポリオキサゾリンポリマー上にペンダント基を作製することによって、アセチレンエステル等の作用剤上にアルキン基を作製することによって、及びアジド基とアルキン基とを反応させて、加水分解性部分(この場合、エステル結合)を含む遊離可能な加水分解性連結を形成することによっても、形成され得る。
【0117】
別の手法において、カルボン酸基は、ポリオキサゾリンポリマー上でのペンダント基等の、ポリオキサゾリンポリマー上で生成され得、作用剤上でアルコールまたはフェノール基を直接エステル化することによってカルボン酸基を反応させて、加水分解性部分(この場合、エステル結合)を含む遊離可能な加水分解性連結を形成する。一実施形態において、ポリオキサゾリンポリマー上のカルボン酸基は、重合反応にカルボキシル化モノマーを含めることにより、ポリオキサゾリンポリマー上のペンダント位置で生成される。
【0118】
本開示のポリオキサゾリンポリマー複合体の調製において、ポリオキサゾリンポリマー上の作用剤の数は、ポリオキサゾリンポリマー上に存在する反応性基の数によって制御され、一実施形態において、反応性基は、ポリオキサゾリンポリマー上のペンダント位置に存在する。ペンダント位置の反応性基に関して、ポリマー上に存在する反応性基の数は、重合で使用される不活性な側鎖(例えば、アルキル)を有するモノマー単位に対する、作用剤または連結基との連結を形成し得る官能化側鎖(例えば、アセチレン)を有するモノマー単位(例えば、モノマーオキサゾリン)の比率によって制御される。さらに、官能化側鎖を有するモノマー単位の所与の比率について、ポリマー長さが制御され得、所与のポリマー複合体上に積載された作用剤の数のさらなる制御を提供する。したがって、特定のポリマー複合体と結合した作用剤の数を、制御することができる。上述のとおり、連結基の性質、ポリマーの大きさ、及び投与経路は、ポリマーからの作用剤の放出動態に対する制御を可能にする。
【0119】
認識部分
本開示のADCは、認識部分を含む。本開示で使用される場合、用語「認識部分」は、限定されないが、タンパク質が結合した作用剤の放出に触媒作用を及ぼすエンドソームと縮合し得る、細胞質内への内部移行が起きるタンパク質を含む特定のエピトープ/抗原/細胞表面マーカを認識し、これと結合する分子を指す。例となる認識部分には、抗体、抗体の断片、一本鎖の抗体、ポリペプチド、またはペプチド模倣物等が含まれるが、これらに限定されない。認識部分は、ADCを特定の細胞、組織、または場所に向けることに加えて、ある特定の治療効果(すなわち、標的細胞または経路に対する抗増殖(すなわち、細胞分裂阻止及び/または細胞毒性)活性)があり得る。認識部分は、ADCのポリマー部分に連結するための少なくとも1個の化学的反応性基を含むか、または含むように操作されてもよい。一態様において、反応性基は、セレノシステイン部分である。
【0120】
特定の実施形態において、認識部分は、抗体である。
【0121】
本明細書で使用される場合、用語、抗体は、1つ以上の非共有結合の相互作用がポリペプチド鎖含有分子構造と抗原/エピトープとの間の複合体を安定化させる、標的細胞上の抗原/エピトープに結合し、標的細胞上の抗原/エピトープを認識する特定の形状を有する、任意のポリペプチド鎖含有分子構造を意味する。一実施形態において、抗体分子は、免疫グロブリンである。したがって、用語、抗体は、全ての源(例えば、ヒト、げっ歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、他の哺乳動物等)からの、全ての種類の免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE、IgD等)を含む。抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体でもよく、一態様において、抗体は、モノクローナル抗体である。抗体を産生させ、モノクローナル抗体を生成する方法は、当業者に既知である。抗体または抗原結合断片もまた、遺伝子工学によって生成され得る。
【0122】
一態様において、本開示の抗体は、ヒト対象等の対象における免疫反応の誘発の可能性を低減するように改良される。したがって、用語、抗体は、ヒトに投与されたとき、大した免疫反応を生成しないヒト化ヒト抗体、キメラヒト抗体、または異種ヒト抗体を含む。あるいは、ヒト変数可変領域を含む一本鎖の抗体(以下に記載されるsc−Fv)が、生成され得る。したがって、用語、抗体は、(本明細書でSC抗体またはsc−Fv断片とも称される)一本鎖の抗体を含み得る。
【0123】
全体的免疫グロブリン構造に加えて、抗原/エピトープ結合部位を含む免疫グロブリン断片が使用されてもよい。したがって、用語抗体は、免疫グロブリン断片を含む。そのような断片には、Fab’、F(ab’)、または他の断片が含まれるが、これらに限定されない。そのような抗体断片は、ペプシン、パパイン、または他のプロテアーゼ開裂によって、免疫グロブリン全体から生成されてもよい。そのような断片はまた、組み換え免疫グロブリン技法を利用して設計されてもよい。例えば、本発明における使用のためのSC抗体「Fv」免疫グロブリンは、ペプチドリンカー(例えば、ポリ−グリシンまたはアルファヘリックスまたはベータシートモチーフを形成しない別の配列)を介して、可変重鎖領域に可変軽鎖領域を連結することにより、生成され得る。
【0124】
用語、抗体は、機能的同等物も含む。用語、「機能的同等物」には、相同配列を有する抗体、キメラ抗体、人工抗体、及び改良抗体が含まれる。当業者は、「抗体断片」と称される分子グループ及び「機能的同等物」と称されるグループにおいて、重複が存在することを理解するであろう。機能的同等物を生成する方法は、当業者に既知である。人工抗体には、scFv断片、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、及び分子認識単位(mru)が含まれ、これらの各々が、抗原結合能力を有する。一本鎖の抗体中、抗体のV及びVL領域が、柔軟性ペプチドによって連結される。典型的に、このリンカーペプチドは、約15個のアミノ酸残基の長さである。リンカーがより小さい、例えば、5個のアミノ酸である場合、二重特異性抗体が形成され、これは、2価のscFv二量体である。リンカーが3個未満のアミノ酸残基に還元された場合、三重特異性抗体及び四重特異性抗体と呼ばれる三量体構造及び四量体構造が形成される。抗体の最小結合単位は、CDR、典型的には、別個に使用することができる十分な特定の認識及び結合を有する重鎖のCDR2である。そのような断片は、mruと呼ばれる。いくつかのそのようなmruは、短いリンカーペプチドに一緒に連結され得、したがって、単一のmruより高い親和性を有する人工結合タンパク質を形成する。
【0125】
機能的同等物には、抗体への任意の種類の分子の共有結合によって改良された抗体を含む、改良抗体も含まれる。例えば、改良抗体には、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解開裂、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結によって改良された抗体が含まれる。これらの改良は、限定されないが、特定の化学開裂、アセチル化、及びホルミル化を含む既知の技法によって実施されてもよい。
【0126】
機能的同等物は、異なる骨格内の異なる鎖上の異なるCDRを入れ替えることにより生成することができる。したがって、例えば、抗体の異なるクラスが、異なる重鎖の置換であって、それによって、例えば、lgG1−4、IgM、lgA1−2、IgD、IgE抗体型及びアイソタイプが生成され得る、異なる重鎖の置換によって、所与の組のCDRに関して可能である。同様に、本発明の範囲内の人工抗体は、完全に合成物質の骨格内に所与の組のCDRを埋め込むことにより、生成することができる。機能的同等物は、当分野で既知の多岐にわたる方法を使用して、特定の組のCDRに隣接する可変領域配列及び/または不変領域配列内での変異、欠失、及び/または挿入により容易に生成することができる。CDRは、エピトープ認識及び抗体結合に最も重要である。しかしながら、変更が、抗体がその同族のエピトープを認識し結合する能力を妨げずに、CDRを含む残基に加えられてもよい。例えば、エピトープ認識に影響を与えないが、エピトープに対する抗体の結合親和性を上昇させる変更が、加えられてもよい。したがって、好ましくは上昇した親和性を有する前述のものの改良版が、本発明の範囲内に含まれる。いくつかの研究が、一次抗体配列の知識に基づいて、結合及び発現のレベル等のその特性への、抗体の配列における様々な位置に1つ以上のアミノ酸変更を導入することの影響を調査している(Yang,W.P.et al.,1995,J.Mol.Biol.,254:392−403、Rader,C.et al.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:8910−8915、Vaughan,T.J.et al.,1998,Nature Biotechnology,16:535−539)。これらの研究で、一次抗体の同等物が、オリゴヌクレオチド媒介部位特異的変異誘発、カセット変異誘発、エラープローンPCR、DNAシャッフリング、または大腸菌の突然変異誘発株等の方法を使用して、CDR1、CDR2、CDR3、または骨格領域内の重鎖及び軽鎖遺伝子の配列を変更することにより、生成されている(Vaughan,T.J.et al.,1998,Nature Biotechnology,16:535−539、Adey,N.B.et al.,1996,Chapter 16,pp.277−291,“Phage Display of Peptides and Proteins”,Eds.内Kay,B.K.et al.,Academic Press)。一次抗体の配列変更のこれらの方法は、抗体の改善された親和性をもたらしている(Gram,H.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:3576−3580、Boder,E.T.et al.,2000,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97:10701−10705、Davies,J.and Riechmann,L,1996,Immunotechnolgy,2:169−179、Thompson,J.et al.,1996,J.Mol.Biol.,256:77−88、Short,M.K.et al.,2002,J.Biol.Chem.,277:16365−16370、Furukawa,K.et al.,2001,J.Biol.Chem.,276:27622−27628)。
【0127】
