【実施例1】
【0023】
[締固め作業状態判定装置の構成]
図1は、実施例1の締固め作業状態判定装置が適用されるコンクリート打設現場を説明する斜視図である。
図2は、実施例1の締固め作業状態判定装置の構成を説明する構成図である。
図3は、実施例1の締固め作業状態判定装置の各種設定を説明する説明図である。以下、
図1〜
図3に基づいて、実施例1の締固め作業状態判定装置の構成を説明する。
【0024】
締固め作業状態判定装置50は、
図1に示すように、鉄筋コンクリート構造物1を構築する際に適用される。
【0025】
図1及び
図2に示すように、型枠5の内側には、鉄筋6が縦横に配置される。コンクリートCは、アジテータ車等のコンクリート供給源に接続されたコンクリート供給ホース7から、型枠5の内側に供給される。型枠5の上方には、足場8が設けられる。作業員Mは、足場8に乗って、締固め装置10を操作する。
【0026】
締固め装置10は、コンクリートCの内部に挿入する振動部としてのバイブレータ11と、バイブレータ11の後端に接続される可撓性を有するケーブル12と、を備える。バイブレータ11は、ケーブル12から電源が供給されることで、振動する。
【0027】
締固め作業状態判定装置50は、締固め装置10に取り付けられたターゲット51としての第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bと、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標を検知する座標検知手段52と、を備える。
【0028】
第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bは、レーザ光に対して高反射率の性質をもつ材質で構成され、例えば、反射テープや、両面テープ等が貼り付けられた反射板や、反射塗料等を使用することができる。第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bは、バイブレータ11が打設されたコンクリートCの締固め位置にある状態で、作業員Mがケーブル12を保持する位置の下方であって、作業員Mの足場8の上方に取り付けられる。
【0029】
座標検知手段52は、例えば、レーザレーダとすることができる。座標検知手段52は、型枠5の隅角部に設けられる。
【0030】
座標検知手段52は、広角度にレーザ光を出射し、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bから反射したレーザ光を受光して、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標を高精度に検知する。座標検知手段52は、複数の締固め装置10に装着された第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標を同時に検知することができる。座標検知手段52の検知角度は、例えば、水平方向に120度であり、垂直方向に15度である。
【0031】
ところで、座標検知手段52と、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bとの距離が離れると、座標検知手段52は、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bを同一のターゲットとして認識してしまう虞がある。そのため、座標検知手段52は、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bをそれぞれ認識するような範囲に設定される。
【0032】
以下に示す表は、検知距離の最大値Gと、角度分解能(垂直方向)Φと、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの必要ターゲットサイズNとの関係を示す表である。
【表1】
【0033】
例えば、検知距離の最大値Gが5[m]で、垂直方向の角度分解能Φが1[deg]の場合、必要ターゲットサイズNは87[mm]となる。この場合、第1ターゲット51aの上端と第2ターゲット51bの下端との距離を87[mm]以上とすることで、検知距離が5[m]の際に、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bを別のターゲットとして認識することができる。言い換えると、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとが取り付けられる間隔Lを174[mm]以上とすることで、座標検知手段52は、検知距離が5[m]の際に、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bを別のターゲットとして認識することができる。
【0034】
また、検知距離の最大値Gが10[m]で、垂直方向の角度分解能Φが1[deg]の場合、必要ターゲットサイズNは175[mm]となる。この場合、第1ターゲット51aの上端と第2ターゲット51bの下端との距離を175[mm]以上とすることで、検知距離が10[m]の際に、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bを別のターゲットとして認識することができる。言い換えると、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとが取り付けられる間隔Lを350[mm]以上とすることで、座標検知手段52は、検知距離が10[m]の際に、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bを別のターゲットとして認識することができる。
