特許第6704969号(P6704969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704969ヒトの皮膚の外観及び感触を改善するための多工程処方計画
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704969
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ヒトの皮膚の外観及び感触を改善するための多工程処方計画
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20200525BHJP
   A61K 8/895 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20200525BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/895
   A61K8/891
   A61K8/06
   A61K8/60
   A61K8/67
   A61K8/33
   A61K8/64
   A61Q1/02
【請求項の数】10
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-184130(P2018-184130)
(22)【出願日】2018年9月28日
(62)【分割の表示】特願2016-546516(P2016-546516)の分割
【原出願日】2015年1月14日
(65)【公開番号】特開2019-11359(P2019-11359A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2018年10月24日
(31)【優先権主張番号】61/927,255
(32)【優先日】2014年1月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ハリー ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マイケル ズコウスキ
(72)【発明者】
【氏名】ポール ロバート タナー
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−188458(JP,A)
【文献】 特開2002−338458(JP,A)
【文献】 特開平05−201826(JP,A)
【文献】 特表2011−512377(JP,A)
【文献】 特開2000−178124(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0034876(US,A1)
【文献】 特開2002−003338(JP,A)
【文献】 特開2002−338428(JP,A)
【文献】 特表2006−508952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの皮膚の外見を改善する方法であって、
スキンケア組成物である第1層を前記皮膚に適用する工程と、
粒子層の10重量%から30重量%までの、コーティングされたデンプン、コーティングされていないデンプン、コーティングされたデンプン誘導体、コーティングされていないデンプン誘導体、コーティングされた架橋されたデンプン、コーティングされていない架橋デンプン、シリコーンエラストマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される実質的に球状の粒子を有する前記粒子層を、前記第1層に、及び前記第1層の上に適用する工程と、を有し、前記粒子層が、不揮発性油対前記実質的に球状の子の重量比が1:4〜1:2であるような濃度レベルで存在する不揮発性油を有する水中油型エマルションである水性ベースの組成物であり、
前記粒子層の保湿剤の濃度が前記粒子層の3重量%未満であり、
前記粒子層が前記粒子層の少なくとも5重量%の不揮発性油を含むとともに、該不揮発性油がシリコーン油を含み、
前記実質的に球状の粒子が、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、グリセリルデンプン、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、カルシウムデンプンオクテニルスクシネート、及びポリメチルシルセスキオキサンでコーティングされたタピオカデンプン、架橋されたデンプン、シリコーンエラストマー粒子、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記第1層及び前記粒子層のうちの少なくとも1つ又は両方が、20未満のコントラスト比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1層が、前記第1層の5重量%から30重量%までの保湿剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1層が、前記第1層の1重量%以上の、糖アミン、ビタミン、レチノイド、10個以下のアミノ酸を含有するペプチド、前記ペプチドの異性体、前記ペプチドと金属イオンとの錯体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるスキンケア活性物質を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子層中の前記実質的に球状の粒子が、1μm〜40μmの平均直径を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1層の上かつ前記粒子層の下に適用される1つ以上の中間層が存在し、前記中間層がスキンケア組成物を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1層が、水ベースであり、かつ水溶液、水性ゲル、水性分散液、水中油型エマルション、又は水中油中水型エマルションの形態である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子層の前記不揮発性油が、少なくとも70%のシリコーン油を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子層の前記シリコーン油が、ジメチコーンである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子層の保湿剤の濃度が前記粒子層の1重量%未満である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの皮膚の外観及び感触を改善する多工程方法に関する。本方法は、ヒトの皮膚に最初に適用されるスキンケア組成物の上に、高濃度の粉末を含有する水中油型エマルションを適用することを含む。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア製品は、よく知られ、広く使用されている。これらの製品は、洗浄して潤いを与え、活性物質を送達し欠陥を隠し、ケラチン表面上の油気及びてかりを低減させるのに、使用されてきた。パーソナルケア製品はまた、皮膚及び毛髪の色及び外観を変化させるためにも用いられてきた。スキンケア効果をもたらすために、また多くの人が望ましくないと考える「皮膚の老化兆候」、例えば、小じわ、しわ、及び不均一な肌のきめを解消するために、種々なパーソナルケア組成物が利用可能である。これらの効果のうち、ヒトの皮膚の外見及び感触は、ほぼ間違いなく、消費者によって2つの最も重要かつ所望される印象である。
【0003】
多くの製品は、ヒトの皮膚の外見を改善するように設計され、多くの製品は、感触を改善することを目的とする。伝統的に、多種の異なる機能性材料は、消費者に広範囲の効果を送達するために、単一のスキンケア製品中に混合される。例えば、典型的なスキンケア製品は、皮膚の条件及び健康を改善するための保湿剤及び皮膚活性物質、皮膚を潤滑するための皮膚軟化剤、並びに皮膚感触及び即時に皮膚の外観効果をもたらすための多種の粉末を含有し得る。しかし、組成物を混合して1つの製品にするのは、多くの場合、困難である。
【0004】
更に、1つの効果を送達する製品は、概して1回の適用製品として意図される。異なる効果を送達するが、個別に使用されることが意図される多くの製品を皮膚上に重ねることは、1つの組成物に多すぎる成分を混合するのと同じ欠点及び複雑さを有し得る。それ故、異なる組成物で複数の効果を送達するが、調整された処方計画で一緒に使用されるように設計される製品及び処方計画に対する必要性が存在する。
【0005】
例えば、製品の皮膚感触を改善するため等の種々の理由のために、微粒子物質を、消費者製品に添加することができる。微粒子物質もまた、皮膚に艶消しの印象をもたらす、光線を拡散的に反射することによる、即時に目に見える効果を皮膚にもたらすことができる。しかしながら、消費者製品を化粧品又は化粧品様製品へと効果的に変える乳白剤の機能を果たすための多くの微粒子物質が添加されている。乳白剤を有するパーソナルケア組成物の即時的かつ長続きする効果は、多くの場合、乳白剤がもたらすマスキング効果のみをありがたく思う利用者には、多くの場合効果がない。これらの例としては、スキンカラー効果をもたらすための、二酸化チタン及び酸化鉄等の高屈折率顔料が挙げられる。
【0006】
微紛化又は球状ポリマー粒子は、感触及び目に見えるきめ、しわ低減効果をもたらすために使用される。しかしながら、これらの物質に関して、これらの感触及び外見効果を増加させようとしようとする場合、代償が存在する。高レベルの粉末を使用することは、皮膚上で広げにくく、これらの外見効果を経時的に失う製品へと概してつながる。これらの製品は、概して著しく白くなり、皮膚からはがれ落ち得る。
【0007】
同様に、保湿剤は、より低い表面散乱及び角質層における屈折率の低下によって証明される、増加した皮膚の透明性、目に見えるきめの低減、つまり、角質層の膨化、並びに、概して機能が向上したより強い皮膚等の多数の皮膚の健康及び外観効果をもたらす。グリセリンは、その化学構造に起因して、入手可能な最も効果的な保湿剤である。しかし、グリセリンは、非常に粘度が高く、べたっとした物質であり、高レベルのグリセリンは、皮膚上で非常にべたつき重く感じ得る。更に、グリセリンは、皮膚内にゆっくりと吸収されるので、皮膚上の高レベルのグリセリンは、皮膚を非常にてからせ、かつ油っぽく見せ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、高レベルの保湿剤を含有する1つ以上のパーソナルケア組成物の上に適用することができる、低屈折率を有する高率の微粒子物質を有するパーソナル組成物に対する必要性が存在する。この重ね効果は、「一体型」組成物を混合させる欠点、及び一緒に使用されるように設計されていない重ねる製品の欠点を防ぐ。つまり、特定の方法で2つ以上の層に製品を分離し、特定の順序でこれらの層を皮膚に適用すること、皮膚感触及び皮膚外観効果が、大きく向上され得る。より具体的には、まず、製品の保湿剤及び皮膚活性物質を有する水性層、及び最後に製品粉末を含有する水性層を含む、処方計画及び多層製品に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
