(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動物認識部は、前記撮像画像を入力することにより前記撮像画像中で前記動物を認識したか否かを示す情報を出力する機械学習モデルに前記撮像画像を入力することで、前記撮像画像中の前記動物を認識する、請求項1に記載の無人飛行装置。
前記無人飛行装置の位置と、前記動物の位置と、前記退去位置との関係に基づいて、前記動物が忌避する物質、電気、音及び光のうち少なくとも1つ、又は前記動物を誘引する物質、電気、音及び光のうち少なくとも1つを発生させる発生部をさらに有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の無人飛行装置。
前記退去位置特定部は、前記無人飛行装置又は前記他の無人飛行装置が前記動物を前記退去位置に向かって誘導するように飛行している最中に、前記退去位置を、前記動物の位置に基づいて、前記複数の候補位置のうちいずれか1つの候補位置に変更する、請求項5に記載の無人飛行装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
[無人飛行システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る無人飛行システムSの模式図である。無人飛行システムS(無人飛行装置制御システム)は、ドローン1と、制御サーバ2と、撮像装置3と、通信端末4とを含む。無人飛行システムSは、複数のドローン1を含んでもよい。また、無人飛行システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0022】
ドローン1は、制御サーバ2から受信した情報に基づいて空中を飛行し、排除対象である動物Aを所定の領域Rから追い払う無人飛行装置である。ドローン1は、通常は所定のステーションSTに留まっており、制御サーバ2から飛行指示を受信した場合に飛行する。
【0023】
また、ドローン1は、領域Rから動物Aを追い払うために、飛行中に動物Aを忌避又は誘引する物質、電気、音、光等を発生させる。動物Aは、例えば鹿、猪、猿、鳥等の、排除対象とする害獣である。ドローン1は、自身の飛行を制御するコンピュータを備える。ドローン1は、制御サーバ2と通信可能である。
【0024】
制御サーバ2は、撮像装置3が撮像した撮像画像を受信し、受信した撮像画像に基づいて決定した飛行指示をドローン1へ送信するコンピュータ(情報処理装置)である。また、制御サーバ2は、動物Aが領域Rに侵入したことや、動物Aが領域Rから追い払われたことを示す通知を、通信端末4へ送信する。制御サーバ2は、ドローン1、撮像装置3及び通信端末4と通信可能である。
【0025】
撮像装置3は、領域R内を撮像するカメラである。撮像装置3は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を含む。領域Rに侵入した動物Aを撮像できるように、領域Rの外周に沿った複数の位置に、複数の撮像装置3が配置されている。撮像装置3は、所定の1つの撮像範囲を撮像してもよく、レンズの向きを変更して複数の撮像範囲を撮像してもよい。撮像装置3が撮像する撮像画像は、可視光画像であってもよく、赤外線画像であってもよい。撮像装置3は、撮像した撮像画像を制御サーバ2へ送信する。撮像装置3は、制御サーバ2と通信可能である。
【0026】
通信端末4は、ユーザが保持するコンピュータである。ユーザは、無人飛行システムSの管理者又は提供者であってもよく、領域Rの所有者であってもよい。通信端末4は、例えばパーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末である。通信端末4は、制御サーバ2から受信した通知を示す情報を液晶ディスプレイ等の表示部上に表示し、又は制御サーバ2から受信した通知を示す音をスピーカ等の音発生部から発生させる。通信端末4は、制御サーバ2と通信可能である。
【0027】
ドローン1は、GPS(Global Positioning System)やビーコン等を用いて自身の位置を取得し、領域Rに侵入した動物Aを、領域Rに関連付けられた退去位置Pに向かって誘導するように飛行する。後述するように、退去位置Pは、動物Aが領域Rに侵入した位置、又は予め定義された複数の候補位置のうち動物Aに最も近い位置である。複数の候補位置は、退去位置Pの候補となる位置である。これにより、ドローン1は、動物Aを闇雲に追い回すのではなく、動物Aが出て行きやすい退去位置Pに動物Aを向かわせることができるため、動物Aを領域Rから効率的に追い払うことができる。
