(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記料金収受設備は、前記無線通信装置として、前記車線の上流側に設けられた上流側無線通信装置と、前記上流側無線通信装置よりも前記車線の下流側に設けられた下流側無線通信装置と、を備え、
前記課金処理装置は、前記上流側無線通信装置が前記通信対象器に対して行った書き込み処理に関する前記課金処理データと、前記下流側無線通信装置が前記通信対象器に対して行った読み出し処理に関する前記課金処理データとが一致しない場合は、前記通信対象器に対する書き込み処理が正常に行われなかったと判断する課金結果検証部を備える、
請求項3に記載の料金収受システム。
車線に設けられた無線通信装置と、前記無線通信装置を通じて前記車線を走行する車両に搭載された通信対象器に対する課金処理データの読み出し処理及び書き込み処理を、予め規定された処理手順に従って行う課金処理装置と、を用いた料金収受方法であって、
前記課金処理装置により、前記課金処理データの読み出し処理及び書き込み処理に関する複数の処理それぞれについて、処理別に設定されたトリガ信号と、当該トリガ信号を受信したときに実行する複数の命令及び応答の組み合わせからなる処理手順とを関連付けたシナリオ情報を生成して前記無線通信装置に送信するシナリオ情報生成ステップと、
前記無線通信装置により、前記シナリオ情報を内蔵記録媒体に記録する記録処理ステップと、
前記無線通信装置により、前記内蔵記録媒体に記録された前記シナリオ情報のうち、前記課金処理装置又は前記無線通信装置自身から受信したトリガ信号と関連付けられた前記シナリオ情報に従って、前記通信対象器に対する前記課金処理データの読み出し処理及び書き込み処理を行うシナリオ処理ステップと、
を有する料金収受方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態にに係る料金収受システム1Aについて、
図1〜
図13Bを参照して説明する。
【0024】
(料金収受システムの全体構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る課金処理データの一例を示す図である。
本実施形態に係る料金収受システム1Aは、複数の車線を有する有料道路の本線(以下、「本線道路」とも記載する)上に設置された電子料金収受システムである。なお、本実施形態において、有料道路が二つの車線L1及びL2を有する態様について説明する。また、本実施形態では、料金収受システム1Aが有料道路の出口料金所に設置されている態様について説明する。
【0025】
図1及び
図2に示すように、料金収受システム1Aは、車載器(通信対象器)10Aと、料金収受設備20Aと、を備える。
本実施形態の料金収受システム1Aにおいて、本線道路(車線L1及びL2)を走行中の車両Aに搭載されている車載器10Aと、本線道路(車線L1及びL2)の路側に設置された料金収受設備20Aとは、無線通信を介して情報及び命令の送受信を行う。
また、本実施形態において、無線通信を介して送受信される情報には、料金収受設備20Aが車載器10Aに対して有料道路の利用料金の課金処理を行う際に用いられる複数の情報の集合体である「課金処理データD1」(
図3)が含まれる。また、無線通信を介して送受信される命令には、「課金処理データD1」の読み出し処理、書き込み処理等が含まれる。
「課金処理データD1」の各情報は、車載器10Aに挿入されたカードCの記憶領域の所定の番地にそれぞれ記録されている。車載器10Aは、カードCに記録された「課金処理データD1」を読み出して料金収受設備20Aへ送信するとともに、料金収受設備20Aから受信した命令及び情報に基づいて、カードCに記録された「課金処理データD1」を更新する。
なお、カードCは、各種情報を読み書き可能な磁気ストライプ又はIC(Integrated Circuit)を有するプリペイドカード、クレジットカード等のカード型可搬記録媒体を示す。本実施形態においては、カードCとしてプリペイドカードを使用する例について説明する。
【0026】
また、「課金処理データD1」は、
図3に示すように「カード番号」、「残額(円)」、「課金処理履歴」、「入口情報」、「チャージ履歴」等の情報を有している。
「カード番号」は、カードCを特定するためのユニークな番号である。「残額」は、カードCに入金されている金額であって、カードCにより支払い可能な金額を示す情報である。「課金処理履歴」は、カードCに対して課金処理を行った日時、場所(出口料金所を特定可能な出口料金所番号等)、課金額等を関連付けて記録された情報である。「入口情報」は、車載器10Aが有料道路に進入した位置(入口料金所を特定可能な入口料金所番号等)を示す情報である。「チャージ履歴」は、カードCに入金を行った日時、入金額、入金前の残額、入金後の残額等を示す情報である。
【0027】
図1及び
図2に示すように、料金収受設備20Aは、無線通信装置200と、課金処理装置210とを備えている。
無線通信装置200は、車線L1及びL2を車線幅方向(
図1の±Y方向)に跨るように設けられたガントリGに取り付けられ、車線L1及びL2の上空に固定されている。無線通信装置200は、無線通信を介して車載器10との間で情報及び命令の送受信を行う。
本実施形態では、料金収受設備20Aが一つの車線に対し一つの無線通信装置200を有する態様について説明する。具体的には、
図1に示すように、車線L1には無線通信装置200aが設置されており、車線L2には無線通信装置200bが設置されている。無線通信装置200aは車線L1の路面上に規定された所定の通信領域の範囲内に存在する車両Aに搭載された車載器10Aと電波を介して無線通信を行う。無線通信装置200bは車線L2の路面上に規定された所定の通信領域の範囲内に存在する車両Aに搭載された車載器10Aと電波を介して無線通信を行う。
なお、本実施形態において、無線通信装置200(無線通信装置200a、200b)は、RFID(Radio Frequency Identifier)通信を介して車載器10Aと無線通信を行う。
【0028】
課金処理装置210は、車線L1及びL2の路側であって、ガントリGの近傍に設置されている。課金処理装置210は、無線通信装置200と有線接続されており、無線通信装置200を介して、車載器10Aとの間で「課金処理データD1」の送受信を行う。課金処理装置210は、車載器10Aから取得した「課金処理データD1」に基づいて当該車載器10Aに対する課金額を算出し、課金処理を行う。
【0029】
(料金収受設備の機能構成)
次に、本実施形態に係る料金収受設備20Aの機能構成について、
図4〜
図5を参照して説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る料金収受設備の機能構成を示す図である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係るシナリオ情報の一例を示す図である。
図4に示すように、料金収受設備20Aの無線通信装置200は、無線通信部201と、CPU202と、記録媒体(内蔵記録媒体)203と、有線通信部204と、を備えている。
【0030】
無線通信部201は、RFIDアンテナ201aを有している。無線通信部201は、RFIDアンテナ201aを通じて無線通信装置200の通信可能領域へ向けて、一定時間間隔で電波を出力する。また、無線通信部201は、無線通信装置200の通信可能領域内に進入した車両Aに搭載された車載器10Aから、当該電波に関連する応答波を受信する。無線通信部201は、応答波を受信すると、CPU202へ「車載器との通信確立を示す信号」を出力する。
また、無線通信部201が出力する電波及び受信する応答波には、「課金処理データD1」を含む各種情報、命令等が含まれている。このように、無線通信部201は、電波及び応答波を介して、車載器10Aとの間で課金処理に用いられる各種情報、命令等の送受信を行う。
【0031】
CPU202は、記録処理部202aと、シナリオ処理部202bと、を有している。
記録処理部202aは、課金処理装置210から受信したシナリオ情報D2(
図5)を記録媒体203に記録する。
シナリオ情報D2とは、無線通信装置200が車載器10Aに対して課金処理を行う際に必要な処理手順(命令の送信、データの送受信等)のうち少なくとも一部を、一連の処理手順として予め規定した情報である。シナリオ情報D2は、
図5に示すように、処理別に設定された「トリガ信号」と、当該「トリガ信号」を受信したときに実行する一連の「処理手順」とを関連付けて、処理別に記録した情報である。
【0032】
シナリオ処理部202bは、信号(例えば
図5に示すように、「車載器との通信確立」、「課金処理データ書き込み命令」を示す信号等)を受信した場合、記録媒体203に記録されたシナリオ情報D2のうち、当該信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2を選択して読み出す。そして、シナリオ処理部202bは、読み出したシナリオ情報D2に記録された「処理手順」に基づいて、課金処理に関連する各種処理を実行する。
【0033】
記録媒体203には、シナリオ情報D2と、「課金処理データD1」とが記録される。
【0034】
有線通信部204は、光ファイバー等のケーブルを介して有線接続された課金処理装置210との間で、課金処理に関連する命令及び「課金処理データD1」の送受信を行う。
【0035】
図4に示すように、料金収受設備20Aの課金処理装置210は、有線通信部211と、CPU212と、記録媒体(内蔵記録媒体)213と、を備えている。
有線通信部211は、光ファイバー等の有線ケーブルを介して接続された無線通信装置200との間で、課金処理に関連する命令及びデータの送受信を行う。
【0036】
CPU212は、シナリオ情報生成部212aと、課金処理部212bと、を有している。
シナリオ情報生成部212aは、記録媒体213に予め記録された複数のシナリオ情報D2のうち、料金収受設備20Aが設置されている料金所、有料道路の路線等に応じて、少なくとも一部のシナリオ情報D2を選択し、当該料金収受設備20A用のシナリオ情報D2として生成する。なお、シナリオ情報生成部212aは、課金処理装置210の入力装置等(不図示)を通じて新たなシナリオ情報D2を生成(追加)してもよいし、既存のシナリオ情報D2の一部を変更又は削除することにより新たなシナリオ情報D2を生成してもよい。