一実施形態において、そのようなアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減し、(2)酸化に対する感受性を低減し、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させ、(4)そのような抗体の他の物理化学的特性または機能的特性を付与または変更するものである。そのような機能的同等物には、天然型ペプチド配列からの配列の様々な突然変異体が含まれ得る。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは、保存的アミノ酸置換)が、天然型配列内で(好ましくは、分子間接触を形成する領域(複数可)外のポリペプチドの部分内で)行なわれてもよい。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特性を実質的に変えるべきではない(例えば、置換アミノ酸は、親配列内に生じる螺旋を破壊するか、または親配列を特徴づける他の種類の二次構造を崩壊させる傾向があるべきではない)。当分野で認められているポリペプチド二次構造及び三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984))、Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991))、and Thornton et al.,1991,Nature,354:105に記載され、これらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
さらに、前述の抗体のうちのいずれかは、1個以上の非古典的アミノ酸を含むように改良されてもよい。一実施形態において、非古典的アミノ酸は、(例えば、そのような教示のために参照に組み込まれるBiochemistry.2009 Dec 22;48(50):12047−57に記載される)セレノシステイン残基である。一実施形態において、非古典的アミノ酸は、抗原/エピトープ結合との干渉を最小化するために、抗体のC末端に配置される。
【0129】
特定の実施形態において、認識部分は、抗体である。さらなる特定の実施形態において、認識部分は、一本鎖の抗体である。ヒト疾患の予防、診断、及び治療における抗体、具体的にはモノクローナル抗体及びSC抗体の使用は、増加している。20個超のモノクローナル抗体が、食品医薬品局によって承認されており、さらに多くが、臨床開発の様々な段階にある。さらに、ADCは、抗体構成成分の特異性、及び化学的構成成分/作用剤、例えば、小分子または作用剤含有ポリマーの作用を活用するためにも、研究されている。例えば、抗体分子が特異性及び親和性を提供する一方で、小分子は、撮像能力または細胞毒性を提供する。
【0130】
一実施形態において、認識部分は、抗体が一本鎖の抗体か他の形態かにかかわらず、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体(ROR)に結合する(Front.Oncol.,18 April 2012|doi:10.3389/fonc.2012.00034で再考察されている)。受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、分化、移動、増殖、及び生存等の通常の細胞プロセスの重要な制御因子として知られているが、受容体チロシンキナーゼは、多くの種類のヒト癌の成長及び進行における決定的役割も有する。その結果、RTK及びこれらのリガンドは、癌の治療介入の魅力的な分子標的となっている。これらの受容体は、通常、発生の間に高レベルで発現し、骨格及び神経系器官形成において重要な役割を果たすが、次いで、成体組織では、抑圧されるようになる。RTKのRORファミリーは、2つの進化的に保存されたタンパク質、ROR1及びROR2からなり、遺伝子発現プロファイリングは、ROR1及びROR2を様々な癌において過剰発現するシグネチャー遺伝子のうちの1つと識別した。例えば、ROR1は、B細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞急性リンパ球性白血病、及び外套細胞白血病を含む様々な造血器癌で過剰発現することが見出されている一方で、ROR2は、様々な肉腫及び癌腫で過剰発現することが見出されている。
【0131】
ROR2は、正常な骨及び軟骨発達の過程において、Wnt5A糖タンパク質とのROR2の関係による非標準のWnt信号を送ることによって活性化される膜結合型RTKである。ROR2発現は、哺乳動物における口蓋発達の間の細胞の移動を媒介するために必要であり、ROR2遺伝子における変異は、短指症B型及び常染色体劣性ルビノー症候群等の疾患を引き起こすことが示されている。ROR2は、ある特定の細胞株において腫瘍形成促進性(pro−tumorigenic)の効果があることが報告されている。ROR2は、様々な肉腫及び癌腫において、過剰発現することが見出されている。
【0132】
癌腫は、最も一般的な種類のヒト癌であり、上皮細胞の細胞学的外観、組織学的構築、または細胞特性を発症した細胞から発生する。癌腫は、完全に異種の実体であり、様々な発癌プロモーターの多岐にわたる強度及び能力を反映する。亜型としては、腺癌、扁平上皮細胞癌、未分化癌、大細胞癌腫及び小細胞癌腫、ならびにこれらの混合物が挙げられる。癌腫は、例えば、肺癌、胸部の腺管癌、前立腺の腺癌、結腸及び直腸の腺癌または扁平上皮細胞癌等の癌腫が起こる部位によっても分類される。肉腫は、間葉細胞から生じ、全ヒト悪性腫瘍のおおよそ1%を占める60個を超える腫瘍型の異種群である。大部分の肉腫が、局所的侵攻性の増殖及び転移の傾向を示す。
【0133】
セレノシステイン複合化
化合物に抗体を結合させるいくつかの従来の方法が知られている。例えば、リジン(Lys)残基のε−アミノ基またはシステイン(Cys)残基のチオール基が、作用剤上で適切な置換基を用いた複合反応で使用されてもよい。しかしながら、これらの手法を使用して生成されたADCは、単一の種の分子ではなく、むしろ抗体/作用剤化学量論の範囲及び結合点を有する分子の混合物である。さらに、生成されたADCは、実質的なバッチ間の変動を特徴とする。複合化のそのようなランダムパターンは、多くの場合、抗原/抗体結合反応を損ない得る。抗体への化学的構成成分/作用剤の部位特異的複合化は、定義された化学量論、低減したバッチ変動、及び抗原/抗体結合反応を保護する能力を提供する。部位特異的複合化の目標は、抗体分子の構造及び/または機能に著しく影響を与えることなく、抗体内へ固有の化学反応性を導入することである。
【0134】
セレノシステイン型は、近年、抗体と化学的構成成分との間に操作された界面を提供することによって抗体への化学的構成成分の部位特異的複合化を提供するために、使用されている。セレノシステインは、所望の場所への化学的構成成分の標的を定めた配置を提供し、1:1化学量論を提供する。このプロセスは、Hofer及びその同僚によって説明されている(PNAS,105(34),12451−12456,2008;Biochemistry,48(50),12047−12057,2009、前述のものの各々は、そのような教示のために参照により本明細書に組み込まれる)。セレノシステイン界面技術は、抗体または抗体断片の生物学的特性に影響を与えずに、抗体分子全部及び抗体断片の両方と一緒に使用されている。他の部位特異的抗体複合化法と比較して、セレノシステイン界面法は、(a)例えば、C末端の抗体構造の若干の改良を伴い、これは、構造または機能を妨げず、(b)単純かつ効果的なカップリング化学を利用し、(c)抗体及び化学的構成成分の1:1化学量論をもたらす。
【0135】
作用剤
作用剤は、疾患もしくは病態の治療、または疾患もしくは病態の診断に有用な任意の作用剤でもよい。ある特定の実施形態において、作用剤は、診断剤または治療剤である。ある特定の実施形態において、治療剤は、有機小分子である。さらに、作用剤は、治療または診断用途を有する任意の分子でもよく、作用剤は、限定されないが、POZポリマー等の本開示のポリマー上の官能基、または本開示のポリマーに連結する連結基と連結を形成し得る。
【0136】
本開示を用いて使用するための作用剤には、既知の任意の作用剤が含まれ得る。一実施形態において、本作用剤は、癌を治療するのに有用である。一実施形態において、本作用剤は、細胞毒性剤である。一実施形態において、本作用剤は、微小管阻害剤、DNA損傷剤、またはポリメラーゼII阻害剤である。微小管阻害剤は、チューブリンを結合させ、微小管を不安定化させ、G2/M期細胞周期を止めさせる。オーリスタチン及びマイタンシノイドは、微小管阻害剤の2つのクラスである。DNA損傷剤には、アントラサイクリン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、及びピロロベンゾジアゼピン(PBD)が含まれる。これらの薬物の全ては、DNAの副溝を結合し、DNA台切断、アルキル化、または架橋を引き起こすことによって機能する。
【0137】
本開示の複合体中で有用な作用剤のクラスには、(限定されないが、モノメチルオーリスタチンE、モノメチルオーリスタチンF、デスメチル−オーリスタチンF等の)オーリスタチン、(限定されないが、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、及びミトキサントロン等の)アントラサイクリン、(限定されないが、カリケアマイシン及びN−アセチル−γカリケアマイシン1,2−ジメチルヒドラジンジクロリド等の)カリケアマイシン、(限定されないが、DM1、DM4、及びアンソミトシン(ansomitocin)等の)マイタンシノイド、(限定されないが、アビーマイシン(abbeymycin)、チカマイシン、DC−81、マゼスラマイシン、ネオトラマイシンA及びB、ポロスラマイシンプロトラカルシン、シバノマイシン(DC−102)シビロマイシン、ならびにトママイシン等の)ピロロベンゾジアゼピン、(限定されないが、SJG−136、SG2285、DRG−16、及びELB−21等の)ピロロベンゾジアゼピンの二量体、(限定されないが、コルヒチン、デアセチルコルヒチン等の)コルヒチン、(限定されないが、ドルスタチン10、15、及び16等の)ドラスタチン、(限定されないが、チューブリシン、A、B、D、及びM等の)チューブリシン類、マイタンシノール、(限定されないが、デュオカルマイシンA、B1、B2、C1、C2、D、SA、及びCC−1065、ならびにアドゼレシン、ビゼレシン、及びカルゼルシン等の)デュオカルマイシン、ネモルビシン及び他のドキソルビシン類似体、ならびに(限定されないが、クリプトフィシン1、8、24、52、55、296及び309等の)クリプトフィシン、(限定されないが、エピチロンA、B、C、D、E、F、BMS247550、及びBMS310705等の)エピチロン、ならびに(限定されないが、サフラシンA及びB等の)サフラシンが含まれるが、これらに限定されない。前述のものの誘導体及び類似体もまた、本開示の範囲内に含まれる。