【0028】
[無人飛行システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る無人飛行システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示していないデータの流れがあってよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0029】
ドローン1は、制御部11と、記憶部12と、撮像部13と、発生部14とを有する。制御部11は、受信部111と、飛行制御部112とを有する。
【0030】
撮像部13は、ドローン1の飛行中に撮像するカメラである。撮像部13は、CCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像素子を含む。撮像部13が撮像する撮像画像は、可視光画像であってもよく、赤外線画像であってもよい。撮像部13は、撮像した撮像画像を制御部11へ入力する。
【0031】
発生部14は、制御部11から入力された制御信号に従って、動物が忌避する又は動物を誘引する物質、電気、音及び光のうち少なくとも1つを発生させる機構を備える。発生部14が発生させる物質、電気、音及び光は、動物の知覚神経に作用することによって、動物に忌避され、又は動物を誘引する。
【0032】
物質は、動物が忌避する又は動物を誘引する物質であり、発生部14によって動物に向けて放出される。例えば、鹿が忌避する物質は、唐辛子成分を含む物質であり、鹿を誘引する物質は、アルファルファ成分を含む物質である。電気は、発生部14によって動物に向けて放電される。音は、所定の周波数及び強度を有する音であり、発生部14によって動物に向けて出力される。光は、所定の周波数及び強度を有する光であり、発生部14によって動物に向けて出力される。例えば、動物が忌避する電気、音及び光は、所定の強度以上の電気、音及び光であり、動物を誘引する電気、音及び光は、動物が知覚可能であり、かつ所定の強度未満の電気、音及び光である。
【0033】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、ドローン1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0034】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部111及び飛行制御部112として機能する。制御部11の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0035】
制御サーバ2は、制御部21と、記憶部22とを有する。制御部21は、画像取得部211と、動物認識部212と、退去位置特定部213と、送信部214とを有する。記憶部22は、認識情報記憶部221と、候補位置記憶部222とを有する。
【0036】
記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部21が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、制御サーバ2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部21との間でデータの授受を行ってもよい。
【0037】
認識情報記憶部221は、撮像画像に写っている動物を認識するための認識情報(例えば特徴量や機械学習モデル)を記憶する。候補位置記憶部222は、退去位置Pの候補である複数の候補位置を領域Rと関連付けて記憶する。認識情報記憶部221及び候補位置記憶部222は、それぞれ記憶部22上の記憶領域であってもよく、あるいは記憶部22上で構成されたデータベースであってもよい。
【0038】
制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、画像取得部211、動物認識部212、退去位置特定部213及び送信部214として機能する。制御部21の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部21の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0039】
本実施形態に係る無人飛行システムSは、
