特許第6704994号(P6704994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6704994フォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6704994
(24)【登録日】2020年5月15日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】フォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/78 20060101AFI20200525BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20200525BHJP
   F16D 66/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   F16D65/78
   B60T17/22 Z
   F16D66/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-529562(P2018-529562)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公表番号】特表2019-501346(P2019-501346A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】KR2015013390
(87)【国際公開番号】WO2017099267
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2018年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】504408236
【氏名又は名称】ドゥーサン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ハン ドン ホ
【審査官】 的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−054941(JP,A)
【文献】 特開2001−012402(JP,A)
【文献】 特開2010−159821(JP,A)
【文献】 特開2013−124693(JP,A)
【文献】 特開昭57−110549(JP,A)
【文献】 特開平05−000661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00−7/10
15/00−17/22
F15B 20/00−21/12
F16D 49/00−71/04
F16H 59/00−61/12
61/16−61/24
61/66−61/70
63/40−63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クーリングオイルが収容されるオイルタンク、
前記クーリングオイルを吸入して吐き出す油圧ポンプ、
前記吐き出されたクーリングオイルを冷却させるクーラー、
前記冷却されたクーリングオイルにより冷却され、使用されたクーリングオイルを前記オイルタンクに帰還させるサービスブレーキ、
前記サービスブレーキの前端と前記サービスブレーキの後端とを結ぶ第1のバイパスライン
前記第1のバイパスラインに設けられ、前記サービスブレーキの前端において異常高圧が発生した場合、開放され、前記冷却されたクーリングオイルが前記サービスブレーキを迂回するようにするチェックバルブ
前記クーラーの前端と前記クーラーの後端とを結ぶ第3のバイパスライン、及び
前記第3のバイパスラインの上に設けられ、前記油圧ポンプから吐き出されるクーリングオイルが設定温度より高い時は閉状態が維持され、設定温度より低い時は開放され、前記クーリングオイルが前記クーラーを迂回するようにするサーモスタチックバルブ、を含み、
前記チェックバルブは、前記サーモスタチックバルブが開放されることにより前記クーラーと前記サービスブレーキとの間の油圧が高くなったときに開放されるように構成されている、
フォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム。
【請求項2】
前記サーモスタチックバルブの前端において前記クーリングオイルの温度を検出する温度センサ、及び
前記温度センサで検出された前記クーリングオイルの値を入力され、その値が許容温度範囲から外れる場合、計器パネルに異常温度を表示するように制御するコントローラ、をさらに含む、
請求項に記載のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム。
【請求項3】
前記サーモスタチックバルブの前端において前記クーリングオイルの温度を検出する温度センサ、及び
前記温度センサで検出された前記クーリングオイルの温度値を入力され、その値が許容温度範囲から外れる場合、ブザーで警告音が送出されるように制御するコントローラ、をさらに含む、
請求項に記載のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム。
【請求項4】
前記サーモスタチックバルブの前端において前記クーリングオイルの温度を検出する温度センサ、及び
前記温度センサで検出された前記クーリングオイルの温度値を入力され、その値が許容温度範囲から外れる場合、トランスミッションコントローラで車速を減速するように制御するコントローラ、をさらに含む、
請求項に記載のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム。
【請求項5】
クーリングオイルが収容されるオイルタンク、
前記クーリングオイルを吸入して吐き出す油圧ポンプ、
