特許第6705091号(P6705091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6705091熱加工用トーチ、および、熱加工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705091
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】熱加工用トーチ、および、熱加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/10 20060101AFI20200525BHJP
   B23K 9/29 20060101ALI20200525BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20200525BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20200525BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20200525BHJP
   B23K 5/24 20060101ALN20200525BHJP
   B23K 9/013 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   B23K9/10 A
   B23K9/29 A
   B23K31/00 M
   G09G5/00 550C
   G09G5/00 550D
   G09G5/00 510C
   G09G5/00 530T
   G09G5/36 530Y
   !B23K5/24
   !B23K9/013 A
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-154191(P2016-154191)
(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公開番号】特開2018-20367(P2018-20367A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】今町 弘希
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−527381(JP,A)
【文献】 特開平3−297572(JP,A)
【文献】 特表2015−533651(JP,A)
【文献】 特許第4543065(JP,B2)
【文献】 特開平9−307968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/10
B23K 9/29
B23K 31/00
G09G 5/00
G09G 5/36
B23K 5/24
B23K 9/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ボタンを有する操作部と、
表示画面を有する表示部と、
傾き情報を検出するセンサ部と、
信号を送信する通信部と、
前記操作部からの入力に基づく信号を、前記通信部に送信させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記センサ部が検出した傾き情報に基づいて、複数の画面のうちの所望の画面を選択するためのメニュー画面を前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする熱加工用トーチ。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサ部が検出した傾き情報が所定範囲内である場合に、前記メニュー画面を表示させる、
請求項1に記載の熱加工用トーチ。
【請求項3】
前記制御部は、前記センサ部が検出した傾きが所定範囲内である状態が所定時間継続した場合に、前記メニュー画面を表示させる、
請求項1に記載の熱加工用トーチ。
【請求項4】
前記制御部は、前記センサ部が検出した傾きが所定範囲内であり、かつ、前記操作部から所定の操作ボタンの操作信号を入力された場合に、前記メニュー画面を表示させる、
請求項1に記載の熱加工用トーチ。
【請求項5】
前記制御部は、前記センサ部が検出した傾きが所定範囲内であり、かつ、前記操作部から所定の操作ボタンの操作信号を入力される状態が所定時間継続した場合に、前記メニュー画面を表示させる、
請求項1に記載の熱加工用トーチ。
【請求項6】
前記センサ部は、前記表示画面の画面表示の上方を示す向きが、鉛直方向上方に対する傾きを角度として検出する、