【0035】
すなわち、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bが取り付けられる間隔Lは、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bと座標検知手段52との距離に応じて設定される。
【0036】
実施例1では、
図3に示すように、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bは、ケーブル12の長手方向で、所定の間隔L(例えば、31.5[cm])を空けて、ケーブル12の2カ所に取り付けられる。座標検知手段52の角度分解能Φは、例えば、水平方向に0.12[deg]とし、垂直方向に0.6[deg]とする。座標検知手段52の検知距離の最大値Gは、例えば、10[m]とする。第1ターゲット51aと第2ターゲット51bの長さNは、例えば、87[mm]とする。
【0037】
これにより、座標検知手段52は、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bを、それぞれ別のターゲットとして認識する。
【0038】
座標検知手段52は、座標検知手段52の検知範囲にある第1ターゲット51aの重心の位置座標を検知する。また、座標検知手段52は、座標検知手段52の検知範囲にある第2ターゲット51bの重心の位置座標を検知する。すなわち、座標検知手段52は、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bに対して、それぞれ1つの位置座標を検知する。
【0039】
[締固め作業状態判定装置のシステム構成]
図4は、実施例1の締固め作業状態判定装置のシステム構成を示すブロック図である。以下、
図4に基づいて、実施例1の締固め作業状態判定装置のシステム構成を説明する。
【0040】
締固め作業状態判定装置50は、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bと、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標を検知する座標検知手段52と、座標検知手段52の検知情報を取得する制御部55と、制御部55の判断に基づいて情報を表示するモニタ59と、を備える。
【0041】
座標検知手段52は、レーザ光を出射し、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bから反射したレーザ光を受光して、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの重心の三次元の位置座標を検知する。
【0042】
制御部55は、記憶部56と、記憶部56の記憶情報に基づいて、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12の姿勢を判定する姿勢判定部57と、を備える。なお、制御部55は、締固め作業状態判定装置50の全体の制御を司る。
【0043】
記憶部56は、座標検知手段52が検知した位置座標を記憶する。また、記憶部56は、姿勢判定部57が、姿勢判定処理に使用する閾値を記憶する。姿勢判定部57は、後述する姿勢判定処理を実行する。
【0044】
モニタ59は、後述する姿勢判定処理に基づいて、締固め作業状態であるか否かを表示する。
【0045】
座標検知手段52は、制御部55に接続され、座標検知手段52が検知した第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標を制御部55に送信する。制御部55は、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標を取得し、記憶部56が第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標を記憶する。記憶部56に記憶された位置座標に基づいて、姿勢判定部57は、後述する姿勢判定処理を実行する。制御部55は、モニタ59に接続され、姿勢判定部57による処理情報を、モニタ59に送信する。モニタ59は、この処理情報に基づいて、締固め作業状態であるか否かを表示する。
【0046】
[姿勢判定部による姿勢判定]
図5は、実施例1の姿勢判定部57によるケーブル12の姿勢の判定について説明する説明図である。
図6は、実施例1の第1ターゲットと第2ターゲットの位置座標を水平面上に投影した座標を示す図である。以下、
図5及び
図6に基づいて、姿勢判定部57によるケーブル12の姿勢の判定について説明する。なお、水平面をXY平面とし、垂直方向をZ方向とする。
【0047】
姿勢判定部57は、
図5に示すように、ターゲット51に関する情報である、第1ターゲット51aの重心の位置座標E1(X
1,Y
1,Z
1)と第2ターゲット51bの重心の位置座標E2(X
2,Y
2,Z
2)とに基づいて、第1ターゲット51aの重心位置と第2ターゲット51bの重心位置との間のケーブル12の姿勢を判定する。