【0138】
薬学的組成物
ポリマーADCを含む本開示のポリマー複合体は、ヒト用途及び獣医用途の両方のために製剤化することができ、ポリマーADC及び薬学的に許容される担体を含んでもよい。一般に、薬学的組成物は、限定されないが、滅菌水、生理的食塩水、緩衝食塩水、またはデキストロース溶液を含む、滅菌した生体適合性担体等の1種以上の不活性作用剤に加えて、本開示のポリマーADCを含む。薬学的組成物は、単独で、または他の化学療法化合物、ホルモン、ワクチン、及び/もしくは放射線治療を含む他の治療レジメンと組み合わせて、のいずれかで投与されてもよい。「と組み合わせて」は、追加のレジメンが一緒に送達するために同時に投与されなければならないか、または配合されなければならないことを意味しないが、送達のこれらの方法は、本発明の範囲内である。一般に、各々は、投与量で、かつそのレジメンのために決定された時間スケジュールで投与される。さらに、本発明は、生物学的利用能を改善し得るか、新陳代謝を低減もしくは変更し得るか、排泄を抑制し得るか、または体内での分配を変更し得る作用剤と組み合わせた、本開示のポリマーADCの送達を包含する。あるいは、または加えて、本開示のポリマーADCは、治療される疾患もしくは障害の症状もしくは原因、または患者が患う任意の他の病気の症状もしくは原因に対処する1つ以上の他の化合物と一緒に投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、治療を必要とするあらゆる対象(例えば、あらゆる動物)の治療のために使用することができるが、本発明の薬学的組成物は、最も好ましくは、ヒトの治療で使用される。
【0139】
本発明の薬学的組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、皮下、脳室内、経皮、直腸内、膣内、腹腔内、(粉末、軟膏、もしくは滴薬による)局所的、口腔を含む様々な経路により、または経口もしくは経鼻の噴霧剤もしくはエアロゾル剤として、ヒト及び他の動物に投与することができる。一般に、投与の最も適切な経路は、化合物の性質(例えば、消化管の環境内でのその安定性)、患者の状態(例えば、患者が経口投与に耐えることができるかどうか)を含む様々な要因に左右される。現在、静脈内経路が、本開示のポリマーADCを送達するために最も一般的に使用される。しかしながら、本開示は、薬物送達の科学において起こり得る進歩を考慮した、任意の適切な経路による本開示ポリマーADCの送達を含む。
【0140】
治療の方法
ある特定の実施形態において、本開示のポリマー複合体は、癌細胞または腫瘤等の特定の細胞または組織を標的としてもよい。この実施形態の一態様において、ポリマーADCが、ポリマーに結合した抗体によって結合され得る(限定されないが、細胞表面受容体等の)抗原を発現する特定の細胞または組織を標的にするために使用することができる。
【0141】
一実施形態において、病態または病状を治療する方法が開示される。そのような方法は、標的細胞上の選択された抗原と結合し、細胞に作用剤を送達する、対象へのある量の本開示の(ポリマーADC複合体を含む)ポリマー複合体を対象に投与するステップを含む。一実施形態において、作用剤は、細胞毒性剤である。一実施形態において、本作用剤は、微小管阻害剤、DNA損傷剤、またはポリメラーゼII阻害剤である。
【0142】
本開示のポリマー複合体上の抗体によって認識される抗原を発現する細胞の成長を抑制するための方法が、提供される。そのような方法は、標的細胞上の選択された抗原と結合し、細胞に作用剤を送達する、対象へのある量の本開示の(ポリマーADC複合体を含む)ポリマー複合体を対象に投与するステップを含む。一実施形態において、作用剤は、細胞毒性剤である。一実施形態において、本作用剤は、微小管阻害剤、DNA損傷剤、またはポリメラーゼII阻害剤である。選択された細胞集団の成長を抑制するための方法は、試験管内、生体内、または生体外で実施され得る。本明細書において使用する場合、「成長を抑制する」は、短期間にわたってか、または長期間にわたってかにかかわらず、細胞の成長を遅くすること、細胞生存率を減少させること、細胞の死を引き起こすこと、細胞を溶解し、細胞の死を誘発すること、を意味する。
【0143】
結果として、本開示は、薬剤として説明される抗ポリマーADC複合体の使用を含む。
【0144】
記載される方法において、ポリマー複合体は、本明細書に記載されるように、単独で、または薬学的組成物の一部として投与されてもよい。一実施形態において、対象は、そのような治療の必要があると判定される。さらなる実施形態において、ポリマー複合体は、治療有効量で投与される。本明細書に開示される方法において、対象は哺乳動物であり得る。ある特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0145】
一実施形態において、病態は癌である。本開示のポリマーADCは、(限定されないが)扁平上皮細胞癌;白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫を含むリンパ系の造血器腫瘍;急性ならびに慢性骨髄性白血病及び前骨髄球性白血病を含む骨髄細胞系の造血器腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉由来の腫瘍;黒色腫、精上皮腫、奇形癌、神経芽細胞腫、及び神経膠腫を含む他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、及び神経鞘腫を含む中枢神経系及び末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む間葉由来の腫瘍;ならびに黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、濾胞性甲状腺癌、及び奇形癌を含む他の腫瘍を含む、膀胱、胸部、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、子宮頸部、甲状腺、及び皮膚の癌腫を含む癌腫を含む様々な癌の治療または予防に有用である。治療される癌の性質は、ポリマー複合体と結合する抗体の性質によって決定され得る。
【0146】
ROR1及び/またはROR2陽性細胞の成長を抑制することを必要とする患者に、ROR1及び/またはROR2と結合し、ROR1及び/またはROR2陽性細胞に作用剤を送達する本開示のポリマーADCを投与することによって、ROR1及び/またはROR2陽性細胞の成長を抑制するための方法が提供される。一実施形態において、作用剤は、細胞毒性剤である。選択された細胞集団の成長を抑制するための方法は、試験管内、生体内、または生体外で実施され得る。本明細書において使用する場合、「成長を抑制する」は、短期間にわたってか、または長期間にわたってかにかかわらず、細胞の成長を遅くすること、細胞生存率を減少させること、細胞の死を引き起こすこと、細胞を溶解し、細胞の死を誘発すること、を意味する。結果として、本開示は、薬剤として説明される抗ポリマーADC複合体の使用を含む。
【0147】
臨床治療の生体内での使用に関して、ポリマー複合体は、滅菌状態及び内毒素レベルの試験済み溶液として供給される。本開示のポリマー複合体の投与の好適なプロトコルの例は、任意の好適な経路によって、毎日、週2回、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間以上で週1回である。投与の経路、賦形剤、希釈剤、投与量、時間等に関する特定の臨床プロトコル臨床プロトコルは、臨床的状況が正当な根拠を与えるとき、当業者のうちの1人によって決定され得る。
【0148】
キット
本開示は、本開示のポリマー複合体、包装材料、及び対象に疾患または病態、限定されないがそのような癌の治療のために前述のものを投与するための使用説明書から本質的になるか、またはこれらからなる、含むキットを提供する。
【実施例】
【0149】
材料の調製
本開示の教示を例示するために、ポリオキサゾリン−ADC複合体の調製を提供し、これらの複合体の生物活性を説明する。使用される略称は、以下のとおりである。DC、デアセチルコルヒチン;MMAE、オーリスタチン;POZ、プロピオン酸で停止したポリオキサゾリン;VC、バリン−シトリン;Phe−Lys、フェニルアラニン及びリジン;PAB、p−アミノベンジルアルコール;DCM、ジクロロメタン;TEA、トリメチルアミン;DMAP、ジメチルアミノピリジン;DIPEA、ジイソプロピルエチルアミン;ACN、アセトニトリル;NPC、ニトロフェニルカーボネート、PEG、ポリエチレングリコール;N、アジドまたはアジド。
【0150】
材料
コルヒチンは、Sigmaから購入した。ジ−tert−ブチルジカーボネート、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、トリエチルアミン(TEA)、メタノール中の0.5Nのナトリウムメトキシド、トリフルロ酢酸(trifluroacetic acid)(TFA)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N−Boc−エチレンジアミン(Boc−EDA)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、Fmocクロリド(Fmoc−Cl)、N−(2−アミノエチル)マレイミドTFA塩、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)、ヨウ化銅(I)、及びピペリジンは、Sigma−Aldrichから購入した。N−PEG4−VC−PAB−PNP、N−PEG−VC−PAB−MMAE、及びN−PEG4−Phe−Lys(Trt)−PAB−NPCは、Concortisから購入した。ジエチルエーテル、ジクロロメタン(DCM)、及びアセトニトリル(ACN)は、EMDから購入した。ビオチン−PEG3−アジドは、Chempepから購入した。L(+)−アスコルビン酸ナトリウム塩及び硫酸銅5水和物(CuSO・5HO)は、Flukaから購入した。Dowex(登録商標)M4195は、Supelcoから購入した。ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドラフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、アセトニトリル(ACN)、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、及びシリカゲル60(70−230メッシュ)は、EMDから購入した。スクシンイミジルヨードアセテートは、CovaChemから購入した。ビオチン−PEG3−アジドは、Chempepから購入した。
【0151】
実施例1.
