特許第6704907号(P6704907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704907真空テストを可能にする真空絶縁スイッチ、スイッチアセンブリ、およびテスト方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704907
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】真空テストを可能にする真空絶縁スイッチ、スイッチアセンブリ、およびテスト方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/668 20060101AFI20200525BHJP
   G01R 31/12 20200101ALI20200525BHJP
   H01H 33/662 20060101ALI20200525BHJP
   H01H 33/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H01H33/668 K
   G01R31/12 Z
   H01H33/662 F
   H01H33/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-521309(P2017-521309)
(86)(22)【出願日】2015年7月9日
(65)【公表番号】特表2017-524241(P2017-524241A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】EP2015065729
(87)【国際公開番号】WO2016005509
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年6月21日
(31)【優先権主張番号】1456672
(32)【優先日】2014年7月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517006278
【氏名又は名称】スーパーグリッド インスティテュート エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンソン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ジロデ アラン
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−237320(JP,A)
【文献】 特開2002−184275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/668
G01R 31/12
H01H 33/00
H01H 33/662
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中電圧または高電圧用スイッチ(10)であって、
高真空の筐体(111)と、
前記筐体(111)内に搭載されて開位置と閉位置の間を相対往復変位可能とされている第一接点(121)および第二接点(122)と、
導体(210、220、230)と、
導電材料からなり、前記筐体(111)内に配置され、浮動電位を有するシールド(130)と、
を備えており、
前記開位置において前記第一接点(121)と前記第二接点(122)は離間し、
前記閉位置において前記第一接点(121)と前記第二接点(122)は電気的に接触し、
前記導体(210、220、230)は、少なくとも前記第一接点(121)と前記第二接点(122)が前記閉位置にあり、かつ前記中電圧または高電圧が印加されたときに当該導体(210、220、230)から部分放電が生じる圧力閾値が存在するように、前記筐体(111)内に配置されており、
前記導体は、前記シールド(130)から離間している、
スイッチ(10)。
【請求項2】
前記導体(210、220、230)は、少なくとも前記第一接点(121)と前記第二接点(122)が前記閉位置にあり、かつ前記中電圧または高電圧が印加されたときに当該中電圧または高電圧に曝されるスイッチ素子から所定の距離だけ離れて前記筐体(111)内に配置されている、
請求項1に記載のスイッチ(10)。
【請求項3】
真空よりも大きな誘電率を呈する誘電材料(211)が前記スイッチ素子と前記導体(210、220、230)の間に設けられている、
請求項2に記載のスイッチ(10)。
【請求項4】
前記スイッチ素子は、前記第一接点(121)と前記第二接点(122)から選ばれた接点である、
請求項2または3に記載のスイッチ(10)。
【請求項5】