【0048】
第1ターゲット51aの重心位置と、第2ターゲット51bの重心位置と、の間のケーブル12の姿勢は、以下の計算式によって算出される。
【数1】
傾きθは、第1ターゲット51aの重心位置と、第2ターゲット51bの重心位置との間のケーブル12の、XY平面に対する傾きを示す。
長さLは、第1ターゲット51aの重心位置と、第2ターゲット51bの重心位置との間の長さを示す。長さLは、コンクリートの打設現場によって変更可能な定数とする。すなわち、長さLは、第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bと座標検知手段52との距離に応じて設定される。
長さDは、
図6に示すように、第1ターゲット51aの重心の位置座標E1(X
1,Y
1,Z
1)をXY平面に垂直投影した第1投影点P1(X
1,Y
1)と、第2ターゲット51bの重心の位置座標E2(X
2,Y
2,Z
2)をXY平面に垂直投影した第2投影点P2(X
2,Y
2)との間の長さを示す。
【0049】
長さDは、以下の計算式によって求められる。
【数2】
【0050】
ところで、座標検知手段52は、複数の締固め装置10に取り付けられた、複数の第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標を検知する。姿勢判定部57は、座標検知手段52が検知した2カ所の三次元の座標間の距離が、長さLと同じであるか否かを判断する。姿勢判定部57は、2カ所の三次元の座標間の距離が長さLと同じであると判断した場合、同一の締固め装置10の第1ターゲット51a及び第2ターゲット51bの位置座標と認識することができる。
【0051】
傾きθが、例えば60度以上である場合、第1ターゲット51aの重心位置と、第2ターゲット51bの重心位置との間のケーブル12の垂直方向に対する傾きθ1は、30度未満となり、略Z方向と判定される。
【0052】
傾きθが、例えば60度未満である場合、第1ターゲット51aの重心位置と、第2ターゲット51bの重心位置との間のケーブル12の垂直方向に対する傾きθ1は、30度以上となり、Z方向に対して傾斜すると判定される。
【0053】
すなわち、傾きθ1が30度未満である場合、第1ターゲット51aの重心位置と、第2ターゲット51bの重心位置との間のケーブル12の姿勢は、垂直姿勢と判定される。傾きθ1が30度以上である場合、第1ターゲット51aの重心位置と、第2ターゲット51bの重心位置との間のケーブル12の姿勢は、垂直方向に対して傾斜する傾斜姿勢と判定される。
【0054】
[姿勢判定処理]
図7は、実施例1の姿勢判定処理を説明するフローチャートである。以下、
図7に基づいて、実施例1の姿勢判定処理を説明する。
【0055】
姿勢判定処理を開始すると、記憶部56は、座標検知手段52が検知した第1ターゲット51aの重心の位置座標E1(X
1,Y
1,Z
1)と第2ターゲット51bの重心の位置座標E2(X
2,Y
2,Z
2)を記憶する(ステップS101)。
【0056】
次いで、姿勢判定部57は、記憶部56に記録された重心の位置座標から、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12の傾きθ1が、所定の角度(例えば、30度)未満か否かを判定する(ステップS102)。
【0057】
第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12の傾きθ1が、所定の角度(例えば、30度)未満であると判定した場合(ステップS102でYes)、姿勢判定部57は、締固め作業状態であると判断し、モニタ59に締固め作業状態である旨を表示させ(ステップS103)、姿勢判定処理を終了する。
【0058】
一方、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの線分の傾きθ1が、所定の角度(例えば、30度)以上であると判定した場合(ステップS102でNo)、姿勢判定部57は、締固め作業状態でないと判定し、モニタ59に締固め作業状態でない旨を表示させ(ステップS104)、姿勢判定処理を終了する。
【0059】
次に、実施例1の締固め作業状態判定装置の作用を説明する。
図8は、実施例1の締固め作業状態判定装置の作用を説明する説明図である。
【0060】
締固め作業を開始すると、
図8に示すように、作業員Mは、締固めをすべきある箇所のコンクリートCにバイブレータ11を挿入するために、バイブレータ11の下端が、鉄筋6の上方に位置する状態で、ケーブル12を移動する。
【0061】
そうすると、ケーブル12に取り付けられた第1ターゲット51aと第2ターゲット51bは、作業員Mがケーブル12を保持する位置より、後方に位置する。すなわち、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bは、作業員Mがケーブル12を保持する位置より、バイブレータ11が設けられた側とは反対側であるケーブル12の基端側に位置する。作業員Mがケーブル12を保持する位置より、後方に位置するケーブル12は撓む。
【0062】
そのため、バイブレータ11が締固め位置にない状態では、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12は、傾斜した姿勢となる。すなわち、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12が、傾斜した姿勢であるときは、締固め作業状態ではない。