スキンケア組成物である第1層を皮膚に適用する工程と、粉末層を前記第1層に、及び前記第1層の上に適用する工程とを含む、ヒトの皮膚の外見を改善する方法が提供される。粉末層は、粉末層の約10重量%、好ましくは約12重量%、更に好ましくは約15重量%から、約30重量%好ましくは約25重量%までの実質的に球状の粒子を含有する。粒子は、コーティングされたデンプン、コーティングされていないデンプン、シリコーンエストラマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。好ましくは、粒子が、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、グリセリルデンプン、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、カルシウムデンプンオクテニルスクシネート及びポリメチルシルセスキオキサンコーティングされたタピオカデンプン、架橋されたデンプン、シリコーンエストラマー粒子、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。更に、粉末層が、不揮発性油対微粒子物質の重量比が、約1:10〜約3:2、好ましくは約1:4〜約1:1、より好ましくは約1:4〜約3:4であるような濃度レベルで存在する不揮発性油を含む水中油型エマルションである、水性ベースの組成物である。
【0010】
第1層及び粉末層のうちの少なくとも1つ又は両方が、それぞれ約20未満、好ましくは約10未満、及び更に好ましくは約6未満のコントラスト比を有する。第1層が、第1層の好ましくは約5重量%、好ましくは約10重量%、好ましくは約12重量%から、約30重量%好ましくは約25重量%より好ましくは約20重量%までの保湿剤を含み得、保湿剤の好ましくは少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約75重量%が、グリセリンである。更に、本発明の多工程処方計画を達成する組成物が提供される。
【0011】
本発明の本方法、処方計画、及び組成物は、以前のパーソナルケア組成物及び処方計画の多くの問題を克服する。異なるスキンケア構成成分を異なる組成物中に配置し、次いでこれらを多工程プロセスにおいて、特定の順番で適用することにより、保湿剤のべとっとした重い感触が大きく低減され、粉末の滑らかな粉末上の感触が向上され、粉末からの外観効果が著しく高められる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のパーソナルケア製品は、スキンケア及び化粧品に使用することができ、その非限定的な用途としては、保湿剤、コンディショナー、老化防止化合物、美白化合物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。組成物は、顔、首、手、腕、及び身体の他の部位のケラチン組織に適用される。
【0013】
パーセントは、特に明記しない限り、記載されるパーソナルケア組成物又は特定の相の重量による。特に明記しない限り、全ての比は重量比である。全ての数値範囲は、より狭い範囲を含む。有効数字の数は、指示されている量を限定するものでもなく、測定の精度を限定するものでもない。全ての測定は、周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約25℃、0.1MPa(1気圧)の気圧、及び相対湿度約50%における条件を意味する。
【0014】
「パーソナルケア製品」とは、哺乳類のケラチン性組織上に局所適用するのに好適な組成物を有する製品を意味する。
【0015】
「ケラチン組織」とは、皮膚、毛髪、爪、角皮等を含むがこれらに限定されない、哺乳類の最も外側の保護層として配置されるケラチン含有層を指す。
【0016】
「誘導体」は、相対する分子と類似しているものの、特定の官能性部分が異なっている分子を指す。誘導体は既知の反応経路により生成され得る。好適な官能基としては、エステル、エーテル、アミド、アミン、カルボン酸、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール及び/又は関連する分子の塩誘導体が挙げられる。
【0017】
「置換された」は、ヘテロ原子による置換を少なくとも1つ含んでいることを意味する。置換基の非限定例としては、酸素原子及び窒素原子などの原子、並びにヒドロキシル基、エーテル基、アルコキシ基、アシルオキシアルキル基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、カルボン酸基、アミン基、アシルアミノ基、アミド基、ハロゲン含有基、エステル基、チオール基、スルホン酸基、チオ硫酸基、シロキサン基及びポリシロキサン基などの官能基が挙げられる。
【0018】
組成物に関連して使用される「適用する」又は「適用」とは、ケラチン組織表面上に組成物を適用又は広げることを意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」とは、組成物が、組成物の約3重量%未満、好ましくは約1重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、更に好ましくは約0.25重量%未満、及び最も好ましくは約0.1重量%未満の記載された成分を含むことを意味する。
【0020】
「皮膚の状態を調整する」とは、例えば、より滑らかな外観及び/又は感触のような効果を与えることによって、皮膚の外観及び/又は感触を改善することを意味する。本明細書で、「皮膚の状態を改善する」とは、皮膚の外観及び感触に対して、視覚的に及び/又は触知的に知覚可能な好ましい変化もたらすことを意味する。効果は、長続きするか、又は即時的な効果であり得、以下のうちの1つ以上を含み得る:しわ及び荒く深いしわ、小じわ、溝、隆起、及び大孔の外観の低減;ケラチン組織の肥厚(例えば、表皮及び/又は真皮及び/又は皮膚の真皮下の層、並びに当てはまる場合、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減させるために、爪及び毛幹のケラチン層を形成すること);(乳頭間隆起としても知られている)真皮と上皮の境界のコンボリューションを上昇させる;皮膚又は毛髪の弾性の喪失、例えば、弾性線維症、たるみ、変形から皮膚の喪失又は毛髪のはね返り等の症状を生じる機能的皮膚エラスチンの喪失、損傷、及び/又は不活性化に起因する皮膚又は毛髪の弾性の喪失の予防;セルライトの低減;皮膚、毛髪、又は爪に対する着色の変化、例えば、目の下のくま、しみ(例えば、例えば、酒さに起因した不均一な赤い着色)、血色の悪さ、色素沈着過度等によって引き起こされた変色。
【0021】
「皮膚の老化徴候」としては、ケラチン組織の老化による外面の可視的及び触知的に認知可能な兆候、並びにあらゆるマクロ的又はミクロ的な印象が挙げられるが、これらに限定されない。これらの徴候は、しわ及び粗く深いしわ、小じわ、皮膚のしわ、溝、隆起、大孔、不均一さ又は粗さ等の組織的欠陥の進行;皮膚弾性の喪失;変色(目の下のくまを含む);しみ;血色の悪さ;年齢によるしみ及びそばかす等の色素沈着した皮膚の部位;角質繊維;異常分化;過角化;弾性線維症;角質層、真皮、表皮、脈管系(例えば、毛細血管拡張又はクモ血管)、及び下層組織(例えば、脂肪及び/又は筋肉)、特に、皮膚に近接しているものにおけるコラーゲン分解、及び他の組織構造の変化を含むプロセスから生じ得るが、これらに限定されない。
【0022】
「不揮発性」とは、25℃、0.1MPa(1気圧)で、約0.03kPa(0.2mm Hg)以下の蒸気圧を呈する物質、及び/又は0.1MPa(1気圧)で少なくとも約300℃の沸点を有する物質を意味する。「揮発性」とは、20℃で、少なくとも約0.03kPa(0.2mmの水銀)の蒸気圧を呈する物質を意味する。
【0023】
「安全かつ有効な量」とは、プラスの効果を誘導するには十分であるが、深刻な副作用を避けるには十分に低い(すなわち、当事者の最良内で危険率に対して妥当な効果を提供する)化合物又は組成物の量を意味する。
【0024】
多工程処方計画における使用のためのパーソナルケア組成物
本発明のパーソナルケア組成物は、スキンケア又は化粧品製品であってもよい。パーソナルケア組成物は、例えば、保湿剤、コンディショナー、老化防止化合物、又は美白化合物として使用されてもよい。特定の実施形態では、組成物は、顔、首、手、腕、及び一般的に露出したその他の身体部位に適用される。
【0025】
本発明の組成物は、皮膚の外観及び感触を改善するのに有用である。本発明の組成物は、皮膚の状態を調整し、皮膚の状態を改善するのに、有用であり得る。特定の実施形態では、組成物は、皮膚の老化の徴候を調整及び改善するのに有用である。組成物は、適用後、皮膚の外観及び感触に本質的に即時に(すなわち、即時的に)改善をもたらし得る。即時的な改善は、組成物を1回又は限られた回数適用することによって達成され得ると考えられる。しかしながら、組成物は、皮膚の外観及び感触に徐々に(すなわち、長続きする)改善をもたらす構成成分を含んでもよい。長続きする改善は、組成物を多数回、繰り返して、又は周期的に適用することを伴う場合があると考えられる。本発明の組成物は、消費者製品の中に組み込んでもよい。特定の実施形態では、消費者製品は、組成物をスポット処置として皮膚の限られた領域に適用することができる。1つの実施形態では、本発明の組成物は、皮膚上のしわ又は隆起の可視的顕著な低減を生じさせる。
【0026】
本組成物の第1層は、任意のスキンケア組成物であり得、非限定的な例としては、液体、クリーム、及びローションが挙げられる。好ましくは、第1層は、水性ベース、より好ましくは、水連続形成物である。より具体的には、本発明の第1層組成物は、水溶液、水性ゲル、水性分散液、水中油型エマルション、又は水中油中水型エマルションの形態であり得る。粉末層が、好ましくは水中油型エマルションである間。本発明の油相は、存在するとき、シリコーン油を含んでもよい。しかしながら、油相は、炭化水素油、エステル、エーテル等の非シリコーン油も含んでもよい。
【0027】
第1層又は粉末層のいずれかの水相は、典型的に水を含む。第1層は、約20%〜約99%、好ましくは約40%〜約90%、より好ましくは約50%〜約85%の水を含んでもよい。粉末層は、約20%〜約85%、好ましくは約30%〜約80%、より好ましくは約40%〜約75%の水を含んでもよい。第1層又は粉末層のいずれかの水相は、ケラチン組織に、高められた効果を与えるために、水溶性加湿剤、コンディショニング剤、抗微生物剤、保湿剤、及び他の水溶性スキンケア活性物質を含む水以外の構成成分(非水系構成成分)を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0028】
多工程組成物の使用方法
本発明は、ヒトの皮膚に対する効果、具体的に、ヒトの皮膚の外見及び感触を同時に改善する効果を提供する方法を記載する。更により具体的には、組成物は、例えば、皮膚上のしわの外観の低減、深いしわの外観の低減、小じわの外観の低減、大孔及び隆起の外観の低減を含む、しわの外観を低減するために、皮膚老化の徴候を呈している皮膚に適用することができる。更に、皮膚には、水分が補給され、潤いが与えられる。必須及び任意両方の本発明の組成物の個々の成分、並びにこれらの特性及び濃度レベルは、以下に更に詳述される。