図2に示す具体的な構成に限定されない。ドローン1及び制御サーバ2は、それぞれ1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。
【0040】
[無人飛行装置制御方法の説明]
本実施形態に係る無人飛行システムSが実行する無人飛行装置制御方法を以下に説明する。複数の撮像装置3は、それぞれ領域R内の所定の撮像範囲を所定の時間間隔で繰り返し撮像し、制御サーバ2へ送信する。
【0041】
制御サーバ2において、画像取得部211は、撮像装置3が送信した撮像画像を受信して取得する。画像取得部211は、撮像装置3が送信した撮像画像に代えて又は加えて、ドローン1の撮像部13が撮像した撮像画像を受信して取得してもよい。
【0042】
図3は、画像取得部211が取得した撮像画像IMを示す図である。動物認識部212は、画像取得部211が取得した撮像画像IMに基づいて、領域Rの中の排除対象の動物Aを認識する。
【0043】
例えば動物認識部212は、撮像画像IMの特徴量を用いて、撮像画像IM中の動物Aを認識する。この場合に、認識情報記憶部221は、排除対象の動物Aの特徴量を、認識情報として予め記憶している。認識情報記憶部221は、排除対象の複数の種類の動物Aの特徴量を、動物Aの種類と関連付けて記憶してもよい。特徴量は、撮像画像IMの中で動物Aを認識するための特徴を表す値である。特徴量は、動物Aの画像(テンプレート画像)の輝度分布であってもよい。あるいは特徴量は、動物Aの画像の複数の画素の輝度値から所定の規則に従って算出した値(SIFT特徴量やHOG特徴量等)であってもよい。
【0044】
動物認識部212は、認識情報記憶部221から特徴量を取得する。動物認識部212は、認識情報記憶部221に記憶された特徴量と同じ方法を用いて、画像取得部211が取得した撮像画像IM中の各位置における特徴量を算出する。そして動物認識部212は、認識情報記憶部221から取得した特徴量と、撮像画像IM中の各位置において算出した特徴量とを比較し、類似度を算出する。
【0045】
動物認識部212は、撮像画像IM中のいずれかの位置で算出した類似度が所定条件を満たす場合(例えば類似度が所定値以上である場合)に、撮像画像IM中の該位置において動物Aを認識する。動物認識部212は、撮像画像IM中のいずれの位置で算出した類似度も所定条件を満たさない場合に、撮像画像IM中に動物Aを認識しない。
【0046】
認識情報記憶部221が複数の種類の動物Aの特徴量を記憶している場合には、動物認識部212は各種類の動物Aについて認識処理を繰り返す。動物認識部212は撮像画像IM中で1頭の動物Aを認識した場合に、その時点で認識処理を終了してもよく、複数の動物Aを認識できるように認識処理を継続してもよい。
【0047】
そして動物認識部212は、撮像画像IM中で動物Aを認識したか否かを示す認識結果を、認識した動物Aの位置と関連付けて出力する。認識結果は、認識した動物Aの種類を含んでもよい。動物Aの位置は、例えば撮像画像IMを撮像した撮像装置3又はドローン1の位置である。
【0048】
別の方法として、例えば動物認識部212は、機械学習モデルを用いて、撮像画像IM中の動物Aを認識する。この場合に、認識情報記憶部221は、排除対象の動物Aを認識するための機械学習モデルを、認識情報として予め記憶している。機械学習モデルは、撮像画像を入力することにより、撮像画像IM中で動物Aを認識したか否かを示す認識結果を出力する。
【0049】
機械学習モデルは、動物Aが含まれている撮像画像と動物Aが含まれていない撮像画像とを用いて既知の機械学習方法を実行することによって予め生成され、認識情報記憶部221に記憶される。例えばコンピュータは、機械学習方法として、指定された特徴量(SIFT特徴量やHOG特徴量等)を各撮像画像において算出し、算出された特徴量を用いた決定木やSVM(Support Vector Machine)等の学習アルゴリズムを実行することによって、動物Aが含まれている撮像画像と動物Aが含まれていない撮像画像とを分類可能な機械学習モデルを生成する。
【0050】
あるいは機械学習モデルは、深層学習(ディープラーニング)によって生成されてもよい。深層学習において、コンピュータは、撮像画像に対して特徴量を抽出する畳み込み処理と、抽出した特徴量を絞り込むプーリング処理とを繰り返し行うことによって、動物Aが含まれている撮像画像と動物Aが含まれていない撮像画像とを分類可能な機械学習モデルを生成する。
【0051】