【0063】
締固めをすべきある箇所に移動すると、
図2に示すように、足場8の上にいる作業員Mが、締固め装置10のケーブル12を手にとり、バイブレータ11をコンクリートCに挿入する。バイブレータ11がコンクリートCに挿入された状態は、コンクリートCを締固めする締固め位置となる。
【0064】
バイブレータ11が締固め位置にある状態では、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bは、作業員Mがケーブル12を保持する位置より下方にであって、足場8より上方にある。
【0065】
バイブレータ11が締固め位置にある状態では、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12は、略垂直の姿勢となる。すなわち、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12が、略垂直の姿勢であるときは、締固め作業状態である。
【0066】
締固めをすべきある箇所の締固め作業が終了すると、
図8に示すように、足場8の上にいる作業員Mが、締固め装置10のケーブル12を手にとり、バイブレータ11をコンクリートCから引き抜く。そして、作業員Mは、バイブレータ11を他の箇所のコンクリートCに挿入するために、バイブレータ11の下端が、鉄筋6の上方に位置するまで、ケーブル12を引き上げる。
【0067】
そうすると、ケーブル12に取り付けられた第1ターゲット51aと第2ターゲット51bは、作業員Mがケーブル12を保持する位置より、後方に移動する。すなわち、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bは、作業員Mがケーブル12を保持する位置より、バイブレータ11が設けられた側とは反対側であるケーブル12の基端側に移動する。作業員Mがケーブル12を保持する位置より、後方に移動したケーブル12は撓む。
【0068】
そのため、バイブレータ11が締固め位置にない状態では、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12は、傾斜した姿勢となる。すなわち、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12が、傾斜した姿勢であるときは、締固め作業状態ではない。
【0069】
実施例1の締固め作業状態判定装置50は、振動部(バイブレータ11)と、振動部(バイブレータ11)の後端に接続される可撓性を有するケーブル12と、を備える締固め装置10による締固め作業状態であるか否かを判定する。この締固め作業状態判定装置50において、ケーブル12に取り付けられたターゲット51と、ターゲット51に関する情報から、ケーブル12の姿勢を判定する姿勢判定部57と、を備える(
図2)。
【0070】
これにより、例えば、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直である場合や、ターゲット51が作業者の手元のエリア内にあって、ターゲット51の移動量が所定量以下である場合等に、振動部(バイブレータ11)がコンクリートCに挿入された締固め位置にあると判定することができ、締固め作業状態と判定することができる。また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が傾斜している場合や、ターゲットが作業者の手元のエリア外にある場合、又は、ターゲットが作業者の手元のエリア内にあってターゲットの移動量が所定量以上である場合等に、振動部(バイブレータ11)がコンクリートCに挿入された締固め位置にないと判定することができ、締固め作業状態でないと判定することができる。この結果、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固め作業状態であるか否かを判定することができる。
【0071】
実施例1の締固め作業状態判定装置50は、ケーブル12の長手方向に間隔を有して取り付けられた2つのターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)と、各ターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)に対して、それぞれ1つの位置座標を検知する座標検知手段52と、を備え、ターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)に関する情報は、座標検知手段52によって検知された2つの位置座標である(
図2)。
【0072】
