(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下、本明細書において用いられる用語について詳しく説明する。
Rは、炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐状アルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜8の直鎖アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、又はn−プロピル基である。
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、又はn−プロピル基である。また、R
1及びR
2は連結して環を形成していてもよい。
R
5は、炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐状アルキル基を表す。ただし、R
5はRとは異なるものである。R
5は、好ましくは炭素数3〜8の分岐状アルキル基であり、より好ましくはイソプロピル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基であり、特に好ましくはtert−ブチル基である。
Raは、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Raは、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基であり、工業的にはイソプロピル基が特に好ましい。
Xは、酸を表し、好ましくは硫酸、塩酸等の鉱酸;蟻酸、酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を表し、より好ましくは、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸であり、特に好ましくはメタンスルホン酸である。
X
1は、メタンスルホン酸を表す。
本明細書において、「カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性を有する酵素」とは、カルボニル基含有化合物中のカルボニル基を不斉還元して光学活性なアルコール類に変換する活性を有する酵素を意味する。
「カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性」を有するか否かは、カルボニル基含有化合物中のカルボニル基を不斉還元して光学活性なアルコール類に変換する活性を、通常のアッセイ法で測定することにより判定可能である。例えば、下記一般式(19):
【0091】
(式中、R
bは炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は炭素数3〜6の分岐状アルキル基を表す。−Q
1及び−Q
2はそれぞれ独立して、−OH又は=Oを表し、少なくとも−Q
1又は−Q
2のいずれか一方は=Oである。)
で表される化合物に、測定の対象とする酵素を作用させ、一般式(19)で表される化合物から変換された一般式(6)で表される化合物の量を直接的に測定することにより、その酵素活性を確認することができる。
【0092】
また、本明細書における「酵素」には、精製酵素(部分的に精製した酵素を含む。)や、通常の固定化技術を用いて担体などに固定化したもの、例えば、ポリアクリルアミド、カラギーナンゲル等の担体に固定化したもの等も含まれる。
本明細書において、「カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性を有する酵素を生産する能力を有する微生物若しくは細胞」(以下、「本発明の微生物若しくは細胞」と称することがある。)とは、「カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性」を有していれば特に制限はなく、内在的に前記活性を有する微生物若しくは細胞であってもよいし、育種により前記活性を付与した微生物若しくは細胞であってもよい。育種により前記活性を付与する手段としては、遺伝子組換え処理(形質転換)や変異処理など、公知の方法を採用することができる。形質転換の方法としては、目的とする遺伝子を導入する、有機化合物の生合成経路における酵素遺伝子の発現を強化する、副生物生合成経路における酵素遺伝子の発現を低減するなどの方法を用いることができる。
なお、「本発明の微生物若しくは細胞」の種類としては、後述の宿主生物若しくは宿主細胞に記載のものが挙げられる。「本発明の微生物若しくは細胞」は、凍結された状態でも用いることができる。また、本明細書において、「前記活性を有する酵素を生産する能力を有する微生物若しくは細胞」としては、生きている微生物若しくは細胞に限られず、生体としては死んでいるが酵素活性を有するものも含まれる。
また、「本発明の微生物若しくは細胞」は、例えば、国際公開第2003/078634号に記載の方法で作製することができる。
【0093】
本明細書において、「宿主生物」とする生物の種類は特に限定されず、大腸菌、枯草菌、コリネ型細菌、シュードモナス属細菌、バチルス属細菌、リゾビウム属細菌、ラクトバチルス属細菌、サクシノバチルス属細菌、アナエロビオスピリラム属細菌、アクチノバチルス属細菌等の原核生物、酵母、糸状菌等の菌類、植物、動物等の真核生物が挙げられる。中でも、好ましくは大腸菌、酵母、コリネ型細菌であり、特に好ましくは大腸菌である。
本明細書において、「宿主細胞」とする細胞の種類は特に限定されず、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等を用いることができる。
本明細書において、「発現ベクター」とは、所望の機能を有するタンパク質をエンコードするポリヌクレオチドを組み込み宿主生物へ導入することにより、所望の機能を有するタンパク質を前記宿主生物において複製及び発現させるために用いられる遺伝因子である。例えば、プラスミド、ウイルス、ファージ、コスミド等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、発現ベクターはプラスミドである。
本明細書において、「形質転換体」とは、前記発現ベクターが導入され、所望の機能を有するタンパク質に関連する所望の形質を表すことができるようになった微生物又は細胞を意味する。
本明細書において、「微生物若しくは細胞の処理物」とは、微生物若しくは細胞を培養し、該微生物若しくは細胞を、1)有機溶媒等により処理したもの、2)凍結乾燥したもの、3)担体などに固定化したもの、4)物理的又は酵素的に破壊したものであり、かつ、所望の機能を有するタンパク質を含有するもの等を意味する。
本明細書において、「微生物若しくは細胞を培養して得られた酵素を含む培養液」とは、1)微生物若しくは細胞の培養液、2)微生物若しくは細胞の培養液を有機溶媒等により処理をした培養液、3)微生物若しくは細胞の細胞膜を物理的又は酵素的に破壊してある培養液を意味する。
【0094】
次に、本発明のピタバスタチンカルシウムの製造方法について詳しく説明する。なお、以下において、w/vは、重量/容量を意味する。
本発明のピタバスタチンカルシウムの製造方法には、以下に示すように、一般式(1)で表される化合物をアセタール化して一般式(3)で表される化合物を得る工程(i)、一般式(3)で表される化合物を酸と反応させて一般式(4)で表される化合物を得る工程(ii)、及び一般式(4)で表される化合物を加水分解した後、カルシウム化合物と反応させて式(5)で表されるピタバスタチンカルシウムを得る工程(iii)が含まれる。
【0096】
また、一般式(1)で表される化合物は、一般式(6)で表される化合物を酸と反応させることにより得ることができる。
【0098】
以下に、本発明の製造方法の各工程について詳細に説明する。
工程(i):
【0100】
工程(i)は、一般式(1)で表される化合物をアセタール化して一般式(3)で表される化合物を得る工程である。