請求項2ないし5のいずれかに記載の熱加工用トーチ。
【請求項7】
前記所定範囲は、0°以上45°以下の範囲である、
請求項6に記載の熱加工用トーチ。
【請求項8】
前記センサ部は、加速度センサを備えている、
請求項1ないし7のいずれかに記載の熱加工用トーチ。
【請求項9】
アークによる熱で溶接を行う、
請求項1ないし8のいずれかに記載の熱加工用トーチ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の熱加工用トーチと、
前記熱加工用トーチに電力を供給する電源装置と、
を備えていることを特徴とする熱加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱加工に用いられる熱加工用トーチおよび熱加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、一般的な消耗電極式の溶接システムの一例を示している。溶接システムA100は、ワイヤ送給装置2がワイヤ電極を溶接トーチ300に送り出し、溶接電源装置1が溶接トーチ300に電力を供給することで、アーク溶接を行う。溶接作業において、作業者は、被加工物Wに応じて溶接条件を調整して作業を行う。溶接条件の調整は、溶接電源装置1の操作パネルまたは溶接電源装置1に接続されたリモコン9の操作部を操作することで行う(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−150481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶接個所を変更しながら溶接作業を行う場合、作業者は、溶接電源装置1を移動させずに、ワイヤ送給装置2を持ち運びして溶接作業を行う。しかしながら、リモコン9の制御ケーブル91は短いため、溶接電源装置1から離れて溶接作業を行う場合、リモコン9を溶接個所まで持っていけない場合がある。この場合、作業者は、溶接条件の調整のために、溶接電源装置1またはリモコン9まで移動する必要がある。
【0005】
また、近年の溶接電源装置1においては、被加工物Wの多様性に応じて細かな設定ができるように、設定可能な項目が多数になっている。例えば、溶接電流および溶接電圧以外にも、溶接電流波形の周波数やEN比(デューティ比)、ワイヤ送給装置2の溶接ワイヤの送給速度、被加工物Wの板厚などの設定も可能である。
【0006】
これらの問題は溶接システムに限られた問題ではなく、アーク切断システムなどの熱加工システムにおいても問題となる。
【0007】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、電源装置から離れた位置で作業を行う場合に、設定可能な項目が多数設けられていても、容易に所望の設定を行うことが可能な熱加工システム、および、当該熱加工システムで用いられる熱加工用トーチを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面によって提供される熱加工用トーチは、操作ボタンを有する操作部と、表示画面を有する表示部と、傾き情報を検出するセンサ部と、信号を送信する通信部と、前記操作部からの入力に基づく信号を、前記通信部に送信させる制御部とを備え、前記制御部は、前記センサ部が検出した傾き情報に基づいて、複数の画面のうちの所望の画面を選択するためのメニュー画面を前記表示画面に表示させることを特徴とする。この構成によると、熱加工用トーチは、操作部、表示部、通信部、および制御部を備えている。作業者は、熱加工用トーチの表示画面に表示された設定画面を操作することで、作業条件などの設定を行うことができる。したがって、作業者は、作業条件などの設定を変更するために、電源装置またはリモコンまで移動する必要がない。また、この構成によると、センサ部が検出した傾きに基づいて、表示画面にメニュー画面が表示される。これにより、熱加工用トーチを所定の姿勢とすることで、メニュー画面を表示させることができる。そして、メニュー画面で所望の画面を選択し、操作部を操作することで所望の設定を行うことができる。したがって、設定可能な項目が多数設けられていても、所望の設定を容易に行うことができる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前記センサ部が検出した傾き情報が所定範囲内である場合に、前記メニュー画面を表示させる。この構成によると、熱加工用トーチの姿勢に基づいて、メニュー画面を表示させることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前記センサ部が検出した傾きが所定範囲内である状態が所定時間継続した場合に、前記メニュー画面を表示させる。