また、シナリオ情報生成部212aは、生成したシナリオ情報D2を、有線通信部211を通じて無線通信装置200へ送信する。
【0037】
課金処理部212bは、無線通信装置200を通じて車載器10Aから取得した「課金処理データD1」に基づいて、当該車載器10Aに対する課金額を算出する。具体的には、課金処理部212bは、「課金処理データD1」に含まれる「入口情報」に基づいて、車載器10Aに対する課金額を算出する。また、課金処理部212bは、課金額を算出した日時、場所及び課金額を含む「新たな課金処理履歴」と、課金処理前の「残額」から課金額を減じて求めた「新たな残額」と、を含む「新たな課金処理データ」を生成する。そして、課金処理部212bは、無線通信装置200を通じて車載器10Aに「新たな課金処理データ」の書き込み命令を送信する。
【0038】
記録媒体213には、シナリオ情報D2と、「課金処理データD1」とが記録される。
【0039】
(料金収受設備の処理フロー)
次に、本実施形態に係る料金収受設備20Aの処理フローについて、
図6〜
図12を参照して説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る料金収受設備の機能を説明する第1の図である。
図6に示すように、料金収受設備20Aの起動時に、課金処理装置210が無線通信装置200へ「シナリオ情報を送信する処理P10」を行うとともに、無線通信装置200が「シナリオ情報を記録する処理P12」を行う。
また、課金処理装置210においてシナリオ情報D2を変更した際に、課金処理装置210が無線通信装置200の「シナリオ情報を更新する処理P11」を行うとともに、無線通信装置200が「シナリオ情報を記録する処理P12」を行う。
【0040】
図7は、本発明の第1の実施形態に係るシナリオ情報生成部の処理フローを示す第1の図である。
以下、
図7を参照して、起動時に課金処理装置210が行う「シナリオ情報を送信する処理P10」の詳細を説明する。
図7に示すように、課金処理装置210は、電源供給及び起動開始操作を受けて起動する(ステップS100)。
【0041】
次に、課金処理装置210のシナリオ情報生成部212aは、記録媒体213に予め記録された複数のシナリオ情報D2のうち、料金収受設備20Aが設置されている料金所、有料道路の路線等に応じて、少なくとも一部のシナリオ情報D2を選択し、当該料金収受設備20A用のシナリオ情報D2として生成する(ステップS101)。
【0042】
次に、シナリオ情報生成部212aは、生成したシナリオ情報D2を、有線通信部211を通じて無線通信装置200へ送信し(ステップS102)、「シナリオ情報を送信する処理P10」を終了する。
【0043】
図8は、本発明の第1の実施形態に係るシナリオ情報生成部の処理フローを示す第2の図である。
次に、
図8を参照して、シナリオ情報D2を変更した際に課金処理装置210が行う「シナリオ情報を更新する処理P11」の詳細を説明する。
図8に示すように、シナリオ情報生成部212aは、課金処理装置210の不図示の入力装置等を通じて新たなシナリオ情報D2の追加、変更、削除等を行い新たなシナリオ情報を生成する(ステップS110)。また、シナリオ情報生成部212aは、当該新たなシナリオ情報を、記録媒体213に記録されたシナリオ情報D2に上書き又は追加して更新する。
【0044】
次に、シナリオ情報生成部212aは、新たなシナリオ情報を有線通信部211を通じて無線通信装置200へ送信し(ステップS111)、「シナリオ情報を更新する処理P11」を終了する。
【0045】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る記録処理部の処理フローを示す図である。
以下、
図9を参照して、料金収受設備20Aの無線通信装置200が行う「シナリオ情報を記録する処理P12」の詳細を説明する。
図9に示すように、無線通信装置200の記録処理部202aは、まず、課金処理装置210からシナリオ情報D2を受信したか否かを判断する(ステップS120)。
記録処理部202aは、課金処理装置210からシナリオ情報D2を受信していない場合(ステップS120:NO)、シナリオ情報D2を受信するまで待機する。一方、記録処理部202aは、課金処理装置210からシナリオ情報D2を受信した場合(ステップ120:YES)、次のステップS121へ進む。
【0046】
次に、記録処理部202aは、課金処理装置210からシナリオ情報D2を受信した場合(ステップ120:YES)、受信したシナリオ情報D2を無線通信装置200の記録媒体203へ記録し(ステップS121)、「シナリオ情報を記録する処理P12」を終了する。
【0047】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る料金収受設備の機能を説明する第2の図である。
図11は、本発明の第1の実施形態に係る料金収受設備の機能を説明する第3の図である。
図10に示すように、料金収受設備20Aは、車載器10Aを搭載した車両Aが無線通信装置200の通信可能領域に進入すると、当該車載器10Aから「課金処理データを取得する処理P13A」を行う。
また、
図11に示すように、料金収受設備20Aは、車載器10Aから取得した「課金処理データD1」に基づいて課金額を算出した後、「車載器に課金処理データを書き込む処理P13B」を行う。
【0048】
図12は、本発明の第1の実施形態に係るシナリオ処理部の処理フローを示す図である。
図13Aは、本発明の第1の実施形態に係る従来のコマンドの一例示す図である。
図13Bは、本発明の第1の実施形態に係る拡張コマンドの一例を示す図である。
以下、
図10、12、13A及び13Bを参照して、料金収受設備20Aが行う「課金処理データを取得する処理P13A」の詳細を説明する。
図12に示すように、シナリオ処理部202bは、まず、シナリオ情報D2を実行する「トリガ信号」を受信する(ステップS130)。
図10の例では、無線通信部201が車載器10Aから応答波を受信して、車載器10Aとの間の通信が確立されると、無線通信部201はCPU202へ「車載器との通信確立」を示す信号を出力する。CPU202のシナリオ処理部202bは、「トリガ信号」として、「車載器との通信確立」を示す信号を受信する(ステップS130)。
【0049】
次に、シナリオ処理部202bは、
図12に示すように、記録媒体203に記録された複数のシナリオ情報D2のうち、受信した信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2を選択して読み出す(ステップS131)。
図10に示す例では、シナリオ処理部202bは、「車載器との通信確立」を示す信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2として、「シナリオA」(
図5)を選択して読み出す(ステップS131)。
【0050】
次に、シナリオ処理部202bは、
図12に示すように、読み出したシナリオ情報D2に記録された「処理手順」に基づいて、一連の処理手順を実行する(ステップS132)。
図10に示す例では、シナリオ処理部202bは、読み出した「シナリオA」(
図5)に記録された「処理手順」に基づいて、「課金処理データD1」を読み出す命令(READコマンド)を、無線通信部201を通じて車載器10Aへ送信する。
また、シナリオ処理部202bは、当該命令に対する応答(READ結果)を無線通信部201を通じて車載器10Aから受信すると、取得した「課金処理データD1」を有線通信部204を通じて課金処理装置210へ送信する。シナリオ処理部202bは、読み出したシナリオ情報D2に記録された全ての「処理手順」を実行すると、「課金処理データを取得する処理P13A」を終了する。
【0051】
なお、従来の料金収受設備は、無線通信装置と車載器との間で送受信されるコマンドとして、
図13Aに示すように、ヘッダ(1バイト)、データ(6バイト))及びチェックサム(1バイト)を含む、8バイトのコマンドを使用していた。
本実施形態に係る料金収受設備20Aは、無線通信装置200と車載器10Aとの間で送受信されるコマンドとして、
図13Bに示すように、ヘッダ(1バイト)、データ(62バイト)及びチェックサム(1バイト)を含む、64バイトの拡張コマンドを使用する。
図3に示す「課金処理データD1」は、例えば「課金処理履歴」のように、サイズの大きい情報(6バイトを超える情報)を含む場合がある。このとき、無線通信装置200が従来のコマンドを使用して車載器10Aから「課金処理履歴」を取得する場合、無線通信装置200と車載器10Aとの間では、一回のコマンドでは「課金処理履歴」を送受信することができないため、「課金処理履歴」を多数のコマンドに分割しての送受信を行う。そして、無線通信装置200と車載器10Aとの間で送受信されるコマンドの数に応じて、「課金処理履歴」の送受信に要する通信時間は長くなる。
しかしながら、本実施形態においては、従来のコマンドよりも大きいデータを送受信可能な拡張コマンドを使用するため、「課金処理履歴」のようにサイズの大きい情報であっても、従来のコマンドよりも少ないコマンド数で送受信することができる。このように、無線通信装置200と車載器10Aとの間で送受信されるコマンドの数が削減されるため、無線通信装置200と車載器10Aとの間の通信時間を短縮することができる。
【0052】
次に、
図11及び
図12を参照して、料金収受設備20Aが行う「車載器に課金処理データを書き込む処理P13B」の詳細を説明する。
図12に示すように、シナリオ処理部202bは、まず、シナリオ情報D2を実行するトリガを受信する(ステップS130)。
図11の例では、課金処理装置210の課金処理部212bは、車載器10Aに対する課金額を算出すると、当該課金額に基づいて「新たな課金処理データ」を生成する。また、課金処理部212bは、課金処理データ書き込み命令とともに当該「新たな課金処理データ」を、無線通信装置200へ送信する。
