【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/無人航空機の運航管理システム及び衝突回避技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運航処理部は、前記無人航空機の前記航空機情報にしたがって当該無人航空機の飛行状況を管理することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の無人航空機運航管理装置。
前記運航処理部は、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にある場合に、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する候補となる前記離着陸施設を予約している他の前記無人航空機の飛行計画を変更することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の無人航空機運航管理装置。
前記施設決定部により決定された前記離着陸施設への着陸指示を、前記緊急着陸を求める前記無人航空機に対して送信する指示送信部を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の離着陸施設管理装置。
複数の前記離着陸施設の中から、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の飛行位置から所定範囲内の前記離着陸施設を、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する離着陸施設の候補として抽出する施設候補抽出部を更に備えることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の離着陸施設管理装置。
前記施設決定部は、前記他の無人航空機の前記航空機情報により特定される到着予定時刻に基づいて、前記離着陸施設の候補が着陸可能であるか否か判定することを特徴とする請求項11に記載の離着陸施設管理装置。
前記他の無人航空機により予約されている前記離着陸施設が前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する離着陸施設として決定された場合に、当該他の無人航空機が着陸する新たな離着陸施設を予約する処理を行う予約処理部を更に備えることを特徴とする請求項11または12に記載の離着陸施設管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、今後、無人航空機の安全かつ効率的な運航を実現するために、無人航空機用の離着陸施設を管理するシステム(以下、「ポート管理システム」という)と、無人航空機の飛行計画及び飛行位置を管理するシステム(以下、「運航管理システム」という)とを独立分離させ、例えば異なる運営主体により運用されることが想定される。このような運用は、離着陸施設が様々な場所に様々な所有者により配置されるという観点からも望ましいと考えられる。このような運用において、特に、無人航空機の飛行位置を示す位置情報は、当該無人航空機の飛行経路を特定可能な重要な情報(例えば、営業秘密などに相当する情報)である。そのため、無人航空機の飛行位置を示す位置情報は、外部(ポート管理システムを含む)へ提供されないように運航管理システム側で管理される可能性がある。
【0005】
しかしながら、無人航空機が飛行中に異常が発生した場合、できるだけ速やかに無人航空機を、ポート管理システムが管理する離着陸施設に緊急着陸させることが必要である。一方で、無人航空機の飛行位置を示す位置情報が外部へ提供されないように管理されると、異常が発生した無人航空機を速やかに離着陸施設に緊急着陸させることが困難になってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、無人航空機の少なくとも位置情報の公開を制限しつつ、異常が発生した無人航空機を速やかに離着陸施設に緊急着陸させることを可能とする無人航空機運航管理装置、離着陸施設管理装置、無人航空機運航管理方法、及び無人航空機システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、無人航空機の運航を管理する無人航空機運航管理装置であって、前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を取得する情報取得部と、少なくとも前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を、緊急時以外には外部への提供が制限される情報として管理する情報管理部と、前記無人航空機の運航管理に関する処理を行う運航処理部と、無人航空機用の離着陸施設を管理する離着陸施設管理装置から、緊急着陸を求める前記無人航空機の情報の要求を受信する要求受信部と、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にある場合に、前記離着陸施設管理装置からの前記要求に応じて、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を含む航空機情報が前記離着陸施設管理装置に提供されるように当該航空機情報の送信制御を行う送信制御部と、を備えることを特徴とする。これにより、無人航空機の少なくとも位置情報の公開を制限しつつ、異常が発生した無人航空機を速やかに離着陸施設に緊急着陸させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無人航空機運航管理装置において、前記要求受信部は、前記要求とともに前記緊急着陸を求める前記無人航空機の識別情報を受信し、前記緊急着陸を求める前記無人航空機から、警報とともに当該無人航空機の識別情報を受信する警報受信部と、前記要求受信部により受信された前記識別情報と、前記警報受信部により受信された前記識別情報とが一致する場合に、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にあると判断する判断部と、を更に備えることを特徴とする。これにより、緊急着陸を求める無人航空機が緊急状態にあると判断する上での信頼性を担保することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の無人航空機運航管理装置において、前記要求受信部は、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する候補となる前記離着陸施設を予約している他の前記無人航空機の情報の要求を受信し、前記送信制御部は、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にある場合に、前記離着陸施設管理装置からの前記要求に応じて、前記他の前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を含む航空機情報が前記離着陸施設管理装置に提供されるように当該航空機情報の送信制御を行うことを特徴とする。これにより、他の無人航空機により予約されている離着陸施設であっても、他の無人航空機の到着までに余裕があれば当該離着陸施設を、緊急着陸を求める無人航空機が緊急着陸する離着陸施設として決定することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の無人航空機運航管理装置において、前記運航処理部は、前記無人航空機の前記航空機情報にしたがって当該無人航空機の飛行状況を管理することを特徴とする。これにより、無人航空機運航管理装置は、無人航空機の航空管制を行うことができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の無人航空機運航管理装置において、前記運航処理部は、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にある場合に、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する候補となる前記離着陸施設を予約している他の前記無人航空機の飛行計画を変更することを特徴とする。