特許第6704901号(P6704901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704901
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】洗濯洗剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20200525BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20200525BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20200525BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20200525BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20200525BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20200525BHJP
   D06M 13/256 20060101ALI20200525BHJP
   D06M 23/12 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C11D17/08
   C11B9/00 Z
   C11D1/83
   C11D3/34
   C11D3/37
   C11D3/50
   D06M13/256
   D06M23/12
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-505602(P2017-505602)
(86)(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公表番号】特表2017-534694(P2017-534694A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】CN2015084559
(87)【国際公開番号】WO2016023408
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2017年2月1日
【審判番号】不服2018-15950(P2018-15950/J1)
【審判請求日】2018年11月30日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/084072
(32)【優先日】2014年8月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】リウ、シャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】アマランタ、ラミレス−アルマラス
(72)【発明者】
【氏名】リブ、リ
(72)【発明者】
【氏名】フアン、シュー
【合議体】
【審判長】 蔵野 雅昭
【審判官】 牟田 博一
【審判官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/116469(WO,A1)
【文献】 特開2010−209294(JP,A)
【文献】 特表2016−513141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00-19/00
D06M10/00-23/18
C11B1/00-15/00
C11C1/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗濯洗剤組成物であって、
(a)前記組成物の0.2重量%〜25重量%の界面活性剤(ここで前記界面活性剤は前記組成物の0.1〜15重量%のアニオン系界面活性剤および前記組成物の0.1〜15重量%の非イオン系界面活性剤を含む)と;
(b)前記組成物の0.01重量%〜5重量%の、外側表面を有するシェル(ここで前記シェルはメラミンホルムアルデヒドを含む)、前記シェル内にカプセル化されたコア(ここで前記コアは香油を含む)、前記外側表面をコーティングし、カチオン性に帯電したコーティング(前記コーティングはポリビニルホルムアミドである有益なポリマーを含む)を含むマイクロカプセルと;
(c)前記組成物の0.001重量%〜0.5重量%の、ジスチリルビフェニル単位を含む蛍光増白剤(ここで、前記蛍光増白剤は2,2’−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルジ−2,1−エテンジイル)ビス−ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩である)と
を含み、
前記組成物が任意の他の蛍光増白剤を実質的に含まない、液体洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
ヒドロキシを含有する結晶性改質剤、ポリアクリレート、多糖、ポリカルボキシレート、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、C12〜C20脂肪族アルコール、ジベンジリデンポリオールアセタール誘導体レオロジー改質剤、ジアミドゲル化レオロジー改質剤、メタクリルアミドから誘導される第1の構造単位とジアリルジメチルアンモニウムクロリドから誘導される第2の構造単位とを含むカチオン性ポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるレオロジー変性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、組成物の0%を超え5重量%未満のヒドロトロープを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1〜に記載の組成物であって、前記組成物の0.05重量%〜1重量%の水添ヒマシ油を含む、組成物。
【請求項5】
請求項に記載の組成物であって、
前記組成物は、2,2’−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルジ−2,1−エテンジイル)ビス−ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩以外の任意の他の蛍光増白剤を実質的に含まず;
前記組成物のpHが8未満であり;
前記組成物は、前記組成物の0重量%を超え3重量%以下のクメンスルホン酸またはその塩を含む、
組成物。
【請求項6】
水溶性単位容量形態の洗濯洗剤物品であって、第1の区画と第2の区画を少なくとも含み、
前記第1の区画が、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物を含む第1の組成物を含有し、
前記マイクロカプセルが、外側表面を有するシェル、前記シェル内にカプセル化されたコア、前記外側表面をコーティングするコーティングを含み、前記コーティングは、カチオン性に帯電し;
前記第2の区画は、ジアミノスチルベン単位を含む蛍光増白剤を含む第2の組成物を含有し、前記第2の組成物はカチオン性に帯電したマイクロカプセルを実質的に含まず、
前記第1の組成物が、2,2’−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルジ−2,1−エテンジイル)ビス−ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩以外に他の蛍光増白剤を実質的に含まない、水溶性単位容量形態の洗濯洗剤物品
【請求項7】
前記第1の組成物が、さらに、水添ヒマシ油を含む、請求項に記載の物品。
【請求項8】
前記第2の組成物中のジアミノスチルベン単位を含む蛍光増白剤は、二ナトリウム 4,4’−ビス{[4−アニリノ−6−モルホリノ−s−トリアジン−2−イル]−アミノ}−2,2’−スチルベンジスルホネートである、請求項6または7に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理される布地に布地ケアの利益を与える薬剤および蛍光増白剤を付与する液体洗濯洗剤組成物に関する。本発明は、水溶性の単位容量形態の中でのこれらの組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセルは、液体洗濯洗剤組成物中の布地ケアの利益を与える薬剤(例えば、香油など)の送達効率を向上させることが知られている。しかし、これらのマイクロカプセルは、洗浄サイクルに伴う機械的相互作用および/または電荷相互作用のような因子に起因して、目的の部位(例えば、布地)に塗布される前または後に消失してしまうことがあるため、さらなる送達効率の向上が望まれる。特定の用途において、マイクロカプセルの付着性は、マイクロカプセルを付着助剤(例えば、カチオン性ポリマー)によってコーティングすることで改善される。このようなカチオン性に帯電したコーティングは、布地に対する、特に、負に帯電した布地(例えば、綿)に対するマイクロカプセルの付着性を高める。しかし、これらのカチオン性に帯電したマイクロカプセルは、液体洗濯洗剤中の他の成分とも相互作用し、成分の望ましくない化学適合性を示すか、または成分の効力を下げてしまう。この不適合性は、特に、もっと激しい処理条件に配合物がさらされるパイロットスケールで、相の不安定性として現れることがある。