【0029】
第1工程がスキンケア製品である第1層を適用することである多工程プロセスが本明細書に提供される。第2工程は、高レベルの微粒子物質を含む組成物である粉末層を適用することである。スキンケア製品は、好ましくは潤いを与える組成物、更に好ましくは、高レベルの保湿剤を含む組成物である。粉末層は、微粒子濃度と比較して特定の比率で不揮発性油を含有する。
【0030】
本発明の層は、比較実施例が記載するとおり、本発明の重要な態様である、正しい順番で適用され得ることを確実にするために、使用までは別々になっている。しかしながら、組成物は、種々の方法で販売することができる。複数の層は、投与されるまで別々にされる場合、同じパッケージで販売することができる。組成物は、個別又は一緒に販売される、個々の容器で販売することができる。非限定的な例としては、複数の瓶を含み、各瓶が異なる層を含む1つの箱が挙げられ、あるいは層は、消費者が各層の様々な異なるバージョンから選択することができる、一連のパッケージ内で別々に販売されてもよい。
【0031】
組成物は、手若しくは指で擦り込むか、こするか、又は軽くはたくことによってか、又は用具及び/若しくは送達を向上させるデバイスを用いることによるのを含む種々の方法によって適用してもよい。用具の非限定的な例として、スポンジ又は先端がスポンジのアプリケータ、モップ(例えば、先端が綿のモップ)、任意に発泡体又はスポンジアプリケータを含むペン、ブラシ、拭取り布及びこれらの組み合わせが挙げられる。送達を向上させるデバイスの非限定的な例としては、機械的、電気的、超音波的、及び/又は他のエネルギーデバイスが挙げられる。適用後、組成物は、皮膚上に残したままにしてもよい。
【0032】
組成物の適用量、適用頻度、及び使用期間は、与えられた組成物の構成成分の濃度及び所望の調整レベルに依存して広く異なるであろう。例えば、皮膚の、約0.1mgの組成物/cm〜約50mgの組成物/cm、あるいは約2mgの組成物/cmを適用してもよい。1つの実施形態では、組成物は、少なくとも1日1回適用され、「1日」及び「日(複数)」とは、24時間の期間を意味する。利用者は、ある期間が過ぎた後、例えば、毎時間、及びあるいは組成物が、皮膚から洗浄又はすすがれたとき、例えば、利用者の手若しくは顔を洗浄した後か、又は水泳、入浴、若しくはシャワーの後に、組成物を再適用するように指示されてもよい。組成物は、処置処方計画の一部、例えば、1日1回を30日連続、あるいは14日連続、あるいは7日連続、あるいは2日連続として適用してもよい。
【0033】
成分
保湿剤
本発明の第1層は、1つ以上の保湿剤を含んでもよい。好ましくは、粉末層は、約10%未満の保湿剤、好ましくは約5%未満の保湿剤、より好ましくは粉末層は、実質的に保湿剤を含まない。本発明の第1層は、保湿剤が存在する場合、約0%〜約30%、あるいは、約5%〜約25%、又は約10%〜約20%の保湿剤を含んでもよい。グリセリンは、好ましい保湿剤であり、使用される唯一の保湿剤であり得る。好ましくは、保湿剤は、保湿剤の少なくとも約50重量%、より好ましくは、少なくとも約75重量%のグリセリンを含む。
【0034】
保湿剤の代表的なクラスは、多価アルコールである。好適な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びこれらの誘導体を含む、ポリアルキレングリコール及びアルキレンプロピル、並びにこれらの誘導体;ソルビトールヒドロキシプロピルソルビトール;エリスリトール;トレイトール;ペンタエリスリトール;キシリトール;グルシトール;マニトール;ブチレングリコール(例えば、1,3−ブチレングリコール);ペンチレングリコール;ヘキサントリオール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール);グリセリン;エトキシ化グリセリン;及びプロポキシル化グリセリンが挙げられる。
【0035】
他の好適な保湿剤としては、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、グアニジン;グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);種々の形態のいずれかのアロエベラ(例えば、アロエベラゲル);ヒアルロン酸及びこれらの誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム等の塩誘導体);ラクトアミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;尿素ピログルタミン酸ナトリウム、水溶性グリセリルポリ(メタ)アクリレート潤滑剤(例えば、Hispaゲル(登録商標))、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
微粒子物質
本発明の組成物は、微粒子物質を含む。微粒子物質は、組成物中に分散及び浮遊していてもよい。微粒子物質は、組成物に対する望ましい外見及び感触特性を消費者にもたらすのに使用されてもよい。これらの粒子は、油に関連する重い脂っぽさ及び/又は多くの保湿剤のべとつく感触を相殺し得る絹のような又は滑らかな感触を、組成物に与える。
【0037】
微粒子物質は、約1μm〜約40μm、約2μm〜約30μm、約5μm〜約30μm、約5μm〜約25μm、又は、あるいは、約5μm〜約20μmの中央粒径を呈してもよい。中央粒径は、当該技術分野において既知の好適な方法、例えば、コールターカウンター装置又は本明細書に参照により組み込まれるASTM Designation E20−85「Standard Practice for Particle Size Analysis of Particulate Substances in the Range of 0.2 to 75 Micrometers by Optical Microscopy」ASTM Volume 14.02、1993を用いることにより、決定することができる。
【0038】
本発明の粉末層は、好ましくは約10重量%〜約30重量%、又は約12重量%〜約25重量%の微粒子物質を含む。微粒子物質がきれいな形態(すなわち、本発明のキャリアと組み合わせる前の本質的に純粋な粉末形態)であるときに中央粒径を測定し、濃度レベルを計算する。
【0039】
様々な実施形態において、微粒子は、好ましくは球状である。本発明において、「球状」及び「球」とは、真の球だけではなく、長軸/短軸(アスペクト比)が平均で典型的に、1〜4、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.6、更に好ましくは1〜1.4の範囲の変形した球もまた含むことを意味する。微粒子の形状は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡で微粒子を観察することにより、確認してもよい。
【0040】
好ましくは、粉末層は、粉末層の約1重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満のTiO2及び酸化鉄粒子、又は色、又は彩度、又は不透明度を粉末層に与える他の粒子を含む。更に、粉末層は、粉末層の約4重量%未満、好ましくは約3重量%未満、更により好ましくは約1重量%未満の雲母、タルク、干渉顔料、及び他の実質的に非球状粒子を含む。
【0041】
デンプン粒子
本発明中のデンプン粒子は、デンプン、架橋されたデンプン、デンプン誘導体、これらの混合物から構成され、任意にこれらの粒子は、これらの表面特性を変化させるために、部分的又は完全にコーティングしてもよい。これらのデンプン粒子が、本発明の粉末層の配合物中で離散粒子のままでいることが重要であり、それ故、これらのデンプンは、一般に任意の長期間、高温に供されない。粉末層のデンプン粒子は、約5μm〜約30μm、好ましくは約8μm〜約25μm、約10μm〜約20μmの平均直径を有する。
【0042】
市販されているデンプン粒子の例としては、タピオカデンプン(AkzoNobelからTapioca Pureとして入手可能)、トウモロコシデンプン(AkzoNobelからPurity 21Cとして入手可能)、ジャガイモデンプン、グリセリルデンプン(AkzoNobelからDry−Flo GSとして入手可能)、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート(Rhodia、Inc.からMackaderm ASTO−Dryとして、及びAkzoNobelからDry−Flo PCとして入手可能)、カルシウムデンプンオクテニルスクシネート(MGP Ingredients,Inc.からSkin Flow Cとして、及びRhodia、Inc.からMackaderm CSTO−Dryとして入手可能)、並びにポリメチルシルセスキオキサンでコーティングされたタピオカデンプン(AkzoNobelからDry−Flo TSとして入手可能)が挙げられる。
【0043】
球状シリコーンエストラマー粒子
本発明の粒子は、任意に表面上に結合したポリオルガノシルセスキオキサンを有し得る球状シリコーンエストラマー粒子を含んでも良い。球状シリコーンエストラマー粒子を構成しているシリコーンエストラマーは、好ましくはべとつきを有さず、JIS K 6253で定義されるデュロメータAで測定されるゴム硬度が、好ましくは10〜90、より好ましくは20〜80、更により好ましくは25〜75である。ゴム硬度が5未満であるとき、得られるシリコーン粒子は、凝集する傾向があり、主要粒子内への分散が、乾燥状態が減少するにつれ、困難になるであろう。90を超過しているゴム硬度は、柔らかい質感の喪失を招くであろう。本発明に好適なシリコーンエストラマー粒子としては、シリコーン樹脂でコーティングされたシリコーンゴム粒子が挙げられる。粉末層中の球状シリコーンエストラマー粒子は、約1μm〜約40μm、好ましくは約2μm〜約30μm、約5μm〜約15μmの平均直径を有する。
【0044】
シリコーン粒子が、幾つかのシリコーン物質、すなわち、硬化シリコーンゴム及びポリ(オルガノシルセスキオキサン)樹脂を含むオルガノポリシロキサンから調製することができることは、従来技術で知られている。本発明における使用に好適な市販されているシリコーン粒子としては:以下、全てShin Etsuからの、KSP−100、−101、−102、−103、−104、及び−105;並びにDow CorningからのDC9506及びDC 9701が挙げられる。
【0045】
不揮発性油
不揮発性油が、本発明で使用される。これらの油は、本発明の組成物、層のいずれかで使用してもよいが、最も好ましくは粉末層中への使用である。粉末層で使用されるとき、油の濃度は使用される微粒子物質の量に関連し、具体的には、不揮発性油対微粒子物質の比が、1:10〜3:2、好ましくは、1:4〜1:1、より好ましくは1:4〜3:4の範囲内である。
【0046】