前記導体(210、220、230)は、前記スイッチ素子に向かって先細りとなる少なくとも一つの先細り部を有している、
請求項2からのいずれか一項に記載のスイッチ(10)。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載のスイッチ(10)と、
前記筐体(111)内で発生する部分放電を検出可能にする極超短波アンテナ(31)と、
を備えている、
中電圧または高電圧用の真空絶縁スイッチアセンブリ(1)。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載のスイッチ(10)のテスト方法であって、
前記スイッチ(10)を中電圧または高電圧に接続するステップと、
前記筐体(111)内の圧力が前記圧力閾値を上回ることを示す部分放電を検出するステップと、
を含んでいる、
テスト方法。
【請求項8】
前記筐体(111)内で発生する部分放電を検出可能にする極超短波アンテナ(31)を予め設けておくステップを備えており、
前記部分放電を検出するステップは、前記極超短波アンテナ(31)によって実現される、
請求項に記載のテスト方法。
【請求項9】
スイッチ(10)の製造方法であって、
圧力閾値を設定するステップと、
導体(210、220、230)を用意するステップと、
筐体(111)の少なくとも一部によって前記スイッチ(10)の筐体を形成するステップと、
第一接点と第二接点が閉位置にある状態で前記スイッチ(10)に中電圧または高電圧が印加され、前記筐体(111)内の圧力が前記圧力閾値に達すると、前記導体(210、220、230)から部分放電が生じるように、前記筐体(111)内に前記導体(210、220、230)を配置するステップと、
を含んでいる、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中電圧または高電圧用の真空絶縁スイッチに関連する。真空絶縁スイッチの具体例としては、電気回路遮断器のように設備内の回路を接続・遮断する手段として使用される真空瓶が挙げられる。
【0002】
真空瓶内に真空損失が存在する場合、様々な動作部品間の絶縁耐圧が低下する。この場合、回路の接続・遮断手段の正しい動作が損なわれる。真空瓶は、自身の内圧を臨界閾値未満に維持することによって良好に動作する装置である。臨界閾値は、0.1パスカル(Pa)、すなわち0.001ミリバール(mbar)程度である。真空瓶内の圧力が閾値を超えると性能が低下し、場合によっては、動作不能や爆発を起こすこともある。
【背景技術】
【0003】
真空瓶内の圧力が臨界閾値未満に保たれているかをテストするために、例えば、前記回路遮断器内にある電気接点同士を接近させ、当該電気接点に低電圧を印加して絶縁耐圧テストを行なうことが可能である。絶縁耐圧が不十分である場合、筐体内の圧力が臨界圧を上回っていると考えられる。しかしながら、そのような絶縁耐圧の低下には幾つかの原因がありうる。例えば、一般的な現象である接点の電気的摩耗に関連する原因である。よって、真空瓶内の圧力が臨界閾値圧に到達する原因は、上記のテストのみに基づいては特定できない。
【0004】
特許文献1は、真空テストを行なうことを可能にする真空瓶を開示している。そのような真空瓶の実現は、比較的手間がかかる。射出成形の使用が必要だからである。射出成形は、信頼性に係る問題を生じ、続く熱問題の結果として電流を通過させるシステムの容量が低下しうる。また、真空瓶の筐体に導電性材料を用いることが必要である。これにより、真空瓶の外側の電圧に耐えるために絶縁距離を大きくする必要がある。
【0005】
当該装置は、分圧器を使用する。分圧器は、真空損失の関数として変化する容量を有している。当該装置においては、単に真空瓶内の接点同士を開閉することによって当該容量を変化させる。
【0006】
さらに、当該装置は、検出された電流を読み取り可能とするために、有線接続を介して外部のスクリーンに出力される情報を必要とする。中電圧や高電圧用の真空瓶で実施するためには、絶縁に関して手間がかかる。
【0007】
真空瓶内の真空損失テストを行なうために、回路遮断器は動作を中止されねばならない。よって、開放動作が先に必要となる。回路遮断器の動作中に真空が失われると、開放動作によって電流が遮断されない場合があり、真空瓶が壊れることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2968827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決することにある。
【0010】