前記吐き出されたクーリングオイルを冷却させるクーラー、
前記冷却されたクーリングオイルにより冷却され、使用されたクーリングオイルを前記オイルタンクに帰還させるサービスブレーキ、
前記サービスブレーキの前端と前記サービスブレーキの後端とを結ぶ第1のバイパスライン、
前記第1のバイパスラインに設けられ、前記サービスブレーキの前端において異常高圧が発生した場合、開放され、前記冷却されたクーリングオイルが前記サービスブレーキを迂回するようにするチェックバルブ、
前記クーラーの前端と前記クーラーの後端とを結ぶ第3のバイパスライン、
前記第3のバイパスラインの上に設けられ、開閉作動する油圧バルブ、
前記油圧バルブの前端において前記クーリングオイルの温度を検出する温度センサ、及び
前記温度センサで検出された前記クーリングオイルの温度値を入力され、その値が設定温度より高い時は前記油圧バルブが閉状態を維持するように制御し、その値が設定温度より低い時は前記油圧バルブが開放されるように制御するコントローラ、を含み
前記チェックバルブは、前記油圧バルブが開放されることにより前記クーラーと前記サービスブレーキとの間の油圧が高くなったときに開放されるように構成されている、
フォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記クーリングオイルの温度値が許容温度範囲から外れる場合、計器パネルに異常温度を表示するように制御する、
請求項に記載のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記クーリングオイルの温度値が許容温度範囲から外れる場合、ブザーから警告音が送出されるように制御する、
請求項に記載のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記クーリングオイルの温度値が許容温度範囲から外れる場合、トランスミッションコントローラで車速を減速するように制御する、
請求項に記載のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システム。
【請求項9】
オイルタンク内のオイルを、冷却器および前記冷却器下流のブレーキ部を経由する流路に循環させるブレーキの冷却システムにおいて、
前記ブレーキ部をバイパスする第1のバイパスラインに設けられ、前記ブレーキ部の上流流路の前記オイルを前記ブレーキ部の下流流路に案内し、前記ブレーキ部の上流流路の昇圧を防止するチェックバルブと、
前記冷却器をバイパスし、前記冷却器の上流流路の昇圧を防止する第3のバイパスライン
前記第3のバイパスラインに設けられ、前記オイルの温度が所定の温度以下の場合に開くバルブと、を有し
前記チェックバルブは、前記バルブが開放されることにより、前記冷却器と前記ブレーキ部との間の油圧が高くなったときに開放されるように構成されている、
ブレーキの冷却システム。
【請求項10】
オイルタンク内のオイルを、冷却器および前記冷却器下流のブレーキ部を経由する流路に循環させるブレーキの冷却システムにおいて、
前記ブレーキ部をバイパスする第1のバイパスラインに設けられ、前記ブレーキ部の上流流路の前記オイルを前記ブレーキ部の下流流路に案内し、前記ブレーキ部の上流流路の昇圧を防止するチェックバルブと、
前記冷却器をバイパスし、前記冷却器の上流流路の昇圧を防止する第3のバイパスラインと、
前記オイルの温度を検出する温度検出部
記第3のバイパスラインに設けられ、前記温度検出部で検出された前記オイルの温度が所定の温度以下の場合に開くように制御されるバルブと、を有し
前記チェックバルブは、前記バルブが開放されることにより、前記冷却器と前記ブレーキ部との間の油圧が高くなったときに開放されるように構成されている、
ブレーキの冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムに関し、より詳しくは、フォークリフト車両の駆動軸にサービスブレーキが設けられ。前記サービスブレーキにおいて熱が発生すると、前記熱を冷却させ、一定レベルの防熱性能が維持されるようにするためのフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フォークリフト車両の駆動軸にはサービスブレーキが設けられている。サービスブレーキの作動中には熱が発生する。発熱によりクーリングオイルの温度上昇が起こるが、クーリングオイルの過熱を防止するため、ブレーキ装置用冷却システムが採用されている。
【0003】
従来のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムについて、図1を参照して説明する。図1は、従来のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを説明するための油圧回路図である。
【0004】
従来のブレーキ装置用冷却システムは、油圧ポンプ1、オイルタンク2、クーラー3及びサービスブレーキ4を含んで構成される。
【0005】
油圧ポンプ1とクーラー3とは、第1の油圧ラインL1で連結される。クーラー3とサービスブレーク4とは、第2の油圧ラインL2で連結される。また、サービスブレーキ4とオイルタンク2とは、第3の油圧ラインL3で連結される。
【0006】
なお、クーラー3の前端と後端とを結ぶようにバイパスラインL4が連結され、バイパスラインL4には、チェックバルブが設けられている。
【0007】
油圧ポンプ1は、オイルタンク2からクーリングオイルを吸入してクーラー3側に吐き出す。クーラー3は、流入されたクーリングオイルを冷却させる。そして、クーラー3を経由したクーリングオイルは、冷却された状態でサービスブレーキ4に提供され、サービスブレーキ4を冷却させる。サービスブレーキ4を経由したクーリングオイルは、オイルタンク2に帰還される。
