(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔例示的な実施形態の詳細な説明〕
本開示は、添付の図面および実施例と共に読まれる、以下の説明を参照することで、より容易に理解されるであろう。説明、図面および実施例はすべて、本開示の一部を形成する。本開示は、本明細書に記載および/または図示される特定の製品、方法、条件またはパラメータに制限されないこと、ならびに、本明細書で使用される用語は、ほんの一例として特定の実施形態を説明する目的のものであり、主張する開示を制限することは意図していないことが、理解される。同様に、特に明記されない限り、可能な機構または作用様式または改善の理由に関するあらゆる説明は、例示的であるにすぎないことが意図されており、本発明は、そのような示唆される機構または作用様式または改善の理由の正確さまたは不正確さに束縛されるものではない。本文書全体にわたり、説明は、装置およびシステムを操作する方法と、それらの方法をもたらす装置およびシステムと、の両方に言及することが認識される。すなわち、開示がフロー電池を操作する1つもしくは複数の方法を説明および/または主張する場合、これらの説明および/または主張は、それらの方法を達成するための装置、機器、またはシステムも説明および/または主張していることが、認識される。
【0020】
本開示では、単数形「a」、「an」および「the」は、複数のものへの言及も含み、特定の数値への言及は、文脈で明らかに別のことを示していない限り、少なくともその特定の値を含む。よって、例えば、「材料(a material)」への言及は、当業者に既知のそのような材料およびそれらの等価物などのうちの少なくとも1つへの言及である。
【0021】
値が記述子「約」を用いて近似値として表わされる場合、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。概して、用語「約」の使用は、開示される主題により得ようとする所望の特性に応じて変化できる近似値を示し、その機能に基づいて、その語が使用される特定の文脈で解釈されるべきものである。当業者は、これを、いつものこととして解釈できるだろう。場合によっては、特定の値に使用される有効桁数は、単語「約」の範囲を決定する1つの非制限的方法となり得る。他の場合、一連の値において使用されるグラデーション(gradations)は、各値で用語「約」に利用可能な意図される範囲を決定するのに使用され得る。存在する場合、すべての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。すなわち、範囲において述べる値への言及は、その範囲内のすべての値を含む。
【0022】
明瞭性のために別々の実施形態の文脈で本明細書に記載される、本発明のある特徴は、単一の実施形態で、組み合わせて提供され得ることが、理解される。すなわち、明らかに不適合でないか、または特に排除されていなければ、個々の実施形態はそれぞれ、任意の他の実施形態と組み合わせ可能であるとみなされ、そのような組み合わせは、別の実施形態と考えられる。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載される、本発明のさまざまな特徴は、別々に、または任意の部分的組み合わせで、提供されてもよい。最後に、実施形態は、一連の工程の一部またはより一般的な構造の一部として記載され得るが、各工程は、それ自体、独立した実施形態と考えることもできる。
【0023】
電気化学的エネルギー貯蔵システムは、典型的には、電気エネルギーおよび化学エネルギーの相互変換を通じて動作する。電気化学的エネルギー貯蔵システムのさまざまな実施形態は、電池、コンデンサ、可逆性燃料電池などを含み、本発明は、これらのシステムのうちの任意の1つまたは組み合わせを含み得る。
【0024】
エネルギー貯蔵材料および膜/電流コレクタのエネルギー変換要素が単一の組立体で使用される、典型的な電池テクノロジー(例えばLi‐イオン、Ni‐金属水酸化物、鉛酸など)とは異なり、フロー電池は、本明細書中別の場所でさらに詳細に説明する、例示的な
図1にあるように、レドックス活性エネルギー貯蔵材料を、貯蔵タンクから、電気化学的スタックを通じて、(例えばポンプ作用により)輸送する。この設計特徴により、電気エネルギー貯蔵システム電力(kW)がエネルギー貯蔵容量(kWh)から切り離され、かなりの設計の融通性およびコストの最適化が可能となる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本開示によるフロー電池は、第1の水性電解質と接触する負の電極を含む第1のチャンバと、第2の水性電解質と接触する正の電極を含む第2のチャンバと、第1の電解質と第2の電解質との間に配される分離器と、の観点で述べることもできる。電解質チャンバは、セル内部に別々の貯蔵部を提供し、この貯蔵部を通って、第1および/または第2の電解質が流れ、それぞれの電極および分離器に接触する。各チャンバと、それに関連する電極および電解質とは、その対応する半電池を画定する。分離器は、いくつかの機能を提供し、その機能には、例えば(1)第1および第2の電解質の混合に対するバリアとして役立つこと;(2)正の電極と負の電極との間の短絡を低減または防止するために電子的に絶縁すること;(3)正の電解質チャンバと負の電解質チャンバとの間にイオン輸送をもたらし、これにより、充電および放電サイクル中の電子輸送のバランスを取ること、が含まれる。負および正の電極は、充電および放電中に電気化学的反応のための表面をもたらす。充電または放電サイクル中、電解質は、別々の貯蔵タンクから、対応する電解質チャンバを通って輸送され得る。充電サイクルでは、電力がシステムに加えられ、第2の電解質に含有される活性材料が、1または複数電子酸化(one-or-more electron oxidation)を受け、第1の電解質中の活性材料は、1または複数電子還元(one-or-more electron reduction)を受ける。同様に、放電サイクルでは、第2の電解質が還元され、第1の電解質が酸化されて、電力を生成する。
【0026】
この点に対し、さまざまな実施形態が、個々のフロー電池の観点から主に説明されている。可能な場合、この説明は、特定の特徴で動作しているか、または動作することのできるフロー電池を含むものとして読まれるべきであることを、理解されたい。同様に、この説明は、本明細書に記載するフロー電池のうち少なくとも2つを含む、フロー電池のシステムを含むものとして読まれるべきである。
【0027】
例示的なフロー電池が
図1に示される。この図面に示すように、フロー電池システムは、電気化学的セルを含んでよく、これは、電気化学的セルの2つの電極を分離する分離器20(例えば膜)を特徴とする。電極10は、適切には、金属、炭素、グラファイトなどといった、導電性材料である。タンク50が、第1のレドックス材料30を収容でき、この材料は、酸化状態と還元状態との間で循環することができる。
【0028】
ポンプ60は、タンク50から電気化学的セルへの第1の活性材料30の輸送に影響を及ぼし得る。フロー電池はまた、適切には、第2の活性材料40を収容する第2のタンク(標識せず)を含む。第2の活性材料40は、活性材料30と同じであっても、同じでなくてもよい。第2のポンプ(標識せず)は、電気化学的セルへの第2のレドックス材料40の輸送に影響を及ぼし得る。ポンプは、電気化学的セルからシステムのタンクへの活性材料の輸送に影響を及ぼすために使用されることもできる。流体の輸送に影響を与える他の方法、例えばサイフォン、が、レドックス材料を電気化学的セル内へ出し入れするのに使用されてもよい。また、電源または電源負荷70も示されており、これは、電気化学的セルの回路を完成させ、ユーザーが、セルの動作中に電気を収集するか、または蓄えることを可能にする。
【0029】
図1は、フロー電池の特定の非限定的実施形態を描いていることを理解されたい。したがって、本開示による装置は、
図1に描いたシステムの態様のすべてを含んでも、含まなくてもよい。一実施例として、本開示によるシステムは、溶液に溶解した1つの固体、液体、もしくは気体および/または複数の固体、液体、もしくは気体である活性材料を含み得る。活性材料は、タンクに、大気にさらされている容器に蓄えられるか、または、単に大気に通気されることができる。
【0030】
いくつかの場合、ユーザーは、単一の電池から利用可能であるよりも高い充電または放電電圧を提供することを望む場合がある。そのような場合、およびある実施形態では、いくつかの電池が直列に接続され、各セルの電圧が加法的(additive)となる。導電性であるが無孔の材料(例えばバイポーラー板)が、隣接する電池セルを、バイポーラースタックにして接続するのに使用されてよく、これにより、電子輸送が可能となるが、隣接するセル間の流体または気体の輸送は妨げられる。個々のセルの正電極コンパートメントおよび負電極コンパートメントは、適切には、そのスタックにおける共通の正および負の流体マニホールドを介して、流体接続される。このように、個々の電気化学的セルは、直列に積み重ねられて、所望の動作電圧を与えることができる。
【0031】
追加の実施形態では、セル、セルスタック、または電池は、より大きなエネルギー貯蔵システムに組み込まれ、このシステムは、適切には、これらの大きなユニットの動作に有用なパイプおよび制御装置を含む。このようなシステムに適切なパイプ、制御装置、および他の機器は、当技術分野では既知であり、例えば、充電および放電された電解質を保持するそれぞれのチャンバおよび貯蔵タンクに電解質を出入りさせるそれぞれの電気化学的反応チャンバと流体連通している、パイプおよびポンプを含む。本開示により説明されるエネルギー貯蔵および生成システムは、電解質循環ループも含んでよく、このループは、1つまたは複数のバルブ、1つまたは複数のポンプ、およびオプションとして、均圧ラインを含み得る。本開示のエネルギー貯蔵および生成システムは、動作管理システムも含んでよい。動作管理システムは、コンピュータもしくはマイクロプロセッサなどの任意の適切なコントローラ装置であってよく、さまざまなバルブ、ポンプ、循環ループなどのいずれかの動作を設定する論理回路を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、フロー電池システムは、フロー電池(セルもしくはセルスタックを含む);電解質を収容および輸送するための貯蔵タンクおよびパイプ;制御ハードウェアおよびソフトウェア(安全システムを含み得る);電力調節ユニットを含むことができる。フロー電池のセルスタックは、充電サイクルおよび放電サイクルの変換を達成し、エネルギー貯蔵システムのピーク電力を決定し、この電力は、いくつかの実施形態では、kW範囲であってよい。貯蔵タンクは、正および負の活性材料を収容し、タンク容量が、kWhで測定され得る、システムに蓄えられたエネルギーの量を決定する。制御ソフトウェア、ハードウェア、およびオプションの安全システムは、適切には、フロー電池のエネルギー貯蔵システムの安全で自律的かつ効率的動作を保証するために、センサ、緩和機器、および他の電子/ハードウェア制御装置および安全装置を含む。このようなシステムは、当業者には既知である。電力調節ユニットが、エネルギー貯蔵システムの前端部で使用されて、入ってくる電力および出ていく電力を、エネルギー貯蔵システムもしくは適用に最適な電圧および電流に変換することができる。電力系統に接続されたエネルギー貯蔵システムの実施例では、充電サイクルにおいて、電力調節ユニットは、電気化学的スタックに適切な電圧および電流で、入ってくるAC電気をDC電気に変換する。放電サイクルでは、このスタックは、DC電力を生成し、電力調節ユニットは、送電網適用(grid applications)に適切な電圧および周波数で、AC電力に変換する。
