(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704905
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】超音波加工用の表面構造化加工要素
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20200525BHJP
B06B 1/02 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
B23K20/10
B06B1/02 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-516328(P2017-516328)
(86)(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公表番号】特表2017-533827(P2017-533827A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】EP2015073824
(87)【国際公開番号】WO2016062596
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年5月23日
(31)【優先権主張番号】102014115538.6
(32)【優先日】2014年10月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516211282
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテクニーク ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】HERRMANN ULTRASCHALLTECHNIK GMBH & CO.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】フォグラー、ウルリッヒ
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−001161(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0062901(US,A1)
【文献】
特開2012−120775(JP,A)
【文献】
特開平05−015551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
B06B 1/02
B06B 3/00
B29C 65/08
A41H 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工中の材料に接触するように構成された略円筒の形態又は円筒の一部の形態のキャリア面を備える、ソノトロード又はアンビルの形態を有する加工要素であって、前記加工要素が、加工中、その長手軸線周りに回転することによって、前記キャリア面が加工対象の前記材料の上を転がるように構成され、前記キャリア面上に、前記キャリア面を越えて半径方向に突出する少なくとも1つの構造要素が配置され、前記構造要素が、加工対象の前記材料と接触するように設けられた上面を有する、加工要素において、
前記上面が、円筒軸線から前記上面までの最大間隔の50%よりも大きく且つ前記円筒軸線から前記上面までの最大間隔未満である曲率半径で少なくとも部分的に周方向に凸状に湾曲することを特徴とする加工要素。
【請求項2】
前記構造要素が、上面と、前記上面と前記キャリア面とを接続する少なくとも1つの周囲延在側面とを有することを特徴とする請求項1に記載の加工要素。
【請求項3】
加工中の材料に接触するように構成された略円筒の形態又は円筒の一部の形態のキャリア面を備える、ソノトロード又はアンビルの形態を有する加工要素であって、前記加工要素が、加工中、その長手軸線周りに回転することによって、前記キャリア面が加工対象の前記材料の上を転がるように構成され、前記キャリア面上に、前記キャリア面を越えて半径方向に突出する少なくとも1つの構造要素が配置され、前記構造要素が、加工対象の前記材料と接触するように設けられた上面を有する、加工要素において、
前記上面が、前記円筒軸線の方向に180°未満且つ170°より大きい角度をなす少なくとも2つの表面部を備え、
前記構造要素が、前記上面と、前記上面と前記キャリア面とを接続する少なくとも1つの周囲延在側面とを有し、
前記2つの表面部は、主要部及びベベル部であり、
前記主要部は、略平坦であるか、又は、前記円筒軸線からの主要部の間隔に対応する曲率半径をもつ凸状曲率を有し、
前記ベベル部は、前記主要部に周方向で隣接し、前記主要部と前記円筒軸線の方向に180°未満の角度をなすように、前記主要部に対して傾斜することを特徴とする加工要素。
【請求項4】
