特許第6704906号(P6704906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704906
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】自動車用ドアラッチ装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/06 20140101AFI20200525BHJP
   E05B 85/26 20140101ALI20200525BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   E05B77/06 Z
   E05B85/26
   B60J5/00 M
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-521183(P2017-521183)
(86)(22)【出願日】2016年2月2日
(86)【国際出願番号】JP2016053114
(87)【国際公開番号】WO2017134756
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】多賀 隆雄
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/135142(WO,A1)
【文献】 特表2014−510203(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0315824(US,A1)
【文献】 特許第5285524(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側面に左右方向へ開閉可能に支持されるドアに複数のボルトにより固定され、当該ドアの閉鎖時に前記車体側のストライカが進入する進入溝を有するベース部材と、
前記ベース部材に前後方向を向く第1軸により枢支され、前記進入溝に進入する前記ストライカに噛合可能なラッチと、
前記ベース部材に前後方向を向く第2軸により枢支され、前記ストライカに噛合した状態の前記ラッチに係合することで前記ドアを閉鎖状態に保持し、前記ラッチに係合した係合位置から解除方向へ回動することで前記ラッチから外れて前記ドアの開きを可能にするラッチ解除要素と、
前記ベース部材に前後方向を向く第3軸により枢支され、スプリングの付勢力に抗して通常位置からロック位置に揺動することにより前記ラッチ解除要素の解除方向への回動を阻止可能なストッパ部材と、を備え、
前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材は、
前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材に対して、左方又は右方のいずれか一方へ慣性力が作用した場合、
前記ラッチ解除要素に対しては前記第2軸廻りに解除方向への慣性モーメントが作用するが、前記ストッパ部材に対しては前記第3軸廻りに前記通常位置から前記ロック位置へ揺動するロック方向への慣性モーメントが作用して、前記ラッチ解除要素の解除方向への回動を阻止し、
前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材に対して、左方又は右方のいずれか他方へ慣性力が作用した場合、
前記ストッパ部材に対しては前記ロック方向と反対方向への慣性モーメントが作用するが、前記ラッチ解除要素に対しては前記解除方向と反対方向の係合方向への慣性モーメントが作用して、前記ラッチ解除要素を前記係合位置に保持し、
前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材に対して、上方への慣性力が作用した場合、
前記ラッチ解除要素に対しては前記第2軸廻りに解除方向への慣性モーメントが作用するが、前記ストッパ部材に対しては前記ロック方向への慣性モーメントが作用して、前記ラッチ解除要素の解除方向への回動を阻止し、
前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材に対して、下方への慣性力が作用した場合、
前記ストッパ部材に対しては前記ロック方向と反対方向への慣性モーメントが作用するが、前記ラッチ解除要素に対しては前記係合方向への慣性モーメントが作用して、前記ラッチ解除要素を前記係合位置に保持するように、
前記ラッチ解除要素の重心位置及び前記ストッパ部材の重心位置を、それぞれの回転中心からそれぞれ偏倚した位置に設定したことを特徴とする自動車用ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、前記ロック位置に回動することにより、前記ラッチ解除要素の回動軌跡内に進入することで前記ラッチ解除要素の解除方向への回動を阻止する阻止部を有することを特徴とする請求項1記載の自動車用ドアラッチ装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記複数のボルトがそれぞれ螺合する複数の固定部を有し、
前記複数の固定部は、前記進入溝よりも上位の第1固定部と、前記進入溝よりも下位にあって、車外寄り側の第2固定部及び車内寄り側の第3固定部を含み、
前記ストッパ部材の回転中心及び前記阻止部は、前記進入溝よりも下方で、前記第2固定部と前記第3固定部との間に位置することを特徴とする請求項記載の自動車用ドアラッチ装置。
【請求項4】
前記ラッチ解除要素の重心は、前記ラッチ解除要素の回転中心を原点とする4つの象限のうち第3象限又は第4象限のいずれか一方に位置し、
