特許第6705078号(P6705078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705078
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20200525BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20200525BHJP
   A23C 9/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   A23L2/00 A
   A23L2/00 C
   A23C9/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-153947(P2017-153947)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-30264(P2019-30264A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2019年3月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】宗 桃子
【審査官】 濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−066490(JP,A)
【文献】 特開2013−128433(JP,A)
【文献】 特開2002−101844(JP,A)
【文献】 PORTMANN, Marie-Odile and KILCAST, David,DESCRIPTIVE PROFILES OF SYNERGISTIC MIXTURES OF BULK AND INTENSE SWEETENERS,Food Quality and Preference,1998年,Vol. 9, No. 4,p. 221-229,全体、abstract
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00
A23C 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳と、
高甘味度甘味料と、
糖アルコールとを含有し、
前記糖アルコールの含有割合が飲料あたり0.1〜2.0質量%であり、
飲料に含まれる前記糖アルコールの浸透度が99未満であり、
無脂乳固形分の含有割合が飲料あたり0.1〜1.2質量%である、飲料。
【請求項2】
前記高甘味度甘味料としてスクラロースとアセスルファムカリウムを含み、
飲料に含まれるスクラロースの甘味度をA、飲料に含まれるアセスルファムカリウムの甘味度をBとしたときに、A>Bの関係を満足する請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
前記糖アルコールの浸透度が70以上99未満である請求項1または2に記載の飲料。
【請求項4】
前記高甘味度甘味料としてスクラロースとアセスルファムカリウムを含み、
スクラロースの含有割合が飲料あたり0.005〜0.02質量%であり、
アセスルファムカリウムの含有割合が飲料あたり0.001〜0.01質量%であり、
スクラロースとアセスルファムカリウムの含有比が質量比で2:1〜5:1である請求項1から3のいずれか一つに記載の飲料。
【請求項5】
乳と、高甘味度甘味料を含有し、無脂乳固形分の含有割合が飲料あたり0.1〜1.2質量%である飲料の調製において飲料におけるその含有割合が0.1〜2.0質量%となるように糖アルコールを添加することを含み、
飲料に含まれる前記糖アルコールの浸透度が99未満である、後味におけるべったり感抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料に関し、特に高甘味度甘味料を含有する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
清涼飲料については、従来から甘味料として、砂糖(ショ糖)が広く用いられている。
一方で、ショ糖は最近の健康志向や低カロリー志向からその使用量が減ってきており、代わりにショ糖より強い甘味を有し、少ない使用量で甘味を付与することができる高甘味度甘味料が用いられるようになってきている。高甘味度甘味料を使用した飲料としては、例えば特許文献1、2記載の飲料が挙げられる。
しかし、高甘味度甘味料を含む飲料については甘味が後を引く(甘味の後引き感がある)等といった、飲料の嗜好性の観点からは好ましくない点があることも知られている。そのため、高甘味度甘味料に由来する甘味の後引きを抑える方法が提案されている(例えば特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-168021号公報
【特許文献2】特開2002-065156号公報
【特許文献3】特開2012-130336号公報
【特許文献4】特開2015-073501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高甘味度甘味料を含有する飲料を飲んだときに感じられる、後味におけるべったり感を抑えることのできる新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