これにより、緊急着陸を求める無人航空機が着陸可能な離着陸施設を当該無人航空機へ提供することができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、無人航空機用の離着陸施設を管理する離着陸施設管理装置であって、緊急着陸を求める無人航空機の情報の要求を、前記無人航空機の運航を管理する無人航空機運航管理装置へ送信する要求送信部と、前記要求に応じて提供された、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を含む航空機情報を受信する情報受信部と、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の前記航空機情報に基づいて、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する離着陸施設を決定する施設決定部と、を備えることを特徴とする。これにより、無人航空機の少なくとも位置情報の公開を制限しつつ、異常が発生した無人航空機を速やかに離着陸施設に緊急着陸させることができる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の離着陸施設管理装置において、前記施設決定部により決定された前記離着陸施設への着陸指示を、前記緊急着陸を求める前記無人航空機に対して送信する指示送信部を更に備えることを特徴とする。これにより、緊急状態になった無人航空機を緊急着陸させる離着陸施設に迅速に誘導することができる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の離着陸施設管理装置において、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にあるかを前記無人航空機運航管理装置に確認する状態確認部を更に備え、前記状態確認部により、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にあることが確認された場合に、前記要求送信部は、前記緊急着陸を求める無人航空機の情報の要求を前記無人航空機運航管理装置へ送信することを特徴とする。これにより、離着陸施設管理装置は緊急着陸を求める無人航空機の情報の要求をしたとき、直ちに無人航空機の航空機情報を得ることができる。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8の何れか一項に記載の離着陸施設管理装置において、複数の前記離着陸施設の中から、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の飛行位置から所定範囲内の前記離着陸施設を、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する離着陸施設の候補として抽出する施設候補抽出部を更に備えることを特徴とする。これにより、緊急着陸を求める無人航空機の飛行位置から、より近い離着陸施設の候補の中から、当該無人航空機が緊急着陸する離着陸施設を決定することができる。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の離着陸施設管理装置において、前記施設候補抽出部により抽出された前記離着陸施設の候補が他の無人航空機により予約されているか否かを判定する予約有無判定部を更に備え、前記予約有無判定部により予約されていないと判定された場合に、前記施設決定部は、前記離着陸施設の候補を、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する離着陸施設として決定することを特徴とする。これにより、他の無人航空機により予約されていない離着陸施設を、緊急着陸を求める無人航空機が緊急着陸する離着陸施設として決定することができる。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の離着陸施設管理装置において、前記施設候補抽出部により抽出された前記離着陸施設の候補が他の無人航空機により予約されているか否かを判定する予約有無判定部を更に備え、前記予約有無判定部により予約されていると判定された場合に、前記要求送信部は、前記他の無人航空機の情報の要求を前記無人航空機運航管理装置へ送信し、前記情報受信部は、前記要求に応じて提供された、前記他の無人航空機の飛行位置を示す位置情報を含む航空機情報を受信し、前記施設決定部は、前記他の無人航空機の前記航空機情報に基づいて当該他の無人航空機により予約されている前記離着陸施設の候補が着陸可能であるか否かを判定し、前記離着陸施設の候補が着陸可能であると判定した場合に、該離着陸施設の候補を、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する離着陸施設として決定することを特徴とする。これにより、他の無人航空機により予約されている離着陸施設であっても、当該離着陸施設を、緊急着陸を求める無人航空機が緊急着陸する離着陸施設として決定することができる。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の離着陸施設管理装置において、前記施設決定部は、前記他の無人航空機の前記航空機情報により特定される到着予定時刻に基づいて、前記離着陸施設の候補が着陸可能であるか否か判定することを特徴とする。これにより、他の無人航空機により予約されている離着陸施設であっても、他の無人航空機の到着までに余裕があれば当該離着陸施設を、緊急着陸を求める無人航空機が緊急着陸する離着陸施設として決定することができる。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の離着陸施設管理装置において、前記他の無人航空機により予約されている前記離着陸施設が前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する離着陸施設として決定された場合に、当該他の無人航空機が着陸する新たな離着陸施設を予約する処理を行う予約処理部を更に備えることを特徴とする。これにより、他の無人航空機のオペレータに新たな離着陸施設を予約させることなく自動的に新たな離着陸施設を予約することができる。
【0020】
請求項14に記載の発明は、無人航空機の運航を管理する無人航空機運航管理装置と、無人航空機用の離着陸施設を管理する離着陸施設管理装置とを備える無人航空機システムであって、前記無人航空機運航管理装置は、前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を取得する情報取得部と、少なくとも前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を、緊急時以外には外部への提供が制限される情報として管理する情報管理部と、を備え、前記無人航空機は、異常を検出した場合に前記離着陸施設管理装置に対して緊急着陸を求める着陸要請部を備え、前記離着陸施設管理装置は、前記緊急着陸を求める無人航空機の情報の要求を前記無人航空機運航管理装置へ送信する要求送信部を備え、前記無人航空機運航管理装置は、前記離着陸施設管理装置から、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の情報の要求を受信する要求受信部と、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にある場合に、前記離着陸施設管理装置からの前記要求に応じて、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を含む航空機情報が前記離着陸施設管理装置に提供されるように当該航空機情報の送信制御を行う送信制御部と、を更に備え、前記離着陸施設管理装置は、前記要求に応じて提供された、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の前記航空機情報を受信する情報受信部と、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の前記航空機情報に基づいて、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急着陸する離着陸施設を決定する施設決定部と、前記施設決定部により決定された前記離着陸施設への着陸指示を、前記緊急着陸を求める前記無人航空機に対して送信する指示送信部と、を更に備えることを特徴とすることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、無人航空機の運航を管理する無人航空機運航管理装置であって、前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を取得する情報取得部と、少なくとも前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を、緊急時以外には外部への提供が制限される情報として管理する情報管理部と、無人航空機用の離着陸施設を管理する離着陸施設管理装置から、緊急着陸を求める前記無人航空機の情報の要