前記ストッパ部材の重心は、前記ラッチ解除要素の重心位置を前記第3象限とした場合、前記ストッパ部材の回転中心を原点とする4つの象限のうち第1象限に位置し、前記ラッチ解除要素の重心位置を前記第4象限とした場合、前記ストッパ部材の回転中心を原点とする4つの象限のうち第2象限に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用ドアラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアラッチ装置に係り、特に側突事故等で衝撃を受けた際、ドアの開放を阻止するようにした自動車用ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、側突事故等で車体またはドアに衝撃を受けた際、ドアの開放を阻止するようにした発明としては、例えば、引用文献1に記載されているようなものがある。
【0003】
引用文献1に記載された発明は、車体側面に車幅方向へ開閉可能に支持されるドアに取り付けられるドアラッチ装置に係り、ドアの車外側面に設けられるアウトサイドハンドル又はドアの車内側面に設けられるインサイドハンドルのドア開操作によって変位可能なリフトレバーに、前後方向を向く枢軸周りで初期位置から揺動位置へ揺動可能な慣性レバーを枢支することによって、側突事故等でドアや車体が車外から衝撃を受けて、その衝撃による慣性力でアウトサイドハンドルが開操作方向へ変位したとしても、慣性レバーが前記衝撃による慣性力によりスプリングの付勢力に抗して初期位置から揺動位置に揺動することで、アウトサイドハンドルのドア開操作方向への変位に伴うリフトレバーの解除作動をラチェット(引用文献1においては「ポール」)に対して伝達不能にして、意に反するドア開放を阻止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5285524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、引用文献1に記載の発明においては、ラッチ解除防止対策を図る上で未だ不十分である。なぜなら、車外から受けた衝撃による慣性力は、ドアラッチ装置の施解錠機構がアンロック状態又はロック状態のいずれの状態にあるかに係りなく、質量体であるラチェットに対しても当然作用することとなる。この場合、ラチェットの重心がラチェットの回転中心に対して偏倚した位置にあると、ラチェットに慣性力が作用すると、慣性力の方向によっては、ラチェットに対してラッチ解除方向への慣性モーメントが作用し、ラチェットがラッチから外れる解除作動が発生し、意に反してドアが開放する虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、衝撃を受けた際、ラッチ解除要素の解除作動を防止し得るようにした自動車用ドアラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る自動車用ドアラッチ装置は、車体の側面に左右方向へ開閉可能に支持されるドアに複数のボルトにより固定され、当該ドアの閉鎖時に前記車体側のストライカが進入する進入溝を有するベース部材と、前記ベース部材に前後方向を向く第1軸により枢支され、前記進入溝に進入する前記ストライカに噛合可能なラッチと、前記ベース部材に前後方向を向く第2軸により枢支され、前記ストライカに噛合した状態の前記ラッチに係合することで前記ドアを閉鎖状態に保持し、前記ラッチに係合した係合位置から解除方向へ回動することで前記ラッチから外れて前記ドアの開きを可能にするラッチ解除要素と、前記ベース部材に前後方向を向く第3軸により枢支され、スプリングの付勢力に抗して通常位置からロック位置に揺動することにより前記ラッチ解除要素の解除方向への回動を阻止可能なストッパ部材と、を備え、前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材は、前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材に対して、左方又は右方のいずれか一方へ慣性力が作用した場合、前記ラッチ解除要素に対しては前記第2軸廻りに解除方向への慣性モーメントが作用するが、前記ストッパ部材に対しては前記第3軸廻りに前記通常位置から前記ロック位置へ揺動するロック方向への慣性モーメントが作用して、前記ラッチ解除要素の解除方向への回動を阻止し、前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材に対して、左方又は右方のいずれか他方へ慣性力が作用した場合、前記ストッパ部材に対しては前記ロック方向と反対方向への慣性モーメントが作用するが、前記ラッチ解除要素に対しては前記解除方向と反対方向の係合方向への慣性モーメントが作用して、前記ラッチ解除要素を前記係合位置に保持し、前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材に対して、上方への慣性力が作用した場合、前記ラッチ解除要素に対しては前記第2軸廻りに解除方向への慣性モーメントが作用するが、前記ストッパ部材に対しては前記ロック方向への慣性モーメントが作用して、前記ラッチ解除要素の解除方向への回動を阻止し、前記ラッチ解除要素及び前記ストッパ部材に対して、下方への慣性力が作用した場合、前記ストッパ部材に対しては前記ロック方向と反対方向への慣性モーメントが作用するが、前記ラッチ解除要素に対しては前記係合方向への慣性モーメントが作用して、前記ラッチ解除要素を前記係合位置に保持するように、前記ラッチ解除要素の重心位置及び前記ストッパ部材の重心位置を、それぞれの回転中心からそれぞれ偏倚した位置に設定したことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記ストッパ部材は、前記ロック位置に回動することにより、前記ラッチ解除要素の回動軌跡内に進入することで前記ラッチ解除要素の解除方向への回動を阻止する阻止部を有する。
【0009】