具体的には、一般式(1)で表される化合物を、下記一般式(2−1)又は(2−2)で表されるアセタール化剤と反応させる。
【0102】
アセタール化剤の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(1)で表される化合物1molに対して1mol〜10mol、好ましくは1mol〜6molである。
反応は、酸触媒の存在下に行ってもよい。
酸触媒としては、硫酸、塩酸等の鉱酸;蟻酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸等の有機酸;ゼオライト等の固体酸等を用いることができる。これらの一種または二種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、工業的には、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又はピリジニウムp−トルエンスルホン酸が好ましい。
酸触媒を使用する場合には、後述する溶媒に溶解して使用してもよい。
酸触媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(1)で表される化合物1molに対して0.001mol〜2mol、好ましくは0.01mol〜1.5molである。
アセタール化剤との反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の炭化水素溶媒;tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等が好適に用いられる。これらの溶媒を一種または二種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(1)で表される化合物1gに対して1mL〜100mL、好ましくは1mL〜20mLである。
反応温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、反応への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この温度範囲で適宜選択することができるが、工業的には、好ましくは0℃〜80℃、より好ましくは10℃〜70℃である。
反応時間は、通常0.5時間〜24時間、好ましくは1時間〜12時間である。
【0103】
また、工程(i)で得られた一般式(3)で表される化合物を含む反応生成物を、さらに酸と反応させて、一般式(3)で表される化合物のアセタール部分を一部分解することにより、エピマー含有率の低い一般式(3)で表される化合物を製造することも可能である。
酸としては、硫酸、塩酸等の鉱酸;蟻酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。これらの一種または二種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、工業的には、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸が好ましい。
酸は、水溶液として使用してもよいし、後述する溶媒に溶解して使用してもよい。
酸の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(3)で表される化合物1molに対して0.01mol〜1mol、好ましくは0.05mol〜0.5molである。
酸との反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の炭化水素溶媒;tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等が好適に用いられる。これらの溶媒の一種または二種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(1)で表される化合物1gに対して1mL〜100mL、好ましくは1mL〜20mLである。
反応温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、反応への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この範囲で適宜選択することができるが、工業的には、好ましくは0℃〜60℃、より好ましくは10℃〜50℃である。
エピマー含有率は、反応の進行度によって制御することができ、例えば、転化率が5%〜30%になるように反応を行うことにより、エピマー含有率を0.3%以下にすることができる。
【0104】
工程(i)で得られた一般式(3)で表される化合物は、そのまま工程(ii)に使用してもよいし、上記のようにエピマー含有率を減少させた後で工程(ii)に使用してもよいし、さらに精製した後で工程(ii)に使用してもよい。
精製方法としては、カラムクロマトグラフィーによる精製や結晶化などを適宜組み合わせることができる。カラムクロマトグラフィーの場合は、例えば、n−へプタン、n−ヘキサン、トルエン等の非極性溶媒と、酢酸エチル、メチルエチルケトン、THF、エタノール等の極性溶媒とを組み合わせることにより精製することができる。結晶化の場合は、例えば、n−へプタン、n−ヘキサン、トルエン等の非極性溶媒又は水と、酢酸エチル、メチルエチルケトン、THF、メタノール、エタノール、n−プロパノール等の極性溶媒とを組み合わせることにより精製することができる。
また、一般式(1)中のXがメタンスルホン酸である化合物(メタンスルホン酸塩)の場合は、工程(i)終了後、又は、エピマー含有率を減少させた後に反応系に水を加えるだけで、一般式(3)で表される化合物が結晶化するため、容易に一般式(3)で表される化合物を取得することができるので好ましい。水を加える際には、結晶化を容易にするために、別途取得した一般式(3)で表される化合物を種晶として用いてもよい。また、結晶化の際には、系を中和するために塩基を添加してもよい。塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩、トリエチルアミンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムである。
工程(ii):
【0106】
工程(ii)は、一般式(3)で表される化合物を、酸と反応させて脱アセタール化し、一般式(4)で表される化合物を得る工程である。
酸としては、硫酸、塩酸等の鉱酸;蟻酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。これらの一種または二種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、工業的には、硫酸又は塩酸が好ましい。
酸は、水溶液として使用してもよいし、後述する溶媒に溶解して使用してもよい。
酸の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(3)で表される化合物1molに対して1mol〜5mol、好ましくは1mol〜2molである。
酸との反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の炭化水素溶媒;tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒が好適に用いられる。これらの溶媒を一種または二種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(3)で表される化合物1gに対して1mL〜100mL、好ましくは1mL〜20mLである。
反応温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、反応への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この範囲で適宜選択することができるが、工業的には、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜50℃である。
