特許第6704960号(P6704960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704960車の角位置を検出するデバイスを有する計時器用ムーブメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704960
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】車の角位置を検出するデバイスを有する計時器用ムーブメント
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/00 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   G04C3/00 E
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-146676(P2018-146676)
(22)【出願日】2018年8月3日
(65)【公開番号】特開2019-32316(P2019-32316A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2018年8月3日
(31)【優先権主張番号】17184983.9
(32)【優先日】2017年8月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ルネ・ルフェナー
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第03007013(EP,A1)
【文献】 特開2017−116541(JP,A)
【文献】 特開2015−152513(JP,A)
【文献】 特開2004−163128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 3/00,3/14
G04G 21/00
G01D 5/24,5/241
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式インジケーター、及びこの回転式インジケーターと一体化して回転し位置特定要素(OV)を有するプレート(PT)を有する車(MB)を有するアナログディスプレーと、及び
ムーブメントのプレートに対して固定され前記プレート(PT)に実質的に平行に延在しているボード(PAa、PAb)を有する位置特定要素(OV)の少なくとも1つの角位置を検出するデバイスとを有する計時器用ムーブメントであって、
前記ボード(PAa、PAb)の上に、第1の電極(E1a、E1b)、第2の電極(E2a、E2b)及びコモン電極(Ema、Emb)が配置され、
これらの第1の電極(E1a、E1b)、第2の電極(E2a、E2b)及びコモン電極(Ema、Emb)は、平坦電極であり、
前記車(MB)の1つの角位置において、前記位置特定要素(OV)が各電極の少なくとも一部上にわたって位置しており、
前記コモン電極(Ema、Emb)は、前記第1の電極(E1a、E1b)の側方エッジ(L1ga、L1gdb)に対向するように半径方向に延在している第1のエッジ(Bgda、Bgb)と、
前記第2の電極(E2a、E2b)の側方エッジ(L2da、L2dgb)に対向するように前記半径方向に延在している第2のエッジ(Bdga、Bdb)と、及び
当該中心部(Bpa、Bpb)を介して前記第1のエッジ(Bgda、Bgb)の少なくとも1つの点及び前記第2のエッジ(Bdga、Bdb)の少なくとも1つの点がリンクされる中心部(Bpa、Bpb)と
を有し、
前記中心部(Bpa、Bpb)は、前記第1の電極(E1a、E1b)の周方向エッジ(L1ia、L1eib)に部分的に対向し前記第2の電極(E2a、E2b)の周方向エッジ(L2ia、L2eib)に部分的に対向するように延在しており、
前記半径方向及び前記周方向は、前記車(MB)の軸と前記ボード(PAa、PAb)との交点を中心とする円に対するものである
ことを特徴とする計時器用ムーブメント。
【請求項2】
前記コモン電極(Ema)には、前記第1のエッジ(Bgda)が属する第1のブランチ(Bga)と、前記第2のエッジ(Bdga)が属する第2のブランチ(Bda)と、及び前記車(MB)の軸に最も近い前記第1のブランチ(Bga)の端と前記第2のブランチ(Bda)の端どうしをリンクする、下端である、前記中心部(Bpa)とがある
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項3】
前記コモン電極(Ema)には、前記第1のエッジ(Bgda)が属する第1のブランチ(Bga)と、前記第2のエッジ(Bdga)が属する第2のブランチ(Bda)と、及び