求を受信する要求受信部と、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にある場合に、前記離着陸施設管理装置からの前記要求に応じて、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を含む航空機情報が前記離着陸施設管理装置に提供されるように当該航空機情報の送信制御を行う送信制御部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、無人航空機の運航を管理するコンピュータにより実行される無人航空機運航管理方法であって、前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を取得するステップと、少なくとも前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を、緊急時以外には外部への提供が制限される情報として管理するステップと、無人航空機用の離着陸施設を管理する離着陸施設管理装置から、緊急着陸を求める前記無人航空機の情報の要求を受信するステップと、前記緊急着陸を求める前記無人航空機が緊急状態にある場合に、前記離着陸施設管理装置からの前記要求に応じて、前記緊急着陸を求める前記無人航空機の飛行位置を示す位置情報を含む航空機情報が前記離着陸施設管理装置に提供されるように当該航空機情報の送信制御を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、無人航空機の少なくとも位置情報の公開を制限しつつ、異常が発生した無人航空機を速やかに離着陸施設に緊急着陸させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る無人航空機システムの実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、無人航空機運航管理装置を運航管理システムに適用し、離着陸施設管理装置をポート管理システムに適用した場合の実施形態である。
【0026】
[
1.無人航空機システムSの構成及び機能概要]
先ず、
図1を参照して本実施形態に係る無人航空機システムSの構成及び機能概要について説明する。
図1は、無人航空機システムSの概要構成例を示す図である。
図1に示すように、無人航空機システムSは、複数の無人航空機(以下、「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」と称する)1、無人航空システムオペレータ(以下、「UASO(Unmanned Aircraft Systems Operator)」と称する)2、運航管理システム(以下、「UTMS(UAV Traffic Management System)」と称する)3、及びポート管理システム(以下、「PMS(Port Management System)」と称する)4を含んで構成される。UAV1、UASO2、UTMS3、及びPMS4は、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能になっている。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。
【0027】
UAV1は、大気中を遠隔操作より飛行または自律的に飛行することが可能になっている。UAV1は、ドローン、またはマルチコプタとも呼ばれる。UASO2は、UAV1を管理し地上から遠隔操作可能なGCS(Ground Control Station)のオペレータである。GCSは、アプリケーションとして通信ネットワークNWに接続可能な操縦端末に搭載される。この場合、オペレータは、操縦端末が備えるコントローラ、または操縦端末を使用するユーザである。或いは、GCSは、サーバ等によりシステム化されてもよい。この場合、オペレータは、サーバが備えるコントローラ、またはシステム管理者である。なお、
図1の例では、UAV1及びUASO2をそれぞれ1つずつ示しているが、以下の説明において、複数のUAV1(1a,1b・・・)、及び複数のUASO2(2a,2b・・・)を想定する場合もある。1つのUASO2が1つのUAV1を管理(つまり、1対1で対応)してもよいし、1つのUASO2が複数のUAV1を管理(つまり、1対Nで対応)してもよい。
【0028】
UTMS3は、1または複数のサーバ等により構成される。UTMS3は、UAV1の運航を管理する。UAV1の運航管理には、UAV1の飛行前の運航計画の管理、及び飛行中のUAV1の飛行状況の管理が含まれる。ここで、UAV1の飛行前の運航計画とは、UAV1が飛行する予定経路等を含む飛行計画である。飛行計画には、予定経路上における各地点の通過予定時刻、及び着陸予定時刻が含まれてもよい。UAV1の飛行計画は、例えば当該UAV1を管理するUASO2により作成されてUTMS3へ申請(以下、「飛行計画申請」と称する)される。また、飛行中のUAV1の飛行状況の管理は、UAV1の航空機情報に基づいて行われる。UAV1の航空機情報には、少なくともUAV1の位置情報が含まれる。UAV1の位置情報は、UAV1の現在位置(例えば、緯度、経度、及び高度)を示す。UAV1の現在位置とは、飛行中のUAV1の飛行位置である。ここで、UAV1の航空機情報には、UAV1の速度情報、及びUAV1のステータス情報等が含まれてもよい。UAV1の速度情報は、UAV1の飛行速度を示す。UAV1のステータス情報は、例えば、UAV1が緊急状態にあるか否かを示す。緊急状態とは、例えばUAV1に異常が発生したことで正常な飛行を維持することが困難な状態をいう。UAV1の航空機情報は、UAV1の緊急時以外には外部(PMS4を含む)への提供が制限される情報として管理される。UAV1の緊急時とは、UAV1が緊急状態にある時間をいう。つまり、緊急状態が継続すれば、その継続している時間内は緊急時ということになる。逆に、UAV1の緊急時以外(以下、「通常時」と称する)とは、UAV1が正常な飛行を維持することが可能な状態(正常状態)にある時間をいう。
【0029】
PMS4は、1または複数のサーバ等により構成される。PMS4は、UTMS3とは独立分離し、例えば、UTMS3とは異なる運営主体により運用される。PMS4は、UAV用の離着陸施設(以下、「ポート」と称する)を管理する。ポートの管理は、ポートの位置情報及びポートの予約情報等を基づいて行われる。ここで、ポートの位置情報は、ポートの設置位置を示す。ポートの予約情報には、ポートを予約(着陸予約)したUAV1の機体ID、UAV1を管理するUASO2のオペレータID、及び予約日時等が含まれる。UAV1の機体IDは、UAV1を識別する識別情報である。UASO2のオペレータIDは、UASO2を識別する識別情報である。UAV1により使用されるポートの予約は、例えば当該UAV1を管理するUASO2によりPMS4へ要求される。なお、1つのPMS4が1つのポートを管理(つまり、1対1で対応)してもよいし、1つのPMS4が複数のポートを管理(つまり、1対Nで対応)してもよい。1つのPMS4が1つのポートを管理する場合、PMS4とポートとのセット(組合せ)が複数設けられる。或いは、複数のPMS4が存在してもよい。この場合、複数のPMS4が1または複数のポートを管理する。
【0030】
[
1−1.UAV1の構成及び機能概要]
次に、
図2を参照してUAV1の構成及び機能概要について説明する。
図2は、UAV1の概要構成例を示す図である。
図2に示すように、UAV1は、駆動部11、測位部12、無線通信部13、撮像部14、及び制御部15等を備える。なお、図示しないが、UAV1は、水平回転翼であるロータ(プロペラ)、各種センサ、及びUAV1の各部へ電力を供給するバッテリ等を備える。UAV1の飛行制御に用いられる各種センサには、気圧センサ、3軸加速度センサ、及び地磁気センサ等が含まれる。各種センサにより検出された検出情報は、制御部15へ出力される。気圧センサにより検出された検出情報は、UAV1の飛行速度の算出に用いられる。
【0031】
駆動部11は、モータ及び回転軸等を備える。駆動部11は、制御部15から出力された制御信号に従って駆動するモータ及び回転軸等により複数のロータを回転させる。測位部12は、電波受信機及び高度センサ等を備える。測位部12は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星から発信された電波を電波受信機により受信し、当該電波に基づいてUAV1の水平方向の現在位置(緯度及び経度)を検出する。なお、UAV1の水平方向の現在位置は、撮像部14により撮像された画像や上記無線基地局から発信された電波に基づいて補正されてもよい。
【0032】