好適な不揮発性油としては、炭化水素、エステル、アミド、エーテル、シリコーン、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な不揮発性炭化水素油としては、直鎖、分岐鎖、又は環状アルカン及びアルケンが挙げられる。鎖長は、粘度等の所望される機能特性をもとに選択してもよい。好適な不揮発性エステルとしては、脂肪酸又はアルコールから誘導されたヒドロカルビル鎖(例えば、モノ−エステル、多価アルコールエステル、並びにジ−及びトリ−カルボン酸エステル)を有するエステルが挙げられる。これらのエステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合など)等の他の互換性官能機能性を含み得るか、又はこれらと共有的に結合していてもよい。代表的なエステルとしては、イソプロピルイソステアレート、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、ジヘキシルデシルアジペート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、オレイルステアレート、オレイルオレエート、オレイルミリステート、ラウリルアセテート、セチルプロピオネート、C12〜15アルキルベンゾエート、ブチルオクチルサリチレート、フェニルエチルベンゾエート、ジカプリリルカーボネート、ジオクチルマレート、ジカプリリルマレエート、イソノニルイソノナノエート、プロピレングリコールジカプレート、ジイソプロピルアジペート、ジブチルアジペート、及びオレイルアジペートが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なエステルは、更にPersonal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Edition,2010の「エステル」の機能カテゴリに記載されている。
【0047】
25℃、液体で、水不溶性である間、好適な不揮発性アミドとしては、アミド官能基を有する化合物が挙げられる。好適なアミドとしては、N−アセチル−N−ブチルアミノプロピオネート、イソプロピルN−ラウロイルサルコシネート、ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、及びN,N,−ジエチルトルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なアミドは、米国特許第6,872,401号に開示される。
【0048】
好適な不揮発性エーテルとしては、多価アルコール及びこれらのアルコキシル化誘導体の飽和及び不飽和脂肪エーテルが挙げられる。代表的なエーテルとしては、ポリプロピレングリコールのC4〜20アルキルエーテル、及びジ−C8〜30アルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。これら物質の好適な例としては、PPG−14ブチルエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、PPG−11ステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
好適な不揮発性シリコーン油としては、ポリシロキサンが挙げられる。不揮発性ポリルシロキサンは、25℃で、約10〜約1,000,000mm/s(10〜約1,000,000センチストーク)の粘度を有してもよい。そのようなポリシロキサンは、以下の一般化学式:
SiO[RSiO]SiR
で表すことができ、式中Rは、水素又はC1〜30直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和アルキル、フェニル若しくはアリール、トリアルキルシロキシから独立して選択され、xは、0〜約10,000の整数である。特定の実施形態では、Rは、メチル又はエチルである。市販されているポリシロキサンとしては、ジメチコーンとして知られるポリジメチルシロキサンが挙げられ、これの例としては、Shin−EtsuからのDM−Fluidシリーズ、Momentive Performance Materials Inc.によって販売されているVicasil登録商標シリーズ、及びDow Corning Corporationによって販売されているDow Corning登録商標200シリーズが挙げられる。好適なポリジメチルシロキサンの特定の例としては、Dow Corning登録商標200流体(Xiameter登録商標PMX−200 Silicone Fluidsとしても販売されている)が挙げられる。
【0050】
好適なジメチコーンとしては、化学式:
SiO[RSiO][RR’SiO]SiR
によって表されるものが挙げられ、式中R及びR’は、それぞれ独立して水素又はC1〜30直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和アルキル、アリール、若しくはトリアルキルシロキシであり;x及びyは、それぞれ1〜1,000,000の整数である。例としては、アルキルジメチコーンが挙げられ、式中、少なくともR’は脂肪アルキル(例えば、C12〜22)である。好適なアルキルジメチコーンは、セチルジメチコーンであり、式中、R’は、C16直鎖であり、Rは、メチルであり、Dow Corningから2502Cosmetic Fluidとして市販されている。
【0051】
好ましい不揮発性油としては、好ましくは10mm/sと1000mm/s(10cstと1000cst)との間、より好ましくは15mm/s〜400mm/s(15cst〜400cst)の間、最も好ましくは20mm/sと200mm/s(20cstと200cst)との間の粘度を有する、ジメチコーン(ポリジメチルシロキサン)が挙げられる。これらの好ましいジメチコーン物質の平均鎖長は、約12〜約375ジメチルシロキサン単位、より好ましくは約20〜約200ジメチルシロキサン単位、最も好ましくは約27〜約125ジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するものである。
【0052】
任意の成分
乳化剤
組成物は、乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、組成物がエマルションの形態であるとき、又は不混和性物質が混合されているときに、特に好適である。組成物は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、又は1%から、約20%、10%、5%、3%、2%、又は1%までの乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、非イオン性であっても、アニオン性であっても、カチオン性であってもよい。乳化剤の非限定的な例は、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びM.C.Publishing Co.から発行されたMcCutcheonのEmulsifiers and Detergents,2010 Annual Ed.に開示されている。他の好適な乳化剤は、Personal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Edition,2006(「Surfactants−Emulsifying Agents」の機能カテゴリ下)で更に説明される。
【0053】
好適な乳化剤としては、以下のクラスのエーテル及びエステルが挙げられる:ポリグリコールと脂肪族アルコールのエーテル、ポリグリコールと脂肪酸のエステル、ポリグリコールと脂肪族アルコールのグリコシル化エーテル、ポリグリコールと脂肪酸のグリコシル化エステル、C12〜30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、C12〜30脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールのエステル、オキシアルキレン修飾C12〜30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールのエーテル、C12〜30脂肪族アルコールとショ糖又はグルコースのエーテル、ショ糖とC12〜30脂肪酸のエステル、ペンタエリスリトールとC12〜30脂肪酸のエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとC12〜30脂肪酸のエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとアルコキシ化ソルビタンのエーテル、ポリグリコールとコレステロールのエーテル、C12〜30脂肪酸とソルビトール及び/又はソルビタンのアルコキシル化エーテルのエステル、並びにこれらの組み合わせ。
【0054】
シリコーン乳化剤が、本組成物に使用してもよい。直鎖又は分枝鎖型シリコーン乳化剤もまた、使用してもよい。特に有用なシリコーン乳化剤として、以下全てShin−Etsu社からのKF−6011、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6015、KF−6017、KF−6043、KF−6028、及びKF−6038等のポリエーテル修飾シリコーン、並びにKF−6100、KF−6104、及びKF−6105等のポリグリセロール化直鎖又は分岐鎖シロキサン乳化剤が挙げられる。
【0055】
揮発性油
本発明の組成物は、約0%〜約30%、又は、あるいは、約5%〜約20%の1つ以上の揮発性油を含んでもよい。好適な揮発性油としては、揮発性シリコーン及び揮発性炭化水素油が挙げられる。
【0056】
好適な揮発性シリコーンとしては、環状及び直鎖の揮発性シリコーンが挙げられる。様々な揮発性シリコーンの記載は、Todd,et al.「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」,91 Cosmetics and Toiletries 27〜32(1976)に見られる。好適な環状揮発性シリコーンには、平均約3〜約5個のケイ素原子、好ましくは約4〜約5個のケイ素原子を含む環状ジメチルシロキサン鎖が挙げられる。異なる粘度の代表的な環状揮発性シリコーンには、Dow Corning DC 244、DC 245、DC 344、及びDC 345;GE Silicones−OSi Specialties Volatile Silicone 7207及びVolatile Silicone 7158;並びに、GE Silicones SF1202が挙げられる。好適な揮発性直鎖シリコーンには、平均約2〜約8個のケイ素原子を含むポリジメチルシロキサンが挙げられる。代表的な直鎖揮発性シリコーンには、0.65mm/s(0.65cst)、1.0mm/s(1.0cst)、及び2.0mm/s(2.0cst)の粘度を有するDow Corning DC200シリーズが挙げられる。特定の実施形態では、直鎖揮発性シリコーンは、一般に、25℃で約4mm/s(4センチストーク)以下の粘度を有し、環状物質は、一般に、25℃で約6mm/s(6センチストーク)未満の粘度を有する。
【0057】
