(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管状多孔質基材は、その長さが45°〜135°の範囲内の角度で水平面に対して鋭角及び鈍角であるかまたは直角であるように前記体積の前記溶液と配向される、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、ガス分離において、特に水素を含有するガス流からの水素の分離において使用用途を有するパラジウム上に金を施した膜システムの改善された作製方法である。パラジウム上に金を施した膜は、特に、膜の水素分離能力の安定性に対する一酸化炭素の悪影響に対して耐性であることが見出された。
【0009】
本発明の方法は、パラジウム上に金を施した膜の従来の作製方法に関する多くの問題に対処する。本発明の方法がこれを行う1つの方策は、パラジウム膜層の上面に金膜層をめっきする工程において使用される機器の表面との、金めっき溶液の接触を最小限にすることによる。本発明の方法は、本発明の方法が除外する循環ポンプの使用などによる外部導入手段以外によって、金めっき溶液の成分を導入及び混合することを可能にする。本発明の方法の特徴は、パラジウム上に金を施した膜の摩耗されたパラジウム膜層の表面上への金膜層の改善された堆積及び分配を可能にし、それらは、製造機器の表面上にめっきされる金の量が減少するため、より低い製造コストに寄与する。
【0010】
本発明の方法は、US8721773に開示され、特許請求されたパラジウム−金合金ガス分離膜の調製方法の使用にまつわる以前には知られていなかった問題のいくつかを解決する。この特許は参照により本明細書に組み込まれる。上記のとおり、US8721773は、多孔質基材上にパラジウム層を提供することによってパラジウム上に金を施したガス分離膜システムを作製する方法を開示している。その膜層は、特定の平均表面粗さに摩耗され、続いて、パラジウム上に金を施した膜が生成されるように摩耗されたパラジウム表面をクロロ金酸及び過酸化水素の溶液と接触させて、摩耗されたパラジウム表面の上に金の層を堆積させる。本明細書に記載され、特許請求される本発明の方法は、従来技術の方法に関連する所定の問題に対処する多数の特徴を提供することによって、US8721773に記載された方法を改善する。
【0011】
本発明の方法では、所定の表面粗さの摩耗された表面を有するパラジウム層を有する管状多孔質基材を、ある体積のクロロ金酸(HAuCl
4)またはクロロ金酸の塩の水溶液に浸す。この水溶液はまた、本明細書においてめっき溶液もしくは金めっき溶液と称されるか、または他の同様の用語によって言及される。浸漬されている間に、ある体積の過酸化水素(H
2O
2)をその体積のクロロ金酸または塩の溶液に周期的に導入し、同時に管状多孔質基材を回転させる。管状多孔質基材の回転は、所望の均一性及び所望の厚さを有する金層をパラジウム層上に堆積させるように、ある設定速度である期間にわたって行われる。
【0012】
ある体積の過酸化水素をめっき溶液に導入するための導管手段を使用することによって過酸化水素をその体積のクロロ金酸溶液に導入することが望ましい。導管手段は、好ましくは、過酸化水素源とその体積のめっき溶液中の分配点または位置との間で流体連通を提供する管状導管である。その体積の過酸化水素は、管状多孔質基材にごく近接した点でその体積のめっき溶液に導入されることが好ましい。めっき溶液を循環させるまたは過酸化水素をめっき溶液と混合するために、外部循環ポンプは使用されず、金めっき溶液とめっき浴の外部の機器表面との接触を排除する。
【0013】
本発明の方法は、H
2O
2のめっき溶液への直接導入、多孔質基材の同時回転、及びH
2O
2をめっき溶液に導入している間のめっき浴の振盪または振動によって引き起こされるめっき溶液の乱流及び攪拌を介する、H
2O
2と金めっき溶液との混合を可能にする。
【0014】