【0003】
光増白剤(蛍光増白剤としても知られる)の使用は、布地によって反射する光に青色の蛍光を加えることによって布地の黄色い色合いを打ち消すために布地ケア製品に長い間使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロカプセルの付着性を高め、相が安定なまま、処理される布地に蛍光増白の利益を与えるために、カチオン性に帯電したコーティングを有するマイクロカプセルによって、利益を与える薬剤の送達効率を向上させる液体洗濯洗剤組成物が必要とされている。
【0005】
本発明の利点の1つは、特に、手に優しいという利益のためにほぼ中性に近いpHで相が安定な組成物を有することである。
【0006】
さらに、本発明の利点の1つは、ヒドロトロープの使用を最低限にする、相が安定な組成物を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、以下を含む液体洗濯洗剤組成物に関する。(a)組成物の0.1重量%〜80重量%、好ましくは1重量%〜25重量%、さらに好ましくは2重量%〜20重量%の界面活性剤、好ましくは、少なくともアニオン系界面活性剤を含む界面活性剤、さらに好ましくは、アニオン系界面活性剤と非イオン系界面活性剤を含む界面活性剤;(b)組成物の0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜2重量%の、外側表面を有するシェル、前記シェル内にカプセル化されたコア、前記外側表面をコーティングし、カチオン性に帯電したコーティングを含むマイクロカプセルと;(c)組成物の0.001重量%〜0.5重量%、好ましくは0.01重量%〜0.2重量%の、ジスチリルビフェニル単位を含む蛍光増白剤。好ましくは、このような蛍光増白剤は2,2’−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルジ−2,1−エテンジイル)ビス−ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩(「Fluorescent Brightener 49」)である。
【0008】
本発明の別の態様は、第1の区画と第2の区画を少なくとも含む水溶性単位容量形態の洗濯洗剤物品を与える。第1の区画は、マイクロカプセルを含む第1の組成物を含有し、前記マイクロカプセルは、外側表面を有するシェル、前記シェル内にカプセル化されたコア、前記外側表面をコーティングするコーティングを含み、前記コーティングは、カチオン性に帯電している。第2の区画は、蛍光増白剤、本質的に、上述のマイクロカプセルと非適合性の蛍光増白剤、例えば、ジアミノスチルベン単位を含む蛍光増白剤を含む第2の組成物を含有する。
【0009】
本発明の別の態様は、布地を前処理するための本発明の液体洗濯洗剤組成物または物品の使用に関する。さらに別の態様は、本発明の液体洗濯洗剤組成物または物品を洗濯洗浄機または手洗い用の洗濯桶に投入する工程を含む、洗濯洗浄のための本発明の液体洗濯洗剤組成物または物品の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、出願人は、驚くべきことに、ジスチリルビフェニル系蛍光増白剤(例えば、Fluorescent Brightener 49)を、カチオン性コーティングを有するマイクロカプセルと組み合わせて利用することによって、洗濯洗剤組成物の相不安定化が、特に大規模操作(例えば、組成物が外からの大きな混合力を受けるパイロットプラント)で最低限になることを発見した。さらに、ほぼ中性に近いpHで、および/またはヒドロトロープの使用を最低限にした状態で、相安定性が達成される。一方、カチオン性に帯電したコーティングが、布地へのマイクロカプセルの付着性を高めるため、マイクロカプセルの望ましい送達効率が達成され、処理される布地を効果的に増白化する。理論によって束縛されることを望まないが、このことは、ジアミノスチルベン(DAS)系増白剤と比較して、ジスチリルビフェニル(DSBP)系増白剤が組成物系に優れた溶解度を有することに起因すると考えられる。従って、マイクロカプセルと増白剤との良くない相互作用が減少し、特に、上述の条件で、優れた洗濯洗剤組成物の相安定性が達成される。
【0011】
定義
本明細書で使用する場合、「液体洗濯洗剤組成物」は、布地を洗浄または処理することに関連する液体組成物を意味する。液体洗濯洗剤組成物の例としては、限定されないが、洗濯洗剤、洗濯洗剤添加剤などが挙げられる。「液体洗浄組成物」という用語は、本明細書では、注ぐことが可能な液体、ゲル、クリーム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される形態をとり得る組成物を指す。液体洗濯洗剤組成物は、水性であっても非水性であってもよく、異方性、等方性、またはこれらの組み合わせであってよい。液体洗濯洗剤組成物は、限定されないが、小袋、プラスチック瓶、注ぐことが可能な吹き出し口および/または投入キャップを有する瓶、分注ポンプと流体が流れるように接続した瓶、プレスタップを有する容器を含む容器に入れられ、これらの容器から分注されてもよく、単位容量水溶性物品(ここでは、物品)は、再び密閉することが可能な蓋または再び密封することが可能なプラスチック袋を備えるプラスチック容器のような第2の包装に入っていてもよい。
【0012】
本明細書で使用する場合、「界面活性剤」という用語は、カチオン系、非イオン系、アニオン系、両性、または双性イオン系の界面活性剤であってもよい界面活性剤を指す。
【0013】
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、分岐しているか、または分岐しておらず、置換されているか、または置換されていないヒドロカルビル部分を意味する。「アルキル」という用語には、アシル基のアルキル部分が含まれる。
【0014】
本明細書で使用する場合、「前処理」という用語は、布地(特に、ひどい染みがついた布地部分)を事前に(すなわち、洗浄サイクルの前に)洗浄組成物で処理するユーザの一種の洗浄行動を指す。典型的には、組成物の濃度が(洗浄溶液中の濃度よりも)比較的高く、正確に染みをターゲットとするため、ひどい染みは、前処理によって除去が容易になる。
【0015】
本明細書で使用する場合、組成物が特定の成分を「実質的に含まない」ときとは、その組成物が、組成物に対して痕跡量に満たない、あるいは0.1重量%未満、あるいは0.01重量%未満、あるいは0.001重量%の特定成分を含むことを意味する。
【0016】
本明細書で使用する場合、「a」および「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲で使用されるとき、特許請求または記載されるもののうちの1つ以上を意味するものと理解される。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprise、comprises、comprising)」、「包含する(include、includes、including)」、「含有する(contain、contains、containing)」は、非限定的である、すなわち、最終結果に影響を及ぼすことのない他の工程および他の成分を加えることができることを意味する。上記用語には、「からなる」および「から本質的になる」という用語が包含される。
【0018】
液体洗浄組成物
本発明の液体洗浄組成物は、両性界面活性剤と、外側表面を有するシェル、前記シェル内にカプセル化されたコア、前記外側表面をコーティングするコーティングを含むマイクロカプセルとを含み、コーティングは、カチオン性に帯電している。一実施形態において、両性界面活性剤は、この組成物中に、組成物の0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.2重量%〜3重量%、さらに好ましくは0.3重量%〜2重量%存在する。一実施形態において、マイクロカプセルは、この組成物中に、組成物の0.11重量%〜0.25重量%、好ましくは0.15重量%〜0.2重量%存在する。本発明において、カチオン性に帯電したコーティングは、マイクロカプセルの付着性を高めるため、本発明の組成物は、マイクロカプセルの相当する送達効率を維持したままで、組成物中のマイクロカプセルの濃度を比較的小さくすることがわかった。
【0019】
本明細書に記載の液体洗浄組成物は、組成物に組み込まれる成分に応じて、酸性またはアルカリ性またはpH中性であってよい。液体洗浄組成物のpH範囲は、好ましくは6〜12、さらに好ましくは7〜11、さらになお好ましくは8〜10である。