高甘味度甘味料を含有する飲料を飲んだときには、甘味が口内にまとわりつくような感覚(べったり感)があり、該べったり感の抑制を本発明者は試みた。そして、本発明者は、鋭意研究の結果、所定の浸透度を有する糖アルコールを所定割合で飲料中に含有させることで、高甘味度甘味料に由来するべったり感を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 高甘味度甘味料と、
糖アルコールとを含有し、
前記糖アルコールの含有割合が飲料あたり0.1〜2.0質量%であり、
飲料に含まれる前記糖アルコールの浸透度が99未満である飲料。
[2] 前記高甘味度甘味料としてスクラロースとアセスルファムカリウムを含み、
飲料に含まれるスクラロースの甘味度をA、飲料に含まれるアセスルファムカリウムの甘味度をBとしたときに、A>Bの関係を満足する[1]に記載の飲料。
[3] 前記糖アルコールの浸透度が70以上99未満である[1]または[2]に記載の飲料。
[4] 前記高甘味度甘味料としてスクラロースとアセスルファムカリウムを含み、
スクラロースの含有割合が飲料あたり0.005〜0.02質量%であり、
アセスルファムカリウムの含有割合が飲料あたり0.001〜0.01質量%であり、
スクラロースとアセスルファムカリウムの含有比が質量比で2:1〜5:1である[1]から[3]のいずれか一つに記載の飲料。
[5] 高甘味度甘味料を含有する飲料の調製において飲料におけるその含有割合が0.1〜2.0質量%となるように糖アルコールを添加することを含み、
飲料に含まれる前記糖アルコールの浸透度が99未満である、後味におけるべったり感抑制方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高甘味度甘味料を含有する飲料を飲んだときに感じられる、後味におけるべったり感を抑えることのできる新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は高甘味度甘味料を含有する飲料に関し、高甘味度甘味料とともに糖アルコールを含有する。本実施形態において、糖アルコールの含有割合は飲料あたり0.1〜2.0質量%であり、また、飲料に含まれる糖アルコールの浸透度は99未満である。
【0009】
本明細書において、高甘味度甘味料とは、ショ糖に比べて強い甘味(例えば数百倍から数千倍)を有する天然甘味料及び合成甘味料をいう。
高甘味度甘味料としては、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、レバウディオサイドA、ネオテーム、アリテーム、モナチン、タウマチン、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、ラカンカ抽出物(モグロシド)および甘茶抽出物(フィロズルチン)などを挙げることができ、例えばこれらのうち1種または2種以上を含有するようにすることができる。
【0010】
本実施形態の飲料においては高甘味度甘味料の種類は特に限定されないが、スクラロースおよびアセスルファムカリウムを含有することが、べったり感をより抑えることができる観点から、好ましい。
【0011】
さらには、本実施形態の飲料において、高甘味度甘味料としてスクラロースとアセスルファムカリウムを含み、飲料に含まれるスクラロースの甘味度をA、飲料に含まれるアセスルファムカリウムの甘味度をBとしたときに、A>Bの関係を満足することが、べったり感に加えて、苦味の観点からより好ましい態様として挙げられる。
本明細書において各甘味料の「甘味度」とは、飲料におけるその甘味料に由来する甘味の強さを意味し、具体的には、ショ糖の甘味度を1としたときの飲料のその甘味料に由来する甘味の度合いを示す数値である。
甘味度は、各甘味料の含有割合と単位当たりのショ糖換算の甘味度の値とから以下の式(1)に基づき算出することができる。また、単位当たりのショ糖換算の甘味度に関し、スクラロースの甘味度は、ショ糖の600倍であり、アセスルファムカリウムの甘味度は、ショ糖の200倍である。例えば、スクラロースの含有割合が飲料あたり0.017質量%である場合、該飲料におけるスクラロースの甘味度は10.2となる。
また、本明細書においては、飲料に含まれる各甘味料の甘味度の合計値を飲料の甘味度(ショ糖換算値)としている。

式(1):(甘味料の含有割合(質量%))×(飲料に含まれる甘味料に関する単位配合量当たりのショ糖換算の甘味度の値)
【0012】
本実施形態の飲料においては高甘味度甘味料の含有割合は特に限定されず当業者が適宜設定できる。べったり感をより抑えることができる観点から、例えばアセスルファムカリウムについてはその含有割合の下限は、飲料あたり0.001質量%であることが好ましく、0.002質量%であることがより好ましい。また、その上限は、0.04質量%であることが好ましく、0.02質量%であることがより好ましく、0.01質量%であることがさらに好ましい。また、スクラロースを使用する場合は、スクラロースの含有割合の下限は、飲料あたり0.002質量%であることが好ましく、0.005質量%であることがより好ましく、0.008質量%であることがさらに好ましい。また、その上限は0.02質量%であることが好ましい。
べったり感に加えて、苦味抑制の観点においてより好ましい態様としては、高甘味度甘味料としてスクラロースとアセスルファムカリウムを含み、スクラロースの含有割合が飲料あたり0.005〜0.02質量%であり、アセスルファムカリウムの含有割合が飲料あたり0.001〜0.01質量%であり、スクラロースとアセスルファムカリウムの含有比が質量比で2:1〜5:1であることが挙げられる。