よって、本発明は、スイッチ筐体内に存在する圧力をテストするために開位置への移行を必要としない中電圧または高電圧用の真空絶縁スイッチを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、従来のスイッチよりも簡易に製造できる中電圧または高電圧用の真空絶縁スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が提供する中電圧または高電圧用スイッチは、
高真空の筐体と、
前記筐体内に搭載されて開位置と閉位置の間を相対往復変位可能とされている第一接点および第二接点と、
を備えている。前記開位置において前記第一接点と前記第二接点は離間し、前記閉位置において前記第一接点と前記第二接点は電気的に接触する。
【0013】
当該スイッチは、導体をさらに備えている。当該導体は、少なくとも前記第一接点と前記第二接点が前記閉位置にあり、かつ前記中電圧または高電圧が印加されたときに当該導体から部分放電が生じる圧力閾値が存在するように、前記筐体内に配置されている。
【0014】
筐体内に導体を配置するこのような構成によれば、放電を検出するのみで筐体の内圧が圧力閾値を超えたことを判断可能にできる。従来の手法とは異なり、検出に際してスイッチを開位置にすることを要しない。よって、閉位置から開位置への移行中にスイッチが爆発するリスクが回避される。
【0015】
加えて、真空テストを実施するために筐体内に配置された導体を使用するに際して、当該導体への電圧の印加を必要としない。部分放電は、筐体の外側から検出されうる。したがって、従来のスイッチと異なり、当該スイッチは、有線接続を介する情報の出力や同経路を通じた電圧の印加を必要としない。結果として、当該スイッチは、筐体内をテストに供される真空に保つことを許容しつつも、従来のスイッチのような製造上の複雑さを伴わない。
【0016】
本明細書を通じて、「高真空」という語は、圧力が10−3Paから10−5Paの範囲にあることを意味する。
【0017】
本明細書を通じて、「中電圧」という語は、交流(AC)電圧が1kVから50kVの範囲にあることを意味する。「高電圧」という語は、交流(AC)電圧が50kVを超える範囲にあることを意味する。
【0018】
本明細書を通じて、「導体によって生じた部分放電」という表現は、その構成が導体とスイッチの一部の間に部分放電を可能にするように導体が配置されることを意味する。当該スイッチの一部は、高電圧に曝されるのに適した箇所、または接地される箇所である。
【0019】
部分放電は、スイッチにおける二箇所の間に現れる電気アークに対応する。当該二箇所の間には顕著な電位差が存在する。当該アークは、当該スイッチの二箇所の間で負荷が移動することに対応する。当該放電は、周波数が100MHzから少なくとも3GHzの範囲(すなわち極超短波帯)にある電磁的現象である。部分放電であることを示す電磁波は、極超短波アンテナによって検出されうる。
【0020】
本明細書を通じて、「浮動電位」という語は、導体やシールドのように導線性材料からなるスイッチの一部がいずれの基準電位にも物理的に接続されていないことを示す。当該基準電位が固定(接地など)であるか可変(交流電圧など)であるかは問わない。すなわち、浮動電位は、前記スイッチの一部が供される静電的条件に応じて変化しうる。
【0021】
前記導体は、少なくとも前記第一接点と前記第二接点が前記閉位置にあり、かつ前記中電圧または高電圧が印加されたときに当該中電圧または高電圧に曝されるスイッチ素子から所定の距離だけ離れて前記筐体内に配置されうる。
【0022】
真空よりも大きな誘電率を呈する誘電材料が前記スイッチ素子と前記導体の間に設けられうる。
【0023】
そのような材料は、容量(すなわち導体とスイッチ素子間の最大電位差)の良好な制御を可能にする。導体とスイッチ素子間の最大電位差を制御することにより、部分放電が生じる筐体内の閾値圧を正確に監視できる。
【0024】
前記スイッチ素子は、前記第一接点と前記第二接点から選ばれた接点でありうる。
【0025】
前記スイッチは、導電材料からなり、浮動電位を有するように前記筐体内に配置されており、前記スイッチ素子であるシールドを備えうる。
【0026】
前記導体は、前記スイッチ素子に向かって先細りとなる少なくとも一つの先細り部を有しうる。
【0027】
そのような先細り部は、部分放電が生じる閾値圧の良好な制御を確保しつつ、電気放電が生じる導体の一部を定めることを可能にする。
【0028】
本発明は、中電圧または高電圧用の真空絶縁スイッチアセンブリも提供する。当該アセンブリは、本発明に係るスイッチと、前記筐体内で発生する部分放電を検出可能にする極超短波アンテナとを備えている。
【0029】
当該アセンブリは、本発明に係るスイッチの利点の大半をそのまま有効にする。当該スイッチは、極超短波アンテナによって検出される部分放電を可能にするように構成されているからである。
