【文献】
Journal of Clinical Microbiology,2014年 1月,Vol.52,No.1,p234−243
【文献】
Emerging Infectious Diseases,2012年,Vol.18,No.8,p1350−1353
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ブタ流行性下痢ウイルスは、エンベロープを有する、プラスセンスの一本鎖RNAウイルスであり、ブタで急性下痢、嘔吐及び脱水を引き起こす。前記は最初ヨーロッパで認められたが、徐々に多くのアジア諸国(韓国、中国、日本、フィリピン及びタイを含む)で問題となってきた。2013年4月に、PEDVは米国中西部のブタに出現し急速に全国に広まった。2013年10月までにPEDVは18州のブタ群で検出された。PEDV感染の経済的影響は既に相当なものになっている。PEDVの北アメリカ単離株が同定されたが(Huang, et al. 2013; Stevenson et al. 2013)、しかしながら米国では完全に認可されたワクチンは市場で入手できない。したがって、PEDV関連疾患からブタを防御できるワクチンの開発は引き続き希求されている。粘膜ルート(経口又は鼻内)の他に非経口的方法(例えば筋肉内、皮下又は静脈内)を介して投与しうる、新たに出現した北アメリカPEDV株に有効なワクチンを開発することは有益であろう。
PEDVは、コロナウイルス亜科(Coronavirinae)アルファコロナウイルス属、のメンバーであり(Bridgen et al. 1993)、最初英国で1971年に、その後他の国々、例えばベルギー、中国、ハンガリー、イタリア、日本、韓国及びタイで同定された(Oldham J. 1972;Pensaert and De Bouck P. 1978;Chen et al. 2008;Nagy et al. 1996;Martelli et al. 2008;Takahashi et al. 1983;Chae et al. 2000;及びPuranaveja et al. 2009)。このファミリーの他のメンバーには、ブタ呼吸器コロナウイルス(PRCV)、血球凝集性脳脊髄炎コロナウイルス(PHE)及び伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)が含まれる。PEDVとTGEVウイルスとは関連性があり臨床徴候も非常に類似するが、免疫交差防御は存在しない。
【0003】
PEDVはエンベロープをもつウイルスで、5'キャップ及び3'ポリアデニル化テールを有する約28kbのプラスセンスの一本鎖RNAゲノムを保有する(Pensaert and De Bouck P. 1978)。当該ゲノムは、5'非翻訳領域(UTR)、3'UTR及び少なくとも7つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、前記ORFは、4つの構造タンパク質(スパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)及びヌクレオカプシド(N))及び3つの非構造タンパク質(レプリカーゼ1a及び1b並びにORF3)をコードし、これらは、5'-レプリカーゼ(1a/1b)-S-ORF3-E-M-N-3'の順序で当該ゲノム上に並んでいる(Oldham J. 1972;及びBridgen et al. 1993)。既に特徴付けられた、最初に出現した3つの北アメリカPEDVゲノム配列(ミネソタMN(GenBank:KF468752.1)、アイオワIA1(GenBank:KF468753.1)及びアイオワIA2(GenBank:KF468754.1))は、28,038ヌクレオチド(nt)の同じサイズ(ポリアデノシンテールを除く)を有し、プロトタイプPEDV CV777株(GenBank:AF353511.1)とゲノム編成を共有する。これらの3つの北アメリカPEDVの配列は99.8から99.9%のヌクレオチド同一性を共有していた。特にMN及びIA2株は全ゲノムにわたって11ヌクレオチドしか相違しない。
PEDV Sタンパク質は1,383アミノ酸(aa)を含むI型糖タンパク質である。当該Sタンパク質は、他のコロナウイルスのSタンパク質との相同性を基準にしてS1(1−789aa)及びS2ドメイン(790−1,383aa)に分割できる(Chang et al; 2002;Cruz et al, 1994;Godet, et al 1994;Jackwood et al. 2001;Sturman and Holmes; 1984;及びSun et al. 2008)。コロナウイルスのSタンパク質は表面抗原であり、前記は宿主細胞の受容体糖タンパク質との相互作用(ウイルス侵入を媒介する)の調節、及び天然の宿主における中和抗体の誘発の刺激で役割を果たす。したがって、S糖タンパク質はPEDVに対する有効なワクチンの開発の主要な標的である。
【0004】
PEDV Mタンパク質はウイルスアッセンブリー過程で重要な役割を果たすもっとも豊富なエンベロープ成分であり、ウイルスを中和する抗体もまた誘発する。同様に、PEDV Nタンパク質(ビリオンRNAと結合してヌクレオカプシドに構造的基礎を提供する)もまた細胞媒介免疫の誘発のために重要でありうる(Saif,L. 1993)。
PEDVのただ1つの アクセサリー遺伝子がORF3である。 アクセサリー遺伝子は一般的に野外株で維持されるが、ORF3の改変は病毒性に影響を与えると考えられ、病毒性を低下させるために、細胞培養馴化を用いてORF3遺伝子が改変されてきた(Song et al. 2003)。実際、ORF3遺伝子の解明を通して、2006年以来研究者らは、中国の免疫ブタ群でPEDVの新しい遺伝子グループの出現を精査してきた。これらの株の系統発生的研究及び中国におけるPEDVの地域的再出現は、激甚な腸疾患を引き起こすこれらの野外株は、ヨーロッパ株及びワクチン株とORF3で遺伝的に異なることを明らかにした(Park et al. 2011)。
多様なレベルの病毒性を有する種々のPEDV株が実際に存在することは周知である。1980年代から1990年代に、PEDVは全ヨーロッパ、例えばベルギー、英国、ドイツ、フランス、オランダ及びスイスのような国々で流行した。ヨーロッパにおける報告例の頻度はその後しだいに減少し、及び/又は、PEDVによって引き起こされる疾患は産業的ワクチン開発を開始させるほどに大きな経済的重要性をもたなかった(Song and Park 2012)。一方、中国では1980年代からPEDVの大流行が報告され、大規模な下痢の発生に随伴して2010年以降出現するPEDVの変種株はより急性かつ重篤であった。したがって、ワクチン開発の試みは主にアジアの国々で為されていた(Song and Park 2012)。2010年以降出現した変種は、哺乳期の仔豚で80−90%の有病率及び50−90%の死亡率を有すると報告されている(Bi et al. 2012; Pan et al. 2012;及びLi et al. 1012)。最近の証拠は、中国で出現したPEDV病毒形は生ワクチン株の進化の結果の可能性があることを提唱している(Chen et al. 2010)。
【0005】
ブタの腸を冒す腸疾患として、PEDVは糞便経口暴露を介して拡散する。汚染されたトラック及び設備はしばしばナイーブ動物に対する感染源である。PEDV感染の臨床徴候は伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)感染と同様である(Pijpers et al. 1993)。3週齢およびそれより幼若のブタでは、臨床徴候(急性の水様下痢、嘔吐及び脱水を含む)はPEDV感染後24時間で認められ、100%に至る死亡率が出現しうる。PEDVに感染した離乳期及び成長期のブタでは、雌ブタ及び雄ブタも同様に下痢及び嘔吐を起こしうる。これらの動物はまた食欲不振の徴候を示し、さらに無気力でありうる。より齢の進んだブタに対する完全な影響はまだ明らかではないが、飼料効率の低下、出荷に要する日数の追加、及び二次感染に対する感染動物の鋭敏性が大いに考えられる。雌ブタについては、身体状態の低下は繁殖機能に悪影響を与えうる。報告によれば、PEDVは北メリカ家畜群で地域病となって、持続的な下痢及び他の問題を生じうる徴候があることが示唆されている。
PEDV感染動物の腸の肉眼的及び組織学的変化は、米国でも中国で観察されたものと同様であり、特に当該ウイルスはブタの腸の絨毛を破壊し、栄養素の吸収不全が生じる。Huangら(2012)は、ミネソタ及びアイオワでの流行で当該疾患により死亡した動物は、小腸に限定された肉眼病巣を有すること、及び小腸は黄色い液体で膨張した半透明の薄壁を特徴とすることを報告した。組織学的評価は、絨毛の平板化及び融合を有する複数の小腸領域並びに固有相絨毛における微小なリンパ芽球浸潤を明らかにした。
【0006】
Huangら(2013)は、米国で広がった流行からPEDVの3つの異なる株(1つはミネソタ由来及び2つはアイオワ由来)を特徴づけた(それぞれMN(GenBankアクセッション番号KF468752)並びにIA1(GenBankアクセッション番号KF468753)及びIA2(GenBankアクセッション番号KF48754)と称される)。Huangの系統的調査はPEDV株を2つの別個の遺伝子グループ(遺伝子グループ1(G1)及び遺伝子グループ2(G2))に分類した。スパイク遺伝子のN-末端ドメイン(NTD)の顕著な変化が遺伝子グループ1及び2を弁別した。Huangら(2013)は、N-末端ドメイン(NTD)の第二の欠失領域(DR2)がDR1よりも高度な抗原性変化を有するように思われることを示唆し、出現した北アメリカ株はG1aワクチン株と抗原的関連性が低い可能性があることを提唱している。
遺伝子グループ1は少なくとも3つのクラスター1a、1b及びRを含む。サブグループ1aは、初期ヨーロッパ、中国及び韓国単離株、例えばプロトタイプCV777株(ベルギー(1978)、GenBank:AF353511.1)及びLZC株(中国(Gansu)(2006)、GenBank:EF185992)及びSM98株(韓国(1998)、GenBank:GU937797.1)を含む。サブグループ1bは5つの株を含み、前記は韓国由来の1つ(DR13弱毒ワクチン株、GenBank:JQ023162.1)及び中国由来の他の株で、後者は、nspの共通の“遺伝的シグネチャー”8-aa欠失及びC-末端の大きなORF3欠失によって連関を有する。グループ“R”は他の遺伝子グループの組換え体と関連する。しかしながら、新規に出現したPEDV株(2010年以降中国で、さらに2013年以降北アメリカで生じたものを含む)は遺伝子グループG2aに属する。中国株AH2012(GenBankアクセッション番号KC210145)及び北アメリカ株はいくつかの固有のヌクレオチド変化を共有し、一緒になって遺伝子グループ2aでクラスターを形成する。AH2012に対するヌクレオチド同一性はMN及びIA2株については99.6%であり、IA1については99.5%であった。研究者らは、AH2012様ウイルスはことによると東部中国領域に伝播され、続いて米国に輸送され、おそらく北アメリカ株の最も近い先祖であると推測している。遺伝子グループ2aのメンバーは、遺伝子グループ1aのプロトタイプPEDV CV777株と約96.9%の類似性しか共有しない(Bridgen, et al. 1993;Huang et al. 2013;GenBank:AF353511.1)。したがって、歴史的なCV777由来G1a株又はDR13由来G1b株をベースにする弱毒PEDVワクチンは、新規に出現した中国及び北アメリカのG2a PEDV株と抗原的関連性が低い可能性があり、したがって良好ではないワクチン候補かもしれない。
【0007】
近縁北アメリカ単離株US/コロラド/2013(GenBankアクセッション番号:KF272920.1)がまたMarthalerら(2013)によって報告された。上記の北アメリカ単離株のように、CO/13の完全なPEDVゲノムは、GenBankで入手できる他の完全なPEDVゲノムと96.5から99.5%のヌクレオチド同一性を有し、中国株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)とのヌクレオチド同一性(99.5%)が最も高い。前記は2a遺伝子グループのメンバーである。CO/13の完全なゲノムとPEDV参照株CV777のそれとの比較は、CO/13は1-ntの挿入(48位)及び5'UTR(73位及び83から86位)に5ヌクレオチドの欠失を含むことを示した。この北アメリカウイルスはゲノムの20,696及び21,125位のS1内に相違の増加を示し、82%のヌクレオチド同一性しか共有せず、いくつかの挿入/欠失を有する。
いくつかのPEDVワクチンが開発されている(それらはゲノム配列、デリバリー態様及び有効性が相違する)。ヨーロッパCV777株の細胞培養馴化が、PEDV流行が深刻であったアジアの国々で用いられている。これらは1990年代から使用されてきた。
1980年代初頭に、日本人研究者らは、感染ブタの下痢から原因のPEDウイルス株83P-5を単離した。クサナギら(1989)はVero細胞で前記株を単離し馴化させた。細胞培養馴化PEDV(P-5V)(83P-5)の弱毒ウイルスワクチンは1997年以降日本で雌ブタに用いられてきた。100代継代83P-5株は、日生研株式会社の弱毒PEDVワクチンとして日本での使用が認可された(Sato et al. 2011)。83P-5株の馴化及び弱毒化は、Sタンパク質の細胞外部分(弱毒DR13株のそれと配列類似性を有する)で変異を示すことが報告された(Sato et al. 2011;100回目継代の83P-5株のスパイク遺伝子配列を参照されたい(GenBank:AB548621.1)。この後者の日本のワクチンは有効と考えられるが、全ての雌ブタがそれらの仔豚に免疫を伝えることができるとは限らない(Usami et al. 1998)。日本株及びヨーロッパ株は遺伝子グループG1a又はG1bのメンバーである。上記で考察したように、これらの弱毒ワクチン株と前記分岐北アメリカ株との関連性は、遺伝子グループ2aの新規出現中国株よりも低い。
【0008】
弱毒韓国PEDV株、DR13(継代レベル100)(GenBank:JQ023162.1)(遺伝子グループG1bのメンバー)による経口ワクチン接種は、ワクチンとして有効であることが示された。このウイルス株は認可され、2004年から韓国で経口ワクチンとして用いられ、2011年にフィリピンで登録及び市販された(Song and Park 2012)。しかしながら、DR13はチャレンジ仔豚でウイルス排出持続期間を有意には変化させないことが報告されている(免疫防御が不完全であることを示唆する)。さらにまた、高度弱毒化PEDVによる経口免疫は、非常に高用量のワクチンでのみ防御を付与する(Song and Park 2012)。
他の既知ワクチンには、SUISHOT(商標)PT-100(ChoongAng Vaccine Laboratories, South Korea(死滅PEDV TGEVコンビネーションワクチン))、及びSUISHOT(商標)PED(死滅PEDVワクチン)が含まれる。前記製造業者(ChoongAng Vaccine Laboratories)が提供する株及びサブタイプは不明である。さらにまた、別の韓国企業、コミファームインターナショナル社(Komipharm International Co.)は一連の死滅、生及びコンビネーションワクチンを提供し、商品名PRO-VAC(商標)(遺伝子グループG1aのPEDV株SM98Pを含む)で市販されている。中国企業(Qilu Animal Health Products Factory)はまたコンビネーション死滅ワクチンを中国で市販し、前記はPEDV及びTGEVを含むが、その株及びサブタイプは不明である。