前記車(MB)の軸から最も遠い前記第1のブランチ(Bga)の端と前記第2のブランチ(Bda)の端どうしをリンクする、上端である、前記中心部とがある
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項4】
前記コモン電極(Ema)には、前記第1の電極(E1a)と前記第2の電極(E1b)の間にて半径方向に延在している中央ブランチ(Bca)があり、
この中央ブランチ(Bca)は、前記中心部(Bpa)にリンクしている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項5】
前記中心部(Bpa)は、前記車(MB)の軸と前記ボード(PAa)との交点を中心とする円の弧の形に延在している
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の計時器用ムーブメント。
【請求項6】
前記第1の電極(E1a)及び前記第2の電極(E2a)は、前記車(MB)の軸と前記ボード(PAa)との交点を中心とするリングにおける2つの角区画の形である
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の計時器用ムーブメント。
【請求項7】
前記コモン電極(Emb)の前記中心部(Bpb)は、前記車(MB)の軸と前記ボード(PAb)との交点を中心とするリングの角区画の形であり、
前記第1の電極(E1b)及び前記第2の電極(E2b)は、前記コモン電極(Emb)を囲んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項8】
前記第1の電極(E1b)には、前記第1の電極(E1b)の前記側方エッジ(L1gdb)が属する半径方向ブランチ(L1gb)があり、
前記第2の電極(E2b)には、前記第2の電極(E2b)の前記側方エッジ(L2dgb)が属する第2の半径方向ブランチ(L2db)があり、
前記第1の電極(E1b)と前記第2の電極(E2b)のそれぞれには、前記コモン電極(Emb)の両側に配置されており前記周方向エッジ(L1eib、L2eib)が属する半径方向ブランチ(L1gb、L2db)にリンクしている2つの周方向ブランチ(L1eb、L2eb)がある
ことを特徴とする請求項7に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項9】
前記位置特定要素(OV)は、前記車(MB)の前記プレート(PT)を貫通する開口である
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の計時器用ムーブメント。
【請求項10】
前記位置特定要素(OV)は、前記プレート(PT)の残りとも空気とも異なる誘電体誘電率を有する材料で作られている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の計時器用ムーブメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログディスプレーと、及びこのアナログディスプレーの回転式インジケーターと一体化して回転する少なくとも1つの車とを備える計時器用ムーブメントの分野に関する。本発明は、より詳細には、見ることによって回転式インジケーターの角位置を判断する前記のような車の角位置を検出するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計用ムーブメントに属する車の少なくとも1つの角位置を検出するデバイスが知られている。具体的には、欧州特許出願EP15202349.5によって、図1に概略的に一部を示している検出デバイスが知られている。このデバイスには、ムーブメントのプレートに対して固定され車MBと平行であるように構成しているプリント回路ボードPAがある。このプリント回路ボードPAには、第1の電極E1、第2の電極E2及びコモン電極Emと呼ばれる3つの平坦電極がある。これらの電極は、同じ1つのリングの角区画の形であり、コモン電極Emは、第1の電極E1と第2の電極E2の間にある。車MBには、開口OVが形成されている導電性のプレートPTがある。車MBが回転するときに、順に、まず、第1の電極E1のみに、その後に、第1の電極E1とコモン電極Emに、その後に、3つの電極すべてに、そして、その後に、コモン電極Emと第2の電極E2に、そして最後には、第2の電極E2のみに、開口OVが対向するように位置することができるように構成している。
【0003】