【0030】
本発明に係る中電圧または高電圧用スイッチのテスト方法も提供される。当該方法は、前記スイッチを中電圧または高電圧に接続するステップと、前記筐体内の圧力が前記圧力閾値を上回ることを示す部分放電を検出するステップとを含んでいる。
【0031】
当該方法は、本発明に係るスイッチのテストを可能にする。
【0032】
当該方法は、前記筐体内で発生する部分放電を検出可能にする極超短波アンテナを予め設けておくステップを備えうる。この場合、前記部分放電を検出するステップは、前記極超短波アンテナによって実現される。
【0033】
本発明に係る別解決手段は、中電圧または高電圧用スイッチに関連する。当該スイッチは、
高真空の筐体と、
前記筐体内に搭載されて開位置と閉位置の間を相対往復変位可能とされている第一接点および第二接点と、
を備えており、
前記開位置において前記第一接点と前記第二接点は離間し、前記閉位置において前記第一接点と前記第二接点は電気的に接触する。
【0034】
当該スイッチは、少なくとも二つの電極を備えている。当該電極は、間隙を区画するように前記筐体内に配置されている。第一の電極は、前記第一接点と前記第二接点の一方と電気的に接続されている。第二の電極は、前記筐体を貫通している導体と電気的に接続されている。第一の電極と第二の電極の間には電位差が印加されている。
【0035】
当該電位差は、特定の電源から供給されうるか、考慮対象である接点上の中電圧または高電圧の存在による容量結合を通じて自然に取得されうる。
【0036】
前記第一の電極と前記第二の電極の間の電位差は、動作中において連続的に印加されうる。
【0037】
真空瓶内の真空損失を検出するために二つの電極を使用することにより、回路遮断器の通常動作を妨げることなく当該検出を行なうことが可能になる。
【0038】
真空瓶内の真空損失の検出は、前記第一の電極と前記第二の電極の間の電位差に基づく。当該電位差は、電気回路が開かれたときに前記真空瓶の前記第一接点と前記第二接点の間に存在しうる電位差よりも小さい。この場合、前記第一の電極と前記第二の電極の間に生じうる過渡現象は、前記第一接点と前記第二接点における前記電気回路を開く能力や、前記スイッチの外部絶縁に何の影響も及ぼさない。
【0039】
よって、このスイッチによれば、動作中であっても真空損失が検出されうる。したがって、真空損失を検出するために電気回路を開く必要がない。
【0040】
前記導体は、前記筐体を気密封止状態で貫通しうる。
【0041】
本発明に係るこの別解決手段の変形例として、前記第一接点と前記第二接点の一方は、前記第一の電極を形成しうる。この場合、前記第二の電極は、当該一方の接点との間に前記間隙を区画するように前記筐体内に配置される。
【0042】
本発明に係る別解決手段は、上記の別解決手段に基づいてスイッチ内の真空損失を検出する装置も提供する。当該装置は、
上記本発明の別解決手段に係るスイッチと、
前記第一接点と前記第二接点の間に存在する電位差よりも小さな電位差を前記第一の電極と前記第二の電極の間に形成する手段と、
前記第一の電極と前記第二の電極の間に流れる電流を測定する手段と、
を備えている。
【0043】
本明細書を通じて、「第一接点と第二接点の間に存在する電位差よりも小さな電位差」という表現は、スイッチが開位置にあるときに第一の電極と第二の電極の間に存在する電位差が、第一接点と第二接点の間に存在する電位差の10分の1未満であることを意味する。
【0044】
前記第一の電極と前記第二の電極の間に前記電位差を形成する手段は、外部電源を備えていることが好ましい。
【0045】
あるいは、前記第一の電極と前記第二の電極の一方は、前記第一接点と前記第二接点の一方に設けられており、前記第一の電極と前記第二の電極の間に前記電位差を形成する手段は、前記第一の電極および前記第二の電極の一方と、前記第一接点および前記第二接点の一方との間の容量結合であることが好ましい。
【0046】
上記の装置は、前記筐体内の真空損失の自動的検出を管理するために監視モジュールをさらに備えていることが好ましい。
【0047】
この場合、真空の質が連続的に監視され、真空が不十分になる前の介入が可能となる。
【0048】
本発明は、さらにスイッチの製造方法を提供する。当該方法は、
圧力閾値を設定するステップと、
導体を用意するステップと、
筐体の少なくとも一部によって前記スイッチの筐体を形成するステップと、
第一接点と第二接点が閉位置にある状態で前記スイッチに中電圧または高電圧が印加され、前記筐体内の圧力が前記圧力閾値に達すると、前記導体から部分放電が生じるように、前記筐体内に前記導体を配置するステップと、
を含んでいる。
【0049】