【0020】
液体洗浄組成物は、配合される成分および組成物の目的などの因子に依存して、適切な粘度を有していてもよい。一実施形態において、組成物は、剪断速度20/sec、温度21℃で200〜3,000cP、または300〜2,000cP、または500〜1,000cPの高い剪断粘度を有し、剪断速度1/sec、温度21℃で500〜100,000cP、または1000〜10,000cP、または1,500〜5,000cPの低い剪断粘度を有する。
【0021】
界面活性剤
洗濯洗剤組成物は、布地の洗浄または処理に適した任意の界面活性剤を含んでいてもよい。1種類またはもっと多種類の界面活性剤を使用してもよい。
【0022】
一実施形態において、組成物は、アニオン系界面活性剤を含む。アニオン系界面活性剤の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、好ましくは、C10〜C16 LAS;C10〜C20一級分枝鎖のランダムアルキルサルフェート(AS);C10〜C18二級(2,3)アルキルサルフェート;硫酸化脂肪族アルコールエトキシレート(AES)、好ましくはC10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)(ここで、好ましくは、xは1〜30であり、さらに好ましくは、xは1〜3である);C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート、好ましくは、1〜5個のエトキシ単位を含むもの;米国特許第6,020,303号および米国特許第6,060,443号に記載されるような中鎖の分枝鎖アルキルサルフェート;米国特許第6,008,181号および米国特許第6,020,303号に記載されるような中鎖の分枝鎖アルキルアルコキシサルフェート;国際公開第99/05243号、国際公開第99/05242号および国際公開第99/05244号に記載されるような改質されたアルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES);およびα−オレフィンスルホネート(AOS)。好ましくは、組成物は、LAS、AES、AS、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるアニオン系界面活性剤を含み、さらに好ましくは、LAS、AES、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるアニオン系界面活性剤を含む。アニオン系界面活性剤の合計濃度は、液体洗剤組成物の5重量%〜95重量%、または8重量%〜70重量%、または10重量%〜50重量%、または12重量%〜40重量%、または15重量%〜30重量%であってもよい。
【0023】
一実施形態において、本発明の組成物は、非イオン系界面活性剤を含む。非イオン系界面活性剤の非限定的な例としては、C12〜C18アルキルエトキシレート、例えば、Shellから入手可能なNeodol(登録商標)非イオン系界面活性剤;C6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の混合物である);C12〜C18アルコールおよびC6〜C12アルキルフェノールとエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートとの縮合物、例えば、BASFから入手可能なPLURONIC(登録商標);米国特許第6,150,322号に記載されるようなC14〜C22中鎖の分枝鎖アルコールBA;米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号および同第6,093,856号に記載されるようなC14〜C22中鎖の分枝鎖アルキルアルコキシレートBAEx(ここで、xは1〜30である);1986年1月26日に発行された米国特許第4,565,647号(Llenado)において議論されるようなアルキル多糖類;特に、米国特許第4,483,780号および米国特許第4,483,779号において議論されるようなアルキルポリグリコシド;米国特許第5,332,528号に記載されるようなポリヒドロキシ脂肪酸アミド;米国特許第6,482,994号および国際公開国際公開第01/42408号で議論されるようなエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。アルコキシル化エステル界面活性剤(例えば、式R1C(O)O(R2O)nR3、式中、R1は、直鎖および分枝鎖のC6〜C22アルキル部分またはアルキレン部分であり;R2は、C2H4およびC3H6部分から選択され、R3は、H、CH3、C2H5およびC3H7部分から選択され;nは、1〜20の値である)も、本明細書で非イオン系界面活性剤として有用である。このようなアルコキシル化エステル界面活性剤としては、脂肪族メチルエステルエトキシレート(MEE)が挙げられ、当該技術分野でよく知られている。例えば、米国特許第6,071,873号;同第6,319,887号;同第6,384,009号;同第5,753,606号;国際公開第01/10391号、国際公開第96/23049号を参照されたい。共界面活性剤として好ましい非イオン系界面活性剤は、平均7分子のエチレンオキシドでエトキシル化されたC12〜C15アルコール(例えば、Shellから入手可能なNeodol(登録商標)25−7)である。
【0024】
一実施形態において、界面活性剤は、両性界面活性剤であり、二級および三級のアミンの誘導体、ヘテロ環の二級および三級のアミンの誘導体、四級アンモニウムの誘導体、四級ホスホニウムまたは三級スルホニウム化合物を含んでいてもよい。両性界面活性剤は、アミンオキシドまたはベタインを含んでいてもよい。
【0025】
好ましいアミンオキシドは、アルキルジメチルアミンオキシドまたはアルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、さらに好ましくは、アルキルジメチルアミンオキシド、特に、ココジメチルアミンオキシドである。一実施形態において、本発明のアミンオキシドは、式R1−N(R2)(R3)Oを特徴とする水溶性アミンオキシドであり、ここで、R1は、C8〜22アルキル、C8〜22ヒドロキシアルキル、またはC8〜22アルキルフェニル基であり、R2およびR3は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、および平均1〜3個のエチレンオキシド基を含むポリエチレンオキシド基からなる群から選択される。アミンオキシドは、直鎖または中程度に分岐したアルキル部分を有していてもよい。典型的な直鎖アミンオキシドとしては、1個のR1のC8〜22アルキル部分とC1〜3アルキル基、C1〜3ヒドロキシアルキル基、または平均1〜3個のエチレンオキシド基を含むポリエチレンオキシド基から独立して選択される2個のR2部分およびR3部分を含む水溶性アミンオキシドが挙げられる。直鎖アミンオキシド界面活性剤は、特に、直鎖C10〜18アルキルジメチルアミンオキシドおよび直鎖C8〜12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを含んでいてもよい。好ましいアミンオキシドとしては、直鎖C10、直鎖C12、直鎖C10〜12、および直鎖C12〜14アルキルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
【0026】
好ましいベタインとしては、以下のものが挙げられる:アーモンドアミドプロピルのベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルのベタイン、ババスアミドプロピルのベタイン、ベヘンアミドプロピルベタイン、ベヘニルのベタイン、ベタイン、キャノールアミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルのベタイン、ココアミドエチルのベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシサルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシサルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココサルタイン、デシルのベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチル大豆グリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチルタローグリシネート、ジメチコーンプロピルのPG−ベタイン、エルカミドプロピルヒドロキシサルタイン、水添タローのベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルのベタイン、ラウリルヒドロキシサルタイン、ラウリルサルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン、ミンクアミドプロピルのベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルのベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシサルタイン、オレイルのベタイン、オリーブアミドプロピルのベタイン、パームアミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、パーム核アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルのベタイン、リシノールアミドプロピルベタイン、セスアミドプロピルベタイン、大豆アミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、ステアリルのベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルヒドロキシサルタイン、タローのベタイン、タロージヒドロキシエチルのベタイン、ウンデシルアミドプロピルベタインおよび小麦胚芽アミドプロピルベタイン。好ましくは、ベタインは、ココアミドプロピルベタインであり、特に、ココアミドプロピルベタインである。