動物認識部212は、認識情報記憶部221から機械学習モデルを取得する。動物認識部212は、認識情報記憶部221から取得した機械学習モデルに撮像画像IMを入力することにより、機械学習モデルから出力された撮像画像IM中で動物Aを認識したか否か(すなわち撮像画像IMに動物Aが含まれているか否か)を示す認識結果を取得する。
【0052】
そして動物認識部212は、撮像画像IM中で動物Aを認識したか否かを示す認識結果を、認識した動物Aの位置と関連付けて出力する。認識結果は、認識した動物Aの種類を含んでもよい。動物Aの位置は、例えば撮像画像IMを撮像した撮像装置3又はドローン1の位置である。
【0053】
動物認識部212は、上述の具体的な方法に限られず、撮像画像IMに基づいて動物Aを認識することが可能なその他の方法を用いてもよい。共通する撮像範囲において同時期に複数の撮像装置3が撮像した複数の撮像画像IM中に動物Aが認識された場合には、退去位置特定部213は、該複数の撮像装置3の位置に基づいて、動物Aの位置を算出してもよい。例えば退去位置特定部213は、複数の撮像装置3の位置の中心点(重心等)を、動物Aの位置として取得する。
【0054】
退去位置特定部213は、動物認識部212が出力した認識結果が撮像画像中で動物Aを認識したことを示す場合に、動物認識部212によって認識された動物Aの位置に基づいて動物Aを向かわせる退去位置Pを特定する。退去位置Pは、例えば緯度及び経度によって表される。退去位置特定部213は、例えば、以下の第1の方法又は第2の方法によって、退去位置Pを特定する。
【0055】
図4は、退去位置特定部213が退去位置Pを特定する第1の方法を示す模式図である。第1の方法において、退去位置特定部213は、動物認識部212によって最初に認識された動物Aの位置を、動物Aが領域Rに侵入した位置として取得する。そして退去位置特定部213は、動物Aが領域Rに侵入した位置を、退去位置Pとして特定する。
【0056】
第1の方法によれば、退去位置特定部213は、動物Aがもともと領域Rに侵入した位置を退去位置Pに設定するため、川や崖等の動物Aが侵入できない場所、すなわち動物Aが退去することが困難な場所を退去位置Pに設定することがない。そのため、ドローン1は、動物Aが出て行きやすい退去位置Pへ動物Aを誘導し、速やかに追い払うことができる。
【0057】
図5は、退去位置特定部213が退去位置Pを特定する第2の方法を示す模式図である。第2の方法において、候補位置記憶部222は、退去位置Pの候補である複数の候補位置P1を、領域Rと関連付けて予め記憶している。候補位置P1は、例えば動物Aが出て行きやすい獣道に設定され、農地等の荒らされたくない場所の近傍には設定されない。
【0058】
退去位置特定部213は、候補位置記憶部222から、撮像画像が撮像された領域Rに関連付けられた複数の候補位置P1を取得する。そして退去位置特定部213は、複数の候補位置P1のうち、動物認識部212によって最初に認識された動物Aの位置に最も近い1つの候補位置P1を、退去位置Pとして特定する。あるいは退去位置特定部213は、その他の条件(動物Aが認識された日時、動物Aの種類等)によって複数の候補位置P1の中から退去位置Pを選択してもよい。
【0059】
第2の方法によれば、退去位置特定部213は、予め定義した複数の候補位置P1のいずれかを退去位置Pに設定するため、川や崖等の動物Aが侵入できない場所、すなわち動物Aが退去することが困難な場所を退去位置Pに設定することがない。そのため、ドローン1は、動物Aが出て行きやすい退去位置Pへ動物Aを誘導し、速やかに追い払うことができる。また、候補位置P1を農地等の荒らされたくない場所の近傍に設定しないことによって、ドローン1が動物Aを誘導している際に発生し得る被害を抑制することができる。
【0060】
さらに第2の方法において、退去位置特定部213は、ドローン1が動物Aを誘導している最中に、複数の候補位置P1及び動物Aの位置に基づいて退去位置Pを変更してもよい。この場合に、例えば動物認識部212は、領域Rに配置された撮像装置3又はドローン1の撮像部13が所定の時間間隔で撮像した撮像画像において動物Aを認識することによって、動物Aの現在位置を取得する。
【0061】
そして退去位置特定部213は、複数の候補位置P1のうち、動物Aの現在位置に最も近い1つの候補位置P1を、退去位置Pとして特定する。このような構成により、ドローン1が動物Aを誘導している最中に退去位置Pから離れてしまった場合に、退去位置特定部213は、より近い候補位置P1を退去位置Pに変更し、ドローン1が動物Aを退去位置Pへ誘導しやすくできる。
【0062】