したがって、必要とされるものは、現在北アメリカで流行している単離株に特異的であって、PEDVによって引き起こされる疾患の臨床徴候を軽減でき、免疫動物で防御免疫(免疫動物のウイルス排出の低下を含む)を誘発できるPEDVワクチンである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1-1】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-2】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-3】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-4】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-5】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-6】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-7】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-8】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-9】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-10】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-11】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-12】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-13】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-14】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-15】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-16】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-17】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-18】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-19】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-20】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-21】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-22】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-23】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-24】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-25】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-26】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-27】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-28】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-29】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-30】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図1-31】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い中国PEDV株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)(配列番号:10)とのDNAアラインメント。
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図2-1】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-2】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-3】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-4】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-5】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-6】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-7】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-8】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-9】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-10】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-11】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-12】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-13】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-14】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-15】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-16】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-17】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-18】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-19】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-20】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-21】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-22】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-23】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-24】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-25】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-26】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-27】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-28】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-29】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-30】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
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図2-31】PEDV 1251-125-10(125-10)ゲノム(配列番号:1)と最も近い北アメリカPEDV株コロラド2013(GenBankアクセッション番号:KF272920)とのDNAアラインメント。
【
図3-1】PEDV 1251-125-10(125-10)スパイクタンパク質(配列番号:14)と北アメリカコロラド株に対応する最も近いGenBank配列(GenBankアクセッション番号:AGO58924)(配列番号:12)とのアミノ酸配列アラインメント。
【
図3-2】PEDV 1251-125-10(125-10)スパイクタンパク質(配列番号:14)と北アメリカコロラド株に対応する最も近いGenBank配列(GenBankアクセッション番号:AGO58924)(配列番号:12)とのアミノ酸配列アラインメント。
【
図4】抗PEDV-IgG ELISAデータのグラフである(D-1、14、28及び49についての抗PEDV-IgG S:P比の群最小二乗平均±標準誤差)。
【
図5】抗PEDV-IgA ELISAデータのグラフである(D-1、14、28及び49についての抗PEDV-IgG S:P比の群最小二乗平均±標準誤差)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、PEDVの不活化/死滅形、及び/又は組換え発現PEDVスパイク抗原を含む免疫原性組成物を提供する。当該ワクチンは、PEDV関連疾患からブタを防御するために設計される。ワクチンは典型的にはPEDVの化学的不活化形を含み、化学的不活化/死滅PEDVウイルスを含むものが特に所望される。別の実施態様では、本ワクチンは、組換え発現スパイク抗原、例えば改変PEDVスパイクタンパク質を発現する組換えバキュロウイルスにより昆虫細胞で生成される、組換え発現スパイク抗原を含む。
本発明のある実施態様は、PEDV遺伝子型2aの1つ以上の抗原を含むワクチンでありうる。好ましい実施態様では、PEDVは北アメリカ起源である。より好ましくは、北アメリカ遺伝子型のPEDVは以下の任意のPEDVである:配列番号:1によってコードされるか又は配列番号:1の配列を含むPEDV;及び/又は、配列番号:1のRNA等価物を含むPEDV;配列が配列番号:1と少なくとも99%同一であるPEDV;及び/又は配列番号:1のRNA等価物と少なくとも99%同一であるPEDV;スパイクタンパク質が配列番号:2、6、8又は13の核酸配列によってコードされるPEDV;スパイクタンパク質が配列番号:2、6、8又は13と少なくとも90%同一である核酸配列によってコードされるPEDV;配列番号:15によってコードされるPEDV;又はその配列が配列番号:15と少なくとも99%同一であるPEDV。
【0021】
本発明の他の好ましい実施態様では、ワクチンは組換えワクチン又は死滅ワクチンである。本発明の例示的な実施態様では、PEDVは、例えば化学的不活化剤による処理によって化学的に不活化され、前記不活化剤は、エチレンイミン、バイナリーエチレンイミン、アセチルエチレンイミン及び前記の混合物から成る群から選択される化合物を含む。好ましい実施態様では、PEDVはバイナリーエチレンイミンによる処理によって化学的に不活化される。
さらに他の本発明の実施態様では、ワクチンはさらにアジュバントを含む。好ましい実施態様では、アジュバントはEMULSIGEN(商標)系水中油エマルジョンである。
本発明のある実施態様では、ワクチンは組換えワクチンである。好ましい実施態様では、そのような組換えワクチンは1つ以上の免疫原性成分を含み、前記免疫原性成分は、PEDVスパイクタンパク質の抗原をコードする単離核酸(当該組換えスパイクポリペプチドは配列番号:3、7、9又は14と少なくとも90%の相同性を有する)、a)の単離核酸を含むベクター、a)の核酸によってコードされる組換えPEDVスパイクタンパク質、及び/又は前記の任意の組み合わせから成る群から選択される。場合によって、そのような組換えワクチンは医薬的に許容できる担体及び/又は賦形剤を含む。ある実施態様では、賦形剤は1つ以上のアジュバントである。好ましくは、アジュバントはEMULSIGEN(商標)水中油エマルジョン系アジュバントである。
本発明のさらに別の特徴では、組換えワクチンはさらに1つ以上の追加の抗原を含み、例えば、追加の抗原はPEDVの構造タンパク質M、E又はNでありうる。
別の実施態様では、組換えワクチンは、単離核酸、ベクター、組換えPEDVスパイクタンパク質、及び/又は後者の少なくとも2つの組み合わせであることができる免疫原性成分を含む。
【0022】
本発明の実施態様はまた、PEDV関連疾患に対して臨床徴候を予防するか及び/又はブタを防御する方法を含み、前記方法は、本明細書に記載した死滅/不活化及び/又は組換えワクチンのいずれかをそのようなブタに投与する工程を含む。例えば、投与されるワクチンは、遺伝子型2aのPEDVの1つ以上の抗原を含む。好ましい実施態様では、PEDVは北アメリカ起源である。より好ましくは、北アメリカ遺伝子型のPEDVは以下の任意のPEDVである:配列番号:1の配列によってコードされるか又は前記を含むPEDV;その配列が配列番号:1と少なくとも99%同一であるPEDV;そのスパイクタンパク質が配列番号:2、6、8又は13の核酸配列によってコードされるPEDV;及び/又はそのスパイクタンパク質が配列番号:2、6、8又は13と少なく90%同一の核酸配列によってコードされるPEDV。
別の実施態様では、前記方法は1つ以上の免疫原性成分を含むワクチンの投与を含み、前記免疫原性成分は、以下のPEDVから成る群から選択される:配列番号:1によってコードされるか又は配列番号:1の配列を含むPEDV;及び/又はRNA等価物(配列番号:16)を含むPEDV;その配列が配列番号:1と少なくとも99%同一であるPEDV;及び/又はRNA等価物(配列番号:15)と少なくとも99%同一であるPEDV;そのスパイクタンパク質が配列番号:2、6、8又は13の核酸配列によってコードされるPEDV;そのスパイクタンパク質が配列番号:2、6、8又は13と少なくとも90%同一である核酸配列によってコードされるPEDV;配列番号:15によってコードされるPEDV;又はその配列が配列番号:15と少なくとも99%同一であるPEDV。
別の実施態様では、前記方法は1つ以上の免疫原性成分を含むワクチンの投与を含み、前記免疫原性成分は、PEDVスパイクタンパク質の抗原をコードする単離核酸(当該組換えスパイクポリペプチドは配列番号:3、7、9又は14と少なくとも90%の相同性を有する)、a)の単離核酸を含むベクター、a)の核酸によってコードされる組換えPEDVスパイクタンパク質、及び/又は前記の任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0023】
本発明のさらに別の実施態様は、PEDV関連疾患に対してブタをワクチン免疫するためのキットを含み、前記キットは、ワクチンをブタに投与することができるディスペンサー及び本明細書に記載するPEDVワクチンを含む。
本発明の実施態様は、請求項5に記載のブタ流行性下痢ワクチンを製造する方法を含み、前記方法は以下の工程を含む:(a)サル細胞にPEDVを接種する工程;(b)接種したサル細胞をインキュベートする工程;(c)接種細胞からPEDVを採集する工程;及び(d)採集細胞を化学的不活化剤(好ましくは、エチレンイミン、バイナリーエチレンイミン、アセチルエチレンイミン又は前記の混合物から成る群から選択される化合物)で処理し、不活化PEDVワクチンを形成する工程。好ましい実施態様では、前記方法は以下のPEDVを含む: 配列番号:1によってコードされるか又は配列番号:1の配列を含む;及び/又は、配列番号:1のRNA等価物を含むPEDV;その配列が配列番号:1と少なくとも99%同一である;及び/又は配列番号:1のRNA等価物と少なくとも99%同一である;そのスパイクタンパク質が配列番号:2、6、8又は13の核酸配列によってコードされる;そのスパイクタンパク質が配列番号:2、6、8又は13と少なくとも90%同一である核酸配列によってコードされる;配列番号:15によってコードされる;又はその配列が配列番号:15と少なくとも99%同一である。
ある実施態様では、前記方法は、配列番号:1及び/又は配列番号:15を含む遺伝子グループ2aのPEDVを含む。前記方法のまた別の実施態様では、接種されるサル細胞はVero細胞である。前記方法の好ましい実施態様では、化学的不活化剤にはバイナリーエチレンイミンが含まれる。前記方法はさらに、PEDVワクチンにアジュバントを添加する工程を含むことができ、好ましくは、アジュバントはEMULSIGEN(商標)水中油エマルジョン系アジュバントである。
【0024】