反応時間は、通常1時間〜10時間、好ましくは1時間〜5時間である。
工程(iii):
【0108】
工程(iii)は、一般式(4)で表される化合物を加水分解した後、カルシウム化合物と反応させて式(5)で表されるピタバスタチンカルシウムを得る工程である。好ましくは、一般式(4)で表される化合物をアルカリ触媒と反応させて加水分解し、得られた化合物をカルシウム化合物と反応させてピタバスタチンカルシウムを得る。通常、ピタバスタチンカルシウムは、結晶として析出するので、析出したピタバスタチンカルシウムを、濾過し、乾燥する。アルカリ触媒としては、無機塩基を用いることができ、好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いることができる。工業的には、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ触媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(4)で表される化合物1molに対して1mol〜2mol、好ましくは1mol〜1.5molである。
加水分解は、溶媒を用いて行うことが好ましい。溶媒としては、水が好ましい。また、必要に応じて、THF、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒をさらに加えてもよい。これらの溶媒の一種または二種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(4)で表される化合物1gに対して1mL〜100mL、好ましくは1mL〜50mLである。
加水分解時の温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、加水分解への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この範囲で適宜選択することができるが、工業的には、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜50℃である。
加水分解の時間は、通常1時間〜24時間、好ましくは1時間〜12時間である。
加水分解により得られた化合物をカルシウム化合物と反応させることによりピタバスタチンカルシウムを得る。加水分解により得られた化合物は、必ずしも単離する必要はない。工業的には、加水分解した後、連続してカルシウム化合物と反応させることが好ましい。
カルシウム化合物としては、カルシウムの無機塩や有機塩を使用することができ、好ましくは塩化カルシウム、酢酸カルシウム等を用いることができる。
カルシウム化合物との反応温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、反応への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この範囲で適宜選択することができるが、工業的には、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃である。
反応時間は、通常0.1時間〜10時間、好ましくは0.5時間〜5時間である。
ピタバスタチンカルシウムの濾過、乾燥方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
ピタバスタチンカルシウムの水分量は、通常、5重量%〜15重量%、好ましくは7重量%〜13重量%、特に好ましくは、8重量%〜12重量%である。得られたピタバスタチンカルシウムを、乾燥により所望の水分量まで調整してもよいし、乾燥後に湿潤させて所望の水分量まで調整してもよい。
工程(iv):
【0110】
工程(iv)は、工程(i)で使用する一般式(1)で表される化合物を得る工程である。具体的には、一般式(6)で表される化合物を酸と反応させて一般式(1)で表される化合物を得る。
一般式(1)で表される化合物は、一般式(6)で表される化合物の塩である。好ましくは硫酸塩、塩酸塩等の鉱酸の塩;蟻酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸の塩であり、より好ましくは、硫酸塩、塩酸塩、メタンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩である。一般式(1)で表される化合物は、結晶性の点から、メタンスルホン酸塩、すなわち下記一般式(1’)で表される化合物が工業的には好ましい。
【0112】
(式中、X
1はメタンスルホン酸を表し、Rは前記と同義である。)
酸としては、硫酸、塩酸等の鉱酸;蟻酸、酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができる。これらの一種または二種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、工業的には、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。
酸の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(6)で表される化合物1molに対して1mol〜2mol、好ましくは1mol〜1.5molである。
反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の炭化水素溶媒;tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等が好適に用いられる。これらの溶媒の一種または二種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(6)で表される化合物1gに対して1mL〜100mL、好ましくは1mL〜50mLである。
反応温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、反応への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この範囲で適宜選択することができるが、工業的には、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜50℃である。
反応時間は、通常0.1時間〜10時間、好ましくは0.5時間〜5時間である。
一般式(6)で表される化合物は、これを得る工程に由来する不純物を含有していることがある。例えば、後述する(a)又は(b)の方法のようなバイオ反応工程を経て一般式(6)で表される化合物を得た場合、反応生成物は一般式(6)で表される化合物以外に不純物を含有しているので、精製等によって不純物を除去した後に、工程(i)に用いることが好ましい。
本発明の工程(iv)で得られる一般式(1)で表される化合物、特にメタンスルホン酸塩は、結晶性に優れているため、容易に結晶として析出する。したがって、一般式(1)で表される化合物を容易に単離することができる。
本発明は、工程(iv)を有することにより、前工程から持ち込まれる不純物を効率的に除去することができるため、工業的規模の製造において、精製工程を省略したり簡略化することが可能になる。
【0113】
一般式(6)で表される化合物は、有機合成工程やバイオ反応工程により得ることができる。本発明においては、一般式(6)で表される化合物を以下の(a)又は(b)の方法により製造することが好ましい。
【0116】
方法(a):
方法(a)は、工程(v)、工程(vi)及び工程(vii)を含むことを特徴とする。
工程(v):
【0118】
工程(v)は、式(7)で表される化合物と一般式(8)で表される化合物を、塩基の存在下、縮合させて一般式(9)で表される化合物を得る工程である。
塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;ナトリウムアミド等の金属アミド;ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機リチウム;tert−ブチルマグネシウムクロライド等のグリニャール試薬;ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等のアルコキシド等を用いることができる。特に、ナトリウムアミド、ナトリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウムが好ましい。
塩基の使用量は、特に限定されないが、通常、式(7)で表される化合物1molに対して1mol〜5mol、好ましくは1mol〜4molである。
縮合反応は、溶媒を用いて行うことができる。溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒等を用いることができる。これらの一種または二種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、式(7)で表される化合物1gに対して5mL〜100mL、好ましくは5mL〜30mLである。
反応温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、縮合反応への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この範囲で適宜選択することができるが、工業的には、通常0℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃である。
反応時間は、通常0.1時間〜200時間、好ましくは1時間〜24時間である。
式(7)で表される化合物は、例えば、特許第2569746号公報に記載の方法により製造することができ、また、市販のものを用いることもできる。
一般式(8)で表される化合物は、公知の方法に準じて得ることができる。例えば、SYNTHETIC COMMUNICATIONS,18(7),735−739(1988)に記載の方法より得ることができる。また、市販のものを用いることもできる。
一般式(8)で表される化合物のpHは、好ましくはpH4以下、より好ましくはpH3以下である。一般式(8)で表される化合物のpHをこの範囲にすることにより、一般式(8)で表される化合物の保存安定性が向上し、反応時の不純物の生成を低減させることができる。なお、一般式(8)で表される化合物のpHは、一般式(8)で表される化合物と水とを1:1(体積比)で混合した後、水層のpHを測定した値である。このpHの値が高過ぎるとき(例えば、pHが4より大きいとき)は、必要に応じて、酢酸、塩酸、硫酸等の酸でpHを下げることができる。
一般式(9)において、R
5は、結晶性の点から、好ましくは炭素数3〜8の分岐状アルキル基であり、より好ましくはイソプロピル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基であり、特に好ましくはtert−ブチル基である。結晶性が高い一般式(9)で表される化合物は、クロマトグラフィー等の煩雑な精製を行うことなく高純度で得ることができるため、工業的に好ましい。
工程(vi):
【0120】
工程(vi)は、一般式(9)で表される化合物とR−OHで表されるアルコールを反応させて一般式(10)で表される化合物を得る工程である。
R−OHで表されるアルコールの使用量は、特に限定されないが、通常、式(9)で表される化合物1gに対して1mL〜100mL、好ましくは1mL〜10mLである。
反応は、溶媒を用いて行うことができる。溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等のエステル溶媒;シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の非極性溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン溶媒;tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒等を用いることができる。これらの一種または二種以上を混合して用いてもよい。また、R−OHで表されるアルコール自体を溶媒として用いてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、式(9)で表される化合物1gに対して1mL〜100mL、好ましくは1mL〜10mLである。
反応温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、反応への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この範囲で適宜選択することができるが、工業的には、通常30℃〜150℃、好ましくは40℃〜110℃である。
反応時間は、通常1時間〜48時間、好ましくは2時間〜24時間である。
R−OH及び一般式(10)において、Rは、バイオ反応工程(vii)における反応効率の点から、好ましくは炭素数1〜8の直鎖アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基又はn−プロピル基である。このような、一般式(10)で表される化合物は、バイオ反応工程(vii)において、カルボニル基の立体選択的な還元が効率よく進むため好ましい。
工程(vii):バイオ反応工程
【0122】
工程(vii)は、一般式(10)で表される化合物に、カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性を有する酵素、該酵素を生産する能力を有する微生物若しくは細胞(本発明の微生物若しくは細胞)、該微生物若しくは細胞の処理物、及び/又は該微生物若しくは細胞を培養して得られた該酵素を含む培養液(以下、これらをまとめて「本発明の酵素等」と称することがある。)を作用させて還元して、一般式(6)で表される化合物を得る工程である。
工程(vii)で用いる酵素としては、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するもの(以下「OCR1」と称する場合がある)又は該アミノ酸配列のホモログを用いることができる。具体的には、下記(A)、(B)又は(C)に示すポリペプチドのいずれかを含む酵素、又はこれらのホモログが挙げられる。
(A)特許第4270918号に記載のOgataea minuta var. nonfermentans NBRC1473由来のカルボニル還元酵素(OCR1)(配列番号2)を有するポリペプチド
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、一般式(10)で表される化合物を、一般式(6)で表される化合物に変換する活性を有するポリペプチド
(C)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ一般式(10)で表される化合物を、一般式(6)で表される化合物に変換する活性を有するポリペプチド
【0123】
上記(B)のホモログは、カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性を害さない範囲において、配列番号2に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の相同性を有するタンパク質である。
また、上記(C)のホモログは、カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性を害さない範囲において、配列番号2に記載のアミノ酸配列に1又は数個のアミノ酸が欠失、付加又は置換されたアミノ酸配列を有するものである。ここで、「1又は数個のアミノ酸」とは、具体的には20個以下、好ましくは10個以下、より好ましくは5個以下のアミノ酸である。
【0124】