送信部214は、退去位置特定部213が特定した退去位置Pに向かって動物Aを誘導するように飛行するための飛行指示を、ドローン1へ送信する。飛行指示は、例えば動物認識部212が出力した動物Aの位置と、退去位置特定部213が特定した退去位置Pと、誘導方法(動物Aを追うこと又は動物Aを引き付けること)とを示す。送信部214は、複数のドローン1へ異なる飛行指示を送信してもよい。
【0063】
ドローン1において、受信部111は、制御サーバ2が送信した飛行指示を受信する。飛行制御部112は、受信部111が受信した飛行指示が示す動物Aの位置及び退去位置Pの関係に基づいて、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するようにドローン1を飛行させる制御を行う。
【0064】
ドローン1は、飛行指示が示す誘導方法に従って、動物Aを追うように飛行すること、又は動物Aを引き付けるように飛行することによって、動物Aを退去位置Pに向かって誘導する。
図6(a)は、動物Aを追うように飛行する場合のドローン1の飛行経路を示す模式図である。この場合に、ドローン1は、ドローン1と退去位置Pとの間に動物Aがいる状態で、動物Aに近付くように飛行する。
【0065】
図6(b)は、動物Aを引き付けるように飛行する場合のドローン1の飛行経路を示す模式図である。この場合に、ドローン1は、退去位置Pと動物Aとの間をドローン1が飛行している状態で、動物Aから離れるように飛行する。
【0066】
飛行制御部112がドローン1を飛行させている最中に、発生部14は、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するために、動物Aが忌避する又は動物Aを誘引することが可能な、物質、電気、音及び光のうち少なくとも1つを発生させる。
【0067】
発生部14は、ドローン1の位置と、動物Aの位置と、退去位置Pとの関係に基づいて、動物Aが忌避する物質、電気、音及び光のうち少なくとも1つ、又は動物Aを誘引する物質、電気、音又は光のうち少なくとも1つを発生させてもよい。すなわち、
図6(a)のようにドローン1と退去位置Pとの間に動物Aがいる場合に、発生部14は動物Aが忌避する物質、電気、音又は光を発生させる。
図6(b)のようにドローン1が退去位置Pと動物Aとの間を飛行している場合に、発生部14は動物Aを誘引する物質、電気、音又は光を発生させる。このように発生部14が、動物Aが忌避する又は動物Aを誘引する物質、電気、音又は光を発生させることによって、ドローン1は動物Aを領域Rから効率的に追い払うことができる。
【0068】
ドローン1が動物Aを退去位置Pに向かって誘導するのと並行して、制御サーバ2の送信部214は、通信端末4に所定の通知を送信する。例えば送信部214は、動物認識部212が撮像画像中で動物Aを認識した場合に、通信端末4に通知を送信してもよい。
【0069】
また、送信部214は、ドローン1が領域Rから動物Aを追い払った場合に、通信端末4に通知を送信してもよい。また、送信部214は、動物認識部212が撮像画像中で動物Aを認識した時点から所定時間が経過してもドローン1が領域Rから動物Aを追い払っていない場合に、通信端末4に通知を送信してもよい。この場合に、動物認識部212は、領域Rに配置された撮像装置3又はドローン1の撮像部13が所定の時間間隔で撮像した撮像画像において動物Aを認識できるか否かに基づいて、領域Rから動物Aが追い払われたか否かを判定する。
【0070】
通信端末4は、制御サーバ2から受信した通知に従って、スピーカから所定の音を発生させ、あるいは表示部上にメッセージを表示する。これにより、通信端末4のユーザは、動物Aが領域Rに侵入したことや、動物Aが領域Rから追い払われたこと又は追い払われていないことを容易に知ることができる。
【0071】
さらに送信部214は、ドローン1による動物Aの誘導状況(例えばドローン1及び動物Aの現在位置)を示す情報や、ドローン1の発生部14による物質、電気、音又は光の発生状況(例えば発生時刻や、物質及び電気の残量)を示す情報を、通信端末4に送信してもよい。通信端末4は、制御サーバ2から受信した情報を、表示部上に表示する。これにより、通信端末4のユーザは、ドローン1の状況を随時知ることができる。
【0072】
図7は、本実施形態に係る無人飛行装置制御方法のシーケンス図である。制御サーバ2において、画像取得部211は、撮像装置3が送信した撮像画像を受信して取得する(S11)。画像取得部211は、撮像装置3が送信した撮像画像に代えて又は加えて、ドローン1の撮像部13が撮像した撮像画像を受信して取得してもよい。動物認識部212は、画像取得部211が取得した撮像画像に基づいて、領域Rの中の排除対象の動物Aを認識する(S12)。