また、好適な揮発性油は、揮発性炭化水素である。好適な揮発性炭化水素油の例としては、イソドデカン(例えば、Presperse Inc.から入手可能なPermethyl−99A)、イソデカン、及びC7〜C8からC12〜C15までのイソパラフィン(例えば、Exxon Chemicalsから入手可能なIsoparシリーズ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
増粘剤
本発明の組成物は、1つ以上の増粘剤を含んでもよい。本発明の組成物は、存在する場合、約0.1%〜約5%、あるいは約0.3%〜約3%の増粘剤を含んでも良い。増粘剤の好適なクラスとしては、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、スルホン化ポリマー、これらのコポリマー、これらの疎水変性誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
好適な増粘剤としては、カルボマー(例えば、CARBOPOL(登録商標)954等のCARBOPOL(登録商標)900シリーズ)、並びにUltrez 10及びUltrez 30等のカルボン酸ポリマーが挙げられる。他の好適なカルボン酸高分子剤としては、C10〜30アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの短鎖(すなわち、C1〜4アルコール)エステルのうちの1以上のモノマーとのコポリマーが挙げられ、この場合、架橋剤はスクロース又はペンタエリスリトールのアリルエーテルである。これらのコポリマーは、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーとして知られ、Noveon,Incから、CARBOPOL(登録商標)1342、CARBOPOL(登録商標)1382、Ultrez 20、Ultrez 21、PEMULEN TR−1、及びPEMULEN TR−2として市販されている。
【0060】
他の好適な増粘剤としては、ポリアクリルアミドポリマー及びコポリマーが挙げられる。代表的なポリアクリルアミドポリマーは、CTFA表記「ポリアクリルアミド及びイソパラフィン及びラウレス−7」を有し、Seppic Corporation(Fairfield,N.J.)から商品名SEPIGEL 305で入手可能である。本明細書で有用な他のポリアクリルアミドポリマーとしては、アクリルアミド及び置換アクリルアミドと、アクリル酸及び置換アクリル酸とのマルチブロックコポリマーが挙げられる。これらのマルチブロックコポリマーの市販例としては、Lipo Chemicals,Inc.(Patterson,N.J.)製のHYPAN SR150H、SS500V、SS500 W、SSSA100Hが挙げられる。
【0061】
本明細書で有用な他の好適な増粘剤は、スルホン化ポリマーであり、例えば、Seppic Corp.から商品名Simulgel 800として入手可能及びLamberti S.p.A.(Gallarate,Italy)から商品名Viscolam At 100 Pとして入手可能な、CTFA表記ナトリウムポリアクリロイルジメチルタウレートである。スルホン化ポリマーを含む他の市販されている物質は、Seppic Corpから入手可能なSepiplus 400である。
【0062】
更に、好適な増粘剤は、超吸収性ポリマーを含んでもよい。これらの超吸収性ポリマーは、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、例えば、名称Octacare X100、X110及びRM100としてAveciaから販売されるもの、名称Flocare GB300及びFlosorb 500としてSNFから販売されるもの、名称Luquasorb 1003、Luquasorb 1010、Luquasorb 1280及びLuquasorb 1100としてBASFから販売されるもの、名称Water Lock G400及びG430(INCI名:アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー)としてGrain Processingから販売されるもの、又はAqua Keep 10 SH NF、Aqua Keep 10 SH NFC、アクリル酸ナトリウムクロスポリマー−2であって、Sumitomo Seikaから提供されるもの、アクリル酸ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)によって、特にポリアクリル酸ナトリウムによってグラフト化されたデンプン、例えば、名称Sanfresh ST−100C、ST100MC及びIM−300MCとしてSanyo Chemical Industriesから販売されるもの(INCI名:ポリアクリル酸ナトリウムデンプン)、アクリル酸ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)、特にアクリロアクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマーによってグラフト化された加水分解デンプン、例えば、名称Water Lock A−240、A−180、B−204、D−223、A−100、C−200及びD−223としてGrain Processing(INCI名:デンプン/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー)から販売されるものから選択されるポリマー、から選択されてもよい。好ましい超吸収性ポリマーとしては、Kobo Products Inc.によって供給されるMakimousse 12及びMakimouse 25が挙げられる。
【0063】
本明細書で好適な増粘剤としては、ガムが挙げられる。「ガム」は、当該技術分野において広く定義される用語である。ガムとしては、アカシア、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カラギーナンカルシウム、カルニチン、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロイン酸、水酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアー、カラヤガム、ケルプ、ローカストビーンガム、納豆ガム、アルギン酸カリウム、カラギーナンカリウム、アルギン酸プロピレングリコール、スクレロチウムガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、カラギーナンナトリウム、トラガカントガム、キサンタンガム、これらの誘導体及びこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
天然ガムは、低濃度であっても、溶液中で大きく粘度を増加させることができる天然由来の多糖類である。天然ガムは、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤、及び安定剤として使用することができる。ほとんどの場合、これらガムは、植物の木質要素又は種皮中に見られる。天然ガムは、その起源に従って分類することができる。また、天然ガムは、非荷電又はイオン性ポリマー(高分子電解質)として分類することもでき、その例としては、以下が挙げられる:海藻から得られる天然ガム、例えば、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等。非海洋植物資源から得られる天然ガムとしては、アカシアの木の樹液からのアラビアゴム、アノゲイススの木の樹液からのガティガム、アストラガルス低木の樹液からのトラガカントガム、ステルキュリアの木の樹液からのカラヤガムが挙げられる。非荷電ガムの例としては、グアー豆からのグアーガム、イナゴマメの木の種子からのローカストビーンガム;オート麦又は大麦ふすまからのβ−グルカン;チクルの木から得られるチューインガムの昔のベースのチクルガム;フタバガキの木の樹液からのダンマルガム;コンニャクの植物からのグルコマンナン;マスチックの木から得られる古代ギリシャからのチューインガムであるマスチックガム;プランタゴの植物からのオオバコ種子の殻;トウヒの木から得られるアメリカインディアンのチューインガムであるトウヒガム;タラの木の種子からのタラガムが挙げられる。細菌発酵により生成される天然ガムとしては、ジェランガム及びキサンタンガムが挙げられる。
【0065】
非球状シリコーンエストラマー
本発明の組成物は、非球状シリコーンエストラマーを含んでもよい。シリコーンエストラマーは、組成物のべとつきを低減し、適用の際、心地良い感触を提供するのに、有用である。シリコーンエストラマーの好適なクラスの1つの非限定的な例は、米国特許申請公開第2003/0049212A1号に概ね記載される、架橋オルガノポリシロキサン(又はシロキサン)エストラマーである。
【0066】
本発明の組成物は、約0.1%〜約5%、あるいは約0.5%〜約2%の1つ以上シリコーンエストラマーを含んでもよい。前記割合は、例えば貯蔵及び輸送に使用されるエラストマーと溶媒との総量とは対照的に、乾燥エラストマーの量を指すと解釈される。
【0067】
代表的な非球状の架橋シロキサンエストラマーとしては、Dow Corning(商標)、General Electric(商標)、Shin Etsu(商標)(KSG 15及び16)、及びGrant Industriesを含む、種々の供給者によって供給される、CTFA(米国化粧品工業会IInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、11th ed.)指定の、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーが挙げられる。他の代表的な非乳化架橋シロキサンエストラマーとしては、Dow Corning(商標)、例えばシクロジメチコーン中に12.5%のエストラマーとして供給されるDC 9040及びDC 9045、並びにジメチコーン中に16%のエストラマーとして供給されるDC 9041を含む、CTFA指定のジメチコーンクロスポリマーが挙げられる。
【0068】
活性物質