そして、CPU202のシナリオ処理部202bは、課金処理装置210から送信された「課金処理データ書き込み命令」を示す信号を受信する(ステップS130)。
【0053】
次に、シナリオ処理部202bは、
図12に示すように、記録媒体203に記録された複数のシナリオ情報D2のうち、受信した信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2を選択して読み出す(ステップS131)。
図11に示す例では、シナリオ処理部202bは、「課金処理データ書き込み命令受信」を示す信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2として、「シナリオB」(
図5)を選択して読み出す(ステップS131)。
【0054】
次に、シナリオ処理部202bは、
図12に示すように、読み出したシナリオ情報D2に記録された「処理手順」に基づいて、一連の処理手順を実行する(ステップS132)。
図11に示す例では、シナリオ処理部202bは、読み出した「シナリオB」(
図5)に記録された「処理手順」に基づいて、「課金処理データD1」を書き込む命令(WRITEコマンド)を、無線通信部201を通じて車載器10Aに対して送信する。また、シナリオ処理部202bは、当該命令に対する応答(WRITE結果)を無線通信部201を通じて車載器10Aから受信すると、当該応答(WRITE結果)を有線通信部204を通じて課金処理装置210へ送信する。シナリオ処理部202bは、読み出したシナリオ情報D2に記録された全ての「処理手順」を実行すると、「車載器に課金処理データを書き込む処理P13B」を終了する。
【0055】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受設備20Aは、車線L1、L2に設けられた無線通信装置200と、当該無線通信装置200を通じて前記車線を走行する車両Aに搭載された車載器10Aに対する「課金処理データD1」の読み出し処理及び書き込み処理を、予め規定された処理手順に従って行う課金処理装置210と、を備える。課金処理装置210は、処理手順の少なくとも一部を示すシナリオ情報D2を生成して送信するシナリオ情報生成部212aを備える。無線通信装置200は、課金処理装置210から入力されたシナリオ情報D2を記録媒体203に記録する記録処理部202aと、記録媒体203に記録されたシナリオ情報D2に従って、車載器10Aに対する「課金処理データD1」の読み出し処理及び書き込み処理を行うシナリオ処理部202bと、を備える。
これにより、シナリオ処理部202bは、課金処理装置210からの命令を待つことなく、車載器10Aに対してどのような処理を行うかを自ら判断して、実行することができる。このため、課金処理装置210と無線通信装置200との間の通信回数が削減され、効率的な課金処理が可能となる。
【0056】
また、シナリオ情報生成部212aは、課金処理装置210の起動時にシナリオ情報D2を生成して送信する。このようにすることで、無線通信装置200のシナリオ処理部202bは、課金処理装置210の起動後は、課金処理装置210からシナリオ情報D2を受信することなく、車載器10Aに対してどのような処理を行うかを自ら判断して、実行することができる。このため、課金処理装置210と無線通信装置200との間の通信回数が更に削減される。
【0057】
また、シナリオ情報生成部212aは、課金処理装置210の入力装置等(不図示)を通じて新たなシナリオ情報D2の生成(追加、変更、削除等)を行う。そして、シナリオ情報生成部212aは、生成した新たなシナリオ情報D2を無線通信装置200へ送信する。
これにより、無線通信装置200等の仕様変更により通信内容、課金処理に用いられる「課金処理データD1」の内容等に変更があった場合であっても、シナリオ情報生成部212aが当該変更に応じた新たなシナリオ情報D2を生成することにより、機器やソフトウェアを変更することなく変更後の通信内容、データ内容等に従って各種処理を実行することができる。
【0058】
また、無線通信装置200は、従来のコマンドよりも大きいデータを送受信可能な拡張コマンドを使用する。これにより、無線通信装置200と車載器10Aとの間で送受信されるコマンドの数が削減され、通信時間が更に短縮される。
【0059】
なお、本実施形態において、シナリオ情報生成部212aは、課金処理装置210が起動する度にシナリオ情報D2を生成して無線通信装置200へ送信する対応について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態においては、シナリオ情報生成部212aは、課金処理装置210又は無線通信装置200の新規導入、交換等を行った後に、初めて課金処理装置210又は無線通信装置200を起動した際にのみ、「シナリオ情報を送信する処理P10」を行うようにしてもよい。これによっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る料金収受システム1Bについて、
図14〜
図21を参照して説明する。
なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
(車載器の機能構成)
図14は、本発明の第2の実施形態に係る車載器の機能構成を示す図である。
図14に示すように、本実施形態に係る料金収受システム1Bは、第1の実施形態に係る車載器10A及び料金収受設備20Aに代えて、車載器10B及び料金収受設備20Bを備えている。
本実施形態において、料金収受設備20Bは、従来の料金収受設備である。従って、料金収受設備20Bの無線通信装置は、第1の実施形態の料金収受設備20Aと異なり、シナリオ情報D2を参照せずに、課金処理装置からの命令に従って車載器10Bとの間で「課金処理データD1」の読み出し及び書き込み処理を行う。
また、本実施形態に係る車載器10Bは、
図14に示すように、無線通信部100と、カードR/W(Reader/Writer)110と、記録媒体(内蔵記録媒体)120と、CPU130と、を備えている。
【0062】
無線通信部100は、RFIDアンテナ100aを有している。無線通信部100は、RFIDアンテナ100aを通じて、料金収受設備20Bから出力された電波を受信するとともに、受信した電波に対する応答波を料金収受設備20Bへ返送する。
【0063】
カードR/W110は、車載器10Bに挿入されたカードCに対して、「課金処理データD1」(
図3)の読み出し処理及び書き込み処理を行う。
【0064】
記録媒体120には、「課金処理データD1」等、課金処理において用いられる各種情報が記録される。
【0065】
CPU130は、料金収受設備20Bとの間で無線通信部100を通じて「課金処理データD1」の送受信処理を行うとともに、カードCとの間でカードR/W110を通じて「課金処理データD1」の読み出し及び書き込み処理を行う。
具体的には、CPU130は、
図14に示すように、複製処理部131と、読出処理部132と、書込処理部133と、カード更新部134と、を有している。
複製処理部131は、カードCが車載器10Bに挿入された際に、カードR/Wを通じてカードCから読み出した「課金処理データD1」を、記録媒体120に複製(記録)する。また、複製処理部131は、カードCが車載器10Bから抜き取られた場合、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」を削除する。
このように、車載器10Bの記録媒体120には、車載器10BにカードCが挿入されている間、
図3に示す「課金処理データD1」が記録される。
【0066】
読出処理部132は、無線通信部100を通じて料金収受設備20Bから「課金処理データD1」の読み出し命令を受信した場合に、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」を読み出す。また、読出処理部132は、読み出した「課金処理データD1」を、無線通信部100を通じて料金収受設備20Bへ送信する。
【0067】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る課金処理データの一例を示す図である。
書込処理部133は、無線通信部100を通じて料金収受設備20Bから「新たな課金処理データ」の書き込み命令を受信した場合、当該書き込み命令とともに受信した「新たな課金処理データ」を、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」に書き込む。
本実施形態では、「新たな課金処理データ」には、料金収受設備20Bが課金処理を行った日時、場所(料金収受設備20Bが設置された出口料金所を特定可能な出口料金所番号等)及び課金額を含む「新たな課金処理履歴」と、課金処理前の「残額」から課金額を減じて求めた「新たな残額」と、が含まれる。
図15に示すように、書込処理部133は、「新たな課金処理データ」の書き込み命令を受信すると、当該「新たな課金処理データ」に含まれる「新たな課金処理履歴」を、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」の「課金処理履歴」に追加して書き込む。また、書込処理部133は、当該「新たな課金処理データ」に含まれる「新たな残額」を、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」の「残額」に上書きして書き込む。
【0068】
カード更新部134は、記録媒体120記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133が書き込んだ情報(
図15の例では、「残額」及び「課金処理履歴」)を、カードR/W110を通じてカードCに書き込む。そうして、カード更新部134は、記録媒体120に書き込まれた「課金処理データD1」と同一の内容となるように、カードCに記録された「課金処理データD1」を更新する。