この構成によると、熱加工用トーチが所定の姿勢を所定時間継続した場合に、メニュー画面を表示させることができる。したがって、熱加工用トーチが偶然、所定の姿勢になった場合にメニュー画面に切り替わってしまうことを防止することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前記センサ部が検出した傾きが所定範囲内であり、かつ、前記操作部から所定の操作ボタンの操作信号を入力された場合に、前記メニュー画面を表示させる。この構成によると、熱加工用トーチが所定の姿勢の状態のときに、所定の操作ボタンが操作された場合に、メニュー画面を表示させることができる。したがって、熱加工用トーチが偶然、所定の姿勢になった場合にメニュー画面に切り替わってしまうことを防止することができる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前記センサ部が検出した傾きが所定範囲内であり、かつ、前記操作部から所定の操作ボタンの操作信号を入力される状態が所定時間継続した場合に、前記メニュー画面を表示させる。この構成によると、熱加工用トーチが所定の姿勢の状態のときに、所定の操作ボタンが長押し操作された場合に、メニュー画面を表示させることができる。したがって、熱加工用トーチが偶然、所定の姿勢になった場合にメニュー画面に切り替わってしまうことを防止することができる。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記センサ部は、前記表示画面の画面表示の上方を示す向きが、鉛直方向上方に対する傾きを角度として検出する。この構成によると、検出された角度が所定範囲内にあるかを判定することで、表示画面が所定の向きを向いているか否かを判定することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記所定範囲は、0°以上45°以下の範囲である。この構成によると、作業者が熱加工用トーチの表示画面を見ながら各操作ボタンを操作しようとする状態であることを判定することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記センサ部は、加速度センサを備えている。この構成によると、検出された加速度に基づいて、傾き情報を検出することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記熱加工用トーチは、アークによる熱で溶接を行う。
【0018】
本発明の第2の側面によって提供される熱加工システムは、本発明の第1の側面によって提供される熱加工用トーチと、前記熱加工用トーチに電力を供給する電源装置とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、熱加工用トーチは、操作部、表示部、通信部、および制御部を備えている。作業者は、熱加工用トーチの表示画面に表示された設定画面を操作することで、作業条件などの設定を行うことができる。したがって、作業者は、作業条件などの設定を変更するために、電源装置またはリモコンまで移動する必要がない。また、この構成によると、センサ部が検出した傾きに基づいて、表示画面にメニュー画面が表示される。これにより、熱加工用トーチを所定の姿勢とすることで、メニュー画面を表示させることができる。そして、メニュー画面で所望の画面を選択し、操作部を操作することで所望の設定を行うことができる。したがって、設定可能な項目が多数設けられていても、所望の設定を容易に行うことができる。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る溶接システムを説明するための図であり、(a)は全体構成を示す概要図であり、(b)は機能構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る溶接トーチの一例の外観を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図である。
図3】ディスプレイに表示される画面の切り替えを説明するための図であり、(a)は各画面を順番に切り替える場合を示しており、(b)はメニュー画面から所望の画面を選択する場合を示している。
図4】溶接トーチの姿勢を説明するための図である。
図5】操作入力の受付処理を説明するためのフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る溶接システムの機能構成を示すブロック図である。