【0008】
一方、クーラー3にトラブルが発生し、クーリングオイルがクーラー3を円滑に通過できない場合は、クーラー3の前端において圧力が上昇し、上昇された圧力により、バイパスラインL4に設けられたチェックバルブ5が開放される。以後、クーリングオイルは、クーラー3を迂回してサービスブレーキ4に提供される。
【0009】
しかし、上述のように構成及び作動される従来のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、次のような問題を持っている。
【0010】
大気温度が下がると、クーリングオイルの粘度が増加する。特に、冬季の際には、クーリングオイルの粘度がより大きく増加する。この時、第1の油圧ラインL1には、クーラー3に対して収容可能な適正圧力より高い異常高圧が形成されることがあり得る。
【0011】
また、フォークリフト車両が大型であればあるほど、クーラー3とサービスブレーキ4との間に連結された第2の油圧ラインL2の長さが長く配置される。このように第2の油圧ラインL2の長さが長いほど、クーリングオイルにはより高い圧力が要求される。
【0012】
さらに、クーリングオイルは、クーラー3又はサービスブレーキ4を経由する間に圧力損失が生じるため、損失を補充するため、より高い圧力が要求される。
【0013】
上述のように、種々の理由から、クーラー3の前端において異常高圧が形成されるか、又は、より高い圧力が形成される場合は、クーラー3が収容し得る許容圧力を超過することがあり、この場合、クーラー3が破損されるという問題点がある。
【0014】
他方、従来のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムでは、チェックバルブ5が設けられているが、チェックバルブ5が正常に作動できないか、チェックバルブが開放できない状況となると、クーラー3が深刻に破損されるという問題点がある。
【0015】
例えば、チェックバルブ5には開放圧力が設定されており、通常は、開放圧力の形成時に開放され、クーリングオールを迂回させるようになる。しかし、気温が急降下して大気温度が低温となる場合は、クーリングオイルの粘度が異常に過剰上昇し、これにより、チェックバルブ5が正常に作動できなくなることがあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10−1998−0010004号
【特許文献2】韓国公開特許公報第10−1998−0059413号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の技術的課題は、フォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムであって、クーリングオイルの圧力が異常上昇し、又は、異常上昇するおそれがある場合、クーリングオイルがクーラーを迂回するようにすることで、クーラーの破損を防止することができる、フォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを提供することにある。
【0018】
なお、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述の課題に局限されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、後述の記載内容から、本発明の技術分野で通常の知識を者であれば、明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述のような課題を達成するための本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、クーリングオイルが収容されるオイルタンク12、前記クーリングオイルを吸入して吐き出す油圧ポンプ11、前記吐き出されたクーリングオイルを冷却させるクーラー13、前記冷却されたクーリングオイルにより冷却され、使用されたクーリングオイルをオイルタンク12に帰還させるサービスブレーキ14、前記サービスブレーキ14の前端と前記サービスブレーキ14の後端とを結ぶ第1のバイパスラインL14、及び、前記第1のバイパスラインL14に設けられ、前記サービスブレーキ14の前端において異常高圧が発生した場合、開放され、前記冷却されたクーリングオイルが前記サービスブレーキ14を迂回するようにするチェックバルブ15、を含む。
【0020】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記クーラー13の前端において前記オイルタンク12に連結される第2のバイパスラインL15、及び、前記第2のバイパスラインL15の上に設けられ、前記クーラー13が収容し得る圧力が設定されるリリーフバルブ16、をさらに含むことができる。
【0021】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記クーラー13の前端と前記クーラー13の後端とを結ぶ第3のバイパスラインL16、及び、前記第3のバイパスラインL16の上に設けられ、前記油圧ポンプ12から吐き出されるクーリングオイルが設定温度より高い時は閉状態が維持され、設定温度より低い時は開放され、前記クーリングオイルが前記クーラー13を迂回するようにするサーモスタチックバルブ17、をさらに含むことができる。
【0022】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記サーモスタチックバルブ17の前端において前記クーリングオイルの温度を検出する温度センサ18、及び、前記温度センサ18で検出された前記クーリングオイルの値を入力され、その値が許容温度範囲から外れる場合、計器パネル21に異常温度を表示するように制御するコントローラ20、をさらに含むことができる。
