【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態は、任意の用途のために、中性子発生、中性子捕捉、および有用熱としての過剰結合エネルギーの後続移送によって、熱エネルギーを発生させる。実施形態は、熱発生用途のためのGodes_2007に説明されるもの等の格子(Godes_2007では、コアと称される)、あるいは粉末化または焼結された金属格子、もしくは堆積された金属表面(例えば、ニッケル)の改良された処理と、格子内に内包される水素化物形成を制御することによって、低エネルギー核反応(「LENR」)を制御するための改良された方法とを提供する。制御および処理の方法は、非可燃性混合物中の反応性ガスとしての水素とともに、可能性として考えられるアルゴン等の不活性カバーガスから成るガス流中に浸漬される、反応格子として、固体の微粉末化、焼結、または堆積された材料であり得る、格子の使用を伴う。
【0007】
本発明の実施形態による、熱エネルギー産生デバイスは、毒性放出を産生せず、遷移金属または好適な格子材料中に溶解された水素を使用する。これは、燃料として、任意の水素含有格子を含んでもよい。水素は、適切な温度、圧力、および閉じ込め条件を前提として、ニッケルおよび他の遷移金属中に吸収されることが知られている。さらに、金属間水素化物は、プレートまたはワイヤあるいは他の固体形態の金属より遷移金属粉末から容易に形成されることが知られている。そのような高表面積格子は、好ましいが、本発明の実施形態は、固体格子も同様に利用することができる。
【0008】
水素化物反応器は、固体格子、あるいは粉末化または焼結された格子、もしくは堆積された(例えば、スプレーコーティングまたは電気めっきされた)材料(水素核を吸収し得る、「格子」を参照するとき、常時、可能性として本明細書に含まれる)と、中性子に変換される、水素種核を提供するためのガス装填源と、反応格子内の水素核の飽和の平衡点を制御するための不活性搬送ガスと、フォノンエネルギー源(例えば、熱、電気、音波)と、フォノンエネルギーによる刺激および/または格子材料中に反応(また、燃料とも称される)ガスの装填/装填解除を開始および停止するための制御機構とを含む。格子は、陽電子捕捉に影響を及ぼすために十分なフォノンエネルギーを伝送する。
【0009】
フォノンエネルギーのレベルを制御し、かつ格子の中およびそれを通した軽元素核の装填および移動を制御することによって、中性子捕捉によって解放されるエネルギーは、制御され得る。システム内の弁の無給電状態の選択は、電力の損失に基づく受動的シャットダウンを伴うシステムを有し、システムによって包囲される水素化物中の反応率の能動的制御を有することを可能にする。さらに、制御システムが故障する場合、反応器のシャットダウンを強制するための受動的温度自動調節スイッチを使用することも可能である。
【0010】
経時的に劣化させるため望ましくない、格子の変性は、十分に高密集の溶解された水素イオンが、格子内で一定に移動している場合、低減され、おそらく、回避されることができる。これらの水素イオンは、電子捕捉または中性子捕捉による、2つの方法のうちの1つにおいて相互作用し、新しく形成された中性子は、重陽子、三重陽子、またはH
4を形成する。中性子は、別個の陽子および電子から中性子に変性するために十分なエネルギーの吸収によって、電子を捕捉した陽子から形成される。十分なイオンが存在し、金属格子中で移動しているとき、水素イオンは、格子核または格子内に存在する他の元素より高い確率で、新しく形成された中性子を捕捉するであろう。本発明の実施形態は、それによって、金属格子核による捕捉を低減および克服し、かつ反応が、暴走する、およびGodes_2007、またはRossi_2011、またはPiantelli_2011に論じられる反応を内包するNiまたは任意の他の材料であるかどうかにかかわらず、反応性材料を保持する反応格子または容器を溶融させるシナリオを回避することができる。
【0011】
これらの重陽子は、電子を吸収し、中性子対となることができ、また、水素イオンによって捕捉され、三重陽子またはH
4となる可能性も非常に高いであろう。しかしながら、H
4は、不安定であって、かつ電子を急速に(半減期30ms)放出し、He
4の原子となり、それによって、相当なフォノンエネルギーを解放する。本全体的水素/ヘリウム変性プロセスは、十分な水素イオンが、格子内に存在し、移動しているとき、各新しい中性子または中性子群が、基質材料の原子(基質を変性させるであろう)によって水素イオンによって捕捉される(および、エネルギーを解放する)可能性がより高いため、基質自体を変性および劣化させずに継続することができる。