【0027】
マイクロカプセル
本発明のマイクロカプセルは、外側表面を有するシェル、前記シェル内にカプセル化されたコア、前記外側表面をコーティングするコーティングを含むマイクロカプセルを含み、コーティングは、カチオン性に帯電している。典型的には、シェルは、境界が十分に規定された固い材料であり、一方、シェルに付着するコーティングは、特に、以下に記載するポリマーでコーティングされたマイクロカプセルの実施の場合には、明確な境界を有していなくてもよい。「カチオン性に帯電した」という用語は、本明細書では、コーティング自体が(例えば、カチオン性ポリマーまたはカチオン性成分を含むことによって)カチオン性であることを意味し、必ずしも、シェルもカチオン性であることを意味しない。その代わりに、多くの既知のマイクロカプセルは、アニオン性シェル、例えば、メラミンホルムアルデヒドを含む。これらのアニオン性シェルを有するマイクロカプセルは、カチオン性コーティングでコーティングされていてもよく、そのため、本発明のマイクロカプセルの範囲内に入る。好ましくは、コーティングは、有益なポリマーを含む。「ポリマー」という用語は、本明細書では、1種類のモノマーが重合したホモポリマー、または2種類以上の異なるモノマーが重合したコポリマーであってもよい。有益なポリマーは、本明細書では、カチオン性または中性またはアニオン性であってもよいが、好ましくは、カチオン性である。有益なポリマーがアニオン性または中性である実施において、コーティングは、カチオン性の電荷を与える他の成分を含む。有益なポリマーがカチオン性である実施において、ポリマーは、ポリマーの全体的な電荷がカチオン性である限り、中性またはアニオン性のモノマーを含んでいてもよい。このようなポリマーでコーティングされたマイクロカプセルおよびその製造プロセスは、米国特許出願第2011/0111999A号に記載される。
【0028】
本発明のマイクロカプセルのコアは、利益を与える薬剤、典型的には、優れた寿命をもたらすのに望ましい成分、または液体洗浄組成物の他の成分と非適合性の成分から選択される。利益を与える薬剤は、好ましくは、香油、シリコーン、ワックス、増白剤、染料、虫除け剤、ビタミン、布地柔軟剤、パラフィン、酵素、抗菌剤、漂白剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。ある好ましい実施形態において、コアは香油を含む。香料がカプセル化されたマイクロカプセルは、「香料マイクロカプセル(PMC)」として知られている。PMCは、以下の参考文献に記載されている。US 2003/215417 A1号;US 2003/216488 A1号;US 2003/158344 A1号;US 2003/165692 A1号;US 2004/071742 A1号;US 2004/071746 A1号;US 2004/072719 A1号;US 2004/072720 A1号;EP 1,393,706 A1号;US 2003/203829 A1号;US 2003/195133 A1号;US 2004/087477 A1号;US 2004/0106536 A1号;US 6,645,479号;US 6,200,949号;US 4,882,220号;US 4,917,920号;US 4,514,461号;US RE 32,713号;US 4,234,627号。
【0029】
PMCの実施において、カプセル化された香油は、製品の性質に応じて、種々の香料の原材料を含んでいてもよい。例えば、製品が液体洗濯洗剤である場合、香油は、汚れを多く含む条件および冷水中で優れた香料特性を与える1つ以上の香料原材料を含んでいてもよい。一実施形態において、香油は、アロオシメン、カプロン酸アリル、ヘプトン酸アリル、プロピオン酸アミル、アネトール、アニスアルデヒド、アニソール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアセトン、ベンジルアルコール、酪酸ベンジル、ギ酸ベンジル、イソ吉草酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、ベータガンマヘキセノール、カンフェン、カンファー、カルバクロール、laevo−カルベオール、d−カルボン、laevo−カルボン、ギ酸シンナミル、シトラール(ネラール)、シトロネロール、酢酸シトロネリル、イソ酪酸シトロネリル、シトロネリルニトリル、プロピオン酸シトロネリル、クミンアルコール、クミンアルデヒド、Cyclal C、シクロヘキシルエチルアセテート、デシルアルデヒド、ジヒドロミルセノール、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルオクタノール、ジフェニルオキシド、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、エチルアミルケトン、安息香酸エチル、酪酸エチル、エチルヘキシルケトン、フェニル酢酸エチル、ユーカリプトール、オイゲノール、酢酸フェンチル、フェンチルアルコール、フロールアセテート(flor acetate)(トリクロロデセニルアセテート)、フルテン(トリクロロデセニルプロピオネート)、ガンマメチルイオノン、γ−n−メチルイオノン、γ−ノナラクトン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ギ酸ゲラニル、イソ酪酸ゲラニル、ゲラニルニトリル、ヘキサノール、酢酸ヘキセニル、cis−3−ヘキセニルアセテート、イソ酪酸ヘキセニル、cis−3−ヘキセニルチグレート、酢酸ヘキシル、ギ酸ヘキシル、ネオペンタン酸ヘキシル、ヘキシルチグレート、ヒドラトロピンアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドール、イソアミルアルコール、α−イオノン、β−イオノン、γ−イオノン、α−イロン、酢酸イソボルニル、安息香酸イソブチル、イソブチルキノリン、イソメントール、イソメントン、酢酸イソノニル、イソノニルアルコール、パラ−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、イソプレゴール、酢酸イソプレギル、イソキノリン、cis−ジャスモン、ラウリンアルデヒド(ドデカナール)、リグストラール(Ligustral)、d−リモネン、リナロール、リナロールオキシド、酢酸リナリル、ギ酸リナリル、メントン、酢酸メンチル、メチルアセトフェノン、メチルアミルケトン、アントラニル酸メチル、安息香酸メチル、ベンジル酢酸メチル、メチルカビコール、メチルオイゲノール、ヘプテン酸メチル、ヘプチンカルボン酸メチル、メチルヘプチルケトン、メチルヘキシルケトン、α−イソ「ガンマ」メチルイオノン、メチルノニルアセトアルデヒド、メチルオクチルアセトアルデヒド、メチルフェニルカルビニルアセテート、サリチル酸メチル、ミルセン、ネラール、ネロール、酢酸ネリル、酢酸ノニル、ノニルアルデヒド、オクタラクトン、オクチルアルコール(オクタノール−2)、オクチルアルデヒド、オレンジテルペン(d−リモネン)、パラ−クレゾール、パラ−クレシルメチルエーテル、パラ−シメン、パラ−メチルアセトフェノン、フェノキシエタノール、フェニルアセトアルデヒド、エチル酢酸フェニル、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルジメチルカルビノール、α−ピネン、β−ピネン、酢酸プレニル、酪酸プロピル、プレゴン、ローズオキシド、サフロール、α−テルピネン、γ−テルピネン、4−テルピネノール、α−テルピネノール、テルピノレン、酢酸テルピニル、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロミルセノール、トナリド、ウンデセナール、ベラトロール、ベルドックス、ベルテネックス、ビリジン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む。