【0023】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記サーモスタチックバルブ17の前端において前記クーリングオイルの温度を検出する温度センサ18、及び、前記温度センサ18で検出された前記クーリングオイルの温度値を入力され、その値が許容温度範囲から外れる場合、ブザー22で警告音が送出されるように制御するコントローラ20、をさらに含むことができる。
【0024】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記サーモスタチックバルブ17の前端において前記クーリングオイルの温度を検出する温度センサ18、及び、前記温度センサ18で検出された前記クーリングオイルの温度値を入力され、その値が許容温度範囲から外れる場合、トランスミッションコントローラ23で車速を減速するように制御するコントローラ20、をさらに含むことができる。
【0025】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記クーラー13の前端と前記クーラー13の後端とを結ぶ第3のバイパスラインL16、前記第3のバイパスラインL16の上に設けられ、開閉作動する油圧バルブ19、前記油圧バルブ19の前端において前記クーリングオイルの温度を検出する温度センサ18、及び、前記温度センサ18で検出された前記クーリングオイルの温度値を入力され、その値が設定温度より高い時は前記油圧バルブ19が閉状態を維持するように制御し、その値が設定温度より低い時は前記油圧バルブ19が開放されるように制御するコントローラ20、をさらに含むことができる。
【0026】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記コントローラ20が、前記クーリングオイルの温度値が許容温度範囲から外れる場合、計器パネル21に異常温度を表示するように制御することができる。
【0027】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記コントローラ20が、前記クーリングオイルの温度値が許容温度範囲から外れる場合、ブザー22から警告音が送出されるように制御することができる。
【0028】
また、本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、前記コントローラ20が、前記クーリングオイルの温度値が許容温度範囲から外れる場合、トランスミッションコントローラ23で車速を減速するように制御することができる。
その他、実施例の詳細は、発明の詳細な説明及び図面に示されている。
【発明の効果】
【0029】
上述のような本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、クーラーの前端においてクーリングオイル圧力が異常上昇するのを防止することができ、クーリングオイルの圧力が異常上昇し、又は、異常上昇するおそれがある場合は、クーリングオイルが確実にクーラーを迂回するようにすることで、クーラーの破損を極力抑制し、クーラーの寿命短縮を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来のフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを説明するための油圧回路図である。
図2】本発明の一実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを説明するための油圧回路図である。
図3】本発明の他の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを説明するための油圧回路図である。
図4】本発明のまた他の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを説明するための油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の利点及び特徴、その達成方法は、添付の図面と共に詳述する以下の実施例によって明確になるだろう。
【0032】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳述する。後述の実施例は、本発明の理解を助けるための例示であり、本発明は、後述の実施例を種々に変形して実施することができる。但し、本発明を説明する際、公知の関連機能又は構成要素については、本発明の要旨から逸脱するおそれがあると判断される場合、その詳細な説明及び具体的な図示を省略する。なお、添付の図面において、発明の理解を助けるため、実際縮尺合わせをせずに一部の構成要素を縮小又は誇張して図示することがあり得る。
【0033】
なお、本明細書中の用語は、本発明における機能を考慮して設定された用語であり、これは、生産者の意図又は慣例によって変更することができるため、本発明では、明細書全般の内容に基づいて定義されるべきである。明細書中の同一の参照符号は、同一の構成要素を指称する。
【0034】
<第1の実施例>
以下、図2を参照して、本発明の一実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムについて説明する。図2は、本発明の一実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを説明するための油圧回路図である。
【0035】
本発明の一実施例に係るブレーキ装置用冷却システムは、油圧ポンプ11と、オイルタンク12と、クーラー13と、サービスブレーキ14とを含んで構成される。