管状多孔質基材は、外表面もしくは外径、またはその両方、長さ及びその長さの中間点を有することを特徴とし得る。本発明の方法では、過酸化水素の断続的または周期的導入は、管状多孔質基材の外表面に近い点で行われることが特に望ましい。特に、最大で3インチ〜6インチの外径を有する管状多孔質基材の場合、過酸化水素の導入点の近接性は、管状多孔質支持体の外表面から6インチまでの範囲の距離または長さの範囲内であるべきである。より具体的には、管状多孔質支持体の外表面からの過酸化水素の導入点は、0.25インチ〜6インチ、好ましくは0.5インチ〜5インチの範囲である。
【0015】
過酸化水素の導入点は、管状多孔質基材の長さの中間点付近の範囲内にあることが更に望ましい。この範囲は、管状多孔質基材に対して平行でありかつ管状多孔質基材の中間点から両方向への距離にわたって延びる長さとして定義される。最大で6インチの外径を有する管状多孔質基材の場合、その範囲は、管状多孔質基材の長さによって決定される距離または長さの中間点から両方向に延び得る。この範囲は、管状多孔質基材の長さの最大で25%と計算される。好ましくは、管状多孔質基材の長さの中間点付近の範囲は、管状多孔質基材の長さの最大で15%である。
【0016】
過酸化水素の導入点は、本明細書では、過酸化水素が最初に接触してめっき溶液と混合し始める、その体積のめっき溶液内の位置と定義される。典型的には、導入点は、管状導管の開口端部にあり、開口部はめっき溶液の全体積と比較して相対的に小さい。過酸化水素が通過してめっき溶液に入る開口領域はかなりの断面積を覆い得るが、本明細書ではそれは過酸化水素の導入点源であるとみなされる。
【0017】
管状導管の開口端部である導入点の代わりに、それは、代わりにまたは追加的に、導管の側壁の開口、例えば、液体の過酸化水素が導管を内部から外部に通過してめっき溶液に入る穴であってよい。
【0018】
過酸化水素の導入点は、管状多孔質基材の長さに沿って1つを超える位置を更に含んでよい。導入点は、管状多孔質基材の長さの中間点付近の範囲内にあることが特に望ましいが、追加的に、それは管状多孔質基材の長さに沿ったかつ管状多孔質基材の外表面にごく近接した1つのまたは複数の位置であり得る。
【0019】
金めっき工程の間、管状多孔質基材を懸垂させるための懸垂手段によってその体積のめっき溶液内に管状多孔質基材を懸垂させ、それをその体積のめっき溶液内で保持し、めっき溶液内で、ある速度である期間にわたって、管状多孔質基材を回転または転回または回旋させるための回転手段によって回旋、転回、または回転させる。
【0020】
管状多孔質基材は、その軸または長さが水平面に対して非平行であるように、めっき溶液内で配向されることが好ましい。この配向を有する場合、管状多孔質基材の軸または長さは、45°〜135°、好ましくは75°〜105°、最も好ましくは80°〜100°の範囲内の角度で水平面に対して鋭角及び鈍角であるかまたは直角である。
【0021】
めっき浴内での管状多孔質基材の回転速度は、パラジウム上に金を施したガス分離膜システムを調製するための本発明の方法の重要なパラメータである。めっき浴内での管状多孔質基材の転回速度が低すぎるかまたは高すぎる場合は、金膜層の所望の均一性及び分配が得られない。また、めっき浴内での管状多孔質基材の回転動作は、めっき溶液を攪拌すること、及び導入された体積の過酸化水素をめっき溶液と混合することを補助する。それ故、管状多孔質基材の転回速度は重要であり、過酸化水素とめっき溶液との混合を可能にするか、または少なくとも補助するのに十分高くあるべきである。
【0022】
所望の結果を得るために、めっき浴内の管状多孔質基材の転回速度は、20転回/分(rpm)〜150rpmの範囲内である。好ましくは、管状多孔質基材の回転速度は25rpm〜120rpmの範囲内であり、より好ましくは、それは30rpm〜90rpmである。
【0023】
0.2ミクロン〜2.5ミクロンの範囲の平均表面粗さ(Sa)を有するパラジウム表面は、クロロ金酸及び過酸化水素の溶液を採用することによって金でめっきされる。本発明によれば、クロロ金酸及び過酸化水素の溶液でめっきする前のパラジウム表面は、0.2ミクロンから最大で2.5ミクロンの範囲の平均表面粗さ(Sa)を有しなければならない。好ましくは、平均表面粗さ(Sa)は、0.3ミクロン〜1.5ミクロン、より好ましくは0.4ミクロン〜1.2ミクロンである。