前記上面が、前記主要部とベベル部とが前記円筒軸線の方向に、それぞれ180°未満の角度をなすように前記主要部に対してそれぞれ傾斜し且つ周方向の両側において前記主要部に隣接する2つのベベル部を有することを特徴とする請求項3に記載の加工要素。
【請求項5】
前記主要部と前記ベベル部との前記円筒軸線の方向のなす角度が、170°より大きいことを特徴とする請求項3又は4に記載の加工要素。
【請求項6】
前記ベベル部が、前記主要部の周方向の長さの10%と400%との間、好ましくは30%と200%との間の周方向の長さをもつことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の加工要素。
【請求項7】
前記ベベル部の幅は、周方向で前記主要部の側に向かうほど増加することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の加工要素。
【請求項8】
前記構造要素が、長辺が周方向に配置された細長い形状をもつことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加工要素。
【請求項9】
3つ以上の構造要素が、前記キャリア面上に、軸線方向に互いに離間した関係で配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の加工要素。
【請求項10】
2つの前記構造要素が、前記キャリア面上に、周方向に互いに離間した関係で、且つ連続して、配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の加工要素。
【請求項11】
前記ベベル部が、前記円筒軸線から前記上面までの最大間隔未満であり、且つ、前記円筒軸線から前記上面までの最大間隔の半分より大きな曲率半径で少なくとも部分的に周方向に凸状に湾曲していることを特徴とする請求項3または4に記載の加工要素。
【請求項12】
前記上面が、前記円筒軸線から前記上面までの最大間隔未満であり、且つ、円筒軸線から前記上面までの最大間隔の半分より大きな曲率半径で少なくとも部分的に周方向に凸状に湾曲していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の加工要素。
【請求項13】
ソノトロードとアンビルとを備える超音波加工機械において、前記ソノトロード及び/又はアンビルが請求項1〜12のいずれか1項に記載のものであることを特徴とする超音波加工機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略円筒状又は円筒の一部の形態のキャリア面を備える、材料を加工するための加工要素に関する。
【背景技術】
【0002】
加工の間、加工要素は、加工対象の材料に対してキャリア面が転がるように、その長手軸線周りに回転する。その点に関し、円筒状キャリア面を有し、加工対象の材料の上を転がることによって、例えば連続的な縦シームを形成する加工要素と、例えば横シールシームを形成するために、加工要素が回転するとき、円筒の一部の形態のキャリア面が加工対象の材料に1回転毎に1回だけ接触するように、円筒の一部の形態の1つのみ、又は複数のキャリア面を有する加工要素との両方が知られている。
【0003】
特に、このような加工要素が材料の超音波加工に使用される場合、概して、超音波振動と共に作用する場合はソノトロードと称され、ソノトロードに対向して配置される場合はアンビルと称される。
【0004】
例えば、超音波加工装置は、ローラの形態のソノトロードと、更にローラの形態のアンビルとの両方を有することができ、ウェブ形態の材料がソノトロードによってアンビルの方向に押圧されながら、それらの間を材料が通過して加工される。
【0005】
アンビルのキャリア面はしばしば構造化され、つまり、キャリア面を越えて半径方向に突出する少なくとも1つの構造要素、一般には、複数の構造要素を有する。それに代わって又はそれに加えて、ソノトロードのキャリア面が、対応するように構造化される場合もある。構造要素は、加工作業中に材料を溶着し、場合によっては、対応する模様、又は構造要素がロゴの形態の場合にはロゴを、材料にエンボス加工する働きをする。
【0006】
技術水準において、構造要素は、加工対象の材料と接触するように構成された平坦な上面と、上面をキャリア面に接合する周囲延在側面とを有する。加工要素による加工の後、加工された材料は、対応する表面エンボスを有する。構造要素の上面は、所謂シール面を共に形成する。
【0007】
原則として、加工要素は、材料の超音波加工にのみではなく、例えば熱シールシームの形成にも使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、以下、超音波加工用の加工要素に関して本発明を説明し、特に、対応する構造要素を含むアンビルを参照して説明する。しかし、以下に説明する全ての特徴は、ソノトロードにも実装することができ、更に、他の加工方法に関しても使用できることが理解されよう。