なお、本実施形態では、カード更新部134が記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133が書き込んだ情報のみをカードCに書き込んで更新する態様について説明するが、これに限られることはない。他の実施形態においては、カード更新部134は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」の全ての情報を、カードCに書き込んで更新するようにしてもよい。
【0069】
(車載器の処理フロー)
次に、車載器10Bの複製処理部131の機能について、
図16〜
図17を参照して説明する。
図16は、本発明の第2の実施形態に係る車載器の複製処理部の機能を説明する図である。
図16に示すように、CPU130の複製処理部131は、カードCが車載器10Bに挿入されたことを検知すると、「課金処理データを複製する処理P20」を行う。
また、複製処理部131は、カードCが車載器から抜き取られたことを検出すると、「課金処理データを削除する処理P21」を行う。
【0070】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る車載器の複製処理部の処理フローを示す図である。
以下、
図16〜
図17を参照して複製処理部131における「課金処理データを複製する処理P20」及び「課金処理データを削除する処理P21」の詳細を説明する。
図17に示すように、複製処理部131は、まず、カードCが車載器10Bに挿入されたか否かを判断する(ステップS200)。
複製処理部131は、カードCが車載器10Bに挿入されていない場合(ステップS200:NO)、カードCが車載器10Bに挿入されるまで待機する。一方、複製処理部131は、カードCが車載器10Bに挿入されたことを検知した場合(ステップS200:YES)、次のステップS201へ進む。
【0071】
次に、複製処理部131は、カードCが車載器10Bに挿入されたことを検知した場合(ステップS200:YES)、当該カードCからカードR/W110を通じて「課金処理データD1」を読み出す(ステップS201)。このとき、複製処理部131は、
図16に示すように、カードCから特定の情報(カード番号、残額、課金処理履歴等)を読み出す命令(READコマンド)をカードCへ送信するとともに、当該命令に関連する応答(READ結果)をカードCから受信する。複製処理部131は、このように命令の送信及び応答の受信を繰り返すことにより、カードCに記録されている「課金処理データD1」を読み出す。
【0072】
次に、複製処理部131は、
図17に示すように、カードCから読み取った「課金処理データD1」を記録媒体120に複製(記録)し(ステップS202)
、「課金処理データを複製する処理P20」を終了する。
複製処理部131は、「課金処理データを複製する処理P20」を終了すると、「課金処理データを削除する処理P21」へ進む。
【0073】
複製処理部131は、「課金処理データD1」を記録媒体120に複製する処理P21」が終了した後、カードCが車載器10Bから抜き取られたか否かを判断する(ステップS210)。
複製処理部131は、カードCが車載器10Bから抜き取られていない場合(ステップS210:NO)、カードCが車載器10Bから抜き取られるまで待機する。一方、複製処理部131は、カードCが車載器10Bから抜き取られたことを検知した場合(ステップS210:YES)、次のステップS211へ進む。
【0074】
次に、複製処理部131は、カードCが車載器10Bから抜き取られたことを検知した場合(ステップS210:YES)、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」を削除し(ステップS211)、「課金処理データを削除する処理P21」を終了する。
【0075】
次に、車載器10Bの読出処理部132の機能について、
図18〜
図19を参照して説明する。
図18は、本発明の第2の実施形態に係る車載器の読出処理部の機能を説明する図である。
料金収受設備20Bは、車両Aが出口料金所を通過する際に、車両Aに対して課金処理を行う。このとき、
図18に示すように、料金収受設備20Bは、通信可能領域に向けて一定時間間隔で電波を出力する。車載器10Bの無線通信部100は、料金収受設備20Bから出力された電波を受信すると、当該電波に関連する応答波を返送して、料金収受設備20Bとの間で無線通信を確立する。そして、車載器10Bは、料金収受設備20Bから受信した「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)に基づいて、「課金処理データの読み出し処理P22」を行う。
【0076】
図19は、本発明の第2の実施形態に係る車載器の読出処理部の処理フローを示す図である。
以下、
図18〜
図19を参照して読出処理部132における「課金処理データの読み出し処理P22」の詳細を説明する。
図19に示すように、読出処理部132は、「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)を、無線通信部100を通じて料金収受設備20Bから受信する(ステップS220)。
【0077】
次に、読出処理部132は、料金収受設備20Bから受信した読み出し命令に基づいて、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」の読み出しを行う(ステップS221)。
【0078】
次に、読出処理部132は、
図19に示すように、読み出した「課金処理データD1」を、無線通信部100を通じて料金収受設備20Bへ送信する(ステップS222)。
【0079】
次に、読出処理部132は、料金収受設備20Bから次の読み出し命令を受信しているか否かを判断する(ステップS223)。
読出処理部132は、料金収受設備20Bから次の読み出し命令を受信している場合(ステップS223:YES)、ステップS221〜S222の処理を繰り返す。一方、読出処理部132は、料金収受設備20Bから次の読み出し命令を受信していない場合(ステップS223:NO)、「課金処理データの読み出し処理P22」を終了する。
【0080】
図18の例では、読出処理部132は、まず、料金収受設備20Bから「カード番号」の読み出し命令を受信する(ステップS220)。
読出処理部132は、当該読み出し命令に基づいて、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」から「カード番号」の読み出しを行う(ステップS221)。読出処理部132は、読み出した「課金処理データD1」を料金収受設備20Bへ送信する(ステップS222)。
次に、読出処理部132は、次の命令である「残額」の読み出し命令を受信し(ステップS223:YES)、当該読み出し命令に基づいて、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」から「残額」の読み出しを行う(ステップS221)。読出処理部132は、読み出した「課金処理データD1」を料金収受設備20Bへ送信する(ステップS222)。
読出処理部132は、料金収受設備20Bから次の命令を受信していない(ステップS223:NO)と判断するまで、このようにステップS221〜S222の処理を繰り返す。
【0081】
次に、車載器10Bの書込処理部133の機能について、
図20〜
図21を参照して説明する。
図20は、本発明の第2の実施形態に係る車載器の書込処理部及びカード更新部の機能を説明する図である。
図20に示すように、料金収受設備20Bは、車載器10Bから取得した「課金処理データD1」に基づいて課金額の算出を行う。そして、料金収受設備20Bは、算出した課金額に基づいて「新たな残額」及び「新たな課金処理履歴」を含む「新たな課金処理データ」を生成し、車載器10Bへ当該「新たな課金処理データ」を書き込む命令(WRITEコマンド)を送信する。車載器10Bは、無線通信装置200から受信した命令(WRITEコマンド)に基づいて、「新たな課金処理データの更新処理P23」を行う。
【0082】
図21は、本発明の第2の実施形態に係る車載器の書込処理部及びカード更新部の処理フローを示す図である。
以下、
図20〜
図21を参照して、書込処理部133及びカード更新部134における「新たな課金処理データの更新処理P23」の詳細を説明する。
図21に示すように、書込処理部133は、「課金処理データD1」の書き込み命令(WRITEコマンド)を、無線通信部100を通じて料金収受設備20Bから受信する(ステップS230)。
【0083】
次に、書込処理部133は、料金収受設備20Bから書き込み命令とともに受信した「新たな課金処理データ」を、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」に書き込む(ステップS231)。
図20の例では、書込処理部133は、料金収受設備20Bにおいて課金処理を行った結果を反映した「新たな課金処理データ」として、「新たな残額」の書き込み命令を受信する(ステップS230)。書込処理部133は、
図15に示すように、「新たな課金処理データ」に含まれる「新たな残頷」を、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」の「残額」に上書きして書き込む(ステップS231)。
【0084】
次に、
図21に示すように、カード更新部134は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133が書き込んだ情報を、カードR/W110を通じてカードCに書き込んで更新する(ステップS232)。
図20の例では、カード更新部134は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133により書き込まれた情報である「残額」をカードCに書き込んで更新する(ステップS232)。
【0085】
次に、
図21に示すように、書込処理部133は他の書き込み命令を受信しているか否かを判断する(ステップS233)。