本発明は、下記の添付図面を参照しつつ非限定的な例示を通じてなされる実施形態の説明を読むことにより、より良く理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明に係る三つの導体を有する真空瓶と当該導体がとりうる三つの位置を模式的に示している。
図2】絶縁材料によって複数の接点の一つから絶縁された導体を有する真空瓶を模式的に示している。
図3】上記の真空瓶が高電圧に接続され、圧力が閾値圧を超えた場合における本発明に係る導体による部分放電の発生原理を示している。
図4a】本発明に係る導体がとりうる形状の一例を示している。
図4b】本発明に係る導体がとりうる形状の別例を示している。
図5a図1のスイッチと、前記導体により発生される部分放電の検出を可能にする少なくとも一つの極超短波(UHF)アンテナを備えるスイッチアセンブリの一例を示している。
図5b図1のスイッチと、前記導体により発生される部分放電の検出を可能にする少なくとも一つの極超短波(UHF)アンテナを備えるスイッチアセンブリの別例を示している。
図6】真空の測定を可能にする二つの電極を備えた本発明の別解決手段に係る真空瓶を示している。
図7図6の真空瓶に搭載された回路遮断器を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
複数の図を通じての理解を容易にするために、同一、同様、あるいは同等の要素には同一の参照番号が付与されている。
【0052】
各図における各要素は、見やすさを優先するために、必ずしも同一の縮尺で示されてはいない。
【0053】
本発明の各可能性(実施形態や変形例)は、排他的なものではなく、互いに組み合わせられうる。
【0054】
図1は、真空瓶のような真空絶縁型の高電圧スイッチ10を示している。よって、高電圧スイッチ10は、高真空筐体を備えている。図1に示された高電圧スイッチ10は、当該筐体内の圧力が臨界圧未満であるかを判断するための圧力テストの実施を可能に構成されている。
【0055】
図1に示された中電圧または高電圧スイッチ10は、真空瓶であり、以下に列挙するものを備えている。
・高真空の筐体111
・第一接点121と第二接点122
筐体111内に搭載されており、開位置と閉位置の間で相対往復移動可能
開位置において両者は離間しており、閉位置において両者は電気的に接触する
・シールド130
導電性材料からなる
筐体111内において浮動電位とされる
・第一導体210、第二導体220、および第三導体230
それぞれ筐体111内の圧力閾値に対応するように配置される
少なくとも第一接点と第二接点が閉位置にあり、かつ中電圧または高電圧がスイッチ10に印加されたときに部分放電がなされる
【0056】
従来通り、筐体11は、セラミックなどの絶縁材料からなり円筒形状である本体を備えている。筐体11は、閉塞封止された間隙112を区画している。
【0057】
誘電体絶縁を形成するために、間隙112の圧力は、0.1Pa未満(好ましくは10−3Pa〜10−5Pa、すなわち10−5mbar〜10−7mbarの範囲)とされる。このような圧力では、筐体内は高真空である。
【0058】
すなわち、「高真空」という語は、圧力が10−3Pa〜10−5Paの範囲内であることを意味する。
【0059】
第一接点121と第二接点122は、それぞれの一端部が筐体111から突き出すように筐体111内に配置されている。これにより、これらの接点は、中電圧または高電圧回路と接続可能とされている。第一接点121は、筐体111内で往復移動可能に搭載されている。ベローズ115は、筐体111の封止を損なうことなく当該動作を可能にするために設けられている。第二接点122は、筐体111に対して不動に搭載されている。第一接点121が往復移動可能とされていることにより、第一接点121は、第二接点122に対して開位置と閉位置の間を移動できる。開位置において、第一接点121は、第二接点122から離間している。閉位置において、第一接点121は、第二接点122と接触している。
【0060】
シールド130は、閉位置から開位置への移動時におけるアーク放電によって生じる金属蒸気の凝結を防ぐ役割を担っている。シールド130は、導電性材料からなる。シールド130は、いずれの電源や基準電圧とも接続されていない。これにより、シールド130は、浮動電位とされている。
【0061】
スイッチ10が中電圧または高電圧回路内に実装される場合、第一接点121と第二接点122の一方は電気回路の下流側に接続され、他方は当該電気回路の上流側に接続される。
【0062】