さらに、測位部12は、高度センサによりUAV1の垂直方向の現在位置(高度)を検出してもよい。測位部12により検出された現在位置を示す位置情報は、制御部15へ出力される。なお、UAV1の位置情報は、UAV1の水平方向の現在位置(緯度及び経度)を示す位置情報(つまり、2次元的な位置情報)であっても本実施形態で適用可能である。無線通信部13は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。撮像部14は、カメラ等を備える。撮像部14は、カメラの画角に収まる範囲(UAV1の周囲)内の実空間を連続的に撮像する。撮像部14により撮像された画像情報は、制御部15へ出力される。
【0033】
制御部15は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び不揮発性メモリ等を備える。なお、制御部15は、着陸要請部の機能を有する。制御部15は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶された制御プログラム(プログラムコード群)に従ってUAV1の各種制御を実行する。各種制御には、離陸制御、飛行制御、及び着陸制御が含まれる。
【0034】
飛行制御及び着陸制御においては、測位部12から取得された位置情報、撮像部14から取得された画像情報、各種センサから取得された検出情報、及び予め登録された飛行計画を示す飛行計画情報が用いられて、ロータの回転数の制御、UAV1の位置、姿勢及び進行方向の制御が行われる。これにより、UAV1は、出発地からポートまでを自律的に飛行することができる。なお、制御部15は、UASO2からの指示信号に従って飛行制御を行うこともできる。そして、UAV1の飛行中、制御部15は、UAV1の機体IDとともに、UAV1の航空機情報を無線通信部23を介してUTMS3へ定期的に送信する。このとき、UAV1を管理するUASO2のオペレータIDがUTMS3に送信されてもよい。なお、UAV1の機体ID及び航空機情報は、UAV1からUASO2(GCS)を介してUTMS3へ送信されてもよい。
【0035】
また、制御部15は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶された自己診断プログラムに従って、UAV1の異常を検出するための自己診断を実行する。この自己診断はUAV1の飛行中に繰り返し実行されるとよい。異常の内容は特に限定されるものではないが、例えば駆動系や電力供給系などの異常が挙げられる。制御部15は、自己診断により異常を検出した場合に、異常が発生したUAV1の機体IDとともに、緊急着陸を求める着陸要請をPMS4に対して送信する。なお、着陸申請は、UAV1からUASO2(GCS)を介してPMS4へ送信されてもよい。
【0036】
また、制御部15は、自己診断により異常を検出した場合に、異常が発生したUAV1の機体IDとともに、警報をUTMS3に対して送信してもよい。なお、警報は、UAV1からUASO2(GCS)を介してUTMS3へ送信されてもよい。また、異常であっても、正常な飛行を維持することが可能である場合、着陸要請及び警報が送信されなくてもよい。そして、制御部15は、上記着陸要請に応じてPMS4から特定のポートへの着陸指示を受信した場合に、当該ポートへ緊急着陸するための制御を行う。なお、着陸指示は、PMS4からUASO2(GCS)を介してUAV1へ送信されてもよい。
【0037】
[
1−2.UTMS3の構成及び機能概要]
次に、
図3及び
図4を参照してUTMS3の構成及び機能概要について説明する。
図3は、UTMS3の概要構成例を示す図である。
図3に示すように、UTMS3は、通信部31、記憶部32、情報処理部33等を備える。通信部31は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ等を備える。記憶部32は、複数のUAV1毎に、UAV1の機体IDと、UAV1の飛行計画を示す飛行計画情報とを対応付けて記憶する。なお、UAV1を管理するUASO2のオペレータIDがUAV1の飛行計画情報に対応付けられて記憶されてもよい。また、記憶部32は、複数のUAV1毎に、UAV1の機体IDと、UAV1の航空機情報とを対応付けて記憶する。なお、UAV1を管理するUASO2のオペレータIDがUAV1の航空機情報に対応付けられて記憶されてもよい。
【0038】
情報処理部33は、プロセッサであるCPU、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ等を備える。
図4は、情報処理部33における機能ブロック例を示す図である。情報処理部33は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、
図4に示すように、情報取得部33a、情報管理部33b、運航処理部33c、情報要求受信部33d、警報受信部33e、緊急性判断部33f、及び送信制御部33gとして機能する。
【0039】
情報取得部33aは、UAV1の機体ID及び航空機情報を、UAV1またはUASO2から定期的に取得する。なお、情報取得部33aは、UAV1の機体ID及び航空機情報に加えて、UAV1を管理するUASO2のオペレータIDを取得してもよい。また、情報取得部33aは、UAV1の機体ID及び飛行計画情報を、例えば、UAV1を管理するUASO2からの飛行計画申請の際に取得する。
【0040】
情報管理部33bは、記憶部32を利用して、複数のUAV1毎に、UAV1の機体IDと、UAV1を管理するUASO2のオペレータIDと、UAV1の飛行計画情報と、UAV1の航空機情報とを対応付けて管理する。これらの情報のうち、特に、情報取得部33aにより取得された、UAV1の航空機情報(少なくともUAV1の位置情報)は、UAV1の緊急時以外には外部への提供が制限される機密情報として管理される。このため、UAV1の航空機情報は、UAV1の通常時にはPMS4等へは提供されない。
【0041】
運航処理部33cは、複数のUAV1の運航管理に関する処理(他の機器を制御することも含む)を行う。例えば、運航処理部33cは、UASO2から飛行計画申請があった場合に、その飛行計画情報が示す飛行計画が予め定められた基準を満たすか否かを判断し、当該飛行計画が当該基準を満たす場合に、当該飛行計画を承認する。また、運航処理部33cは、情報管理部33bにより取得された、UAV1の航空機情報にしたがってUAV1の飛行状況を管理し、UAV1に対して情報及び指示を与えるなどの航空管制を行う。UAV1に対して与えられる情報の例として、安全な飛行経路の情報、飛行可能エリアの情報などが挙げられる。なお、運航処理部33cは、緊急着陸を求めるUAV1が緊急状態にある場合に、当該緊急着陸を求めるUAV1が緊急着陸する候補となるポートを予約している他のUAV1の飛行計画を変更してもよい。他のUAV1の飛行計画を変更することで、緊急着陸を求めるUAV1が着陸可能なポートを当該UAV1へ提供することができる。飛行計画の変更の例として、予定経路の変更、及び着陸予定時刻の変更等が挙げられる。予定経路の変更の場合、例えば、他のUAV1が予約しているポートを変更させる変更指示がUTMS3からPMS4へ送信され、その後、PMS4により変更されたポートの位置情報がPMS4から他のUAV1またはこれを管理するUASO2へ送信される。一方、着陸予定時刻の変更の場合、例えば、他のUAV1の着陸を待機(ホバリング等によって待機)させる待機指示がUTMS3からPMS4を介して他のUAV1またはこれを管理するUASO2へ送信される。かかる飛行計画の変更は、緊急着陸を求めるUAV1が着陸可能なポートがPMS4によって発見できなかった場合に行われてもよい。
【0042】
情報要求受信部33dは、緊急着陸を求めるUAV1の機体IDとともに、緊急着陸を求めるUAV1の情報(特に、位置情報)の要求(以下、「情報要求」と称する)をPMS4から受信する。なお、情報要求受信部33dは、緊急着陸を求めるUAV1が緊急着陸する候補となるポートを予約している他のUAV1の情報要求をPMS4から受信する場合もある。この場合、当該情報要求とともに他のUAV1の機体IDも受信される。警報受信部33eは、緊急着陸を求めるUAV1の機体IDとともに、警報をUAV1またはUASO2から受信する。
【0043】
緊急性判断部33fは、情報要求受信部33dにより受信された情報要求に応じて、緊急着陸を求めるUAV1が緊急状態にあるか否かを判断(言い換えれば、緊急性の有無を判断)する。例えば、緊急性判断部33fは、情報要求受信部33dにより受信された機体IDと、警報受信部33eにより受信された機体IDとが一致する場合に、緊急着陸を求めるUAV1が緊急状態にあると判断する。なお、UAV1が緊急状態にあるか否かの判断は、UTMS3以外のシステムで行われてもよい。