【0009】
横シールシームを形成するための超音波加工機械がある。その場合において、ソノトロード及び/又はアンビルのキャリア面は、円筒の一部の形態の要素を備える。円筒の一部の形態のキャリア面が材料と係合するときは常に材料加工が行われる。キャリア面は加工対象の材料に連続的には接触しないため、ソノトロードがアンビルを押圧するのに適切な溶着力を調節するのが困難である。通常、これには、例えば対応する力を測定して基準値と比較する調整機構が採用される。
【0010】
対応する横シールシームが形成されるときは常に、円筒の一部の形態のキャリア面又はキャリア面上に配置された構造要素が材料と係合する。ソノトロード又はアンビルを機械台に固定する保持装置において完全に除去できない弾性に起因して、ソノトロード及びアンビルによって付加される反作用力が、一方におけるソノトロード及び対応ツールと、他方における機械台との間に相対変位を引き起こす。しかし、加工要素の回転に起因して、構造要素が材料と急に係合し、その結果、構造要素は急激な衝撃力を伝えてしまう。このとき、力調整装置によって適切な力を設定するのは困難である。また、急な係合によって、ソノトロードが機械台に固定されているために、ソノトロードの振動、及び場合によっては対応ツールの振動も生じる。すなわち、加工対象の材料を経由してアンビルの構造要素がソノトロードに及ぼす急激な衝撃によって、機械台に対するソノトロードの相対変位が生じる。
【0011】
続いて、停止位置周辺のソノトロードの振動が減少し、この場合、ソノトロードが対応ツールに及ぼす力によって、溶着結果も振動と共に変化する。
【0012】
同様に、円筒の一部の形態のキャリア面が材料と係合すると、それがソノトロードに対する突然の緩和を引き起こし、これもまた望ましくない。
【0013】
従って、本発明の目的は、材料がキャリア面と係合するとき及び/又は係合が外れるときのソノトロードの急激な偏位を軽減する加工要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上面が、円筒軸線から上面までの最大間隔未満である曲率半径で少なくとも部分的に周方向に凸状に湾曲するか、又は180°未満の角度をなす少なくとも2つの表面部を備えるという点で実現される。
【0015】
上面の周方向の曲率又は角度が付いた形状によって、材料が構造要素の上面と係合することによるソノトロードの圧力負荷が、徐々に又は複数のステップで生じることにより、ソノトロードに伝達される衝撃力が低減する。
【0016】
好ましい一実施形態において、周方向の曲率が、円筒軸線から上面までの最大間隔の50%より大きい、好ましくは75%より大きい、最適には90%より大きい半径を有すると規定される。より小さい曲率半径が選択されると、これに応じて、加工対象の材料と実際に接触する上面の領域が小さくなる。従って、それぞれの使用状況に応じて、曲率半径を可能な限り大きく、且つ円筒軸線から上面までの最大間隔よりも小さくすることが有利になり得る。
【0017】
これにより、加工要素を使用する際、ソノトロードと対応ツールとの間の間隔が最小になるまで、構造要素とソノトロードとの間の間隔が継続的に小さくなるのが確実となる。
【0018】
好ましい一実施形態において、構造要素の上面は、略平坦であるか、又は円筒軸線から主要部までの間隔に対応する曲率半径をもつ凸状曲率を有する主要部と、主要部に周方向で隣接し、主要部と180°未満の角度をなすように、主要部に対して傾斜するベベル部とを有すると規定される。この場合、角度は常に構造要素の材料内で測定される。
【0019】
これにより、主要部が湾曲している場合、ベベル部は、主要部によって画定される包絡線内に位置する。基本的には、上面の勾配又は曲率は、主要部とベベル部との間の移行部において変化する。
【0020】
好ましい一実施形態において、ベベル部は、周方向に凸状に湾曲する、より具体的には、円筒軸線から上面までの最大間隔未満であり、且つ、円筒軸線から上面までの最大間隔の半分より大きな曲率半径で、凸状に湾曲することが好ましいと規定される。
【0021】
更に好ましい一実施形態において、上面が、周方向の両側に主要部に隣接する2つのベベル部を有し、各ベベル部が、それぞれ主要部と180°未満の角度をなすように、主要部に対して傾斜していると規定される。従って、加工作業において、構造要素の上面が進入側ベベル部だけでなく進出側ベベル部も有し、これにより対応ツールがソノトロードに付加する力も、加工の終盤に、構造要素によって徐々に軽減される。
【0022】
好ましくは、横断面図における主要部及びベベル部が含む角度は、170°より大きく、好ましくは185°と189.5°との間である。ベベル部の形状に関する本発明に係る手段では、材料の加工において、最初に材料をベベル部とソノトロードの間で確実にガイドし、これにより、材料が主要部によって加工されるまで、対応ツールとソノトロードとの間の間隔が徐々に小さくなる。最適な溶着力条件になるのは、主要部が材料を加工しているときのみであるので、実際の加工は、実質的に主要部の領域内のみで行われる。