上記酵素をコードする遺伝子は、下記(D)、(E)又は(F)に示す塩基配列、又はこれらのホモログを含むDNAである。
(D)配列番号1に記載の塩基配列
(E)配列番号1に記載の塩基配列の相補配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、一般式(10)で表される化合物に作用して、一般式(6)で表される化合物に変換する活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列
(F)配列番号1に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失若しくは付加された塩基配列を含み、かつ一般式(10)で表される化合物に作用して、一般式(6)で表される化合物に変換する活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列
【0125】
ここで、上記(E)の「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列」とは、DNAをプローブとして使用し、ストリンジェントな条件下、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、又はサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAの塩基配列を意味する。ストリンジェントな条件としては、例えば、コロニーハイブリダイゼーション法及びプラークハイブリダイゼーション法においては、コロニーあるいはプラーク由来のDNA又は該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7mol/L〜1.0mol/Lの塩化ナトリウム水溶液の存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2×SSC溶液(1×SSCの組成は、150mmol/L塩化ナトリウム水溶液、15mmol/Lクエン酸ナトリウム水溶液)を用い、65℃の条件下でフィルターを洗浄する条件を挙げることができる。
【0126】
各ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989.等に記載されている方法に準じて行うことができる。
また、上記(F)のホモログは、カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性を害さない範囲において、配列番号1に記載の塩基配列に1又は数個の塩基が欠失、付加又は置換された塩基配列を有するものである。「1又は数個の塩基」とは、具体的には60個以下、好ましくは30個以下、より好ましくは15個以下、さらに好ましくは10個以下、特に好ましくは5個以下の塩基である。
【0127】
工程(vii)において、本発明の酵素等は、取り扱い性に優れ、また、反応系への添加が容易であることから、凍結した状態で用いることもできる。凍結した本発明の酵素等を用いるときは、その形状は、特に制限はないが、例えば、角柱状、円柱状、塊状、球状等にすることができる。
工程(vii)において、反応基質となる一般式(10)で表される化合物は、通常、基質濃度が0.01%w/v〜20%w/v、好ましくは0.1%w/v〜10%w/vの範囲で用いられる。反応基質は、予め反応系に存在させていてもよいし、反応開始時に一括して添加してもよい。また、酵素の基質阻害があった場合にはその影響を減らし、また生成物の蓄積濃度を向上させるという観点から、反応開始時から連続的又は間欠的に添加することもできる。
工程(vii)においては、補酵素NAD(P)
+又はNAD(P)Hの存在下で行なうことが好ましく、この場合、上記補酵素を、通常、0.001mmol/L〜100mmol/L、好ましくは0.01mmol/L〜10mmol/Lの濃度になるように添加するのが好ましい。
【0128】
上記補酵素を添加する場合には、生産効率向上のため、反応系内で、NAD(P)Hから生成するNAD(P)
+をNAD(P)Hへ再生させることが好ましい。再生方法としては、1)本発明の微生物若しくは細胞自体のNAD(P)
+からNAD(P)Hを生成する能力、すなわち、NAD(P)
+還元能を利用する方法、2)NAD(P)
+からNAD(P)Hを生成する能力を有する微生物やその処理物、あるいは、グルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などのNAD(P)Hの再生に利用可能な酵素(以下、「再生酵素」という)を一種類以上反応系内に添加する方法、
3)本発明の微生物若しくは細胞を作製するに当たり、上記再生酵素の遺伝子を一種類以上、合わせて宿主生物若しくは宿主細胞に導入する方法等が挙げられる。
【0129】
上記1)の方法においては、反応効率の点から、反応系にグルコース、エタノール、2−プロパノール又はギ酸などを添加することが好ましい。
また、上記2)の方法においては、上記再生酵素を生産する能力を有する微生物、該微生物をアセトン処理したもの、グルタルアルデヒド処理したもの、凍結乾燥処理したもの、物理的又は酵素的に破砕したもの等の微生物の処理物、該酵素画分を粗製物あるいは精製物として取り出したもの、さらには、これらをポリアクリルアミドゲル、カラギーナンゲル等の担体に固定化したもの等を用いてもよく、また市販の酵素を用いてもよい。
上記再生酵素の使用量としては、本発明のカルボニル基を立体選択的に還元しうる能力を有する酵素のカルボニル還元活性と比較して、酵素活性で通常0.01倍〜100倍、好ましくは0.5倍〜20倍程度となるように添加するのがよい。
また、上記再生酵素の基質となる化合物の添加、例えば、グルコース脱水素酵素を利用する場合のグルコース、ギ酸脱水素酵素を利用する場合のギ酸、アルコール脱水素酵素を利用する場合のエタノール又はイソプロパノール等の添加も必要となるが、その添加量としては、一般式(10)で表される化合物1molに対して、通常0.1mol〜20mol、好ましくは1mol〜10molである。
また、上記3)の方法においては、工程(i)に用いられる酵素をコードするDNAと共に上記再生酵素のDNAを染色体に組み込む方法、単一の発現ベクター中に両DNAを導入し宿主生物若しくは細胞を形質転換する方法、又は両DNAをそれぞれ別々の発現ベクターに導入した後に宿主生物若しくは宿主細胞を形質転換する方法等を用いることができる。両DNAをそれぞれ別々の発現ベクターに導入した後に宿主生物若しくは宿主細胞を形質転換する方法の場合は、両発現ベクター同士の不和合性を考慮して発現ベクターを選択する必要がある。
単一の発現ベクター中に複数の遺伝子を導入する場合には、プロモーター及びターミネーターなど発現制御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラクトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させる方法も可能である。
【0130】
工程(vii)は、水性媒体中又は水性媒体と有機溶媒との混合物中で行われる。水性媒体、又は水性媒体と有機溶媒との混合物は、一般式(10)で表される化合物、並びに上記酵素、該酵素を生産する能力を有する微生物若しくは細胞、該微生物若しくは細胞の処理物、及び/又は該微生物若しくは細胞を培養して得られた該酵素を含む培養液を含有する。また、必要に応じて各種補酵素を含有していてもよい。補酵素を含有する場合は、その再生システム、すなわち、補酵素を再生できるようになっていることがより好ましい。
なお、一般式(10)で表される化合物は、後述する方法により製造することも可能である。
水性媒体としては、水、又はリン酸カリウム緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、トリス塩酸緩衝液等のpH緩衝液が挙げられる。