【0024】
平均表面粗さまたは算術平均高さ(Sa)は、表面の粗さを測定するための既知の尺度であり、光学式粗面計を用いて容易に決定することができる。任意の市販の光学式粗面計を使用してよい。そのような市販の光学式粗面計の例は、Nonoveaによって市販及び販売されているST400 3D Profilometerである。
【0025】
パラジウム表面の所望の表面粗さまでの摩耗に続いて、特定の平均表面粗さを有する管状多孔質基材を、クロロ金酸(HAuCl
4)及び過酸化水素を含む水溶液である、ある体積のめっき溶液内に浸漬することによってパラジウム表面上に1つ以上の金の層が堆積される。
【0026】
めっき溶液はそのカリウム塩及びナトリウム塩などのクロロ金酸の塩を含んでもよい。
【0027】
金めっき溶液中のクロロ金酸の濃度は、一般に、溶液の重量を基準として、0.001重量%〜0.2重量%、好ましくは0.005重量%〜0.05重量%の範囲内である。
【0028】
上述したように、ある体積の過酸化水素が金めっき溶液に周期的に導入される。過酸化水素は、例えば、過酸化水素が約5体積%〜100体積%の範囲の過酸化水素の濃度を有する水溶液の形態であってよい。好ましくは、過酸化水素溶液は、10体積%〜80体積%、より好ましくは20体積%〜60体積%の範囲の過酸化水素の濃度を有する。
【0029】
金めっき工程の間に金めっき溶液に周期的に添加される過酸化水素の量は、一般に、0.01重量%〜0.1重量%、好ましくは0.01重量%〜0.05重量%の範囲の金めっき溶液中の過酸化水素の濃度を提供するようなものである。
【0030】
金めっき工程の間のめっき溶液へのその体積の過酸化水素の周期的な添加は、0.25時間〜4時間の範囲の時間間隔で行われる。0.5時間〜2時間、より好ましくは0.75時間〜1.5時間の時間間隔で、その体積の過酸化水素をめっき溶液に導入することが好ましい。
【0031】
各間隔でめっき溶液に導入される過酸化水素の体積は、上記で論じた範囲内のめっき溶液中の過酸化水素の濃度を提供するようなものである。したがって、めっき浴中のめっき溶液の体積の百分率としての、各間隔でめっき溶液に添加される過酸化水素溶液の体積は、めっき浴のめっき溶液の全堆積の0.001体積%〜0.2体積%の範囲内である。より典型的には、めっき溶液に添加されるめっき浴のめっき溶液の全体積当たりの過酸化水素溶液の体積は、0.005体積%〜0.1体積%、最も典型的には0.01体積%〜0.05体積%の範囲内である。
【0032】
めっき工程、すなわち、管状多孔質基材がめっき溶液内に浸漬される合計時間は、典型的には、少なくとも1時間で最大20時間のめっき期間にわたって行われる。2時間〜15時間、より好ましくは3時間〜10時間の範囲のめっき期間にわたってめっき工程を行うことが好ましい。
【0033】
金は、積層させることができ、すなわち、複数の層で堆積させることができ、または1つの層で堆積させることができる。パラジウム上に金を施した膜における金コーティングの厚さは、1ミクロンの一部(例えば、0.1ミクロン)から7ミクロン以上、好ましくは0.25ミクロン〜7ミクロンの範囲であり得る。
【0034】
パラジウム上に金を施した膜は、金属間拡散障壁でコーティングされた多孔質基材上に支持され得る。この実施形態では、金属間拡散障壁が多孔質基材に適用される。パラジウムまたはパラジウム合金の1つ以上の層が金属間拡散障壁上に堆積される。パラジウム層の表面を研磨媒体を使用して摩耗して所望の表面粗さを達成する。次いで、摩耗されたパラジウム層をめっき溶液と接触させることによってパラジウム層上に1つ以上の金の層が堆積される。パラジウム層上に各金層を堆積させた後、金層を熱処理し、すなわちアニーリングしてパラジウム上に金を施したガス分離膜システムでコーティングされた多孔質支持体を生成する。
【0035】