【0033】
本開示のエネルギー貯蔵システムは、いくつかの実施形態では、数時間継続する、持続した充電または放電サイクルに適している。したがって、本開示のシステムは、エネルギー供給/需要プロファイルを平滑化し、(例えば再生可能エネルギー源からの)断続的な電力生成資源を安定化させる機構を提供するのに使用され得る。本開示のさまざまな実施形態は、このような長い充電または放電持続時間が有益である、電気エネルギー貯蔵適用を含むことを理解されたい。例えば、このような適用の非限定的な実施例には、再生可能エネルギー源の統合、ピーク負荷の変化、送電網の安定化、ベースロード電力生成消費、エネルギー裁定取引、伝送および流通資産据え置き、弱い送電網支持および/または周波数調整を可能とするように、本開示のシステムが電力系統に接続されたものが含まれる。本開示によるセル、スタック、またはシステムは、例えば離れた陣営、前線基地、自家発電の電気通信、または遠隔センサのための電源として、送電網または微細送電網(micro-grid)に接続されない適用のために安定した電力を供給するために使用されることもできる。
【0034】
フロー電池エネルギー貯蔵効率は、活性材料の往復DC−DCエネルギー効率(RT
EFF)およびエネルギー密度(Wh/Lで測定)の双方により決定される。RT
EFFは、電池の充電サイクルおよび放電サイクル双方の電圧および電流効率の合成物である。電気化学的装置では、電圧および電流効率は、電流密度の関数であり、電圧および電流効率は典型的には電流密度(mA/cm
2)が増大するにつれて減少するが、高い電流密度は、所与の電力定格を達成するのに必要な電気化学的スタックサイズ/コストを減少させるのにしばしば望ましい。活性材料のエネルギー密度は、セルのOCV(OCV=開路電圧)、活性種の濃度、および活性種1モル当たりに伝達される電子の数に正比例する。高いエネルギー密度が、所与の量の蓄積エネルギーに必要な活性材料の容量を減らすのに、望ましい。
【0035】
本明細書に記載されるさまざまな実施形態が、フロー電池システムについて記載されているが、同じ戦略およびデザイン/化学的実施形態が、一方または両方の半電池が不動の電解質を利用するものを含む、不動(非流動)の電気化学的セル、電池、またはシステムと共に利用されてもよいことを、理解されたい。これらの実施形態はそれぞれ、本発明の範囲内と考えられる。
【0036】
〔用語〕
本明細書全体にわたり、単語には、当業者に理解されるような、通常の意味が与えられる。しかしながら、誤解を避けるために、特定の用語の意味を、具体的に定義または明瞭化する。
【0037】
用語「活性材料」は、電気化学および電気化学的エネルギー貯蔵の分野の当業者には周知であり、システムの動作中に酸化状態の変化を受ける材料を指すことを意味している。この用語は、「レドックス活性材料」とも呼ばれ、本明細書における「活性材料」の使用は等価なものである。活性材料は、溶液中に溶解した1つの固体、液体、もしくは気体および/または複数の固体、液体、もしくは気体を含み得る。ある実施形態では、活性材料は、溶液中に溶解した分子および/または超分子を含む。本発明により記載される物質の組成物を含む活性材料は、正のカップルおよび負のカップルを形成するために他の活性材料と対になるように、エネルギー貯蔵システムにおいて使用されてよく、この他の活性材料は、可溶物、半固体、インターカレーション、容量性もしくは擬似容量性、かつプレーティングタイプの活性材料を含め、本発明により説明されるか、または、当技術分野で既に知られているか、または、それらの組み合わせである。分子の濃度は、少なくとも2M、1〜2M、約1.5M、0.5M〜1M、または0.5M未満であってよい。別の実施形態は、約5M、約4M、約3M、約2.5M、または約2Mの濃度上限(upper concentrations)を提供している。
【0038】
ある実施形態では、活性材料は、電気化学および無機化学の分野の当業者には既知である、「金属リガンド配位化合物」を含み得る。金属リガンド配位化合物は、原子もしくは分子に結合した金属イオンを含み得る。結合原子もしくは分子は、「リガンド」と呼ばれる。ある非限定的な実施形態では、リガンドは、C、H、Nおよび/またはO原子を含む分子を含み得る。リガンドは、有機分子を含み得る。本開示の金属リガンド配位化合物は、水、水酸化物、またはハロゲン化物(F
−、Cl
−、Br
−、I
−)ではない少なくとも1つのリガンドを含むことが理解される。「M(L1)
x(L2)
y(L3)
zm、1≦x+y+z≦3となるようにx、y、zは独立して0、1、2、または3である」により表わされるものとして本明細書で呈示される場合、これは、「M」が、その内側配位圏内に、L1、L2、L3の1、2、または3個のリガンドを含む、独立した実施形態を反映していて、L1、L2、L3は互いに異なることを、理解されたい。
【0039】
金属リガンド配位化合物は、「レドックス活性金属イオン」および/または「レドックス不活性金属イオン」を含み得る。用語「レドックス活性金属イオン」は、金属が使用条件下で酸化状態の変化を受けることを含意することが意図されている。本明細書で使用される用語「レドックス不活性」金属イオンは、金属が使用条件下で酸化状態の変化を受けないことを含意することが意図される。金属イオンは、例えばAl、Ca、Co、Cr、Sr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sn、Ti、Zn、Zr、Vまたはこれらの組み合わせの、0価でない塩(non-zero valence salts)を含み得る。熟練した職人であれば、所与の0価でない金属が、所定の電解質環境下でレドックス活性または不活性である状況を認識することができるであろう。特定の実施形態では、第1のレドックス活性材料、第2のレドックス活性材料、または第1および第2双方のレドックス活性材料は、M(L1)
x(L2)
y(L3)
zmを含む式を有する金属リガンド配位錯体を含み、
Mは、Al、Ca、Ce、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、S、Sn、Ti、W、Zn、またはZrであり、
L1、L2およびL3はそれぞれ独立して、アスコルベート、カテコレート、シトレート、グリコレートまたはポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはグリセロールから得られるリガンドを含む)、グルコネート、グリシネート、α-ヒドロキシアルカノエート(例えばα-ヒドロキシアセテート、もしくはグリコール酸から)、β-ヒドロキシアルカノエート、γ-ヒドロキシアルカノエート、マレート(malate)、マレアート、フタラート、ピロガレート(pyrogallate)、サルコシネート(sarcosinate)、サリチレート、またはラクテートであり、
x、y、およびzは独立して、0、1、2、または3であり、1≦x+y+z≦3であり、
mは、+1、0、−1、−2、−3、−4、または−5である。関連実施形態および独立した実施形態は、(a)x=3、y=z=0である;(b)x=2、y=1、z=0である;(c)x=1、y=1、z=1である;(d)x=2、y=1、z=0である;(e)x=2、y=z=0である;または(f)x=1、y=z=0であるものを定めている。個々の好適な実施形態では、Mは、Al、Cr、Fe、またはTiであり、x+y+z=3である。
他の特定の実施形態では、第1のレドックス活性材料、第2のレドックス活性材料、または第1および第2双方のレドックス活性材料は、例えば、クロム、鉄、マンガン、モリブデン、もしくはルテニウム、好ましくはクロム、鉄、もしくはマンガンヘキサシアニド、例えばフェリシアニドもしくはフェロシアニドを含む、ヘキサシアニド金属リガンド配位錯体を含む。
【0040】
他の実施形態では、活性材料は、「有機活性材料」を含み得る。有機活性材料は、遷移金属イオンを含有しない分子または超分子を含み得る。有機活性材料は、水溶液に溶解した分子または超分子を含むことを意味することが、さらに理解される。そして、有機活性材料は、電気化学的エネルギー貯蔵システムの動作中に酸化状態の変化を受けることができる。この場合、分子または超分子は、システムの動作中に電子を受け入れるか、または提供することができる。
【0041】
別段指定のない限り、用語「水性(aqueous)」は、溶媒の総重量に対し、少なくとも約98重量%の水を含む溶媒系を指す。いくつかの適用では、可溶性、混和性、または部分的に混和性の(界面活性剤もしくは他のもので乳化された)共溶媒も、有用に存在することができ、これは、例えば、水の流動性の範囲を延ばす(例えばアルコール/グリコール)。特定される場合、追加の独立した実施形態は、「水性」溶媒系が、溶媒全体に対して、少なくとも約55%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約75wt%、少なくとも約80%、少なくとも約85wt%、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、または少なくとも約98wt%の水を含むものを含む。場合によっては、水性溶媒は、本質的に水からなってよく、共溶媒または他の種を実質的に含まないか、または完全に含まなくてよい。溶媒系は、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、または少なくとも約98wt%の水であってよく、いくつかの実施形態では、共溶媒または他の種を含まない。
【0042】
以下に記載するレドックス活性材料に加え、水性電解質は、追加の緩衝剤、支持電解質、粘度調整剤、湿潤剤などを含有し得る。
【0043】
用語「バイポーラー板」は、セルスタックにおいて電気化学的セルを分離するのに役立ち得る、導電性で、実質的に無孔の材料を指し、これにより、セルは、直列に接続されて、セル電圧はセルスタックにわたり加法的となる。バイポーラー板は2つの表面を有し、バイポーラー板の1つの表面は、1つのセルにおける正の電極および隣接するセルにおける負の電極の基板として役立つ。バイポーラー板は、典型的には、炭素、および炭素含有複合材料を含む。
【0044】
用語「セル電位」は、電気化学の分野の当業者には容易に理解されるものであり、動作中の電気化学的セルの電圧であると定義される。セル電位は、式1によりさらに定義され得:
【数1】
式中、OCVは、「開路電位」であり、
は、所与の電流密度での、正および負の電極それぞれの過電位であり、iRは、組み合わせられた全セル抵抗と関連する電圧損失である。「開路電位」またはOCVは、式2に従って容易に理解されることができ:
OCV=E
+−E
− (2)
式中、E
+およびE
−は、正および負の電極それぞれで生じるレドックス反応の「半電池電位」である。半電池電位は、周知のネルンスト式3によりさらに説明されることができ:
E=E
o−RT/nF ln(X
red/X
ox) (3)
式中、E