【0023】
また、ベベル部が、主要部の方向に増加する周方向の幅をもつと規定することができる。すなわち、一点に向かって細くなるベベル部が主要部に隣接することにより、対応ツールがソノトロードに及ぼす力が徐々に増加するのを確実にする。
【0024】
更に好ましい一実施形態において、側面が、キャリア面上の法線に対して傾斜し、その傾斜角度は好ましくは25°未満であり、特に好ましくは5°と20°との間であると規定される。
【0025】
構造要素は、長辺が周方向に配置された細長い形状をもつのが有利である。その場合、3つ以上の構造要素が、キャリア面上に、軸線方向に互いに離間した関係で配置されることが有利になり得る。ここでは、類似した構造要素の多重性も想定できる。
【0026】
本発明は、更に、ソノトロードとアンビルとを備える超音波加工機械であって、ソノトロード及び/又はアンビルが、上述の加工要素に対応する設計構成をもつ超音波加工機械にも関する。
【0027】
本発明の更なる利点、特徴及び可能な用途は、以下の好ましい実施形態の説明から明らかとなろう。以下に図面を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の第3実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の第3実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態における構造要素の様々な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、超音波加工装置の線図を示す。超音波加工装置は、コンバータ12と、振幅変換器14と、超音波ソノトロード16と、対応ツール18とを含む振動システム10を有する。例えばウェブ状の材料である、加工対象の材料20は、ソノトロード16と対応ツール18との間に配置される。コンバータ12には、超音波発生器(不図示)によってAC電圧が供給される。
【0030】
図示の実施形態において、振動システム10から信号(U)が取得され、フィードバック部22を介して、閉ループ制御装置24へと供給される。この制御装置24はPID制御部26を有する。制御装置24は、振動システム10及び特にコンバータ12に供給される調整値(S)を生成する。制御装置24を含む振動システム10は、制御された電気的及び機械的発振回路28を形成する。制御装置24は、超音波発生器内に組み込まれてもよい。参照符号30は、電気的及び機械的パラメータに直接影響されないように発振回路28の外部にある、加工プロセス、特に溶着プロセスを示す。この加工プロセス30は、溶着力のパターンを検知する力センサ32に接続する。力センサ32は、計測ユニット34に供給されるプロセスパラメータ(p)を確認する。この計測ユニット34は、接続位置36に供給される計測済プロセスパラメータ(p´)を供給する。計測済プロセスパラメータ(p´)だけでなく調整値(S)も接続位置36に供給されるように、接続位置36は、制御装置と振動システム10との間に設置される。共に関連付けられたパラメータ(p´)及び(S)は、振動システム10、特に超音波発生器12に供給される。
【0031】
ローラの形態の対応ツール18のキャリア面は、両側に設置される2つの構造要素45を有することが分かるであろう。これらは、例えば軸線方向に配置される細長いリブであってもよい。材料ウェブ20の加工において、材料ウェブが、ソノトロード16と構造要素45との間にクランプされたとき、2つの構造要素45が材料ウェブ20と接触でき、横シールシームの形成を提供できるように、対応ツール18はその軸線周りに回転する。構造要素の数は、原則では任意の数である。
【0032】
2つの構造要素45の1つが材料ウェブ20を介してソノトロード16上に押圧されるときは常に、力センサ32を介して、力の急激な変化が計測される。しかし、溶着力が増加すると、ソノトロードは対応する反作用力を提供しなければならず、つまり、この状況が、ソノトロード保持部の、明らかに僅かであるが顕著な弾性変形を引き起こす。構造要素45がソノトロード16に圧力を付加しなくなるとすぐに、ソノトロードはその元の位置に戻る。
【0033】
しかし、ソノトロード保持部の弾性特性に起因して、溶着力の時間パターンが減衰振動の形態となるようにオーバーシュート振動が引き起こされる。しかし、溶着力がセンサ32を介して継続的に計測され、変化した溶着力が接続位置36を介して連続的に供給される為、隆起部45が材料20と接触していないときにおいても減衰振動が計測済プロセスパラメータ(p´)として接続位置36に供給されて制御に影響を与える。
【0034】
制御性能の向上のために、位置センサ43によって構造要素45の位置を判断し、判断動作に応じてスイッチ46を作動させて、接続位置36を計測済プロセスパラメータ(p´)又は一定基準値refのいずれかに接続させるトリガー装置44の提供も既に提案されている。