書込処理部133は、料金収受設備20Bから次の書き込み命令を受信している場合(ステップS233:YES)、ステップS231〜S232の処理を繰り返す。一方、書込処理部133は、料金収受設備20Bから次の書き込み命令を受信していない場合(ステップS233:NO)、次のステップS234へ進む。
図20の例では、書込処理部133は、次の命令である「新たな課金処理履歴」の書き込み命令を受信し(ステップS233:YES)、当該「新たな課金処理データ」に含まれる「新たな課金処理履歴」を、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」の「課金処理履歴」に追加して書き込む(ステップS231)。
次に、カード更新部134は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133により書き込まれた情報である「課金処理履歴」をカードCに書き込んで更新する(ステップS232)。
そして、書込処理部133は、料金収受設備20Bから次の命令を受信していないと判断し(ステップS233:NO)、次のステップS234へ進む。
【0086】
次に、書込処理部133は、
図21に示すように、カードCに記録されている「課金処理データD1」が更新されたことを示す更新結果を、料金収受設備20Bへ送信する(ステップS234)。そして、書込処理部133及びカード更新部134は、「新たな課金処理データの更新処理P23」を終了する。
【0087】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る車載器10Bは、無線でデータの送受信を行う無線通信部100と、カードCが挿入された場合に、当該カードCに記録された「課金処理データD1」を読み出して記録媒体120に複製する複製処理部131と、無線通信部100を通じて「課金処理データD1」の読み出し命令を受信した場合に、記録媒体120に複製された「課金処理データD1」を読み出して送信する読出処理部132と、無線通信部100を通じて「新たな課金処理データ」の書き込み命令を受信した場合に、受信した「新たな課金処理データ」を記録媒体120に書き込む書込処理部133と、記録媒体120に「新たな課金処理データ」が書き込まれた後に、記録媒体120に書き込まれた「新たな課金処理データ」に基づいてカードCに記録されている「課金処理データD1」を更新するカード更新部134と、を備える。
このようにすることで、複製処理部131は、挿入されたカードCに記録された「課金処理データD1」を記録媒体120に複製する。これにより、読出処理部132は、課金処理データD1の読み出し命令及び書き込み命令を受信した場合に、カードCよりもアクセス速度が速い記録媒体120に対して課金処理データD1の読み出し及び書き込み処理を行うため、命令を受信する度にカードCに対して課金処理データD1の読み出し及び書き込み処理を行うよりも、車載器10Bが課金処理データD1の送信を行う際の通信時間が短縮される。この結果、料金収受設備20Bにおいて効率的な課金処理が可能となる。
【0088】
また、複製処理部131は、車載器10BからカードCが抜き取られたことを検知して、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」を削除する。
これにより、車載器10BにカードCが挿入されていないときに、読出処理部132が過去に挿入されていたカードCの「課金処理データD1」を料金収受設備20Bに送信して誤った課金処理が行われることを防ぐことができる。
【0089】
<第2の実施形態の変形例>
次に、本発明の第2の実施形態の変形例に係る料金収受システム1Cについて、
図22〜
図23を参照して説明する。
なお、上述の各実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例において、車載器10Cは、書込処理部133が料金収受設備20Bから受信した「新たな課金処理データ」を記録媒体120に書き込んだ後、料金収受設備20Bとの通信を終了する。そして、カード更新部134は、料金収受設備20Bとの通信を終了した後に、「課金処理データD1」をカードCに書き込んで更新する。
【0090】
(車載器の処理フロー)
図22は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る車載器の書込処理部及びカード更新部の機能を示す図である。
図22に示すように、料金収受設備20Bは、課金額算出処理の結果として、「新たな残額」及び「新たな課金処理履歴」を含む「新たな課金処理データ」を書き込む命令(WRITEコマンド)を車載器10Cへ送信する。車載器10Cは、無線通信装置200から受信した命令(WRITEコマンド)に基づいて、「新たな課金処理データ」の書き込み処理P25」及び「課金処理データの更新処理P26」を行う。
【0091】
図23は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る車載器の書込処理部及びカード更新部の処理フローを示す図である。
以下、
図22〜
図23を参照して、書込処理部133における「新たな課金処理データの書き込み処理P25」、及び、カード更新部134における「課金処理データの更新処理P26」の詳細を説明する。
図23に示すように、書込処理部133は、「課金処理データD1」の書き込み命令(WRITEコマンド)を、無線通信部100を通じて料金収受設備20Bから受信すると(ステップS250)、「新たな課金処理データの書き込み処理P25」を開始する。
【0092】
次に、書込処理部133は、料金収受設備20Bから書き込み命令とともに受信した「新たな課金処理データ」を、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」に書き込む(ステップS251)。
【0093】
次に、書込処理部133は他の書き込み命令を受信しているか否かを判断する(ステップS252)。
書込処理部133は、料金収受設備20Bから次の書き込み命令を受信している場合(ステップS252:YES)、ステップS251の処理を繰り返す。一方、書込処理部133は、料金収受設備20Bから次の書き込み命令を受信していない場合(ステップS252:NO)、次のステップS253へ進む。
図22の例では、書込処理部133は、次の命令である「新たな課金処理履歴」の書き込み命令を受信し(ステップS252:YES)、当該「新たな課金処理データ」に含まれる「新たな課金処理履歴」を、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」の「課金処理履歴」に追加して書き込む(ステップS251)。
次に、書込処理部133は、料金収受設備20Bから次の命令を受信していないと判断した場合(ステップS252:NO)、「新たな課金処理データ」の書き込みが完了したことを示す更新結果を料金収受設備20Bへ送信する(ステップS253)。また、書込処理部133は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」が更新されたことをカード更新部134に通知する。そして、車載器10Cは「新たな課金処理データの書き込み処理P25」を終了するとともに、料金収受設備20Bとの通信を終了する。
【0094】
次に、カード更新部134は、書込処理部133からの通知を受けて、「課金処理データの更新処理P26」を開始する。
図23に示すように、カード更新部134は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133が書き込んだ情報を、カードR/W110を通じてカードCに書き込んで更新する(ステップS260)。
図22の例では、カード更新部134は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133により書き込まれた情報である「残額」及び「課金処理履歴」をカードCに書き込んで更新する(ステップS260)。
カード更新部134は、全ての「課金処理データD1」を更新すると、「課金処理データの更新処理P26」を終了する。
なお、複製処理部131は、カード更新部134が「課金処理データの更新処理P26」を終了した後に、再び「課金処理データを複製する処理P20」(
図16〜
図17)を行うようにしてもよい。これにより、車載器10Cの記録媒体120に複製された「課金処理データD1」の内容と、カードCに記録された「課金処理データD1」の内容とを確実に同一とすることができる。
【0095】
(作用効果)
以上のように、本変形例に係る車載器10Cにおいて、カード更新部134は、無線通信部100が新たな「課金処理データD1」の受信を完了し、料金収受設備20Bとの通信を終了した後に、カードCに記録されている「課金処理データD1」を更新する。
このようにすることで、無線通信部100は、カードCに記録されている「課金処理データD1」の更新が終了するまで待つことなく、「課金処理データD1」の受信処理を終了することができる。これにより、車載器10Cが「課金処理データD1」の送受信を行う際の通信時間が更に削減される。
【0096】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る料金収受システム1Dについて、
図24〜
図25を参照して説明する。
なお、上述の各実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
(料金収受システムの処理フロー)
図24は、本発明の第3の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図24に示すように、本実施形態に係る料金収受システム1Dは、第1の実施形態に係る料金収受設備20Aと、第2の実施形態に係る車載器10Bとを備えている。
【0098】
図25は、本発明の第3の実施形態に係る料金収受システムの機能を説明する図である。
以下、本実施形態に係る料金収受システム1Dの各処理について、
図25を参照して説明する。
図25に示すように、料金収受設備20Aは、第1の実施形態と同様に、料金収受設備20Aの起動時に、課金処理装置210が無線通信装置200へ「シナリオ情報を送信する処理P10」(
図6〜