本発明の別の実施態様は組換えワクチンを製造する方法を含み、前記方法は、宿主細胞でPEDVの1つ以上の抗原を発現させる工程、及びPEDV発現細胞から1つ以上の抗原を採集する工程を含む。そのような実施態様の1つでは、前記方法は1つ以上の抗原を含み、前記抗原は、PEDVスパイクタンパク質の抗原をコードする単離核酸(当該組換えスパイクポリペプチドは配列番号:3、7、9又は14と少なくとも90%の相同性を有する)、a)の単離核酸を含むベクター、a)の核酸によってコードされる組換えPEDVスパイクタンパク質、及び前記の任意の組み合わせを含む。ある例示的な実施態様では、PEDVの1つ以上の抗原は組換えバキュロウイルスベクターによって発現される。前記方法は、昆虫細胞で発現されるPEDVの1つ以上の抗原を含むことができる。ある実施態様はさらに、当該PEDVワクチンへのアジュバントの添加を含み、好ましくは、アジュバントはEMULSIGEN(商標)水中油エマルジョン系アジュバントである。
より一般的な関係では、当業者に公知の多様な化学的不活化剤を用いて、当該ウイルスを不活化することができる。エチレンイミン及び関連する誘導体、例えばバイナリーエチレンイミン(BEI)及びアセチルエチレンイミンが、PEDウイルスの不活化で使用される適切な化学不活化剤の例である。他の化学不活化剤、例えばベータ-プロピオラクトン、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド)及び/又は洗剤(例えばTween(商標)洗剤、Triton(商標)X又はアルキルトリメチルアンモニウム塩)もまたウイルスの不活化に用いることができる。不活化は、当業者に公知の標準的な方法を用いて実施できる。サンプルを周期的な時間間隔で処理し、残留する生存ウイルスをアッセイすることができる。適切な細胞株における細胞変性効果及び/又は適切な特異的モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体による蛍光染色のモニタリングを用いて、残留生存ウイルスの存在を検出できる。
【0025】
BEIによる不活化は、ストックBEI溶液(例えば0.1−0.2Mの2-ブロモ-エチルアミンヒドロクロリドを0.1−0.2NのNaOH水溶液に添加することによって生成される溶液)をウイルス液と約1−5mMのBEI最終濃度で混合することによって達成できる。不活化は、一般的にはBEI-ウイルス混合物を35−40℃(例えば37℃)で定常的に混合しながら24−72時間保持することによって実施される。ウイルス不活化は、チオ硫酸ナトリウム溶液をBEI濃度過剰の最終濃度に添加し続いて混合することによって停止させることができる(例えば、BEIの体積の17%でチオ硫酸ナトリウムを添加して過剰なBEIを中和する)。
本免疫原性組成物は通常アジュバントを含み、さらに所望の場合には、1つ以上の乳化剤(例えばTween(商標)洗剤)が不活化/死滅PEDVに取り込まれる。適切なアジュバントには、例えばビタミンEアセテートソルビリゼート、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム又は酸化アルミニウム(鉱物)油エマルジョン、非イオン性洗剤、スクアレン及びサポニンが含まれる。使用できる他のアジュバントには油基剤アジュバント、例えばフロイントの完全アジュバント(FCA)及びフロイントの不完全アジュバント(FIA)が含まれる。架橋オレフィン性不飽和カルボン酸ポリマー、例えばCARBOPOL(商標)971ポリマーが、本不活化PEDV免疫原性組成物での使用に特に適切なアジュバントであることが見出されている。
適切な水中油エマルジョンの例は、EMULSIGEN(商標)系アジュバント、例えばEMULSIGEN(商標)(水中油エマルジョン)、EMULSIGEN-D(商標)(水中油)(臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウムを含む(DDA))、EMULSIGEN-P(商標)(水中油)(特許の免疫刺激物を含む)、EMULSIGEN-75(商標)(架橋ポリマーを含む水中油を構成する二重アジュバント)、及びEMULSIGEN(商標)-BCL(動物起源の成分を含まない水中油エマルジョン)(MVP Technologies, Inc. Omaha, Nebr., USA)である。不活化PEDV又は組換えPEDVタンパク質を含む医薬/ワクチン組成物は、水中油エマルジョン、好ましくはそのようなEMULSIGEN(商標)系アジュバント、より好ましくはEMULSIGEN(商標)(動物起原の成分を含まない水中油エマルジョン)及びEMULSIGEN(商標)-BCL(動物起原の成分を含まない水中油エマルジョン)により効果的に免疫賦活が補助された。
【0026】
投与の容易さ及び投薬の均一性のために単位剤形で本組成物を処方することが一般的に有益である。本明細書で用いられる単位剤形は、治療されるべき対象哺乳動物に対する一元的投薬として適切な物理的に別個の部分から成るユニットを指し、各ユニットは、所望の治療効果を生じるように計算された予め定めた量の活性物質を必要な医薬担体と一緒に含む。不活化/死滅PEDV及び/又は組換え発現PEDV抗原の単位剤形の詳細は、他の要件の中で特に以下によって決定づけられかつ左右される:(a)活性物質の特徴及び達成されるべき個々の治療効果;(b)疾患の治療のためにそのような活性物質の調合技術における固有の限界;及び(c)単位剤形の意図される投与態様。
主要な活性成分は、本明細書に開示する単位剤形に適した医薬的に許容できる担体とともに、典型的には便利で効果的な投与のために調合される。単位剤形は、例えば1から5相対有効単位(relative potency unit;“RPU”)の範囲の量でPEDV抗原を含むことができる。この抗原量は、一般的には担体の約1から約25/mLで存在する。補充活性成分を含む組成物の場合、投薬量は、当該補充活性成分の通常の用量及び投与態様を参考にして決定される。
本ワクチンは、典型的には医薬的に許容できる担体とともに処方される不活化PEDVを含む。注射可能な使用に適切な医薬形は、一般的には無菌的水溶液(水溶性の場合)又は分散物、及び無菌的注射可能溶液又は分散物の即席調製のための無菌的散剤を含む。処方物は、望ましくは無菌的でありかつ容易な注射針通過性が存在する程度に流動性であるべきである。投薬形は製造及び貯蔵条件下で安定であるべきであり、典型的には微生物(例えば細菌及びカビ)の汚染作用に対抗して保存される。担体は溶媒又は分散媒体であることができ、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、前記の適切な混合物及び植物油を含む。可能な担体の1つは生理学的な塩溶液である。溶液の適切な流動性は、例えばコーティング(例えばレシチン)の使用によって、分散物の場合は必要な粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持できる。微生物作用の防止は、多様な抗菌及び抗カビ剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール(エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム)、デオマイシン、ゲンタマイシンなどによってもたらすことができる。多くの事例で、好ましくは等張剤(例えば糖類又は塩化ナトリウム)を含むことができる。所望の場合には、注射可能組成物の吸収長期化は、当該組成物で吸収延長薬剤(例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)を使用することによってもたらされうる。
【0027】
無菌的な注射可能溶液は、所望量の不活化ウイルスを適切な溶媒に必要とされる上記列挙の多様な他の成分とともに取り入れ、続いてろ過滅菌することによって調製できる。一般的に、分散物は、多様な活性成分を無菌的ビヒクルに取り入れることによって調製できる。前記ビヒクルは、基本分散媒体及び上記に列挙したものに由来する必要な他の成分を含む。無菌的な注射可能溶液の調製のための無菌的散剤の場合には、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、前記は、活性成分に加えて以前に滅菌ろ過されたその溶液に由来する任意の追加された所望成分を含む散剤を生じる。
本組成物に安定化剤を添加して、不活化ウイルスの安定性を改善することはまた有益でありうる。適切な安定化剤には、例えばグリセロール/EDTA、炭水化物(例えばソルビトール、マンニトール、トレハロース、デンプン、シュクロース、デキストラン又はグルコース)、タンパク質(例えばアルブミン又はカゼイン)及びタンパク質分解産物(例えば部分水解ゼラチン)が含まれる。所望の場合には、処方物を当業界で公知の方法によって以下の試薬(例えばリン酸アルカリ金属、例えばリン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウム及び/又はリン酸二水素カリウム)を用いて緩衝することができる。他の溶媒、例えばエタノール又はプロピレングリコールを用いてワクチン処方物における成分の溶解性及び/又は溶液の安定性を高めることができる。本処方物で用いることができるさらに別の添加物には、通常の抗酸化剤及び通常のキレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が含まれる。
【0028】
本発明の組成物及び方法は以下の実施例で詳述されるが、それらは、本発明を例示しそれらの製造及び使用態様の当業者への教示を容易にするために提示される。これらの実施例は本発明の範囲を狭め或いは制限することを一切意図するものではない。
本発明の実施には、特段の指示がなければ、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、タンパク質化学及び免疫学の通常の技術が用いられるであろう(前記は当業界の技術範囲内である)。そのような技術は文献で十分に解説されている。例えば以下を参照されたい:Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols. I, II and III, Second Edition, 1989;DNA Cloning, Vols. I and II(D. N. Glover ed. 1985);Oligonucleotide Synthesis(M. J. Gait ed. 1984);Nucleic Acid Hybridization(B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984);Animal Cell Culture(R. K. Freshney ed. 1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL press, 1986);Perbal, B., A Practical Guide to Molecular Cloning, 1984;以下のシリーズ、Methods In Enzymology(S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Protein purification methods - a practical approach(E.L.V. Harris and S. Angal, eds., IRL Press at Oxford University Press);及びHandbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV(D. M. Weir and C. C. Blackwell eds., 1986, Blackwell Scientific Publications)。
本発明は個々のDNA、RNA、ポリペプチド配列、又はプロセスパラメーターに限定されず、したがってもちろん変動しうることは理解されよう。さらにまた、本明細書で用いられる用語は本発明の個々の実施態様を記載するためであり、限定を意図するものではないことは理解されよう。本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられるように、単数形“a”、“an”及び“the”は、当該内容が明確にそうではないことを示さない限り複数の該当物も含むことは特記されねばならない。したがって、例えば、“an antigen”と言えば2つ以上の抗原の混合物を含み、“an excipient”と言えば2つ以上の賦形剤の混合物を含むということなどである。
【0029】
定義:
特段の指示がなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語及び学術用語は、本発明がその出願時点で関係する技術分野の業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。当該用語の意味及び範囲は明瞭であるべきであるが、何らかの隠れた曖昧さが存在する場合には、ここで提供する定義が一切の非本質的及び標準的定義に優先する。さらにまた、文脈によって特段に必要とされない限り、単数用語は複数形を含み、複数用語は単数形を含むであろう。本明細書では、特段の規定がなければ、“or(又は)”の使用は“and/or(及び/又は)”を意味する。さらにまた、“including(含む)”という語の使用は、他の形態(例えば“includes”及び“included”)と同様に限定的ではない。本明細書で引用する全ての特許及び刊行物は参照により本明細書に含まれる。
“疾患からの防御”、“防御免疫”、“機能的免疫”及び同様な語句は、本発明の1つ以上の治療組成物又はその組合せの投与によって生じる、疾患又は症状に対する応答を意味し、前記応答は、疾患又は感染に暴露された非免疫動物で予想されるよりも少ない有害作用をもたらす。すなわち、当該感染の有害作用の重篤度はワクチンが接種された対象で軽減される。感染は、ワクチン接種対象動物で減少し、減速し、又は完全に予防される可能性がある。完全な感染阻止を意味する場合には、それは明確に記述される。完全な阻止が記述されてなければ、その場合には前記用語は部分的阻止を含む。
【0030】
本明細書では、“臨床徴候の発生率及び/又は重篤度の低下”又は“臨床症状の軽減”は、限定するものではないが、野生型感染と比較して、1つの群の感染対象動物の数の減少、感染の臨床徴候を示す対象動物の数の減少又は排除、又は1頭以上の対象動物に存在する任意の臨床徴候の重篤度の軽減を意味する。例えば、前記は、病原体負荷、病原体排出のいずれかの低下、病原体伝播の軽減、又はPEDVの任意の臨床徴候、症状の緩和を指すはずである、好ましくは、これらの臨床徴候は、前記組成物を投与されずに感染した対象動物と比較して、本発明の治療組成物を投与された1頭以上の対照動物で少なくとも10%軽減される。より好ましくは、臨床徴候は、本発明の組成物を投与された対象動物で少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%軽減される。
“高められた防御”という用語は、限定するものではないが、それぞれワクチン接種対象群対非接種コントロール対象群における、感染性因子(好ましくはPEDV)の感染に随伴する1つ以上の臨床症状の統計的に有意な軽減を意味する。“臨床症状の統計的に有意な軽減”という用語は、ワクチン接種対象群における少なくとも1つの臨床症状の発生の頻度が、当該感染性因子チャレンジ後のワクチン非接種コントロール群よりも少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、さらに好ましくは50%、さらに好ましくは70%低いことを意味する(ただし前記に限定されない)。
【0031】
“長期持続防御”は、少なくとも3週間、しかしより好ましくは少なくとも3カ月、さらに好ましくは少なくとも6カ月持続する“有効性改善”を指すであろう。家畜の場合には、長期持続防御は動物が肉として出荷される平均齢まで持続するのが最も好ましい。
“免疫原性又は免疫学的組成物”は、少なくとも1つのブタ流行性下痢ウイルス又はその免疫原性部分を含む物質の組成物であって、当該組成物に対して細胞性又は抗体媒介免疫応答を宿主で誘引するものを指す。本発明の好ましい実施態様では、免疫原性組成物は免疫応答を誘発し、さらに好ましくはPEDV感染の臨床徴候の1つ以上に対して防御免疫を付与する。