有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール等、一般式(10)で表される化合物の溶解度が高いものを使用することができる。これらの中でも、有機溶媒としては、一般式(10)で表される化合物の溶解度が高いことから、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノールが好ましい。さらに転化率が高いことからジメチルスルホキシドがより好ましい。
【0131】
工程(vii)は、通常4℃〜70℃、好ましくは30℃〜60℃の反応温度で、通常pH3〜11、好ましくはpH4〜8で行われる。反応時間は、通常0.5時間〜48時間、好ましくは0.5時間〜24時間である。
工程(vii)で得られる一般式(6)で表される化合物は、遠心分離やフィルトレーションなどにより菌体やポリペプチド等を分離した後に、適当なpHに調整し、ヘキサン、酢酸エチル、トルエンなどの有機溶媒による抽出、カラムクロマトグラフィーによる精製、結晶化などを適宜組み合わせることにより精製することができる。
【0132】
方法(b):
方法(b)は、工程(viii)及び工程(ix)を含むことを特徴とする。
工程(viii):
【0134】
工程(viii)は、一般式(12)で表される化合物を、下記一般式(15)で表されるチタン触媒(Ti触媒)の存在下、一般式(13)で表される化合物と反応させて、一般式(14)で表される化合物を得る工程である。
【0136】
(式中、Raは炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
一般式(13)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(12)で表される化合物1molに対して1mol〜10mol、好ましくは1mol〜5molである。
一般式(15)で示されるTi触媒のビナフチル構造は、S配座のものが好ましい。また、Raとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましいが、工業的にはイソプロピル基が特に好ましい。
Ti触媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(12)で表される化合物1molに対して0.001mol〜1mol、好ましくは0.01mol〜0.5molである。
反応は、溶媒を用いて行うことが好ましい。溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン等の炭化水素溶媒;tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル等が好適に用いられる。これらの溶媒の一種または二種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(12)で表される化合物1gに対して1mL〜100mL、好ましくは1mL〜50mLである。
反応系に塩化リチウム及び/又は合成ゼオライトを添加することも可能である。これにより、所望とする光学純度の高いものを得ることができる。
塩化リチウムの使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(12)で示される化合物1molに対して0.001mol〜2mol、好ましくは0.01mol〜1molである。
合成ゼオライトとしては、例えばモレキュラーシーブス3A、4A、5A、13Xなどが挙げられる。好ましくはモレキュラーシーブス3A、4Aである。
合成ゼオライトの使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(12)で示される化合物1gに対して0.01〜1g、好ましくは0.1〜0.5gである。
反応温度は、使用する溶媒の沸点より低い温度で且つ融点より高い温度であれば、反応への影響や目的物の収率への影響はほとんどないため、この範囲で適宜選択することができるが、工業的には、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは10℃〜50℃である。
反応時間は、通常1時間〜24時間、好ましくは1時間〜12時間である。
【0137】
一般式(12)で表される化合物は、公知の方法に準じて得ることができる。例えば、WO2000/42016号に記載の方法により得ることができる。また、市販のものを用いることもできる。
一般式(13)で表される化合物も、以下のように公知の方法に準じて得ることができる。例えば、WO2003/420180号に記載の方法により得ることができる。
【0141】
工程(ix)は、一般式(14)で表される化合物に、カルボニル基を立体選択的に還元しうる活性を有する酵素、該酵素を生産する能力を有する微生物若しくは細胞(本発明の微生物若しくは細胞)、該微生物若しくは細胞の処理物、及び/又は該微生物若しくは細胞を培養して得られた該酵素を含む培養液を作用させて還元して、一般式(6)で表される化合物を得る工程である。
工程(ix)は、前述の工程(vii)と同様にして実施することができる。
【実施例】
【0142】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
なお、本実施例における略号は、以下の化合物を表す。
PT-DOXE:(6E)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリニル]−3,5−ジオキソ−6−ヘプテン酸エチルエステル
PT−ALD:[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリニル]カルボアルデヒド
DHAB:3,5−ジオキソヘプテン酸t−ブチルエステル
PT−DOXB:(6E)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリニル]−3,5−ジオキソ−6−ヘプテン酸t−ブチルエステル)
PT−DOLE:(3R,5S,6E)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリニル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸エチルエステル
DOLE MsOH:(3R,5S,6E)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリニル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸エチルエステル メタンスルホン酸塩
5S−MOLE:(E)−(5S)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−キノリン−3−イル]−5−ヒドロキシ−3−オキソ−ヘプト−6−エノイック酸エチルエステル
ACPT:(4R,6S,1E)−2−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−酢酸 エチルエステル
Me:メチル基
Et:エチル基
t−Bu:ターシャリーブチル基
EtOH:エタノール
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
【0143】
また、本実施例における定量分析は、HPLC(High Performans Liquid Chromatography)を用い、以下の条件で測定を行った。
<PT−DOXEの化学純度>
カラム:資生堂製 Capcell Pak C18 MG(4.6mm×75mm、3μm)
移動相:
A:水/酢酸/酢酸アンモニウム=1000/100/7.7(mL/mL/g)
B:THF
グラジエントプログラム(B濃度):41容量%(0分)→41容量%(17分)→90容量%(27分)
流速:1mL/分
カラム温度:40℃
検出波長:UV254nm
【0144】
<PT−DOLEの化学純度>
カラム:CERI社製 L−Column ODS(4.6mm×250mm、5μm)
移動相:
A:10mmol/L酢酸アンモニウム