図7)を行うとともに、無線通信装置200が「シナリオ情報を記録する処理P12」(
図6及び9)を行う。
また、課金処理装置210においてシナリオ情報D2を変更した際に、課金処理装置210が無線通信装置200の「シナリオ情報を更新する処理P11」(
図6及び8)を行うとともに、無線通信装置200が「シナリオ情報を記録する処理P12」(
図6及び9)を行う。
【0099】
図25に示すように、車載器10Bは、第2の実施形態と同様に、カードCが車載器10Bに挿入されたことを検知すると、複製処理部131がカードR/W110を通じてカードCから取得した「課金処理データを複製する処理P20」(
図16〜
図17)を行う。
また、複製処理部131は、カードCが車載器から抜き取られたことを検出すると、記録媒体120に記録された「課金処理データを削除する処理P21」(
図16〜
図17)を行う。
【0100】
また、料金収受設備20Aは、第1の実施形態と同様に、車載器10Bを搭載した車両Aが無線通信装置200の通信可能領域に進入すると、当該車載器10Bから「課金処理データを取得する処理P13A」(
図10及び12)を行う。具体的には、無線通信装置200のシナリオ処理部202bは、「車載器との通信確立を示す信号」を受信する(ステップS130)と、記録媒体203に記録された複数のシナリオ情報D2のうち、受信した信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2を選択して読み出す(ステップS131)。そして、シナリオ処理部202bは、読み出したシナリオ情報D2(シナリオA)に記録された「処理手順」に基づいて、一連の処理手順を実行する(ステップS132)。
一方、車載器10Bは、料金収受設備20Aの無線通信装置200から「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)を受信すると、当該読み出し命令に基づいて「課金処理データの読み出し処理P22」(
図18〜
図19)を行う。具体的には、無線通信装置200から「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)を受信する(ステップS220、ステップS223:YES)と、車載器10Bの読出処理部132は、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」の読み出す(ステップS221)。そして、読出処理部132は、読み出した「課金処理データD1」を、無線通信部100を通じて料金収受設備20Aへ送信する(ステップS222)。
次に、料金収受設備20Aの無線通信装置200は、車載器10Bから「課金処理データD1」を取得すると、当該「課金処理データD1」を課金処理装置210へ送信する。シナリオ処理部202bは、シナリオ情報D2(シナリオA)の一連の処理手順を全て実行すると、「課金処理データを取得する処理P13A」を終了する。
【0101】
次に、料金収受設備20Aの課金処理装置210が課金額の算出を行い、無線通信装置200へ「新たな課金処理データ」を送信すると、無線通信装置200のシナリオ処理部202bは、「車載器に課金処理データを書き込む処理P13B」(
図11〜
図12)を開始する。具体的には、シナリオ処理部202bは、課金処理装置210から送信された「課金処理データ書き込み命令」を示す信号を受信すると(ステップS130)、記録媒体203に記録された複数のシナリオ情報D2のうち、受信した信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2(シナリオB)を選択して読み出す(ステップS131)。そして、シナリオ処理部202bは、読み出したシナリオ情報D2(シナリオB)に記録された「処理手順」に基づいて、一連の処理手順を実行する(ステップS132)。
一方、車載器10Bは、料金収受設備20Aの無線通信装置200から「課金処理データD1」の書き込み命令(WRITEコマンド)を受信すると、当該書き込み命令に基づいて「新たな課金処理データの更新処理P23」(
図20〜
図21)を行う。具体的には、無線通信装置200から「課金処理データD1」の書き込み命令(WRITEコマンド)を受信する(ステップS230、ステップS233:YES)と、車載器10Bの書込処理部133は、無線通信装置200から書き込み命令とともに受信した「新たな課金処理データ」を、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」に書き込む(ステップS231)。次に、車載器10Bのカード更新部134は、記録媒体120記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133が書き込んだ情報を、カードR/W110を通じてカードCに書き込む(ステップS232)。書込処理部133は、料金収受設備20Aから次の命令を受信していないと判断する(ステップS233:NO)と、料金収受設備20Aへ更新結果を送信し(ステップS232)、「新たな課金処理データの更新処理P23」を終了する。
次に、料金収受設備20Aの無線通信装置200は、車載器10Bから更新結果(WRITE結果)を取得すると、当該更新結果を課金処理装置210へ送信する。シナリオ処理部202bは、シナリオ情報D2(シナリオB)の一連の処理手順を全て実行すると、「車載器に課金処理データを書き込む処理P13B」を終了する。
【0102】
なお、本実施形態では、料金収受システム1Dが第2の実施形態における車載器10Bを備え、「新たな課金処理データの更新処理P23」(
図20〜
図21)を実行する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態においては、料金収受システム1Dは、車載器10Bに代えて、第2の実施形態の変形例における車載器10Cを備えていてもよい。この場合、車載器10Cは、「新たな課金処理データの更新処理P23」に代えて、「新たな課金処理データ」の書き込み処理P25」及び「課金処理データの更新処理P26」(
図22〜
図23)を行う。
【0103】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受システム1Dは、第1の実施形態に係る料金収受設備20Aと、第2の実施形態に係る車載器10Bとを備えている。
このようにすることで、料金収受設備20Aの無線通信装置200と課金処理装置210との間の通信回数が削減されるとともに、車載器10Bが料金収受設備20Aとの間で「課金処理データD1」を送受信する時間が短縮される。これにより、料金収受システム1D全体において更に効率的な課金処理が可能となる。
【0104】
また、料金収受システム1Dは、車載器10Bに代えて、第2の実施形態の変形例に係る車載器10Cを備えていてもよい。
このようにすることで、車載器10Cの無線通信部100は、カードCに記録されている「課金処理データD1」の更新が終了するまで待つことなく、「課金処理データD1」の受信処理を終了することができる。これにより、車載器10Cが「課金処理データD1」の送受信を行う際の通信時間が更に削減される。
【0105】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る料金収受システム1Eについて、
図26〜
図32を参照して説明する。
なお、上述の各実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
(料金収受システムの全体構成)
図26は、本発明の第4の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図27は、本発明の第4の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図26及び
図27に示すように、料金収受システム1Eは、第2の実施形態の変形例における車載器10Cと、料金収受設備20Cと、を備える。
【0107】
図26に示すように、料金収受設備20Cは、上流側無線通信装置220と、下流側無線通信装置230と、課金処理装置240とを備えている。
上流側無線通信装置220は、車線方向の上流側(
図26の−X側)に、車線L1及びL2を車線幅方向(
図26の±Y方向)に跨るように設けられたガントリG1に取り付けられ、車線L1及びL2の上空に固定されている。
下流側無線通信装置230は、上流側無線通信装置220よりも車線方向の下流側(
図26の+X側)に、車線L1及びL2を車線幅方向(
図26の±Y方向)に跨るように設けられたガントリG2に取り付けられ、車線L1及びL2の上空に固定されている。
本実施形態では、料金収受設備20Cが一つの車線に対し、上流側無線通信装置220及び下流側無線通信装置230を一つずつ有する態様について説明する。具体的には、
図26に示すように、車線L1には上流側無線通信装置220a及び下流側無線通信装置230aが設置されており、車線L2には上流側無線通信装置220b及び下流側無線通信装置230bが設置されている。
【0108】
図27に示すように、本実施形態において、上流側無線通信装置220(上流側無線通信装置220a、220b)及び下流側無線通信装置230(下流側無線通信装置230a、230b)は、RFID通信を介して車載器10Cと無線通信を行う。
また、上流側無線通信装置220(上流側無線通信装置220a、220b)及び下流側無線通信装置230(下流側無線通信装置230a、230b)は、光ファイバー等のケーブルを介して、課金処理装置240と有線通信を行う。
【0109】
(料金収受設備の機能構成)
次に、本実施形態に係る料金収受設備20Cの機能構成について、
図28を参照して説明する。
図28は、本発明の第4の実施形態に係る料金収受設備の機能構成を示す図である。
図28に示すように、上流側無線通信装置220及び下流側無線通信装置230は、第1の実施形態における無線通信装置200と同様に、無線通信部201と、CPU202と、記録媒体(内蔵記録媒体)203と、有線通信部204と、を備えている。上流側無線通信装置220及び下流側無線通信装置230の各構成は、第1の実施形態の無線通信装置200と同様の機能を有している。