POZ 10pマレイミド5Kの調製
10個のペンダントアルキン基を有し、カルボン酸(POZ 10p酸5K)で停止したMW5,000のPOZを、米国特許第8,110,651号及び同第8,101,706号に記載される手順に従って合成した(これらの各々は、そのような教示のために参照により本明細書に組み込まれる)。POZ 10p酸5Kは、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI)質量分析(MS)によって決定した、5,500g/molのM及び1.01のPDIを有した。AKTAクロマトグラフィー(DEAEカラム)によるポリマーの末端基分析は、ポリマーが99.8%の酸末端基を有したことを示した。H NMRスペクトルは、その構造に準拠し、ポリマー中の2−ペンチニル−2−オキサゾリン及び2−エチル−2−オキサゾリン単位の比率は、10:40であったことを示した。
【化19】
【0152】
スクシンイミジル誘導体として活性化されたPOZ酸(POZ 10p SPA 5K)を、米国特許第7,943,141号に記載される手順に従って合成した。H NMRスペクトルは、その構造に準拠し、スクシンイミジルエステルへの酸基の定量的変換を示した。
【化20】
【0153】
N−(2−アミノエチル)マレイミドトリフルオロアセテート塩(0.0794g、3.125×10−4mol、1.25当量)を、25mL丸底フラスコ内で、15mLのジクロロメタンに溶解した。0.0871mLのトリエチルアミン(0.0632g、6.25×10−4mol、2.5当量)を、フラスコ内へ添加した。次いで、1.375gのPOZ 10p SPA 5K(2.5×10−4mol、1当量)をフラスコ内へ添加し、アルゴン下で20時間、室温で溶液を撹拌した。この時間の最後に、溶液を乾燥状態まで回転蒸発させた。残基を100mLの脱イオン水、10重量%の塩化ナトリウムに溶解し、ジクロロメタン(3×25mL)中に抽出した。ジクロロメタン相を分離し、25mLの10重量%の塩化ナトリウム溶液で洗浄した。ジクロロメタン相を再び分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、15mLに濃縮し、225mLのジエチルエーテル中で析出させた。ポリマーを、ガラス焼結フリットをとおして濾過し、高真空下で一晩乾燥させ、1.00gの生成物を得た(収率:72%)。H NMR(Varian、10mg/mLのCDCl、δ)は、1.12ppm(s、3H、CHCHCO−)、2.31ppm(小さいs)及び2.41ppm(大きいs)(総面積2H、CHCHCO−)、ならびに3.47ppm(s、4H、−NHCHCHNH−)で通常の骨格ピークを示した。ペンダント基のピークは、1.84ppm(m、2H、−CHCHCHCC≡H)、及び2.00ppm(m、1H、CHCHCHCC≡H)で出現した。末端−CHSCHCHCONH−のピークは、2.70〜2.82ppmで出現した。マレイミドの窒素に結合した−CH基及びマレイミドの−CH基は、それぞれ3.68ppm及び6.72ppmで出現した。ポリマー中の2−ペンチニル−2−オキサゾリン及び2−エチル−2−オキサゾリン単位の比率は、10.2:40であった。POZ 10pマレイミド5Kは、MALDIからの6,400g/molのM及び1.02のPDIを有した。
【0154】
POZ 2pマレイミド5Kの調製
POZ 2p酸5Kを、米国特許第8,110,651号及び同第8,101,706号に記載される手順に従って合成した。POZ 2p酸5Kは、MALDIからの5,200g/molのM及び1.02のPDIを有した。AKTA(DEAEカラム)によるポリマーの末端基分析は、ポリマーが98.6%の酸末端基を有したことを示した。H NMRは、ポリマー中の2−ペンチニル−2−オキサゾリン及び2−エチル−2−オキサゾリン単位の比率は、1.9:48であったことを示した。
【化21】
【0155】
POZ 2p SPA 5Kを、米国特許第7,943,141号に記載される手順に従って合成した。H NMRスペクトルは、その構造に準拠し、NHSエステルへの酸基の定量的変換を示した。
【化22】
【0156】
0.31gのN−(2−アミノエチル)マレイミドトリフルオロアセテート塩(1.2×10−3mol、1.25当量)を、100mL丸底フラスコ内で、50mLのジクロロメタンに溶解した。トリエチルアミン(0.24g、2.4×10−3mol、2.5当量)を、フラスコ内へ添加した。次いで、POZ 2p SPA 5K(5.0g、9.6×10−4mol、1当量)を、フラスコ内へ添加した。溶液をアルゴン下で24時間、室温で撹拌した。溶液を、10重量%のNaCl(0.1NのHCl)溶液(3×50mL)で洗浄した。ジクロロメタン相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、50mLに濃縮し、750mLのジエチルエーテル中で析出させた。ポリマーを、ガラス焼結フリットをとおして濾過し、高真空下で一晩乾燥させ、4.53gの生成物を得た(収率:90%)。H NMR(Varian、10mg/mLのCDCl、δ)は、1.13ppm(s、3H、CHCHCO−)、2.29ppm(小さいs)及び2.41ppm(大きいs)(総面積2H、CHCHCO−)、ならびに3.47ppm(s、4H、−NHCHCHNH−)で通常の骨格ピークを示した。ペンダント基のピークは、1.84ppm(m、2H、−CHCHCHCC≡H)、及び2.00ppm(m、1H、CHCHCHCC≡H)で出現した。末端−CHSCHCHCONH−ピークは、2.68〜2.82ppmで出現した。マレイミドの窒素に結合した−CH基及びマレイミドの−CH基は、それぞれ3.67ppm及び6.72ppmで出現した。ポリマー中の2−ペンチニル−2−オキサゾリン及び2−エチル−2−オキサゾリン単位の比率は、1.9:48であった。POZ 2pマレイミド5Kは、MALDIからの4,850g/molのM及び1.02のPDIを有した。
【0157】
実施例2.ペンダントペンチン基を用いたPOZへのアジド毒素のカップリング
この反応は、米国特許第8,101,706号に記載されるように実施され、これは、そのような教示のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0158】
実施例3.デアセチルコルヒチンTFA(3)の合成
【化23】
【0159】
ステップ1.N−Boc−コルヒチン(1)の合成
デアセチルコルヒチン(DC)を、L.Lebeaii,et al.,Syn.Comm.,27(2),293−296(1997)に従って合成した。アセトニトリル(ACN)(20mL)中のコルヒチン(2.00gm、4.76mmol)の溶液を、乾燥状態まで蒸発させた。次いで、ACN(20mL)をこの固形物に添加した。トリエチルアミン(TEA)(0.74mL、5.34mmol)及びジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.65gm、5.33mmol)を、溶液に添加し、続いて、ジ−tert−ブチルジカーボネート(6.23mL、27.1mmol)を添加した。溶液を、アルゴン雰囲気下で一晩、80℃で撹拌させた。室温に冷ました後、溶液を、回転蒸発装置上で乾燥状態まで蒸発させた。粗残留物をエチルアセテートに溶解し、移動相としてエチルアセテートを使用して、Biotage Isoleraシステム上でシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物画分を回転蒸発装置上で乾燥状態まで蒸発させ、1.47gmの固形物を得た(1.収率:59%)。HPLCにより、純度は、99%超であった。CDCl中の化合物1の1H−NMR:7.573ppm、s、1H;7.198ppm、d、1H;6.758ppm、d、1H;6.524ppm、s、1H;5.139ppm、m、1H;3.966ppm、s、3H;3.930ppm、s、3H;3.894ppm、m、3H;3.657ppm、s、3H;2.497〜2.672ppm、m、3H;2.277ppm、s、3H;1.961ppm、m、1H;1.558ppm、s、9H。
【0160】
ステップ2.N−Boc−デアセチルコルヒチン(2)及びデアセチルコルヒチン・TFA(3)の合成
N−Boc−コルヒチン(1、1.47gm、2.94mmol)をメタノール(35mL)に溶解し、これを、アルゴン雰囲気下で0℃に冷却させた。撹拌している溶液に、メタノール中の0.5Nのナトリウムメトキシド(23.6mL、11.78mmol)を滴加した。溶液を、0℃で撹拌させた。65分の反応の後に、NHCl(0.63gm、11.78mmol)を、反応混合物を中和するために0℃で添加した。5分の撹拌の後に、明澄な溶液を、回転蒸発装置上で乾燥状態まで蒸発させた。残留物をDCM(30mL)と一緒に撹拌し、次いで濾過して、固形の塩を除去した。塩をさらなるDCM(10mL)ですすぎ、同じ濾液内へと濾過した。DCM中の粗N−Boc−デアセチルコルヒチン(2)のこの濾液に、TFA(4mL)を添加した。溶液を、アルゴン下で、室温で撹拌させた。2.5時間の反応の後に、トルエン(35mL)を反応混合物に添加し、続いて、乾燥状態まで乾燥させた(0トルへの勾配)。粗残留物をDCM(10mL)に溶解し、移動相としてDCM−メタノール(9:1v/v)を使用して、Biotage上のシリカゲルカラム上で精製した。溶出を247nmで監視した。画分(TLCによりR=0.34)を含有する生成物を、回転蒸発により乾燥状態近くまで蒸発させ、真空で一晩さらに乾燥させ、1.2gmの黄色い固形物を得た(3、収率:87%)。HPLCにより、純度は、99%超であった。DMSO−d6中の3のH−NMR:8.447ppm、s、3H;7.105〜7.189ppm、m、3H;6.823ppm、s、1H;3.910ppm、s、3H;3.844ppm、s、3H;3.813ppm、m、1H;3.780ppm、s、3H;2.655ppm、m、1H;2.267ppm、m、2H;1.929ppm、m、1H。
【0161】
実施例4.N−(N−PEG4−VC−PABC)−デアセチルコルヒチン(4)の合成
【化24】
【0162】
デアセチルコルヒチンTFA(3、0.30gm、0.64mmol)を無水DCM(20mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で撹拌した。黄色い溶液にN−PEG4−VC−PAB−PNP(0.66gm、0.76mmol)を添加し、続いて、TEA(0.27mL、1.91mmol)、ACN(5mL)、及びDMF(5mL)を添加した。次いで、DIPEA(0.44mL、2.55mmol)を反応混合物に添加した。2日の反応の後に、反応混合物の逆相HPLC分析は、97%の転化を示した。反応混合物を、真空下で、37℃で乾燥状態まで蒸発させた。粗残留物をエチルアセテート−メタノール(10mL、10:1v/v)に溶解し、移動相Aとしてエチルアセテートを、及び移動相Bとしてメタノールを使用して、Biotage上のシリカゲルカラムによって精製した。溶出を247nmで監視した。生成物含有画分を回転蒸発により乾燥状態近くまで蒸発させ、真空で一晩さらに乾燥させ、0.56gmの黄色い固形物を得た(4、収率:84%)。DMSO−d6中の化合物4のH−NMR:9.985ppm、s、1H;8.112ppm、m、2H;7.868ppm、d、1H;7.576ppm、d 2H;7.234ppm、d、3H;7.115ppm、d、1H;7.032ppm、d、1H;6.768ppm、s、1H;5.977ppm、t、不十分な分解、1H;5.411ppm、s、NH−;4.903ppm、q、2H;4.379ppm、m、1H;4.230ppm、m、1H;4.147ppm、m、1H;3.879ppm、s、3H;3.833ppm、s、3H;3.789ppm、s、3H;3.592ppm、s、3H;3.531ppm、m、−CHCHO−;3.316ppm、t、2H;3.020ppm、m、1H;2.949ppm、m、1H;2.568ppm、m、1H;2.375ppm、m、1H;2.184ppm、m、1H;1.829ppm、m、1H;1.686ppm、m、1H;1.592ppm、m、1H;1.433ppm、m、1H;1.369ppm、m、1H;0.860ppm、d、3H;0.827ppm、d、3H。
【0163】
実施例5.N−(N−PEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC)−デアセチルコチシン(Deacetylcochicine)5の合成
【化25】
【0164】