さらに好ましくは、前記ラッチ解除要素の重心は、前記ラッチ解除要素の回転中心を原点とする4つの象限のうち第3象限又は第4象限のいずれか一方に位置し、前記ストッパ部材の重心は、前記ラッチ解除要素の重心位置を前記第3象限とした場合、前記ストッパ部材の回転中心を原点とする4つの象限のうち第1象限に位置し、前記ラッチ解除要素の重心位置を前記第4象限とした場合、前記ストッパ部材の回転中心を原点とする4つの象限のうち第2象限に位置する。
【0010】
さらに好ましくは、前記ベース部材は、前記複数のボルトがそれぞれ螺合する複数の固定部を有し、前記複数の固定部は、前記進入溝よりも上位の第1固定部と、前記進入溝よりも下位にあって、車外寄り側の第2固定部及び車内寄り側の第3固定部を含み、前記ストッパ部材の回転中心及び前記阻止部は、前記進入溝よりも下方で、前記第2固定部と前記第3固定部との間に位置する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、車体またはドアに受けた衝撃力で発生する慣性力の作用によりラッチ解除要素が解除作動しないため、ドアが不用意に開いてしまうことを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を適用した自動車の概略横断面である。
図2】同じく左斜め後方から見た左右のドアの斜視図である。
図3】同じくアウトサイドハンドル及びドアラッチ装置の正面図である。
図4】同じくドアラッチ装置の分解斜視図である。
図5】同じくドアラッチ装置の斜視図である。
図6】同じくドアラッチ装置の後面図である。
図7】同じくドアラッチ装置の正面図である。
図8】同じくドアラッチ装置の要部の斜視図である。
図9】同じく噛合ユニットの主要な要素の拡大後面図である。
図10】同じくラッチ解除要素の後面図である。
図11】同じくストッパ部材の後面図である。
図12】同じく通常状態にあるときの左右のドアラッチ装置の要部の後面図である。
図13】同じく車体右側面に衝撃を受けた際の左右のドアラッチ装置の要部の後面図である。
図14】同じく車体左側面に衝撃を受けた際の左右のドアラッチ装置の要部の後面図である。
図15】車体に衝撃力が作用したときの、ドアの各要素の変位を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した自動車の概略横断面図、図2は、左斜め後方から見た左右のドアの斜視図である。
4ドアタイプの自動車にあっては、車体の左右両側面に左側のフロントドア100L、右側の100R及び図示略の左右のリヤドアの前端部がそれぞれ上下方向の軸を有する図示略のドアヒンジによりそれぞれ車幅方向(左右方向)へ開閉可能に枢支される。
【0014】
フロントドア100L、100Rには、主な要素として、ドアラッチ装置200L、200R、アウトサイドハンドル300L、300R、インサイドハンドル400L、400R、キーシリンダ500L、500R及びロックノブ600L、600Rがそれぞれ設けられる。また、図示は省略するが、リヤドアにもキーシリンダ以外の前述の各要素が設けられる。
【0015】
なお、ドアを含む左右の各要素は、互いに左右線対称構造を呈している。このため、以下の構成に係る説明においては、右側のフロントドア100Rに取り付けられる各要素を代表して説明し、左側のフロントドア100Lに取り付けられる各要素については、右側の各要素について説明するものを、「左」を「右」、「右」を「左」にそれぞれ適宜置き換えて理解するものとする。また、リヤドアに取り付けられるドアラッチ装置については、フロントドア用のものと基本構成は実質的に同一であるため、説明は省略する。
【0016】
図3は、アウトサイドハンドル300R及びドアラッチ装置200Rの正面図である。
アウトサイドハンドル300Rは、フロントドア(以下、「ドア」という)100Rの車外側側面(アウタパネル)に上下方向を向く図示略の軸廻りに揺動可能に枢支されると共に、前後方向を向く軸800廻りに回動可能なハンドルレバー900及び当該ハンドルレバー900に連結されるボーデンケーブル、ロッド等な機械的な連結要素700を介してドアラッチ装置200Rの後述のアウトサイドレバー30に連結される。これにより、アウトサイドハンドル300Rの図3に示す矢印方向(外方)へのドア開操作に基づいてハンドルレバー900が軸800廻りに右回り方向へ所定角度回動することで、当該回動が連結要素700を介してアウトサイドレバー30に伝達されて、ドアラッチ装置200Rを後述のように解除作動させてドア100Rを開放することができる。
【0017】
なお、本実施形態に採用されるアウトサイドハンドル300Rに係る構造は、ハンドルレバー900の上端部にカウンターウェイト1000を取り付けることで、側突事故等においてドア100Rに対して外部から衝撃力Fを受けた場合に、当該衝撃力Fによりアウトサイドハンドル300Rに作用するドア開操作方向の慣性力を、カウンターウェイト1000により相殺することで、アウトサイドハンドル300Rのドア開操作方向への変位を防止するようにしたものである。
【0018】
インサイドハンドル400Rは、ドア100Rの車内側側面に上下方向を向く軸廻りに揺動可能に枢支されると共に、ドアラッチ装置200Rにボーデンケーブル、ロッド等の機械的要素の図示略の連結要素により連結されることにより、車内方向(ドア100Rの開き方向と反対方向)へのドア開操作に基づいて、ドアラッチ装置200Rを解除作動させてドア100Rを開放することができる。
【0019】
キーシリンダ500Rは、ドア100Rの車外側側面に車幅(左右)方向を向く軸廻りに回動可能に枢支され、キープレートを差し込んで中立位置から左又は右方向に回動操作されることで、ドアラッチ装置200Rをアンロック状態又はロック状態に選択的に切り替えることができる。
【0020】
ロックノブ600Rは、ドア100Rの車内側に設けられ、手動操作をもってドアラッチ装置200Rをアンロック状態又はロック状態に選択的に切り替えることができる。