【0044】
送信制御部33gは、緊急着陸を求めるUAV1が緊急状態にある場合(例えば、緊急性判断部33fによりUAV1が緊急状態にあると判断された場合)に、PMS4からの情報要求に応じて、緊急着陸を求めるUAV1の航空機情報(少なくともUAV1の位置情報を含む)がPMS4に提供されるように当該航空機情報の送信制御を行う。UAV1の航空機情報の送信制御により、UTMS3が当該航空機情報をPMS4へ送信するか、或いは、UTMS3がUAV1またはUASO2に指示することで当該航空機情報をPMS4へ送信させることになる。
【0045】
[
1−3.PMS4の構成及び機能概要]
次に、
図5及び
図6を参照してPMS4の構成及び機能概要について説明する。
図5は、PMS4の概要構成例を示す図である。
図5に示すように、PMS4は、通信部41、記憶部42、情報処理部43等を備える。通信部41は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部42は、例えば、ハードディスクドライブ等を備える。記憶部42は、複数のポート毎に、ポートのポートIDと、ポートの位置情報と、ポートの予約情報とを対応付けて記憶する。ポートのポートIDは、ポートを識別する識別情報である。
【0046】
情報処理部43は、プロセッサであるCPU、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ等を備える。
図6は、情報処理部43における機能ブロック例を示す図である。情報処理部43は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、
図6に示すように、着陸要請受信部43a、情報要求送信部43b、情報受信部43c、ポート候補抽出部(施設候補抽出部)43d、予約有無判定部43e、ポート決定部(施設決定部)43f、指示送信部43g、及び予約処理部43hとして機能する。なお、情報要求送信部43bは、状態確認部の機能を有してもよい。
【0047】
着陸要請受信部43aは、緊急着陸を求めるUAV1の機体IDとともに、着陸要請をUAV1またはUASO2から受信する。情報要求送信部43bは、着陸要請受信部43aにより受信された着陸要請に応じて、緊急着陸を求めるUAV1の機体IDとともに、緊急着陸を求めるUAV1の情報要求をUTMS3へ送信する。なお、情報要求送信部43bは、緊急着陸を求めるUAV1が緊急状態にあるか否かをUTMS3に確認(言い換えれば、緊急性の有無を確認)し、緊急状態にあることが確認された場合に、緊急着陸を求めるUAV1の情報要求をUTMS3へ送信してもよい。
【0048】
情報受信部43cは、UTMS3への情報要求に応じて提供された、緊急着陸を求めるUAV1の航空機情報を受信する。ポート候補抽出部43dは、PMS4により管理される複数のポートの中から、緊急着陸を求めるUAV1の現在位置から所定範囲内(例えば、当該現在位置から周囲xxxm以内)のポートを、UAV1が緊急着陸するポートの候補として抽出する。予約有無判定部43eは、ポート候補抽出部43dにより抽出されたポートの候補が他のUAV1により予約されているか否か(つまり、予約状況)を当該ポートの予約情報に基づいて判定する。
【0049】
ポート決定部43fは、情報受信部43cにより受信された航空機情報に基づいて、緊急着陸を求めるUAV1が緊急着陸するポートを決定する。例えば、ポート決定部43fは、ポート候補抽出部43dにより抽出されたポートの候補の中から緊急着陸を求めるUAV1の現在位置から相対的に近いポート(望ましくは、最も近いポート)を、UAV1が緊急着陸するポートとして決定する。このとき、ポート決定部43fは、予約有無判定部43eにより判定された予約状況に基づいて、緊急着陸を求めるUAV1が緊急着陸するポートとして決定する。例えば、ポート決定部43fは、緊急着陸を求めるUAV1の航空機情報により特定される到着予定時刻の前後の所定時間内に他のUAV1により予約されていない(つまり、当該所定時間内に予約日時が含まれない)と判定されたポートの候補を、緊急着陸を求めるUAV1が緊急着陸するポートとして決定する。なお、到着予定時刻は、UAV1の現在位置からポートの設置位置までの距離と、UAV1の飛行速度とから算出される。
【0050】
ただし、他のUAV1によるポートの予約日時よりも到着が早すぎる場合や遅すぎる場合も想定されるので、当該他のUAV1の航空機情報をも考慮することが望ましい。すなわち、予約有無判定部43eによりポートの候補が予約されていると判定された場合に、情報要求送信部43bは、当該ポートを予約している他のUAV1の機体IDとともに、当該他のUAV1の情報要求をUTMS3へ送信する。情報受信部43cは、当該情報要求に応じて提供された、当該他のUAV1の航空機情報を受信する。そして、ポート決定部43fは、上記他のUAV1の航空機情報に基づいて、当該他のUAV1により予約されているポートの候補が着陸可能であるか否かを判定する。ポート決定部43fは、当該ポートの候補が着陸可能であると判定した場合に、当該ポートの候補を、緊急着陸を求めるUAV1が緊急着陸するポートとして決定する。
【0051】
ここで、ポートの候補が着陸可能であるか否か判定は、上記他のUAV1の航空機情報により特定される到着予定時刻に基づいて行われるとよい。例えば、現在時刻から上記他のUAV1の到着予定時刻までの時間が閾値以上である(つまり、当該他のUAV1の到着までに余裕がある)場合、当該他のUAV1により予約されているポートの候補が着陸可能であると判定される。或いは、緊急着陸を求めるUAV1の到着予定時刻の前後の所定時間内に、上記他のUAV1の到着予定時刻が含まれない場合、当該他のUAV1により予約されているポートの候補が着陸可能であると判定されてもよい。或いは、UTMS3(運航処理部33c)により上記他のUAV1の飛行計画が変更された場合、当該他のUAV1により予約されているポートの候補が着陸可能であると判定されてもよい。
【0052】
指示送信部43gは、ポート決定部43fにより決定されたポートへの着陸指示を、緊急着陸を求めるUAV1に対して送信する。なお、着陸指示は、PMS4からUASO2(GCS)を介してUAV1へ送信されてもよい。
【0053】
予約処理部43hは、ポートの予約要求に応じて、当該予約要求に係る予約日時にUAV1が着陸するポートを予約する処理を行う。なお、この予約要求は、例えばUAV1を管理するUASO2から受信される。また、予約処理部43hは、上記他のUAV1により予約されているポートの候補が緊急着陸を求めるUAV1により緊急着陸されるポートとして決定された場合に、当該他のUAV1の予約日時に当該他のUAV1が着陸する新たなポートを予約する処理を行う。
【0054】
[
2.無人航空機システムSの動作]
次に、本実施形態に係る無人航空機システムSの動作について説明する。先ず、
図7を参照して、UAV1aが着陸するポートが予約されるまでにおける無人航空機システムSの動作について説明する。
図7は、UAV1aが着陸するポートが予約されるまでの無人航空機システムSの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0055】
図7において、UAV1aを管理するUASO2aは、ポート一覧要求をPMS4へ送信する(ステップS1)。ポート一覧要求は、ポート一覧情報の要求を示すメッセージである。ポート一覧情報には、例えば、PMS4により管理される複数のポートの位置情報等が含まれる。次いで、PMS4は、UASO2aからのポート一覧要求を受信すると、ポート一覧情報をUASO2aへ送信する(ステップS2)。
【0056】
次いで、UASO2aは、PMS4からのポート一覧情報を受信すると、当該ポート一覧情報から例えばユーザからの指示に従ってポートを選択し、且つ、選択されたポートの予約日時を入力する(ステップS3)。次いで、UASO2aは、UAV1aの機体ID、UASO2aのオペレータID、選択されたポートのポートID、及び入力された予約日時とともに、当該ポートの仮予約要求をPMS4へ送信する(ステップS4)。仮予約要求は、仮予約要求を示すメッセージである。
【0057】
次いで、PMS4は、UASO2aからの仮予約要求を受信すると、上記選択されたポートが予約可能であるか否かを判定する(ステップS5)。例えば、PMS4は、上記選択されたポートの予約情報を参照して、仮予約要求に係る予約日時に当該ポートが他のUAV1b等により予約されていなければ、上記選択されたポートが予約可能であると判定する。PMS4は、上記選択されたポートが予約可能でないと判定した場合(ステップS5:NO)、当該選択されたポートが予約不可であることを示す予約不可情報をUASO2aへ送信する(ステップS6)。次いで、UASO2aは、PMS4からの予約不可情報を受信すると、上記ポート一覧情報から別のポートを選択して、上記と同様に仮予約要求をPMS4へ送信する。