【0035】
この対策によって、制御性能は明らかに向上されるが、ソノトロードの急激な振動動作に関しては何も変わらない。
【0036】
従って、本発明によれば、構造要素45に特殊な形態を設けることが提案される。
【0037】
図2は、円筒の一部の形態のキャリア面47の上面を上から見た図である。従って、キャリア面47は、その半径が回転軸線からキャリア面までの間隔に対応する曲率を含む。複数の構造要素48を備える2つの列がキャリア面上に配置される。
【0038】
キャリア面の左手側は構造要素を有さない。
【0039】
図3は、
図2の構造要素48の平面図である。
【0040】
図4は、A−A線に沿った断面図、つまり、回転軸線に垂直な断面を示す。
【0041】
図5は、B−B線に沿った断面図、つまり、回転軸線に平行な断面を示す。
【0042】
構造要素48は、主要部49と、2つのベベル部50と、側部51とを有することが分かるであろう。主要部49は、湾曲構成をもち、より具体的には、対応ツールの回転軸線から主要部までの間隔に対応する曲率半径をもつ。主要部49の周辺方向の両側に隣接する2つのベベル部50を見ることができ、この2つのベベル部は、
図4の図示で主要部49の接線の下側になるように、主要部49に対して傾いている。この図において、主要部とベベル部とがなす角度は、170°より大きく、好ましくは185°と189.5°との間である。ベベル部50の形状に関する本発明に係る手段では、材料の加工において、最初に材料をベベル部50とソノトロードの間で確実にガイドし、これにより、材料が主要部49によって加工されるまで、対応ツールとソノトロードとの間の間隔が徐々に小さくなる。最適な溶着力条件になるのは、主要部49が材料を加工しているときのみであるので、実際の加工が行われるのは、実質的に主要部の領域内のみである。この実際の加工の後、ベベル部50によって、ソノトロードと対応ツールとの間の間隔が徐々に増加する。
【0043】
図示の実施形態において、側面51はキャリア面47の法線に対して傾斜している。図示の実施形態では、傾斜角度は15°である。
【0044】
図6〜
図9は、構造要素の代替実施形態を示す。円筒の一部の形態のキャリア面の平面図も示す
図6から分かるように、キャリア面は、その全長に亘って、複数の構造要素52を備える2つの列を有する。これらを拡大して
図7に示す。
図8は、A−A線に沿った断面図を示し、
図9は、B−B線に沿った断面図を示す。
図2〜
図5に示された実施形態とは異なり、主要部53は、ベベル部54と比較して著しく大きい。ここでも、構造要素52の上面をキャリア面47に接続する側部55がある。本発明に係るベベル部54は、実際の材料加工作業には、あまり重要ではない。これらは、保持部の弾性に起因する機械台内のソノトロードの振動を防止する、又は少なくとも軽減する為に、対応ツールとソノトロードとの間の間隔を、従って、対応ツールによってソノトロードに付加される力を、それぞれ徐々に増加させたり徐々に減少させたりするだけの働きをする。図示の例のように、複数の構造要素52を備える2つの列が、加工方向に連続して配置される場合、少なくともベベル部の長さの2倍の最低間隔が、連続する構造要素の主要部53同士の間に必ず残るようにする必要がある。実際には、周方向又は加工方向に連続して配置された2つの主要部の間の間隔は、ベベル部の長さの2.5倍から3.5倍の間であることが明らかとなっている。
【0045】
ベベル部が長いほど、それに応じて本発明に係る効果が顕著になり、それに応じて次の構造要素に対して必要な間隔が大きくなる。従って、実際には、主要部の長さの10%と400%との間、また、好ましくは主要部の長さの30%と200%との間の長さをもつベベル部が望ましいことが判明している。
【0046】
最後に、
図10〜
図13は、本発明に係る構造要素の第3実施形態を示す。ここでも、
図10は、複数の構造要素56が設置された2つの列をもつ、円筒の一部の形態のキャリア面を上から見た平面図を示す。
図11に、構造要素56を拡大して再度示し、
図12及び
図13は、A−A線及びB−B線それぞれに沿った断面図を示す。ここで、ベベル部58は一点に向かって細くなる形状をもつことが、
図11の平面図から分かるであろう。それ以外は、この実施形態は上述した2つの実施形態に実質的に対応する。
【符号の説明】
【0047】
10 振動システム
12 コンバータ
14 振幅変換器
16 超音波ソノトロード
18 対応ツール
20 材料
22 フィードバック部
24 制御装置
26 PID制御部
28 発振回路
30 加工プロセス
32 力センサ
34 計測ユニット
36 接続位置
43 位置センサ
44 トリガー装置
45,48,52,56 構造要素
46 スイッチ
47 キャリア面
49,53,57 主要部
50,54,58 ベベル部
51,55 側部