検出デバイスは、さらに、第1の電極E1、第2の電極E2及びコモン電極Emに電位が与えられることを可能にする電子回路を有する。この回路によれば、交互に第1の電極E1と第2の電極E2をチャージするように、第1の電極E1と第2の電極E2にパルス電圧が与えられる。第2の電極が低電位に保持されているときに、第1の電極E1が高電位に保持され、そして、その逆も行われる。コモン電極Emは中間電位に保持される。この中間電位は、好ましいことに、高電位と低電位の平均である。
【0004】
第1の電極E1とコモン電極Emが互いに近く互いに対向している側方エッジを有しており、これらの電位が異なり、そして、第1の電極E1の電位が可変であるとすれば、これらの2つの電極の間に容量結合が行われる。これらの2つの電極の間のキャパシタンスは、第1のキャパシタンスC1と呼ばれる。同様に、第2の電極E2とコモン電極Emが互いに近く互いに対向している側方エッジを有しており、これらの電位が異なり、第2の電極の電位が可変であるとすると、これらの2つの電極の間に容量結合が行われる。これらの2つの電極の間のキャパシタンスが、第2のキャパシタンスC2として表される。
【0005】
これらのキャパシタンスの値C1及びC2は、車の開口OVの位置に応じて変わる。開口OVが同時に第1の電極E1とコモン電極Emの上にあるときに、第1のキャパシタンスC1が最大となる。なぜなら、この車が第1の電極E1とコモン電極Emの間の電界線のいずれも妨げていないからである。同様に、開口が同時に第2の電極E2とコモン電極Emの上にあるときに、第2のキャパシタンスC2が最大となる。なぜなら、この車が第2の電極E2とコモン電極Emの間の電界線のいずれも妨げていないからである。
【0006】
電子回路は、さらに、コモン電極Emに接続される電子アセンブリーを有する。この電子アセンブリーによって、車MBが回転するときに、開口の位置に応じた(C2−C1)/(C1+C2)を測定することが可能になる。図2に、これらの測定から線形補間によって得られた曲線を示す。上で説明したように、この曲線は、第1の電極E1とコモン電極Emのみが開口OVに完全に対向しているときに最小となり、コモン電極Emと第2の電極E2のみが開口OVに完全に対向しているときに最大となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、車の角位置に応じた(C2−C1)/(C1+C2)の測定の線形補間によって得られる曲線の最大値と最小値の検出を促進して、車の角位置の判断を正確にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明の主題は、請求項1に記載の計時器用ムーブメントである。
【0009】
したがって、コモン電極は、従来技術におけるように第1の電極の側方エッジ及び第2の電極の側方エッジに対向するように延在しているエッジのみを有するのではなく、第1の電極の周方向エッジ及び第2の電極の周方向エッジに対向するように延在しているエッジを有する。したがって、コモン電極と第1の電極の間及びコモン電極と第2の電極の間のカップリングが、従来技術に対して改善する。なぜなら、第1の電極と第2の電極に対向しているコモン電極の全長が従来技術よりも大きいからである。このカップリングは、半径方向のものであり、かつ、側方の方向のものである。カップリングの度合いが従来技術よりも大きいので、この曲線はより明白な最大及び最小を示している。より詳細には、この曲線は、形がほぼ三角形である。
【0010】
第1の実施形態において、計時器用ムーブメントは、請求項2に記載の特徴を有する。第1の代替実施形態において、計時器用ムーブメントは、請求項3に記載の特徴を有する。
【0011】
前記の2つの実施形態において、コモン電極の形は、このコモン電極が第1の電極及び第2の電極をそれらの側面の少なくとも2つにて囲むように従来技術に対して変更されている。
【0012】
好ましいことに、計時器用ムーブメントは、請求項4に記載の特徴を有する。
【0013】
したがって、コモン電極は、第1の電極及び第2の電極をそれらの側面の少なくとも3つにて囲む。
【0014】
好ましいことに、計時器用ムーブメントは、請求項5及び/又は請求項6に記載の特徴を有する。
【0015】
第2の実施形態において、計時器用ムーブメントは、請求項7に記載の特徴を有する。
【0016】
第2の実施形態において、コモン電極は、従来技術におけるように全体的な形がリングの角区画のであるが、第1の電極及び第2の電極の形は、それぞれがコモン電極をその側方部の少なくとも2つにて囲むように変更されている。
【0017】
好ましいことに、計時器用ムーブメントは、請求項8に記載の特徴を有する。
【0018】
図面を参照しながら例(これに限定されない)としてのみ与えられるいくつかの実施形態を検討することによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】既に上で言及しており、車と、従来技術によるこの車の角位置を検出するデバイスの一部を示しており、この検出デバイスは、第1の電極、第2の電極及びコモン電極が配置されているボードを有する。