本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた、本明細書に記載するPEDVスパイクタンパク質のいずれかを含む組成物を指す。さらに別の実施態様にしたがえば、そのような免疫原性組成物はさらに、前記PEDVスパイクタンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組換えバキュロウイルスの少なくとも一部分を含む。さらにまた、前記免疫原性組成物は、i)上記に記載の濃度の上記に記載のPEDVタンパク質のいずれか、ii)前記PEDVスパイクタンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組換えバキュロウイルスの少なくとも一部分、及びiii)細胞培養上清の一部分を含むことができる。
したがってある特徴によれば、本発明は、ブタの群れでPEDV感染のパーセンテージを低下させる方法に関し、前記方法は、有効量のPEDVスパイク抗原又はPEDV抗原を含む免疫原性組成物(前記PEDV抗原は、組換えPEDVスパイク抗原、好ましくはバキュロウイルス発現PEDVスパイクタンパク質)を前記ブタに投与する工程を含む。好ましくは、そのような組換え体又はバキュロウイルス発現PEDVスパイクは本明細書に記載の配列を有する。
【0032】
“免疫応答”又は“免疫学的応答”は、限定するものではないが、問題の組成物又はワクチンに対する細胞性及び/又は抗体媒介免疫応答の発生を意味する。通常は、免疫又は免疫学的応答は以下の作用の1つ以上を含む(ただしこれらに限定されない):問題の組成物又はワクチンに含まれる1つの抗原又は複数の抗原を特異的に指向する抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、及び/又は細胞傷害性T細胞の生産又は活性化。好ましくは、宿主は治療的又は防御的な免疫学的(メモリー)応答を示し、そのようにして新規な感染に対する抵抗性が強化されるか、及び/又は当該疾患の臨床的重篤度が低下するであろう。そのような防御は、症状の数、症状の重篤度の低下、又は当該病原体の感染に随伴する症状の1つ以上の欠落、ウイルス血症の発症の遅延、ウイルス持続性の低下、全体的ウイルス負荷の減少、及び/又はウイルス排出の減少によって示されるであろう。
本明細書で用いられるように、“医薬的に又は獣医的に許容できる担体”には、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存料、抗菌及び抗カビ剤、等張剤、吸収遅延剤などが含まれる。いくつかの好ましい実施態様及び特に凍結乾燥免疫原性組成物を含む実施態様では、本発明で使用される安定化剤には凍結乾燥又はフリーズドライのための安定化剤が含まれる。
いくつかの実施態様では、本発明の免疫原性組成物はアジュバントを含む。本明細書で用いられる“アジュバント”には、水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウム、サポニン、例えばQuil A、QS-21(Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GPI-0100(Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、水中油エマルジョン、油中水エマルジョン、水中油中水エマルジョンが含まれうる。
【0033】
エマルジョンは特に以下をベースにすることができる:軽質流動パラフィン油(欧州局法タイプ);イソプレノイド油、例えばスクワラン又はスクワレン;アルケン(特にイソブテン又はデセン)のオリゴマー化から生じる油;酸又はアルコールのエステルで、前記は直鎖アルキル基、より具体的には植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ-(カプリレート/カプレート)又はプロピレングリコールジオレエートを含む;分枝脂肪酸又はアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステル。油は乳化剤と組み合わせて用いられる。乳化剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤、特にソルビタンのエステル、マンニドのエステル(例えばオレイン酸アンヒドロマンニトール)、グリコールのエステル、ポリグリセロールのエステル、プロピレングリコールのエステル、及びオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸、又はヒドロキシステアリン酸のエステル(前記は場合によってエトキシル化される)、並びにポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニック製品、特にL121である。以下を参照されたい:Hunter et al. The Theory and Practical Application of Adjuvants(Ed.Stewart-Tull, D. E. S.);JohnWiley and Sons, NY, pp51-94, 1995;及びTodd et al. Vaccine 15:564-570, 1997。例示的アジュバントは、以下の論文(“Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach”(Ed. M. Powell and M. Newman)Plenum Press, 1995)の147ページに記載されているSPTエマルジョン及び同書の183ページに記載されているエマルジョンMF59である。
適切な水中油エマルジョンの例は、EMULSIGEN(商標)系アジュバント、例えばEMULSIGEN(商標)(水中油エマルジョンo/w)、EMULSIGEN-D(商標)(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)を含む水中油(o/w))、EMULSIGEN-P(商標)(特許の免疫刺激剤を含む水中油(o/w))、EMULSIGEN-75(商標)(架橋ポリマーを含む水中油(o/w)を構成する二重アジュバント)、及びEMULSIGEN(商標)-BCL(動物起源の成分を含まない水中油エマルジョン)(MVP Technologies, Inc. Omaha, Nebr., USA)である。不活化PEDV又は組換えPEDVタンパク質を含む医薬/ワクチン組成物は、水中油エマルジョン、好ましくはそのようなEMULSIGEN(商標)系アジュバント、より好ましくはEMULSIGEN(商標)(水中油エマルジョン(o/w))及びEMULSIGEN(商標)-BCL(動物起原の成分を含まない水中油エマルジョン)により効果的に免疫賦活が補助された。
【0034】
獣医ワクチンで使用される適切な吸着性水酸化アルミニウムゲルの例には、REHYDRAGEL(商標)、REHYDRAGEL-CG(商標)、REHYDRAGEL-LV、REHYDRAGEL-HPA、REHYDRAPHOS(General Chemical, Berkeley Heights, New Jersey, USA)が含まれる。
アジュバントのさらに別の例は、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー並びに無水マレイン酸及びアルケニル誘導体のコポリマーから選択される化合物である。有利なアジュバント化合物はアクリル酸又はメタクリル酸のポリマーであり、前記は特に糖類又は多価アルコールのポリアルケニルエーテルで架橋される。これらの化合物はカルボマーという名称で知られる(Phameuropa Vol. 8, No. 2, June 1996)。当業者はまたU.S. Pat. No. 2,909,462を参照することができ、前記はそのようなアクリルポリマーについて記載している。前記アクリルポリマーは、少なくとも3つの(好ましくは8つを超えない)ヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル化化合物で架橋され、当該少なくとも3つのヒドロキシルの水素原子は、少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカルによって置き換えられる。好ましいラジカルは、2つから4つの炭素原子を含むもので、例えばビニル、アリル及び他のエチレン性不飽和基である。当該不飽和ラジカルはそれ自体他の置換基(例えばメチル)を含むことができる。CARBOPOL.RTM.(ポリアクリル酸としても知られている)(BF Goodrich, Ohio, USA)の名称で販売されている製品が特に適切である。それらは、アリルシュクロース又はアリルペンタエリトリトールで架橋される。それらの中で特に以下を挙げることができる:CARBOPOL.RTM. 974P(ポリアクリル酸としても知られている)、CARBOPOL.RTM. 934P(ポリアクリル酸としても知られている)、及びCARBOPOL.RTM. 971P(ポリアクリル酸としても知られている)。CARBOPOL.RTM. 971P(ポリアクリル酸としても知られている)の使用が最も好ましい。無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマーの中で、無水マレイン酸とエチレンとのコポリマーであるEMAコポリマー(Monsanto)。これらのポリマーの水への溶解は酸性溶液を生じ、前記は、アジュバント溶液を提供するために好ましくは生理学的pHに中和されるであろう(前記アジュバント溶液に免疫原性、免疫学的又はワクチン組成物それ自体が取り込まれるであろう)。
【0035】
さらに別の適切なアジュバントには、とりわけRIBIアジュバント系(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx, Atlanta Ga.)、SAF-M(Chiron, Emeryville Calif.)、モノホスホリル脂質A、アブリジン脂質-アミンアジュバント、大腸菌(E. coli(組換え又は非組み換え))由来易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、又はムラミルジペプチドが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
アジュバントは、1用量当たり約100μgから約10mgの量で、好ましくは1用量当たり約100μgから約10mgの量で、より好ましくは1用量当たり約500μgから約5mgの量で、さらに好ましくは約750μgから約2.5mg、もっとも好ましくは約1mgの量で添加できると予想される。また別には、アジュバントは、最終製品の体積で約0.01から50%の濃度、好ましくは約2%から30%の濃度、より好ましくは約5%から25%の濃度、さらに好ましくは約7%から22%の濃度、もっとも好ましくは10%から20%の濃度でありうる。
“希釈剤”には、水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどが含まれうる。等張剤には、とりわけ塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及びラクトースが含まれうる。安定化剤には、とりわけアルブミン及びエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が含まれる。
“単離され”とは、その天然の状態から“人間の手によって”改変されること(すなわちそれが天然に存在するとしたら、それがその本来の環境から変化させられるか、除去されるか又はその両方であること)を意味する。例えば、生きている生物に天然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは“単離され”ていないが、その天然の状態で一緒に存在する物質から分離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、当該用語が本明細書で用いられるように“単離され”ている。
“安全性”とは、ワクチン接種後にワクチンを接種された動物で有害な結果が存在しないことを指し、前記結果には、ウイルス系ワクチンの病毒性への復帰の可能性、臨床的に顕著な副作用、例えば持続的な全身性症状又はワクチン投与部位の許容不能な炎症が含まれる(ただしこれらに限定されない)。
【0036】
本明細書で用いられる“ワクチン接種”若しくは“ワクチンを接種する”という用語又はその変型は、動物に投与したとき、直接又は間接的に動物でPEDVに対して免疫応答を誘引するか又は誘引することができる、本発明の免疫原性組成物の投与を含むプロセス(ただし前記に限定されない)を指す。
本発明の関係で“死亡率”は、PEDV感染によって引き起こされる死亡を指し、さらに、感染が非常に重篤であるので病気を防ぎその命を人道的に終わらせるために動物を安楽死させる状況も含まれる。
本明細書では、“有効用量”は、抗原が投与される動物で臨床症状の軽減をもたらす免疫応答を誘引又は誘引することができる抗原の量(ただし前記に限定されない)を意味する。
本明細書で用いられるように、組成物の関係で“有効な量”は、動物における感染の発生率を低下させるか又は感染の重篤度若しくは疾患の発生率を軽減する免疫応答を誘発することができる免疫原性組成物の量を意味する。特に、有効な量は1用量当たりのコロニー形成単位(CFU)を指す。また別に、治療の関係では、“有効な量”は、疾患若しくは異常又はその1つ以上の症状の重篤度若しくは持続時間を軽減し、疾患若しくは異常の進行を防ぎ、疾患若しくは異常の退行を引き起こし、疾患若しくは異常に随伴する1つ以上の症状の再発、発達、開始又は進行を防ぎ、又は別の治療若しくは治療薬剤による予防又は治療を強化又は改善するために十分な治療量を指す。
【0037】
当業界で公知のように“配列同一性は”、2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列(すなわち参照配列及び参照配列と比較されるべく与えられた配列)間の関係を指す。配列同一性は、当該配列を最適にアラインメントして最高度の配列類似性(そのような配列鎖間のマッチによって決定される)を得た後で、当該与えられた配列を参照配列と比較することによって決定される。そのようなアラインメントでは、配列同一性は一つ一つ位置が確認される。例えば、個々の位置でヌクレオチド又はアミノ酸残基が同一ならば、当該位置で当該配列は“同一”である。そのような位置同一の総数を参照配列のヌクレオチド又は残基の総数で割って、%配列同一性が与えられる。配列同一性は公知の方法によって容易に計算できる。前記方法には、以下に記載された方法が含まれるが、ただしこれらに限定されない:Computational Molecular Biology, Lesk, A. N., ed., Oxford University Press, New York, 1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinge, G., Academic Press, 1987;Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991;及びCarillo, H., and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073, 1988(前記の教示は参照により本明細書に含まれる)。配列同一性を決定する好ましい方法が設計され、被験配列間の最大のマッチが提供される。配列同一性を決定する方法は、与えられた配列間の配列同一性を決定する公開コンピュータプログラムで体系化されている。そのようなプログラムの例には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al. Nucleic Acids Research, 12(1):387, 1984);BLASTP、BLASTN及びFASTA(Altschul, S. F. et al. J. Molec. Biol., 215:403-410, 1990)。BLASTプログラムはNCBI及び他のソースから公開されている(BLAST Manual, Altschul, S. et al. NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894;Altschul, S. F. et al. J. Molec. Biol., 215:403-410, 1990)(前記の教示は参照により本明細書に含まれる)。これらのプログラムは、与えられた配列と参照配列との間の高レベル配列同一性を得るために、デフォルトギャップ重を用いて最適な配列アラインメントを実施する。