【0012】
以下に説明されるように、システムは、粉末化されたニッケル、ガス源、ガス入口、好ましくは、ポンプシステム、ガス出口通気口、測定器具類、および制御システム等、高表面積格子材料のためのエンクロージャを含む。搬送ガスはまた、熱交換器に送達され、反応面積に戻される、包囲された格子材料から熱を移送するための作業流体として機能し得る。可変水素濃度を伴う搬送ガスは、流体化された粒子が流体化床中で挙動するにつれて、金属粒子が安全に挙動することを可能にするが、多くの場合、材料を流体化する必要はない。また、多孔性焼結材料、あるいは反応器の内側表面上、非反応性基質上、または非反応性もしくは別の反応性材料から成る粒子上に堆積された層を使用して、反応粒子の焼結または凝集を防止することも可能であり得る。
【0013】
ニッケルが、プロトタイプにおいて使用されているが、他の好適な金属として、パラジウム、チタン、およびタングステンが挙げられる。他の遷移金属も、機能する可能性が高い。いくつかのセラミックおよびサーメットも同様に機能するであろうと考えられる。
【0014】
水素の可変割合を伴う搬送ガスの使用は、選択される反応格子内の熱発生反応中の燃料装填および移送の制御を可能にする。反応ガスの割合を減少させることによって、暴走シナリオを防止し、中性子蓄積による格子材料の変性を通した格子劣化を最小限にしながら、産業上有用な熱を供給する、連続動作を助長することが可能である。受動的緊急制御は、反応ガスと非反応性または搬送ガスの高速置換によって達成される。通常制御は、ガス中の反応の濃度とともに、コア内のガスの温度、フォノン含有量、圧力、および/または流率を制御することによって達成される。
【0015】
本発明の一側面では、ガス送達および再循環システムが、ガス吸気ポートおよびガス排気ポートを有する、反応器容器と、その中に反応ガスが導入され得る、格子とを有する、反応器のために提供される。送達および再循環システムは、搬送ガスポートが、通常開放(ON)弁を通して反応器入力ポートと流体連通し、反応ガスポートが、通常閉鎖(OFF)弁を通して反応器入力ポートと流体連通し、反応器返還ポートが、通常閉鎖(OFF)弁を通して反応器入力ポートと流体連通するような内部相互接続を伴う、搬送ガスポート、反応ガスポート、反応器入力ポート、および反応器返還ポートとして指定されるポートを有する、ガスルータを備える。送達および再循環システムはさらに、ルータの反応器入力ポートと反応器容器のガス吸気ポートとの間の1つ以上のガス導管と、反応器容器のガス排気ポートとルータの反応器返還ポートとの間の1つ以上のガス導管とを備える。
【0016】
本発明の別の側面では、反応器の内側の反応格子と相互作用する反応ガスに依拠する、反応器を動作させる方法は、反応器を通して搬送ガスを流動させ、格子内の酸化物を還元させるステップと、その後、格子が、反応ガスを吸収し、反応ガスがさらに、酸化物を還元するように、反応ガスおよび搬送ガスの混合物を反応器の中に導入するステップと、格子を刺激し、格子内にフォノンを発生させ、格子の中に吸収された反応ガス中の反応物のためのエネルギーを提供し、核反応を受けさせるステップとを含む。
【0017】
本方法はさらに、格子材料の刺激度を調節するステップと、反応器の中に導入されるガス混合物の圧力および/または流動を調節するステップと、反応器の中に導入されるガス混合物の温度を調節するステップと、反応器の中に導入されるガス混合物中の反応ガスおよび搬送ガスの相対的割合を調節するステップとの1つ以上によって、核反応を制御するステップを含むことができる。
【0018】
本発明の別の側面では、反応器コアは、外側金属管状シェルと、外側金属シェルの内側表面の内周側に配置される誘電層と、誘電層の内側表面の内周側に配置される、格子材料の層とを備える。シェルは、好ましくは、必ずしもではないが、直円柱シェルである。いくつかの実装では、誘電層は、外側金属シェルの内側表面上に一体的に形成され、格子材料の層は、誘電層の内側表面上に一体的に形成される。いくつかの実装では、外側金属シェルは、外側ステンレス鋼構成要素および内側銅構成要素を備える。
【0019】
本発明の別の側面では、反応器コアは、金属管と、金属管の外側表面上に配置される、誘電層と、誘電層の外側表面上に配置される、格子材料の層とを備える。
【0020】
本発明の別の側面では、反応器コアを加工する方法は、2つの金属管間に配置される犠牲マンドレルを備える、基板を提供するステップと、基板上に格子材料の層を形成し、マンドレルの端部を越えて延在させるステップと、格子材料の層を覆う誘電層を形成し、マンドレルの端部を越えて延在させるステップと、誘電層を覆う金属層を形成し、マンドレルの端部を越えて延在させるステップと、円筒形構造の内側暴露表面上に配置された格子材料とともに、金属管の端部にわたって形成される中空円筒形構造を残すように、マンドレルを除去するステップとを含む。