図2】既に上で言及しており、車の回転に応じた(C2−C1)/(C1+C2)の曲線を示している。ここで、C1は、第1の電極と第2の電極の間のキャパシタンスであり、C2は、第2の電極とコモン電極の間のキャパシタンスである。
図3】車の角位置を検出するデバイスのボード上に配置された本発明の第1の実施形態に係る第1の電極、第2の電極及びコモン電極を示している。
図4】車の角位置を検出するデバイスのボード上に配置された本発明の第2の実施形態に係る第1の電極、第2の電極及びコモン電極を示している。
図5】本発明に係る、車の回転に応じた(C2−C1)/(C1+C2)の曲線を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図3及び4はそれぞれ、従来技術に関連して上で言及したボードPAを置き換える本発明の第1の実施形態に係るボードPAa及び本発明の第2の実施形態に係るボードPAbを示している。2つのボードPA1、PA2のそれぞれには、第1の電極E1a、E1b、第2の電極E2a、E2b及びコモン電極Ema、Embがあり、これらの3つのすべては、平坦電極である。
【0021】
図3に示した第1の実施形態において、ボードPAaの第1の電極E1a及び第2の電極E2aは、ボードPAの第1の電極E1及び第2の電極E2と形が同様である。これらの第1の電極E1a及び第2の電極E2aは、ボードPAaと車MBの軸との交点を中心とする同じ1つのリングの異なる角区画の形である。したがって、第1の電極E1a及び第2の電極E2aにはそれぞれ、ボードPAaと車MBの軸との交点を中心とする円に対して半径方向に延在している2つの側方エッジL1ga、L1da及びL2ga、L2daがある。第1の電極E1a及び第2の電極E2aには、さらに、内側エッジL1iaと外側エッジL1ea及び内側エッジL2iaと外側エッジL2eaがあり、これらのそれぞれは、円弧の形に延在しており、側方エッジL1gxと側方エッジL1dx、そして、側方エッジL2gxと側方エッジL2dxをリンクしている。内側エッジL1ia及びL2iaは、同じ1つの円の弧の形に延在しており、かつ、外側エッジL1ea及びL2eaは、同じ1つの別の円の弧の形に延在している。
【0022】
コモン電極Emaは、第1のブランチBgaと、第2のブランチBdaと、中央ブランチBcaと、及び第1のブランチBga、第2のブランチBda及び中央ブランチBcaをリンクする中心部Bpaによって構成している。第1のブランチBga、第2のブランチBda及び中央ブランチBcaは、ボードPAaと車MBの軸との交点を中心とする円に対して半径方向に延在している。第1のブランチBga、第2のブランチBda及び中央ブランチBcaは、長さが実質的に等しい。第1のブランチBgaは第1の電極E1aのみに対向するように延在している。より詳細には、コモン電極Emaの第1のエッジBgda、第1のブランチBgaに属する第1のエッジBgdaは、第1の電極E1aの側方エッジL1gaに対向している。第2のブランチBdaは、第2の電極E2aのみに対向するように延在している。より詳細には、第2のブランチBdaに属している、コモン電極Emaの第2のエッジBdgaは、第2の電極E2aの側方エッジL2daに対向している。中央ブランチBcaは、第1の電極E1aと第2の電極E2aの間に延在しており、特に、第1の電極E1aの側方エッジL1da及び第2の電極E2aの側方エッジL2gaに対向している。中心部Bpaは、中央ブランチBcaを通り抜けるように、第1のブランチBgaと第2のブランチBdaの間にて円弧状に延在している。
【0023】
なお、中心部Bpaは、ボードPa1と車MBの軸との交点の最も近くに位置している、第1のブランチBgaの端、第2のブランチBdaの端及び中央ブランチBcaの端どうしをリンクしている。したがって、中心部Bpaは内側エッジL1ia及びL2iaに部分的に対向するように位置している。しかし、1つの代替実施形態(図示せず)において、中心部Bpaは、ボードPa1と車MBの軸との交点から最も遠くに位置している、第1のブランチBgaの端と、第2のブランチBdaの端と、及び中央ブランチBcaの端どうしをリンクしている。このとき、中心部Bpaは、外側エッジL1ea及びL2eaに部分的に対向するように位置している。
【0024】