oは、目的のレドックスカップル(例えば正または負の電極)の標準還元電位であり、Rは、一般気体定数であり、Tは温度であり、nは、目的のレドックスカップルで移動する電子の数であり、Fはファラデー定数であり、X
red/X
oxは、電極における還元種と酸化種との割合である。
【0045】
電池システムのOCVは、第1の電極と第2の電極との間の電流の流れが0に等しい場合、標準的技術を用いることで、測定され得る。この状態では、第1の電極と第2の電極との間の電圧差が、OCVに対応する。電池システムのOCVは、このシステムの充電状態(SOC)によって決まる。任意の理論の正確さに束縛されるつもりはないが、理想的な電池のOCVは、ネルンスト式(前記の式3)に従って充電状態と共に変化するであろう。本出願における単純化のために、すべてのOCVは、50%のSOCでの値を基準とする。当業者は、より高いSOCで、電池のOCVが、50%のSOCでの値より増大し、より低いSOCで、OCVが減少するであろうことを、認識するだろう。
【0046】
用語「電流密度」は、電気化学の分野の当業者には周知であり、セルの電極の幾何学的エリアにより分割された電気化学的セル内を通る総電流を指し、一般的に、mA/cm
2の単位で報告される。本発明のある実施形態では、電流密度は、約50mA/cm
2から、約100mA/cm
2から、または約200mA/cm
2から、約200mA/cm
2まで、約300mA/cm
2まで、約400mA/cm
2まで、または約500mA/cm
2まで、の範囲であり、これらの範囲は、「少なくとも100mA/cm
2」を提供するものとして言及される実施形態にも適用され得る。
【0047】
用語「電流効率」(I
EFF)は、システムの放電時に生成される総電荷と、充電時に通過する総電荷との割合として説明され得る。いくつかの実施形態では、放電の際に生成されるか、または充電時に通過する電荷は、当業者には周知の標準的な電気化学的クーロン計数技術を用いて測定され得る。任意の理論の制限により束縛されるつもりはないが、電流効率は、フロー電池の充電状態の関数であってよい。いくつかの非制限的な実施形態では、電流効率は、約35%〜約60%のSOC範囲にわたって評価され得る。
【0048】
用語「エネルギー密度」は、活性材料において単位体積当たりで蓄積され得るエネルギーの量を指す。本明細書で使用されるエネルギー密度は、エネルギー貯蔵の理論上のエネルギー密度を指し、式4により計算され得:
エネルギー密度=(26.8A−h/mol)×OCV×[e
−] (4)
式中、OCVは、前記で定めたとおり、50%の充電状態での開路電位であり、(26.8A−h/mol)は、ファラデー定数であり、[e
−]は、99%の充電状態で活性材料に蓄積された電子の濃度である。活性材料が正および負の電解質の双方について、原子種または分子種を主に含む場合、[e
−]は、次のように計算され得:
[e
−]=[活性材料]×n/2 (5)
式中、[活性材料]は、負または正の電解質の活性材料の濃度(mol/LもしくはM)の、どちらか小さいほうであり、nは、活性材料の1つの分子当たりに移動する電子の数である。関連する用語「電荷密度」は、各電解質が含有し得る電荷の総量を指す。所与の電解質について以下であり:
電荷密度=(26.8A−h/mol)×[活性材料]×n (6)
式中、[活性材料]およびnは、前記で定めたとおりである。
【0049】
用語「エネルギー効率」は、システムの放電時に生成される総エネルギーと、充電時に消費される総エネルギーとの割合として説明され得る。エネルギー効率(RT
EFF)は、式7により算出され得る:
RT
EFF=V
EFF,RT×I
EFF (7)
【0050】
本明細書で使用される用語「発生電流(evolution current)」は、特定の化学種の発生(生成)に関連する、電圧印加されたフロー電池構成において加えられた電流の部分を説明している。この文脈では、酸素が正の電極で発生するか、または水素が負の電極で発生するか、またはこの双方が起こるように、十分な過電位(下記参照)がフロー電池に加えられた場合、酸素または水素の発生に関連する電流の部分は、それぞれ、酸素発生電流または水素発生電流である。
【0051】
ある好適な実施形態では、水素発生、酸素発生、または水素および酸素の両方の発生に関連する電流がない。これは、正の半電池が、正の電極の熱力学的閾値電位または閾値過電位未満の電位で動作している場合(すなわち、酸素が生成されない;以下の用語の説明を参照)、または負の半電池セルが負の電極の熱力学的閾値電位または閾値過電位より正の電位で動作している場合(すなわち、水素が生成されない)、またはこの双方において、生じ得る。別の実施形態では、電池は、それぞれの正または負の電極の熱力学的閾値電位または閾値過電位いずれかの0.3V以内、0.25V以内、0.2V以内、0.15V以内、または0.1V以内、で動作する。
【0052】
用語「本質的に0の水素発生電流」は、電池の充電または放電中に通過した電流の1%未満が水素の発生をもたらすことを意味する。同様に、用語「実質的に0の酸素発生電流」および「炭素腐食電流」は、電池の充電または放電中に通過した電流の1%未満が、酸素の発生、または、炭素の腐食それぞれをもたらすことを意味する。
【0053】
気体が発生される実施形態では、気体発生(水素または酸素またはこれらの双方)に関連する電流の部分は、適切には、加えられる総電流の約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、または約1%未満、である。より低い気体発生電流が、電池(セルまたはセルスタック)効率には、特に適していると考えられる。
【0054】
用語「除外する(excluding)」は、あるイオンまたは分子が分離器を通って流れないようにする分離器の能力を指し、典型的には、パーセントとして測定される。
【0055】
用語「可動イオン」は、電気化学の分野の当業者によって理解され、電気化学的エネルギー貯蔵システムの動作中に負の電極と正の電極との間で移動するイオンを含むことを意味している。用語「可動イオン」はまた、充電/放電中にイオン電流の少なくとも80%を運ぶイオンと呼ぶこともできる。
【0056】
本明細書で使用される用語「負の電極」および「正の電極」は、互いに関して定義される電極であり、充電サイクルおよび放電サイクル双方において、動作する実際の電位には関係なく、負の電極は、正の電極より負の電位で動作するか、または動作するよう設計もしくは意図される(逆もまた同様である)。負の電極は、可逆水素電極に対して負の電位で実際に動作してもしなくてもよく、または、動作するように設計もしくは意図されてもされなくてもよい。本明細書に記載するように、負の電極は、第1の水性電解質と関連し、正の電極は、第2の電解質と関連する。
【0057】
ある電極は、「炭素電極」と呼ばれる。このような電極は、当技術分野で周知であり、黒鉛状炭素、ガラス状炭素、無定形炭素、ホウ素もしくは窒素でドープ処理された炭素、ダイヤモンド様炭素、カーボンオニオン、カーボンナノチューブ、炭素フェルト、およびグラフェンを含む。炭素電極が使用される場合、フロー電池の一方または両方の半電池が炭素電極を含むことができる。いくつかの実施形態では、電極は、複合構造を生成するために、高表面積粒子カーボンブラック材料を、結合剤と組み合わせることにより、製造され得る。これらの材料は、非限定的な例として、Vulcan炭素、Ketjen炭素、アセチレンブラックまたはMogul L炭素などのカーボンブラックを含むことができ、結合剤は、NAFION(商標)、フェノール樹脂、または他の適切なポリマー材料を含む。この適用では、炭素電極は、その通常の意味として、すなわち、実質的に金属を含まない(「実質的に金属を持っていない」と言われることもある)炭素または炭素複合物を含む電極、としてとらえられる。いくつかの実施形態では、炭素電極の少なくとも99重量%が、非金属である。
【0058】
用語「過電位(overpotential)」は、ネルンスト式により定義されるように、電気化学的セルの動作中の電極と、その電極の標準の半電池電位との間の電圧の差により定められる。理論によって束縛されるつもりはないが、過電位という用語は、所与の割合または電流密度で反応を行うように、熱力学で要求されるものを超えた、エネルギーを示すことが意図されている。用語「過電位」はまた、正の電極において水から酸素発生するための熱力学的開始電圧より正の電位、および負の電極において水から水素発生するための熱力学的開始電圧より負の電位を示す。
【0059】
同様に、本明細書で使用される用語「閾値過電位」は、水素または酸素気体がそれぞれの電極で発生し始める過電位を指す。留意すべきは、「不完全な」(すなわち、触媒的に理想未満の)電極を含む電気化学的システムは、次の3つの領域:(a)熱力学的開始電位より「低い」電位で(すなわち、負の電極の熱力学的開始電位より正であり、正の電極の熱力学的開始電位より負である;気体の発生がないので、気体発生電流もない);(b)熱力学的閾値電位と閾値過電位との間の電位で(気体の発生がなく、依然として発生電流がない);および(c)閾値過電位を超えて(気体が発生し、気体発生電流が示される)、動作し得ることである。このような閾値過電位は、例えば、電子活性材料の存在下または不存在下で、(例えば質量分析計を用いて)加えられた半電池電位の関数として気体発生を測定することによって、所与のシステムで当業者により識別され得る。以下も参照のこと。
【0060】
気体発生閾値電位は、電解質の性質によっても影響される。ある化学物質は、バルク電解質における何らかの活性により、または、それぞれの電極をコーティングするか、もしくは別様に非活性化させるそれらの能力により、電解セル(electrolytic cells)において水素および酸素の発生を阻害することが知られており、例えば、Pt表面上の塩化物もしくはリン酸塩などのマクロ分子またはオリゴマーまたは塩がある。したがって、ある実施形態では、第1または第2の電解質、あるいは第1および第2双方の電解質は、少なくとも1つの化合物を含み、システムの水素または酸素閾値過電位をそれぞれ増大する。
【0061】
いくつかの実施形態では、活性材料は、電池の充電または放電反応中に電極上にめっきされなくてよい。この文脈では、用語「めっき(plate)」は、可溶性材料が静止表面上に付着、結合、または沈殿する傾向を指す。このように、電極上にめっきされないレドックス活性材料は、電池システムの充電および放電の間、電解質中で明らかに可溶性でありつづける。
【0062】
本明細書で使用される用語「再生燃料セル」または「可逆な燃料セル」または「フロー電池」または「フローエネルギー装置」は、エネルギー貯蔵およびエネルギー生成双方について(セルまたはセルスタックを含む)同じ電池構成を利用する、同じかまたは同様のタイプの装置を含意する。
【0063】
用語「可逆水素電極」またはRHEは、従来の意味で使用される。すなわち、可逆水素電極(RHE)は、基準電極である。RHEの電位E(RHE)は、式8の電位に対応する:
【数2】
【0064】
式8の反応が、所与のpHおよび1atm H
2で、平衡状態で実行された場合。この電位は、以下の関係により、標準の水素電極E(NHE)を基準とし得:
E(RHE)=E(NHE)−0.059×pH=0.0V−0.059×pH (9)
式中、E(NHE)は、標準状態(1M H
+、1atm H