【0021】
なお、アンロック状態とは、アウトサイドハンドル300R、インサイドハンドル400Rのドア開操作に基づいて、ドアラッチ装置200Rを解除作動させてドア100Rを開けることができる状態であり、また、ロック状態とは、アウトサイドハンドル300R、インサイドハンドル400Rをドア開操作しても、ドアラッチ装置200Rを解除作動させることができず、ドア100Rを開けることができない状態である。
【0022】
図4は、ドアラッチ装置200Rの分解斜視図、図5は、ドアラッチ装置200Rの斜視図、図6は、ドアラッチ装置200Rの後面図、図7は、ドアラッチ装置200Rの正面図、図8は、要部の斜視図、図9は、要部の後面図である。なお、図5は、内部構造を明示するため、後述の第1カバー20を取り外した状態を示している。
【0023】
ドアラッチ装置200Rは、ドア100R内の後端に取り付けられ、ドア100Rを閉鎖状態に保持するための噛合ユニット1と、噛合ユニット1に組み付けられる操作ユニット2とを有する。
【0024】
噛合ユニット1は、ドア100R内の後端内部に前方を向く複数(本実施例においては3本)のボルト3A、3B、3Cにより締結固定されると共に、車体側に固定されるストライカSが進入可能な左右方向のストライカ進入溝44を有するベース部材4を備える。ベース部材4内には、図6に示すように、ストライカ進入溝44に進入したストライカSと噛合可能なラッチ5と、当該ラッチ5に係合可能なラチェット6とが回動可能に収容される。ベース部材4の前面側には、図7に示すように、ラチェット6と一体的に回動可能なオープンレバー7と、予め定めた設定値以上の慣性力が作用した場合に所定角度回動可能なストッパ部材8とが設置される。
【0025】
図4に示すように、ベース部材4は、合成樹脂製のボディ41と、当該ボディ41の後側を向く開口を閉鎖するようにボディ41に固定される金属製のカバープレート42とを含んで構成される。さらに、ボディ41の前面には、金属製のバックプレート43が固定される。ボディ41及びカバープレート42には、前述のストライカ進入溝44が設けられる。また、カバープレート42には、ボルト3A、3B、3Cがそれぞれ螺合可能な固定部をなす締結孔421、422、423が設けられる。
【0026】
図6に示すように、ボルト3Aが螺合する締結孔421は、ストライカ進入溝44よりも上位に配置され、ボルト3Bが螺合する締結孔422は、ストライカ進入溝44よりも下位で、車外寄り側に配置され、ボルト3Cが螺合する締結孔423は、ストライカ進入溝44よりも下位で、車内寄り側に配置される。
【0027】
ラッチ5は、ボディ41とカバープレート42との間に前後方向(車幅(左右)方向に交差する方向)を向くラッチ軸9により枢支され、ドア100Rが開放しているときには、ラッチ軸9に巻回されるスプリング10の付勢力によりストライカSに噛合していないオープン位置(図6に示す位置から右回りに略90度回転した位置)に保持され、ドア100Rの閉鎖時には、図6に示す矢印方向からストライカ進入溝44に進入してくるストライカSに噛合することで、スプリング10の付勢力に抗してオープン位置から噛合方向(図6において左回り方向)へ回動して、ドア100Rの半ドア状態に対応するストライカSに僅かに噛合するハーフラッチ位置を通過して、ドア100Rの全閉状態に対応するストライカSに完全に噛合するフルラッチ位置(図6に示す位置)へ回動する。また、ドア100Rの開動作時には、閉鎖動作時と逆方向へ回動する。
【0028】
ラチェット6は、ボディ41とカバープレート42間にあって、ストライカ進入溝44よりも下位の位置に前後方向を向くラチェット軸11により枢支されると共に、ベース部材4内に支持されるスプリング12により係合方向(図6において左回り方向)へ付勢され、車外側の端縁に設けられた爪部61がラッチ5のフルラッチ係合部51に係合することでドア100Rを全閉状態に保持し、ハーフラッチ係合部52に係合することでドア100Rを半ドア状態に保持し、また、スプリング12の付勢力に抗して、爪部61がフルラッチ係合部51又はハーフラッチ係合部52に係合した係合位置(例えば、図6に示す位置)から解除方向(図6において右回り方向)に回動して下方へ変位することで、フルラッチ係合部51又はハーフラッチ係合部52から外れてドア100Rの開放を可能にする。
【0029】
図7に示すように、オープンレバー7は、ボディ41の前面側(図7において図面手前側)にあって、ラチェット6と同軸でラチェット6と一体的に回動可能に枢支され、解除方向(図7において左回り方向)へ回動することで、ラチェット6を解除方向へ回動させる。オープンレバー7には、車外側へ向けて延伸する第1アーム部71と、車内側斜め下方へ延伸する第2アーム部72とが設けられる。
【0030】
なお、本実施形態においては、ラチェット6とオープンレバー7とを別体で形成した構成であるが、ラチェット6とオープンレバー7とは常に一体的に回動する要素であるから、両者は、実質的に一体構造であると定義する。したがって、本発明においては、ラチェット6及びオープンレバー7の両機能を含んだ要素をラッチ解除要素60と定義する。また、当然のことながら、ラチェット6とオープンレバー7とを一体構造としても良いことはいうまでもない。
【0031】
ストッパ部材8は、ボディ41の前面とバックプレート43との間にあって、図7に示すように、ストライカ進入溝44よりも下位の位置で、かつ下端部がラチェット軸11よりも車外側に位置する前後方向を向く軸13により車幅方向(左右方向)へ所定角度回動可能に枢支されると共に、軸13に巻回されたスプリング14により図7において左回り方向へ付勢され、慣性力が作用していない基準状態においてはボディ41に設けられたストッパ部411に当接して図7及び図9に実線で示す基準位置に保持され、予め定めた設定値以上の慣性力が作用したときには、スプリング14の付勢力に抗して図9に2点鎖線で示すロック位置に変位する。なお、図7は、バックプレート43を省略している。