中心部の位置は、コモン電極と車のアーバーの間のカップリングに、そして、コモン電極と、ボードと車MBの軸との交点から最も遠くに位置しているブランチの端の近くに位置することとなるムーブメントの別の金属要素(例えば、車やアーバー)との間のカップリングに影響を与える。このようなカップリングは測定を妨げる。図3に示す実施形態において、コモン電極と他の金属要素の間のカップリングが最小化される。代替実施形態(図示せず)において、コモン電極と車のアーバーの間のカップリングが最小化される。
【0025】
図4に示す第2の実施形態において、コモン電極Embには、ボードPAbと車MBの軸との交点を中心とするリングの角区画の形である中心部Bpbがある。したがって、コモン電極Embには、ボードPAbと車MBの軸との交点を中心とする円に対して半径方向に延在している2つの側方エッジBgb、Bdbがある。コモン電極Embには、さらに、内側エッジBib及び外側エッジBebがあり、これらのそれぞれは、円弧の形に延在しており側方エッジBgb、Bdbどうしをリンクしている。図示した実施形態において、外側エッジBebには不連続性がある。このように、コモン電極Embには、外側エッジBebの中心にて中心部Bpbから半径方向に突き出ている突起部Bsbがある。突起部Bsbは、接続のために用いられる。
【0026】
第1の電極E1b及び第2の電極E2bは、コモン電極Embの両側に対称的に配置されており、これらは両方ともコモン電極Embを囲む。第1の電極E1bには、コモン電極Embに対向するように半径方向に延在している半径方向ブランチL1gbがある。より詳細には、半径方向ブランチL1gbの側方エッジL1gdbは、コモン電極Embの第1の側方エッジBgbに対向している。第1の電極E1bには、さらに、2つの周方向ブランチL1ib、L1ebがあり、これらは、ボードPAbと車MBの軸との交点を中心とする円の弧の形のコモン電極Embの両側にて延在している。一方の周方向ブランチL1ibは、車MBの軸の側に位置している。他方の周方向ブランチL1ebは、他方の側に位置している。なお、周方向ブランチL1ebには、コモン電極Embの外側エッジBebに対向するように位置している周方向エッジL1eibがある。同様に、第2の電極E2bには、コモン電極Embに対向するように半径方向に延在している半径方向ブランチL2dbがある。より詳細には、半径方向ブランチL2dbの側方エッジL2dgbは、コモン電極Embの第2の側方エッジBdbに対向している。第2の電極E2bには、さらに、2つの周方向ブランチL2ib、L2ebがあり、これらは、ボードPAbと車MBの軸との交点を中心とする円の弧の形のコモン電極Embの両側に延在している。一方の周方向ブランチL2ibは、車MBの軸の側に位置している。他方の周方向ブランチL2ebは、他方の側に位置している。なお、周方向ブランチL2ebには、コモン電極Embの外側エッジBebに対向するように位置している周方向エッジL2eibがある。
【0027】
なお、記載されている実施形態において、コモン電極と第1の電極の間及びコモン電極と第2の電極の間のカップリングは、半径方向のものであり、かつ、側方のものである。車MBの角位置に応じた(C2−C1)/(C1+C2)を表している線形補間曲線は、図5に示している曲線に接近する形となっている。すなわち、実質的に三角形である。
【0028】
なお、添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、上記の本発明の様々な実施形態に対して、当業者にとって自明な様々な改変及び/又は改善及び/又は組み合わせを行うことができることを理解することができるであろう。例えば、第1の実施形態において、コモン電極Emaに中央ブランチBcaがないことも可能である。第2の実施形態において、第1の電極E1bと第2の電極E2bが1つのみの周方向ブランチを有すること、及び/又はコモン電極に突起部Bsbがないことも可能である。
【0029】
さらに、車MBのプレートPTに形成された開口OVを、この開口OVと同じ幾何学的構成を有しプレートPTの残りとも空気とも異なる誘電体誘電率を有する材料で作られた要素によって置き換えることができることには注目すべきである。このことによっては、本発明の原理はまったく変わらない。したがって、一般化すると、用語「位置特定要素」は、このような種類の開口又は要素を意味する。
【符号の説明】
【0030】
Bca 中央ブランチ
Bda 第2のブランチ
Bdga 第2のエッジ
Bga 第1のブランチ
Bgda 第1のエッジ
Bpa 中心部
E1a 第1の電極
E1b 第2の電極
E2a 第2の電極
Ema コモン電極
Emb コモン電極
L1eb 周方向ブランチ
L1eib 周方向エッジ
L1ga 側方エッジ
L1gb 半径方向ブランチ
L1gdb 側方エッジ
L1ia 周方向エッジ
L2da 側方エッジ
L2db 第2の半径方向ブランチ
L2dgb 側方エッジ
L2ia 周方向エッジ
図1
図2
図3
図4
図5