本発明の組成物は、調製及び/又は哺乳類の皮膚の状態を改善するのに有用な、少なくとも1つのスキンケア活性物質(「活性物質(複数)」)を含んでもよい。活性物質は、油又は水中で可溶性であり得、主に油相中及び/又は水相で存在し得る。水中及び油中における可溶性は、当業者の知識内にあり、既知の分析方法を用いて、決定することができる。当業者は、可溶性が、組成物中の他の構成成分の種類及び濃度、並びにpH、イオン強度等の他の条件によって影響を受け得ることを、更に理解するであろう。多くのスキンケア活性物質は、2つ以上の効果をもたらし得るか、2つ以上の作用様式を介して作動し得、したがって、本明細書の分類は便宜上実施されたものであって、活性物質を、列挙した特定の1つ又は複数の用途に制限しようとするものではない。好適な活性物質としては、ビタミン、ペプチド、糖アミン、オイルコントロール剤、日焼け活性物質、抗ニキビ活性物質、落屑活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、美白剤、フラボノイド、タンパク質分解酵素抑制剤、非ビタミン酸化防止剤及びラジカル基スカベンジャー、育毛調整剤、しわ防止活性物質、抗萎縮活性物質、鉱物、植物ステロール及び/又は植物ホルモン、チロシナーゼ抑制剤、抗炎症剤、N−アシルアミノ酸化合物、抗微生物剤、並びに抗真菌剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明の組成物は、約0.001%〜約10%、あるいは約0.01%〜約5%の少なくとも1つのビタミンを含んでもよい。本明細書で、「ビタミン」とは、ビタミン、プロビタミン、並びにそれらの塩、異性体及び誘導体を意味する。好適なビタミンの非限定的な例としては、(ナイアシンアミド、ナイアシンニコチン酸、トコフェリルニコチネート、C1〜C18ニコチン酸エステル、及びニコチニルアルコール等のB1化合物、B2化合物、B3化合物;パンテノール又は「プロB5」、パントテン酸、パントテニル等のB5化合物;ピロキシジン、ピリドキサル、ピリドキサミン等のB6化合物;カルニチン、チアミン、リボフラビンを含む)ビタミンB化合物;ビタミンAの生物活性を保有する、レチノイド、レチノール、酢酸レチニル、レチニルパルミテート、レチノイン酸、レチンアルデヒド、レチニルプロピオネート、カロチノイド(プロビタミンA)、及び他の化合物を含む、ビタミンA化合物並びにビタミンAの全ての天然及び/又は合成類似体;ビタミンD化合物;ビタミンK化合物;ビタミンE化合物若しくは、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール及びトコフェリル化合物の他のエステルを含むトコフェノール;アスコルビン酸塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、並びにアスコルビン酸誘導体、例えば、マグネシウムアスコルビルホスフェート及びアスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、及びアスコルビルソルベート等のリン酸アスコルビルを含むビタミンC化合物;並びに、飽和及び/又は不飽和脂肪酸等のビタミンF化合物が挙げられる。1つの実施形態では、組成物は、ビタミンB化合物、ビタミンC化合物、ビタミンE化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるビタミンを含む。あるいは、ビタミンは、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェリル、ピロキシジン、パンテノール、ビタミンE、ビタミンEアセテート、リン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0070】
本発明の組成物は、1種以上のペプチドを含み得る。本明細書で、「ペプチド」とは、10個以下のアミノ酸を含有するペプチド、その誘導体、異性体、及び金属イオン(例えば、銅、亜鉛、マンガン及びマグネシウム)のような他の種との錯体を指す。本明細書で使用するとき、ペプチドとは、天然起源ペプチド及び合成ペプチドの両方を指す。一実施形態では、ペプチドは、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、及びヘキサ−ペプチド、それらの塩類、異性体、誘導体、並びにそれらの混合物である。有用なペプチド誘導体の例としては、大豆タンパク質由来のペプチド、カルノシン(β−アラニン−ヒスチジン)、パルミトイル−リジン−トレオニン(pal−KT)、及びパルミトイル−リジン−トレオニン−トレオニン−リジン−セリン(pal−KTTKS、MATRIXYL(登録商標)として知られている組成物内で入手可能)、パルミトイル−グリシン−グルタミン−プロリン−アルギニン(pal−GQPR、RIGIN(登録商標)として知られている組成物内で入手可能)、これら3つはSederma(France)から入手可能、アセチル−グルタメート−グルタメート−メチオニン−グルタミン−アルギニン−アルギニン(Ac−EEMQRR;Argireline(登録商標)、並びにCu−ヒスチジン−グリシン−グリシン(Cu−HGG、IAMIN(登録商標)としても知られている)が挙げられるが、これらに限定されない。本組成物は、約1×10−7%〜約20%、あるいは約1×10−6%〜約10%、あるいは約1×10−5%〜約5%のペプチドを含み得る。
【0071】
試験方法
色票法
本明細書で、「彩度」は、色及び色彩強度を説明する。本発明の目的上、色は、認識された色及び色差を客観的に表す様式を提供するための、Commission Internationale de l’Eclairage(CIEシステム)によって定義されるXYZ色システムに基づくCIELAB色システムの値に従って画定される。X、Y及びZは、種々の様式、又は「スケール」で表すことができ、そのうちの1つはHunterスケールである。ハンタースケールは、3つの変数、L、a、及びbを有し、これらは、X、Y、及びZに数学的に相関し、Robertson、A.R.によって、「The CIE 1976 Color Difference Formulas」Color Research Applications、vol.2、pp.7〜11(1977)に記載される。
【0072】
本発明の組成物の色を測定するために、組成物の厚くて均一なフィルムを、まず、標準の背景上で作製する。具体的には、製品を標準の不透明度チャート(Form N2A(Leneta Company(Manwah,NJ))又はその同等物で、上半分が黒色、下半分が白色)に適用し、フィルムアプリケータ(例えば、BYK Gardner(Columbia,Maryland)から市販されているもの、又はその同等物)を用いて、約0.03センチメートル(0.01インチ)の厚さを有するフィルムになるように、不透明度チャートの黒色部分に塗り広げる。
【0073】
次いで、製品フィルムの色(L、a、及びb値)を、分光光度計を用いて、正反射を除外するために選択される設定で、測定する。「a」の値は赤−緑(水平)軸に沿った値と相関し、「b」の値は青−黄(垂直)軸に沿った値と相関する。例えば、青色の試料は、負のb値を有し、一方、赤色の試料は正のa値を有することになる。より正又は負の値は、色の強度がより強いことを表す。「L」の値は、明度及び/又は暗度の指標であり、水平軸及び垂直軸の両方に対して垂直の、z軸に沿った値と相関する。
【0074】
「彩度」を、CIELAB色システムの水平軸及び垂直軸によって画定される赤−緑及び青−黄色軸の交差点にその原点を有し、色空間内で外側に向かって延在するベクターによって測定する。ベクターの長さは、彩度を表し、ベクターの方向は、濃淡又は色相を表す。ベクターが短ければ短いほど、組成物は色がより少なく、彩度がより低い。第1層又は粉末層の彩度の値である本発明の個々の層の彩度は、約10未満、好ましくは約6未満、更に好ましくは約3未満である。
【0075】
コントラスト比
本明細書で、「コントラスト比」は、組成物を不透明度チャート(Form N2A(Leneta Company(Manwah,NJ))又はその同等物)上に伸ばした後、鏡面反射を除外するように選択される設定で、分光光度計を用いることにより決定される、組成物の不透明度、又は組成物が光透過を低減させる又は妨げる能力を指す。組成物を不透明度チャートの上部に適用し、次いでフィルムアプリケータ(例えば、BYK Gardner(Columbia,Maryland)から市販されているもの、又はその同等物)を用いて、厚さ0.03センチメートル(0.01インチ)の厚さを有するフィルムになるように伸ばす。フィルムを、22℃+/−1℃、0.1MPa(1atm)の条件下で2時間乾燥させる。分光光度計を用いて、製品フィルムのY三刺激値(すなわち、フィルムのXYZ色空間)を測定し、記録する。Y三刺激値は、不透明度チャートの黒色セクション上の製品フィルムの3つの異なる領域で測定し、また、不透明度チャートの白色セクション上の製品フィルムの3つの異なる領域で測定する。
【0076】
第1層又は粉末層のコントラスト比である本発明の個々の層のコントラスト比は、約20未満、好ましくは約10未満、更に好ましくは約6未満である。
【0077】
コントラスト比は、黒色領域における3つのY三刺激値の数学的平均を白色領域における3つのY三刺激値の数学的平均で割り、100をかけて計算される。
【0078】
【数1】
【0079】
視覚属性試験(VAT)
可視属性試験(VAT)は、顔の皮膚に適用したときに、本発明の組成物の目に見える効果を定量化するのに使用される、技術パネルである。中程度から高程度のベースラインレベルの小じわ、しわ、隆起した表面のきめ、及び孔等の顔の属性を有するように事前にスクリーニングされた15〜30人の女性の官能試験員が、各VAT研究に参加する。次いで、2人の訓練されたエキスパートグレーダが、ベースライン及び0.45グラムの製品を顔の1つの面への適用から10分後の両方の各官能試験員の顔上の様々な属性に、評点をつける。次いで、顔の属性の減少を、処置前の評点−処置後の評点として計算し、差異の有意を、ANOVA手技(TukeyのLSD試験)を用いて決定する。
【0080】
隆起した表面のきめの典型的なVATデータ計算を表す仮定的なデータ表は、以下である。小じわ、しわ、隆起した表面のきめ及び/又は孔に関して、おおよそ0.4を超える差異は、消費者に顕著な変化をもたらす。
【0081】
【表1】
【0082】
エキスパートグレーダによって評価される顔の属性としては、以下が挙げられる:
小じわ/しわ−頬の部位上の小じわ及びしわによって引き起こされた皮膚の重症度。頬の部位には、口の周囲の皮膚を除く頬骨の上部より下の部位が含まれる。この属性の特徴には、小じわ及びしわの数、長さ、深さ及び被覆率のパーセントが含まれる。孔は直接包含しないが、相互に連結した孔によって形成されたと思われる小じわは含む。この属性の特徴のそれぞれは、同等に重みがつけられる。
【0083】
隆起した表面−「小石状」又は「オレンジを剥いた」表面に関連する皮膚の不均一さ又は粗さ。高さ及び近接として定義されるとおりの粗さ度、並びに表面外観によって覆われた顔のパーセントの両方に基づく。粗さ及び被覆率は、最終評点で同等に重みがつけられる。明白な隆起型の茶色いほくろは含まない。
【0084】
孔−顔の孔の被覆率及び度合い被覆率は、目に見える孔(開放孔)を有する頬の部位全体のパーセントとして定義される。度合いは、孔の量及び平均孔サイズとして定義され、ここでは、より孔がより高い点数に至らせる。この属性の両方の要因には、最終評点で同等に重みがつけられる。
【0085】
輝度−光輝化特徴は、顔の明るさ及びルミネセンスを増加させる。これは、赤及び茶の色合いの低減によって達成することができる。
【0086】
エキスパートグレーダは、上記の属性のそれぞれを、処置前及び処置後の両方に、以下に示す5点連続線スケールを用いて評価する。
【0087】
【数2】
【実施例】
【0088】
実施例1〜10
本発明に従った第1層組成物の以下の実施例は、まず水相成分を合わせて、均一になるまで混合し、必要であれば温めることにより、調製する。次に、増粘剤を添加し、組成物を再度均一になるまで混合する。最後に、存在する場合は、pH調整剤を添加し、組成物を、均一になるまで混合する。