少なくとも例えば85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の“配列同一性”を有するヌクレオチド配列のポリヌクレオチドによって例示すれば、与えられたポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、前記が参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチド毎に15まで、好ましくは10まで、より好ましくは5までの点変異を含みうるという点を除いて当該参照配列と同一であることが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一性を有するヌクレオチド配列のポリヌクレオチドでは、当該参照配列のヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までが欠失又は別のヌクレオチドで置換されうるか、又は、当該参照配列の全ヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの数のヌクレオチドが当該参照配列に挿入されうる。参照配列のこれらの変異は、当該参照ヌクレオチド配列の5’又は3’末端の位置又は当該末端の位置の間の任意の場所で生じうる(前記任意の位置は当該参照配列内のヌクレオチド間で個々に又は当該参照配列内で1つ以上の連続する群として散在する)。同様に、参照アミノ酸配列に対して少なくとも例えば85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列同一性を有するアミノ酸配列のポリペプチドでは、当該与えられたポリペプチドのアミノ酸配列は、前記が参照アミノ酸配列の100アミノ酸毎に15まで、好ましくは10まで、より好ましくは5までのアミノ酸改変を含みうるという点を除いて当該参照配列と同一であることが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%配列同一性を有するあるポリペプチド配列を得るために、当該参照配列のアミノ酸残基の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までが欠失又は別のアミノ酸で置換されうるか、又は、当該参照配列のアミノ酸残基の総数の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの数のアミノ酸が当該参照配列に挿入されうる。参照配列のこれらの改変は、当該参照アミノ酸配列のアミノ又はカルボキシ末端で又は当該末端位置の間の任意の場所で生じうる(前記任意の位置は当該参照配列の残基間で個々に又は当該参照配列内で1つ以上の連続する群として散在する)。好ましくは、同一でない残基の位置は保存的アミノ酸置換によって相違する。しかしながら、保存的置換は、配列相同性を決定するときはマッチとして含まれない。
【0038】
“保存的置換”は、全体的な機能性が顕著には変化しないようなアミノ酸残基の置換又は、同様な特徴若しくは特性(サイズ、疎水性など)を有する別のアミノ酸残基による置換を指す。
本明細書で用いられる“配列相同性”は、保存的置換を割り引いて2つの配列の関連性を決定する方法を指す。配列相同性を決定するために、2つ以上の配列が最適にアラインメントされ、必要な場合にはギャップが導入される。換言すれば、参照配列に対して95%配列相同性を有するポリペプチドを得るために、参照配列のアミノ酸残基の85%、好ましくは90%、より好ましくは95%がマッチするか又は別のアミノ酸による保存的置換を含まねばならないか、或いは参照配列の全アミノ酸残基の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までの数のアミノ酸が参照配列に挿入されうる(保存的置換を含まない)。好ましくは、当該相同配列は、少なくとも一続きが50、より好ましくは100、さらに好ましくは250、さらに好ましくは500のアミノ酸を含む。
【0039】
“配列同一性”又は“パーセント同一性”という用語は本明細書では互換的に用いられる。本発明の目的のためには、2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は最適な比較のためにアラインメントされることが定められている(例えば、第二のアミノ酸又は核酸配列との最適なアラインメントのために、ギャップを第一のアミノ酸又は核酸配列に導入できる)。続いて、対応するアミノ酸又はヌクレオチドの位置のアミノ酸又はヌクレオチド残基が比較される。第一の配列の位置が、対応する位置のアミノ酸又はヌクレオチド残基と同じものによって占められているとき、これらの分子は当該位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、これら配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の数/位置(すなわちオーバーラップする位置)の総数x100)。好ましくは2つの配列は同じ長さである。配列同一性がタンパク質の関係で用いられるとき、同一ではない残基の位置はしばしば保存的アミノ酸置換によって相違することは知られている(保存的置換では、同様な化学的特性(例えば電荷又は疎水性)を有するアミノ酸残基で置換され、したがって当該分子の機能的特性を変化させない)。配列が保存的置換で相違するとき、パーセント配列同一性は上方調整され、置換の保存的性質のために改変できる。そのような保存的置換によって相違する配列は、“配列類似性”又は“類似性”を有すると称される。
配列比較は、比較される2つの配列の全長にわたって又は2つの配列のフラグメントにわたって実施されうる。典型的には、比較は、比較される2つの配列の完全長にわたって実施されるであろう。しかしながら、配列同一性は、例えば20、50、100又は100を超える連続アミノ酸残基の領域にわたって実施されうる。
【0040】
2つの配列間の相同性を決定するためにいくつかの異なるコンピュータプログラムが利用可能であることを当業者は認識しているであろう。例えば、2つの配列間の配列比較及びパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成できる。好ましい実施態様では、2つのアミノ酸又は核酸配列間のパーセント同一性は、NeedlemanとWunsch(J. Mol. Biol. (48): 444-453, 1970)のアルゴリズムを用いて決定され(前記アルゴリズムはAccelrys GCGソフトウェアパッケージ(以下で入手できる:http://www.accelrys.com/products/gcg/)のGAPプログラムに取り込まれている)、前記アルゴリズムでは、Blosum 62マトリックス又はPAM250マトリックスのどちらか並びに16、14、12、10、8、6又は4のギャップ重及び1、2、3、4、5又は6の長さ重が用いられる。これら種々のパラメーターのいずれもわずかに異なる結果をもたらすであろうが、2つの配列の全体的なパーセンテージ同一性は、異なるアルゴリズムを用いたときに有意には変化しないことは当業者には理解されよう。
本発明のタンパク質配列又は核酸配列をさらにまた“クエリー配列”として用い、公開データベースに対して検索を実施して、例えば他のファミリーメンバー又は関連配列を同定することができる。そのような検索は、BLASTN及びBLATPプログラム(バージョン2.0)(Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10)を用いて実施できる。BLASTタンパク質検索をBLASTPプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実施して、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較の目的のためにギャップ付加アラインメントを得るために、ギャップ付加BLASTをAltschulら(Nucleic Acids Res. 25(17): 3389-3402, 1997)が記載したように利用することができる。BLAST及びギャップ付加BLASTプログラムを利用するとき、対応するプログラム(例えばBLASTP及びBLASTN)のデフォルトパラメーターを用いることができる。国立生物工学情報センターのホームページ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照されたい。
本発明の特許請求の範囲のPEDVはまた、PEDV単離株1251-125-10(“125-10”)及びその部分フラグメントの変種を包含するであろう。そのような変種は本質的にはオクラホマ(Oklahoma)株(配列番号:1及び15)の特徴と同じ免疫学的特性を有する。“本質的に同じ免疫学的特性を有する”という用語は、前記変種が、下記に記載するPEDVによって引き起こされる臨床徴候の治療において又は下記に記載する有効性パラメーターの改善において本質的に有効であることを包含するが、このことに限定されない。
【0041】
配列番号:1、2、3、6、7、8、9、14及び15の配列に関して“変種” (例えばポリペプチド又は核酸配列)という用語は、実質的に類似する配列を意味することが意図される。オープンリーディングフレームを含むヌクレオチド配列については、変種は、遺伝子暗号の縮退のために天然のタンパク質と同一のアミノ酸配列をコードする配列を含む。変種ヌクレオチド配列はまた合成によって誘導されるヌクレオチド配列(例えば位置指定変異導入を用いて生成されるもの)を含み、さらにオープンリーディングフレームについては、変種ヌクレオチド配列は、天然のタンパク質の他に、コドンの最適化の目的で天然のタンパク質に対してアミノ酸置換を有するポリペプチドをコードするものをコードする。一般的には、本発明のヌクレオチド配列変種は、記載のアラインメントプログラムの1つを標準パラメーターを用いて実施したとき参照配列と比較して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%又は89%、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%又は94%、もっとも好ましくは少なくとも95%、96%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.99%の配列同一性を有するであろう。
【0042】
当業界で知られているように“遺伝子グループ”という用語は、属の中の関連するウイルスを指し、前記はさらに遺伝子クラスターに下位分類できる。PEDVの同定された遺伝子グループには、G1(サブグループG1a、G1b、R(弱毒/馴化)を含む)及びG2(サブグループG2a及びG2bを含む)が含まれる。G2a遺伝子グループのメンバーには、中国株AH2012(GenBankアクセッション番号: KC210145)及び北アメリカ株(いくつかの固有のヌクレオチド変化を共有する)が含まれる。AH2012とMN及びIA2株は99.6%、IA1株は99.5%のヌクレオチド同一性をそれぞれ有していた。研究者らは、AH2012様ウイルスはおそらく中国東部領域に伝播され、続いて米国に輸送され、北アメリカ株の最も近い先祖である蓋然性が大であると考えている。遺伝子グループ2aのメンバーは、遺伝子グループ1aのプロトタイプPEDV CV777株と約96.9%の類似性しか共有しない(Bridgen, et al. 1993;Huang et al. 2013;GenBank:AF353511.1)。したがって、歴史的なCV777由来G1a株又はDR13由来G1b株をベースにする弱毒PEDVワクチンは、新規に出現した中国及び北アメリカG2a PEDV株と抗原的に関連性が低いかもしれない。
近縁の北アメリカ単離株US/Colorado/2013(GenBankアクセッション番号:KF272920.1)もまた報告されている(Marthaler et al. 2013)。上記の北アメリカ単離株と同様に、CO/13の完全なPEDVゲノムは、GenBankで入手できる他の完全なPEDVゲノムと96.5から99.5%のヌクレオチド同一性を有し、中国株AH2012(GenBankアクセッション番号:KC210145)と最も高いヌクレオチド同一性(99.5%)を有する。中国株AH2012は2a遺伝子グループのメンバーである。北アメリカ単離株CO/13の完全なゲノムとPEDV参照株CV777の完全なゲノムとの比較は、CO/13は1ヌクレオチドの挿入(48位)及び5’UTRに5ヌクレオチドの欠失(73位及び83から86位)を含み、一方、スパイク遺伝子は16ヌクレオチドの挿入(20804、20810から20820、20843、及び21053から21055位)及び7ヌクレオチドの欠失(20853及び21118から21124位)を含むことを示している。
【0043】
“北アメリカ起源のPEDV”という用語は以下を意味する:配列番号:1及び/又は配列番号:15を含むPEDV単離株、及び/又は配列番号:1と少なくとも99%の配列同一性を有する任意のPEDV単離株、及び/又は配列番号:1のRNA等価物と少なくとも99%同一である任意のPEDV単離株、及び/又はスパイクタンパク質が配列番号:13によってコードされるPEDV単離株、及び/又はスパイクタンパク質が配列番号:13と少なくとも98%の配列同一性を有する任意のPEDV単離株、及び/又は発現されるスパイクタンパク質が配列番号:14と少なくとも90%の相同性を有する任意のPEDV単離株。
当業界で知られているように“クレード”という用語は、1つの祖先及び当該祖先の全ての子孫から成るグループ(系統樹における単一の“枝”)を指す。一例として、当該祖先は1個体、1集団又は1つの種である。遺伝子グループは複数のクレードを含み、例えばAH2012は北アメリカ単離株とは異なるクレードである。
さらに別の実施態様にしたがえば、本発明はまた、本明細書に記載の核酸分子のいずれかを含むベクターに関する。換言すれば、本発明は、任意のそのようなスパイクM、E、N PEDVタンパク質、又はその部分のコード配列を含むベクターに関する。好ましくは、前記ベクターは発現ベクターであり、任意のそのようなスパイクM、E、及び/又はN PEDVタンパク質又はその部分の発現を可能にする。本発明のベクターは、in vitro又はin vivoにおける細菌細胞、酵母細胞又は動物細胞の感染又はトランスフェクションに適切なものである。
【0044】