【0021】
本発明の性質および利点のさらなる理解は、明細書の残りの部分および図面(例示的であって、限定として意図されるものではない)を参照することによって実現され得る。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
反応器のためのガス送達および再循環システムであって、
ガス吸気ポートおよびガス排気ポートを有する、反応器容器と、
その中に反応ガスが導入され得る、格子と、
を有し、
前記送達および再循環システムは、
搬送ガスポート、反応ガスポート、反応器入力ポート、および反応器返還ポートとして指定されるポートを有する、ガスルータであって、
前記搬送ガスポートは、通常開放(ON)弁を通して前記反応器入力ポートと流体連通し、
前記反応ガスポートは、通常閉鎖(OFF)弁を通して前記反応器入力ポートと流体連通し、
前記反応器返還ポートは、通常閉鎖(OFF)弁を通して前記反応器入力ポートと流体連通する、
ような内部相互接続を伴う、ガスルータと、
前記ルータの反応器入力ポートと前記反応器容器のガス吸気ポートとの間の1つ以上のガス導管と、
前記反応器容器のガス排気ポートと前記ルータの反応器返還ポートとの間の1つ以上のガス導管と、
を備える、送達および再循環システム。
(項目2)
前記ガスルータを通して前記反応器入力ポートから前記反応器返還ポートに流動することを防止する一方、前記ルータを通して前記反応器返還ポートから前記反応器入力ポートに流動させるための逆止弁をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ルータは、前記反応器返還ポートと流体連通する付加的ポートを有し、前記付加的ポートに接続され、前記反応器返還ポートと前記反応器入力ポートとの間の経路内の圧力を制限するための圧力緩和弁をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記ルータはさらに、通常閉鎖(OFF)弁を通して前記反応器入力ポートと流体連通する、前記プロセスガスポートとして指定されるポートを含む、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記格子は、粉末化または焼結された金属材料あるいは金属材料の堆積された層を含む、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記反応器の中に導入される前に、ガスを加熱するために配置される、加熱器をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記反応器から流出するガスから熱を回収するために配置される、熱回収システムをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目8)
音波またはエネルギーを前記格子に印加し、前記格子内にフォノンを発生させるための音波または超音波変換器をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記格子を加熱し、前記格子内にフォノンを発生させるための加熱器をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記格子を通して電流パルスを通過させ、前記格子内にフォノンを発生させるための源をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目11)
ガス返還ラインからガスを通気させ、安全動作圧力を前記反応器システム内に維持するための逆止弁をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記反応器の内側の反応格子と相互作用する反応ガスに依拠する、反応器を動作させる方法であって、
前記反応器を通して搬送ガスを流動させ、前記格子内の酸化物を還元させるステップと、
その後、前記格子が、前記反応ガスを吸収し、前記反応ガスがさらに、酸化物を還元するように、反応ガスおよび搬送ガスの混合物を前記反応器の中に導入するステップと、
前記格子を刺激し、前記格子内にフォノンを発生させ、前記格子の中に吸収された前記反応ガス中の反応物のためのエネルギーを提供し、核反応を受けさせるステップと、
を含む、方法。
(項目13)
前記格子材料の刺激度を調節するステップと、
前記反応器の中に導入される前記ガス混合物の圧力および/または流動を調節するステップと、