2)での式8の反応の電位として定義された、標準の水素電極(NHE=0.0V)の電位である。よって、0V vs. RHEの電位は、pH0では0V vs. NHEの電圧、およびpH7では−0.413V vs. NHEの電圧に対応する。
【0065】
用語「選択性」は、電気化学の分野の当業者に周知であり、膜を通じた可動イオンと活性材料との移動の割合を可能にする膜の能力を指す。例えば、50:1の割合の可動イオンと活性材料とが通過することを可能にする膜は、50の選択性を有する。
【0066】
用語「分離器」および「膜」は、電気化学的セルの正の電極と負の電極との間に配された、イオン伝導性で、電気的に絶縁する材料を指す。
【0067】
本開示で有用なポリマー電解質は、アニオンまたはカチオン伝導性電解質であってよい。「アイオノマー」として記載される場合、この用語は、電気的に中性な反復単位、およびイオン化反復単位の一部の双方を含むポリマーを指し、イオン化単位は、垂れ下がっており(pendant)、ポリマー骨格に共有結合している。イオン化単位の一部は、約1モル%〜約90モル%の範囲であり得るが、それらのイオン化単位含有量に従ってさらに分類されることができる。例えば、ある場合には、イオン化単位含有量が、約15モル%未満であり、他の場合には、イオン含有量は、より高い、典型的には、少なくとも約80モル%超である。さらに他の場合には、イオン含有量は、中間的範囲により、例えば約15〜約80モル%の範囲で、定められる。イオン化アイオノマー単位は、カルボキシレート、スルホネート、ホスホネート、カルボキシ酸、スルホン酸、ホスホン酸などの塩を含む、アニオン性官能基を含み得る。これらの官能基は、一価、二価、またはより多価のカチオン、例えばアルカリもしくはアルカリ土類金属により、電荷のバランスがとられ得る。アイオノマーは、結合または包埋した四級アンモニウム、スルホニウム、ホスファゼニウム(phosphazenium)、およびグアニジニウムの残留物または塩を含有するポリマー組成物を含むこともできる。本開示において有用なポリマーは、高度にフッ素化されるかまたは全フッ素置換されたポリマー骨格を含み得る。本開示で有用な、あるポリマー電解質は、テトラフルオロエチレン、および1つまたは複数のフッ素化された酸官能性のコモノマー(fluorinated, acid-functional co-monomers)のコポリマーを含み、これらは、デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Companyによる、NAFION(商標)全フッ素置換ポリマー電解質として市販されている。他の有用な全フッ素置換電解質は、テトラフルオロエチレン(TFE)とFSO
2−CF
2CF
2CF
2CF
2−O−CF=CF
2とのコポリマーを含む。
【0068】
用語「スタック」または「セルスタック」または「電気化学的セルスタック」は、電気的に接続されている個々の電気化学的セルの集合を指す。これらのセルは、直列または並列に電気的に接続され得る。セルは、流体接続されていてもいなくてもよい。
【0069】
用語「充電状態」(SOC)は、電気化学、エネルギー貯蔵、および電池の分野の当業者には十分に理解される。SOCは、電極での還元種と酸化種の濃度比(X
red/X
ox)から決定される。例えば、個別の半電池の場合、X
red/X
ox=1となるようにX
red=X
oxであるとき、半電池は、50%のSOCであり、半電池電位は、標準のネルンストの値(standard Nernstian value)E
oに等しい。電極表面における濃度比が、X
red/X
ox=0.25またはX
red/X
ox=0.75に対応する場合、半電池は、それぞれ、25%および75%のSOCである。完全なセル(full cell)のSOCは、個々の半電池のSOCによって決まり、ある実施形態では、SOCは、正および負の電極双方で同じである。OCVで電池のセル電位を測定し、式2および3を用いて、各電極のX
red/X
oxの割合は決定され得、したがって、電池システムのSOCが決定され得る。
【0070】
本発明の可逆フロー電池は、それらの動作特性の点で、さらに定義され得る。例えば、ある個々の実施形態では、本明細書に記載する化学物質を使用すると、半電池は、実質的に可逆な電気化学的動態を示す。別段指定がなければ、用語「実質的に可逆な電気化学的動態」は、アノードピークとカソードピークとの間の電圧差が、平坦なガラス状炭素ディスク電極を使用し100mV/sで記録するチャンバ外装置(ex-situ apparatus)を用いて、サイクリックボルタンメトリーで測定した場合に約0.3V未満である状態を指す。しかしながら、追加の実施形態は、これらの同じ試験条件下で、アノードピークとカソードピークとの間の電圧差が、約0.2V未満、約0.1V未満、約0.075V未満、または約0.059V未満であると定めている。
【0071】
用語「支持電解質」は、目的の電位窓でレドックス不活性であり、かつ電荷およびイオン伝導率を支持するのを助ける、任意の種を指す。本発明の場合、支持電解質は、配位化合物または錯体の可溶性を実質的に損なわない。非限定的な例としては、アルカリ金属、アルキルもしくはアリール基で部分的もしくは完全に置換されたアンモニウムイオンを含むアンモニウムイオン、ハロゲン化物(例えばCl
−、Br
−、I
−)、カルコゲニド、リン酸塩、リン酸水素、ホスホン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、またはそれらの混合物、および当技術分野で既知の他のものを含む、塩が含まれる。
【0072】
用語「電圧効率」は、所与の電流密度での、観察された電極電位と、その電極の半電池電位との割合(×100%)として説明され得、半電池電位は、前記のとおり算出される。電圧効率は、電池の充電工程、放電工程、または「往復電圧効率」について記載され得る。所与の電流密度での往復電圧効率(V
EFF,RT)は、放電時のセル電圧(V
放電)および充電時の電圧(V
充電)から、式10を用いて算出され得る:
V
EFF,RT=V
放電/V
充電×100% (10)
【0073】
〔例示的な動作特性〕
本開示は、開示されるシステムおよび方法のさまざまな技術的特徴を提供する。これらの特徴のいずれか1つが、任意の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせられ得ることを、理解されたい。例えば、ユーザーは、有機活性材料(例えばキノン)を含む電解質を特徴とするシステムを操作することができ、その電極は、約3のpHを有する。このようなシステムは、約35μmの厚さを有する膜分離器も特徴とし得る。本開示は以下の特徴の任意の特定の1つまたは複数の組み合わせに制限されないことを、さらに理解されたい。
【0074】
従来のフロー電池動作では、可動イオンは、プロトン、ヒドロニウム、または水酸化物を含む。本開示のさまざまな実施形態では、プロトン、ヒドロニウム、または水酸化物以外のイオンを(例えばこれらのイオンが、1Mより低いなど、比較的低い濃度で存在する場合に)輸送することができる。フロー電池を動作させるこれらの方法の別の実施形態は、可動イオンがプロトン、ヒドロニウム、または水酸化物から本質的にならないものを含む。この実施形態では、可動イオンの50%未満が、プロトン、ヒドロニウム、または水酸化物を含む。他の実施形態では、可動イオンの約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、または約2%未満が、プロトン、ヒドロニウム、または水酸化物を含む。これらの実施形態における例示的な可動イオンは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオン(特に、Li
+、Na
+、K
+、Mg
2+、Ca
2+、またはSr
2+)を含む。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態では、(例えば、活性材料の可溶性および/または低いシステムコストを可能にするために)pH1〜13で動作することが有利である。この場合、一方または双方の電解質は、約1〜約13、または約2〜約12、または約4〜約10、または約6〜約8のpHを有するものとして特徴づけられる。ある実施形態は、約8〜約13のpHを有する電解質で動作する。これらの実施形態のうちのいくつかでは、pHは、約10〜約12である。いくつかの好適な実施形態は、約10.5〜11.5のpHを有する電解質で動作する。いくつかの実施形態では、電解質のpHは、緩衝剤により維持され得る。典型的な緩衝剤は、リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、トリスアミノメタン(Tris)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、ピペラジン−N,N’−ビス(エタンスルホン酸)(PIPES)、およびこれらの組み合わせの塩を含む。ユーザーは、酸(例えばHCl、HNO
3、H
2SO
4など)、塩基(NaOH、KOHなど)、またはこれらの両方を添加して、所与の電解質のpHを所望のとおりに調節することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1および第2の電解質のpHは、等しいか、または実質的に同様であり、他の実施形態では、これら2つの電解質のpHは、約0.1〜約2pH単位、約1〜約10pH単位、約5〜約12pH単位、約1〜約5pH単位、約0.1〜約1.5pH単位、約0.1〜約1pH単位、または約0.1〜約0.5pHの範囲の値だけ異なっている。これに関連して、用語「実質的に同様」は、さらなる条件なしで、2つの電解質間のpHの差が約1pH単位以下であることを含意するよう意図されている。追加のオプションの実施形態は、pHの差が約0.4以下、約0.3以下、約0.2以下、または約0.1以下のpH単位であることを定める。
【0077】
開示されたシステムおよび方法は、帯電する膜アイオノマーおよび活性材料も含み得る。用語「電荷」は、活性材料またはアイオノマー部分と関連する「正味の電荷」または総電荷を指す。帯電種は、アニオン性またはカチオン性であり得る。本開示のある所望の実施形態では、(例えば、膜を横切る活性材料の移動を防ぐために)活性材料および膜アイオノマーが同じ符号の電荷を含むことが有利である。
【0078】
本開示によるシステムおよび方法は、金属‐リガンド配位化合物を含む活性材料も特徴としている。金属‐リガンド配位化合物は、例えば少なくとも約0.25M、少なくとも約0.35M、少なくとも約0.5M、少なくとも約0.75M、少なくとも約1M、少なくとも約1.25M、少なくとも約1.5M、少なくとも約2M、または少なくとも約2M、例えば約3M、約4M、または約5Mほどの高さ、の濃度で存在し得る。
【0079】
金属‐リガンド配位化合物は、酸化性または還元性の種の性質について、さらに特徴づけられ得る。例えば、一部の場合において、金属‐リガンド配位化合物のレドックス電位は、完全に金属中心内部における遷移により定められ得、すなわち、レドックス電位は、金属内部のさまざまな原子価状態間の遷移と関連するエネルギーのアクセス性により定められる。他の場合には、酸化/還元は、リガンド系内部で局所化され得る。さらに他の場合には、酸化/還元は、レドックス活性錯体全体にわたり分布でき、金属およびリガンド系の双方が、電荷分布を共有する。