図7】第3実施形態に係る溶接システムの機能構成を示すブロック図である。
図8】一般的な消耗電極式の溶接システムの一例の全体構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、本発明を溶接トーチ(溶接システム)に適用した場合を例として、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1は、第1実施形態に係る溶接システムA1を説明するための図である。図1(a)は、溶接システムA1の全体構成を示す概要図である。図1(b)は、溶接システムA1の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、溶接システムA1は、溶接電源装置1、ワイヤ送給装置2、溶接トーチ3、パワーケーブル41,42、電力伝送線5、信号線8、ガスボンベ6、およびガス配管7を備えている。本実施形態においては、溶接システムA1が本発明の「熱加工システム」に相当し、溶接トーチ3が本発明の「熱加工用トーチ」に相当する。溶接電源装置1の一方の出力端子は、パワーケーブル41を介して、溶接トーチ3に接続されている。ワイヤ送給装置2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出して、ワイヤ電極の先端を溶接トーチ3の先端から突出させる。溶接トーチ3の先端に配置されているコンタクトチップにおいて、パワーケーブル41とワイヤ電極とは電気的に接続されている。溶接電源装置1の他方の出力端子は、パワーケーブル42を介して、被加工物Wに接続される。溶接電源装置1は、溶接トーチ3の先端から突出するワイヤ電極の先端と、被加工物Wとの間にアークを発生させ、アークに電力を供給する。溶接システムA1は、当該アークの熱で被加工物Wの溶接を行う。
【0025】
溶接システムA1は、溶接時にシールドガスを用いる。ガスボンベ6のシールドガスは、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2を通るように設けられているガス配管7によって、溶接トーチ3の先端に供給される。溶接電源装置1からワイヤ送給装置2へは、送給モータなど駆動させるための電力(例えばDC24V)が、電力伝送線5を介して供給される。また、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とは、信号線8を介して通信を行っている。
【0026】
溶接電源装置1は、アーク溶接のための電力を溶接トーチ3に供給するものである。溶接電源装置1は、電力系統Pから入力される三相交流電力をアーク溶接に適した電力に変換して出力する。また、溶接電源装置1は、電力系統Pから入力される三相交流電力を、ワイヤ送給装置2の送給モータなどを駆動するための直流電力に変換して、電力伝送線5を介してワイヤ送給装置2に出力する。
【0027】
溶接電源装置1は、溶接条件などに応じて電力を出力するように制御されており、溶接条件などは、図示しない操作部の操作に応じて変更される。また、溶接電源装置1は、信号線8を介して溶接トーチ3から入力される信号に応じて、溶接条件などを変更する。
【0028】
ワイヤ送給装置2は、ワイヤ電極を溶接トーチ3に送り出すものである。ワイヤ電極は、トーチケーブル39および溶接トーチ3の内部に設けられているライナの内部を通って、溶接トーチ3の先端に導かれる。ワイヤ送給装置2は、電力伝送線5を介して溶接電源装置1から供給される電力で、送給モータなどを駆動させる。また、この電力は、ワイヤ送給装置2からトーチケーブル39内部に設けられている電力伝送線(図示なし)を介して、溶接トーチ3にも供給される。ワイヤ送給装置2は、信号線8を介して、溶接電源装置1と通信を行う。また、ワイヤ送給装置2は、トーチケーブル39内部に設けられている信号線(図示なし)を介して、溶接トーチ3と通信を行う。溶接トーチ3と溶接電源装置1とは、ワイヤ送給装置2を仲介することで、通信を行う。
【0029】
ワイヤ送給装置2と溶接トーチ3とは、トーチケーブル39によって接続されている。トーチケーブル39は、溶接トーチ3の基端に接続されたケーブルであり、ケーブル内部にパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線および信号線が配置されている。
【0030】