【0110】
課金処理装置240は、有線通信部211と、CPU212と、記録媒体(内蔵記録媒体)213と、を備えている。
また、CPU212は、シナリオ情報生成部212aと、課金処理部212bと、課金結果検証部212cと、を有している。
以下、上述の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0111】
課金処理部212bは、上流側無線通信装置220を通じて車載器10Cから取得した「課金処理データD1」に基づいて、当該車載器10Cに対する課金額を算出する。また、課金処理部212bは、課金額を算出した日時、場所及び課金額を含む「新たな課金処理履歴」と、課金処理前の「残額」から課金額を減じて求めた「新たな残額」と、を含む「新たな課金処理データ」を生成する。そして、課金処理部212bは、上流側無線通信装置220を通じて車載器10Cに「新たな課金処理データ」を書き込む命令を送信する。
また、課金処理部212bは、「新たな課金処理データ」と、「課金処理データD1」に含まれる「カード番号」とを対応付けて「検証データ」を生成し、有線通信部211を通じて下流側無線通信装置230へ送信する。下流側無線通信装置230は、受信した「検証データ」を記録媒体203へ記録する。
【0112】
課金結果検証部212cは、課金結果の検証処理として、課金処理部212bが生成した「新たな課金処理データ」が、車載器10Cに挿入されたカードCに正常に書き込まれたか否かを検証する。具体的には、課金結果検証部212cは、課金処理装置240から受信した「検証データ」と、下流側無線通信装置230を通じて車載器10Cから取得した「課金処理データD1」とが一致する場合は、「新たな課金処理データ」がカードCに正常に更新されており、課金結果が正常であると判断する。一方、課金結果検証部212cは、課金処理装置240から受信した「検証データ」と、下流側無線通信装置230を通じて車載器10Cから取得した「課金処理データD1」とが一致しない場合は、「新たな課金処理データ」がカードCに正常に更新されておらず、課金結果が異常であると判断する。
課金結果検証部212cは、課金処理において異常が発生したと判断した場合、当該車載器10Cから下流側無線通信装置230を通じて取得した「課金処理データD1」を「異常データ」として記録媒体213に記録する。
また、課金結果検証部212cは、課金結果が異常であると判断した場合、当該料金収受設備20Cの管理者等へ「異常データ」を通知する異常処理を行う。このとき、課金結果検証部212cは、料金収受設備20Cと有線接続された中央管理サーバ(不図示)等に当該通知を送信するようにしてもよい。管理者等は、当該通知に基づいて、「異常データ」に含まれる「カード番号」に紐付られたカードCの利用停止処理、カードCの所有者へ課金額の請求等を行う。
【0113】
(料金収受設備の処理フロー)
図29は、本発明の第4の実施形態に係る料金収受システムの機能を説明する第1の図である。
図30は、本発明の第4の実施形態に係る料金収受システムの機能を説明する第2の図である。
図31は、本発明の第4の実施形態に係る料金収受システムの機能を説明する第3の図である。
図32は、本発明の第4の実施形態に係る課金結果検証部の処理フローを示す図である。
以下、本実施形態に係る料金収受システム1Eの各処理について、
図29〜
図32を参照して説明する。
【0114】
図29に示すように、料金収受設備20Cは、第1の実施形態と同様に、車載器10Cを搭載した車両Aが上流側無線通信装置220の通信可能領域に進入すると、「課金処理データを取得する処理P13A」(
図10及び12)を行う。
具体的には、上流側無線通信装置220のシナリオ処理部202bは、「車載器との通信確立」を示す信号を受信する(ステップS130)と、記録媒体203に記録された複数のシナリオ情報D2のうち、受信した信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2を選択して読み出す(ステップS131)。そして、シナリオ処理部202bは、読み出したシナリオ情報D2(シナリオA)に記録された「処理手順」に基づいて、一連の処理手順を実行する(ステップS132)。s
一方、車載器10Cは、料金収受設備20Cの上流側無線通信装置220から「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)を受信すると、当該読み出し命令に基づいて「課金処理データの読み出し処理P22」(
図18〜
図19)を行う。具体的には、上流側無線通信装置220から「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)を受信する(ステップS220、ステップS223:YES)と、車載器10Cの読出処理部132は、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」の読み出す(ステップS221)。そして、読出処理部132は、読み出した「課金処理データD1」を、無線通信部100を通じて料金収受設備20Cへ送信する(ステップS222)。
次に、料金収受設備20Cの上流側無線通信装置220は、車載器10Cから「課金処理データD1」を取得すると、当該「課金処理データD1」を課金処理装置210へ送信する。シナリオ処理部202bは、シナリオ情報D2(シナリオA)の一連の処理手順を全て実行すると、「課金処理データを取得する処理P13A」を終了する。
【0115】
次に、課金処理装置240の課金処理部212bは、上流側無線通信装置220を通じて車載器10Cから取得した「課金処理データD1」に基づいて、当該車載器10Cに対する課金額を算出する。課金処理部212bは、算出した課金額に基づいて「新たな課金処理データ」を生成し、課金処理データ書き込み命令とともに当該「新たな課金処理データ」を上流側無線通信装置220へ送信する。また、課金処理部212bは、「新たな課金処理データ」と、「課金処理データD1」に含まれる「カード番号」とを対応付けて「検証データ」を生成し、下流側無線通信装置230へ送信する。
上流側無線通信装置220のシナリオ処理部202bは、課金処理装置240から課金処理データ書き込み命令を受信すると、「車載器に課金処理データを書き込む処理P13B」(
図11〜
図12)を開始する。具体的には、シナリオ処理部202bは、課金処理装置240から送信された「課金処理データ書き込み命令」を示す信号を受信すると(ステップS130)、記録媒体203に記録された複数のシナリオ情報D2のうち、受信した信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2(シナリオB)を選択して読み出す(ステップS131)。そして、シナリオ処理部202bは、読み出したシナリオ情報D2(シナリオB)に記録された「処理手順」に基づいて、一連の処理手順を実行する(ステップS132)。
一方、車載器10Cは、料金収受設備20Cの上流側無線通信装置220から「課金処理データD1」の書き込み命令(WRITEコマンド)を受信すると、当該書き込み命令に基づいて「新たな課金処理データの書き込み処理P25」(
図22〜
図23)を行う。具体的には、上流側無線通信装置220から「課金処理データD1」の書き込み命令(WRITEコマンド)を受信する(ステップS250、ステップS252:YES)と、車載器10Cの書込処理部133は、上流側無線通信装置220からから書き込み命令とともに受信した「新たな課金処理データ」を、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」に書き込む(ステップS251)。
次に、書込処理部133は、料金収受設備20Bから次の命令を受信していないと判断した場合(ステップS252:NO)、「新たな課金処理データ」の書き込みが完了したことを示す更新結果を料金収受設備20Bへ送信する(ステップS253)。また、書込処理部133は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」が更新されたことをカード更新部134に通知する。そして、車載器10Cは「新たな課金処理データの書き込み処理P25」を終了するとともに、料金収受設備20Bとの通信を終了する。
【0116】
次に、
図30に示すように、車載器10Cのカード更新部134は、書込処理部133からの通知を受けて、「課金処理データの更新処理P26」(
図22〜
図23)を開始する。
カード更新部134は、記録媒体120に記録されている「課金処理データD1」のうち、書込処理部133が書き込んだ情報を、カードR/W110を通じてカードCに書き込んで更新する(ステップS260)。
カード更新部134は、全ての「課金処理データD1」を更新すると、「課金処理データの更新処理P26」を終了する。
なお、複製処理部131は、カード更新部134が「課金処理データの更新処理P26」を終了した後に、再び「課金処理データを複製する処理P20」(
図16〜
図17)を行うようにしてもよい。これにより、車載器10Cの記録媒体120に複製された「課金処理データD1」の内容と、カードCに記録された「課金処理データD1」の内容とを確実に同一とすることができる。
【0117】
また、料金収受設備20Cは、車載器10Cを搭載した車両Aが下流側無線通信装置230の通信可能領域に進入すると、当該車載器10Cから「課金処理データを取得する処理P13A」(
図10及び12)を行う。
具体的には、下流側無線通信装置230のシナリオ処理部202bは、「車載器との通信確立を示す信号」を受信する(ステップS130)と、記録媒体203に記録された複数のシナリオ情報D2のうち、受信した信号と一致する「トリガ信号」を有するシナリオ情報D2を選択して読み出す(ステップS131)。そして、シナリオ処理部202bは、読み出したシナリオ情報D2(シナリオA)に記録された「処理手順」に基づいて、一連の処理手順を実行する(ステップS132)。