【0030】
本発明のマイクロカプセルのシェルは、好ましくは、アミノプラスト、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、多糖(例えば、アルギネートまたはキトサン)、ゼラチン、シェラック、エポキシ樹脂、ビニルポリマー、水不溶性無機物、シリコーン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。好ましくは、シェルは、アミノプラスト、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0031】
好ましくは、マイクロカプセルのシェルは、アミノプラストを含む。このようなシェルマイクロカプセルを作成する方法としては、重縮合が挙げられる。アミノプラスト樹脂は、1つ以上のアミンと1つ以上のアルデヒド、典型的にはホルムアルデヒドの反応生成物である。好適なアミン類の非限定的な例として、尿素、チオ尿素、メラミンおよびその誘導体、ベンゾグアナミンおよびアセトグアナミン、ならびに、アミン類の組み合わせが挙げられる。好適な架橋剤(例えば、トルエンジイソシアネート、ジビニルベンゼン、ブタンジオールジアクリレートなど)が使われてもよく、また、適切な場合には、二次壁ポリマー、例えば無水物およびその誘導体、特に国際公開第02/074430号に開示されるように、無水マレイン酸のポリマーおよびコポリマーが使われてもよい。一実施形態において、シェルは、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み、好ましくは、メラミンホルムアルデヒド(架橋しているか、または架橋していない)を含む。
【0032】
ある好ましい実施形態において、コアは香油を含み、シェルは、メラミンホルムアルデヒドを含む。または、コアは香油を含み、シェルは、メラミンホルムアルデヒドおよびポリ(アクリル酸)およびポリ(アクリル酸−コ−アクリル酸ブチル)を含む。
【0033】
本発明のマイクロカプセルは、脆砕性であるべきである。脆砕性は、外部からの直接的圧力または剪断力または熱を受けた際に、マイクロカプセルが破裂、または破断して開く傾向を指す。PMCの実施において、本発明のマイクロカプセル中の香油は、驚くべきことに、マイクロカプセルが破裂するときに香料が「一気に広がる」ことによって、マイクロカプセルの破裂の影響を最大にする。
【0034】
ある好ましい実施形態において、有益なポリマーは、式(V)を有し、
【0035】
【化1】
式中、
(a)aおよびbは、それぞれ独立して、50〜100,000の範囲であり;
(b)各Rは、独立して、H、CH、(C=O)H、アルキレン、不飽和C−C結合を有するアルキレン、CH−CROH、(C=O)−NH−R、(C=O)−(CH−OH、(C=O)−R、(CH−E、−(CH−CH(C=O))−XR、−(CH−COOH、−(CH−NH、または−CH−(C=O)NHから選択され、指数nは、0〜24の範囲にあり、Eは求電子性基であり、Rは、飽和または不飽和のアルカン、ジアルキルシロキシ、ジアルキルオキシ、アリールまたはアルキル化アリールであり、好ましくは、シアノ、OH、COOH、NH、NHR、スルホネート、サルフェート、−NH、四級化アミン、チオール、アルデヒド、アルコキシ、ピロリドン、ピリジン、イミダゾール、ハロゲン化イミダゾリニウム、グアニジン、ホスフェート、単糖、オリゴ、多糖、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される部分をさらに含み;
(c)RまたはRは、存在しないか、または存在しており、
(i)Rが存在する場合、各Rは、独立して、−NH、−COO−、−(C=O)−、−O−、−S−、−NH−(C=O)−、−NR−、ジアルキルシロキシ、ジアルキルオキシ、フェニレン、ナフタレンまたはアルキレンオキシから選択され;各Rは、独立して、Rと同じ基から選択され;
(ii)Rが存在しない場合、各Rは、独立して、−NH、−COO−、−(C=O)−、−O−、−S−、−NH−(C=O)−、−NR−、ジアルキルシロキシ、ジアルキルオキシ、フェニレン、ナフタレンまたはアルキレンオキシから選択され;
(iii)Rが存在しない場合、各Rは、独立して、Rと同じ基から選択され;
前記有益なポリマーは、平均分子量が1,000Da〜50,000,000Daであり;加水分解度が5%〜95%であり、および/または電荷密度が1meq/g〜23meq/gである。
【0036】
一実施形態において、有益なポリマーは、以下の性質を有する。
(a)平均分子量が約1,000Da〜約50,000,000Da、または約5,000Da〜約25,000,000Da、または約10,000Da〜約10,000,000Da、または約340,000Da〜約1,500,000Da;
(b)加水分解度が5%〜95%、または7%〜60%、または10%〜40%;および/または
(c)電荷密度が1meq/g〜23meq/g、1.2meq/g〜16meq/g、2meq/g〜約10meq/g、または1meq/g〜約4meq/g。
【0037】
一実施形態において、有益なポリマーは、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミンおよびこれらのコポリマーからなる群から選択される。ある好ましい実施形態において、有益なポリマーは、Lupamin(登録商標)9030の名称でルートヴィヒスハーフェン、ドイツのBASF AGから市販されるポリビニルホルムアミドである。代替的な実施形態において、有益なポリマーは、ポリビニルアミド−ポリビニルアミンコポリマーを含む。
【0038】
ポリビニルアミド−ポリビニルアミンコポリマーなどの好適な有益なポリマーは、ポリビニルホルムアミド出発ポリマーの選択的加水分解により製造することができる。また、好適な有益なポリマーは、ビニルホルムアミドをアクリルアミド、アクリル酸、アクリロニトリル、エチレン、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸メチル、無水マレイン酸、酢酸ビニル、n−ビニルピロリジンと共重合させることによっても形成することができる。好適な有益なポリマーまたはオリゴマーは、同様に、ビニルホルムアミドをメチルスルホン酸などのプロトン酸、および/または三フッ化ホウ素などのルイス酸とカチオン重合させることで形成することができる。
【0039】
マイクロカプセルの粒径および平均直径は、1マイクロメートル〜100マイクロメートル、または5マイクロメートル〜80ミクロン、または10マイクロメートル〜75マイクロメートル、または15マイクロメートル〜50マイクロメートルまで様々であってもよい。粒径分布を、狭く、広く、または多峰性にすることができる。多峰性の分布は、異なる種類のカプセル化学で構成されていてもよい。
【0040】
一実施形態において、本発明で利用されるマイクロカプセルのシェルの平均厚みは、一般に、0.1マイクロメートル〜30マイクロメートル、あるいは1マイクロメートル〜10マイクロメートルである。一実施形態において、本発明のマイクロカプセルは、コーティングとシェルの比率が、厚みの観点で、それぞれ、1:200〜約1:2、または1:100〜1:4、または1:80〜約1:10である。
【0041】
液体洗浄組成物の調製中の任意の時間に、マイクロカプセルを組成物を合わせてもよい。マイクロカプセルを組成物に加えてもよく、またはその逆でもよい。例えば、あらかじめ作成した組成物にマイクロカプセルを後で投入してもよく、または、組成物調製中に、水のような他の成分と合わせてもよい。
【0042】
本発明のマイクロカプセルは、マイクロカプセルスラリー中に含まれていてもよい。本発明の文脈では、マイクロカプセルスラリーは、好ましくは、スラリーの10重量%〜50重量%、または20重量%〜40重量%の香料マイクロカプセルを含有する水分散体として定義される。
【0043】
本発明のマイクロカプセルスラリーは、水溶性塩を含んでいてもよい。「水溶性塩」という用語は、本明細書では、解離している正に荷電したカチオンと負に荷電したアニオンで構成される水溶性イオン化合物を意味する。これは、周囲温度、大気圧での脱塩水中の溶解度と定義される。マイクロカプセルスラリーは、1mmol/kg〜750mmol/kg、または10mmol/kg〜300mmol/kgの水溶性塩を含んでいてもよい。一実施形態において、水溶性塩は、マイクロカプセルスラリーの残留不純物として存在していてもよい。この残留不純物は、香料マイクロカプセルスラリーに含まれる他の成分由来である場合があり、これらの成分は様々な供給元から購入することができる。または、水溶性塩は、マイクロカプセルスラリーのレオロジー特性を調整することによって、輸送時、および長期保管時のスラリーの安定性を改善するために、マイクロカプセルスラリーに意図的に加えられる。