ベクター及び発現のためのベクターの製造及び/又は使用方法は以下に記載の方法であるか又は類似の方法でありうる:米国特許4,603,112号、4,769,330号、5,174,993号、5,505,941号、5,338,683号、5,494,80号、4,722,848号、5,942,235号、5,364,773号、5,762,938号、5,770,212号、5,942,235号、382,425号、PCT公開広報WO 94/16716、WO 96/39491、WO 95/30018;Paoletti, “Applications of pox virus vectors to vaccination: An update” PNAS USA 93: 11349-11353, October 1996;Moss,“Genetically engineered poxviruses for recombinant gene expression, vaccination, and safety” PNAS USA 93: 11341-11348, October 1996;Smith et al., U.S. Pat. No. 4,745,051(組換えバキュロウイルス);Richardson, C. D. (編集), Methods in Molecular Biology 39,“Baculovirus Expression Protocols”(1995 Humana Press Inc.);Smith et al.,“Production of Human Beta Interferon in Insect Cells Infected with a Baculovirus Expression Vector” Molecular and Cellular Biology, December, 1983, Vol. 3, No. 12, p. 2156-2165;Pennock et al.,“Strong and Regulated Expression of Escherichia coli B-Galactosidase in Infect Cells with a Baculovirus vector” Molecular and Cellular Biology March 1984, Vol.4, No.3, p.406;EPA 0 370 573;米国特許出願No.920,197(1986年10月16日出願);欧州特許出願265785;米国特許4,769,331(組換えヘルペス);Roizman,“The function of herpes simplex virus genes: A primer for genetic engineering of novel vector” PNAS USA 93:11307-11312, October 1996;Andreansky et al.,“The application of genetically engineered herpes simplex viruses to the treatment of experimental brain tumors” PNAS USA 93: 11313-11318, October 1996;Robertson et al.,“Epstein-Barr virus vectors for gene delivery to B lymphocytes” PNAS USA 93: 11334-11340, October 1996;Frolov et al.,“Alphavirus-based expression vectors: Strategies and applications” PNAS USA 93: 11371-11377, October 1996;Kitson et al., J. Virol. 65, 3068-3075, 1991;米国特許5,591,439号、5,552,143号;WO 98/00166;米国特許出願(allowed)08/675,556及び08/675,566(ともに1996年7月3日出願(組換えアデノウイルス);Grunhaus et al., 1992,“Adenovirus as cloning vectors”ウイルス学セミナー(Vol.3) p.237-52, 1993;Ballay et al. EMBO Journal, vol.4, p.3861-65, Graham, Tibtech 8, 85-87, April, 1990;Prevec et al., J. Gen Virol. 70, 42434;PCT WO91/11525;Felgner et al., 1994, J. Biol. Chem. 269, 2550-2561, Science, 259: 1745-49, 1993;及びMcClements et al.,“Immunization with DNA vaccines encoding glycoprotein D or glycoprotein B, alone or in combination, induces protective immunity in animal models of herpes simplex virus-2 disease” PNAS USA 93: 11414-11420, October 1996;及び米国特許5,591,639号、5,589,466号及び5,580,859号の他に、WO 90/11092、WO93/19183、WO94/21797、WO95/11307、WO95/20660;Tang et al., Nature, and Furth et al., Analytical Biochemistry, relating to DNA expression vectors。特に以下もまた参照されたい:WO 98/33510;Ju et al., Diabetologia, 41: 736-739, 1998(レンチウイルス発現系);Sanford et al., 米国特許4,945,050号;Fischbachet al. (Intracel);WO 90/01543;Robinson et al.,免疫学セミナー vol.9, pp.271-283, 1997(DNAベクター系);Szoka et al.,米国特許4,394,448号(生細胞へのDNA挿入方法);McCormick et al.,米国特許5,677,178号(細胞変性ウイルスの使用);及び米国特許5,928,913号(遺伝子デリバリー用ベクター)並びに本明細書に引用した他の文書。
好ましいウイルスベクターにはバキュロウイルス、例えばBaculoGold(BD Biosciences Pharmingen, San Diego, Calif.)が含まれるが、ただし生産細胞が昆虫細胞であることを条件とする。バキュロウイルス発現系が好ましいが、他の発現系も本発明の目的(すなわち細胞培養上清へのHGの発現)のために機能することは当業者には理解されよう。そのような他の発現系は、培地へのH5発現を引き起こすためにシグナル配列の使用を必要としうる
【0045】
有効用量:
本明細書に記載の化合物は、PEDV関連疾患を予防するために治療的に有効な用量で対象に投与できる。投薬量は、例えば宿主のサイズ、体重及び齢のような要件と同様にワクチンを投与される宿主に左右されるであろう。
処方物に用いられるべき本発明の免疫原性組成物の正確な量は、投与経路及び対象の性質(例えば齢、サイズ、疾患の病期/レベル)に左右され、標準的な臨床技術にしたがって施術者の判断及び各対象の環境に応じて決定されるべきである。有効な免疫量は、対象でPEDV感染疾患を治療又は予防するために十分な量である。
組成物の免疫原性は、当該組成物による免疫後に試験対象の免疫応答を、当業界で公知の任意の免疫アッセイを使用してモニターすることによって決定できる。液性(抗体)応答及び/又は細胞媒介免疫の発生は免疫応答の指標として利用できる。試験対象動物には例えばブタ、マウス、ハムスター、イヌ、ネコ、ウサギ、乳牛、ウマ、ヒツジ、家禽(例えばニワトリ、アヒル、ガチョウ及びシチメンチョウ)及び人間が含まれる。
試験対象動物の免疫応答は、感染症因子のレベル(例えばウイルスレベル)をアッセイするために(例えば対象動物のサンプルを培養することによって)、多様なアプローチ又は当業界で公知の他の技術によって分析できる。前記多様なアプローチは例えば、得られた免疫血清の当該免疫原性複合物に対する反応性(公知技術(例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、イムノブロット、免疫沈澱、ウイルス中和など)によってアッセイ);又は当該病原体による感染から免疫宿主の防御、及び/又は免疫宿主における当該病原体による感染に起因する症状の緩和(当業界で公知の任意の方法によって決定)である。感染症因子のレベルはまた、当該免疫グロブリンが対抗する抗原のレベルを測定することによって決定できる。感染症因子のレベルの低下又は感染症の症状の緩和は当該組成物が有効であることを示す。
【0046】
本発明の治療薬は、動物でのin vivo使用の前に、所望の治療活性又は予防活性のためにin vitroで試験することができる。例えば、個々の治療薬の投与が適正であるか否かを決定するために用いることができるin vitroアッセイには細胞培養アッセイが含まれる。前記アッセイでは、細胞株由来の適切な細胞、又は特定の疾患又は異常を有する対象から培養された細胞が治療薬に暴露されるか、或いは治療薬を投与され、当該治療薬の当該細胞に対する効果が観察される。
また別には、当該治療薬は、前記を細胞(対象から培養されるか又は培養細胞株に由来する)(前記細胞は当該感染症因子による感染に感受性であるが当該感染症因子に感染しない)に接触させ、当該感染症因子に暴露し、続いて治療薬と接触させた細胞の感染率が治療薬と接触しなかった細胞の感染率より低いか否かを決定することによってアッセイできる。細胞の感染症因子による感染は当業界で公知の任意の方法によってアッセイできる。
加えて、当該抗体が対抗する分子のレベルを動物モデル又はヒト対象で治療前、治療中又は治療後に適切な時間間隔で測定することによって、当該治療薬を評価することができる。当該分子の量の一切の変化又は無変化を認定して、対象における治療の効果と相関させることができる。当該分子のレベルは当業界で公知の任意の方法によって決定できる。
本発明の方法及び組成物を用いて動物をPEDVに対してワクチン免疫した後、当業界で公知の任意の結合アッセイを用いて、生じた抗体と当該特定の分子との間の結合を評価することができる。これらのアッセイはまた、特定の抗原に対するより高い親和性又は特異性を示す抗体を選別するために実施することができる。
【0047】
対象への投与:
好ましい投与ルートには鼻内、経口、皮内及び筋肉内が含まれるが、ただしこれらに限定されない。本発明の組成物はまた1用量、2用量又は3用量以上で、さらに他の投与ルートでも投与できることは当業者には理解されよう。例えば、そのような他のルートには皮下、皮内、静脈内、脈管内、動脈内、腹腔内、髄腔内、気道内、皮内、心臓内、小葉内、脊髄内、肺内、及び膣内が含まれる。所望される治療持続期間及び有効性に応じて、本発明の組成物は、1回又は数回、或いは間歇的に、例えば数日間毎日、数週間、数カ月さらに種々の投薬量で投薬できる。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すために含まれる。以下の実施例で開示される技術は、本発明によって発見され本発明の実施で良好に機能する技術を表し、したがって本発明の実施のために好ましい態様を構成すると考えることができることは当業者には理解されるはずである。しかしながら、本開示を踏まえて、多くの変更が開示の具体的実施態様において実施可能であり、なお本発明の趣旨及び範囲から外れることなく同様な類似の結果を得ることができることは当業者には理解されよう。
【実施例1】
【0048】
不活化PEDV株の単離及び製造
ブタ流行性下痢ウイルスワクチン、死滅ウイルスを製造するために、PEDV(単離株)のマスターシード培養をまず初めに作製した。このマスターシードから、PEDVの培養を増殖させ、続いて不活化した。続いてこの不活化ウイルス培養をアジュバントと混合して、ブタ流行性下痢ウイルスワクチンを製造した。以下の方法が、ブタ流行性下痢ウイルスワクチンを製造するために用いられた。
激しい下痢を示す動物又は動物の組織を2013年に入手した。これらの動物から粘膜剥離物のホモジネートを作製し、0.2ミクロンの注射器フィルターでろ過し、ろ液を用いてアフリカミドリザル腎細胞(VERO)に接種した。ウイルスをPEDV維持培地の存在下で増殖させた(前記維持培地は、改変MEM、ブタトリプシン、トリプトースホスフェートブロス、酵母抽出物及びHEPES緩衝液を含む)。ウイルスの増殖は、特徴的な合胞体形成及び単層細胞の融合についてチェックすることによって判定及び可視化した。CPE陽性材料をイルミナ(Illumina)ベースのMiSeq技術を用いて配列決定に付した。
PEDVマスターシードウイルス培養物(“PEDV MSV”)を作製するために、ブタ流行性下痢ウイルス株(単離株)(PEDV単離株)をBI VERO細胞で単離し、BI VERO細胞で合計19代継代し、続いて2013EU VERO細胞で30代まで増殖させた。継代30代目のウイルスをマスターシードウイルス(PEDV KV-1251-125-10-OKと称する)として取りおいた。
【0049】
マスターシードウイルスから、PEDV(KV-1251-125-10-OK、本明細書では今後“125-10”と称する)の培養物を、PEDV維持培地中で2013EU VERO細胞をPEDV KV-1251-125-10-OK MSVに感染させることによって作製した。前記維持培地は、改変最小必須培地,ブタトリプシン(10μg/mL)、トリプトースホスフェートブロス(0.3%)、酵母抽出物(0.02%)及び1M HEPES緩衝液(2.5%)を含む。典型的には、2013EU VERO細胞を10
4 TCID
50/850cm
2ローラーボトルの最小用量のPEDV(125-10)MSVで感染させた。そのような培養物を無菌的な使い捨てローラーボトル中又はマイクロキャリアビーズ上で増殖させることができる。培養物を細胞変性効果(“CPE”)が観察されるまで36℃±2℃で24から48時間インキュベートした。典型的には、特徴的な合胞体は感染から12時間以内に認めることができ、合胞体は拡大し、単層細胞は24−48時間で融合し、続いて細胞は剥離する。インキュベーション中に、培養物をPEDV誘発CPEについてモニターして、純粋なPEDV株を担保する。非定型的CPEが観察されるか、又は肉眼的若しくは顕微鏡的汚な汚染の証拠が存在する場合には、培養物を廃棄する。純粋なウイルス培養物を無菌的に滅菌カーボイに採集する。ウイルスを凍結融解して、細胞結合ビリオンを遊離させ、遠心分離によって又は0.45ミクロンフィルター続いて0.2ミクロンフィルターからろ過し清澄化した。不活化前に、バルクウイルス採集液を試験し、マイコプラズマが存在しないことを確認した。直ちに不活化しない採集液は-70℃以下で保存した。
採集液の体積を決定し、液の温度を36±2℃にした。0.4Mの2-ブロモエチレンアミン(BEA)溶液を0.3NのNAOHのストック溶液と混合してバイナリーエチレンイミン(BEI)を生成し、前記を続いて採集液に添加して5mMのBEIの最終濃度を提供した。この液を最低24時間持続的に撹拌した。1.0Mのチオ硫酸ナトリウム溶液を5mMの最終濃度となるように添加して、一切の残留BEIを中和した。この不活化液を長期保存のために-70±3℃で、又は短期間のために4±3℃で保存することができる。
BEIによる処理の後、PEDVに典型的なCPEを誘発する能力について培養物を試験して、ウイルスの不活化を担保した。この作業は、BEI処理ウイルス液をVERO細胞で継代し、何らかのウイルス感染についてVERO細胞をチェックすることによって実施した。典型的には、BEI処理培養液は不活化アッセイが完了するまで-70℃以下で保存した。
不活化ウイルスは、当該不活化PEDV培養をアジュバントEMULSIGEN(商標)-BCL(20%含有率)と十分にブレンドしてバルクシリーズを形成することによって処方した。このバルクシリーズはバイアルに移すまで2−8℃で維持し、バイアルは1用量又は10用量(2.0mL/用量)を含む。
【実施例2】
【0050】
PEDV単離株125-125-10“125-10”のゲノム配列分析
サンプル調製及び分析:抽出の前に、ウイルス組織培養上清をDNase及びRNaseのカクテルで前処理して残留宿主細胞ゲノム核酸を除去した。続いて、ウイルスゲノムRNAをヌクレアーゼ処理サンプルからQiagenウイルスRNA抽出キット(Cat #52906)を用いて抽出した。抽出後、サンプルをDNaseで再び処理しウイルスゲノムRNAをさらに濃縮した。その後、ランダムプライムによる逆転写及びクレノーフラグメント処理を介して、ウイルスゲノムRNAを二本鎖cDNA(ds cDNA)に変換した。続いてds cDNA生成物を用いて、イルミナ系配列決定のためのライブラリーをNextEraXTライブラリー調製キット(Cat #FC-131-1024)で作製した。バイオインフォーマティクスによる誤選別の確率を最小限にするために、各サンプルの5’末端及び3’末端の両方に固有のタグのバーコードを付した。このライブラリーを500サイクルキット(Cat # MS-102-2003)を用いてMiSeqで稼働させ、データをNextGene(バージョン5.1)及びSequencherソフトの組み合わせを用いて分析した。25を超えないQ-スコア中央値を含むものとして高品質配列を選択し、3’末端の3塩基を超えない不要塩基又は16未満のQ-スコア測定を有する連続3塩基を切り捨ててトリミングを実施した。続いて、35bpのストレッチにわたる85%以上のマッチングを基準にしてこれらの配列をde novoでアッセンブリングして、各株の推定的PEDV完全ゲノムを作製した。続いて、鋳型をベースとするアラインメントによって前記推定的完全ゲノム配列を検証して、一ヌクレオチド多形性(SNP)又は可変性小挿入/欠失を確認した。
サンプル1251-125-10のために、合計570,253の配列(低品質データのトリミング後に136bpの平均長を有する)を作製した。これらの配列のうちで、484,247(84.9%)は27,995bp長の単一コンティグに集合し、前記はBLASTn分析により一本鎖RNAアルファコロナウイルスPEDVと強い同一性を示した。合計11の位置が一ヌクレオチド又は小挿入/欠失の多形性を示した。これらの位置を表1に示す。
【0051】
表1:単離株1251-125-10“125-10”の多形性残基
【0052】