【0036】
油圧ポンプ11とクーラー13とは、第1の油圧ラインL11で連結される。クーラー13とサービスブレーキ14とは、第2の油圧ラインL12で連結される。また、サービスブレーキ14とオイルタンク12とは、第3の油圧ラインL13で連結される。
【0037】
なお、サービスブレーキ14の前端と後端とを結ぶように第1のバイパスラインL14が連結され、第1のバイパスラインL14には、チェックバルブ15が設けられている。
【0038】
特に、第1のバイパスラインL14が、第2の油圧ラインL12で連結される地点が、クーラー13よりはサービスブレーキ14側に近く位置する。
【0039】
また、クーラー13の前端において第1の油圧ラインL11とオイルタンク12とが第2のバイパスラインL15で連結される。第2のバイパスラインL15にはリリーフバルブ16が設けられている。リリーフバルブ16は、クーラー13が収容し得る圧力で設定される。
【0040】
本発明の一実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムでは、サービスブレーキ14側でのトラブル発生によりクーリングオイルがオイルタンク12に帰還できない時、第2の油圧ラインL12内で圧力が上昇することがある。この場合、チェックバルブ15が開放され、第1のバイパスラインL14を経由してクーリングオイルの一部を排出させる。これにより、第2の油圧ラインL12内で圧力が異常上昇するのを防止することができ、さらには、異常高圧のクーラー13への影響を防止することで、クーラー13の破損を防ぐことができる。
【0041】
また、外部の環境変化で、例えば、大気の温度が下がってクーリングオイルの粘度が増加された状態であれば、クーラー13の前端で圧力が上昇されるおそれがある。この時、リリーフバルブ16が開放されることで、クーリングオイルの圧力を低下させることができ、さらには、異常高圧のクーラー13への影響を防止することで、クーラー13の破損を防ぐことができる。
【0042】
<第2の実施例>
以下、図3を参照して本発明の他の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムについて説明する。図3は、本発明の他の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを説明するための油圧回路図である。
【0043】
本発明の他の実施例に係るブレーキ装置用冷却システムは、油圧ポンプ11と、オイルタンク12と、クーラー13と、サービスブレーキ14とを含んで構成される。
【0044】
油圧ポンプ12とクーラー13とは、第1の油圧ラインL11で連結される。クーラー13とサービスブレーキ14とは、第2の油圧ラインL12で連結される。また、サービスブレーキ14とオイルタンク12とは、第3の油圧ポンプ13で連結される。
【0045】
なお、サービスブレーキ14の前端と後端とを結ぶように第1のバイパスラインL14が連結され、第1のバイパスラインL14には、チェックバルブ15が設けられている。
【0046】
特に、第1のバイパスラインL14が、第2の油圧ライン12で連結される地点が、クーラー13よりはサービスブレーキ14側に近く位置する。
【0047】
また、クーラー13の前端からクーラー13の後端に向かって第3のバイパスラインL16が連結される。第3のバイパスラインL16には、サーモスタチックバルブ17が設けられている。サーモスタチックバルブ17は、設定温度に到達すると、開放される。
【0048】
例えば、設定温度は、クーリングオイルの温度が30℃であることができる。これにより、クーリングオイルの温度が設定温度よりも高い場合は、閉状態が維持され、クーリングオイルがクーラー13を通過するようになる。クーリングオイルの温度が設定温度よりも低い場合は、サーモスタチックバルブ17が開放され、クーリングオイルは、クーラー13を迂回するようになる。従って、クーラー13の破損を防止することができる。
【0049】
なお、サーモスタチックバルブ17の前端には、温度センサ18をさらに設けることができる。温度センサ18は、クーリングオイルの温度を検出し、検出された温度値は、コントローラ20に提供される。
【0050】
他方、サーモスタチックバルブ17が、不明の理由で破損されることがあり得る。この場合、前記温度センサ18により、クーリングオイルの現在温度が許容温度範囲内であるかを判ることができる。クーリングオイルの許容温度範囲から外れて異常高温となる場合、例えば、クーリングオイルの温度が120℃以上であれば、サーモスタチックバルブ17に異常が発生したと判断する。
【0051】
すなわち、コントローラ20は、クーリングオイルの現在温度を把握し、許容温度範囲から外れた場合、計器パネル21に異常温度を表示することで、運転者にクーリングオイルの温度に異常があることを知らせる。これにより、運転者は、冷却システム系統における異常発生を認知し、措置をとることができる。
【0052】
また、コントローラ20は、クーリングオイルの現在温度を把握し、許容温度範囲から外れた場合、ブザー22により警告音を発生させて運転者の注意喚起を促し、これにより、運転者は、クーリングオイルの温度に異常があることがわかる。さらには、運転者は、冷却システム系統における異常発生を認知し、措置をとることができる。
【0053】
さらに、コントローラ20は、クーリングオイルの現在温度を把握し、許容温度範囲から外れた場合、トランスミッションコントローラ23に温度情報を提供することができる。なお、許容温度範囲から外れたとは、サービスブレーキ14に対して冷却が正常に行われない状況であることを意味する。これに対応して、トランスミッションコントローラ23は、車速を減速するように制御し、これにより、フォークリフト車両の走行を安定させることができる。