これにより、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12の姿勢が略垂直である場合、振動部(バイブレータ11)がコンクリートCに挿入された締固め位置にあると判定することができる。そのため、例えば、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12の姿勢が略垂直である場合や、座標検知手段52により一方のターゲット51が検知不能になった場合等に、締固め作業状態と判定することができる。また、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12の姿勢が傾斜している場合や、座標検知手段52により検知不能であったターゲット51が検知可能になった場合等に、振動部(バイブレータ11)がコンクリートCに挿入された締固め位置にないと判定することができる。そのため、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bとの間のケーブル12の姿勢が傾斜している場合、締固め作業状態でないと判定することができる。この結果、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固め作業状態であるか否かを判定することができる。
【0073】
実施例1の締固め作業状態判定装置50では、2つのターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)が取り付けられる間隔Lは、ターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)と座標検知手段52との距離に応じて設定される(
図3)。
【0074】
これにより、座標検知手段52は、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bを、それぞれ別のターゲットとして認識することができる。そのため、姿勢判定部57は、ケーブル12の姿勢を確実に判定することができる。
【0075】
実施例1の締固め作業状態判定装置50では、振動部(バイブレータ11)が締固め位置にある状態で、ターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)は、作業員Mがケーブル12を保持する位置より下方であって、作業員Mの足場8より上方に設けられる(
図2)。
【0076】
これにより、振動部(バイブレータ11)が締固め位置にある状態で、ターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)を座標検知手段52の死角とならない位置に配置することができる。そのため、ターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)間のケーブル12の姿勢を確実に判定することができる。その結果、締固め作業状態であるか否かを確実に判定することができる。
【0077】
実施例1の締固め作業状態判定装置50では、ターゲット(第1ターゲット51a、第2ターゲット51b)が、高反射率の性質を持つ材料で構成される。これにより、レーザーレーダによるターゲットの検知精度が向上する。より具体的には、ターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)は、反射テープ、反射板又は反射塗料である(
図2)。
【0078】
これにより、ターゲット(第1ターゲット51a,第2ターゲット51b)をケーブル12に容易に取り付けることができる。そのため、面倒な取付作業を必要としない簡易な構成の締固め作業状態判定装置50とすることができる。
【実施例2】
【0079】
実施例2における締固め作業状態判定装置について説明する。なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0080】
実施例2の締固め作業状態判定装置は、姿勢判定部57によるケーブル12の姿勢判定の方法が、実施例1の締固め作業状態判定装置と相違する。
【0081】
[姿勢判定部による姿勢判定]
図9は、実施例2の姿勢判定部による姿勢判定を説明する説明図である。以下、
図9に基づいて、実施例2の姿勢判定部57によるケーブル12の姿勢の判定について説明する。
【0082】
座標検知手段52は、レーザ光を出射し、ターゲット51から反射したレーザ光を受光して、ターゲット51の内接する直方体の、X軸方向の長さと、Y軸方向の長さと、Z軸方向の長さとを検知する。なお、ターゲット51は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0083】
姿勢判定部57は、ターゲット51に関する情報として、
図9に示すように、ターゲット51の内接する直方体Vの、X軸方向の長さXaと、Y軸方向の長さYaと、Z軸方向の長さZaと、に基づいて、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢を判定する。そして、ターゲット51の内接する直方体Vの、X軸方向の長さXaと、Y軸方向の長さYaと、Z軸方向の長さZaとから、ターゲット51の内接する直方体のXY平面における長さDと、ターゲット51の長さLとを算出する。
【0084】
ターゲット51の取り付けられた部分のケーブル12の傾きθは、ターゲット51の内接する直方体のXY平面における長さDと、ターゲット51の長さLとの三角関数の関係から、算出される。なお、ターゲット51の取り付けられた部分のケーブル12の傾きθは、ターゲット51の内接する直方体のXY平面における長さと、Z軸方向の長さとの三角関数の関係から、算出されてもよい。
【0085】
すなわち、傾きθ1が30度未満である場合、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢は、垂直姿勢と判定される。傾きθ1が30度以上である場合、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢は、垂直方向に対して傾斜する傾斜姿勢と判定される。