【0013】
上述のとおり、本実施形態の飲料においては、高甘味度甘味料とともに糖アルコールを含有しており、その含有割合は飲料あたり0.1〜2.0質量%であり、さらに、すっきり感がより向上するという観点から0.3〜1.0質量%であることが好ましい。
【0014】
また、本実施形態において、飲料に含有される糖アルコールの浸透度が99未満であり、よりべったり感を抑えることができる観点から、好ましくは70以上99未満、より好ましくは85以上99未満である。
本明細書において浸透度とは、ショ糖の浸透圧を100としたときの糖アルコールの浸透圧をいう。
浸透度が99未満の糖アルコールは、例えば原材料として添加されることにより本実施形態の飲料中に含有されるようにすることができる。
浸透度が99未満の糖アルコールとしては、例えば還元水飴や還元麦芽糖水飴のうち浸透度が99未満のものを挙げることができる。還元水飴とは、水飴を水素添加(還元)して得ることができる、複数種の糖アルコールを含む組成物であり、還元澱粉加水分解物、還元澱粉糖化物、還元オリゴ糖などの名称が使用される場合もある。水飴は、例えばデンプンを酸や酵素等を用いて加水分解して得ることができる。また、還元麦芽糖(マルチトール)を75%以上含むものを還元麦芽糖水飴という。
浸透度が99未満である還元水飴や還元麦芽糖水飴は市販されており、エスイー20、エスイー30、エスイー57、エスイー100、マルビット(物産フードサイエンス(株)製)、などを例示できる。本実施形態の飲料においては例えばこれら市販の浸透度が99未満の糖アルコールのうち1種または2種以上を含むようにしてもよい。
なお、エスイーおよびマルビットは物産フードサイエンス(株)の登録商標である。
浸透圧の測定は、公知のいずれの方法を用いて行ってもよく、例えば氷点降下法により測定することができる。測定装置は、例えばアドバンス自動浸透圧計オズモメーター3250(ADVANCED INSTRUMENTS, INC.)を用いることができる。
【0015】
本実施形態の飲料は、上記高甘味度甘味料、糖アルコールに加えて、本発明の効果を得ることができる範囲で他の成分を含んでいてもよい。
本実施形態の飲料において含有され得る他の成分としては、例えば、乳、乳蛋白質安定化剤、甘味料、酸味料、果汁、香料、色素などが挙げられる。
【0016】
乳は、動物又は植物由来のいずれの乳であってもよい。例えば、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の獣乳、豆乳等の植物乳を用いることができ、牛乳が一般的である。これらの乳は、単独又は2種類以上の混合物として用いることができる。また、これらの乳を、乳酸菌やビフィズス菌等の微生物を用いて発酵させた発酵乳として用いることもできる。
乳の形態は特に限定されず、例えば、全脂乳、脱脂乳、乳清、乳蛋白濃縮物が挙げられ、粉乳や濃縮乳から還元した乳も使用できる。また、無脂乳固形分(SNF)の含有割合も特に限定されないが、すっきり感の観点から、0.1〜1.2質量%であることが好ましい。
【0017】
乳蛋白質安定化剤は、例えば本実施形態の飲料が上述の乳を含む場合に含有するようにしてもよい。乳蛋白質安定化剤としては、例えば大豆多糖類を挙げることができる。
大豆多糖類は、乳蛋白質の安定化剤として知られたものが使用でき、通常、大豆製品の製造工程において副生するオカラ(繊維状の絞りかす)から抽出精製された多糖類であって、含有されるガラクツロン酸のカルボキシル基に由来して酸性下マイナスに帯電しているものが使用できる。市販品としては、例えば、商品名「SM-1200」(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)が挙げられる。
また、大豆多糖類以外の乳蛋白質安定化剤としては、例えば、HMペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガムが挙げられる。
【0018】
甘味料としては、例えば、ショ糖、麦芽糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、オリゴ糖等の糖類が挙げられる。
酸味料としては、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フィチン酸、グルコン酸、コハク酸、フマール酸等の有機酸又はその塩、リン酸等の無機酸又はその塩が挙げられる。
果汁としては、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等の柑橘系の果汁や、ブドウ、モモ、リンゴ、バナナ等の果汁が挙げられる。
【0019】
本実施形態の飲料は、容器に充填した容器詰飲料とすることが好ましい。容器としては、ガラス製、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック製、紙製、アルミ製、スチール製の密封容器が挙げられる。
【0020】
本実施形態の飲料は、例えば、高甘味度甘味料を含有する飲料の製造において、飲料における含有割合を0.1〜2.0質量%として浸透度が99未満の糖アルコールを含有させることにより調製することができる。
具体的には、液体原料、高甘味度甘味料、浸透度が99未満の糖アルコール、および必要によって加えられるその他の成分を、浸透度が99未満の糖アルコールの飲料あたりの含有割合が0.1〜2.0質量%となるようにして混合する工程を含む方法により本実施形態の飲料を製造することができる。液体原料は水のほか、上述の他の成分の溶液や分散液であってもよい。高甘味度甘味料、浸透度が99未満の糖アルコールは液体原料に同時に配合されてもよく、また、それぞれが別々に液体原料に配合されてもよく、さらにその順番も特に限定されない。