【0073】
退去位置特定部213は、動物認識部212が出力した認識結果が撮像画像中で動物Aを認識したことを示す場合に、動物認識部212によって認識された動物Aの位置に基づいて動物Aを向かわせる退去位置Pを特定する(S13)。送信部214は、退去位置特定部213が特定した退去位置Pに向かって動物Aを誘導するように飛行するための飛行指示を、ドローン1へ送信する(S14)。
【0074】
ドローン1において、受信部111は、制御サーバ2が送信した飛行指示を受信する。飛行制御部112は、受信部111が受信した飛行指示が示す動物Aの位置及び退去位置Pの関係に基づいて、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するようにドローン1を飛行させる制御を行う(S15)。
【0075】
飛行制御部112がドローン1を飛行させている最中に、発生部14は、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するために、動物Aが忌避する又は動物Aを誘引することが可能な、物質、電気、音及び光のうち少なくとも1つを発生させる(S16)。
【0076】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る無人飛行システムSによれば、ドローン1は、動物Aが領域Rに侵入した退去位置P、又は予め定義された候補位置P1の中から選択した退去位置Pに向かって動物Aを誘導するため、動物Aが領域Rから出て行きやすい。そのため、ドローン1は、動物Aが領域R内で動き回ることを抑制し、動物Aを領域Rから速やかに追い払うことができる。その結果、ドローン1が害獣を追い払う間に敷地が荒らされにくくすることができる。
【0077】
[第1の変形例]
図2に示す無人飛行システムSでは、制御サーバ2が動物の認識及び退去位置の特定を行っているが、ドローン1が動物の認識及び退去位置の特定を行い、自身の飛行制御を行ってもよい。
図8は、本変形例に係る無人飛行システムSのブロック図である。本変形例に係る無人飛行システムSは、
図2に示す無人飛行システムSと比較して、制御サーバ2を含んでいないという点で異なる。
【0078】
本変形例に係るドローン1の制御部11は、上述の画像取得部211、動物認識部212、退去位置特定部213、送信部214及び飛行制御部112として機能する。本変形例に係るドローン1の記憶部12は、上述の認識情報記憶部221及び候補位置記憶部222を有する。
【0079】
本変形例によれば、ドローン1は、制御サーバ2と通信することなく動物の認識及び退去位置の特定を行い、自身の飛行制御を行うため、山奥のように通信環境を整備しづらい環境においても稼働できる。
【0080】
[第2の変形例]
動物Aが敷地に侵入した場合に、
図4に示す方法ではドローン1は動物Aが敷地に侵入した位置まで追い払うが、ドローン1は敷地から離れた位置まで動物Aを追い払ってもよい。
図9は、本変形例に係るドローン1が動物Aを退去位置Pに向かって誘導する方法の模式図である。本変形例において、領域Rは、外側領域R1(第1領域)と、外側領域R1よりも内側の内側領域R2(第2領域)とを含む。内側領域R2は、ドローン1が動物Aを追い払うための飛行を開始する条件とする領域である。外側領域R1は、ドローン1が動物Aの退去位置Pを設定するための領域(すなわち、ドローン1が動物Aを追い払うための飛行を終了する条件とする)領域である。外側領域R1及び内側領域R2のそれぞれの外周に沿った複数の位置に、複数の撮像装置3が配置されている。
【0081】
まず動物認識部212は、外側領域R1に沿って配置された撮像装置3又は外側領域R1付近を飛行するドローン1の撮像部13が撮像した撮像画像の中で、動物Aを認識する。動物認識部212が動物Aを認識した場合に、退去位置特定部213は、動物Aが外側領域R1に侵入した位置を、退去位置Pとして特定する。この時点では、送信部214は飛行指示をドローン1に送信しない。
【0082】
次に動物認識部212は、内側領域R2に沿って配置された撮像装置3又は内側領域R2付近を飛行するドローン1の撮像部13が撮像した撮像画像の中で、動物Aを認識する。動物認識部212が動物Aを認識した場合に、送信部214は、退去位置特定部213が特定した退去位置Pに向かって動物Aを誘導するように飛行するための飛行指示を、ドローン1へ送信する。すなわち、送信部214は、動物Aが内側領域R2に侵入したことを条件として、動物Aが外側領域R1に侵入した退去位置Pに向かって動物Aを誘導するようにドローン1に飛行開始させる。