コネクタ21は、溶接トーチ3とワイヤ送給装置2とを接続するための接続用端子である。例えば、コネクタ21は、凹型の接続用端子であり、溶接トーチ3のトーチケーブル39の一端に備えられた凸型のトーチプラグ(図示しない)を差し込まれることで、溶接トーチ3とワイヤ送給装置2とを接続する。このコネクタ21を介して、ワイヤ送給装置2の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線5および信号線8が、それぞれ、トーチケーブル39の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線および信号線に接続される。
【0031】
溶接トーチ3は、溶接電源装置1から供給される溶接電力により、被加工物Wの溶接を行う。溶接トーチ3は、機能ブロックとして、通信部31、表示部32、操作部33、記憶部34、センサ部35、および制御部36を備えている。
【0032】
通信部31は、ワイヤ送給装置2との間で通信を行うためのものである。通信部31は、制御部36から入力される信号を、トーチケーブル39内部の信号線を介して、ワイヤ送給装置2に送信する。また、通信部31は、トーチケーブル39内部の信号線を介してワイヤ送給装置2から入力される信号を受信して、制御部36に出力する。通信の規格としては、例えばCAN(Controller Area Network)が使用される。
【0033】
表示部32は、各種表示を行うものであり、例えば液晶表示装置であるディスプレイ321(後述)を備えている。表示部32は、制御部36によって制御されており、記憶部34に記憶されている溶接条件などの表示を行う。
【0034】
操作部33は、複数の操作手段を備えており、作業者による各操作手段の操作を操作信号として制御部36に出力するものである。操作手段としては、後述するように、トーチスイッチ331および操作ボタン332がある。なお、操作部33には、他の操作手段が設けられていてもよい。
【0035】
記憶部34は、溶接条件などの各設定値や、総溶接時間などの情報を記憶するものである。
【0036】
センサ部35は、複数のセンサを備えており、各センサの検出値を制御部36に出力する。本実施形態において、センサ部35は、後述する加速度センサ351を備えている。なお、センサ部35は、その他のセンサを備えていてもよい。
【0037】
制御部36は、溶接トーチ3の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部36は、操作部33より入力される操作信号に応じて、所定の処理を行う。また、制御部36は、センサ部35より入力される検出値に基づいて、所定の演算を行い、演算結果を処理に用いる。また、制御部36は、通信部31による通信や、記憶部34の情報の書き込みおよび読出し、表示部32での表示を制御する。具体的な制御内容については、後述する。
【0038】
図2は、溶接トーチ3の一例の外観を示す図である。同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図である。図2に示すように、溶接トーチ3は、トーチボディ37、ハンドル38、トーチスイッチ331、操作ボタン332、ディスプレイ321、加速度センサ351、およびトーチケーブル39を備えている。
【0039】
トーチボディ37は、金属製の筒状の部材であり、内部に、溶接ケーブルが挿通されたライナ、パワーケーブル41、およびガス配管7が配置されている。トーチボディ37の先端には、ノズル371が取り付けられている。トーチボディ37は、作業者が被加工物Wに対してノズル371を向けやすいように、湾曲部分を有している。
【0040】
ハンドル38は、作業者が把持するための部位であり、トーチボディ37の基端部を保持するように設けられている。作業者は、このハンドル38を把持して、溶接作業を行う。ハンドル38には、トーチスイッチ331、操作ボタン332、およびディスプレイ321が配置されている。
【0041】
トーチスイッチ331は、溶接の開始/停止操作を受け付けるための操作手段であり、ハンドル38を把持した作業者が、人差し指で押動操作しやすい位置に配置されている。トーチスイッチ331のオン操作(押下)により、操作信号が制御部36に出力され、当該操作信号が溶接電源装置1に入力されることで、溶接電源装置1は溶接電力の出力を行う。オン操作が解除されることで、溶接電源装置1は、溶接電力の出力を停止する。すなわち、トーチスイッチ331を押下している間だけ溶接が行われる。
【0042】
ディスプレイ321は、各種表示を行うものであり、ハンドル38を把持して溶接作業を行う作業者が画面を見やすいように、ハンドル38のトーチスイッチ331とは反対側に配置されている。
【0043】