【0021】
本実施形態に係る製造方法においては、得られた飲料に対して殺菌処理を行なうようにしてもよく、また、乳等が含有される場合には均質化処理を行うようにしてもよい。
均質化処理は、通常、ホモゲナイザーを用いて行うことができる。均質化条件は特に限定されないが、温度5〜25℃で圧力10〜50Mpaの条件が好ましく挙げられる。また、均質化処理は、殺菌処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
殺菌処理は、例えば、65℃で10分間と同等以上の殺菌価を有する加熱殺菌により行うことができる。殺菌処理の方法は特に制限されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等の方法を採用することができる。また、殺菌処理は、均質化処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うか、または容器充填前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
また、上述のとおり本実施形態の飲料は容器詰飲料としてもよい。例えば、容器に飲料をホットパック充填し、充填した容器を冷却する方法、又は容器充填に適した温度まで飲料を冷却して、予め洗浄殺菌した容器に無菌充填する方法などにより容器詰めを行うことができ、特に限定されない。
【0022】
以上、本実施形態によれば、高甘味度甘味料を含む飲料中において、飲料における糖アルコールの含有量を0.1〜2.0質量%とし、且つ浸透度が99未満である糖アルコールを含有させることで、飲んだときの後味におけるべったり感を抑えることができる。
その結果、より嗜好性に優れた高甘味度甘味料含有飲料の提供が可能となる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[飲料の調製]
表1、2に記載の各材料を表1、2に記載の含有割合(配合率:質量%)で、飲料として100質量%となる量の水と混合した。混合後、均質化処理を行い、調合液を調製した。得られた調合液を加熱殺菌して容器にホットパック充填し、室温まで水冷し、実施例および比較例の容器詰飲料を得た。
糖アルコールとしては、マルビット、エスイー30、エスイー600、エリスリトールを用いた(いずれも物産フードサイエンス(株)製)。各糖アルコールの浸透度を表3に示す。
均質化処理は、試験室用ホモゲナイザー(型式15MR、APVゴーリン社製)を用いて、処理温度20℃、処理圧15MPaで行なった。加熱殺菌は、95℃達温殺菌を行なった。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
[官能評価]
「すっきり感」、「べったり感」、「後味の良さ」、「苦味」、「おいしさ」について、5名のパネルによる官能評価を行った。
このうち、すっきり感とは飲用後の後味がスッとなくなるような感触であり、甘味、苦味、酸味、うまみ、塩味も含めて飲用後の後味が無くなっていく感覚をいい、後味のキレともいう。すっきり感は、以下の5段階で評価を行った。
1:ない、2:わずかにある、3:ややある、4:ある、5:とてもある
【0028】
べったり感については、以下の5段階で評価を行った。
1:ない、2:わずかにある、3:ややある、4:ある、5:とてもある
【0029】
後味の良さについては以下の5段階で評価を行った。
1:悪い、2:やや悪い、3:どちらでもない、4:やや良い、5:良い
【0030】
苦みについては以下の5段階で評価を行った。
1:ない、2:わずかにある、3:ややある、4:ある、5:とてもある
【0031】
おいしさについては以下の5段階で評価を行った。
1:まずい、2:ややまずい、3:どちらでもない、4:ややおいしい、5:おいしい
【0032】
評価点については平均を算出して表4、5に表示した。総合評価は、比較例1、4、5、8、または9に対してべったり感が抑えられており改善がみられるか否かを評価した。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
比較例1と実施例1〜5から、浸透度が99未満の糖アルコールを0.1〜2.0質量%含有する場合にべったり感が抑えられ、さらに0.3〜1.0質量%含有する場合にはすっきり感がより改善することが理解できる。
また、比較例1〜3と実施例6から、マルビットと同じく浸透度が99未満の糖アルコールであるエスイー30を用いた場合にもべったり感が抑えられることが理解できる。
また、比較例4と実施例7から、無脂乳固形分(SNF)が実施例1より高い1.7である場合にも同様に浸透度が99未満の糖アルコールを0.1〜2.0質量%含有することでべったり感が抑えられることが理解できる。
さらに、比較例5〜7と実施例8〜9から、乳を含まない場合にも同様に浸透度が99未満の糖アルコールを0.1〜2.0質量%含有することでべったり感が抑えられることが理解できる。
さらにまた、実施例10、11から、高甘味度甘味料としてスクラロースとアセスルファムカリウムを含み、飲料に含まれるスクラロースの甘味度をA、飲料に含まれるアセスルファムカリウムの甘味度をBとしたときに、A>Bの関係を満足することで、べったり感を抑えながら、苦味の評価もより低くなることが理解できる。