デアセチルコルヒチン・TFA(3、0.18gm、0.39mmol、1.0当量)及びN−PEG4−Phe−Lys(Trt)−PAB−NPC(0.50gm、0.46mmol、1.2当量)を、無水DMF(5mL)に溶解した。TEA(162μL、1.16mmol、3.0当量)及びDIPEA(202μL、1.16mmol、3.0当量)を、反応混合物に添加した。黄色い溶液を、アルゴン雰囲気下で一晩、室温で撹拌させた。反応混合物を、真空下で、37℃で乾燥状態まで蒸発させた。粗生成物をエチルアセテートに溶解し、移動相Aとしてエチルアセテートを、及び移動相Bとしてメタノールを使用して、Biotage上のシリカゲルカラムによって精製した。溶出を317nmで監視した。生成物含有画分を回転蒸発により乾燥状態近くまで蒸発させ、真空で一晩さらに乾燥させ、0.47gmの黄色い固形物を得た(5、収率:79%)。純度98%(HPLC)。化合物5(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMR:9.992ppm、s、1H;8.112ppm、m、2H;8.020ppm、d、1H;7.566ppm、d、2H;7.381ppm、d、6H;7.226〜7.271ppm、m、14H;7.105〜7.209ppm、m、4H;7.039ppm、d、1H;6.766ppm、s、1H;4.891ppm、dd、2H;4.557ppm、t、1H、不十分な分解;4.080ppm、m、1H;3.870ppm、s、3H;3.828ppm、s、3H;3.784ppm、s、3H;3.527ppm、m、−CHCHO−;3.519ppm、s、3H;2.996ppm、dd、1H;2.742ppm、7、1H;2.575ppm、m、1H;1.2〜2.3ppm、複数のピーク。
【0165】
実施例6.POZ 10p−EDA−Boc 20K(7)の合成
【化26】
【0166】
ペンダントPOZ 10p酸20K(10gm、0.52mmol、1.0当量)及びNHS(0.078gm、0.67mmol、1.3当量)を、無水ACN(200mL)に溶解した。溶液を、回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。残留物を無水DCM(100mL)に溶解し、続いて、DCC(0.138gm、0.67mmol、1.3当量)を添加した。溶液を、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌させた。反応混合物を、ジエチルエーテル(1600mL)内へ緩徐に添加することより析出した。析出物を濾過し、真空下で一晩乾燥させ、8.8gmの白い粉末(6)を得た。6上のスクシンイミジル基の置換は、イオン交換クロマトグラフィーによって決定された、98%である。化合物6(Varian、10mg/mLのCDCl、δ)のH NMRは、1.12ppm(s、3H、CHCHCO−)、2.31ppm(小さいs)及び2.41ppm(大きいs)(総面積2H、CHCHCO−)、及び3.47ppm(s、4H、−NHCHCHNH−)で通常の骨格ピークを示した。ペンダント基ピークは、1.84ppm(m、2H、−CHCHCHCC≡H)、及び2.00ppm(m、1H、CHCHCHCC≡H)で出現した。末端スクシンイミジル基ピークは、2.86ppm(s、4H)で出現した。
【0167】
無水DCM(100mL)中のBOC−EDA(0.10gm、0.62mmol、2.1当量)及びTEA(0.17mL、1.2mmol、4.1当量)の溶液に、化合物6(5.6gm、0.29mmol、1当量)を添加した。溶液をアルゴン雰囲気下で一晩、室温で撹拌した。次いで、反応混合物を、ジエチルエーテル(800mL)内へ緩徐に添加することにより析出した。析出物を濾過し、真空で一晩乾燥させ、5.0gmの白い粉末(7)を得た。7上でのBoc−EDAの置換は、イオン交換クロマトグラフィーによって決定された、91%である。化合物7(Varian、10mg/mLのCDCl、δ)のH NMRは、1.12ppm(s、3H、CHCHCO−)、2.31ppm(小さいs)及び2.41ppm(大きいs)(総面積2H、CHCHCO−)、及び3.45ppm(s、4H、−NHCHCHNH−)で通常の骨格ピークを示した。ペンダント基ピークは、1.84ppm(m、2H、−CHCHCHCC≡H)、及び1.94ppm(m、1H、CHCHCHCC≡H)で出現した。末端−O−C(CH基ピークは、1.43ppm(s、9H)で出現した。
【0168】
実施例7.POZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチン)−ヨードアセトアミド(11)の合成
【化27】
【0169】
アジド−PEG3−ビオチン(98mg、0.22mmol、2.1当量)及びPOZ 10p−EDA−BOC 20K(7、2.000gm、0.10mmol、1.0当量)を、脱イオン水(25mL)に溶解した。溶液を、緩徐なアルゴン流で15分間スパージした。次いで、L(+)−アスコルビン酸ナトリウム塩(44mg、0.22mmol、2.1当量)をフラスコに添加し、続いて、CuSO・5HO(55mg、0.22mol、2.1当量)をすぐに添加した。溶液をアルゴン雰囲気下で一晩、室温で撹拌した。反応混合物の逆相HPLC分析は、反応が完了していることを示した。溶液を、Dowex(登録商標)M4195媒体(20gm)が充填されたカラムを通過させて、銅を除去した。カラムを、追加の脱イオン水(175mL)を用いて溶出させた。NaCl(30gm)を溶離液(200mL)に溶解した。溶液をDCM(3×100mL)で抽出した。DCM溶液を、無水硫酸マグネシウム(1.5gm)及び硫酸ナトリウム(100gm)上で乾燥させた。混合物を、ガラスフリットをとおして濾過した。濾液を回転蒸発により乾燥状態近くまで濃縮し、真空で一晩さらに乾燥させ、これにより、1.7gmの白い固形物(8)を得た。化合物8(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.28ppm(大きいs)及び2.33ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.44(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。残りのペンダント基ピークは、1.65ppm(m、1個の−CHCHCHCC≡H当たり2H)、及び2.75ppm(m、1個のCHCHCHCC≡H当たり1H)で出現した。POZ末端基ピークは、1.37ppm(s、9H、−O−C(CH)、6.77ppm(t、不十分な分解、1H、−NH−Boc)、7.92ppm(t、不十分な分解、1H、−CONH−)で出現した。ペンダントビオチン関連ピークは、3.79ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、4.12ppm(m、ビオチン上の1個の−CONHCH(CHS−当たり1H)−)及び4.30ppm(m、ビオチン上の1個の−CONHCH当たり1H)、4.45ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、6.34ppm(複数可)及び6.40ppm(複数可)(1個の−NH−CO−NH−当たり2H)、7.81ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H、1個の−CONH−当たり1H)。
【0170】
50mL丸底フラスコ中のN−(N−PEG4−VC−PABC)−デアセチルコルヒチン(4、0.15gm、0.15mmol、7.5当量)に、無水THF(10mL)を添加した。次いで、POZ 20Kペンダントビオチン−EDA−Boc(8、0.40gm、0.020mmol、1当量)を溶液に溶解した。溶液を緩徐なアルゴン流下で10分間撹拌させた。次いで、CuI(23mg、0.12mmol、6.0当量)を添加し、続いて、TEA(17μL、0.12mmol、6.0当量)をすぐに添加した。DMF(1mL)を反応混合物内へ添加した。緑色を帯びた溶液を、アルゴン雰囲気下で一晩、40℃で撹拌した。反応混合物の逆相HPLC分析は、一晩の撹拌後、反応が完了していることを示した。反応混合物を濾過し、濾液を回転蒸発によって乾燥状態近くまで濃縮した。残留物DMFを、真空下でさらに蒸発させた。残留物に、20mLのメタノールを添加した。明澄な緑色の溶液を、Dowex(登録商標)M4195媒体(20mL)が充填されたカラムを通過させることにより精製して、銅を除去した。カラムを、追加のメタノール(80mL)を用いて溶出させた。溶離液(100mL)を回転蒸発により乾燥状態まで濃縮させた。残留物をDCM(10mL)に溶解し、これをジエチルエーテル(150mL)内へ緩徐に添加することにより、析出させた。析出物を濾過し、次いで、真空で一晩乾燥させ、0.49gmの琥珀色の粉末(9)を得た。化合物9(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.28ppm(大きいs)及び2.33ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.44(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。POZ末端基ピークは、1.37ppm(s、9H、−O−C(CH)、6.77ppm(t、不十分な分解、1H、−NH−Boc)、7.82ppm(t、不十分な分解、1H、−CONH−)で出現した。ペンダントビオチン関連ピークは、3.79ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、4.12ppm(m、ビオチン上の1個の−CONHCH(CHS−)−当たり1H)及び4.30ppm(m、ビチオン上の1個の−CONHCH当たり1H)、4.46ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、6.34ppm(複数可)及び6.40ppm(複数可)(1個の−NH−CO−NH−当たり2H)、7.81ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H、1個の−CONH−当たり1H)を含む。ペンダントPEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチンピークのうちのいくつか(以下のHの数は、1個のペンダントPEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチン当たりを示す)は、0.827ppm、d、3H;0.860ppm、d、3H;1.37ppm、m、1H;1.43ppm、m、1H;1.59ppm、m、1H;1.69ppm、m、1H;1.83ppm、m、1H;2.58ppm、m、1H;2.95ppm、m、1H;3.02ppm、m、1H;3.53ppm、m、−CHCHO−;3.59ppm、s、3H;3.79ppm、s、3H;3.83ppm、s、3H;3.88ppm、s、3H;4.15ppm、m、1H;4.23ppm、m、1H;4.38ppm、m、1H;4.45ppm、t、2H;4.90ppm、q、2H;5.41ppm、s、NH−;5.98ppm、t、不十分な分解、1H;6.77ppm、s、1H;7.03ppm、d、1H;7.12ppm、d、1H;7.23ppm、d、3H;7.58ppm、d 2H;7.82ppm、t、1H;7.87ppm、d、1H;8.11ppm、m、2H;9.98ppm、s、1Hを含む。
【0171】
POZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチン)−EDA−BOC(9、0.480gm)を、DCM(3.2mL)に溶解し、続いて、TFA(3.2mL)を添加した。溶液を、アルゴン下で3時間、室温で撹拌させた。次いで、混合物を回転蒸発により28℃で乾燥状態まで蒸発させた。残留物は、溶解DCM(30mL)であった。溶液を、15%のブライン(2×20mL)によって洗浄した。相分離後、DCM溶液を15%のブライン(40mL、pHは1NのNaOHによって12に調節した)で洗浄した。相分離後、DCM溶液を回収し、無水硫酸ナトリウム(20gm)上で乾燥させた。混合物を、ガラスフリットをとおして濾過した。濾液を乾燥状態まで蒸発させた。残留物をDCM(7mL)に溶解し、次いで、ジエチルエーテル(150mL)中で析出させた。析出物を濾過し、真空で一晩乾燥させ、0.13gmの白い粉末(10)を得た。化合物10(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.28ppm(大きいs)及び2.33ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.44(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。POZ末端Boc基の1.37ppmピークは、大幅に低減され、これは、末端Boc基の除去を示した。末端アミドNHは、7.82ppm(t、不十分な分解、1H、−CONH−)で出現した。ペンダントビオチン関連ピークのうちのいくつかは、3.79ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、4.12ppm(m、ビチオン上の1個の−CONHCH(CHS−)−当たり1H)及び4.30ppm(m、ビチオン上の1個の−CONHCH当たり1H)、4.46ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、6.34ppm(複数可)(1個の−NH−CO−NH−当たり2H)及び6.40ppm(複数可)、7.81ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H、1個の−CONH−当たり1H)を含む。ペンダントPEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチンピークのうちのいくつか(以下のHの数は、1個のペンダントPEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチン当たりを示す)は、0.827ppm、d、3H;0.860ppm、d、3H;1.37ppm、m、1H;1.43ppm、m、1H;1.59ppm、m、1H;1.69ppm、m、1H;1.83ppm、m、1H;2.58ppm、m、1H;2.95ppm、m、1H;3.02ppm、m、1H;3.53ppm、m、−CHCHO−;3.59ppm、s、3H;3.79ppm、s、3H;3.83ppm、s、3H;3.88ppm、s、3H;4.15ppm、m、1H;4.23ppm、m、1H;4.38ppm、m、1H;4.45ppm、t、2H;4.90ppm、q、2H;5.41ppm、s、NH−;5.98ppm、t、不十分な分解、1H;6.77ppm、s、1H;7.03ppm、d、1H;7.12ppm、d、1H;7.23ppm、d、3H;7.58ppm、d 2H;7.82ppm、t、1H;7.87ppm、d、1H;8.11ppm、m、2H;9.98ppm、s、1Hを含む。