本発明の方法のこの実施形態で採用され得る多孔質支持体は、金属間拡散障壁ならびにパラジウム及び/またはパラジウム上に金を施した膜の及び層(複数可)のための支持体としての使用に好適である任意の多孔質金属材料を含む。
【0036】
多孔質支持体は任意の形状または幾何学的であり得るが、但し、金属間拡散障壁ならびにパラジウム、パラジウム合金、及び金の層(複数可)の支持体への適用または堆積を可能とする表面を有する。そのような形状は、シート厚さを共に画成する下表面及び上表面を有する多孔質金属材料の平面または曲線シートを含むことができ、またはその形状は、例えば、内表面及び外表面を有する長方形、正方形、及び円形の管状形状などの管状であり得、その内表面及び外表面は共に壁厚を画成し、管状形状の内表面は管状導管を画成する。
【0037】
多孔質金属材料は、ステンレス鋼、例えば、301、304、305、316、317、及び321シリーズのステンレス鋼、HASTELLOY(登録商標)合金、例えば、HASTELLOY(登録商標)B−2、C−4、C−22、C−276、G−30、Xなど、及びINCONEL(登録商標)合金、例えば、INCONEL(登録商標)合金600、625、690、及び718を含むがこれらに限定されない当業者に既知の材料のいずれかから選択され得る。それ故、多孔質金属材料は、水素透過性でありかつ鉄及びクロムを含む合金を含み得る。多孔質金属材料は、ニッケル、マンガン、モリブデン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される追加的な合金金属を更に含んでよい。
【0038】
多孔質金属材料としての使用に好適な1つの特に望ましい合金は、合金の全重量の約70重量%までの範囲の量のニッケル、及び合金の全重量の10〜30重量%の範囲の量のクロムを含み得る。多孔質金属材料としての使用に好適な別の合金は、30〜70重量%の範囲のニッケル、12〜35重量%の範囲のクロム、及び5〜30重量%の範囲のモリブデンを含み、これらの重量%は合金の全重量を基準とする。インコネル合金は他の合金よりも好ましい。
【0039】
多孔質金属基材の細孔の厚さ(例えば、上述したような壁厚またはシート厚)、多孔度、及び細孔径分布は、所望の特性を有する本発明のガス分離膜システムを提供するために、また、本発明のガス分離膜システムの製造において必要とされるように選択された多孔質支持体の特性である。
【0040】
多孔質支持体の厚さが増大するにつれて、それが水素分離用途において使用される場合、水素流束は減少する傾向があることが理解される。圧力、温度、及び流体の流れの組成などの操作条件も水素流束に影響を与え得る。しかし、いずれにせよ、それを通して高いガス流束を可能にするように適度に小さい厚さを有する多孔質支持体を使用することが望ましい。以下に企図される典型的な用途のための多孔質基材の厚さは、約0.1mm〜約25mmの範囲であり得るが、好ましくは、厚さは1mm〜15mm、より好ましくは2mm〜12.5mm、最も好ましくは3mm〜10mmである。
【0041】
多孔質金属基材の多孔度は0.01〜約1の範囲であり得る。多孔度という用語は、多孔質金属基材材料の全体積(すなわち、非固体及び固体)に対する非固体体積の割合として定義される。より典型的な多孔度は0.05〜0.8、更に0.1〜0.6の範囲内である。
【0042】
多孔質金属基材の細孔の細孔径分布は、典型的には約0.1ミクロン〜約50ミクロンの範囲内である多孔質金属基材材料の細孔のメジアン細孔径によって変動し得る。より典型的には、多孔質金属基材材料の細孔のメジアン細孔径は、0.1ミクロン〜25ミクロン、最も典型的には0.1ミクロン〜15ミクロンの範囲内である。
【0043】
クロロ金酸またはその塩及び過酸化水素を含むめっき溶液を使用して1つ以上の金の層を管状多孔質基材の摩耗されたパラジウム表面上に堆積させる前に、それは特定の表面粗さを有するべきである。
【0044】
パラジウム層(複数可)上への金の層(複数可)の堆積は、水、クロロ金酸、及び過酸化水素を含有する溶液が、管状多孔質基材のアニーリング及び摩耗されたパラジウム層(複数可)の表面と接触する金めっき浴中での無電解めっきによって行われる。