【0089】
【表2】
Symriseからの、1,2−ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール
Lonzaからの、ヨードプロピニルブチルカルバメート、PEG−4ラウレート、PEG−4ジラウレート、及びポリエチレングリコール
Seppicからの、ウンデシレノイルフェニルアラニン
Silabからの、水及び加水分解セロトニア・シリクア種子抽出物
Silabからの、水及びナスタートリウム・オフィキナーレ抽出物
Sederma(France)から入手可能な、パルミトイル−リジン−トレオニン−トレオニン−リジン−セリン
B&T S.r.l.からの、PEG−7オリーブ油カルボン酸ナトリウム
ポリアクリルアミド、C13〜14イソパラフィン、及びラウレス−7(Seppic製)
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート60
10Kobo Products Inc.からの、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン
11Lubrizolからの、カルボマー
【0090】
【表3】
Symriseからの、1,2−ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール
Lonzaからの、ヨードプロピニルブチルカルバメート、PEG−4ラウレート、PEG−4ジラウレート、及びポリエチレングリコール
Lonzaからの、DMDMヒダントイン、ブタン−1,3−ジオール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、水
Silabからの水及び加水分解セロトニア・シリクア種子抽出物
Silabからの、水及びナスタートリウム・オフィキナーレ抽出物
Sederma(France)から入手可能な、パルミトイル−リジン−トレオニン−トレオニン−リジン−セリン
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート60
Kobo Products Inc.からの、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン
Kobo Products Inc.からの、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン
10Lubrizolからの、カルボマー
11Lubrizolからの、アクリレートC10−/30アルキルアクリレートクロスポリマー
【0091】
実施例11〜25:
本発明に従った粉末層組成物の以下の実施例を、まず、水相成分を容器内で合わせて、均一になるまで混合することにより、調製する。増粘剤を添加し、水相を均一になるまで混合し、次いで存在する場合は、pH調整剤を添加し、水相を再び、均一になるまで混合する。油相の成分を別の容器内で合わせて、均一になるまで混合する。次に、粉末を油相に添加し、組み合わせを均一になるまで混合する。最後に、油/粉末相を水相に添加し、得られたエマルションを、高剪断攪拌(例えば、Flacktek Speedmixer又はロータ−固定子ミル)に供する。
【0092】
【表4】
Symriseからの、1,2−ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール
Lonzaからの、ヨードプロピニルブチルカルバメート、PEG−4ラウレート、PEG−4ジラウレート、及びポリエチレングリコール
Lonzaからの、DMDMヒダントイン、ブタン−1,3−ジオール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、水
ポリアクリルアミド、C13〜14イソパラフィン、及びラウレス−7(Seppic製)
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート60
Kobo Products Inc.からの、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン
Lubrizolからの、カルボマー
Lubrizolからの、アクリレートC10−/30アルキルアクリレートクロスポリマー
Gelestからの、ポリジエチルシロキサン
10Dow Corningからの、ビス−ヒドロキシエトキシルプロピルジメチコーン
11Dow Corningからの、ジメチコーン及びジメチコノール
12Dow Corningからの、シクロペンタシロキサン及びジメチコーンクロスポリマー
13タピオカ及びポリメチルシルセスキオキサン(Akzo Nobel製)
14Akzo Nobelからの、タピオカ粉末
15Akzo Nobelからの、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート
【0093】
【表5】
Symriseからの、1,2−ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール
Lonzaからの、ヨードプロピニルブチルカルバメート、PEG−4ラウレート、PEG−4ジラウレート、及びポリエチレングリコール
Lonzaからの、DMDMヒダントイン、ブタン−1,3−ジオール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、水
ポリアクリルアミド、C13〜14イソパラフィン、及びラウレス−7(Seppic製)
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート60
Kobo Products Inc.からの、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン
Lubrizolからの、カルボマー
Lubrizolからの、アクリレートC10−/30アルキルアクリレートクロスポリマー
Gelestからの、ポリジエチルシロキサン
10Dow Corningからの、ビス−ヒドロキシエトキシルプロピルジメチコーン
11Dow Corningからの、ジメチコーン及びジメチコノール
12Dow Corningからの、シクロペンタシロキサン及びジメチコーンクロスポリマー
13タピオカ及びポリメチルシルセスキオキサン(Akzo Nobel製)
14Akzo Nobelからの、タピオカ粉末
15Akzo Nobelからの、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート
16Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
17Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
18Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
19Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
20Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
21Dow Corningからの、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー
【0094】
【表6】
Symriseからの、1,2−ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール
Lonzaからの、ヨードプロピニルブチルカルバメート、PEG−4ラウレート、PEG−4ジラウレート、及びポリエチレングリコール
Lonzaからの、DMDMヒダントイン、ブタン−1,3−ジオール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、水
ポリアクリルアミド、C13〜14イソパラフィン、及びラウレス−7(Seppic製)
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート80
Kobo Products Inc.からの、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン
Lubrizolからの、カルボマー
Lubrizolからの、アクリレートC10−/30アルキルアクリレートクロスポリマー
Gelestからの、ポリジエチルシロキサン
10Dow Corningからの、ビス−ヒドロキシエトキシルプロピルジメチコーン
11Dow Corningからの、ジメチコーン及びジメチコノール
12Dow Corningからの、シクロペンタシロキサン及びジメチコーンクロスポリマー
13Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
14Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
15Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
16Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
17Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
18Dow Corningからの、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー
【0095】
実施例番号26〜29は、意図的に空白のままで残している。
【0096】
比較実施例
下記の提供される全てのデータは、上述のVAT試験に従って測定され、80%の信頼水準(α=0.20で、Tukey試験)に対して、統計的に有意である。各比較実施例でVAT方法に従って評点づけをした参加者の数は、以下の表で提供される。
【0097】
【表7】
【0098】
比較実施例30及び31−グリセリンの影響
以下の2つの実施例は、「一体型」組成物中で、高い潤いを与える組成物を高微粒子組成物と合わせることの悪影響を例証する。したがって、この比較は、1回(「一体型」)組成物中で混合されたときの、高レベルの保湿剤の視覚的効果への悪影響を例証する。組成物30及び31は、共に同じ高レベルのシリコーンエストラマー粒子及び不揮発性シリコーン油を含有し、さもなければ、実施例30が5%のグリセリンを含有する一方で、実施例31が、25%のグリセリンを含有することを除き、同一である。
【0099】
組成物30及び31を、まず、水相成分及び増粘剤を容器中で合わせ、均一になるまで混合することにより、調製する。油相の成分を別の容器内で合わせて、均一になるまで混合する。次いで、微粒子を油相に添加し、この組み合わせを均一になるまで混合する。最後に、油/微粒子相を水相に添加し、得られたエマルションを高剪断攪拌(例えば、Flacktek Speedmixer、又はロータ−固定子ミル)に供する。
【0100】
【表8】