【0172】
POZペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチン)−EDA 20K(10、0.11gm、0.0042mmol、1当量)を、ACN(5mL)に溶解し、次いで、これを回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。残留物をDCM(5mL)に溶解した。スクシンイミジルヨードアセテート(2.5mg、0.0083mmol、2当量)を添加し、続いて、TEA(4.6μL、0.033mmol、8当量)を添加した。溶液を、アルゴン雰囲気下で、暗中で撹拌させた。一晩の反応後、溶液を80mLのジエチルエーテル中で析出させた。析出物を濾過し、ジエチルエーテル(5mL)によってすすぎ、真空で乾燥させ、これにより99mgの白い粉末(11)を得た。11のヨードアセトアミド置換は、3−メルカプトプロピオン酸との反応後、イオン交換クロマトグラフィーによって決定された、81%であった。
【0173】
実施例8.POZ 10p−EDA−Fmoc 20K(13)の合成
【化28】
【0174】
POZ 10p−EDA−BOC 20K(7、1.0gm)をDCM(6mL)に溶解し、続いて、TFA(6mL)を添加した。溶液を、アルゴン雰囲気下で2時間、室温で撹拌した。次いで、混合物を28℃で乾燥状態まで蒸発させた。残留物は、溶解脱イオン水(10mL)であり、溶液のpHを1NのNaOHによって11に調節した。NaClを溶液添加し、15%のブラインを作製し、これを、DCM(4×30mL)によって抽出した。相分離後、DCM相を回収し、無水MgSO(1gm)及びNaSO(90gm)上で乾燥させた。濾過して固形物を取り除いた後、濾液を乾燥状態まで蒸発させた。残留物をDCM(10mL)に溶解し、これを、ジエチルエーテル(200mL)中に添加して、ポリマーを析出した。析出物を濾過し、真空で一晩乾燥させ、0.86gmの白い粉末(12)を得た。化合物12(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.28ppm(大きいs)及び2.33ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.44(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。ペンダント基ピークは、1.64ppm(m、1個の−CHCHCHCC≡H当たり2H)、及び2.77ppm(m、1個のCHCHCHCC≡H当たり1H)で出現した。POZ末端Boc基(1.37ppm)は、消失し、これは、末端Boc基の完全な除去を示した。
【0175】
10mLのACN(10mL)中のPOZ 10p−EDA 20K(12、0.42gm、0.022mmol、1当量)の溶液を、回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。残留物をDCM(6mL)に溶解した。DIPEA(15μL、0.087mmol、4当量)及びFmocクロリド(12mg、0.044mmol、2当量)を添加した。アルゴン下での一晩の撹拌後、溶液を乾燥状態まで蒸発させた。残留物を脱イオン水(10mL)に溶解し、続いて、NaCl(1gm)を溶解した。水溶液をジエチルエーテル(15mL)によって洗浄し、続いて、DCM(3×15mL)で残りの水溶液を抽出した。DCM溶液を、NaSO(20gm)上で乾燥させ、次いで、濾過して、固形物を除去した。濾液を回転蒸発により約4mLまで濃縮させ、次いで、ジエチルエーテル(80mL)中で析出させた。析出物を濾過によって回収し、真空で一晩乾燥させ、0.36gmの白い粉末(13)を得た。CDCl中のNMRは、Fmocへの転化を示した。化合物13(Varian、10mg/mLのCDCl、δ)のH NMRは、1.12ppm(s、3H、CHCHCO−)、2.31ppm(小さいs)及び2.41ppm(大きいs)(総面積2H、CHCHCO−)、ならびに3.45ppm(s、4H、−NHCHCHNH−)で通常の骨格ピークを示した。ペンダント基ピークは、1.84ppm(m、2H、−CHCHCHCC≡H)、及び2.03ppm(m、1H、CHCHCHCC≡H)で出現した。Fmoc基ピークは、4.20ppm(t、1H)、4.37ppm(m、2H)、7.31ppm(t、2H)、7.40ppm(t、2H)、7.59ppm(d、2H)、及び7.76ppm(d、2H)で出現した。
【0176】
実施例9.POZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−Phe−Lys−PABC−デアセチルコルヒチン)−ヨードアセトアミド(17)の合成
【化29】
【0177】
100mL丸底フラスコ中のN−PEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC−カーボネート−デアセチルコルヒチン(5、193mg、0.145mmol、6当量)及びPOZ 10p−EDA−Fmoc20K(13、470mg、0.0242mmol、1当量)に、ビオチン−PEG3−アジド(22mg、0.048mmol、2.0当量)を添加し、これを、1mLのDMFに事前溶解した。DMF(1mL)を使用してすすぎ、残留物ビオチン−PEG3−アジドを反応混合物に移した。次いで、無水THF(15mL)を添加した。溶液を、アルゴン下で15分間撹拌した。次いで、CuI(29mg、0.15mmol、6.4当量)を添加し、続いて、TEA(22μL、0.15mmol、6.4当量)をすぐに添加した。緑色を帯びた溶液を、アルゴン下で一晩、50℃で撹拌した。反応混合物を、0.2μmフィルタをとおして濾過し、濾液を回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。DMFを真空下で蒸発させた。メタノール(10mL)を添加して、残留物を溶解した。明澄な緑色の溶液を、Dowex(登録商標)M4195溶媒(9gm)が充填されたカラムを通過させて、銅を除去した。カラムを、追加のメタノール(90mL)を用いて溶出させた。溶離液を乾燥状態まで濃縮させた。残留物をDCM(12mL)に溶解した。DCM溶液を、ジエチルエーテル(200mL)内へ緩徐に添加することにより析出した。析出物を濾過し、次いで、真空で乾燥させ、0.64gmの琥珀色の粉末(14)を得た。化合物14(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.27ppm(大きいs)及び2.32ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.44(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。Fmoc基ピークは、4.12ppm(m、1H)、4.30ppm(m、2H)で出現した。ペンダントビオチン関連ピークのうちのいくつかは、3.79ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、4.12ppm(m、ビチオン上の1個の−CONHCH(CHS−)−当たり1H)及び4.30ppm(m、ビチオン上の1個の−CONHCH当たり1H)、4.44ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、6.34ppm(複数可)(1個の−NH−CO−NH−当たり2H)及び6.40ppm(複数可)、7.81ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H、1個の−CONH−当たり1H)を含む。ペンダントPEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC−デアセチルコルヒチン関連ピークのうちのいくつか(以下のHの数は、1個のペンダントPEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC−デアセチルコルヒチン当たりを示す)は、3.52ppm、s、3H;3.78ppm、s、3H;3.82ppm、s、3H;3.87ppm、s、3H;4.12ppm、m、1H;4.44ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);4.53ppm、t、1H、不十分な分解;4.91ppm、s、2H;6.76ppm、s、1H;7.02ppm、d、1H;7.11〜7.21ppm、m、4H;7.37ppm(d、Trt基から);7.56ppm、d2H;7.80ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H);8.03ppm、d、1H;8.11ppm、m、2H;9.99ppm、s、1Hである。
【0178】
POZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC−デアセチルコルヒチン)−Fmoc(14、0.44gm)を、Ar下で無水DMF(4mL)に溶解した。ピペリジン(0.20mL)を溶液に添加した。溶液を、アルゴン雰囲気下で1時間撹拌させた。次いで、溶液を真空下で、40℃で乾燥状態まで蒸発させた。残留物をDCM(4mL)に溶解し、続いて、ジエチルエーテル(80mL)中で析出させた。析出物をジエチルエーテル(5mL)によって洗浄し、次いで、真空で乾燥させ、0.42gmの粉末を得た。乾燥粉末をDCM(15mL)に溶解し、次いで分液漏斗中で7%のブライン(30mL)によって洗浄した。相分離後、DCM溶液を、NaSO上で乾燥させた。濾過して、NaSOを除去した後に、濾液を約7mLまで濃縮させ、これを、ジエチルエーテル(150mL)中で析出させた。析出物を濾過によって除去し、ジエチルエーテル(10mL)ですすぎ、次いで、真空で一晩乾燥させ、0.37gmの粉末(15)を得た。化合物15(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.27ppm(大きいs)及び2.32ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.44(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。ペンダントビオチン関連ピークのうちのいくつかは、4.44ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、6.34ppm(複数可)及び6.40ppm(複数可)(1個の−NH−CO−NH−当たり2H)、7.81ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H、1個の−CONH−当たり1H)を含む。ペンダントPEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC−デアセチルコルヒチン関連ピークのうちのいくつか(以下のHの数は、1個のペンダントPEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC−デアセチルコルヒチン当たりを示す)は、3.44ppm、s、PEG4−CHCHO−;3.52ppm、s、3H;3.78ppm、s、3H;3.82ppm、s、3H;3.86ppm、s、3H;4.13ppm、m、1H;4.44ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);4.56ppm、t、1H、不十分な分解;4.91ppm、m、2H;6.76ppm、s、1H;7.03ppm、d、1H;7.14〜7.26ppm、m、Ar;7.37ppm(d、Trt基);7.56ppm、d 2H;7.80ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H);8.03ppm、d、1H;8.11ppm、m、2H;9.99ppm、s、1Hである。