【0083】
そしてドローン1において、受信部111は、制御サーバ2が送信した飛行指示を受信する。飛行制御部112は、受信部111が受信した飛行指示が示す動物Aの位置及び退去位置Pの関係に基づいて、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するようにドローン1を飛行させる制御を行う。
【0084】
このような構成により、ドローン1は、内側領域R2に侵入した動物Aを、内側領域R2より外側の外側領域R1から出るまで誘導する。そのため、ドローン1は動物Aを内側領域R2から離れた位置まで追い払うことができ、動物が再び内側領域R2に侵入することを抑制できる。
【0085】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る無人飛行システムSでは、複数のドローン1が協同して動物Aを領域Rから追い払う。以下では第1の実施形態と異なる点を主に説明する。
図10は、本実施形態に係る無人飛行システムSのブロック図である。本実施形態に係る無人飛行システムSは、
図2に示す無人飛行システムSと比較して、制御サーバ2を含んでおらず、2種類のドローン1である主ドローン1A(第1無人飛行装置)及び副ドローン1B(第2無人飛行装置)を含んでいるという点で異なる。無人飛行システムSは、複数の副ドローン1Bを含んでもよい。
【0086】
主ドローン1Aの制御部11は、第1の実施形態において説明した画像取得部211、動物認識部212、退去位置特定部213及び送信部214として機能する。主ドローン1Aの記憶部12は、第1の実施形態において説明した認識情報記憶部221及び候補位置記憶部222を有する。副ドローン1Bの制御部11は、第1の実施形態において説明した受信部111及び飛行制御部112として機能する。
【0087】
図11は、本実施形態に係る主ドローン1A及び副ドローン1Bが動物Aを退去位置Pに向かって誘導する方法の模式図である。まず主ドローン1Aにおいて、撮像部13は、主ドローン1Aが領域R内を飛行中に所定の時間間隔で繰り返し撮像する。画像取得部211は、撮像部13が撮像した撮像画像を取得する。主ドローン1Aは、飛行しながら撮像部13を用いて撮像するため、動物Aの位置を正確に捕捉しやすい。画像取得部211は、領域Rの外周に沿って配置された撮像装置3が撮像した撮像画像を取得してもよい。
【0088】
動物認識部212は、第1の実施形態において説明した方法を用いて、画像取得部211が取得した撮像画像に基づいて、領域Rの中の排除対象の動物Aを認識する。撮像画像中に複数の動物Aを認識した場合に、動物認識部212は、いずれか1頭(例えば主ドローン1Aに最も近い個体)を排除対象の動物A(対象動物)として決定する。動物認識部212は、撮像画像中で動物Aを認識したか否かを示す認識結果を、認識した動物Aの位置と関連付けて出力する。動物Aの位置は、例えば撮像画像を撮像した主ドローン1Aの位置である。
【0089】
退去位置特定部213は、動物認識部212が出力した認識結果が撮像画像中で排除対象の動物Aを認識したことを示す場合に、第1の実施形態において説明した方法を用いて、動物Aを向かわせる退去位置Pを特定する。
【0090】
送信部214は、退去位置特定部213が特定した退去位置Pに向かって動物Aを誘導するように飛行するための飛行指示を、副ドローン1Bへ送信する。すなわち、送信部214は、他のドローンである副ドローン1Bの飛行を制御する飛行制御部である。飛行指示は、例えば動物認識部212が出力した動物Aの位置と、退去位置特定部213が特定した退去位置Pと、誘導方法(動物Aを追うこと又は動物Aを引き付けること)とを示す。送信部214は、複数の副ドローン1Bへ異なる飛行指示を送信してもよい。このように主ドローン1Aは、制御サーバ2と通信することなく動物の認識及び退去位置の特定を行い、飛行指示を副ドローン1Bへ直接送信するため、山奥のように通信環境を整備しづらい環境においても稼働できる。
【0091】
副ドローン1Bにおいて、受信部111は、主ドローン1Aが送信した飛行指示を受信する。飛行制御部112は、受信部111が受信した飛行指示が示す動物Aの位置及び退去位置Pの関係に基づいて、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するように副ドローン1Bを飛行させる制御を行う。