【0054】
<第3の実施例>
以下、図4を参照して、本発明のまた他の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムについて説明する。図4は、本発明のまた他の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムを説明するための油圧回路図である。
【0055】
本発明のまた他の実施例に係るブレーキ装置用冷却システムは、油圧ポンプ11と、オイルタンク12と、クーラー13と、サービスブレーキ14とを含んで構成される。
【0056】
油圧ポンプ11とクーラー13とは、第1の油圧ラインL11で連結される。クーラー13とサービスブレーキ14とは、第2の油圧ラインL12で連結される。また、サービスブレーキ14とオイルタンク12とは、第3の油圧ラインL13で連結される。
【0057】
なお、サービスブレーキ14の前端と後端とを結ぶように第1のバイパスラインL14が連結され、第1のバイパスラインL14には、チェックバルブ15が設けられている。
【0058】
特に、第1のバイパスラインL14が、第2の油圧ラインL12で連結される地点が、クーラー13よりはサービスブレーキ14側に近く位置する。
【0059】
また、クーラー13の前端からクーラー13の後端に向かって第3のバイパスラインL16が連結される。第3のバイパスラインL16には、油圧バルブ19が設けられている。油圧バルブ19は、パイロット信号に応じて開閉作動する。
【0060】
なお、油圧バルブ19の前端には、温度センサ18をさらに設けることができる。温度センサ18は、クーリングオイルの温度を検出し、検出された温度値は、コントローラ20に提供される。
【0061】
コントローラ20は、クーリングオイルの温度値に基づいてパイロット信号を生成し、そのパイロット信号を油圧バルブ19に提供する。
【0062】
例えば、設定温度は、クーリングオイルの温度が30℃であることができる。これにより、クーリングオイルの温度が設定温度よりも高い場合は、油圧バルブ19は、閉状態が維持され、クーリングオイルがクーラー13を通過するようになる。クーリングオイルの温度が設定温度よりも低い場合は、コントローラ20から油圧バルブ19が開放されるようにパイロット信号を発生させる。油圧バルブ19は、パイロット信号の入力により開放され、クーリングオイルは、クーラー13を迂回するようになる。従って、クーラー13の破損を防止することができる。
【0063】
他方、油圧バルブ19が、不明の理由で作動不能状態となることがあり得る。この場合、前記温度センサ18により、クーリングオイルの現在温度が許容温度範囲内であるかを判ることができる。クーリングオイルの許容温度範囲から外れて異常高温となる場合、例えば、クーリングオイルの温度が120℃以上であれば、油圧バルブ19が異常状態であると判断する。
【0064】
すなわち、コントローラ20は、クーリングオイルの現在温度を把握し、許容温度範囲から外れた場合、計器パネル21に異常温度を表示することで、運転者にクーリングオイルの温度に異常があることを知らせる。これにより、運転者は、冷却システム系統における異常発生を認知し、措置をとることができる。
【0065】
また、コントローラ20は、クーリングオイルの現在温度を把握し、許容温度範囲から外れた場合、ブザー22により警告音を発生させて運転者の注意喚起を促し、これにより、運転者にクーリングオイルの温度に異常が発生したことを知らせることができる。さらには、運転者は、冷却システム系統における異常発生を認知し、措置をとることができる。
【0066】
さらに、コントローラ20は、クーリングオイルの現在温度を把握し、許容温度範囲から外れた場合、トランスミッションコントローラ23に温度情報を提供することができる。なお、許容温度範囲から外れたとは、サービスブレーキ14に対して冷却が正常に行われない状況であることを意味する。これに対応して、トランスミッションコントローラ23は、車速を減速するように制御し、これにより、フォークリフト車両の走行を安定させることができる。
【0067】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明してきたが、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明が、その技術的思想や必須事項を変更しない範囲で、種々に変更して実施可能であることが理解できるだろう。
【0068】
それで、上述の実施例は例示として提示されたものであり、限定的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲により示され、特許請求範囲の意味及び範囲、並びにその等価概念から導出される全ての変更及び変形の形態が本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の実施例に係るフォークリフト車両のブレーキ装置用冷却システムは、クーリングオイルの異常圧力によるクーラーの破損を防止するために利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、11 油圧ポンプ
2、12 オイルタンク
3、13 クーラー
4、14 サービスブレーキ
5、15 チェックバルブ
16 リリーフバルブ
17 サーモスタチックバルブ
18 温度センサ
19 油圧バルブ
20 コントローラ
21 計器パネル
22 ブザー
23 トランスミッションコントローラ
L1〜L3 第1〜第3の油圧ライン
L11〜L13 第1〜第3の油圧ライン
L4 バイパスライン
L14〜L16 第1〜第3のバイパスライン
図1
図2
図3
図4