【0032】
ストッパ部材8が基準位置にある場合には、ストッパ部材8の左側縁に段差状に設けられた上向きの阻止部81がオープンレバー7の第1アーム部71の移動軌跡外に退避して、ラッチ解除要素60の係合位置から解除方向への回動を妨げることはない。しかし、慣性力が作用して、ストッパ部材8がロック位置に回動した場合には、阻止部81がオープンレバー7の第1アーム部71の下側、すなわち移動軌跡内に進入して、第1アーム部71の下部に対して当接することによって、ラッチ解除要素60の係合位置から解除方向への回動(解除作動)を阻止して、ドア100Rの開放を阻止する。
【0033】
また、図7に示すように、ストッパ部材8は、ストライカ進入溝44よりも下位で、後述のアウトサイドレバー30よりも上位で、かつ車外寄り側にある締結孔422と車内寄り側にある締結孔423との間で動作するように配置される。これにより、ストッパ部材8をベース部材4の限られたスペース内に配置することができ、噛合ユニット1の大型化を抑止可能となる。
【0034】
図10は、ラッチ解除要素60の後面図、図11は、ストッパ部材8の後面図である。
図10に示すように、右側のドアラッチ装置200Rのラッチ解除要素60を後方から見て、ラッチ解除要素60の回動中心(ラチェット軸11の軸心と等しい)Oを原点とし、この原点Oを通る左右方向へ延伸する直線をx軸とし、鉛直面上で原点Oを通りx軸と直交する直線をy軸とし、x軸において車外側(右側)を向く方向を正方向とし、y軸において上方を向く方向を正方向とし、x軸及びy軸により第1象限から第4象限を規定した場合、ラッチ解除要素60は、係合位置(ラチェット6の爪部61がラッチ5のフルラッチ係合部51又はハーフラッチ係合部52に係合している状態)にあるとき、爪部61が第1象限に位置し、重心Gが第3象限に位置するように構成される。
【0035】
また、左側のドアラッチ装置200Lのラッチ解除要素60は、図示は省略するが、右側のラッチ解除要素60と左右線対称構造であるため、係合位置にあるとき、爪部61が第2象限に位置し、重心Gが第4象限に位置するように構成される。
【0036】
図11に示すように、右側のドアラッチ装置200Rのストッパ部材8を後方から見て、ストッパ部材8の回動中心(軸13の軸心と等しい)Oを原点とし、この原点Oを通る左右方向へ延伸する直線をx軸とし、鉛直面上で原点Oを通りx軸と直交する直線をy軸とし、x軸において車外側(右側)を向く方向を正方向とし、y軸において上方を向く方向を正方向とし、x軸及びy軸により第1象限から第4象限を規定した場合、ストッパ部材8は、基準位置にあるとき、阻止部81及び重心Gが、ラッチ解除要素60の重心Gが位置する第4象限に対してx軸線対称の位置関係にある第1象限に位置するように構成される。
【0037】
また、左側のドアラッチ装置200Lのストッパ部材8は、図示は省略するが、右側のストッパ部材8と左右線対称構造であるため、基準位置にあるとき、阻止部81及び重心Gが第2象限に位置するように構成される。
【0038】
次に、ドアラッチ装置200Rにおける操作ユニット2について説明する。
図4、5に示すように、操作ユニット2は、ベース部材4の前側を覆うようにベース部材4に固定される合成樹脂製の第1カバー20(図5においては省略)、及び当該第1カバー20の車内側を向く側面を閉鎖する合成樹脂製の第2カバー21を含むカバー(符号無し)と、当該カバー内に収容される操作機構(符号無し)とを有する。
【0039】
操作機構は、主な要素として、ドア100Rに設けられるキーシリンダ500Rの操作に連動する第1、2キーレバー22、23と、第2キーレバー23に連結されるコネクトレバー24と、コネクトレバー24に連結され、アンロック位置及びロック位置に回動可能なロックレバー25と、ロックレバー25と共にアンロック位置及びロック位置に移動可能なリフトレバー26と、モータ27と、モータ27の回転によりロックレバー25をアンロック位置及びロック位置に回動させるウォームホイール28と、ドア100Rに設けられるインサイドハンドル400Rに連結されるインサイドレバー29と、ドア100Rに設けられるアウトサイドハンドル300Rに連結されるアウトサイドレバー30とを有する。その他の要素は、本発明に直接関係しないので、説明は省略し、図示するに止める。
【0040】
なお、ロックレバー25及びリフトレバー26は、ドアラッチ装置200Rをアンロック状態及びロック状態とする施解錠機構を構成する要素である。また、ロックレバー25及びリフトレバー26のアンロック位置とは、施解錠機構をアンロック状態とする位置であり、同じくロック位置は、施解錠機構をロック状態とする位置である。
【0041】
第1キーレバー22は、第1カバー20の上部に設けた車内外方向を向く軸受孔201に枢支され、キーシリンダ500Rの操作により中立位置からアンロック方向又はその反対方向のロック方向へ回動する。第2キーレバー23は、第1カバー20に設けられる車内外方向を向く軸202により第1カバー20と第2カバー21間に枢支されると共に、上部が第1キーレバー22の下部に連結され、第1キーレバー22の回動に連動して、中立位置からアンロック方向又はロック方向へ回動する。コネクトレバー24は、第2キーレバー23と同軸により枢支され、キーシリンダ500Rの操作に基づく第2キーレバー23の回動をロックレバー25に伝達する。ロックレバー25は、前後方向を向く軸211により第1カバー20と第2カバー21間に枢支され、モータ27の駆動によるウォームホイール28の回動、コネクトレバー24の回動及びロックノブ600Rの操作に基づいて、アンロック位置及びロック位置に回動する。
【0042】