【0044】
好ましくは、マイクロカプセルスラリー中に存在する水溶性塩は、適切な単原子または複数原子のアニオンと共に、アルカリ土類金属、遷移金属または金属から選択される多価カチオンから作られる。一実施形態において、水溶性塩はカチオンを含み、カチオンはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、チタン、鉄、銅、アルミニウム、亜鉛、ゲルマニウム、スズからなる群から選択され、好ましくは、マグネシウムである。一実施形態において、水溶性塩はアニオンを含み、アニオンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アセテート、カーボネート、シトレート、水酸化物、ニトレート、ホスファイト、ホスフェートおよびサルフェートからなる群から選択され、好ましくは、アニオンは、ハロゲンの一原子アニオンである。最も好ましくは、水溶性塩は、塩化マグネシウムであり、塩化マグネシウムは、好ましくは、スラリー中にスラリーの0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.2重量%〜3重量%存在する。
【0045】
マイクロカプセルスラリーを製造するプロセスの一実施形態において、任意の順序で、マイクロカプセル(ポリマーコーティングをまだ含まない)、有益なポリマーを合わせ、場合により、安定化系、場合により、殺生物剤を合わせることを含む。好ましくは、有益なポリマーは、ポリビニルホルムアミドを含み、安定化系は、塩化マグネシウムとキサンタンガムを含む。一実施形態において、マイクロカプセルおよび有益なポリマーは、スラリーを生成物に使用し、それによって、マイクロカプセルをポリマーコーティングでコーティングする前に、少なくとも15分間、好ましくは少なくとも1時間、さらに好ましくは4時間、密に接触させる。
【0046】
本明細書に開示するポリマーでコーティングされたマイクロカプセルに変えることが可能な適切なマイクロカプセルは、米国特許出願公開第2008/0305982(A1)号および/または同第2009/0247449(A1)号の教示のような出願者らの教示に従い製造することができる。または、適切なポリマーコーティングされたカプセルは、Appleton Papers Inc.(アップルトン、ウィスコンシン、USA)から購入することができる。
【0047】
蛍光増白剤
本発明は、特定の光増白剤(蛍光増白剤(FWA)とも呼ばれる)が、本発明に記載されるカチオン性に帯電したマイクロカプセルと共に優れた相安定性を有するという驚くべき発見に基づく。具体的には、この化合物は、式(1)を有する。
【0048】
【化2】
【0049】
式(1)の化合物は、示したようなジスチリルビフェニル(DSBP)単位を含む。例えば、EP 0 900 783 B1号;およびGB−A−2 076 011号を参照さされたい。式(1)の化合物は、(i)二ナトリウム2,2’−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルジビニレン)ビス(ベンゼンスルホネート);(ii)2,2’−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルジ−2,1−エテンジイル)ビス−ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩;または(iii)Fluorescent Brightener 49として記載されており、全て本明細書で相互に置き換え可能に使用される。Brightener 49を、BASFから商標名TINOPAL(登録商標)CBSとして得てもよい(CAS番号27344−41−8)。
【0050】
この点は、本発明によって記載される組成を有するカチオン性に帯電したコーティングを有するマイクロカプセルを用いて相不安定化に対処し得るジアミノスチルベン(DAS)系増白剤とは明確な対照となる。DAS増白剤の一例としては、Brightener 15(二ナトリウム4,4’−ビス{[4−アニリノ−6−モルホリノ−s−トリアジン−2−イル]−アミノ}−2,2’−スチルベンジスルホネート);およびBrightener 36(二ナトリウム4,4”−ビス[(4,6−ジアニリノ−s−トリアジン−2−イル)−アミノ]−2,2’−スチルベンジスルホネート)が挙げられる。DAS系増白剤は、TINOPAL(登録商標)DMAの商標名でBASFから得てもよい(CAS番号16090−02−1)。これは、比較的pHが中性に近い条件および/またはヒドロトロープが低濃度のときに特にあてはまる。理論によって束縛されることを望まないが、本明細書に記載する組成物への溶解度がBrightener 15に比べてBrightener 49の方が高いことに起因するだろう。一実施形態において、本発明の液体洗濯洗剤組成物は、組成物の0.001重量%〜2重量%、好ましくは、1重量%〜0.005重量%、または0.1重量%〜0.01重量%の望ましい蛍光増白剤(例えば、Brightener 49)を含んでいてもよい。
【0051】
ヒドロトロープ
本発明の一態様は、ヒドロトロープの使用を最低限にする。ヒドロトロープは、典型的には、組成物を安定化し、粘度を調整し(すなわち、典型的には、粘度を下げ)、曇点を調整し、相分離を減少させ(特に、低い温度で)、および/または気泡を制限するためのカップリング剤として洗濯洗剤組成物に使用される。典型的な範囲としては、組成物の0.1重量%〜15重量%が挙げられる。ヒドロトロープの非限定的な例としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸またはこれらの塩が挙げられ、塩は、好ましくは、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0052】
本明細書に記載する組成物のある実施形態において、ヒドロトロープの濃度が増えたとき、相安定性の増加を観察することができる。しかし、使用するヒドロトロープの量を上げることに関連する潜在的な欠点がある。1つの欠点はコストが増加することである。第2の欠点は、粘度への悪い影響である。多くのユーザ群は、液体洗濯洗剤組成物に特定の粘度を好む。一般的に、増粘剤組成物は、品質を補う。しかし、ヒドロトロープの過剰な使用は、望ましい粘度を下げてしまい、それによって、ヒドロトロープの粘度への悪い影響に対処するために、増粘剤またはレオロジー変性剤の添加が必要となるだろう。これによって費用が増し、潜在的に、配合物への他の良くない結果を引き起こすことがある。
【0053】
従って、本発明の一態様において、本発明の洗濯洗剤組成物は、組成物の5重量%未満、好ましくは0重量%〜5重量%未満、さらに好ましくは0.01重量%〜4重量%、さらになお好ましくは0.01重量%〜3重量%、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.1重量%〜1重量%のヒドロトロープを含む。好ましくは、ヒドロトロープは、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、またはこれらの塩からなる群から選択される。塩は、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム、またはこれらの組み合わせから選択されてもよい。ヒドロトロープの好ましい一例は、クメンスルホン酸、またはこれらの塩である。
【0054】
pH
本発明の別の態様は、中性に近いpHを与える。手への優しさ(特に、手洗いの実施における手への優しさ)は、中性または中性付近のpHを有する組成物を用いると向上する。顕著に酸性または塩基性の組成物は、皮膚刺激を引き起こすだろう。pHを上げると、ある組成物で観察される相不安定化の課題をある程度低減するのに役立つが、本発明によって記載される解決法は、pHを上げる必要なく、相を安定化する。本発明の洗濯洗剤組成物は、pHが9未満、好ましくはpHが8.5未満、さらに好ましくはpHが8未満、さらになお好ましくはpH6.5〜pH8.0未満、または、pH7〜pH8、またはpH7.6〜pH8.4であってもよい。
【0055】
レオロジー変性剤
一実施形態において、本発明の組成物は、レオロジー変性剤(特定の状況では「構造化剤」とも呼ばれる)を含み、マイクロカプセルを懸濁させ、安定化し、包装アセンブリへの適用可能性を高めるように組成物の粘度を調整するように機能する。本発明のレオロジー変性剤は、液体組成物に粒子を懸濁させ、および/またはレオロジーを調整することができる任意の既知の成分、例えば、米国特許出願第2006/0205631A1号、同第2005/0203213A1号および米国特許第7,294,611号、同第6,855,680号に開示されるものであってもよい。好ましくは、レオロジー変性剤は、ヒドロキシを含有する結晶性材料、ポリアクリレート、多糖、ポリカルボキシレート、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、C12〜C20脂肪族アルコール、ジベンジリデンポリオールアセタール誘導体(DBPA)、ジアミドゲル化剤、メタクリルアミドから誘導される第1の構造単位とジアリルジメチルアンモニウムクロリドから誘導される第2の構造単位とを含むカチオン性ポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