操作ボタン332は、画面の切り替えや各種設定値を変更する操作を行うための操作手段であり、ハンドル38のディスプレイ321と同じ側の、ハンドル38の把持部分とディスプレイ321との間に配置されている。操作ボタン332は、上ボタン332a、下ボタン332b、左ボタン332c、および右ボタン332dからなる。各ボタン332a〜332dが押下されると、対応する操作信号が制御部36に出力され、制御部36は対応する処理を行う。左ボタン332cおよび右ボタン332dは、ディスプレイ321に表示される画面を切り替えるための操作手段である。上ボタン332aおよび下ボタン332bは、ディスプレイ321に表示されている設定値を変更するための操作手段である。また、各ボタン332a〜332dは、後述するメニュー画面においては、別の操作のための機能を果たす。
【0044】
各操作ボタン332の押下を検知するセンサは、図示しない基板に配置されて、ハンドル38内部に配置されている。また、ディスプレイ321は、同じ基板上に配置されている。本実施形態においては、作業者がディスプレイ321の表示画面を見ながら各操作ボタン332の操作を行いやすいように、ディスプレイ321の表示画面が当該基板に対して所定の角度を有するようになっている。なお、ディスプレイ321は、表示画面が当該基板と平行になるように配置されていてもよい。当該基板には、制御部36としてのマイクロコンピュータ、記憶部34としてのメモリ、通信部31としての通信モジュール、および各種電子部品も搭載されている。加速度センサ351も当該基板上に搭載されている。
【0045】
加速度センサ351は、3軸の加速度センサであり、各軸方向の加速度を検出して、検出値を制御部36に出力する。制御部36は、センサ部35の加速度センサ351より入力される検出値に基づいて、溶接トーチ3の傾き情報を演算する。加速度センサ351は、自身に設定されている互いに直交する3つの軸の各軸方向の加速度を検出する。制御部36は、これらの加速度に基づいて、溶接トーチ3に設定された、互いに直交する3つの軸の各軸方向の加速度を演算する。本実施形態では、ディスプレイ321の表示画面と鉛直方向との角度を演算する必要があるので、ディスプレイ321の表示画面の短辺が延びる方向(以下では「y軸方向」とする)を1つの軸方向としている。制御部36は、演算した溶接トーチ3の各軸方向の加速度から、y軸方向と鉛直方向(重力加速度の働く方向)とがなす角度を演算する。より厳密には、y軸方向のうち画面表示の上方を示す向きが、鉛直方向上方に対する傾きの角度(以下では、「トーチ傾き角」とする)を演算する。なお、制御部36によるトーチ傾き角の演算方法は限定されない。本実施形態においては、加速度センサ351および制御部36の一部が本発明の「センサ部」に相当し、「トーチ傾き角」が本発明の「傾き情報」に相当する。なお、センサ部35は、加速度センサ351に代えて、ジャイロセンサを備えていてもよい。この場合、制御部36は、ジャイロセンサが検出した各軸周りの加速度からトーチ傾き角を演算する。
【0046】
なお、溶接トーチ3の外観は上述したものに限定されない。例えば、トーチスイッチ331、操作ボタン332、およびディスプレイ321の配置場所や形状は限定されない。また、本実施形態においては、操作ボタン332が4つの独立したボタンである場合を示したが、1つの十字ボタンであってもよい。また、ボタンの数も限定されない。
【0047】
次に、ディスプレイ321に表示される画面の切り替えについて、詳しく説明する。
【0048】
ディスプレイ321に表示される画面には、溶接条件を設定するための画面、総溶接時間や使用率などを表示するための画面、および、表示のための設定画面などがある。図3(a)に示すように、各画面には順番が設定されており、左ボタン332cまたは右ボタン332dを押下することで、ディスプレイ321に表示される画面を切り替えることができる。例えば、「溶接電流設定」画面が表示されている状態で右ボタン332dが押下されると、「送給速度設定」画面に切り替えられ、「使用率」表示画面が表示されている状態で左ボタン332cが押下されると、「総溶接時間」表示画面に切り替えられる。各画面には、例えば、画面のタイトルと、記憶部34から読み出された設定値などの情報が表示される。記憶部34には、溶接電源装置1の記憶部に記憶されている各設定値などが、通信部31を介してあらかじめ読み出されて記憶されている。また、総溶接時間や使用率は、逐次更新されながら記憶部34に記憶されている。なお、表示される各情報は、記憶部34から読み出されるのではなく、通信部31を介して溶接電源装置1の記憶部から直接読み出されるようにしてもよい。