リフトレバー26は、下部がアウトサイドレバー30の車内側端部301に前後方向へ所定角度回動可能に連結されると共に、上部がロックレバー25に上下方向へ摺動可能に連結されることによって、ロックレバー25の動作に連動して、アウトサイドレバー30の車内側端部301を中心にアンロック位置又はロック位置に選択的に回動し、また、アウトサイドレバー30の回動により上方へ解除作動する。
【0043】
アウトサイドレバー30は、前後方向を向く軸31によりバックプレート43の下部に枢支されると共に、図3に示すように、車外側の端部に設けた連結部302が連結要素700を介してハンドルレバー900に連結されることにより、アウトサイドハンドル300Rのドア開操作に基づいて、軸31に巻回されるスプリング32の付勢力に抗して解除方向(図3において左回り方向)へ回動し、当該回動によりリフトレバー26を上方へ解除作動させる。
【0044】
インサイドレバー29は、上部が第2カバー21の内側面に左右方向を向く軸211により枢支されると共に、下端部が図示略のボーデンケーブル等の機械的要素の図示略の連結部材を介してインサイドハンドル400Rに連結されることにより、インサイドハンドル400Rのドア開操作に基づいて、アウトサイドレバー30を介してリフトレバー26を解除作動させる。
【0045】
上述の構成により、施解錠機構(ロックレバー25、リフトレバー26)がアンロック状態にある場合には、アウトサイドハンドル300R又はインサイドハンドル400Rのドア開操作に基づいて、リフトレバー26が上方へ解除作動すると、リフトレバー26に設けた解除部261がオープンレバー7の第2アーム部72に下側から当接することで、ラッチ解除要素60を解除方向へ回動させることができる。したがって、この状態においては、アウトサイドハンドル300R又はインサイドハンドル400Rをドア開操作することで、ドア100Rを開けることができる。
【0046】
また、施解錠機構がロック状態にある場合には、アウトサイドハンドル300R又はインサイドハンドル400Rのドア開操作に基づいて、リフトレバー26が解除作動しても、解除部261がオープンレバー7の第2アーム部72に対して空振りして、ラッチ解除要素60を解除方向へ回動させることができない。したがって、この状態においては、アウトサイドハンドル300R又はインサイドハンドル400Rをドア開操作しても、ドア100Rを開けることはできない。
【0047】
次に、図12−15に基づいて、事故等により車体に衝撃力が作用した場合の作用について説明する。
図12−14は、左右のドアラッチ装置200L、200Rの要部の後面図であって、左側はドア100Lに取り付けられるドアラッチ装置200L、右側はドア100Rに取り付けられるドアラッチ装置200Rをそれぞれ示す。図15は、車体に衝撃力が作用したときの、左側のドア100Lの各要素及び右側のドア100Rの各要素の変位を説明するための説明図である。
【0048】
なお、図12−14に示す各要素の符号については、左側のドアラッチ装置200Lの要素と右側のドアラッチ装置200Rの要素とを区別するため、ドアラッチ装置200Lの要素については符号の末尾をLとし、ドアラッチ装置200Rの要素については符号の末尾をRとする。
【0049】
<各ドア100L、100Rが閉鎖している通常状態>
通常状態においては、図12に示すように、左右のストライカSがラッチ5L、5Rにそれぞれ噛合し、ラチェット6L、6Rの爪部61L、61Rがラッチ5L、5Rのフルラッチ係合部51L、51Rにそれぞれ係合した状態にある。ストッパ部材8L、8Rは、スプリング14L、14Rの付勢力により基準位置に保持されている。したがって、この状態においては、施解錠機構がアンロック状態にあれば、アウトサイドハンドル300L、300R又はインサイドハンドル400L、400Rをドア開操作することで、ラッチ解除要素60L、60Rをそれぞれ解除方向へ回動させてドア100L、100Rを開けることができる。また、施解錠機構がロック状態にあれば、オープンレバー7とリフトレバー26との連係関係が切断されているため、アウトサイドハンドル300L、300R及びインサイドハンドル400L、400Rのドア開操作は、ラッチ解除要素60L、60Rに伝達されず、ドア100L、100Rを開けることはできない。
【0050】
<側突事故等により、ドア100R又は当該ドア100Rが設けられた側の車体右側面に外部から衝撃力F0を受けた場合>
図13及び図15(a)を参照しつつ説明すると、衝撃力F0を直接受けた側のドア100R側において、アウトサイドハンドル300Rに対してはドア開操作方向への慣性力が作用するが、前述のように、ハンドルレバー900に慣性力を相殺するためのカウンタウェイト1000が設けられているため、アウトサイドハンドル300Rは、ドア開操作方向へ変位しない。また、インサイドハンドル400Rに対しては、ドア開操作方向と反対方向への慣性力が作用するため、インサイドハンドル400Rは、ドア開操作方向へ変位しない。したがって、施解錠機構がアンロック状態又はロック状態のいずれにあっても、アウトサイドハンドル300R又はインサイドハンドル400R側からラッチ解除要素60Rにドア開操作方向の変位は伝達されることはない。
【0051】
なお、衝撃力F0の方向は、図13から理解できるように、左側のドアラッチ装置200Lにおいては、ストライカSが進入溝44Lに進入する方向を向く第1の方向となり、また、右側のドアラッチ装置200Rにおいては、第1の方向に相対する第2の方向となる。
【0052】
ドアラッチ装置200Rにおいては、図13に示すように、車体右側面に外部右側(車外側)から衝撃力F0が作用すると、その衝撃力F0により発生する慣性力f0は、ラッチ解除要素60R及びストッパ部材8Rのそれぞれの重心Gに対して衝撃力F0と反対方向(図13において右方向)へ作用する。
【0053】