【0045】
全パラジウム層(複数可)の1重量%〜20重量%を有する金層が得られるまで金めっきを継続する。好ましくは、金は、全パラジウム層(複数可)の5重量%〜20重量%、より好ましくは全パラジウム層(複数可)の8重量%〜10重量%を含む。上記の金の百分率は1回以上のめっき操作に適用され得る。
【0046】
金の層またはコーティングの厚さは、金めっき工程の数または金堆積の全長に応じて、1ミクロンの一部、例えば、0.1ミクロンまたは0.25ミクロンから最大で7ミクロンで変動し得る。好ましくは、金層の厚さは0.20ミクロン〜5ミクロン、より好ましくは0.25ミクロン〜2ミクロンである。
【0047】
金は、1つの層でパラジウム上に堆積させることができ、またはパラジウムと金の交互の層の1つの層として堆積させることができる。
【0048】
金層(複数可)のパラジウム層(複数可)上への堆積に続いて、生じた金属層は、好ましくは、パラジウム−金合金を形成するパラジウム層への金層のいくつかの金属間拡散を達成するのに十分なアニーリング操作を受ける。パラジウム−金合金を形成するのに好適なアニーリング温度は、400℃〜800℃、好ましくは500℃〜600℃の範囲内である。好ましい実施形態では、アニーリングは、パラジウム及び金の層を有する多孔質基材を、水素雰囲気中で約500℃〜または約600℃の範囲の温度まで徐々に加熱することによって達成される。
【0049】
パラジウム上に金を施した膜層は、1ミクロン〜10ミクロン、好ましくは2ミクロン〜10ミクロンの厚さを有する。パラジウム上に金を施した膜層は、典型的には、合金の総重量を基準として0.2重量%〜20重量%の金、好ましくは合金の総重量を基準として5重量%〜20重量%の金を含む。
【0050】
本発明の方法によって生成されたパラジウム上に金を施したガス分離膜システムは、広く様々な用途、特に、ある濃度の硫黄化合物を含有するガス、例えば、二酸化炭素、水、メタン、またはこれらの混合物からなるガスの群から選択されるものを含む、他のガスを含むガス流からの水素の分離を含むもので使用され得る。
【0051】
パラジウム上に金を施したガス分離膜システムは、一酸化炭素による中毒に対するその高い耐性のため、合成ガス流からのH
2の分離に特に有用である。
【0052】
上記の用途では、温度条件は、600℃までの範囲内、例えば、100℃〜600℃の範囲内であり得、圧力条件は、60バールまでの範囲内、例えば、1〜40バールの範囲内であり得る。
【0053】
図1には、管状多孔質基材14の表面上にある摩耗されたパラジウム膜層12(クロスハッチングで示されている)上に金めっきを提供する機器システム10のダイアグラムが示されている。パラジウム膜層は、その平均表面粗さが最大で2.5ミクロンまたは2.5ミクロン未満、好ましくは0.5ミクロン超で1.5ミクロン未満になるように摩耗される。
【0054】
容器18は、管状多孔質基材14が浸されたある体積の金めっき溶液20を保持している。金めっき溶液20は、0.001重量%〜0.2重量%の範囲の濃度のクロロ金酸(HAuCl
4)の水溶液と、0.01重量%〜0.1重量%の範囲の濃度の過酸化水素とを含む。
【0055】
摩耗されたパラジウム膜層12を金膜層でめっきする工程の間に、金めっき溶液20における過酸化水素源は、1つ以上の体積の過酸化水素を金めっき溶液20に周期的または断続的に添加することに由来し得るか、または金めっき溶液20の過酸化水素含有量の一部は、容器18内に入れられた当初に供給または調製された金めっき溶液内にあり得る。
【0056】
管状多孔質基材14は所定の位置に保持され、接続または結合22によってその体積の金めっき溶液20内に懸垂される。結合22は、管状多孔質基材14に操作可能に接続されており、その体積の金めっき溶液20内に管状多孔質基材14を懸垂させるための懸垂手段を提供し、それは回旋、転回、または回転される。
【0057】