【0049】
溶接条件を設定するための画面などでは、上ボタン332aまたは下ボタン332bを押下することで、設定値を変更することができる。例えば、「溶接電流設定」画面が表示されている状態で上ボタン332aが押下されると設定値は増加し、下ボタン332bが押下されると設定値は減少する。具体的には、制御部36が、操作部33から入力される操作信号に応じて、記憶部34に記憶されている溶接電流の設定値を変更し、変更後の設定値を表示部32に表示させる。また、制御部36は、変更後の設定値を溶接電源装置1に送信するように、通信部31に指示をする。変更後の設定値を受信した溶接電源装置1は、受信した設定値に基づいて、記憶されている設定値を更新する。これにより、溶接電源装置1に設定されている溶接電流の設定値が変更される。なお、制御部36は、通信部31から溶接電源装置1に設定値自体を送信させるのではなく、操作部33から入力される操作信号に基づいて、設定値を増加(または減少)させるための信号を送信させるようにしてもよい。
【0050】
しかし、切り替えられる画面の数が多いので、図3(a)に示すように順に画面を切り替える場合、所望の画面を表示するまでに時間がかかる場合がある。本実施形態では、図3(b)に示すように、メニュー画面を設けて所望の画面に到達しやすいようにしている。
【0051】
図3(b)に示すように、メニュー画面(図において左側に示す画面)には、「溶接条件設定」、「表示情報切替」などの複数の選択肢が表示されている。上ボタン332aまたは下ボタン332bを押下することでカーソルを移動させて、右ボタン332dを押下することで、所望の選択肢を選択することができる。そして、ディスプレイ321には、選択された選択肢に応じたサブメニュー画面が表示される(図において中央に示す画面)。同様にしてサブメニュー画面から選択肢を選択することで、所望の画面を表示させることができる。なお、図3(b)は一例であって、メニュー画面などの構成は限定されない。例えば、メニュー画面で選択肢にカーソルを合わせた場合に、サブメニューがプルダウンやポップアップで表示されるようにしてもよいし、文字による選択肢に代えてアイコンを表示するようにしてもよい。また、メニュー画面を設ける場合は、メニュー画面からすべての画面に到達できるので、図3(a)に示す画面の切り替えにおいては、よく使う画面だけを限定して設定するようにしてもよい。
【0052】
本実施形態において、メニュー画面は、溶接トーチ3を所定の姿勢にして、左ボタン332cを長押ししたときに表示される。図4は、溶接トーチ3の姿勢を説明するための図である。作業者は、溶接トーチ3のディスプレイ321の表示画面を見ながら各操作ボタン332を操作する場合、自身の目の前にディスプレイ321の表示画面が位置するように、溶接トーチ3を傾ける。このとき、ディスプレイ321の表示画面は、垂直に近い状態になっている(図における実線で示した溶接トーチ3参照)。溶接トーチ3をより傾ける場合でも、ディスプレイ321の表示画面が、垂直から45°傾いた状態(図における破線で示した溶接トーチ3参照)くらいまでとすることが多い。本実施形態では、溶接トーチ3をこのような姿勢とすることを、メニュー画面に切り替えるための1つめの条件としている。具体的には、制御部36は、加速度センサ351から入力される検出値に基づいて、トーチ傾き角(y軸方向のうち画面表示の上方を示す向きが、鉛直方向上方に対する傾きの角度)を演算する。そして、制御部36は、トーチ傾き角が0°以上45°以下の範囲内にある場合に、溶接トーチ3が所定の姿勢になっていると判断する。なお、トーチ傾き角の判定範囲を0°以上45°以下としたのは一例であって、これに限定されない。より狭い範囲としてもよいし、より広い範囲としてもよい。判定範囲を広くしすぎると、意図しないメニュー画面への切り替えが起こりやすくなり、判定範囲を狭くしすぎると、メニュー画面へ切り替えにくくなる。
【0053】
溶接トーチ3の姿勢だけでメニュー画面に切り替える場合、溶接トーチ3が偶然、所定の姿勢になった場合でもメニュー画面に切り替わってしまう。これを避けるために、本実施形態では、左ボタン332cを長押しすることを、メニュー画面に切り替えるための2つめの条件としている。すなわち、制御部36は、演算したトーチ傾き角が0°以上45°以下の範囲内にある状態で、左ボタン332cの操作信号が所定時間以上継続して入力された場合に、メニュー画面の表示を行う。なお、溶接作業中、すなわち、トーチスイッチ331が押下されている状態では、メニュー画面に切り替わらないようになっている。
【0054】