これにより、ストッパ部材8Rに作用する慣性力f0は、ロック方向と反対方向(図13において右回り方向)へ作用するため、ストッパ部材8Rは、ストッパ部411Rにより反対方向への回動が阻止されているため基準位置から変位しない。これに対し、ラッチ解除要素60Rに作用する慣性力f0は、ラッチ解除方向と反対方向、すなわち係合方向(図13において左回り方向)へ作用するため、ラッチ解除要素60Rは、係合位置に保持される。これによって、ストッパ部材8Rが基準位置にあっても、ラチェット6Rとラッチ5Rとの係合状態は保持され、慣性力f0により解除作動を引き起こすようなことはない。
【0054】
一方、衝撃を受けた側と反対側(左側)のドア100Lにおいては、アウトサイドハンドル300Lに対してはドア開操作方向と反対方向への慣性力が作用するため、アウトサイドハンドル300Lは、ドア開操作方向へ変位することはない。インサイドハンドル400Lに対してはドア開操作方向への慣性力が作用する。したがって、施解錠機構がアンロック状態にあるとき、インサイドハンドル400Lが慣性力によりア開操作方向へ変位すると、当該変位がドアラッチ装置200Lのラッチ解除要素60Lに伝達される虞がある。ただし、施解錠機構がロック状態にあれば、オープンレバー7とリフトレバー26との連係関係が切断されているため、インサイドハンドル400Lのドア開操作方向への変位は伝達されない。
【0055】
また、ドアラッチ装置200Lのラッチ解除要素60Lには、慣性力f0がラッチ解除方向(左回り方向)へ作用するため、施解錠機構がロック状態であっても、ラッチ解除要素60Lは、ラッチ解除方向へ変位する虞がある。
【0056】
しかし、ストッパ部材8Lには、慣性力f0がロック方向(図13において、右回り方向)へ作用するため、ストッパ部材8Lは、スプリング14Lの付勢力に抗して基準位置からロック位置に変位して、阻止部81Lがラッチ解除要素60Lにおけるオープンレバー7Lの第1アーム部71Lの移動軌跡内に進入することで、ラッチ解除要素60Lの解除方向への回動を阻止して、ラチェット6Lとラッチ5Lとの係合状態を保持し、ドア100Lの開放を阻止する。
【0057】
上述により、車体右側面が外部から衝撃力F0を受けた場合には、右側のドア100Rにおいては、ストッパ部材8Rがロック位置に変位しないものの、ラッチ解除要素60Rに作用する慣性力f0が係合方向に作用するため、ラッチ解除要素60Rは、係合位置に保持されて、ドア100Rの開放を阻止する。また、衝撃力F0を受けた側と反対側の左側のドア100Lにおいては、衝撃力F0により発生する慣性力f0により、ストッパ部材8Lが基準位置からロック位置に変位して、ラッチ解除要素60Lの解除方向へ変位するような解除作動を阻止することで、ドア100Lの開放を阻止する。
【0058】
<側突事故等により、ドア100L又は当該ドア100Lが設けられた側の車体左側面に外部から衝撃力F1を受けた場合>
図14及び図15(b)を参照しつつ説明すると、衝撃を直接受けた側のドア100L側において、アウトサイドハンドル300Lに対してはドア開操作方向への慣性力が作用するが、前述のように、ハンドルレバー900に慣性力を相殺するためのカウンタウェイト1000を設けているため、アウトサイドハンドル300Lは、ドア開操作方向へ変位しない。また、インサイドハンドル400Lに対しては、ドア開操作方向と反対方向への慣性力が作用するため、インサイドハンドル400Lは、ドア開操作方向へ変位しない。したがって、施解錠機構がアンロック状態又はロック状態のいずれにあっても、アウトサイドハンドル300L又はインサイドハンドル400L側からラッチ解除要素60Lにドア開操作方向の変位は伝達されることはない。
【0059】
なお、衝撃力F1の方向は、図14から理解できるように、右側のドアラッチ装置200Rにおいては、ストライカSが進入溝44Rに進入する方向を向く第1の方向となり、また、左側のドアラッチ装置200Lにおいては、第1の方向に相対する第2の方向となる。
【0060】
ドアラッチ装置200Lにおいては、図14に示すように、車体左側面に外部左側(車外側)から衝撃力F1が作用すると、その衝撃力F1により発生する慣性力f1は、ラッチ解除要素60L及びストッパ部材8Lのそれぞれの重心Gに対して衝撃力F1と反対方向(図14において左方向)へ作用する。
【0061】
これにより、ストッパ部材8Lに作用する慣性力f1は、ロック方向と反対方向(図14において左回り方向)へ作用するため、ストッパ部材8Lは、ストッパ部411Lにより反対方向への回動が阻止されているため基準位置から変位しない。これに対し、ラッチ解除要素60Lに作用する慣性力f1は、ラッチ解除方向と反対方向、すなわち係合方向(図14において右回り方向)へ作用するため、ラッチ解除要素60Lは、係合位置に保持される。これによって、ストッパ部材8Lが基準位置にあっても、ラチェット6Lとラッチ5Lとの係合状態は保持され、慣性力f1によりラッチ解除作動を引き起こすようなことはない。
【0062】
一方、衝撃を受けた側と反対側(右側)のドア100Rにおいては、アウトサイドハンドル300Rに対してはドア開操作方向と反対方向への慣性力が作用するため、アウトサイドハンドル300Rは、ドア開操作方向へ変位することはない。インサイドハンドル400Rに対してはドア開操作方向への慣性力が作用する。したがって、施解錠機構がアンロック状態にあるとき、インサイドハンドル400Rが慣性力によりア開操作方向へ変位すると、当該変位がドアラッチ装置200Rのラッチ解除要素60Rに伝達される虞がある。ただし、施解錠機構がロック状態にあれば、オープンレバー7とリフトレバー26との連係関係が切断されているため、インサイドハンドル400Rのドア開操作方向への変位は伝達されない。
【0063】
また、ドアラッチ装置200Rのラッチ解除要素60Rには、慣性力f1がラッチ解除方向(右回り方向)へ作用するため、施解錠機構がロック状態であっても、ラッチ解除要素60Rは、ラッチ解除方向へ変位する虞がある。
【0064】