好ましくは、レオロジー変性剤は、一般的に結晶性のヒドロキシルを含有する脂肪酸、脂肪族エステルおよび脂肪族ワックス、例えば、ヒマシ油およびヒマシ油誘導体であることを特徴とする、ヒドロキシを含有する結晶性材料である。さらに好ましくは、レオロジー変性剤は、水添ヒマシ油(HCO)である。
【0057】
レオロジー変性剤は、液体洗濯洗剤組成物中に任意の適切な濃度で存在していてもよい。好ましくは、レオロジー変性剤は、この組成物中に、組成物の0.05重量%〜5重量%、好ましくは0.08重量%〜3重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜1重量%存在する。HCOの実施において、HCOは、組成物中に、組成物の0.05重量%〜1重量%、好ましくは0.1重量%〜0.5重量%存在する。
【0058】
非常に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、以下のものを含む。
(a)組成物の0.3重量%〜2重量%の両性界面活性剤、両性界面活性剤は、C10〜18アルキルジメチルアミンオキシドである;
(b)組成物の0.11重量%〜0.25重量%のマイクロカプセル、マイクロカプセルは、外側表面を有するシェル、前記シェル内にカプセル化されたコア、前記外側表面をコーティングするコーティングを含み、コーティングは、ポリビニルホルムアルデヒドである有益なポリマーを含む;
(c)組成物の0.05重量%〜1重量%のHCO。
【0059】
組成物の調製
本発明の組成物は、一般に、液体洗濯洗剤組成物の製造分野において既知であるような従来の方法によって調製される。かかる方法は、典型的には、加熱、冷却、真空などの適用下または非適用下において、必須成分および任意成分を任意の所望の順序で比較的均一な状態まで混合することと、それによって、成分を必要濃度で含有する液体洗剤組成物を提供することとを含む。
【0060】
単位容量
本発明の一態様は、水溶性単位容量形態の洗濯洗剤物品を与える。物品は、パウチ、袋、小袋、パックなどの形態であってもよく、簡便な投入のために物品の中に本発明の組成物を含む水溶性生分解性材料から作られる。一実施形態において、水溶性生分解性材料は、ポリビニルアルコールを、例えば、MonoSol,LLC、メリルヴィル、IN、米国から入手可能な膜の形態で含む。さらに別の実施形態において、ポリビニルアルコールを含む膜の厚みは、約10μm〜約1,000μm、あるいは、20μm〜約500μm、あるいは、これらの組み合わせである。さらに別の実施形態において、区画内に包含される体積は、0.1cm3〜100cm3、あるいは、1cm3〜5cm3、あるいは、これらの組み合わせである。熱成形物品を製造する過程は、国際特許国際公開第00/55045号に記載されている。膜は、国際特許国際公開第02/092456号に記載されているように、射出成形により作製できる。単位容量物品(例えば、パウチ)の製造ユニットは、例えば、米国特許第3,057,127号に記載されるような回転ドラムであってもよい。水溶性単位容量形態の洗濯洗剤物品の非限定的な一例は、Procter & GambleのTIDE(登録商標)PODS(商標)(洗濯洗剤パック)である。
【0061】
本発明の一態様において、単位容量物品は、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の区画を含む多区画の物品である。単一区画の単位容量において、物品は、本発明の組成物を含んでいてもよい。複数区画の単位容量において、物品は、本発明の組成物の一部を含んでいてもよく、物品は、このような実施形態において、全体として、本発明の組成物を含有する。
【0062】
複数区分の手法の利点は、適合しない成分を互いに分離することである。従って、本発明の一態様は、カチオン性に帯電したコーティングを有するマイクロカプセルを蛍光増白剤から、特に、非適合性を示す増白剤(例えば、ジアミノスチルベン単位を有するもの、例えば、Brightener−15)から分離する。言い換えると、単位容量物品の第1の区画は、カチオン性に帯電したコーティングを有するマイクロカプセルを含む第1の組成物を含有し、第2の区画は、増白剤(特に、Brightener−15)または他の不適合性の増白剤を含む第2の組成物を含有する。一実施形態において、レオロジー変性剤(または「構造化剤」)は、第1の区画に含まれる第1の組成物(マイクロカプセルを含む)にさらに含まれる。さらに別の実施形態において、第1の区画に含まれる第1の組成物は、蛍光増白剤(特に、Brightener−15)を実質的に含まないか、または含まない。または、第1の区画に含まれる第1の組成物は、Brightener−49を含んでいてもよく、第2の区画に含まれる第2の組成物は、不適合性の増白剤(例えば、Brightener−15)を含むか、または単純に、第2の組成物は、任意の増白剤を実質的に含まないか、または含まない。さらにまたは、レオロジー変性剤は、第2の区画に含まれる第2の組成物に含まれる(第1の組成物は、界面活性剤を実質的に含まないか、または含まない)。さらにまたは、第2の組成物は、カチオン性に帯電したコーティングを有するマイクロカプセルを実質的に含まないか、または含まない。
【0063】
補助成分
本発明の液体洗濯洗剤組成物は、1種類以上の補助成分を含んでいてもよい。好適な補助成分として、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、双性イオン系界面活性剤、脂肪酸、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、レオロジー変性剤、酵素および酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予備形成済み過酸、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、光漂白剤、構造伸縮性付与剤、布地柔軟剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、溶媒、色調剤、抗菌剤、遊離香油、シリコーンエマルション、および/または顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記開示に加えて、このような他の補助成分の好適な例および使用量は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号および同第6,326,348号に記載されている。液体洗濯洗剤組成物中のこれら補助成分の正確な性質およびその濃度は、組成物の種類、および組成物が使用される洗浄処理の性質によって決まる。
【実施例】
【0064】
本明細書に記載の実施例は、本発明を例示することを意味するが、本発明の範囲を制限または他の方法で定義するために使用するものではない。
【0065】
実施例1A〜1B、2A〜2Eおよび4A〜4Cは、本発明の実施例である。
【0066】
実施例1A:84重量%のコア/16重量%の壁となるメラミンホルムアルデヒド香料マイクロカプセル
25グラムのアクリル酸ブチル−アクリル酸コポリマー乳化剤(Colloid C351、固形分25%、pKa4.5〜4.7(Kemira Chemicals,Inc.、ケネソー、ジョージア、米国)を200グラムを脱イオン水に溶解し、混合する。溶液のpHを、水酸化ナトリウム溶液でpH4.0に調整する。この乳化剤溶液に、8グラムの部分的にメチル化したメチロールメラミン樹脂(Cymel 385、固形分80%(Cytec Industries West Paterson、ニュージャージー、米国))を加える。機械攪拌しつつ、上の混合物に200グラムの香油を加え、温度を50℃まで上げる。安定なエマルションが得られるまで高速で混合した後、このエマルションに、第2の溶液と4グラムの硫酸ナトリウム塩を加える。この第2の溶液は、10グラムのアクリル酸ブチル−アクリル酸コポリマー乳化剤(Colloid C351、固形分25%、pKa4.5〜4.7、Kemira)、120グラムの蒸留水、pHを4.8に調整するための水酸化ナトリウム、25グラムの部分的にメチル化したメチロールメラミン樹脂(Cymel 385、固形分80%、Cytec)を含有する。この混合物を70℃に加熱し、連続的に撹拌しながら一晩維持して、カプセル化プロセスを完了させる。23グラムのアセトアセトアミド(Sigma−Aldrich(セントルイス、ミズーリ、米国))を懸濁液に添加する。780型Accusizerにより分析したときに30μmの平均カプセルの大きさを得る。
【0067】