結合22もモーター24に操作可能に接続されている。モーター24は、摩耗されたパラジウム膜層12上に所望の均一性及び所望の厚さの金層を堆積させるように、ある速度である期間にわたって金めっき溶液20の体積内で管状多孔質基材14を回転または転回または回旋させるための回転手段を提供する。
【0058】
管状多孔質基材14の転回または回転は矢印26で図示されている。管状多孔質基材14が金めっき溶液20の体積内で回転される速度は、20rpm〜150rpmの範囲内である。管状多孔質基材14は、金めっき溶液20の体積内で、1時間〜20時間、好ましくは2時間〜15時間の範囲の期間にわたって、回転される。
【0059】
管状多孔質基材14の回転の間、1つ以上の体積の過酸化水素28が、管30を通って金めっき溶液20の体積に周期的に導入される。管30は、金めっき溶液20の体積に過酸化水素を導入するための導管手段を提供する。
【0060】
管30は、過酸化水素源28と分配点または位置32との間の流体連通を提供し、その点でそれは、矢印34により図示されているように分配されるかまたはその体積の金めっき溶液20と混合される。分配点32は、管状多孔質基材14の外表面に近接しており、管状多孔質基材14の長さ38の中間点36付近の範囲内にある。
【0061】
以下の実施例は、本発明を更に説明するために提供されるが、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0062】
実施例(パラジウム上に金を施した膜)
この実施例は、パラジウム上に金を施した水素分離膜システムの調製を記載する。
管状多孔質支持体の初期調製
【0063】
この実施例2の1インチのOD×15インチの長さ×0.1インチの壁多孔質HastelloyXステンレス管状支持体の初期調製は実施例1に記載したものと同じであった。
【0064】
パラジウムめっき工程
この実施例2のパラジウム上に金を施した膜の調製におけるパラジウムめっき工程は、実施例1に記載したものと同じであった。
【0065】
アニーリング工程
この実施例2のパラジウム上に金を施した膜の調製におけるアニーリング工程は、実施例1に記載したものと同じであった。
【0066】
研磨工程
研磨された表面の所望の研磨及び表面特性を提供するように設定された条件下で3MのTrizactA3ベルトを用いてAcme manufacturingのロボット式研磨機で膜を研磨した。Trizactベルト及び他の関連の摩耗媒体及びそれらの使用方法は、「A Method of Making a Supported Gas Separation Membrane.」と題する2014年4月10日に出願された米国特許出願第61/977790号に詳細に記載されている。この開示はその公開物に関して参照により本明細書に組み込まれる。
セットの繰り返し
【0067】
パラジウムめっき、洗浄、乾燥、アニーリング、及び研磨プロセスの工程を漏れない膜が得られるまで繰り返した。その一連の工程を4回繰り返して、100psiで漏れのない密封された膜を提供した。その膜は41Nm
3/m
2/hr/barの浸透度を有していた。
【0068】
金めっき工程
パラジウムめっきした膜を摩耗し、1300mlの0.08%クロロ金酸を含有する金めっき浴内に入れた。浴温を20℃で維持した。膜アセンブリを約50rpmの速度でオーバーヘッド撹拌モーターで回旋した。1mlの30%過酸化水素(H
2O
2)をピペットを介して金めっき浴の中心に送達した。2時間後、0.25mlの30%過酸化水素を同様の手法で添加した。
【0069】
金めっき工程が完了した後、膜を総体積(1300ml)のDI水に1時間入れ、DI水で十分にすすぎ、140℃で乾燥させた。金めっきした膜を水素アニーリングオーブンに移し、そこで550℃の温度で6時間、純粋なH
2雰囲気中でアニーリングした。金めっきされた膜の水素アニーリングに続いて、次いで実施例1に記載のように洗浄、乾燥、及び研磨を行った。生じる膜が7.8ミクロンの厚さを有する8%の金を含有するまで金めっきプロセスを繰り返した。