よって、スイッチ10が閉位置にあり(すなわち第一接点121が第二接点122と接触する閉位置にあり)、かつ中電圧または高電圧がスイッチ10に印加されると、両接点は、高電圧に曝される。加えて、シールド130は浮動電位にあるため、当該中電圧または高電圧の影響を受ける。結果として、シールド130の電位は、第一接点121と第二接点122に印加された電圧よりも小さくなる(20〜70%の範囲)。よって、第一接点121、第二接点122、およびシールド130は、少なくとも第一接点121と第二接点122が閉位置にあり、かつ中電圧または高電圧がスイッチ10に印加されたときに、当該中電圧または高電圧に曝される要素である。
【0063】
三つの導体210、220、230は、筐体111内において図示の配置が可能とされている。当該配置は、筐体111によって区画される間隙112の圧力が臨界圧を上回り、かつ閉位置にあるスイッチ10が中電圧または高電圧に接続されると、部分放電を生じるように定められている。
【0064】
第一導体210は、第一接点121に対応付けられるとともに、閉位置にあるスイッチ10が中電圧または高電圧に接続されると両者の間に部分放電を生じるように、第一接点121から離間している。第一接点121の位置に依らず第一導体210と第一接点121間の距離が一定となるように、第一接点121に沿う第一導体210の配置が定められることが好ましい。
【0065】
第一接点121に対向する第一導体210の配置の考え方は、図2に示されている。第一導体210は、第一接点121から距離eだけ離れて配置されることにより、誘電材料211で満たされた間隙が形成される。この場合、図2に模式的に示されるように、第一導体210は、第一接点121とともに容量C1を有するキャパシタを形成する。また、同じく図2に模式的に示されるように、第一導体210は、接地電位あるいは無限遠電位Iとともに、容量C2を有するキャパシタを形成する。よって、第一導体210の電位Vは、次式を満足する。

V=U・C1/(C1+C2) (1)

Uは、第一接点121の電位である。C1は、第一導体210と第一接点121により形成されるキャパシタの容量である。C2は、第一導体210と接地電位あるいは無限遠電位Iにより形成されるキャパシタの容量である。容量C1とC2は、筐体内の圧力変化に対して顕著な変化を呈しないため、第一導体210と第一接点121間の動作時最大電位差を求めるためにスイッチの定格交流動作電圧を使用できる。
【0066】
この動作時最大電位差、および筐体内圧の関数としての真空の絶縁破壊電圧の変化に基づいて、第一導体210と第一接点121の間に部分放電が生じる閾値圧を定義できる。
【0067】
部分放電が生じる電圧Vbdは、間隙e、第一導体210の形状、および筐体内に存在する圧力に依存する。部分放電が生じる筐体111内の閾値は、第一導体210と第一接点121間の動作時最大電位差に電圧Vbdが等しくなる圧力値である。
【0068】
図3は、筐体111の内圧が閾値圧よりも非常に大きい場合の部分放電の考え方を示している。図3は、式(1)に基づいて算出される理論電位VTh(すなわち部分放電がない場合)と並列に第一接点121に印加される交流電圧Uの経時変化を示している。同図において、導体に部分放電が生じる電圧Vbdは、水平に延びる二本の破線によって示されている。電圧曲線ΔVは、第一導体210と第一接点121間の電位差を表している。当該電圧は、部分放電が生じる理論閾値Vbdに第一導体210と第一接点121間の電位差が達する度に、ゼロに戻る。
【0069】
電圧がVbdに達すると、放電が起こり、第一接点121と第一導体210の間で負荷の移動が生じる。これにより、第一接点121と第一導体210間の電位差ΔVが減少する。すると、第一接点121に印加された電圧は増加し続け、新たな部分放電が引き起こされるまで再び電位差ΔVが増加する。
【0070】
図3に示される実施形態においては、一周期の間に八回の部分放電が生じている。
【0071】
部分放電の波形を明確にし、部分放電が引き起こされる閾値圧の良好な再現性を得るために、導体210、220、230の各形状は、最適化されうる。図4aと図4bは、本発明において実施されうる二通りの端部形状を例示している。この場合、導体220の端部220a、220bは、先細りとされうる。これにより、端部220a、220bにおける電場が局所的に増加し、当該箇所における部分放電の発生が促進される。図4bに示される好適な例においては、端部220bは、導体210、220、230から離間して隣接されるスイッチ素子10に向かって先細りとされている。
【0072】
導体210、220、230の一つは、端部とは別の箇所から突出する先細り部分を有してもよいことは勿論である。すなわち、本発明の趣旨から逸脱しなければ、導体210、220、230の一つは、離間して隣接されるスイッチ素子10に向かって自身の表面から突出する先細り部分を有しうる。
【0073】