1251-125-10(配列番号:1)の推定的完全/準完全PEDVゲノムをPEDVの最も近い中国AH2012単離株(GenBankアクセッション番号:KC210145)及び北アメリカコロラド2013単離株(GenBankアクセッション番号:AGO58924)とアラインメントした(
図1及び
図2参照)。両単離株の同一性は99.2%を超え、両株(ともに遺伝子グループ2a)と非常に近縁であることを示している。
次に、免疫原性スパイクタンパク質の配列をPEDVスパイクタンパク質のより大きなGenBank集積に対してタンパク質同一性/類似性について調査した。繰り返せば、付託された最も近いGenBank単離株は、ミネソタ大学獣医診断研究室によって寄託された北アメリカコロラド2013株(GenBankアクセッション番号:AGO58924)に由来し、99.5%同一性を示す(1386のうち1380がアミノ酸同一)(
図3)。6つのアミノ酸変化のうち、1つは23,101位の多形性に起因し、前記は、838位において大半でCGA(Arg)又は一部でCAA(Gln)をコードする。北アメリカコロラド2013株はこの位置にGlnを含む。
【実施例3】
【0053】
ウイルス不活化をモニターする方法
PEDVウイルスの各ロット又はプールをVERO細胞で継代することによって不活化についてチェックする。75cm
2の24時間培養物に2.0mLの不活化PEDV液を接種し、36±3℃で48時間維持した。1フラスコのVERO細胞を未接種のままにする。陽性ウイルスコントロールのために、VERO細胞の培養物の1つに陽性コントロールPEDVを接種する。インキュベーション期間の終了時に、単層細胞をPEDVに典型的なCPEについて調べた。材料を3回凍結融解し、続いて各材料の2mLを1日齢のVERO細胞に接種する。培養は37±2℃で48時間維持されるべきである。第二回の継代に続いて、第三回の継代を実施する。インキュベーション及び継代の後で、免疫蛍光染色が得られないことによって決定される、BEI処理ウイルス液にウイルス感染細胞が存在しないことは、満足な不活化検査を構成する。陽性コントロールウイルスを接種されたコントロール細胞はPEDVに典型的なCPEを示し、非接種フラスコはPEDV CPEの証拠を示さないであろう。
【実施例4】
【0054】
PEDVスパイク抗原をコード及び発現する組換えバキュロウイルスの構築
改変PEDVスパイクタンパク質を発現する組換えバキュロウイルスを介して、バキュロディスプレー-スパイク抗原を昆虫細胞で生成した。略記すれば、PEDVスパイクタンパク質(配列番号:3)をコードする核酸配列(配列番号:2)を、特異的なプライマー(フォワードプライマーは配列番号:4、リバースプライマーは配列番号:5)を用いて診断サンプルからクローン化した。PEDVスパイクシグナルペプチド、トランスメンブレンドメイン、及びC-末端ドメインを除去するために、前記クローン化PEDVスパイクコード配列を改変した(配列番号:6)。これらのドメインは、オーバーラップ伸長PCRによって水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSVG)に由来する等価ドメインと入れ替えられた。相補的な制限部位を用いて、VSVG-PEDVS-VSVGコード配列(配列番号:8)をバキュロウイルストランスファーベクター(pVL1393)に移した。改変スパイクタンパク質(配列番号:9)を発現するVSVG-PEDVS-VSVGスパイクコード配列を含むpVL1393ベクターを用いて、Sf9昆虫細胞をFlashBAC ULTRAバキュロウイルスDNAとともにコトランスフェクトした。組換えバキュロウイルスを増幅させ、PEDV特異的血清を用いてIFA及びウェスタンブロットによってPEDVスパイクタンパク質発現についてチェックした。PEDVスパイクタンパク質は、100,000gの遠心分離工程の後でバキュロウイルス粒子と一緒に沈殿することが示され、前記タンパク質はバキュロウイルスに随伴していることが示唆された。
【実施例5】
【0055】
PEDVスパイク抗原を含む医薬組成物(ワクチン)の調製
不活化PEDV材料のために、PEDVウイルス採集物を5mMのBEIで最小限24時間不活化し、清澄化して0.45μmフィルターでろ過した。
中和後、多様なアジュバントを添加し以下のワクチン/医薬組成物を生成した。
【実施例6】
【0056】
不活化PEDV及びバキュロウイルススパイクワクチンのブタへの接種並びに血清学的応答の評価
本実験の目的は、不活化PEDVウイルスの免疫原性をワクチン接種ブタの防御について示すことである。本実験で用いられたワクチンは、不活化PEDVウイルス及びバキュロディスプレー-スパイク(バキュロ-S)タンパク質構築物を含んでいた。不活化PEDVワクチン及びバキュロディスプレー-スパイク(バキュロ-S)タンパク質ワクチンはともにEMULSIGEN(商標)-BCLアジュバントを添加された。以前のチャレンジ実験は、臨床的防御とPEDVチャレンジから21日後の血液で検出されたIgA及びIgG応答との間で強い正の相関を示した(De Arriba et al. 2002)。したがって、プロトタイプワクチンの各々の血清学的応答をIgG及びIgA ELISA分析によって評価した。加えて、ウイルス中和アッセイを当該血清で実施した。
実験設計:2つのプロトタイプPEDVワクチンに対する血清学的応答を判定するために実験を設計した。
18匹のブタ(D1で28±7日齢)を3処置グループに任意抽出し(表2参照)、実験期間中一室に収容した。D0、D14及びD28に動物の筋肉内にプラセボ又は2つのPEDVプロトタイプワクチンの1つを接種した。D0からD49までずっと臨床徴候についてブタをモニターした。D0−D4、D14−D18及びD28−D32に直腸温度及び注射部位をモニターしてワクチンの安全性を判定した。糞便、口及び鼻の拭き取りサンプル並びに血清をD1、3、14、17、28、31及び49に仔豚から採取した。D1、14、28及び49に採取した血清サンプルを、抗PEDV-IgGについてはELISAによって及び中和抗体の存在についてはFFNアッセイによってスクリーニングした。D1、D3、17及び31に収集した糞便サンプル及び血清をPCRによって判定して、いずれのプロトタイプもブタで複製できないことを確認した。D14、28及び49の糞便サンプルを将来の評価の可能性のために-70℃で保存した。D49に動物を人道的に安楽死させ剖検した。
【0057】
表2:実験設計の要旨
【0058】
プロトタイプワクチン:表4a及び4bはプロトタイプワクチンを記載している。プラセボ処置のために、2mLのPBS製品を投与した。バキュロディスプレー-スパイク抗原は、改変PEDVスパイクタンパク質を発現する組換えバキュロウイルスにより昆虫細胞で生成した。略記すれば、PEDVスパイクタンパク質のためのコード配列を、特異的なプライマーを用いて診断サンプルからクローン化した。PEDVスパイクシグナルペプチド、トランスメンブレンドメイン、及びC-末端ドメインを除去するために、前記クローン化PEDVスパイクコード配列を改変した(配列番号:7)。これらのドメインは、オーバーラップ伸長PCRによって水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSVG)に由来する等価ドメインと入れ替えた(配列番号:8)。相補的な制限部位を用いて、VSVG-PEDVS-VSVGコード配列をバキュロウイルストランスファーベクター(pVL1393)に移した。VSVG-PEDVS-VSVGスパイクコード配列を含むpVL1393ベクターを用いて、Sf9昆虫細胞をFlashBAC ULTRAバキュロウイルスDNAとともにコトランスフェクトした。組換えバキュロウイルスを増幅させ、PEDV特異的血清を用いてIFA及びウェスタンブロットによってPEDVスパイク発現についてチェックした。PEDVスパイクタンパク質は、100,000gの遠心分離工程の後でバキュロウイルス粒子と一緒に沈殿することが示され、前記タンパク質はバキュロウイルスに随伴していることが示唆された。不活化PEDV材料のために、PEDVウイルス採集物を5mMのEBIを用いて24時間不活化し、清澄化して0.45μmフィルターでろ過した。
【0059】
表4a:PEDVプロトタイプワクチン材料の要旨:不活化ウイルス採集物
【0060】
表4b:PEDVプロトタイプワクチン材料の要旨:バキュロディスプレー-スパイク
【0061】
PEDVワクチン接種:D0、14及び28に、研究者又は指名された者が全てのブタにワクチン材料を投与した。各豚は、2mLのBEI不活化PEDVワクチン、1mLのバキュロディスプレー-スパイクプロトタイプ、又は2mLのプラセボを筋肉内にそれら動物の齢に適切な無菌的注射針及び注射器を用いて投与された。D0及びD28に、ワクチンは首の右の筋肉組織に投与され、さらにD14には首の左の筋肉組織に投与された。
組織の収集:肉眼的病巣についてブタを評価した。異常は剖検で記録した。小腸及び結腸の新鮮サンプル並びに肺臓、心臓、脾臓、腎臓、小腸、結腸及び肝臓の固定切片を収集した。新鮮サンプルは、BIVI-Amesにて実験の完了後最低でも6カ月間-70℃で保存した。固定切片は、BIVI-Amesにて実験の完了後最低でも6カ月間室温で保存した。
ウイルスアッセイ:PEDV RT-PCR:表3に記載したようにRT-PCRによってサンプルをスクリーニングした。定量的一工程RT-PCRキット(iScript
TM 一工程RT-PCRキットプローブ用;BioRad, cat no. 170-8895)をアッセイに用いた。プライマー、プローブ及びウルトラマーの配列情報は以下のとおりである:PEDV-qPCR-プローブ、5’-6-FAM/ACAGAGCCTGTGTTGGTGTATAGTAACAT-3’BHQ_1(配列番号:16);PEDV-qPCR-F、5’-TATAGTGGGTGTTATTTCTAGTT-3’(配列番号:17);PEDV-qPCR-R、5’-GCCAATACTGCCAGATTTACA-3’(配列番号:18)、PEDV-ウルトラマー、5’-TGATGATATAGTGGGTGTTATTTCTAGTTTGTCTAGCTCCACTTTTAACAGTACTAGGGAGTTGCCTGGTTTCTTCTACCATTCTAATGATGGCTCTAATTGTACAGAGCCTGTGTTGGTGTATAGTAACATAGGTGTTTGTAAATCTGGCAGTATTGGCTATGTCCCAT-3’(配列番号:19)。リアルタイムPCRは、以下を含む25μLの反応物中で実施した:2μLの抽出全核酸、0.75μLのプローブ(4μM)、0.5μLの各プライマー(10μM)、12.5μLの2xのRT-PCRミックス、0.5μLのiScript
TM逆転写酵素及び8.25μLのDEPC-処理水。反応はCFX96リアルタイムPCR検出系(BioRad)を用い以下の条件下で実施した:50℃で30分の最初の逆転写、続いて95℃で5分の最初の変性、40サイクルの95℃15秒変性並びに57℃30秒アニーリング及び伸長。光学データはCFXマネージャーソフト(バージョン2.1、BioRad)を用いて分析した。各決定のために、サイクル閾値(Ct)決定モードのための回帰設定を用い、閾値ラインは自動的に計算された。10未満のベースライン末端値を有する曲線を手動で改変した。サンプルを単一反応で走らせ、ウルトラマーによる標準曲線を用いて定量的な量を決定し、マイクロリットル当たりのゲノムコピー(gc/μL)として報告した。40サイクル以降で検出が存在しないサンプルは陰性と考えた。
【0062】
抗PEDV-IgG ELISA:表3に記載したようにサンプルをELISAでスクリーニングした。プレートを4ng/μLのPEDV-1251-125-2で1時間37℃にて被覆した。洗浄に続いて、100μLの1:100希釈血清サンプル(IgGのためのアッセイ)で被覆し1時間37℃にてインキュベートした。洗浄後、ウェルを0.05%脱脂乳で遮断し、1時間37℃でインキュベートした。洗浄後、ウェルをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ブタIgGの1:10,000希釈の100μLで被覆し、1時間37℃でインキュベートした。洗浄後、プレートを3,5,3’,5’-テトラメチルベンジジンで5分間デベロップし、さらに450nmでの光学密度(OD)の測定前に2MのH
2SO
4で反応を停止した。サンプルは2組のウェルで走らせ、結果はサンプル対陽性(S:P)比の平均として報告される。陽性対陰性解釈のためのカットオフ値はどちらのELISAアッセイのためにも設定されていないので、より高い2標準偏差の合計+最も高いコントロールグループ平均よりも大きいS:P比を有するサンプルは陽性と考えられる(S:P比>0.28又はIgGアッセイについてはS:P比>0.16)。
PEDV蛍光フォーカスアッセイ(PEDV fluorescence focus assay):PEDV FFNアッセイを実施した。前記アッセイは、細胞培養馴化PEDV株を用いる、ウイルス中和アッセイによって96ウェル様式でスクリーニングされる2組の血清希釈シリーズから成っている。力価は、陰性コントロールと比較して蛍光中心の90%減少を示す最大の血清希釈として報告される。各サンプルについて、2組のウェルの力価が平均される。
データの統計分析:データ解析は、JMP 9.0.3(SAS Institute, Inc., Cary, North Carolina, USA)を用いてモニターによって実施された。全ての解析について、0.05未満のp-値は有意と考えられた。データ(血清学)の繰返し測定のために、このモデルでは、繰り返し変動として時間を用いて多重分散分析を実施した。有意なp-値が認められたら、独立要因としてのグループを用いて一元配置分散分析を実施した、別々の分析を各々の日について実施した。有意なp-値が認められたら、Wilcoxon調整ペアワイズ比較を用いてグループの平均間のペアワイズ相違を評価した。
血清学(PEDV蛍光フォーカス中和(FNN)アッセイ):個々の動物結果については表5を参照されたい。BEI-VHグループの全動物が中和力価について4倍の増加を示し、一方、グループ2では7匹の動物のうち2匹のみが同様な応答を示した。コントロール動物は検出可能な中和力価を示さなかった。
【0063】
表5:D1、14、28及び49の試験のPEDV蛍光フォーカス中和アッセイの結果(下線を付した細胞は0より高い力価を有する)
【0064】
抗PEDV-IgG ELISA:個々の動物のサンプル対陽性(S:P)比は下記の表6に示される。グループ1(BEI-VH)の全ての動物がD28までに検出可能なIgG応答を示し、前記応答はコントロールグループの平均S:P比と比較してより高い少なくとも2標準偏差であった。対照的に、グループ2(バキュロ-S)では2匹の動物のみが、3用量のワクチンを投与された後でのみ検出可能なIgG応答を示した。グループ最小二乗平均S:P比±標準誤差が
図4に示されている。D28までに、グループ1(BEI-VH)の動物は、グループ2及びグループ3と比較して有意に高いS:P比を示した(p<0.01、Wilcoxon調整ペアワイズ比較)。
【0065】
表6:D1、14、28及び49の個々の抗PEDV-IgG S:P比(下線を付した値は、コントロールグループのD49における平均S:P比よりも少なくとも2標準偏差高いS:P比を示す)
PEDVウイルス血症/排出:ワクチン接種後のウイルス排出及びウイルス血症の可能性を査定するために、各ワクチン接種から4日目(D3、D18及びD31)にPEDV RNAの存在についてRT-PCRによって血清及び糞便サンプルをスクリーニングした。NEDV RNAは当該サンプルのいずれでも検出されなかった。
結論:上記実験の血清学的データを総合すれば、バキュロディスプレー方法によって発現され、EMULSIGEN(商標)-BCLアジュバントが添加されたPEDVスパイクタンパク質(1用量当たり866μgで提供される)の3用量は持続的な血清学的応答をもたらすことはできなかった。この場合、応答の欠如は、ワクチンが十分に免疫原性ではなかったか(すなわちタンパク質が十分な量でデリバーされなかったか、又は不適切なアジュバントが用いられた)、又は組換えスパイクタンパク質の構造が野生型ウイルスと同様ではなかったことを示している。
逆に、抗PEDV IgG及びFFN血清学的データは、EMULSIGEN(商標)-BCLアジュバントを添加された2又は3用量のBEI不活化PEDVウイルス採集物(5.6log/用量で投与)は、ナイーブなブタで持続的に血清学的応答を誘引できることを示唆している。しかしながら、ワクチン接種動物における抗PEDV-IgG S:P比の平均はフィードバック材料を投与された動物と比較して低かった。特に、サンプリング前にフィードバック材料を投与された一群に由来する45匹の動物の抗PEDV-IgG S:P比(±標準偏差)の平均は、ワクチン接種動物の0.69±0.12に対して0.90±0.20であることが判明した(データは示さず)。加えて、Dr. Eric Nelsonとの私的な意見交換によれば、本実験におけるワクチン接種動物の7匹のうち5匹のFFN力価は、フィードバック投与後に典型的に認められる力価より低かった。