一方、車載器10Cは、料金収受設備20Cの下流側無線通信装置230から「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)を受信すると、当該読み出し命令に基づいて「課金処理データの読み出し処理P22」(
図18〜
図19)を行う。
具体的には、下流側無線通信装置230から「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)を受信すると(ステップS220、ステップS223:YES)、車載器10Cの読出処理部132は、記録媒体120に記録された「課金処理データD1」の読み出す(ステップS221)。そして、読出処理部132は、読み出した「課金処理データD1」を、無線通信部100を通じて料金収受設備20Cへ送信する(ステップS222)。
次に、料金収受設備20Cの下流側無線通信装置230は、車載器10Cから「課金処理データD1」を取得すると、当該「課金処理データD1」を課金処理装置240へ送信する。シナリオ処理部202bは、シナリオ情報D2(シナリオA)の一連の処理手順を全て実行すると、「課金処理データを取得する処理P13A」を終了する。
【0118】
次に、課金処理装置240の課金結果検証部212cは、「課金結果の検証処理P40」を実行する。
【0119】
図32に示すように、課金結果検証部212cは、下流側無線通信装置230を通じて車載器10Cから「課金処理データD1」を取得する(ステップS400)。
具体的には、
図29に示すように、下流側無線通信装置230は、車載器10Cを搭載した車両Aが下流側無線通信装置230の通信可能領域に進入すると、当該車載器10Cから課金処理に用いられる「課金処理データを取得する処理P13A」(
図10及び12)を行う。
一方、車載器10Cは、料金収受設備20Cの下流側無線通信装置230から「課金処理データD1」の読み出し命令(READコマンド)を受信すると、当該読み出し命令に基づいて「課金処理データの読み出し処理P22」(
図18〜
図19)を行う。
そして、料金収受設備20Cの上流側無線通信装置220は、車載器10Cから「課金処理データD1」を取得すると、当該「課金処理データD1」を課金処理装置240へ送信する。シナリオ処理部202bは、シナリオ情報D2(シナリオA)の一連の処理手順を全て実行すると、「課金処理データを取得する処理P13A」を終了する。
【0120】
次に、課金結果検証部212cは、記録媒体203に記録された「検証データ」のうち、下流側無線通信装置230を通じて車載器10Cから取得した「課金処理データD1」の「カード番号」と一致する情報を有する「検証データ」が存在するか否かを判断する。(ステップS401)。
課金結果検証部212cは、車載器10Cから取得した「課金処理データD1」の「カード番号」と一致する情報を有する「検証データ」が存在する場合(ステップS401:YES)、当該「検証データ」を取得して次のステップS402へ進む。一方、課金結果検証部212cは、車載器10Cから取得した「課金処理データD1」の「カード番号」と一致する情報を有する「検証データ」が存在しない場合(ステップS401:NO)、ステップS403へ進む。
【0121】
次に、課金結果検証部212cは、
図32に示すように、取得した「検証データ」と、下流側無線通信装置230を通じて車載器10Cから取得した「課金処理データD1」とが一致するか否かを判断する(ステップS402)。
課金結果検証部212cは、「検証データ」と「課金処理データD1」とが一致しない場合(ステップS402:NO)、次のステップS403へ進む。一方、課金結果検証部212cは、「検証データ」と「課金処理データD1」とが一致する場合(ステップS402:YES)、課金結果は正常であると判断して、「課金結果の検証処理P40」を終了する。
【0122】
課金結果検証部212cは、車載器10Cから取得した「課金処理データD1」の「カード番号」と一致する情報を有する「検証データ」が存在しない場合(ステップS401:NO)、又は、「検証データ」と「課金処理データD1」とが一致しない場合(ステップS402:NO)、課金結果は異常であると判断して、当該「課金処理データD1」を「異常データ」として記録媒体213に記録する。
また、課金結果検証部212cは、当該料金収受設備20Cの管理者等へ「異常データ」を通知する異常処理を行う(ステップS403)。
【0123】
図29〜
図30の例では、カードC及び車載器10Cの記録媒体120には、上流側無線通信装置220から受信した「新たな課金処理データ」に基づいて更新された「課金処理データD1」が記録されている。
このため、課金結果検証部212cは、車載器10Cから取得した「課金処理データD1」の「カード番号」と一致する情報を有する「検証データ」が存在し(ステップS401:YES)、且つ、当該「検証データ」と「課金処理データD1」とが一致するため(ステップS402:YES)、課金結果は正常であると判断して、「課金結果の検証処理P40」を終了する。
【0124】
一方、
図31に示すように、車載器10Cの書込処理部133が「新たな課金処理データの書き込み処理P25」(
図22〜
図23)を行った後、カード更新部134が「課金処理データの更新処理P26」を開始するまでの間に、カードCが抜き取られた場合、車載器10Cの複製処理部131は、「課金処理データを削除する処理P21」(
図16〜
図17)を行う。
この場合、カードC及び車載器10Cの記録媒体120には、「課金処理データD1」が記録されていない状態となるため、下流側無線通信装置230は、車載器10Cから正しい課金処理データを取得することができない。このとき、課金結果処理部212cは、車載器10Cから取得した「課金処理データD1」の「カード番号」(データなし)と一致する情報を有する「検証データ」が存在しないため(ステップS401:NO)、課金結果は異常であると判断し、異常処理を行う(ステップS403)。
また、車載器10Cのカード更新部134が「課金処理データの更新処理P26」を失敗した等の問題が発生した場合、カードCに記録されている「課金処理データD1」は、「新たな課金処理データ」(例えば、「残額」から課金額を減額したあとの「新たな残額」)とは異なる情報(課金額を減額する前の「残額」)が含まれている。この場合、課金結果処理部212cは、車載器10Cから取得した「課金処理データD1」の「カード番号」と一致する情報を有する「検証データ」が存在するが(ステップS401:YES)、当該「検証データ」と「課金処理データD1」との内容が一致しないため(ステップS402:NO)、課金結果は異常であると判断し、異常処理を行う(ステップS403)。
【0125】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受設備20Cは、無線通信装置として、車線L1、L2の上流側に設けられた上流側無線通信装置220と、上流側無線通信装置220よりも車線L1、L2の下流側に設けられた下流側無線通信装置230と、を備える。課金処理装置240は、上流側無線通信装置220が車載器10Cに対して行った書き込み処理に関する「新たな課金処理データ」と、下流側無線通信装置230が車載器10Cに対して行った読み出し処理に関する「課金処理データD1」とが一致しない場合は、車載器10Cに対する書き込み処理が正常に行われなかったと判断する課金結果検証部212cを備える。
このようにすることで、課金結果検証部212cは、車載器10Cが料金収受設備20Cとの通信時間を短縮するために、上流側無線通信装置220との通信を終了した後に「新たな課金処理データ」の書き込み処理を行うようにしても、下流側無線通信装置230を通じて当該車載器10Cから取得した「課金処理データD1」に基づいて、上流側無線通信装置220が当該車載器10Cに対して行った書き込み処理が正常に行われたか否かを認識することができる。
このため、課金結果検証部212cは、車載器10Cが上流側無線通信装置220との通信を終了した後から車載器10Cのカード更新部134が「課金処理データの更新処理P26」を行う前までの間に、カードCが抜き取られた等の問題が発生した場合であっても、当該カードCに「新たな課金処理データ」が正常に書き込まれなかったことを認識することができる。
【0126】
また、課金結果検証部212cは、課金結果が異常であるを当該料金収受設備20Cの管理者等へ通知する異常処理を行う。これにより、管理者等は、カードCに「新たな課金処理データ」が正常に書き込まれなかったこと、及び、当該カードCを特定可能な「カード番号」等の情報を認識して、当該「カード番号」に紐付られたカードCの利用停止処理、カードCの所有者へ課金額の請求等を行うことができる。
【0127】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0128】
例えば、上述の各実施形態において、有料道路が複数の車線(車線L1及び車線L2)を有し、一つの車線に対して一つの無線通信装置200、上流側無線通信装置220、下流側無線通信装置230を設置する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、車線は一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。この場合、無線通信装置200、上流側無線通信装置220、下流側無線通信装置230は、車線の数に応じて一つ又は三つ以上設置されていてもよい。
また、上述の各実施形態では、料金収受システム1A〜1Eが有料道路の出口料金所に設置されている態様について説明したが、他の実施形態においては入口料金所に設置される態様であってもよい。
【0129】
また、上述の各実施形態において、料金収受設備20A、20Cは、車載器10A〜10Cを通信対象器として無線通信を行い、「課金処理データD1」を送受信する態様について説明したが、これに限られることはない。料金収受設備20A、20Cは、車両Aに搭載されている、RFID通信を介して情報の送受信が可能なRFタグを通信対象器として無線通信を行い、「課金処理データD1」を送受信してもよい。このようにすることで、RFタグを用いて課金処理を行う料金所に対しても、上述の料金収受設備20A、20Cを導入することができる。