【0086】
次に、実施例2の締固め作業状態判定装置の作用を説明する。実施例2の締固め作業状態判定装置では、ターゲット51に関する情報は、ターゲット51が内接する直方体Vに関する情報である(
図9)。
【0087】
これにより、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直である場合、振動部(バイブレータ11)がコンクリートCに挿入された締固め位置にあると判定することができる。そのため、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直である場合、締固め作業状態と判定することができる。また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が傾斜している場合、振動部(バイブレータ11)がコンクリートCに挿入された締固め位置にないと判定することができる。そのため、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が傾斜している場合、締固め作業状態でないと判定することができる。この結果、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固め作業状態であるか否かを判定することができる。なお、実施例2のこの他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるため、説明を省略する。
【0088】
以上、本発明の締固め作業状態判定装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、実施例の組み合わせ、設計の変更や追加等は許容される。
【0089】
実施例1では、ターゲットに関する情報を、第1ターゲット51aの重心の位置座標E1(X
1,Y
1,Z
1)と第2ターゲット51bの重心の位置座標E2(X
2,Y
2,Z
2)とする例を示した。また、実施例2では、ターゲットに関する情報を、ターゲット51の内接する直方体Vの、X軸方向の長さXaと、Y軸方向の長さYaと、Z軸方向の長さZaとする例を示した。しかし、ターゲットに関する情報は、このような態様に限定されない。
【0090】
例えば、ターゲットに関する情報は、ターゲット51が作業者の手元のエリアにあるか否かの情報であってもよい。そして、姿勢判定部57は、ターゲット51が作業者の手元のエリア内にあって、ターゲット51の移動量が所定量未満である場合、締固めを実施している姿勢にあると判定し、締固め作業状態であると判定する。一方、姿勢判定部57は、ターゲット51が、作業者の手元のエリア外にある場合、又は、ターゲット51が作業者の手元のエリア内にあって、ターゲット51の移動量が所定量以上であるとき、締固めを実施していない姿勢にあると判定し、締固め作業状態でないと判定する。
【0091】
なお、姿勢判定部57は、この態様と、実施例1や実施例2の態様とを組み合わせて、ターゲット51の姿勢を判定し、締固め作業状態であるか否かを判定してもよい。この場合、姿勢判定部57は、ターゲット51が垂直姿勢であると判定した場合で、ターゲット51の移動量が所定量未満であると判定した場合に、締固め作業状態であると判定する。これにより、より精度よく締固め作業状態か否かの判定が可能になる。すなわち、ターゲット51は、完全に静止している必要はなく、例えばレーザーレーダの分解能以下であれば、静止しているとみなせる。
【0092】
実施例1では、姿勢判定部57は、座標検知手段52が検知した第1ターゲット51aの重心の位置座標E1(X
1,Y
1,Z
1)と第2ターゲット51bの重心の位置座標E2(X
2,Y
2,Z
2)とに基づいて、2つのターゲット51間の姿勢を判定し、締固め作業状態であるか否かを判定する例を示した。
【0093】
しかし、締固め作業状態においては、一方のターゲット51を座標検知手段52が検知不能とするように設けてもよい。そして、姿勢判定部57は、座標検知手段52により一方のターゲット51が検知不能になった場合に、2つのターゲット51間の姿勢が検知不能開始姿勢と判定し、締固め作業状態であると判定させてもよい。また、姿勢判定部57は、座標検知手段52により検知不能であったターゲット51が検知可能になった場合に、2つのターゲット51間の姿勢が検知可能開始姿勢と判定し、締固め作業状態でないと判定させてもよい。
【0094】
なお、姿勢判定部57は、一方のターゲット51の座標検知手段52による検知結果に変化があった場合に、締固め作業状態にあるか否かを判定してもよい。また、姿勢判定部57は、この態様と、実施例1や実施例2の態様とを組み合わせて、ターゲット51の姿勢を判定し、締固め作業状態であるか否かを判定してもよい。
【0095】
実施例1及び実施例2では、ケーブル12の傾きθ1が、垂直方向であるか否かを判断する閾値を30度とする例を示した。しかし、この閾値は、施工現場によって変更することができ、例えば15度であってもよい。
【0096】
実施例1及び実施例2では、本発明の締固め作業状態判定装置を鉄筋コンクリート構造物に適用する例を示した。しかし、本発明の締固め作業状態判定装置は、鉄骨鉄筋コンクリート造や、基礎などに適用することができる。