【0058】
一方、PMS4は、上記選択されたポートが予約可能であると判定した場合(ステップS5:YES)、当該選択されたポートを仮予約する処理を行う(ステップS7)。この処理では、ポートを仮予約したUAV1aの機体ID、UASO2aのオペレータID、及び予約日時等を含む仮予約情報が生成され、当該仮予約情報が仮予約されたポートのポートIDに対応付けられて記憶部42に記憶される。
【0059】
次いで、PMS4は、仮予約が完了したことを示す仮予約完了情報をUASO2aへ送信する(ステップS8)。次いで、UASO2aは、PMS4からの仮予約完了情報を受信すると、UAV1aの飛行計画情報とともに、飛行計画申請をUTMS3へ送信する(ステップS9)。飛行計画申請は、飛行計画申請を示すメッセージである。
【0060】
次いで、UTMS3は、UASO2aからの飛行計画申請を受信すると、その飛行計画情報が示す飛行計画が予め定められた基準を満たすか否かを判断(飛行計画審査)する(ステップS10)。次いで、UTMS3は、当該飛行計画が当該基準を満たすと判断した場合、当該飛行計画を承認(飛行計画承認)し(ステップS11)、当該飛行計画の承認を示す飛行計画承認情報をUASO2aへ送信する(ステップS12)。なお、当該飛行計画が当該基準を満たさない場合、当該飛行計画は承認されない。
【0061】
次いで、UASO2aは、UTMS3からの飛行計画承認情報を受信すると、UAV1aの機体ID、UASO2aのオペレータID、及び当該飛行計画承認情報とともに、ポートの本予約要求をPMS4へ送信する(ステップS13)。本予約要求は、本予約要求を示すメッセージである。
【0062】
次いで、PMS4は、UASO2aからの本予約要求を受信すると、ステップS7で生成された仮予約情報に基づいて仮予約されたポートを本予約する処理を行う(ステップS14)。この処理では、ポートを本予約したUAV1aの機体ID、UASO2aのオペレータID、及び予約日時等を含む予約情報が生成され、当該予約情報が本予約されたポートのポートIDに対応付けられて記憶部42に記憶される。
【0063】
次に、
図8及び
図9を参照して、飛行中に異常が発生したUAV1aが緊急着陸するまでの無人航空機システムSの動作について説明する。
図8は、異常が発生したUAV1aが緊急着陸するまでの無人航空機システムSの動作の一例を示すシーケンス図である。
図9は、異常が発生したUAV1aの現在位置から周囲xxxm以内に配置された各ポートPa〜Peの予約状況等を示す概念図である。なお、
図8及び
図9の例では、UAV1a,1b,1cが、それぞれ、既に予約しているポートに向かって飛行していることを想定する。
【0064】
図8において、飛行中のUAV1a,UAV1b,UAV1cは、それぞれ、自身の機体ID及び航空機情報をUTMS3へ定期的に送信(Telemetry送出)する。UAV1aは、異常を検出すると、UAV1aの機体IDとともに、緊急着陸を求める着陸要請をPMS4へ送信する(ステップS21)。着陸要請は、着陸要請を示すメッセージである。
【0065】
次いで、UAV1aは、UAV1aの機体IDとともに、警報をUTMS3へ送信する(ステップS22)。警報は、警報を示すメッセージである。なお、UAV1aは、着陸要請をPMS4へ送信する前に警報をUTMS3へ送信してもよい。
【0066】
次いで、PMS4は、緊急着陸を求めるUAV1aからの機体ID及び着陸要請を受信すると、UAV1aの機体IDとともに、UAV1aの情報要求をUTMS3へ送信する(ステップS23)。情報要求は、情報要求を示すメッセージである。なお、PMS4は、緊急着陸を求めるUAV1aが緊急状態にあるか否かをUTMS3に確認し、緊急状態にあることが確認された場合に、緊急着陸を求めるUAV1aの情報要求をUTMS3へ送信してもよい。
【0067】
次いで、UTMS3は、UAV1aからの機体ID及び警報を受信し、且つ、PMS4からの機体ID及びUAV1aの情報要求を受信すると、UAV1aが緊急状態にあるか否かを判断する(ステップS24)。例えば、UTMS3は、警報とともに受信された機体IDと、情報要求とともに受信された機体IDとが一致する場合に、緊急着陸を求めるUAV1が緊急状態にあると判断する。これにより、緊急着陸を求めるUAV1aが緊急状態にあると判断する上での信頼性を担保することができる。
【0068】
そして、UTMS3は、UAV1aが緊急状態にあると判断(緊急性有と判断)した場合(ステップS24:YES)、UAV1aの航空機情報をPMS4へ送信する(ステップS25)。なお、例えばUAV1aにバッテリ異常が発生したような場合、UAV1aの航空機情報には、バッテリ残量からUAV1aが到達可能な距離を示す距離情報が含まれてもよい。一方、UTMS3は、UAV1aが緊急状態にないと判断した場合(ステップS24:NO)、UAV1aの情報提供を拒否することを示す拒否情報をPMS4へ送信する(ステップS26)。PMS4は、UTMS3からの拒否情報を受信すると、緊急着陸を拒否することを示す拒否情報をUAV1aへ送信してもよい。
【0069】
なお、ステップS24において、UTMS3は、情報要求とともに受信された機体IDが、飛行計画情報に対応付けられて記憶部32に記憶されている場合に、緊急着陸を求めるUAV1aが緊急状態にあると判断してもよい。言い換えれば、情報要求とともに受信された機体IDが、飛行計画が承認されたUAV1aの機体IDである場合にUAV1aが緊急状態にあると判断される。この場合、UAV1aは、ステップS22において、UAV1aの機体IDとともに警報をUTMS3へ送信しなくてもよい。
【0070】
次いで、PMS4は、UTMS3からのUAV1aの航空機情報を受信すると、複数のポートの中でUAV1aの現在位置から周囲xxxm以内のポートを、UAV1aが緊急着陸するポートの候補として抽出する(ステップS27)。これにより、緊急着陸を求めるUAV1aの現在位置から見てより近いポートの候補の中から、UAV1aが緊急着陸するポートを決定することが可能となる。例えば、
図9に示すポートPa〜Peが、UAV1aが緊急着陸するポートの候補として抽出される。なお、UAV1aの航空機情報に、UAV1aが到達可能な距離を示す距離情報が含まれる場合、PMS4は、複数のポートの中でUAV1aの現在位置から当該距離情報が示す距離以内のポートを、UAV1aが緊急着陸するポートの候補として抽出してもよい。
【0071】
次いで、PMS4は、ステップS27で抽出されたポートの候補が他のUAV1により予約されているか否かを当該ポートの予約情報に基づいて判定する(ステップS28)。この判定は、例えば、UAV1aの現在位置から近いポートの順に行われる。そして、PMS4は、上記ポートの候補が他のUAV1により予約されていないと判定した場合(ステップS28:NO)、ステップS32へ進む。一方、PMS4は、上記ポートの候補が他のUAV1により予約されていると判定した場合(ステップS28:YES)、ステップS29へ進む。
【0072】
ここで、
図9の例において、ポートPaは、UAV1aの現在位置から最も近いが、UAV1dによる予約があり、既に利用中(着陸中)である。また、ポートPbは、UAV1aの現在位置から二番目に近いが、UAV1bによる予約があり、UAV1bの到着までに余裕がない(到着間際)状態である。また、ポートPcは、UAV1aの現在位置から三番目に近く、UAV1cによる予約があるが、UAV1cの到着までに余裕がある状態である。なお、UAV1aの現在位置から四番目、五番目に近いポートPd,Peは予約がない状態である。
【0073】
ステップS29では、PMS4は、上記ポートの候補を予約している他のUAV1の機体IDとともに、当該他のUAV1の情報要求をUTMS3へ送信する。次いで、UTMS3は、PMS4からの機体ID及び他のUAV1の情報要求を受信すると、当該他のUAV1の航空機情報をPMS4へ送信する(ステップS30)。
【0074】
次いで、PMS4は、UTMS3からの他のUAV1の航空機情報を受信すると、当該他のUAV1の航空機情報により特定される到着予定時刻に基づいて、当該他のUAV1により予約されているポートの候補が着陸可能であるか否かを判定する(ステップS31)。これにより、他のUAV1により予約されているポートであっても、当該ポートを、緊急着陸を求めるUAV1aが緊急着陸するポートとして決定することが可能となる。
【0075】