【0080】
本開示の特定の実施形態では、金属‐リガンド配位化合物は、単座、二座、三座、または多座配位性であるリガンドを含み得る。単座配位リガンドは、1つの原子を通じて金属に結合するが、二座、三座、または多座配位リガンドは、それぞれ、2つ、3つ、または4つ以上の原子を通じて金属に結合する。単座配位リガンドの例は、ハロゲン(F
−、Cl
−、Br
−、I
−、)、シアン化物(CN
−)、カルボニルもしくは一酸化炭素(CO)、窒化物(N
3−)、オキソ(O
2−)、ヒドロキソ(OH
−)、硫化物(S
2−)、ピリジン、ピラジンなどを含む。他のタイプのリガンド結合部分は、単座、二座、三座、または多座配位リガンドを含み得る、アミノ基(NR
3)、アミド基(NR
2)、イミド基(NR)、アルコキシ基(R−CO
−)、シロキシ(R−SiO
−)、チオレート(R−S
−)などを含む。二座配位リガンドの例は、カテコール、ビピリジン、ビピラジン、エチレンジアミン、ジオール(エチレングリコールを含む)などを含む。三座配位リガンドの例は、テルピリジン、ジエチレントリアミン、トリアザシクロノナン、トリスアミノメタンなどを含む。
【0081】
開示されるシステムおよび方法は、ある特徴を有する、電気化学的セル分離器および/または膜を特徴とし得る。この開示では、膜および分離器という用語は、互換的に使用される。本開示の膜は、いくつかの実施形態では、約500μm以下、約300μm以下、約250μm以下、約200μm以下、約100μm以下、約75μm以下、約50μm以下、約30μm以下、約25μm以下、約20μm以下、または約15μm以下、または約10μm以下、例えば、約5μmまでの厚さを有する、膜分離器を特徴とし得る。
【0082】
分離器は、一般的に、固体または多孔質として分類される。固体膜は、典型的には、イオン交換膜を含み、アイオノマーは、ポリマーの本体を通じた、可動イオンの輸送を促進する。膜を通じてイオンが導かれる設備は、抵抗、典型的にはΩ‐cm
2の単位での面積抵抗(area resistance)、によって特徴づけられ得る。面積抵抗は、固有の膜伝導性および膜の厚さの関数である。イオン伝導により受ける非効率性を減少するには、薄い膜が望ましく、そのため、薄い膜は、エネルギー貯蔵装置の電圧効率を増大させるのに役立ち得る。活性材料のクロスオーバー比も、膜の厚さの関数であり、典型的には、膜の厚さの増大とともに減少する。クロスオーバーは、薄い膜を利用することにより、電圧効率利得とバランスがとられなければならない、電流効率損失を表わす。
【0083】
多孔質の膜は、非伝導性の膜であり、これは、伝導性電解質で満たされた開口チャネルを介して、2つの電極間の電荷移動を可能にする。多孔質の膜は、液体または気体の化学物質に透過性である。この透過性により、一方の電極からもう一方へと多孔質の膜を通過する化学物質が、二次汚染および/またはセルエネルギー効率減少を引き起こす可能性が増大する。この二次汚染の程度は、他の特徴の中でも、孔のサイズ(有効直径およびチャネル長)、および特性(疎水性/親水性)、電解質の性質、および、孔と電解質との間の湿潤度によって決まる。
【0084】
このようなイオン交換分離器は、膜を含んでもよく、これらの膜は、ポリマー電解質膜(PEM)またはイオン伝導性膜(ICM)と呼ばれることもある。本開示による膜は、任意の適切なポリマー、例えばポリマーアニオンもしくはカチオン交換膜またはこれらの組み合わせを含む、典型的にはイオン交換樹脂を、含み得る。このような膜の移動相は、プロトンまたは水酸化物イオン以外の、少なくとも1つの一価、二価、三価、またはそれより多価のカチオンおよび/または一価、二価、三価、またはそれより多価のアニオンの、(電池の動作中の)主要または優先的な輸送を含み、かつ/またはそのような輸送の原因となり得る。
【0085】
さらに、スルホン酸基(またはカチオン交換スルホン酸基)で修飾された、実質的にフッ素化されていない膜も使用され得る。このような膜は、実質的に芳香族の骨格を備えたもの、例えばポリスチレン、ポリフェニレン、ビフェニルスルホン(bi-phenyl sulfone)(BPSH)、またはポリエーテルケトンもしくはポリエーテルスルホンなどの熱可塑性物質を含む。イオン交換膜の例は、NAFION(商標)を含む。
【0086】
電池‐分離器スタイルの多孔質膜も使用され得る。これらは、固有のイオン伝導能力を含まないので、このような膜は、典型的には、機能するために、添加物を含浸される。これらの膜は、典型的には、ポリマーの混合物、および無機充填剤、および開放気孔率で構成される。適切なポリマーは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、現在説明しているシステムの電解質と化学的に適合性のあるものを含む。適切な無機充填剤は、炭化ケイ素マトリックス材料、二酸化チタン、二酸化ケイ素、リン化亜鉛、およびセリアを含み、その構造は、当技術分野でこの目的のために知られるものなどのメッシュ構造を含む、実質的に非アイオノマーの構造で内部が支持され得る。
【0087】
電気化学的セルの開路電位(OCV)は、電気化学的エネルギー貯蔵システムの、関連する動作特性である。ある実施形態では、OCVは、比較的大きくてよい(例えば、約1V超、約2V、約3V、または約4V以上)。このような比較的大きな開路電位は、高いセル電圧効率、高いDC−DC変換効率、高いエネルギー貯蔵密度、および低いシステムコストを可能にすることで知られる。水性電解質および可溶性活性材料を備えた従来のフロー電池は、約1.2V未満のOCVで動作し得る。本開示による電気化学的セルは、少なくとも約1.4Vの開路電位により適切に特徴づけられる。
【0088】
いくつかの実施形態では、フロー電池の開路電圧(OCV)は、少なくとも約1.2V、少なくとも約1.3V、少なくとも約1.4V、少なくとも約1.5V、少なくとも約1.6V、少なくとも約1.7V、少なくとも約1.8V、少なくとも約1.9V、または少なくとも約2V、例えば約3V、約4V、または約5Vまで、である。いくつかの好適な実施形態では、OCVは、1.6〜1.7Vであってよく、場合によっては、1.63Vまたは1.68Vであってよい。前述のとおり、より高い開路電圧は、より高い電力密度と関連する。
【0089】
本開示によるシステムおよび方法は、所与の往復電圧効率で特定の電流密度を示し得る。所与の往復電圧効率で電流密度を決定する方法は、電気化学および電気化学的エネルギー貯蔵の分野の当業者に既知である。
【0090】
電気化学的セルの性能の測定基準として役立つように、特定の電流密度が、測定される電圧効率にリンクされなければならない。所与の往復電圧効率の、より高い電流密度により、より低いコストの電気化学的セルおよびセルスタックが可能となる。ある実施形態では、少なくとも約50%のV
EFF,RTで、少なくとも約50mA/cm
2の電流密度でフロー電池を動作させることが望ましい。他の実施形態では、電流密度は、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%のV
EFF,RTで、少なくとも約50mA/cm
2である。他の実施形態では、電流密度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%などのV
EFF,RTで、少なくとも100mA/cm
2である。他の実施形態では、電流密度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、およびそれ以上のV
EFF,RTで、少なくとも200mA/cm
2である。ある実施形態では、これらの効率は、電流密度が、約50mA/cm
2、約100mA/cm
2から、もしくは約200mA/cm
2から、の下限と、約200mA/cm
2、約300mA/cm
2まで、約400mA/cm
2まで、もしくは約500mA/cm
2までの上限とを有する範囲内にある場合に、達成され得る。
【0091】
金属配位の非存在下または存在下で、有機活性材料を含む電解質は、開示されるシステムおよび方法の一方または双方の半電池に適していると考えられる。適切な有機活性材料は、キノン、ハイドロキノン、ビオロゲン、ピリジニウム、ピリジン、アクリジニウム、カテコール、他の多環式芳香族炭化水素などを含む、炭素、芳香族炭化水素を含む。適切な有機活性材料はまた、チオール、硫化物、および二硫化物部分を含む、硫黄を含み得る。適切な有機活性材料は、少なくとも0.1M、少なくとも0.5M、少なくとも1M、少なくとも1.5M、2M超、およびそれ以上の濃度、で水に可溶性であってよい。
【0092】
開示されるシステムおよび方法は、それらの半電池電位についても特徴づけられ得る。負および正の電極の双方は、半電池電位を示すことができる。本開示による電気化学的セルは、いくつかの実施形態では、負の電極について、約0.5V未満(vs. RHE)、約0.2V未満(vs. RHE)、約0.1V未満(vs. RHE)、約0.0V未満(vs. RHE)、約−0.1V未満(vs. RHE)、約−0.2V未満(vs. RHE)、約−0.3V未満(vs. RHE)、約−0.5V未満(vs. RHE)、例えば、約−2V vs. RHEまでの半電池電位を有し得る。本開示による電気化学的セルは、いくつかの実施形態では、正の電極について、約0.5V超(vs. RHE)、約0.7V超(vs. RHE)、約0.85V超(vs. RHE)、約1.0V超(vs. RHE)、約1.1V超(vs. RHE)、約1.2V超(vs. RHE)、約1.3V超(vs. RHE)、約1.4V超(vs. RHE)など、例えば、2V vs. RHEまで、の半電池電位を有し得る。
【0093】
開示されるシステムおよび方法は、前記に定めたとおり、それらのエネルギー密度についても特徴づけられ得る。本開示のフロー電池は、約5Wh/L、約5Wh/L〜約15Wh/L、約10Wh/L〜約20Wh/L、約20Wh/L〜約30Wh/L、約30〜約40Wh/L、約25Wh/L〜約45Wh/L、および45Wh/L超、例えば約70Wh/L、約60Wh/L、約50Wh/L、または約40Wh/Lまで、のエネルギー密度で動作し得る。ある実施形態では、エネルギー密度は、少なくとも約30Wh/L、または約30〜約45Wh/L、または約35〜45Wh/Lである。
【0094】
本発明の範囲内で考えられる多くの特定の実施形態のうち、以下がある:
実施形態1:フロー電池において、
第1のレドックス活性材料を含む第1の水性電解質と、
第2のレドックス活性材料を含む第2の水性電解質と、
第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
第1の水性電解質と第2の水性電解質との間に配された分離器と、
を含み、
フロー電池は、少なくとも約1.4Vの開路電位を有し、少なくとも50mA/cm
2の電流密度で動作することができるか、または動作しており、
第1および第2のレドックス活性材料の双方は、充電および放電状態の双方において、可溶性のままである、フロー電池。
実施形態2:実施形態1に記載のフロー電池において、
第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方は、炭素電極である、フロー電池。
実施形態3:実施形態1または2に記載のフロー電池において、
電池は、炭素電極が、フロー電池の動作中に実質的に金属を含まないままであるように、構成される、フロー電池。