前記反応器の中に導入される前記ガス混合物の温度を調節するステップと、
前記反応器の中に導入される前記ガス混合物中の反応ガスおよび搬送ガスの相対的割合を調節するステップと、
の1つ以上によって、前記核反応を制御するステップをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記ガス混合物の圧力および/または流動を調節するステップは、前記ガス混合物の流動を開始および停止するステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記反応ガスは、軽水素および/または重水素を含有する、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記搬送ガスは、正圧で流動される、項目12に記載の方法。
(項目17)
前記反応器の中に導入される前に、前記ガスを加熱するステップをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目18)
前記反応器の中に導入される前に、前記搬送ガスを加熱するステップをさらに含み、前記搬送ガスは、前記加熱された搬送ガスが、前記反応器を通して流動され、酸化物を還元させると、前記酸化物を破壊させるために十分な温度まで加熱される、項目12に記載の方法。
(項目19)
前記反応器から流出するガスから熱を回収するステップをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目20)
前記格子内にフォノンを発生させるステップは、音波または超音波エネルギーを前記格子に印加するステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目21)
前記格子内にフォノンを発生させるステップは、前記格子を加熱するステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目22)
前記格子内にフォノンを発生させるステップは、前記格子を通して電流パルスを通過させるステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目23)
前記反応ガスは、水素を自然発生させる、項目12に記載の方法。
(項目24)
前記反応ガスは、自然発生水素中のものを超える重水素および/または三重水素のレベルを含有する、項目12に記載の方法。
(項目25)
前記混合物は、前記反応器から流出させられ、次いで、搬送ガスまたは反応ガスの添加を伴って、または伴わずに、前記反応器の中に再循環される、項目12に記載の方法。
(項目26)
前記反応器は、実質的に、純搬送ガスのみを前記反応器の中にもたらす、フェールセーフ構成を有する、項目12に記載の方法。
(項目27)
閾値を上回る圧力に応答して、ガス返還ラインからガスを通気させ、前記反応器システム内に安全動作圧力を維持するステップをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目28)
前記反応器容器は、電気伝導性外側層とともに形成され、前記反応性格子を通した電流スパイクの伝送のために、前記格子と前記外側導体との間に伝送ラインを形成する、項目1に記載のシステム。
(項目29)
外側金属管状シェルと、
前記外側金属シェルの内側表面の内周側に配置される、誘電層と、
前記誘電層の内側表面の内周側に配置される、格子材料の層と、
を備える、反応器コア。
(項目30)
前記管状シェルは、直円柱シェルである、項目29に記載の反応器コア。
(項目31)
前記誘電層は、前記外側金属シェルの内側表面上に形成され、
前記格子材料の層は、前記誘電層の内側表面上に形成される、項目29に記載の反応器コア。
(項目32)
前記外側金属シェルは、外側ステンレス鋼構成要素および内側銅構成要素を備える、項目29に記載の反応器コア。
(項目33)
金属管と、
前記金属管の外側表面上に配置される、誘電層と、
前記誘電層の外側表面上に配置される、格子材料の層と、
を備える、反応器コア。
(項目34)
反応器コアを加工する方法であって、
2つの金属管間に配置される犠牲マンドレルを備える、基板を提供するステップと、
前記基板上に格子材料の層を形成し、前記マンドレルの端部を越えて延在させるステップと、
前記格子材料の層を覆う誘電層を形成し、前記マンドレルの端部を越えて延在させるステップと、
前記誘電層を覆う金属層を形成し、前記マンドレルの端部を越えて延在させるステップと、
前記円筒形構造の内側暴露表面上に配置された格子材料とともに、前記金属管の端部にわたって形成される中空円筒形構造を残すように、前記マンドレルを除去するステップと、
を含む、方法。