実施例1B:ポリマーでコーティングされた香料マイクロカプセル
99gの実施例1Aから得られたメラミンホルムアルデヒド香料マイクロカプセルスラリーと、1gのポリビニルホルムアミド(有効成分16%、ルートヴィヒスハーフェン、ドイツのBASF AGからLupamin(登録商標)9030の名称で市販されている)とをガラス瓶に量りとることによって、ポリマーでコーティングされた香料マイクロカプセルを調製する。成分をスプーンで短時間混合し、シェーカーでさらに一晩混合する。これにより、ポリマーでコーティングされた香料マイクロカプセルが得られる。
【0068】
実施例2A〜2C:本発明の液体洗濯洗剤組成物の配合
【0069】
【表1】
a Neodol(登録商標)25−7は、非イオン系界面活性剤として平均7モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC12〜C15アルコールであり、Shellから入手可能である
b キレート剤としての、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩
【0070】
実施例2A〜2Cの組成物の調製は、以下の工程によって記載される。
(a)バッチ容器中、200rpmの剪断力を加えることによって、NaOHと水の組み合わせを混合する。
(b)このバッチ容器にクエン酸、ホウ酸、C11〜C13 LASおよびNaOHを加え、200rpmの剪断力を加えることによって混合を継続する。
(c)工程(b)で得られた組み合わせの温度を25℃まで冷却する。
(d)このバッチ容器にC12〜14AE1〜3S、Na−DTPA、Neodol(登録商標)25−7、C12〜C18脂肪酸、1,2プロパンジオールおよびギ酸カルシウム、クメンスルホン酸ナトリウムおよびシリコーンエマルションを加え、この組み合わせが均一に混合されるまで250rpmの剪断力を加えることによって混合し、pHを8に調整する。
(e)このバッチ容器に増白剤、プロテアーゼ、アミラーゼ、染料および無希釈の香油を加え、250rpmの剪断力を加えることによって混合する。
(f)実施例1Bで得られた香料マイクロカプセルを加え、250rpmの剪断力を加えることによって1分間混合する。
(g)このバッチ容器にモノエタノールアミンおよび水添ヒマシ油を加え、これにより、液体洗濯洗剤組成物を作成し、
ここで、組成物中の各成分は、表1の実施例2A〜2Cについて明記された濃度で存在する。
【0071】
実施例3A〜3Eは、大規模製造の予想として液体洗濯組成物の相安定性を評価するために、制御した通気レベルを受ける。カチオン性にコーティングされたマイクロカプセルと、Brightener−49とを含む組成物は、相が安定であり、一方、Brightener−15を含み、カチオン性にコーティングされた香料マイクロカプセルを含む組成物は相が安定ではない。Brightener−15と、カチオン性コーティングを有さない香料マイクロカプセルとを含む組成物を用い、相安定性が観察される。
【0072】
実施例3A〜3Eは、以下に詳細に示す配合物に従って調製される。
【0073】
【表2】
全界面活性剤は、約8.7重量%のC24 AES;約5.6重量%のC11.8 LAS;平均6.5モルのエチレンオキシドを含む1重量%未満のC24非イオン系;1重量%未満のC12〜C24アミンオキシドを含む。
【0074】
組成物は、これらの組成物が大規模製造中に受ける条件の予想として、制御された通気を受ける。空気が入り込むことは、大規模の液体洗濯洗剤組成物製造プロセスの望ましくない変換の一部であることがよく知られている。このような組成物を実験室のベンチスケールで製造すると、この式の予備的な安定性を確認することができるが、制御された通気レベルをプロセスの変動値として組み込み、実験室でのベンチ規模から大規模製造への正確な安定性の予想のギャップを埋める配合物のもっと安定性の高い評価をもたらすことが重要である。
【0075】
制御された通気は、OAKS FOAMER(登録商標)装置を用いて運ばれる。一般的に、この装置は、通気される組成物を保持するタンクであり、組成物に加えられる空気の量を制御するために使用される空気圧縮機、加圧ポンプ、空気流量計を備える。実施例3A〜3Eは、香料マイクロカプセルおよび水添ヒマシ油の添加前に通気を受ける。圧力および体積をスケールダウンした条件で、これらの成分を加える。組成物の通気レベルの定量は、実施例3A〜3Eで2%の通気レベル(大規模製造レベルで観察される)を与えるために、通気した組成物と通気していない組成物との比重を評価する比重瓶を用いる。0%を超える割合は、サンプルの相が不安定であることの指標である。
【0076】
実施例3Aは、特に、Brightener 15と、カチオン性にコーティングされたマイクロカプセルとを含み、40℃での1週間および2週間のストレス試験によって示されるように、相が不安定である。結果は、それぞれ1週間および2週間で5%および11%の圧縮レベルを示す。理論によって束縛されることを望まないが、カチオン性に帯電したコーティングと、Brightener 15の組み合わせは、良くない相互作用を与える。顕微鏡画像(図示せず)は、理論によって束縛されることを望まないが、Brightener 15の溶解度が低いことが、水添ヒマシ油(すなわち、構造化剤)のフロック形成の引き金となり、高レベルの空気が入り込み、配合物をさらに悪化させることを示唆する。
【0077】
実施例3B〜3Eは、1週間および2週間の継続した期間に、圧縮率の増加を示さないという点で安定である。実施例3Bは、特に、コーティングされていないマイクロカプセルとBrightener 15とを含み、安定である。理論によって束縛されることを望まないが、実施例3Bでカチオン性にコーティングされていない香料マイクロカプセルであっても、マイクロカプセルとBrightener 15の間に良くない相互作用はない。実施例3Cおよび3Dは、特に、カチオン性に帯電したコーティングを有するマイクロカプセルとBrightener−49を含み、相が安定である。実施例3Eは、特に、カチオン性に帯電したコーティングを有するマイクロカプセルを含み、増白剤を含まず、相が安定である。
【0078】
実施例4A〜4C:本発明の液体洗濯洗剤組成物のさらなる例示的な配合物
【0079】
【表3】
【0080】
全ての百分率、比率、および割合は、特に指示がない限り、全組成物の重量を基準として計算される。全ての温度は、特に指示がない限り、摂氏温度(℃)である。特に指示がない限り、測定は全て25℃で行われる。構成成分または組成物の濃度は全て、その構成成分または組成物の有効成分の濃度について言及したものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒または副生成物を除いたものである。
【0081】
本明細書の全体を通じて与えられる全ての数値の上限値は、この値より小さな全ての境界値が本明細書に明確に記載されているかのように、この値より小さな全ての境界値を含むことを理解すべきである。本明細書全体を通して記載される全ての数値の下限値は、この値より大きな全ての境界値が本明細書に明確に記載されているかのように、この値より大きな全ての境界値を含む。本明細書全体を通して与えられる全ての数値範囲は、このような広い数値範囲内に入る全てのもっと狭い数値範囲が本明細書に明確に記載されているかのように、もっと狭い数値範囲を含む。
【0082】
本明細書に開示した寸法および値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような寸法はそれぞれ、記載された値およびその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0083】
相互参照されるかまたは関連する特許または特許出願、および本願が優先権またはその利益を主張する任意の特許出願または特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか、または別途制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示または特許請求される任意の発明に対する先行技術であると認めたものではなく、またはそれを単独でまたは他の任意の1つ以上の参考文献と組み合わせたときに、そのような発明を教示、示唆、または開示すると認めたものではない。さらに、本文書における用語の任意の意味または定義が、参照することによって援用される文書内の同じ用語の意味または定義と競合する場合には、本文書においてその用語に与えられた意味または定義が適用されるものとする。
【0084】
本発明の特定の実施形態を例示し、説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、他の様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更および修正は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。