実施形態4:実施形態1〜3のいずれかに記載のフロー電池において、
レドックス活性材料のうちの少なくとも一方は、実質的に金属を持たない有機化合物である、フロー電池。
実施形態5:実施形態1〜4のいずれかに記載のフロー電池において、
レドックス活性材料は、芳香族化合物を含む、フロー電池。
実施形態6:実施形態1〜3のいずれかに記載のフロー電池において、
レドックス活性材料のうちの少なくとも一方は、金属リガンド配位化合物である、フロー電池。
実施形態7:実施形態1〜6のいずれかに記載のフロー電池において、
少なくとも30ワット時/リットル(Wh/L)のエネルギー密度を有する、フロー電池。
実施形態8:実施形態1〜7のいずれかに記載のフロー電池において、
第1の電解質または第2の電解質のうちの少なくとも一方は、約8〜約13の範囲のpHを有する水性電解質である、フロー電池。
実施形態9:実施形態8に記載のフロー電池において、
pHは、約10〜約12の範囲である、フロー電池。
実施形態10:実施形態1〜6のいずれかに記載のフロー電池において、
pHは、約10.5〜約11.5の範囲である、フロー電池。
実施形態11:実施形態1〜10のいずれかに記載のフロー電池において、
少なくとも約70%の電圧効率で動作することができる、フロー電池。
実施形態12:実施形態1〜11のいずれかに記載のフロー電池において、
分離器は、アイオノマーを含む、フロー電池。
実施形態13:実施形態1〜12のいずれかに記載のフロー電池において、
流体を運ぶために第2のチャンバに流体接続された第2の電解質タンク、および別の流体を運ぶために第1のチャンバに流体接続された第1の電解質タンクをさらに含む、フロー電池。
実施形態14:実施形態1〜13のいずれかに記載のフロー電池において、
第2の電解質タンクと第2のチャンバとの間、または、第1の電解質タンクと第1のチャンバとの間、またはそれら両方で、流体を輸送するポンプをさらに含む、フロー電池。
実施形態15:実施形態1〜14のいずれかに記載のフロー電池を動作させる方法において、
電気エネルギーの投入により電池を充電するか、または、電気エネルギーを取り除くことにより電池を放電することを含む、方法。
実施形態16:実施形態1〜12のいずれかに記載のフロー電池を動作させる方法において、
(a)第1のレドックス活性材料を還元し、第2のレドックス活性材料を酸化させるか、または、
(b)第1のレドックス活性材料を酸化させ、第2のレドックス活性材料を還元するように、
電子の流れを伴って、第1および第2の電極にわたって電位差を加えることを含む、方法。
実施形態17:電子の流れを伴って、実施形態1〜12のいずれかに記載のフロー電池を充電する方法において、
(a)第1のレドックス活性材料を還元するか、または、
(b)第2のレドックス活性材料を酸化させるか、または、
(c)(a)および(b)の双方を行うように、
負および正の電極にわたって電位差を加えることを含む、方法。
実施形態18:電子の流れを伴って、実施形態1〜12のいずれかに記載のフロー電池を放電する方法において、
(a)第1のレドックス活性材料を酸化させるか、または、
(b)第2のレドックス活性材料を還元するか、または、
(c)(a)および(b)の双方を行うように、
負および正の電極にわたって電気負荷を加えることを含む、方法。
実施形態19:実施形態1〜12のいずれかに記載のフロー電池を含むシステムにおいて、
(a)第1の水性電解質を収容する第1のチャンバ、および第2の水性電解質を収容する第2のチャンバと、
(b)各電解質チャンバと流体連通する少なくとも1つの電解質循環ループであって、電解質を収容および輸送するための貯蔵タンクおよびパイプを含む、少なくとも1つの電解質循環ループと、
(c)制御ハードウェアおよびソフトウェアと、
(d)電力調節ユニットと、をさらに含む、システム。
実施形態20:実施形態19に記載のシステムにおいて、
システムは、再生可能エネルギー源の統合、ピーク負荷の変化、送電網の安定化、ベースロード電力生成/消費、エネルギー裁定取引、伝送および流通資産据え置き、弱い送電網支持、周波数調整、またはこれらの組み合わせをもたらすように構成された、電力系統に接続される、システム。
実施形態21:実施形態19に記載のシステムにおいて、
システムは、離れた陣営、前線基地、自家発電の電気通信、または遠隔センサ、のために安定した電力を供給するように構成される、システム。
【0095】
〔実施例〕
以下の実施例は、本開示内に記載される概念の一部を例示するために提供される。各実施例は、組成物、調製および使用方法の特定の個々の実施形態を提供すると考えられるが、どの実施例も、本明細書に記載する、より一般的な実施形態を制限するものと考えるべきではない。
【0096】
〔実施例1〕
実施例1.1‐材料
ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物99%、Na
4Fe(CN)
6・10H
2O;ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物98+%、K
4Fe(CN)
6・3H
2O;ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムACS99.0%最小;K
3Fe(CN)
6;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、乳酸(80〜85%水溶液);グリシン、グリコール酸(67%水溶液);マレイン酸;リンゴ酸;フタル酸;サリチル酸;グルコン酸;クエン酸;サルコシン;硫酸鉄(III);塩化鉄(III);オキシ硫酸チタン(titanium oxysulfate);硫酸マンガン(II);硫酸クロム(III)が、前記で指定のない限り、Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill))から、ACSグレード以上として購入され、追加精製なしで使用された。アンモニウムビスラクテートビスヒドロキシチタン(IV)(Ammonium bislactatobishydroxytitanium (IV))が、Sigma Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から50%水溶液として購入され、さらなる精製なしで使用された。ヘキサシアノクロム(III)酸カリウム、K
3[Cr(CN)
6]およびヘキサシアノマンガン(III)酸カリウム、K
3[Mn(CN)
6]が、Sigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)から購入され、追加の精製なしに使用された。
【0097】
錯体は、いくつかの方法により合成され得た。ホモレプティックのトリス結合された錯体(Homoleptic tris-ligated complexes)が、pHが、目的の錯体の典型的な安定範囲(typical window of stability)である8〜13になるまで、アルカリ金属水酸化物溶液をゆっくり加えながら、リガンドと金属塩との3:1水性混合物を撹拌することにより、最も容易に合成された。ある混合されたリガンド種、例えば、Ti(ラクテート)
2(サリチレート)も、この方法により合成され得た。
【0098】
鉄およびチタンのモノおよびビスα‐ヒドロキシ酸錯体は、金属サルフェート(2〜3M)と適切な割合の適切なリガンドとの、撹拌溶液に対し、2当量の重炭酸ナトリウムを部分的に添加すること(portion-wise addition)によって、合成された。例えば、6ミリモルのTiOSO
4と、6ミリモルのグリコール酸が撹拌され、12ミリモルのNaHCO
3がゆっくりと添加されて、気体発生が、添加と添加との間でおさまった。結果として得られる溶液のpHは、ML
1の溶液では、約3.5であり、ML
2の溶液では、約2であった。アクア金属(aquated metals)に対するこれらの錯体の可溶性は、そのような高いpHでのTiL
1およびTiL
2溶液の金属酸化物の沈殿に対する安定性により、証明される。リガンドを添加しない対照実験では、1当量超のNaHCO
3が添加されたときにTiO
2の大規模かつ不可逆な沈殿が観察され、これは、約1のpHに対応する。
【0099】
追加のリガンドを含む錯体は、先の段落で説明したように合成された適切な量のML
1またはML
2溶液を、炭酸カリウムもしくは水酸化カリウムなどの適切な塩基と混合された所望の追加的リガンドの溶液に添加することにより、合成されることができた。Mn、Cr、Ti、およびFe化合物の混合リガンド類似体が、同様の反応スキームにより調製され得る。
【0100】
チタンビスラクテート(Titanium bis-lactate)L’錯体も、シントンとして、(NH
4)
2Ti(ラクテート)
2(OH)
2(Sigma Aldrichから50%溶液として入手可能)を使用して、合成されることができた。この場合、L’(例えばサリチル酸)が添加され、約1時間撹拌した後、2当量のアルカリ金属水酸化物の水溶液が添加されて、アンモニウムを脱プロトン化し、ドラフト内でキャップを外した約24時間の撹拌にわたってアンモニアを除去し(drive off)、ナトリウム/カリウム塩、例えばNaKTi(ラクテート)
2(サリチレート)として、所望の金属錯体をもたらした。
【0101】
チタン酸二ナトリウム(IV)トリスカテコレート(Disodium titanium(IV) triscatecholate)、Na
2Ti(カテコレート)
3が、Daviesにより説明された手順を改変することにより、オキシ硫酸チタン(IV)およびピロカテコールから、合成された。Davies, J. A.; Dutramez, S. J. Am. Ceram. Soc. 1990, 73. 2570-2572を参照のこと。ナトリウム塩を得るために、水酸化アンモニウムの代わりに、水酸化ナトリウムを使用した。ナトリウムカリウムチタン(IV)トリスピロガレート(Sodium potassium titanium(IV) trispyrogallate)、NaKTi(ピロガレート)
3が、まず、アンモニウム塩、(NH
4)Ti(ピロガレート)
3として、類似の方法で作られ、その後、水酸化ナトリウム水溶液と水酸化カリウム水溶液との混合物中で加熱することにより、ナトリウムカリウム塩(sodium potassium salt)に変換された。
【0102】
混合されたリガンドチタン錯体ナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレートモノピロガレート(mixed ligand titanium complexes sodium potassium titanium(IV) biscatecholate monopyrogallate)、ナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレート−モノラクテート(sodium potassium titanium(IV) biscatecholate-monolactate)、ナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレートモノグルコネート(sodium potassium titanium (IV) biscatecholate monogluconate)、ナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレートモノアスコルベート(sodium potassium titanium(IV) biscatecholate monoascorbate)、およびナトリウムカリウムチタン(IV)ビスカテコレートモノシトレート(sodium potassium titanium(IV) bis catecholate monocitrate)が、チタンカテコレート二量体、Na