【0179】
POZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC−デアセチルコルヒチン)−EDA(15、0.36gm、MW26685Da、0.013mmol、1当量)を、ACN(5mL)に溶解し、次いで、これを、回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。残留物を無水DCM(5mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で保護した。スクシンイミジルヨードアセテート(12mg、0.040mmol、3.0当量)を添加し、続いて、TEA(11μL、0.080mmol、6当量)を添加した。暗中での一晩の撹拌後、溶液を、ジエチルエーテル(150mL)中で析出させた。溶液を濾過し、ジエチルエーテル(10mL)によってすすぎ、真空で乾燥させ、0.36gmの白い粉末(16)を得た。
【0180】
POZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−Phe−Lys(Trt)−PABC−デアセチルコルヒチン)−ヨードアセトアミド(16、0.16gm)を、DCM(2mL)に溶解し、続いて、TFA(0.10mL)を添加した。溶液を、暗中アルゴン下で一晩、室温で撹拌させた。次いで、混合物を回転蒸発により28℃で乾燥状態まで蒸発させた。溶液をDCM(4mL)に溶解し、次いで、ジエチルエーテル(80mL)中で析出させた。析出物を濾過し、大量のエチルエーテルで洗浄し、真空で乾燥させた。乾燥粉末(0.15gm)を、脱イオン水(20mL)に溶解した。溶液を、PLBC膜(44.5mm、NMWL3000)を用いて、amicon限外濾過装置を使用して、限外濾過によって5mLまで濃縮させた。濃縮溶液を脱イオン水によって50mLに希釈し、これを再び5mLまで濃縮させた。濃縮溶液を30mLに希釈し、続いて、5mLまで濃縮させた。濃縮溶液を50mLバイアルに移した。限外濾過装置を脱イオン水(10mL)ですすぎ、50mLバイアルに移した。溶液を凍結乾燥器で凍結乾燥させ、0.15gmの白い粉末(17)を得た。化合物17(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.27ppm(大きいs)及び2.32ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.44(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。POZ末端ヨードアセトアミド(−COCHI)ピークは、3.62ppm(s、2H)で出現した。ペンダントビオチン関連ピークは、4.44ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、6.34ppm(複数可)及び6.40ppm(複数可)(1個の−NH−CO−NH−当たり2H)、7.81ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H、1個の−CONH−当たり1H)を含む。ペンダントPEG4−Phe−Lys−PABC−デアセチルコルヒチン関連ピークのうちのいくつか(以下のHの数は、1個のペンダントPEG4−Phe−Lys−PABC−デアセチルコルヒチン当たりを示す)は、3.46ppm、s、PEG4−CHCHO−;3.52ppm、s、3H;3.79ppm、s、3H;3.83ppm、s、3H;3.87ppm、s、3H;4.13ppm、m、1H;4.44ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);4.56ppm、t、1H、不十分な分解;4.92ppm、m、2H;6.76ppm、s、1H;7.04ppm、d、1H;7.13ppm、m、Ar;7.23ppm、m、Ar;7.57ppm、d 2H;7.64ppm、m、Ar;7.80ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N)当たり1H;8.05ppm、d、1H;8.11ppm、m、1H;10.0ppm、s、1Hを含む。
【0181】
実施例10.POZ 20Kペンダント[(PEG4−VC−PABC−MMAE)−マレイミド(19)
【化30】
【0182】
ガラスバイアル中のN−PEG4−VC−PABC−MMAE(72mg、0.049mmol、9当量)に、THF(4mL)を添加した。次いで、ポリ[(EOZ)−co−(PtynOZ)10]−酸20K(106mg、0.00544mmol、1当量)を、溶液内に添加した。溶液を、アルゴン下で10分間、撹拌した。次いで、CuI(9mg、0.05mmol、9当量)を混合物に添加し、続いて、TEA(7μL、0.05mmol、9当量)をすぐに添加した。溶液を、アルゴン下で一晩、45℃で撹拌した。緑色を帯びた混合物を、逆相HPLCによって分析し、これは、残留物N−PEG4−VC−PABC−MMAEが反応混合物中に残っていないことから、反応は完了したことを示す。溶液を、回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。2mMのHCl(4mL)及びACN(4mL)を、添加して、残基を溶解し、これを、Dowex M4195媒体(2mL)が充填されたカラムをとおして精製して、銅を除去した。カラムを、1:1v/vの2mMのHCl及びACN(10mL)によって溶出させた。ACNを、回転蒸発によって蒸発させた。NaClを残りの水溶液に添加して、15%のブラインを作製した。溶液を、DCM(3×30mL)で抽出した。相分離後、DCM溶液を約20mLまで濃縮させ、無水硫酸ナトリウム(10gm)上で乾燥させた。混合物を、ガラスフリットをとおして濾過し、濾液を約4mLまで濃縮させた。次いで、溶液をジエチルエーテル(80mL)中で析出させた。析出物を濾過によって回収し、真空で乾燥させ、108mgの白い粉末18を得た。化合物18(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.27ppm(大きいs)及び2.32ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.47(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。ペンダントPEG4−VC−PABC−MMAE関連ピークのうちのいくつか(以下のHの数は、1個のペンダントPEG4−VC−PABC−MMAE当たりを示す)は、0.70〜0.95ppm、m、24H、−CH;3.50ppm、s、−(CHCHO)−;3.79ppm、t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);3.99ppm、m、2H;4.23ppm、m、2H;4.45ppm(主要ピーク、t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);5.04ppm、m、2H;5.41ppm、s、2H;6.04ppm、s、1H;7.17ppm、m、1H、MMAE上のAr;7.27ppm、d、2H、PABのAr;7.31ppm、m、4H、MMAE上のAr;7.59ppm、d、2H、PABのAr;7.82ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H);8.13ppm、d、1H;10.03ppm、s、1Hを含む。
【0183】
POZ 20Kペンダント−(PEG4−VC−PABC−MMAE)−酸(18、93mg、0.0029mmol、1.0当量)を無水ACN(2mL)に溶解し、続いて、HOBT(0.4mg、0.002mmol、0.8当量)及びN−(2−アミノエチル)マレイミドTFA塩(1mg、0.004mmol、1.3当量)を添加した。溶液を、回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。残留物を無水DCM(3mL)に溶解し、続いて、TEA(0.6μL、0.004mmol、1.5当量)及びDCC(0.7mg、3.5101×10−6mol、1.2当量)を添加した。溶液を、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌させた。混合物を濾過し、小さいシリカゲルカラム(10mL)上に充填し続いて、DCMを用いて溶出させた。溶離液(30mL)を、回転蒸発によって1mLまで濃縮させた。溶液をエチルエーテル(15mL)内へ添加し、析出させた。濾過によって回収された析出物、及び真空で乾燥させ、30mgの白い粉末(19)を得た。化合物19(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.27ppm(大きいs)及び2.32ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.47(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。POZ末端マレイミド基ピークは、7.00ppm(s、2H)で出現した。ペンダントPEG4−VC−PABC−MMAE関連ピークのうちのいくつか(以下のHの数は、1個のペンダントPEG4−VC−PABC−MMAE当たりを示す)は、0.70〜0.95ppm、m、24H、−CH;3.50ppm、s、−(CHCHO)−;3.79ppm、t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);3.99ppm、m、2H;4.23ppm、m、2H;4.45ppm(主要ピーク、t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);5.04ppm、m、2H;5.41ppm、s、2H;6.04ppm、s、1H;7.17ppm、m、1H、MMAE上のAr;7.27ppm、d、2H、PABのAr;7.31ppm、m、4H、MMAE上のAr;7.59ppm、d、2H、PABのAr;7.82ppm(m、1個の当たり1Hトリアゾール環=CH−N);8.13ppm、d、1H;10.03ppm、s、1Hを含む。
【0184】
実施例11.POZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−MMAE)−ヨードアセトアミド(22)
反応スキーム:
【化31】
【0185】