そして、PMS4は、他のUAV1により予約されているポートの候補が着陸可能でないと判定した場合(ステップS31:NO)、ステップS28へ戻り、ステップS27で抽出されたポートの候補のうち他のポートの候補についてステップS28以降の処理を行う。一方、PMS4は、他のUAV1により予約されているポートの候補が着陸可能であると判定した場合(ステップS31:YES)、ステップS32へ進む。
【0076】
ステップS32では、PMS4は、ステップS28で予約されていないと判定されたポートの候補、またはステップS31で着陸可能であると判定されたポートの候補を、緊急着陸を求めるUAV1aが緊急着陸するポートとして決定する。そして、PMS4は、ステップS32で決定したポートをUAV1aの到着予定時刻にUAV1aが緊急着陸するポートとして予約する処理を行う(ステップS33)。つまり、決定されたポートが緊急着陸用として予約される。この処理では、ステップS32で決定されたポートに緊急着陸するUAV1aの機体ID、UASO2aのオペレータID、及び到着予定日時等を含む予約情報が生成され、当該予約情報が上記決定されたポートのポートIDに対応付けられて記憶部42に記憶される。なお、PMS4は、ステップS33の後、緊急着陸を求めるUAV1aの当初予定のポートの予約(異常発生前の予約)を解除(取り消し)する。これにより、UAV1aについてのポートの予約情報は削除される。
【0077】
図9の例では、他のUAV1cの到着までに余裕があるポートPcが、UAV1aよりに緊急着陸されるポートとして決定されることになる。このように、他のUAV1cにより予約されているポートがUAV1aにより緊急着陸されるポートとして決定された場合において、UAV1aの到着予定時刻の前後の所定時間内に、他のUAV1cの予約日時が含まれる場合が想定される。この場合、PMS4は、UAV1aよりに緊急着陸されるポートPcを予約している他のUAV1cの予約日時に当該他のUAV1cが着陸する新たなポートを予約する処理を行う。この処理では、例えば、
図9において、PMS4により管理される複数のポートの中で、他のUAV1cにより予約されているポートPcに代えて、当該ポートPcに最も近く、且つ予約がないポートPdが、他のUAV1cにより着陸される新たなポートとして予約される。これにより、他のUAV1のUASO2に新たなポートを予約させることなく自動的に新たなポートを予約することができる。
【0078】
次いで、PMS4は、ステップS32で決定されたポートへの着陸指示を、緊急着陸を求めるUAV1aへ送信する(ステップS34)。着陸指示は、着陸指示を示すメッセージである。着陸指示には、ステップS32で決定されたポートの位置情報が含まれる。これにより、UAV1aは、着陸指示されたポートまで飛行し、当該ポートに緊急着陸する。なお、緊急着陸を求めるUAV1aが、不時着等により上記ポートに緊急着陸できない場合、PMS4は、ステップS33で行った予約を解除(つまり、予約情報を削除)してもよい。緊急着陸できないことを示す情報は、UAV1aまたはUASO2aからPMS4へ送信されてもよいし、UTMS3からPMS4へ送信されてもよい。
【0079】
次に、
図10を参照して、
図8におけるPMS4の処理の具体例について説明する。
図10は、
図8におけるPMS4の処理の具体例を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、緊急着陸を求めるUAV1aから機体ID及び着陸要請を受信した場合に開始される。
【0080】
図10に示す処理が開始されると、PMS4は、緊急着陸を求めるUAV1aの緊急性の有無をUTMS3に確認する(ステップS101)。例えば、PMS4は、UAV1aの機体IDとともに、緊急性の有無の確認要求をUTMS3へ送信し、UTMS3から緊急性の有無を示す応答を受信する。このように、PMS4は、情報要求に先立ってUAV1aの緊急性の有無を確認しているので、のちにUAV1aの情報要求をしたとき、直ちにUAV1aの航空機情報を得ることができる。
【0081】
そして、PMS4は、確認の結果、UAV1aに緊急性がないと判定した場合(ステップS102:NO)、緊急着陸を拒否することを示す拒否情報をUAV1aへ送信(エラー応答)する(ステップS103)。一方、PMS4は、確認の結果、UAV1aに緊急性がある(つまり、UAV1aが緊急状態にある)と判定した場合(ステップS102:YES)、ステップS104へ進む。
【0082】
ステップS104では、PMS4は、UAV1aの機体IDとともに、UAV1aの情報要求をUTMS3へ送信することで、UTMS3からUAV1aの航空機情報を取得する。次いで、PMS4は、記憶部42に記憶された、複数のポートのそれぞれの位置情報を参照し、UAV1aの現在位置から周囲xxxm以内のポートを、UAV1aが緊急着陸するポートの候補として抽出する(ステップS105)。
【0083】
次いで、PMS4は、UAV1aが緊急着陸するポートの候補が存在するか否かを判定する(ステップS106)。そして、PMS4は、UAV1aが緊急着陸するポートの候補が存在しないと判定した場合(ステップS106:NO)、緊急着陸を拒否することを示す拒否情報をUAV1aへ送信(エラー応答)する(ステップS107)。一方、PMS4は、UAV1aが緊急着陸するポートの候補が存在すると判定した場合(ステップS106:YES)、ステップS108へ進む。
【0084】
ステップS108では、PMS4は、ステップS106で存在すると判定されたポートの候補の中から、UAV1aの現在位置から最も近いポートを選定する。例えば、PMS4は、UAV1aの現在位置からポートの設置位置までの距離を算出し、算出された距離が最も短いポートを選定する。
【0085】
次いで、PMS4は、ステップS108で選定したポートの上空ステータスをチェックする(ステップS109)。次いで、PMS4は、ステップS109でチェックされたポートの上空が空いているか否かを判定する(ステップS110)。そして、PMS4は、当該ポートの候補上空に鳥などの障害物がある場合、当該ポートの上空が空いていないと判定し(ステップS110:NO)、ステップS111へ進む。一方、PMS4は、当該ポートの上空に鳥などの障害物がない場合、当該ポートの上空が空いていると判定し(ステップS110:YES)、ステップS112へ進む。
【0086】
ステップS111では、PMS4は、ステップS106で存在すると判定されたポートの候補の中から、ステップS110で上空が空いていないと判定されたポートを除外し、ステップS106に戻る。これにより除外されたポート以外のポートについてステップS106以降の処理が行われる。
【0087】
ステップS112では、PMS4は、ステップS110で上空が空いていると判定されたポートの地面ステータスをチェックする。次いで、PMS4は、ステップS112でチェックされたポートの地面が空いているか否かを判定する(ステップS113)。そして、PMS4は、当該ポートの地面に荷物や小動物などの障害物がある場合、当該ポートの地面が空いていないと判定し(ステップS113:NO)、ステップS106で存在すると判定されたポートの候補の中から、地面が空いていないと判定されたポートを除外し(ステップS111)、ステップS106に戻る。一方、PMS4は、当該ポートの地面に小動物などの障害物がない場合、当該ポートの地面が空いていると判定し(ステップS113:YES)、ステップS114へ進む。
【0088】
ステップS114では、PMS4は、ステップS113で地面が空いていると判定されたポートの予約状況をチェックする。次いで、PMS4は、ステップS113で地面が空いていると判定されたポートが他のUAV1により予約されているか否かを当該ポートの予約情報に基づいて判定する(ステップS115)。そして、PMS4は、当該ポートが他のUAV1により予約されていないと判定した場合(ステップS115:NO)、ステップS119へ進む。一方、PMS4は、当該ポートが他のUAV1により予約されていると判定した場合(ステップS115:YES)、ステップS116へ進む。
【0089】
ステップS116では、PMS4は、ステップS115で判定されたポートを予約している他のUAV1の機体IDとともに、当該他のUAV1の情報要求をUTMS3へ送信することで、UTMS3から当該他のUAV1の航空機情報を取得する。次いで、PMS4は、ステップS116で取得された航空機情報に基づいて、他のUAV1の到着予定時刻を算出する(ステップS117)。なお、到着予定時刻は、他のUAV1の現在位置から当該他のUAV1により予約されているポートの設置位置までの距離と、当該他のUAV1の飛行速度とから算出される。
【0090】