なお、筐体111内の第一導体210が第一接点121に対向する構成(電源回路に接続されているのが第一接点121である場合)においては、筐体111の内圧をテスト可能とするためにスイッチ10が開位置である必要はない。
【0074】
この構成においては、電源回路によって中電圧または高電圧がスイッチ10に印加されるとき、当該電圧は、スイッチ10の位置に依らず第一接点121に印加される。この場合、導体の電位もまた、スイッチ10の位置に依らず式(1)に基づいて変化する。
【0075】
図1に示されるように、上述した構成の第一導体210に加えてあるいは代えて、スイッチ10は、第二接点122から離間した第二導体220を備えうる。筐体111の内圧が閾値圧以上である場合における部分放電発生の原理は、第一導体210について説明した通りである。
【0076】
加えて、図1に示されるように、第一導体210と第二導体220の少なくとも一方に加えてあるいは代えて、スイッチ10は、シールド130から離間した第三導体230を備えうる。そのような第三導体230による部分放電発生の原理もまた、第一導体210について説明した通りである。
【0077】
よって、スイッチ10が第一導体210、第二導体220、第三導体230の少なくとも一つを備えていれば、スイッチ10を開位置にすることなく、真空の質のテストを行なうことが可能である。
【0078】
上記のように、中電圧または高電圧がスイッチ10に印加されており、かつ筐体111の内圧が臨界閾値圧を上回ると、第一導体210、第二導体220、および第三導体230が部分放電を生じるように構成されている。よって、単にスイッチ10における少なくとも一つの導体より発生した部分放電を検出するのみで、筐体111の内圧が閾値圧を上回っているかを判断できる。
【0079】
そのような検出は、以下のステップを含む方法によって実現されうる。
・筐体111内で発生する部分放電の検出を可能にする極超短波アンテナを設ける。
・スイッチ10を中電圧または高電圧に接続しておく。
・筐体111の内圧が閾値圧を上回ることを示す部分放電を検出する。
【0080】
スイッチ10の筐体111の内圧をテストするための上記方法の実施を容易にするために、スイッチ10は、極超短波アンテナ31、32を有するアセンブリ内に含まれうる。
【0081】
図5aと図5bは、そのようなアセンブリ1の二つの例を示しており、各々がスイッチ10の構成に対応している。
【0082】
アセンブリ1の第一の例は、接地された金属筐体21内にスイッチ10が配置されている構成に対応している。この場合、部分放電の正確な検出を確実にするため、アセンブリ1は、同じ金属筐体21内に配置された第一極超短波アンテナ31をスイッチ10が備えることが好ましい。筐体111内で発生する部分放電の電磁的特徴と環境ノイズの区別を可能にするために、第二極超短波アンテナ32がさらに設けられうる。このアセンブリ1は、プロセッサユニット35をさらに備えうる。プロセッサユニット35は、第一極超短波アンテナ31によって受信された電磁信号を処理し、筐体111内で発生した部分放電を検出するように構成されている。
【0083】
アセンブリ1の第二の例は、セラミックなどからなる絶縁筐体内にスイッチ10が配置されている構成に対応している。この場合、極超短波アンテナ31は、絶縁筐体22の外側に配置されうる。上述の第一の例と同様に、この第二の例に係るアセンブリ1は、プロセッサユニット35を含みうる。プロセッサユニット35は、第一極超短波アンテナ31によって受信された電磁信号を処理し、筐体111内で発生した部分放電を検出するように構成されている。
【0084】
図6図7は、本発明に係る別の解決手段を示している。
【0085】
図6は、当該別の解決手段に係る真空瓶5を示している。この真空瓶5は、ほぼ円筒形状のセラミック筐体500を備えている。筐体500は、真空瓶5と外部を絶縁している。筐体500の両端は、二つの金属製エンドカバー501、502によって閉塞されている。
【0086】
真空瓶5において本解決手段を理解するために有用な要素についてのみ説明する。
【0087】
筐体500に対して不動である第一接点503が、筐体500の内部に配置される。この第一接点503は、ロッド5031を備えている。ロッド5031の一端には接点領域5032が設けられている。
【0088】
第二接点504は、筐体500内に配置されている。第二接点504は、ロッド5041を備えている。ロッド5041の一端には接点領域5042が設けられている。第一接点503と第二接点504は、電流を遮断する機能を奏する接点である。
【0089】
ロッド5031の軸とロッド5041の軸は、円筒状の筐体500の軸とほぼ一致している。接点領域5032と接点領域5042は、筐体500の中央領域において対向している。