Lonzaからの、DMDMヒダントイン、ブタン−1,3−ジオール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、水
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート60
Dow Corningからの、シクロペンタシロキサン及びジメチコーンクロスポリマー
Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
【0101】
次いで、組成物30及び31を視覚属性試験(VAT)に配置して、これらの有効性を、様々な顔の属性の外観を縮小で比較する以下の表に要約されるこの試験の結果から見ることができるように、グリセリンのレベルを5%から25%に上昇させることは、これらの製品中におけるエストラマー粒子と不揮発性シリコーン油との組み合わせによってもたらされる視覚的効果を著しく低減させた。
【0102】
頬小じわ、隆起した表面、及び孔に対するより高いVAT点は、これらの属性の外観における、より大きく目に見える低減に対応する。したがって、このデータは、粒子と不揮発性油系とが「一体型」組成物中で合わせられたときの、高レベルのグリセリンが視覚的効果に有する負の影響を明らかに例証する。
【0103】
【表9】
【0104】
比較実施例32〜36−層の影響
実施例32、33、及び36を、例えば上記30及び31で使用した同じプロセスを用いて調製する。実施例34及び35を、水相成分の全て及びpH調整剤を合わせ、均一になるまで混合し、必要であれば温めることによって、調製する。次に、増粘剤を添加し、組成物を再度均一になるまで混合する。
【0105】
【表10】
Symriseからの、1,2−ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール
Lonzaからの、ヨードプロピニルブチルカルバメート、PEG−4ラウレート、PEG−4ジラウレート、及びポリエチレングリコール
Seppicからの、ウンデシレノイルフェニルアラニン
Silabからの、水及び加水分解セロトニア・シリクア種子抽出物
Silabからの、水及びナスタートリウム・オフィキナーレ抽出物
Sederma(France)からの、水、グリセリン、デシルグルコシド、乳酸、ベンジルアルコール、及びパルミトイルジペプチド−7
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート60
Kobo Products Inc.からの、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン
Dow Corningからの、ジメチコーン及びジメチコノール
10Dow Corningからの、シクロペンタシロキサン及びジメチコーンクロスポリマー
11タピオカ及びポリメチルシルセスキオキサン(Akzo Nobel製)
【0106】
組成物32は、一体型、又は二層型システムが、第1層の組成物34、続いて粉末層の組成物36からなるとおりの、同じグリセリン及び皮膚活性レベル、並びに同じデンプン粉末及び不揮発性シリコーン油を含有する、1回工程の配合物である。同様に、一体型、又は1回工程組成物34は、第1層の組成物35と、続く粉末層の組成物36からなる二層型システムと類似している。組成物32と34との間の差異は、組成物33と35と比較して、後者の組成物は、追加の皮膚活性成分(Sepiwhite MSH、Glyco−Repair、Biomyox、Palestrina、及びInositol)を含有することであることを、留意されたい。組成物32〜36の間のこれらの関係は、下記の表に要約される。一体型対二工程型組成物の比較に対して、適切な安定性及び物理的特性を確実にするために、微量の配合調整が、ほとんど行われなかったことにも留意されたい。しかしながら、これらの微量の配合調整は、これらの配合物の視覚的効果に著しく影響を与えないはずである。
【0107】
【表11】
【0108】
次いで、上記の一体型組成物(実施例32、33)及びこれらの対応する二工程型組成物(実施例34/36、35/36)を、視覚属性試験(VAT)に配置して、これらの有効性を様々な顔の属性の外観を縮小で比較する。簡潔さ及び統計的検出力を上昇させるために、これらの一体型対二工程型の比較の両方の結果が、下記の表に組み合わせられている。この試験の結果から見ることができるように、本発明に従って作製した二工程型システムは、一体型及び二工程型システムが共に、同じデンプン粉末及び不揮発性シリコーンを含有するにも関わらず、これらと対応する一体型システムよりも著しく高い、目に見える効果をもたらす(輝度のマイナスの値は、顔の皮膚の輝度の上昇に対応することに留意されたい)。したがって、これらの結果は、本発明の二工程型方法の効果を例証する。
【0109】
【表12】
【0110】
比較実施例37〜38−不揮発性油対粉末の比率の影響
下記は、本発明に従った粉末層組成物の実施例であり、これらは共に、上記実施例36と同様、20%のデンプン粒子を含油する。上記実施例36と、下記実施例37及び38との間の鍵となる差異は、不揮発性油(50mm/s(50cst)ジメチコーン)対粉末の比率である。類似の物理的特性及び安定性を有することを確実にするために、これらの配合物に対して非常に小さな調整を行ったが、これらの調整は、製品性能に影響を与えないはずであることにご留意いただきたい。実施例37及び38を、実施例30及び31と同じ様式で調製する。
【0111】
【表13】
Symriseからの、1,2−ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール
Lonzaからの、ヨードプロピニルブチルカルバメート、PEG−4ラウレート、PEG−4ジラウレート、及びポリエチレングリコール
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート60
Dow Corningからの、シクロペンタシロキサン及びジメチコーンクロスポリマー
タピオカ及びポリメチルシルセスキオキサン(Akzo Nobel製)
【0112】
次いで、実施例36、37、及び38の組成物を、実施例34の組成物を各試験の第1工程として用いて、二工程型処方計画の一部として、VAT研究内へ配置した。下記に表に要約されるこの試験の結果から見ることができるように、不揮発性油対粉末の比率が上昇するにつれ、これらの組成物によってもたらされる視覚的効果が、著しく減少した。したがって、このデータは、明らかに本発明の組成物中の、好ましい油対粉末の比率の効果を示す。
【0113】
【表14】
【0114】
比較実施例39−層の順番の影響
以下の組成物、実施例39を、まず水相成分を合わせ、均一になるまで混合することにより作成する。次に、増粘剤を添加し、再び組成物を均一になるまで混合する。
【0115】
【表15】
Symriseからの、1,2−ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール
Lonzaからの、ヨードプロピニルブチルカルバメート、PEG−4ラウレート、PEG−4ジラウレート、及びポリエチレングリコール
Kobo Products Inc.からの、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン
【0116】
前の実施例34及び36の組成物と共に、実施例39の組成物を用いて、皮膚に適用する本発明の二工程型システムの層の順番の影響を理解するために、VAT研究を実施した。具体的には、以下の二工程型システムを、VAT研究に配置した。
【0117】
【表16】
【0118】
実施例34及び実施例39では、使用される増粘剤のみが異なり、この差異は、これらの二工程型システムの視覚的効果に著しい影響を与えないはずであることを留意されたい。以下のVATの結果から見ることができるように、本発明に従って使用した二工程型システムが、様々な目に見える属性に対して大きな効果を送達した一方で、工程の順番を逆にした二工程型組成物は、著しくより低い目に見える効果をもたらした。したがって、これらの結果は、本発明の適用工程の順番の重要性を確認する。
【0119】
【表17】
【0120】
比較実施例40〜41−上昇した不透明度の影響
下記の2つの実施例は共に、同じ高いレベルのシリコーンエストラマー球状粒子、及び不揮発性シリコーン油を含有し、実施例41が3.43%の顔料を含有する一方で、実施例40は、顔料を含有しないことを除き、類似している。実施例41に使用した顔料は、実施例40と比較して、上昇した不透明度をもたらした。不透明度を、コントラスト比を測定することにより、評価する(コントラスト比が高ければ高い程、不透明度のレベルがより高い)。実施例41が、34のコントラスト比を有する一方で、実施例40は、4.3のコントラスト比を有する。実施例40及び41を、例えば、上記30及び31で使用した同じプロセスを用いて調製する。
【0121】
【表18】
Lonzaからの、DMDMヒダントイン、ブタン−1,3−ジオール、ヨードプロピニルブチルカルバメート、水
Seppicからの、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、及びポリソルベート60
Dow Corningからの、シクロペンタシロキサン及びジメチコーンクロスポリマー
Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
Shin Etsuからの、ビニルジメチコーン/メチコーンシルセスキオキサンクロスポリマー
二酸化チタン、イソヘキサデカン、ポリヒドロキシステアリン酸、トリエトキシカプリリルシラン
酸化鉄CI 77491、シクロペンタシロキサン、メチコーン、PEG/PGG−18/18ジメチコーン
酸化鉄CI 77492、シクロペンタシロキサン、メチコーン、PEG/PPG−18/18ジメチコーン
【0122】
次いで、実施例40及び41の組成物の有効性を様々な顔の属性の外観を縮小で比較するために、これらを、視覚属性試験(VAT)に配置した。下記の表に要約されるこの試験の結果から見ることができるように、高屈折率の顔料を用いることで、不透明度(より大きいコントラスト比)を上昇させることは、これらの製品中のエストラマー粉末とシリコーン油との組み合わせによってもたらされる視覚的効果を、著しく低減させた。したがって、このデータは、上昇した不透明度の、本発明の粉末及び油システムの視覚的効果に対する負の影響を明らかに例証する。
【0123】
【表19】
【0124】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0125】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する程度に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0126】
本発明の特定の実施形態が例解され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を加えることができることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。