2K
2[TiO(カテコレート)]
2から作られた。四カリウム塩の合成については、Borgias, B. A.; Cooper, S. R.; Koh, Y. B.; Raymond, K. N. Inorg. Chem. 1984, 23, 1009-1016を参照。所望のキレート(ピロガロール、乳酸、グルコン酸、アスコルビン酸、もしくはクエン酸)との、チタン二量体の1対1混合物により、混合リガンド種が得られた。ナトリウムカリウムチタン(IV)モノカテコレートモノピロガレートモノラクテート(Sodium potassium titanium(IV) monocatecholate monopyrogallate monolactate)が、ピロガロールおよび乳酸の双方をカテコレート含有二量体に添加することで、同様に作られた。Al、Cr、Fe、およびMn化合物の混合リガンド類似体が、同様の反応スキームにより調製され得る。Al、Cr、Fe、およびMn化合物の混合リガンド類似体が、同様の反応スキームにより調製され得る。
【0103】
ナトリウムカリウム鉄(III)トリスカテコレート(Sodium potassium iron(III) triscatecholate)、Na
1.5K
1.5Fe(カテコレート)
3が、Raymondらによる手順概要に従って調製された。Raymond, K. N.; Isied, S.S., Brown, L. D.; Fronczek, F. R.; Nibert, J. H. J. Am. Chem. Soc. 1976, 98, 1767-1774を参照。唯一の改変は、水酸化カリウムの代わりに、過剰塩基として水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの混合物を使用したことであった。
【0104】
ナトリウムチタン(IV)トリスシトレート(Sodium titanium(IV) triscitrate)、Na
4Ti(シトレート)
3が、カテコールの代わりにクエン酸を使用したことを除き、前述したナトリウムチタン(IV)トリスカテコレートに使用した方法に類似して、合成された。これらの出発原料は、Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル)から入手され、試薬グレード以上のものであり、受領したときのまま使用された。
【0105】
ナトリウムアルミニウム(III)ビスシトレートモノカテコレート(Sodium aluminum(III) biscitrate monocatecholate)、Al(シトレート)
2(カテコレート)が、硫酸アルミニウム(III)の溶液に対し、2当量のクエン酸および1当量のカテコールを使用したことを除き、前述したナトリウムチタン(IV)トリスカテコレートに使用した方法と同じように、合成された。これらの出発原料は、Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル)から入手され、試薬グレード以上のものであり、受領したときのまま使用された。
【0106】
実施例1.2. 5cm
2活性面積フロー電池を準備するための実験手順
5cm
2の活性面積のために設計され、酸の流れのために改変された、セルのハードウェアが、Fuel Cell Technologies(ニューメキシコ州アルバカーキ)から入手された。名目上は3mm厚さの炭素フェルトが、Alfa Aesar(マサチューセッツ州ワードヒル)から入手され、MGL 370カーボン紙が、Fuel Cell Earth(マサチューセッツ州ストーナム)から入手された。フェルトは、Vulcan XC-72炭素(Cabot Corp.、マサチューセッツ州ボストン)およびNAFION(商標)(Ion-Power、デラウェア州ニューカッスル)の懸濁液で浸漬被覆され、使用前に空気乾燥され、カーボン紙は、受領したときのまま使用された。NAFION(商標)HP、XLまたはNR-212カチオン交換膜は、H
+形態でIon-Powerから入手され、受領したときのまま使用された。VITON(商標)ガスケットは、McMaster Carr(ニュージャージー州ロビンスヴィル(Robinsville))から入手され、セルの正および負のコンパートメントから電解質が出入りするためにフェルトの上下に〜1cm
2の面積を残して、5cm
2の活性面積を許容するように切断された。セルは、フェルトもしくは紙の測定された厚さの〜25%の圧縮をもたらしたガスケットを用いて、組み立てられた。膜および電極は、組み立て前には、事前処理されなかった。電解質貯蔵部は、PVDF管および圧縮用付属品を備えたSchedule 80 PVCパイプから形成された。Masterflex(商標)L/S蠕動ポンプ(Cole Parmer、イリノイ州バーノンヒルズ)が、Tygon(商標)管と共に使用された。電解質は、電気化学的試験前に、油入りバブラーの出口を通ってUHPアルゴンを注入された(sparged)。Arbin Instruments BT2000(テキサス州カレッジステーション)が、電気化学的性能を試験するのに使用され、Hioki 3561 Battery HiTESTER(ニュージャージー州クランブリー)が、セルにわたるAC抵抗を測定するのに使用された。
【0107】
典型的な実験では、正および負の電極について、それぞれ50mLの電解質含有活性材料が、別々の貯蔵部に投入され、セルを通じて電解質を循環させながら、20分間アルゴンを注入された。電解質は、40%のSOCまで充電され(活性材料の濃度および電解質の容量から算出)、セルのiV反応が得られ、その後、電解質は、40%のSOCと60%のSOCとの間を循環した。いったんセルが、50%のSOCまで充電されたら、電流は0Aになり、セルのOCVが測定された。Hioki電池テスターからのアナログ出力が、膜および接触抵抗の変化を観察するために記録された。
【0108】
〔実施例2〕
フロー電池半電池電位の実験測定方法
レドックス活性エネルギー貯蔵材料の半電池電位が、当業者に周知の標準的3電極電気化学技術により測定された。簡潔に言うと、目的のレドックス活性材料のサンプルが、1mM〜3Mの範囲の活性材料濃度で、適切なpHで、目的の支持電解質の溶液中に溶解された。この溶液は、少なくとも20分間、アルゴンを注入されることにより脱酸素化され、3つの電極が、溶液と接触して設置された。典型的な実験は、研磨されたガラス状炭素ディスク作用電極(例えば、3.0mm直径のディスク)、Ag/AgCl基準電極、および白金線もしくは金網(gauze)対電極を用いることを含んだ。このような電極は、インディアナ州ウェストラフィエットのBioanalytical Systems Incなどの供給業者から作製または入手され得る。電極は、使用前に、製造業者の説明書に従って、きれいにされ、磨かれて、試験された。3つの電極は、ポテンシオスタット(例えば、760c、BASi、インディアナ州ウェストラフィエット)に接続され、サイクリックボルタモグラムが、5mV/s〜500mV/sまでさまざまなスキャン速度で、目的の電圧領域において入手された。カップルが実質的に化学的に可逆であり、そのため、明確に定義された前および逆ピーク(forward and reverse peaks)を示した場合、半電池電位は、ボルタモグラムから半波電位により近似された。前および逆ピークの平均電位は、半電池電位としても示される、そのカップルのE
1/2を提供した。
【表1】
【表2】
【0109】
〔実施例3〕
フロー電池における水素発生電流を測定する方法
フロー電池における水素発生電流は、以下の追加的な分析技術により、実質的にシールされるように(すなわち、漏れなしで)、前述のとおりフロー電池を動作させることにより、決定され得る。負の電解質チャンバは、流動する電解質の上に既知の上部空間を設けるように、設定される。この上部空間は、H
2ガス基準で較正された、Pfeiffer Vacuum Omnistar Gas Analysis Systemなどの質量分析計によって、定期的にサンプリングされる。この分析システムは、負の電解質の上部空間を定期的にサンプリングし、生成された水素は、電池において適用された電流密度、上部空間および電解質の体積、ならびに、システムの水素についてのヘンリー定数と相関され得る。例えば、0.000187モル(0.01Ahの電子に等しい)のH
2が生成され、1Ahの電流が通過した場合、その電流の1%は、水素発生に起因するものであり得る。
【0110】
〔実施例4〕
約8〜約13のpHの水性電解質、第1および第2のレドックス活性材料、ならびに−0.3V vs. RHEより負の第1の半電池電位を含むフロー電池を動作させるための実験手順および結果
実施例4.1:フロー電池開路電位(OCV)の測定方法。レドックスフロー電池セルは、E
+=1.18V vs. RHE、およびE
−=−0.45V vs. RHE(OCV=1.63V)で、チタントリス−カテコレート(titanium tris-catecholate)(Ti
4+/3+(cat)
32−/3−)金属リガンド配位化合物を含む第1の半電池、およびフェリ/フェロ‐シアニド(Fe
3+/2+(CN)
63−/4−)金属リガンド配位化合物を含む第2の半電池を、負および正の電解質の活性材料として、それぞれ用いて、実施例1.2に記載した方法に従って組み立てられた。活性材料は、0.5M、pH11のNa
2SO
4支持電解質(負の電解質、もしくは負の分解物(negolyte))中、または支持電解質なし(正の電解質、もしくは正の分解物(posolyte))で、0.5Mの濃度で調製され、5cm
2炭素フェルト電極およびNa形態のNAFION(商標)カチオン選択性膜(50μm厚さ)を用いて組み立てられたフロー電池セルを通って、100mL/分で流された。〜150mA/cm
2の電流密度で電池を充電および放電し、
図27の、結果として得られたセル電位を監視することにより、いくつかの充電/放電サイクルが集められる前に、セルは、最初は、0から50%の充電状態に充電された。開回路では、50%のSOCで平衡セル電位について予測されたとおり、1.63Vのセル電位が、観察された。第1および第2の半電池の半電池電位が、それぞれ、−0.45V vs. RHEおよび1.18V vs. RHEとして測定された。充電/放電のサイクルは、正常に動作した、再現可能な電圧/電流対時間のトレースを明らかにした。69%のRT電圧効率が、150mA/cm
2で、このシステムについて測定された。NR212、XLおよびHP膜で作られたセルの膜および接触抵抗コンポーネントについて、Hioki電池テスターにより測定された典型的な抵抗は、それぞれ、0.77、0.60、0.5Ω−cm
2であった。
【0111】
実施例4.2:レドックスフロー電池セルは、チタントリス‐カテコレート(Ti
4+/3+(cat)
32−/3−)およびフェリ/フェロ−シアニド(Fe