【0092】
副ドローン1Bは、飛行指示が示す誘導方法に従って、動物Aを追うように飛行すること、又は動物Aを引き付けるように飛行することによって、動物Aを退去位置Pに向かって誘導する。
【0093】
副ドローン1Bの飛行制御部112が副ドローン1Bを飛行させている最中に、副ドローン1Bの発生部14は、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するために、動物Aが忌避する又は動物Aを誘引することが可能な、物質、電気、音及び光のうち少なくとも1つを発生させる。
【0094】
図11に示すように、動物Aを追う飛行指示を受けた副ドローン1Bは、副ドローン1Bと退去位置Pとの間に動物Aがいる状態で、動物Aに近付くように飛行する。動物Aを引き付ける飛行指示を受けた副ドローン1Bは、退去位置Pと動物Aとの間を副ドローン1Bが飛行している状態で、動物Aから離れるように飛行する。このように複数の副ドローン1Bが動物Aを挟むように飛行することによって、動物Aを退去位置Pに向かって効率的に誘導できる。
【0095】
図12は、本実施形態に係る無人飛行装置制御方法のシーケンス図である。主ドローン1Aにおいて、画像取得部211は、撮像部13が撮像した撮像画像を取得する(S21)。動物認識部212は、画像取得部211が取得した撮像画像に基づいて、領域Rの中の排除対象の動物Aを認識する(S22)。
【0096】
退去位置特定部213は、動物認識部212が出力した認識結果が撮像画像中で動物Aを認識したことを示す場合に、動物認識部212によって認識された動物Aの位置に基づいて動物Aを向かわせる退去位置Pを特定する(S23)。送信部214は、退去位置特定部213が特定した退去位置Pに向かって動物Aを誘導するように飛行するための飛行指示を、副ドローン1Bへ送信する(S24)。
【0097】
副ドローン1Bにおいて、受信部111は、主ドローン1Aが送信した飛行指示を受信する。飛行制御部112は、受信部111が受信した飛行指示が示す動物Aの位置及び退去位置Pの関係に基づいて、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するように副ドローン1Bを飛行させる制御を行う(S25)。
【0098】
副ドローン1Bの飛行制御部112が副ドローン1Bを飛行させている最中に、副ドローン1Bの発生部14は、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するために、動物Aが忌避する又は動物Aを誘引することが可能な、物質、電気、音及び光のうち少なくとも1つを発生させる(S26)。
【0099】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る無人飛行システムSによれば、主ドローン1Aが動物Aを捕捉しながら、副ドローン1Bが主ドローン1Aから受信した飛行指示に従って動物Aを退去位置Pへ誘導する。そのため、主ドローン1A及び副ドローン1Bは、動物Aを退去位置Pへ効率的に誘導できる。
【0100】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0101】
ドローン1及び制御サーバ2のプロセッサは、
図7、12に示す無人飛行装置制御方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、ドローン1及び制御サーバ2のプロセッサは、
図7、12に示す無人飛行装置制御方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して無人飛行システムSの各部を制御することによって、
図7、12に示す無人飛行装置制御方法を実行する。
図7、12に示す無人飛行装置制御方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る無人飛行システムSにおいて、ドローン1は、所定の領域Rの中を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、撮像画像に基づいて、領域Rの中の動物Aを認識する動物認識部と、領域Rに関連付けられた退去位置Pを特定する退去位置特定部と、動物Aを退去位置Pに向かって誘導するようにドローン1又は他のドローンを飛行させる飛行制御部と、を有する。ドローン1は、制御サーバ2から受信した指示に従って飛行してもよい。