50mL丸底フラスコ中のN−PEG4−VC−PABC−MMAE(132mg、0.0944mmol、6.0当量)及びPOZ 10p−EDA−Boc 20K(7、305mg、0.0157mmol、1当量)に、ビオチン−PEG3−アジド(14mg、0.032mmol、2当量、0.6mLのDMF中に溶解)を添加し、続いて、9mLの無水THF(9mL)を添加した。溶液を、アルゴン下で保護し、室温で15分間撹拌した。次いで、CuI(19mg、0.10mmol、6.8当量)を添加し、続いて、TEA(52μL、0.37mmol、24当量)をすぐに添加した。緑色を帯びた溶液を、アルゴン下で一晩、50℃で撹拌した。溶液を、0.2μmシリンジフィルタをとおして濾過し、濾液を乾燥状態まで蒸発させた。DMFを真空下で蒸発させた。メタノール(10mL)を残留固形物に添加した。メタノール溶液を、Dowex(登録商標)M4195媒体(5gm)が充填されたカラムを通過させて、銅イオンを除去した。溶離液を乾燥状態まで濃縮させ、DCM(6mL)に溶解した。明澄な溶液を、撹拌しながら、ジエチルエーテル(150mL)中で析出させた。析出物を、濾過によって回収し、真空で乾燥させ、400mgの琥珀色の粉末(20)を得た。化合物20(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、0.95ppm(複数可)及び0.97(複数可)(1個のCHCHCO−当たり総面積3H)、2.27ppm(大きいs)及び2.32ppm(小さいs)(1個のCHCHCO−当たり総面積2H)、ならびに3.35ppm(大きいs)及び3.47(小さいs)(1個の−NHCHCHNH−当たり総面積4H)で通常のPOZ骨格ピークを示した。POZ末端Boc基ピークは、1.37ppm(s、9H)で出現した。ペンダントビオチン関連ピークのうちのいくつかは、3.79ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、4.12ppm(m、ビチオン上の1個の−CONHCH(CHS−)−当たり1H)及び4.30ppm(m、ビチオン上の1個の−CONHCH当たり1H)、4.45ppm(t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H)、6.34ppm(複数可)(1個の−NH−CO−NH−当たり2H)及び6.40ppm(複数可)、7.81ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H、1個の−CONH−当たり1H)を含む。ペンダントPEG4−VC−PABC−MMAE関連ピークのうちのいくつか(以下のHの数は、1個のペンダントPEG4−VC−PABC−MMAE当たりを示す)は、0.70〜0.95ppm、m、−CH;3.50ppm、s、−(CHCHO)−;3.79ppm、t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);3.99ppm、m、2H;4.23ppm、m、2H;4.45ppm(主要ピーク、t、不十分な分解、1個のトリアゾール−CHCHO−当たり2H);5.04ppm、m、2H;5.40ppm、s、2H;5.90ppm、s、1H;7.16ppm、m、1H、MMAE上のAr;7.27ppm、d、2H、PABのAr;7.31ppm、m、4H、MMAE上のAr;7.58ppm、d、2H、PABのAr;7.82ppm(m、1個のトリアゾール環=CH−N当たり1H);8.13ppm、d、1H;9.98ppm、s、1Hを含む。
【0186】
化合物20(390gm)を無水DCM(2mL)に溶解し、続いて、TFA(2mL)を添加した。溶液を、アルゴン下で3時間、室温で撹拌した。次いで、混合物を乾燥状態まで蒸発させた。残留固形物をACN(5mL)に溶解し、続いて、脱イオン水(15mL)と混合した。次いで、ACNを回転蒸発によって蒸発させた。残りの溶液のpHを1NのNaOHによって11に調節し、続いて、溶液内へ塩化ナトリウム(1.5gm)を溶解した。水溶液を、DCM(3×30mL)で抽出した。DCM相を回収し、無水MgSO(1.5gm)及びNaSO(20gm)上で乾燥させた。混合物を濾過して、固形物を除去し、濾液を回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。残留物を、一晩真空で乾燥させ、289mgの固形物(21)を得た。化合物21(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、1.37ppmでの単一のピークの出現によって示されるように、末端Boc基の完全な開裂を示した。化合物21(Varian、10mg/mLのDMSO−d6、δ)のH NMRは、1.37ppmでの単一のピークの出現によって示されるように、末端Boc基の完全な開裂を示した。
【0187】
化合物21(150mg、5.86×10−3mmol、1当量)をクロロホルム(6mL)に溶解し、次いで、これを回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。残留物をDCM(6mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で保護した。スクシンイミジルヨードアセテート(3.4mg、1.2×10−2mmol、2.0当量)を添加し、続いて、TEA(6.5μL、4.7×10−2mmol、8当量)を添加した。溶液を、暗中で一晩撹拌させた。次いで、溶液を、撹拌しながら、80mLのジエチルエーテル内へ緩徐に添加して、生成物を析出した。析出物を濾過し、ジエチルエーテル(5mL)ですすぎ、真空で乾燥させて、140mgの白い粉末を得た。固形物を、50mMのNaHPO(7mL、pH4.6)に溶解した。次いで、溶液を、Slide−A−Lyzer(3−12mL、2,000MWCO)透析カセットで、脱イオン水(3×1L)に対して一晩透析した。溶液を、回転蒸発により乾燥状態まで蒸発させた。残留物をクロロホルム(5mL)に溶解し、蒸発させた。残留物を、クロロホルム(5mL)に再溶解させ、乾燥状態まで蒸発させた。次いで、残留物をDCM(6mL)に溶解し、次いで、撹拌しながらジエチルエーテル(80mL)中で析出させた。析出物を濾過し、ジエチルエーテル(5mL)ですすぎ、真空で乾燥させて、118mgの白い粉末(22)を得た。22の逆相HPLC分析は、99%超の純度を示した。22のヨードアセトアミド置換は、3−メルカプトプロピオン酸との反応後、イオン交換クロマトグラフィーによって決定された、67%であった。
【0188】
実施例12.抗体へのPOZ(ビオチン)10マレイミドの複合化
5、10、及び20kDaのPOZ(ビオチン)10−マレイミド試薬を、R11sc−Fv−FC特異的ROR1抗体と結合させた。典型的な複合化条件は、100mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)に溶解した、抗体4μM、POZ−ビオチン100μM、DTT0.1mMであり、室温で1時間撹拌した。次いで、タンパク質A分離カラムを使用して、100mMの酢酸ナトリウム(pH5.2)の洗浄緩衝液及び溶出緩衝液を用いて、抗体及びPOZ抗体複合体から非複合POZポリマーを分離する。次いで、ポリマー骨格に連結したビチオンがアビジンに対して強い親和性を有する、モノマーアビジンフロースルーキットを用いて、複合化抗体を非複合抗体から分離した。次いで、異なる分子量のPOZ複合体を、HBL−2(ROR+)及びMEC−1(ROR−)細胞と一緒に培養した。図1は、POZポリマーの大きさが、抗体上の単一の部位に結合するとき、抗原(HBL−2)を発現する細胞に選択的に結合するその能力を変えないようであることを示し、ポリマー複合体は、抗原(MEC−1)を発現しない細胞には、ほとんど結合を示さない。
【0189】
POZ−ADC結合活性は、ELISAによっても検証することができる。96個のウェルプレートの各ウェルを、hROR1ECD抗原でコーティングし、TBS中で1時間、37℃で培養する。150μLの3%(w/v)BSA/TBSを用いて、37℃で1時間ブロックした後、POZポリマーが結合しているか、または結合していないR11sc−Fv−FC特異的ROR1抗体を添加し、37℃で2時間培養する。この実験で使用したPOZ分子は、上述のPOZ 10pマレイミドポリマーである。各ウェルの洗浄、断片特異的二次抗体の希釈後、HRP活性で安定化した抗ヒトロバIgGFcγを添加した。水での洗浄後、2,2′−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリ)−6−スルホン酸を使用して、比色検出を行う。吸光度を、マイクロプレートリーダを使用して、405nmで測定する。吸光度対ROR1抗体濃度のプロット(図2)を、作製して、生来の抗体対ポリマーADC複合化抗体の結合効率を描く。このプロットは、生来の抗体及びポリマーADC複合化抗体が、類似した様式でhROR1 ECD抗原を結合させることを示し、POZポリマーが抗原結合の妨げにならないという結論につながった。
【0190】
実施例13.抗体へのPOZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−MMAE)r−ヨードアセトアミド及びPOZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−MMAE)−ヨードアセトアミドの複合化
POZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−MMAE)−ヨードアセトアミド及びPOZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−MMAE)−ヨードアセトアミドを、R11 sc−Fv−Fc特定のROR1抗体、R12 sc−Fv−Fc特定のROR2抗体、及びCD79b抗体と結合させた。複合化及び精製条件は、上に説明している。タンパク質A分離カラムを使用して、100mMの酢酸ナトリウム(pH5.2)の洗浄緩衝液及び溶出緩衝液を用いて、生来の抗体及びPOZ抗体複合体から非複合POZポリマーを分離する。次いで、ポリマー骨格上のビチオンがアビジンに対して強い親和性を有する、モノマーアビジンフロースルーキットを用いて、POZ複合化抗体を非複合抗体から分離した。図3のCD−79b POZ val−cit−PABC−MMAE複合体のSDS PAGEパターン(クマシー染料)は、複合化及び精製の各ステップを示す。次いで、精製したPOZ抗体複合体を、HBL−2(ROR+)、MEC−1(ROR−)、及びラモス細胞と一緒に培養した。フローサイトメトリーは、ラモス細胞への、かつMEC−1細胞(データは示さず)にではない、全てのPOZ複合体の高い細胞表面結合を示した。レーン割り当ては、以下に示す。
【表1】
【0191】
実施例14.抗体へのPOZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチン)−ヨードアセトアミド及びPOZ 20Kペンダント[(ビオチン)(PEG4−Phe−Lys−PABC−デアセチルコルヒチン)−ヨードアセトアミドの複合化
POZ(ビオチン)(Val−Cit−PAB−DC)ヨードアセトアミド及びPOZ(ビオチン)(Phe−Lys−PAB−DC)ヨードアセトアミドを、R11、R12 sc−Fv−FC特異的ROR1及びROR2抗体、ならびにCD79b抗体に結合させた。典型的な複合化及び精製条件は、上に説明している。結合及び精製の各ステップの間のCD−79b POZ(phe−lys−PAB−DC)複合体のSDS PAGEパターン(クマシー染料)は、複合化及び精製が起こったことを示す。次いで、純粋POZ抗体複合体を、HBL−2(ROR+)、MEC−1(ROR−)、及びラモス細胞と一緒に培養した。フローサイトメトリーデータは、HBL−2及びラモス細胞へ、及びMEC−1細胞へではない全てのPOZ複合体の高い細胞表面結合を示す。
【0192】
実施例15.POZ 20Kペンダント(PEG4−VC−PABC−MMAE)1、POZ 20Kペンダント(PEG4−VC−PABC−MMAE)、POZ(PEG4−VC−PABC−デアセチルコルヒチン)、及びPOZ 20Kペンダント(PEG4−Phe−Lys−PABC−デアセチルコルヒチン)のCD79b複合体の能力
ラモス及びMEC−1細胞を、細胞毒性アッセイで96時間、CD79b−複合化POZ薬物複合体の異なる濃度を用いて培養した。図4は、試験管内における、ラモス細胞の生存率(%)への、CD79b−POZ複合体の濃度上昇の影響を示す。このデータは、1個のMMAE分子が結合したPOZ Val−Cit−PAB複合体が、約20nMのIC50を有したことを示す。平均5個のMMAE分子を有する複合体と比較したとき、IC50は、おおよそ1log〜約2nMまで低減された。このデータは、1つのPOZ複合体当たりのMMAE分子の数の増加が、IC50を10倍に増加させ、すなわち、より大きい薬物抗体比(DAR)が、ポリマーADCの活性及び能力を改善することを示す。CD−79b複合体の両方がラモス細胞への高い細胞表面結合を有したにもかかわらず、DCのPOZ val−cit−PAB複合体は、約200nMのIC50を有し、DCのPOZ Phe−Lys−PAB複合体は、活性が低減した。これは、デアセチルコルヒチン(DC)が、本ラモス細胞研究において、MMAEほど効能がないことを示唆する。さらに、Val−Citリンカーは、細胞内放出により堪能であるようであり、これは、細胞内放出が因子である一部の用途にとって魅力的なものにし得る。図5は、MEC−1細胞の生存率(%)への、CD79b−POZ複合体の濃度の影響を示す。このデータは、MMAEのPOZ val−cit−PAB複合体が、300nM超のIC50を有し、細胞毒性剤としてのDCを有さない複合体は、活性がなかったことを示す。全てのこれらの複合体は、予期されたように、CD79b抗体に対する抗原の低い濃度に起因して、MEC−1細胞への低い細胞表面結合を有した。
【0193】
実施例16.POZ 20Kペンダント(PEG4−VC−PABC−MMAE)のR11複合体の能力
HBL−2及びMEC−1細胞を、細胞毒性アッセイで96時間、POZ−MMAEと複合化したR11の異なる濃度を用いて培養した。図6は、試験管内における、HBL−2(ROR+)及びMEC−1(ROR−)細胞の生存率(%)への、R11−POZ−(PEG4−VC−PABC−MMAE)複合体の濃度の影響を示す。このデータは、この化合物が、HBL−2細胞に対して、約200nMのIC50を有し、MEC−1細胞に対しては活性がないことを示す。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6