しかし、ストッパ部材8Rには、慣性力f1がロック方向(図14において、左回り方向)へ作用するため、ストッパ部材8Rは、スプリング14Rの付勢力に抗して基準位置からロック位置に変位して、阻止部81Rがラッチ解除要素60Rにおけるオープンレバー7Rの第1アーム部71Rの移動軌跡内に進入することで、ラッチ解除要素60Rの解除方向への回動を阻止して、ラチェット6Rとラッチ5Rとの係合状態を保持し、ドア100Rの開放を阻止する。
【0065】
上述により、車体左側面が外部から衝撃力F1を受けた場合には、左側のドア100Lにおいては、ストッパ部材8Lがロック位置に変位しないものの、ラッチ解除要素60Lに作用する慣性力f1が係合方向に作用するため、ラッチ解除要素60Lは、係合位置に保持されて、ドア100Lの開放を阻止する。また、衝撃力F1を受けた側と反対側の右側のドア100Rにおいては、衝撃力F1により発生する慣性力f1により、ストッパ部材8Rが基準位置からロック位置に変位して、ラッチ解除要素60Rの解除方向への変位を阻止することで、ドア100Rの開放を阻止する。
【0066】
(例えば、横転事故等により、下向きの慣性力が作用した場合)
図12及び図15(c)を参照しつつ説明すると、下向きの慣性力は、アウトサイドハンドル300L、300R及びインサイドハンドル400L、400Rに対してドア開操作方向へ作用しない。
【0067】
また、ドアラッチ装置200L、200Rにあっては、ストッパ部材8Lの重心Gは第2象限、ストッパ部材8Rの重心Gは第1象限にそれぞれあることから、それぞれの重心Gに対して下向きの慣性力が作用すると、ストッパ部材8L、8Rには、ロック方向と反対方向への慣性モーメントが作用するため、基準位置から変位しない。しかし、ラッチ解除要素60Lの重心Gは第4象限、ラッチ解除要素60Rの重心Gは第3象限にそれぞれあることから、それぞれの重心Gに下向きの慣性力が作用すると、ラッチ解除要素60L、60Rに対しては、ラッチ解除方向と反対方向、すなわち係合方向への慣性モーメントが作用することから、ラッチ解除要素60L、60Rはそれぞれ係合位置に保持される。
【0068】
上述により、下向きの慣性力が作用した場合には、ストッパ部材8L、8Rはロック位置に変位しないものの、ラッチ解除要素60L、60Rには係合方向へ慣性力が作用するため、ラッチ解除要素60L、60Rは係合位置に保持されて、ドア100L、100Rの開放を阻止する。
【0069】
(何らかの要因により、上向きの慣性力が作用した場合)
図12及び図15(d)を参照しつつ説明すると、上向きの慣性力は、アウトサイドハンドル300L、300R及びインサイドハンドル400L、400Rに対してドア開操作方向へ作用しない。
【0070】
また、ドアラッチ装置200L、200Rにあっては、上向きの慣性力が作用すると、ラッチ解除要素60L、60Rに対しては、ラッチ解除方向への慣性モーメントが作用し、解除方向へ変位する虞がある。
しかし、ストッパ部材8L、8Rに対しては、ロック方向への慣性モーメントが作用するため、ストッパ部材8L、8Rはそれぞれ基準位置からロック位置に変位して、ラッチ解除要素60L、60Rの解除方向への変位を阻止する。
【0071】
上述により、上向きの慣性力が作用した場合には、ストッパ部材8L、8Rがロック位置に変位して、ラッチ解除要素60L、60Rの解除作動を阻止することで、ドア100L、100Rの開放を阻止することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(a)右側のドア100Rに取り付けられるドアラッチ装置200Rのストッパ部材8Rの形状を適宜変更して、ストッパ部材8Rの重心Gを第2象限に位置するようにする。この場合には、左側のドア100Lに取り付けられるドアラッチ装置200Lのストッパ部材8Lの重心Gは、第1象限に位置することとなる。
(b)ドアラッチ装置200Rのラッチ解除要素60Rの重心Gを、第4象限に位置するようにする。この場合には、ドアラッチ装置200Lのラッチ解除要素60Lの重心Gは、第3象限に位置することとなる。
(c)ドアラッチ装置200L、200Rのラッチ解除要素60L、60Rの重心Gを、負のy軸線上に設定し、ドアラッチ装置200L、200Rのストッパ部材8L、8Rの重心Gを正のy軸線上に設定する。
(d)ラッチ5L、5R、ラッチ解除要素60L、60R及びストッパ部材8L、8Rの回転軸線方向を上下方向(車幅方向に交差する方向)に向くようにして、ドアラッチ装置200L、200Rを各ドアに配置する。この場合には、第1象限から第4象限は、ラッチ解除要素60L、60R及びストッパ部材8L、8Rを上方から見て、それぞれの原点(回動中心)Oを通るy軸は前後方向を向き、後方を向く方向を正方向として区分される。
【符号の説明】
【0073】
1 噛合ユニット 2 操作ユニット
3A、3B、3C ボルト 4 ベース部材
5 ラッチ 6 ラチェット
7 オープンレバー 8 ストッパ部材
9 ラッチ軸 10 スプリング
11 ラチェット軸 12 スプリング
13 軸 14 スプリング
20 第1カバー 21 第2カバー
22 第1キーレバー 23 第2キーレバー
24 コネクトレバー 25 ロックレバー
26 リフトレバー 27 モータ
28 ウォームホイール 29 インサイドレバー
30 アウトサイドレバー 31 軸
32 スプリング 41 ボディ
42 カバープレート 43 バックプレート
44 進入溝 51 フルラッチ係合部
52 ハーフラッチ係合部 60 ラッチ解除要素
61 爪部 71 第1アーム部
72 第2アーム部 81 阻止部
201 軸受孔 202 軸
211 軸 261 解除部
301 車内側端部 302 連結部
411 ストッパ部
421、422、423 締結孔(固定部)
F、F0、F1 衝撃荷重 F0、f1 慣性力
G 重心 S ストライカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15