3+/2+(CN)
63−/4−)金属リガンド配位化合物を、負および正の電解質それぞれの活性材料として用いて、実施例1.2に記載した方法に従って組み立てられた。典型的なセルでは、99.8%の往復電流効率を示す、各サイクルの放電エネルギーが充電エネルギーの99.8%であるときに、60%のSOCまで充電し、40%のSOCまで放電することを繰り返すと、安定した電圧が観察された(
図28を参照)。これは、充電および放電の両方で一定の電流密度(例えば150mA/cm
2)を用い、充電時間よりわずかに短い(すなわち、充電時間の99.8%の)放電時間で、達成された。これらの条件下で、40および60%のSOCでの開路電圧は、長時間にわたり安定していた。
【0112】
実施例4.3:レドックスフロー電池セルが、チタンビス‐カテコレートモノ‐ピロガレート(titanium bis-catecholate mono-pyrogallate)(Ti
4+/3+(cat)
2(gal)
2−/3−)およびフェリ/フェロ‐シアニド(Fe
3+/2+(CN)
63−/4−)金属リガンド配位化合物を、負および正の電解質の活性材料としてそれぞれ使用して、実施例1.2に記載した一般的方法に従って、組み立てられた。この実施例では、炭素フェルト電極は、実施例2と同じように、Vulcan炭素およびNAFION(商標)で触媒されたTORAY(商標)カーボン紙電極と置き換えられた。さらに、「互いに組み合わせた(interdigitated)」タイプの流動場を利用した。活性材料溶液濃度は、1.5Mまで増大され、セル性能は、電流密度の関数として、充電および放電サイクル双方においてセル電位を監視することにより、評価された。
図29で分かるように、セルは、150、200、250mA/cm
2の電流密度で、それぞれ84%、79%、73%の往復電圧効率を維持する。この構成では、フロー電池活性材料は、32.79Wh/Lのエネルギー密度を示した。
【0113】
Ti
4+/3+(cat)
32−/3−およびFe
3+/2+(CN)
63−/4−を用いた類似実験の結果が、
図30および
図31に示される。
【0114】
実施例4.4:レドックスフロー電池セルが、チタンビス‐ラクテートモノ−サリチレート(titanium bis-lactate mono-salicylate)([Ti
4+/3+(ラクテート)
2(サリチレート)]
2−/3−)およびフェリ/フェロ‐シアニド([Fe
3+/2+(CN)
6]
3−/4−)金属リガンド配位化合物を、負および正の電解質の活性材料としてそれぞれ使用して、実施例1.2に記載された方法に従って、組み立てられた。活性材料溶液は、追加の支持電解質なしで、1Mの濃度で調製され、5cm
2カーボン紙電極およびNa
+態のNAFION(商標)カチオン選択性膜(25μm厚さ)を用いて組み立てられたフロー電池セルを通して、100mL/分で流された。150もしくは100mA/cm
2でセルを充電および放電し、結果として得られたセル電位を監視することにより(
図32)(ここでは、視覚的により広いサイクルが、150mA/cm
2の代わりに100mA/cm
2で取られた)、充電/放電サイクルが集められる前に、セルは、最初に、0から25%の充電状態に充電された。開回路では、[Ti
4+/3+(ラクテート)
2(サリチレート)]
2−/3−および[Fe
3+/2+(CN)
6]
3−/4−の外部測定E
1/2値に基づいて、50%のSOCで平衡セル電位について予測されたとおりに、1.60Vのセル電位が観察された。充電/放電のサイクルは、正常に動作した、再現可能な電圧/電流対時間のトレースを明らかにし、確実な耐久性が明らかとなった(
図32)。67%のRT電圧効率が、150mA/cm
2で、このシステムについて測定された。
【0115】
実施例4.5:レドックスフロー電池セルが、チタンビス‐ラクテートモノ-グリコール酸(titanium bis-lactate mono-glycolic acid)([Ti
4+/3+(ラクテート)
2(α-ヒドロキシアセテート)]
2−/3−)およびフェリ/フェロ‐シアニド([Fe
3+/2+(CN)
6]
3−/4−)金属リガンド配位化合物を、負および正の電解質それぞれの活性材料として用いて、実施例1.2に記載した方法に従って組み立てられた。典型的なセルでは、99.8%の往復電流効率を示す、各サイクルの放電エネルギーが充電エネルギーの99.8%であるときに、75%のSOCまで充電し25%のSOCまで放電するのを繰り返すと、安定した電圧が観察された(
図33を参照)。これは、充電および放電の両方で一定の電流密度(例えば150mA/cm
2)を用い、充電時間よりわずかに短い(すなわち、充電時間の99.8%の)放電時間で、達成された。これらの条件下で、25および75%のSOCでの開路電圧は、長時間にわたり安定していた。
【0116】
当業者が理解するであろうように、これらの教示を踏まえると、本発明の多くの改変およびバリエーションが可能であり、そのようなものすべてが、ここで企図される。例えば、本明細書に記載した実施形態に加えて、本発明は、本明細書で引用した発明の特徴、および本発明の特徴を実装する引用先行技術文献の特徴の組み合わせにより生じる発明を企図し、主張する。同様に、説明した任意の材料、特徴、または物品は、任意の他の材料、特徴、または物品と組み合わせて使用されてよく、そのような組み合わせは、本発明の範囲内とみなされることが、理解されるであろう。
【0117】
本明細書で引用もしくは説明された各特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0118】
〔実施の態様〕
(1) フロー電池において、
第1のレドックス活性材料を含む第1の水性電解質と、
第2のレドックス活性材料を含む第2の水性電解質と、
前記第1の水性電解質と接触している第1の電極と、
前記第2の水性電解質と接触している第2の電極と、
前記第1の水性電解質と前記第2の水性電解質との間に配された分離器と、
を含み、
前記フロー電池は、少なくとも約1.4Vの開路電位を有し、少なくとも50mA/cm
2の電流密度で動作することができるか、または動作しており、
前記第1および第2のレドックス活性材料の双方は、充電および放電状態の双方において、可溶性のままである、フロー電池。
(2) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方は、炭素電極である、フロー電池。
(3) 実施態様1または2に記載のフロー電池において、
前記フロー電池は、前記第1および第2の炭素電極が、前記フロー電池の動作中に実質的に金属を含まないままであるように、構成される、フロー電池。
(4) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記レドックス活性材料のうちの少なくとも一方は、実質的に金属を持たない有機化合物である、フロー電池。
(5) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記レドックス活性材料は、芳香族化合物を含む、フロー電池。
【0119】
(6) 実施態様1に記載のフロー電池において、
前記レドックス活性材料のうちの少なくとも一方は、金属リガンド配位化合物である、フロー電池。
(7) 実施態様1または6に記載のフロー電池において、
少なくとも30ワット時/リットル(Wh/L)のエネルギー密度を有する、フロー電池。
(8) 実施態様1または6に記載のフロー電池において、
前記第1の電解質または前記第2の電解質のうちの少なくとも一方は、約1〜約13の範囲のpHを有する水性電解質である、フロー電池。
(9) 実施態様1または6に記載のフロー電池において、
前記第1の電解質、前記第2の電解質、または第1および第2の電解質の双方は、約8〜約13の範囲のpHを有する水性電解質である、フロー電池。
(10) 実施態様9に記載のフロー電池において、
前記pHは、約10〜約12の範囲である、フロー電池。
【0120】
(11) 実施態様10に記載のフロー電池において、
前記pHは、約10.5〜約11.5の範囲である、フロー電池。
(12) 実施態様1または6に記載のフロー電池において、
前記フロー電池は、少なくとも約70%の電圧効率で動作することができる、フロー電池。
(13) 実施態様1または6に記載のフロー電池において、
前記分離器は、アイオノマーを含む、フロー電池。
(14) 実施態様1または6に記載のフロー電池において、
第2のチャンバと流体連通する第2の電解質タンク、および第1のチャンバと流体連通する第1の電解質タンクをさらに含む、フロー電池。
(15) 実施態様1または6に記載のフロー電池において、
前記第2の電解質タンクと前記第2のチャンバとの間、前記第1の電解質タンクと前記第1のチャンバとの間、またはそれらの両方で、流体を輸送するポンプをさらに含む、フロー電池。
【0121】
(16) 実施態様1または6に記載のフロー電池を動作させる方法において、
電気エネルギーの投入により前記電池を充電するか、または、電気エネルギーを取り除くことにより前記電池を放電することを含む、方法。
(17) 実施態様1または6に記載のフロー電池を動作させる方法において、
(a)前記第1のレドックス活性材料を還元し、前記第2のレドックス活性材料を酸化させるか、または、
(b)前記第1のレドックス活性材料を酸化させて、前記第2のレドックス活性材料を還元するように、
電子の流れを伴って、前記第1および第2の電極にわたって電位差を加えることを含む、方法。
(18) 電子の流れを伴って、実施態様1または6に記載のフロー電池を充電する方法において、
(a)前記第1のレドックス活性材料を還元するか、または、
(b)前記第2のレドックス活性材料を酸化させるか、または、
(c)(a)および(b)の双方を行うように、
前記負および正の電極にわたって電位差を加えることを含む、方法。
(19) 電子の流れを伴って、実施態様1または6に記載のフロー電池を放電する方法において、
(a)前記第1のレドックス活性材料を酸化させるか、または、
(b)前記第2のレドックス活性材料を還元するか、または、
(c)(a)および(b)の双方を行うように、
前記負および正の電極にわたって電気負荷を加えることを含む、方法。
(20) 実施態様1または6に記載のフロー電池を含むシステムにおいて、
(a)前記第1の水性電解質を収容する第1のチャンバ、および前記第2の水性電解質を収容する第2のチャンバと、
(b)各電解質チャンバと流体連通する少なくとも1つの電解質循環ループであって、前記電解質を収容および輸送するための貯蔵タンクおよびパイプを含む、少なくとも1つの電解質循環ループと、
(c)制御ハードウェアおよびソフトウェアと、
(d)電力調節ユニットと、
をさらに含む、システム。
【0122】
(21) 実施態様20に記載のシステムにおいて、
前記システムは、再生可能エネルギー源の統合、ピーク負荷の変化、送電網の安定化、ベースロード電力生成/消費、エネルギー裁定取引、伝送および流通資産据え置き、弱い送電網支持、周波数調整、またはこれらの組み合わせをもたらすように構成された、電力系統に接続される、システム。
(22) 実施態様20に記載のシステムにおいて、
前記システムは、離れた陣営、前線基地、自家発電の電気通信、または遠隔センサ、のために安定した電力を供給するように構成される、システム。