B:エタノール/THF=15/1(容量比)
グラジエントプログラム(B濃度):48容量%(0分)→48容量%(35分)→64容量%(55分)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出波長:UV245nm
【0145】
<ACPTの化学純度>
カラム:Imtact製 Unison UK−C18(4.6mm×250mm、3μm)
移動相:
A:30mmol/L酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=20/80(容量比)
B:30mmol/L酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル=5/95(容量比)
グラジエントプログラム(B濃度):0容量%(0分)→0容量%(10分)→90容量%(30分)
流速:1mL/分
カラム温度:40℃
検出波長:UV245nm
【0146】
<ピタバスタチンカルシウムの化学純度>
カラム:Imtact製 Unison UK−C18(4.6mm×250mm、3μm)
移動相:
A:0.1容量%ギ酸
B:アセトニトリル
グラジエントプログラム(B濃度):25容量%(0分)→35容量%(20分)→90容量%(30分)→90容量%(35分)
流速:1mL/分
カラム温度:40℃
検出波長:UV331nm
【0147】
<粉末X線回折の測定条件>
測定装置:島津製 タイプXRD6000
線源:Cu
波長:1.54060Å
モノクロメータ:使用
管電圧:40.0Kv、管電流:40.0mA
ダイバージェンス:1.00deg
スキャッタリング:1.00deg
レシービング:0.15mm
モード:連続スキャン
駆動軸:θ−2θ
データ範囲:2〜40deg
ステップ:0.02deg
スキャン速度:2.0000deg/分
回転速度:60rpm
【0148】
実施例1(PT-DOXEの製造)
【0149】
【化59】
【0150】
窒素雰囲気下、フラスコに水素化ナトリウム20.8g(純度59.5%、515mmol)及びTHF 200mLを仕込み、17℃まで冷却した。この混合液に、DHAB 53.9g(純度91.9%,247.1mmol)のTHF(200mL)溶液を2時間かけて滴下し、滴下終了後の混合溶液を25℃で13時間撹拌した。
撹拌後の混合溶液に、PT−ALD 40.0g(137.3mmol)のTHF(400mL)溶液を4時間かけて滴下し、滴下終了後の溶液を25℃で1時間撹拌した。撹拌後の溶液をHPLCで分析した結果、PT−DOXBへの転化率は99.2%であった。
撹拌後の溶液に、n−ヘプタン200mL及び水400mLを25℃で滴下した後、分液を行った。その後、4重量%塩化ナトリウム水溶液、10重量%クエン酸水溶液及び10重量%塩化ナトリウム水溶液を使用して有機層を洗浄した。得られた有機層をHPLCにより分析した結果、PT−DOXBの収率は88.2%であった。
得られた有機層を減圧濃縮し、エタノール200mLを加えた。得られた溶液を、オートクレーブ(密閉容器)を用いて、内温100℃〜105℃まで昇温し、維持した。10時間経過後、得られた溶液をHPLCにより分析した結果、PT−DOXEへの転化率は99.0%であった。得られた溶液を64℃まで冷却し、1時間撹拌した。撹拌後の溶液を0℃〜−5℃までゆっくり冷却した後、固液分離により結晶を回収した。
得られた結晶及びエタノール200mLをフラスコに仕込み、エタノールが還流する温度まで昇温した。その後、内温70℃まで冷却し、1時間撹拌した。撹拌後の溶液を0℃〜−5℃までゆっくり冷却し、固液分離により結晶を回収した後、減圧乾燥した。得られた結晶をHPLCにより分析した結果、PT−DOXEの純度は99.1面積%であり、収量は39.7g(収率64.9%)であった。
【0151】
実施例2(PT−DOXBの製造)
【0152】
【化60】
【0153】
窒素雰囲気下、フラスコに水素化ナトリウム15.6g(純度59.5%、386mmol)、THF 150mL及びN,N−ジメチルホルムアミド75mLを仕込み、5℃まで冷却した。この混合液に、DHAB 40.4g(純度91.9%、185.4mmol)のTHF(150mL)溶液を2時間かけて滴下し、滴下終了後の混合溶液を8℃〜10℃で14時間撹拌した。
撹拌後の混合溶液にPT−ALD 30.0g(103.0mmol)のTHF(225mL)溶液を3時間かけて滴下し、滴下終了後の溶液を8℃〜10℃で6時間撹拌した。撹拌後の溶液をHPLCで分析した結果、PT−DOXBへの転化率は98.5%であった。
撹拌後の溶液に、n−ヘプタン150mL及び水150mLを10℃で滴下した後、分液を行った。その後、4重量%塩化ナトリウム水溶液、10重量%クエン酸水溶液及び10重量%塩化ナトリウム水溶液を使用して有機層を洗浄した。得られた有機層をHPLCにより分析した結果、PT−DOXBの収率は88.9%であった。
【0154】
参考例1(菌体の調製)
[カルボニル還元酵素(以下、「OCR1」という。)及びグルコース−1−デヒドロゲナーゼ(以下、「GDH」という。)を共発現した組換え大腸菌JM109/pKV32OCR1−GDHの調製]
(1)遺伝子のクローニング
オガタエア・ミヌタ 変種ノンファーメンタス(Ogataea minuta var. nonfermentans)NBRC(旧IFO)1473由来のOCR1(日本特許第4270918号公報に記載されている配列番号2)をコードする遺伝子配列(ocr1)を元に、ocr1遺伝子の全長を増幅させるためのプライマーocr1_F(配列番号3)とocr1_R(配列番号4)を設計、合成した。続いて、オガタエア・ミヌタ 変種ノンファーメンタス(Ogataea minuta var. nonfermentans)の染色体DNAを鋳型とし、常法に従ってPCRを行い、約0.8kbpのDNA断片を得た。
次に、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)由来の遺伝子(GeneBank Accession No. AL009126.3)がコードするグルコース−1−デヒドロゲナーゼにおいて、96番目のアミノ酸残基のグルタミン酸をアラニンに置換したGDH(配列番号6)をコードする遺伝子配列(以下、gdh(配列番号5))に対し、gdhの遺伝子の全長を増幅させるためのプライマーgdh_F1(配列番号7)とgdh_R1(配列番号8)を設計、合成した。続いて、常法に従ってPCRを行い、約0.8kbpのDNA断片を得た。
【0155】
(2)発現用プラスミドの調製
上記(1)で得られたocr1のDNA断片を、制限酵素EcoRI及びHindIIIにより消化し、MunI及びHindIIIにより消化したプラスミドpKV32(特開2005−34025号公報に記載のもの)にLigation−Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてtrcプロモーターの下流に導入し、pKV32OCR1を得た。
次に、上記(1)で得られたgdhのDNA断片を、制限酵素EcoRI及びXbaIにより消化し、MunI及びXbaIにより消化したプラスミドpKV32にLigation−Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてtrcプロモーターの下流に導入し、pKV32GDHを得た。
さらに、pKV32GDHを鋳型として、制限酵素サイトHindIIIを付加したプライマーgdh_F2(配列番号9)とgdh_R2(配列番号10)でPCRを行い、得られたフラグメントを制限酵素HindIIIで消化して、あらかじめ制限酵素HindIIIで消化したプラスミドpKV32OCR1の下流に挿入し、pKV32OCR1−GDHを得た。得られたプラスミドにおけるgdh遺伝子の向きはPCRにより確認した。
【0156】
(3)発現株の調製