次いで、PMS4は、ステップS117で算出された到着予定時刻に基づいて、他のUAV1により予約されているポートが着陸可能であるか否かを判定する(ステップS118)。例えば、現在時刻から他のUAV1の到着予定時刻までの時間が閾値以上である場合、当該他のUAV1により予約されているポートが着陸可能であると判定される。これにより、他のUAV1により予約されているポートであっても、他のUAV1の到着までに余裕があれば当該ポートを、緊急着陸を求めるUAV1aが緊急着陸するポートとして決定することが可能となる。PMS4は、他のUAV1により予約されているポートが着陸可能でないと判定した場合(ステップS118:NO)、ステップS106で存在すると判定されたポートの候補の中から、着陸可能でないいと判定されたポートを除外し(ステップS111)、ステップS106へ戻る。一方、PMS4は、他のUAV1により予約されているポートが着陸可能であると判定した(つまり、着陸可能なポートを発見できた)場合(ステップS118:YES)、ステップS119へ進む。
【0091】
ステップS119では、PMS4は、ステップS115で予約されていないと判定されたポート、またはステップS118で着陸可能であると判定されたポートを、緊急着陸を求めるUAV1aが緊急着陸するポートとして決定する。次いで、PMS4は、ステップS119で決定したポートをUAV1aの到着予定時刻にUAV1aが緊急着陸するポートとして予約する処理を行う(ステップS120)。次いで、PMS4は、ステップS119で決定されたポートへの着陸指示を、緊急着陸を求めるUAV1aへ送信し(ステップS121)、
図10に示す処理を終了する。
【0092】
なお、ステップS106〜S118のループ処理において、最終的に着陸可能なポートを発見できなかった場合、PMS4は、ステップS107の処理を行わずに、ステップS106で存在すると判定されたポートの候補を予約している1または複数の他のUAV1の機体IDとともに、当該他のUAV1の飛行計画の変更要求をUTMS3へ送信してもよい。この場合、UTMS3は、PMS4からの飛行計画の変更要求を受信すると、UAV1が緊急着陸する候補となるポート(例えば、UAV1aの現在位置から最も近いポート)を予約している他のUAV1の飛行計画を変更する。例えば、UTMS3は、他のUAV1の予定経路における目的エリア(行き先)を変更する。次いで、UTMS3は、他のUAV1の機体ID及び変更後の目的エリアとともに、当該他のUAV1が予約しているポートを変更させる変更指示をPMS4へ送信する。次いで、PMS4は、UTMS3からの変更指示を受信すると、当該他のUAV1が予約しているポートから、上記変更後の目的エリア内の何れかのポートに変更し、当該変更されたポートの位置情報を当該他のUAV1またはこれを管理するUASO2へ送信する。これにより、他のUAV1は、変更されたポートに向かって飛行することになる。そして、PMS4は、ステップS119に移行(または、ステップS118で、他のUAV1により予約されるポートが着陸可能であると判定された後にステップS119に移行)、当該他のUAV1により予約されるポートをUAV1aが緊急着陸するポートとして決定する。これにより、緊急着陸を求めるUAV1aが着陸可能なポートを当該UAV1aへ提供することができる。
【0093】
飛行計画の変更の別の例として、UTMS3は、他のUAV1の着陸予定時刻を遅らせるように変更してもよい。この場合、UTMS3は、他のUAV1の機体ID及び着陸予定時刻とともに、当該他のUAV1の着陸を待機させる待機指示をPMS4へ送信する。次いで、PMS4は、UTMS3からの待機指示を受信すると、他のUAV1の着陸予定時刻と、緊急着陸を求めるUAV1aの到着予定時刻とに基づいて、当該他のUAV1の着陸を待機させる待機時間を設定する。この待機期間は、緊急着陸を求めるUAV1aがポートに着陸して当該ポートから退避した後に、他のUAV1が当該ポートに着陸可能となるように設定される。次いで、PMS4は、設定された待機時間とともに、他のUAV1の着陸を待機させる待機指示を、当該他のUAV1またはこれを管理するUASO2へ送信する。これにより、他のUAV1は、予約しているポートの近傍において待機時間、待機(例えば、ホバリングしながら待機)することになる。そして、PMS4は、ステップS119に移行(または、ステップS118で、他のUAV1により予約されるポートが着陸可能であると判定された後にステップS119に移行)し、他のUAV1により予約されるポートをUAV1aが緊急着陸するポートとして決定する。これにより、緊急着陸を求めるUAV1aが着陸可能なポートを当該UAV1aへ提供することができる。
【0094】
以上説明したように、上記実施形態によれば、PMS4は、緊急着陸を求めるUAV1から着陸要請を受信した場合に当該UAV1の情報要求をUTMS3へ送信し、UTMS3は、緊急着陸を求めるUAV1が緊急状態にある場合に限り、上記情報要求に応じて、当該UAV1の少なくとも位置情報をPMS4へ送信するように構成したので、UAV1の少なくとも位置情報の公開を制限しつつ、異常が発生したUAV1をPMS4が管理するポートに速やかに緊急着陸させることができる。換言すると、上記実施形態によれば、安易にUAV1の飛行経路を特定可能な重要な情報(例えば、営業秘密などに相当する情報)が外部に提供されることを防ぐことができるので情報セキュリティを担保することができることに加えて、緊急状態になったUAV1を緊急着陸させるポートに優先的に誘導することができる。
【0095】
なお、異常が発生したUAV1aが緊急着陸するポートは、UAV1aが通常時に予約しているポートとは異なるポートであることが想定される。そして、UAV1aが通常時に予約しているポートに着陸する際、UAV1aが当該ポートから発せられた無線信号(例えば、ビーコン)を受信し、受信した無線信号に含まれるポートIDと、UAV1aが予め記憶しているポートIDとを照合した上で当該ポートに着陸する場合が想定される。この場合、UAV1aが緊急着陸するポートのポートIDを上記着陸指示とともにPMS4からUAV1aへ提供するとよい。これにより、UAV1aは、上記着陸指示とともに提供されたポートIDを、予め記憶しているポートIDに代えて記憶することができる。そして、UAV1aは、緊急着陸するポートから発せられた無線信号に含まれるポートIDと、上記着陸指示とともに提供されたポートIDとを照合した上で当該ポートへ緊急着陸することができる。或いは、UAV1aが緊急着陸するポートのポートIDを上記着陸指示とともにPMS4からUAV1aへ提供せず(つまり、予め記憶しているポートIDはそのまま)、UAV1aが緊急着陸するポートから発せられる無線信号に含まれるポートIDを、UAV1aが通常時に予約していたポートのポートIDに変更してもよい。この場合、UAV1aは、緊急着陸するポートから発せられた無線信号に含まれるポートIDと、予め記憶しているポートIDとを照合した上で当該ポートへ緊急着陸することができる。
【0096】
別の例として、UAV1aが通常時に予約しているポートに着陸する際、UAV1aが当該ポート上に表示されたマーク(例えば、当該ポートに固有の記号や模様など)を撮影し画像解析により当該マークの画像を認識し、認識したマークの画像と、UAV1aが予め記憶しているマークの画像とを照合した上で当該ポートに着陸する場合が想定される。この場合、UAV1aが緊急着陸するポート上に表示されたマークの画像を上記着陸指示とともにPMS4からUAV1aへ提供するとよい。これにより、UAV1aは、上記着陸指示とともに提供されたマークの画像を、予め記憶しているマークの画像に代えて記憶することができる。そして、UAV1aは、緊急着陸するポート上に表示されたマークを撮影することで認識した当該マークの画像と、上記着陸指示とともに提供され記憶されたマークの画像とを照合した上で当該ポートへ緊急着陸することができる。或いは、UAV1aが緊急着陸するポートのマークの画像を上記着陸指示とともにPMS4からUAV1aへ提供せず(つまり、予め記憶しているマークの画像はそのまま)、UAV1aが緊急着陸するポート上に表示されたマークを、UAV1aが通常時に予約していたポート上に表示されたマークに変更してもよい。この場合、UAV1aは、緊急着陸するポート上で変更されたマークを撮影することで認識した当該マークの画像と、予め記憶しているマークの画像とを照合した上で当該ポートへ緊急着陸することができる。
【0097】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
離着陸施設管理装置4は、緊急着陸を求める無人航空機1から着陸要請を受信した場合に無人航空機1の情報要求を無人航空機運航管理装置3へ送信し、無人航空機運航管理装置3は、緊急着陸を求める無人航空機1が緊急状態にある場合に、情報要求に応じて、無人航空機1の少なくとも位置情報を離着陸施設管理装置4へ送信する。