【実施例7】
【0066】
BEI不活化PEDV有効性(3用量、多様なアジュバント)
(実験2013131)Troy Kaiser
以下の実験は、死滅PEDVワクチンの3用量(1用量は2mL)を3週齢のブタに14日間隔で投与したときに免疫応答を誘引できるか否かを判定した。一次成果は蛍光フォーカス中和(FFN)による血清学的試験であった。
実験グループは以下を含んでいた:T01=PBS(n=10);T02=6.04log TCID
50/mL BEI PEDV+20% EMULSIGEN(商標)-BCL(n=18);T03=6.04log TCID
50/mL BEI PEDV+10% EMULSIGEN-D(商標)(n=20);T04=6.04log TCID
50/mL BEI PEDV+15% Rehydragel(商標);T05=6.04log TCID
50/mL BEI PEDV+5% S:P油(n=20)。
【0067】
表7:ワクチン処方及びコントロール
D0で、ブタの首の右の筋肉内に2mLの処置物を投与した。2回目の処置物は、D14に首の左に投与し、さらに3回目の処置物はD28に全グループで首の右に投与した。血液サンプルをD1、D13、D27、D42及びD49に収集した。FFNを用いてPEDV中和抗体について血清を試験した。
血清学:血清変換は2回のワクチン接種後に11.2%のブタで生じ、20%のEMULSIGEN(商標)-BCLアジュバント添加PEDVワクチンを3回接種したときには55.6%のブタが血清変換を生じた(T02;表8)。全ての処置グループについて1:20以上の血清陽性ブタの幾何平均力価が下記の表8に提示される。全てのブタの処置グループによる力価の度数分布は表9に提示される。
【0068】
表8:血清陽性ブタの割合及び血清学的に応答したブタのグループによる幾何平均力価
表9:グループによる力価の度数分布
*D42又はD49の最大力価
【0069】
結論:血清変換は2用量投与後にT02ブタの11.2%で生じ、さらに血清変換は、バイナリーエチレンイミン不活化20% EMULSIGEN(商標)-BCLアジュバント添加の6.04 log10 TCID
50/mL処方の実験ワクチンを3回投与したときに55.6%のブタで生じた。この実験から収集されたデータは、この実験ワクチンは合理的な有効性予想の主張を支持する免疫応答を誘引したことを示している。
【実施例8】
【0070】
バキュロウイルスワクチンの有効性(2用量、多様なアジュバント)
(実験2014236)Kara Claxton
以下の実験では、2用量(1用量は2mL)の死滅ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)ワクチン又はバキュロウイルス構築物ワクチンによるワクチン接種に対する血清学的応答(3週齢のブタにいずれかのワクチンの投与後に測定される)が評価された。一次結果は処置ブタにおけるワクチン接種後に収集した血清サンプルについて蛍光フォーカス中和(FFN)によって試験した血清学とした。
実験グループは以下を含んでいた:T01=PBS(n=10);T02=6.93log TCID
50/mL BEI PEDV+20% EMULSIGEN(商標)-BCL(n=20);T03=PEDVスパイク抗原を有するバキュロウイルス(n=9);6x濃縮のPEDVスパイク抗原を有するバキュロウイルス(n=10);PEDVスパイク抗原を有するトリプシン バキュロウイルス(n=10);及び条件付きで認可された死滅陽性コントロールワクチン(POS CON)(n=10)。D0に、首の右の筋肉内に2mLの処置物を投与した。2回目の処置物は、T01−T05についてはD14に首の左に、T06についてはD21に投与された。
【0071】
表10:ワクチン処方及びコントロール
BEI=バイナリーエチレンイミン
*PEDVスパイクシグナル配列及びC-末端テールはバキュロウイルスgp64等価物で入れ替えられた。組換えPEDvスパイクディスプレーバキュロウイルスは昆虫細胞で生成された。感染培養を採集し遠心分離及び0.2μmフィルターろ過によって清澄化した。清澄化採集物を5mM BEIで37℃にて72時間不活化し、続いて遠心分離及び0.2μmフィルターろ過によって清澄化した。
血清学:ワクチン接種後の血清変換(D28及びD35)は、20% EMULSIGEN-BCLアジュバント添加PEDvワクチン接種ブタ(T02;表11)の20%、及びトリプシン増殖PEDV SPIKE-バキュロウイルスワクチン接種ブタ(T05;表11)の60%で生じた。全ての処置グループについて1:20以上の血清陽性ブタの幾何平均は下記表11に提示される。全てのブタの処置グループによる力価の度数分布は表12に提示される。
【0072】
表11:血清陽性ブタの割合及び血清学的に応答したブタのグループによる幾何平均力価
表12:グループによる力価の度数分布
結論:血清変換は、BEI不活化20% EMULSIGEN BCLアジュバント添加PEDVの6.93 log
10 TCID
50/mLで処方された実験ワクチンの2回投与後にT02ブタの20%で生じた。血清変換は、PEDVスパイク糖タンパク質で処方された実験的組換えトリプシン増殖バキュロウイルスワクチンの2回投与後にT05ブタの60%で生じた。
【実施例9】
【0073】
有効性実験
POC有効性(実験2014030) Abby Patterson
以下の実験は、死滅ワクチン及び他のプロトタイプのワクチンの有効性をブタで査定するために設計した。一次成果のパラメーターは、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDV)によるチャレンジ後の仔豚の死亡率である。二次成果のパラメーターは母獣の血清学である。測定される他のパラメーターには、ワクチン接種後のブタの臨床徴候(ISLを含む);ワクチン接種後のブタのPEDV排出(qRT-PCRによる);仔豚の臨床徴候;及び仔豚のPEDV血清学が含まれる。
分娩前4週間及び2週間に(D0及びD14)、各妊娠母獣に以下の処置の1つの2mLを3つのルート(筋肉内、鼻内及び経口)で投与した:T01(陰性コントロール、NC)、リン酸緩衝食塩水;T02(BEI-VH)、20% EMULSIGEN BCLアジュバント添加;T03(厳密コントロール、SC)、非ワクチン接種/非チャレンジコントロールとして供される。各グループに8匹の動物を用いたが、ただしT06は4匹の動物を含んでいた。D35又はD36に、ブタを1mLの2.0 log
10 TCID
50/mL PEDVウイルス採集物で経口的にチャレンジした。母獣及びブタの臨床徴候(嘔吐及び下痢)をチャレンジ期の間毎日観察した。血清を母獣から以下の時期に収集した:分娩前4週間及び2週間(D0及びD14)、仔豚のチャレンジ前日(D34又はD35)、及びオフ-テスト日(D57)。
D0及びD14に、PEDVプロトタイプワクチンをブタに投与した。各ワクチン接種で、ブタに合計6mLのワクチンを与えた(2mLを筋肉内、鼻内及び経口ルートで投与)。筋肉内投与ルートのために、2mL注射物を首の耳下に与えた。首の投与側は初回ワクチン接種及びブースター接種で変えた。経口投与ルートのために、注射器に取り付けた8Frポリプロピレンカテーテル(直径2.7mm、長さ254mm)を用い、中咽頭尾(caudal oropharynx)を超えて2mLをデリバーした。鼻内ルートのためには、注射器に取り付けた約11.3cm(4.5インチ)のカテーテルを用い、各鼻孔に1mLを注射した。
【0074】
表13:実験ワクチン及びコントロール
表14:チャレンジ材料
【0075】
ワクチン有効性(ブタの死亡率):病毒性PEDV単離株によるチャレンジ後のブタの死亡率は、ワクチンの有効性を査定するために用いられた一次成果のパラメーターであった。チャレンジ期間中のグループの死亡率の要旨は下記に示されている。T01(NC)における55%の死亡率及び全同腹仔豚の罹患により、このチャレンジは十分に病毒性であったと考えられる。T01(NC)と比較して、T02(BEI-VH)は、0.20(-0.550、0.586)のPF(95% CI)によりブタ死亡率で数字的低下を示した。この低下は、95% CI(-0.550、0.586)が0を含むので統計的に有意ではなかった。
超二項変動(extra-binomial variation)がこの実験では明白であり、基本的二項分布を利用したとき、T02(BEI-VH)PFのために広い信頼区間をもたらした。死亡率はグループ内の同腹仔豚間で変動し、T02(BEI-VH)については0%から100%の範囲であった。
腸サンプル又は腸内容物を剖検時に採取し、PEDV抗原検出のためにqRT-PCRで調べた。死亡率が最高であった時期の動物の被験サンプルで、PEDVはサンプルの55.5%で検出された。
【0076】
表15:
*罹患したT01(NC)の割合を基準にする。
**NC=計算せず。T02(BEI-VH)のために可能な信頼区間は実験設計に基づく。
【0077】
ブタの血清学(蛍光フォーカス中和(FNN)アッセイ):FFNアッセイを用いて、ワクチン接種及びチャレンジ後の母獣のウイルス中和応答を査定した。グループによって示される幾何平均力価は、ブタから血液を収集した日について下記に示されている。
2用量のワクチン接種後、T02(BEI-VH)のブタの2/8(25%)が検出可能レベルの中和抗体を示した。検出可能レベルの中和抗体は他の群のいずれのブタでも認められなかった。
PEDVの側面からの暴露後に、暴露処置グループの全てのブタが検出可能レベルの中和抗体を示した。T03(SC)グループの動物はこの試験を通じて血清陰性のままであった。D57(暴露後約21日後)における幾何平均力価は、T01(NC)と比較して、数字的に高い力価をもたらした。T02(BEI-VH)グループのブタは613のGMTを有し、これは、T01(NC)のブタのGMT(200)と比較して約3倍高い(p=0.005)。T02(BEI-VH)グループの多数のサンプルが、被験最高希釈(1:640)で検出可能な中和抗体を有していたので、これらの結果はおそらくグループ間の相違の保存的な評価を表しているであろう。
【0078】
表16:
全ての値が<20の場合、幾何平均力価は<20と表される。そうでない場合、<20の値はGMT計算のために10と設定された。
**T01(NC)及びT02(BEI-VH)のためのD57 GMTは戻し変換最小二乗平均である。
S1系ELISAデータ:S1系ELISAを用いて、ワクチン接種及びチャレンジ後のPED-スパイクタンパク質に対する母獣の応答を査定した。初乳、乳及び血清のアッセイ結果は、サンプルを収集した日のグループについて示されている。
ブタのチャレンジ時に、T02(BEI-VH)のブタは、T01(NC)と比較して血清で有意に高い幾何平均力価を示した(p=0.0005)。PEDVへの暴露後、より顕著な有意差がこの2つのグループ間で認められた(p<0.0001)。
初乳及び乳の抗PEDV IgAの幾何平均力価における有意な相違は、T02(BEI-VH)及びT04(NC)間では観察されなかった。
【0079】
表17:
* T01(NC)及びT02(BEI-VH)に関するGMTは戻し変換最小二乗平均である。
【0080】
ブタの血清学:剖検時に血清をブタから収集して中和抗体の存在を判定した。下記の表は、グループによる陽性ブタの幾何平均FFN力価を示す。この表はまた、被験動物数に対する20以上のGMTを有するブタの数として表される検出頻度を含む。試験は全ての利用可能なサンプルについて実施した。多くのブタのサンプルが、死亡と剖検との間の時間差のために入手不能であった。
死亡率状況(死亡:あり/なし)及びグループ(全体)によるFNN力価の記述統計は下記に示されている。全体として、ワクチン接種グループで同様な割合のブタが、剖検の時期に関わらず血清変換した(又は移行抗体(maternal antibody)を有していた)。しかしながら、T01(NC)では、実験期間中生存したブタ(43%)と比較して、オフテスト前に死亡したブタではより高いパーセンテージ(88%)で力価を示した。
グループによる全体的なブタの力価を見るとき、死亡率比概算はT02(BEI-VH)について全体的グループFFNパーセンテージと逆相関していた。
【0081】
表18:
*GMT(力価20以上の動物数/被験ブタの総数;パーセンテージ);すべてのブタから血清が入手されたわけではないことに留意されたい。
【0082】
チャレンジ後の臨床的知見(ブタの糞便スコア):グループ及び死亡率状況(死亡:あり/なし)による、ブタで異常な糞便が観察される期間の記述統計は下記に示される。全体として、同じ死亡率状況を有するブタにおける異常糞便スコア持続期間の中央値はグループ間で類似する。死亡した又は安楽死させた動物では、異常糞便スコア持続期間中央値は数字的に短い。この傾向はT01(NC)ブタでもっとも明白で、おそらくこれらの動物の大半がチャレンジ後の最初の週に死亡したという事実から派生する。
【0083】
表19:
ブタの糞便スコアの重篤度は下記の度数表で要約されている。全ての処置グループで、高い割合のブタ(>91%)が、チャレンジ後少なくとも1つの観察で糞便スコア2を提示した。
表20:
【0084】
結論:T01(NC)グループと比較してブタ死亡率の20%低下がT02(BEI-VH)で認められた。この実験では3ルートの投与を試みた。3つのルートを用いたが、アジュバント及びワクチン処方に基づけば、IM以外のルートがT02(BEI-VH)の有効性に寄与するとの期待は存在しない。不活化PEDVの20%EMULSIGEN-BCL(商標)アジュバント添加ワクチン(不活化前最低力価は6.04 log TCID
50/mL)は、全体として仔豚及びブタでより良好な免疫応答を誘発するように思われた。好ましいワクチン接種スケジュールは、3週齢以後の仔豚への2週間間隔での3用量(1用量は2mL)のIMルート投与である。ワクチン接種後のブタの臨床徴候はT02(BEI-VH)で観察されず、他の処置グループに限定された。ワクチン接種が生存出産ブタのパーセンテージに影響を与えるようには思われなかった(データは示されていない)。
母獣の血清学は、二次パラメーターとして、2つの別々のアッセイ(蛍光フォーカス中和、S1系ELISA)によって判定された。両アッセイは、T01(NC)と比較してワクチン接種及び暴露後のT02(BEI-VH)における力価の有意な増加を示した。FFNアッセイの公知の限界のために、サンプルをS1系ELISAでも試験した。このELISAは、スパイクタンパク質のS1ドメインが中和エピトープを含むと予想されるので選択した。
PEDVの側面暴露の後で、暴露処置グループの全動物が検出可能レベルの中和抗体を示した。T02(BEI-VH)のブタは、T01(NC)と比較して約3倍高い力価を有した。このことは、ワクチンの使用は最初の一次応答を刺激し、チャレンジウイルスへの暴露の後でより強い二次応答をもたらしたことを証明している。T02(BEI-VH)グループの多くのサンプルが試験した最高希釈(1:640)で検出可能な中和抗体を有していたので、これらの結果はおそらくグループ間の相違の保存的な評価を表しているであろう。
【0085】
表21:ブタ死亡率及びブタの血清学的データが下記に要約される
本明細書で開示及び特許請求した組成物及び方法のいずれも、本開示に照らして煩瑣な実験を行うことなく達成及び実施することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施態様の関係で記載してきたが、本明細書に記載の組成物及び方法並びに当該方法の工程及び一連の工程に、本発明の概念、趣旨及び範囲から外れることなく変更を適用できることは当業者には明白であろう。より具体的には、化学的及び生理学的に関連する一定の薬剤を本明細書の薬剤の代用とし、一方、同じ又は類似の結果が達成されることは明白であろう。当業者に明白なそのような全ての代用及び改変は、以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨、範囲及び概念内であるとみなされる。
【0086】
以下の参考文献は、それらが例示的手順又は本明細書に示す詳細をさらに補足する範囲で、参照によりその全体が本明細書に含まれる。
(参考文献)