上記(2)で得られたプラスミドpKV32OCR1−GDHを用いて、大腸菌(Escherichia coli)JM109(タカラバイオ社製)を常法に従い形質転換し、組換え大腸菌JM109/pKV32OCR1−GDHを得た。
【0157】
実施例3(PT-DOLEの製造)
【0158】
【化61】
【0159】
250mLのジャーファーメンターに、イオン交換水57mL、グルコース一水和物30g(151.5mmol)、NADP
+30mg(0.04mmol)、リン酸二水素カリウム2.76g(20.3mmol)、及びリン酸水素二カリウム0.39g(2.3mmol)を仕込み溶解させた。そこに、参考例1の方法で調製した組換え大腸菌JM109/pKV32OCR1−GDHの凍結菌体45g、及びジメチルスルホキシド(DMSO)36.3gに実施例1と同様の方法で得られたPT-DOXE 1.2g(2.69mmol)を溶解して調製した基質溶液全量を添加し、内温50℃で4時間撹拌し、反応させた。反応中は25重量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを6に保持した。得られた反応液をアセトニトリルで36倍に希釈した後、孔径0.2nmのフィルターでろ過し、ろ液を取得した。ろ液をHPLCにより分析した結果、PT−DOXEからPT-DOLEへの変換率は85.7%であった。
【0160】
実施例4(PT−DOLEの製造)
【0161】
【化62】
【0162】
30Lのジャーファーメンターに、イオン交換水12L、グルコース一水和物750g、NADP
+2.9g、リン酸水素二カリウム20.85g(0.12mol)、及びリン酸二水素カリウム147.0g(1.08mol)を仕込み溶解させた。そこに、参考例1の方法で調製した組換え大腸菌JM109/pKV32OCR1−GDHの凍結菌体2.1kg、及びジメチルスルホキシド(DMSO)3.3kgに5S−MOLE(特表2005−516064号公報記載の方法に準じて製造したもの)0.3kg(0.67mol)を溶解して調製した基質溶液全量を添加し、内温50℃で3時間撹拌し、反応させた。反応中は25重量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHを6.5に保持した。得られた反応液を10,000rpmで10分間遠心分離し、菌体と反応生成物からなる沈殿物を得た。この沈殿物を5重量%硫酸ナトリウム水溶液に懸濁した後、酢酸エチルで抽出を行った。酢酸エチルによる抽出を3回繰り返した後、得られた抽出液を合わせて溶液を得た。得られた溶液をHPLCにより分析した結果、PT−DOLEの純度は97.6面積%であり、収量は236g(収率78.7%)であった。
【0163】
実施例5(DOLE MsOHの製造)
【0164】
【化63】
【0165】
実施例4と同様の方法で得られたPT−DOLEの溶液を減圧濃縮し、濃度11.6重量%に調製したPT−DOLEの溶液を得た。得られたPT−DOLEの溶液377.6g(97.4mmol)に、温度30℃でメタンスルホン酸0.5g(5.2mmol)を添加し、同温度で1.5時間撹拌した後、メタンスルホン酸8.9g(92.6mmol)を酢酸エチル39.3gに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、反応液を−3℃まで冷却した。
冷却後、得られたスラリーをろ過し、残渣を外温40℃で減圧乾燥した。得られた固体をHPLCにより分析した結果、DOLE MsOHの収量は52.4g(収率98%)であった。また、得られた固体の融点、
1H−NMR及び粉末X線回折(XRD)測定結果は以下のとおりであった。
融点:132℃
1H−NMR(400MHz,DMSO)δ1.22−1.24(6H,m),1.46(2H,s),1.49(1H,m),2.22−2.33(2H,m),2.37(3H,s),2.61(1H, m),3.76(1H,m),4.08(2H,t、J=8Hz)4.14(1H,m),5.67(1H,dd,J=4Hz,16Hz),6.53(1H,d,J=16Hz),7.35−7.40(5H,m),7.56(1H,m),7.82(1H,m),8.09(1H,m)
XRD測定結果:
【0166】
【表1】
【0167】
実施例6(ACPTの製造)
【0168】
【化64】
【0169】
実施例5と同様の方法で得られたDOLE MsOH 15.0g(27.5mmol)とアセトニトリル58.5gをフラスコに仕込んだ。その混合物に、アセトンジメチルアセタール11.3g(109mmol)を内温20℃で添加した。3時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウム2.9g及び水19.5gを添加した。更に水13.0gを添加し、12時間撹拌した。その後、水を42.2g追加し、内温を−4℃まで冷却して、得られた結晶をろ過し、減圧乾燥して、ACPTの粗結晶を13.3g(収率99%)得た。
得られたACPTの粗結晶10g、エタノール58.8g及び水14.7gをフラスコに仕込み、内温を60℃付近まで昇温して溶解させた。得られた溶液を内温37℃付近まで冷却し、しばらく撹拌したところ結晶が析出した。その後、内温を−3℃まで6時間かけて冷却した。得られた結晶をろ過して回収し、減圧乾燥した。得られた結晶をHPLCにより分析した結果、ACPTの純度は99.8面積%であり、収量は8.9g(収率89%)であった。
【0170】
実施例7(ピタバスタチンカルシウムの製造)
【0171】
【化65】
【0172】
実施例6と同様の方法で得られたACPTの結晶8g(16.3mmol)とエタノール40mLをフラスコに仕込んだ。その混合物に、35重量%塩酸2.4gと水21.6gを混合した溶液を、内温30℃付近で添加した。3.5時間撹拌した後、酢酸エチル90mL及び7重量%炭酸水素ナトリウム水溶液45gを添加した。得られた溶液を分液した後、水層に酢酸エチル45mLを添加し、分液した。得られた有機層を合わせたものを、20重量%塩化ナトリウム水溶液45gで洗浄した後、濃縮した。
濃縮後、得られた残渣にエタノール74mL及び水74mLを添加した。その混合物に、8重量%水酸化ナトリウム水溶液9.9gを添加した。3時間撹拌した後、得られた溶液を減圧濃縮した。減圧濃縮後、得られた残渣に、t−ブチルメチルエーテル37mLを添加し、分液した。この操作を2回実施した。水層を減圧濃縮した後、塩化カルシウム2水和物2.6gを水104gに溶解した溶液を、内温32℃付近で滴下した。その後、得られた反応液を2℃付近まで冷却し、生成した結晶をろ別し、湿結晶を減圧乾燥した。結晶の水分が9.6重量%に達した時点で乾燥を停止した。得られた結晶をHPLCにより分析した結果、ピタバスタチンカルシウムの純度は99.93面積%であり、収量は9.7g(収率94%)であった。
【0173】
実施例8(ピタバスタチンカルシウムの製造)
実施例6と同様の方法で得られたACPTの結晶70g(143mmol)とエタノール350mLをフラスコに仕込んだ。その混合物に、3.5重量%塩酸208gを、内温30℃付近で添加した。2時間撹拌した後、エタノール210mLを追加し、8重量%水酸化ナトリウム水溶液100gを添加した。混合物を濃縮して容量を630mLとした。その後、3.5重量%塩酸178gを追加し、室温で2時間撹拌した。その後、8重量%水酸化ナトリウム水溶液178gを追加し、室温で2時間撹拌した。混合物に210mLの水を添加した後、容量が700mLになるまで濃縮を行った。濃縮液に水350mL及びt−ブチルメチルエーテル350mLを添加して分液をした後、水層を容量が980mLになるまで濃縮した。得られた濃縮液に塩化カルシウム2水和物22.9gと水173gを混合した溶液を温度30℃付近で滴下した。得られたスラリーを室温まで冷却し、生成した結晶をろ別し、湿結晶を減圧乾燥した。得られた結晶の水分は7.8重量%であった。得られた結晶に湿潤した窒素を流通し、水分を10.9重量%に調整した。得られた結晶をHPLCにより分析した結果、ピタバスタチンカルシウムの純度は99.96面積%であり、収量は66.0g(収率93%)であった。