【0090】
第二接点504は、筐体500に対して可動である。より厳密には、金属製のベローズ5043が筐体500に対するロッド5041の往復移動を可能にしている。この移動により、接点領域5042が接点領域5032に対して接離し、電気回路を開閉する。
【0091】
ロッド5031とロッド5041は、それぞれカバー501とカバー502を貫通している。周知の機械的支持部材(不図示)が様々な要素を締結するために設けられている。
【0092】
本発明に係るこの別解決案においては、第一電極505と第二電極506が真空瓶5内に配置されている。
【0093】
第一電極505は、固定ロッド5031に固定されている。第二電極506は、パーティションブッシング507の封止インシュレータを介して、カバー501を貫通する導体に接続されている。
【0094】
好ましくは、第一電極505と第二電極506は、接点領域5032と接点領域5042の間の電気アーク消滅領域に影響を与えないように配置される。よって、第一電極505と第二電極506は、第一接点503の接点領域5032と第二接点504の接点領域5042の間で生成される可能性がある溶融金属の突起に曝されにくい。
【0095】
好適でない変形例においては、第一電極505と第二電極506は、可動主電極504の傍に配置される。この場合、電極505は、可動ロッド5041に固定される。
【0096】
図7は、上述の真空瓶5を備えた回路遮断アセンブリ602を示している。本構成においては、スイッチ10は、接地された金属筐体21内に配置されている。
【0097】
回路遮断アセンブリ602において本解決手段を理解するために有用な要素についてのみ説明する。
【0098】
シールド501とシールド502を介して真空瓶5から外に出ているロッド5031の端部とロッド5041の端部は、それぞれ電気回路(不図示)の上流側と下流側に接続されている。
【0099】
第一電極505と第二電極506に電圧が印加される例においては、電圧源604が第一電極505と第二電極506の間に接続されうる。電圧源604は、両電極の間に電位差を生じさせうるように構成される。この電位差は、第一接点503と第二接点504の間に存在しうる電位差よりも小さい(例えば数kV程度)。この場合、シールド501とロッド5031を第二電極506から絶縁するインシュレータ507は、特別な絶縁条件を満足することを要する。
【0100】
同じ理由により、第二電極506に接続された接続線は、高電位に対する特別な絶縁性を有しうる。図7に示されるように、当該接続線は、バスバーブッシングの内側を貫通して当該ブッシングの上部から外に出されうる。
【0101】
この別解決手段に係る変形例においては、電圧源604は、第一電極505が設けられている第一接点503の電圧の一部を戻す回路によって置き換えられる。例えば、この回路は容量結合である。この場合、上記の装置は、外部電源を必要としない。この別解決手段に係る変形例は、スイッチの動作中において当該スイッチ内部の真空の状態を永続的に監視する場合に好適でありうる。
【0102】
電流計605は、放電電流を測定するために第一電極505と第二電極506の間に接続されている。別例として、電流計605は、放電カウンタによって置き換えられうる。
【0103】
放電電流は、真空瓶5内の真空の質に依存する。
【0104】
例えば、放電電流は、定期的に測定される。これにより、真空瓶5内の真空の質がどのように経時変化するかを特定できるようになる。
【0105】
本発明に係るこの別解決手段においては、監視モジュール606が真空瓶5内の真空の質を自動的にテストしてもよい。監視モジュール606は、真空瓶5内の真空損失の検出を自動的に管理する。そのため、漏れ電流あるいは放電電流が定期的に測定され、結果が保存される。当該測定は、回路遮断アセンブリの通常動作を妨げることなく行なわれる。
【0106】
この場合、真空の質が連続的に監視される。進行性のドリフトが検出され、当該検出に基づく判断がなされうるため、真空が不十分になる前の介入が可能である。例えば、回路遮断器を操作したり、保全作業に係る決定を行なったり、真空回路遮断器を交換したりできる。回路遮断器の正確な動作のために、真空が不十分になったことを示すアラーム閾値が設けられうる。
【0107】
なお、本発明に係るこの別解決手段においては、第二電極506をロッド5031または5041との間に間隙を形成できる程度に離して配置することにより、第一電極505を省略できる。この場合、当該ロッドが第一電極を形成する。この点を除けば、そのような構成もまた前記の別解決手段と同じ原理で動作する。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7