図5は、制御部36が行う操作入力の受付処理を説明するためのフローチャートである。当該処理は、溶接トーチ3が起動したときに開始される。
【0055】
まず、操作入力があったか否かが判別される(S1)。具体的には、操作部33から操作信号が入力されたか否かが判別される。操作入力がない場合(S1:NO)、ステップS1に戻って、操作入力があるまで、ステップS1の判別が繰り返される。操作入力があった場合(S1:YES)、操作入力がトーチスイッチ331の操作入力であるか否かが判別される(S2)。具体的には、入力された操作信号が、トーチスイッチ331のオン操作(押下)による操作信号であるか否かが判別される。トーチスイッチ331の操作入力である場合(S2:YES)、電力供給処理が行われる(S3)。具体的には、制御部36は、通信部31に対して、操作信号を溶接電源装置1に出力させる。操作信号を受信した溶接電源装置1は、溶接電力の出力を行う。
【0056】
操作入力がトーチスイッチ331の操作入力でない場合(S2:NO)、トーチ傾き角が演算される(S4)。具体的には、加速度センサ351から各軸方向の加速度が取得され、これに基づいてトーチ傾き角が演算される。そして、演算されたトーチ傾き角が所定の範囲内にあるか否かが判別される(S5)。具体的には、トーチ傾き角が0°以上45°以下の範囲内にあるか否かが判別される。
【0057】
トーチ傾き角が所定の範囲内にない場合(S5:NO)、単なるボタン操作のための操作入力であると判断されて、操作入力に基づいてボタン操作処理が行われて(S6)、ステップS1に戻る。ボタン操作処理は、操作部33から入力された操作信号に基づいて行われる処理である。例えば、ディスプレイ321にある画面が表示されている状態で左ボタン332cまたは右ボタン332dによる操作信号を入力された場合、制御部36は、次の画面(図3(a)参照)を表示する処理を行う。また、ディスプレイ321にある設定画面が表示されている状態で上ボタン332aまたは下ボタン332bによる操作信号を入力された場合、制御部36は、設定値を変更する処理を行う。また、メニュー画面が表示されている状態で上ボタン332aまたは下ボタン332bによる操作信号を入力された場合、制御部36は、メニュー画面上のカーソルを移動させる処理を行う。
【0058】
トーチ傾き角が所定の範囲内にある場合(S5:YES)、操作入力が左ボタン332cの操作入力であるか否かが判別される(S7)。操作入力が左ボタン332cの操作入力である場合(S7:YES)、左ボタン332cの操作入力が継続している時間が所定時間を経過したか否かが判別される(S8)。所定時間を経過していない場合(S8:NO)、ステップS7に戻って、ステップS7およびS8の判別が繰り返される。
【0059】
ステップS7において、操作入力が左ボタン332cの操作入力でない場合(S7:NO)、操作入力に基づいてボタン操作処理が行われて(S6)、ステップS1に戻る。ステップS7およびS8の判別が繰り返されている間に左ボタン332cの操作入力が終了した場合、つまり、左ボタン332cの操作入力の継続時間が所定時間を経過する前に終わった場合、当該操作入力は左ボタン332cの長押しではなく、単なる左ボタン332cの操作のための操作入力であると判断される。また、最初のステップS7での判別で、左ボタン332cの操作入力でないと判別された場合も、単なるボタン操作のための操作入力であると判断される。どちらの場合も、操作入力に基づいてボタン操作処理が行われる(S6)。
【0060】
ステップS8において、所定時間を経過した場合(S8:YES)、操作入力は左ボタン332cの長押しであると判断されて、メニュー画面が表示され(S9)、ステップS1に戻る。
【0061】
なお、図5のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部36が行う操作入力の受付処理は上述したものに限定されない。
【0062】
次に、溶接トーチ3の作用効果について説明する。
【0063】
本実施形態によると、溶接トーチ3は、ハンドル38に操作ボタン332およびディスプレイ321が配置されている。作業者は、ディスプレイ321に表示された設定画面を操作ボタン332で操作することで、溶接条件などの設定を行うことができる。したがって、作業者は、溶接条件などの設定を変更するために、溶接電源装置1またはリモコンまで移動する必要がない。また、制御部36は、センサ部35の加速度センサ351が検出した検出値に基づいて、トーチ傾き角を演算する。そして、トーチ傾き角が0°以上45°以下の範囲内にあり、かつ、左ボタン332cが長押しされた場合に、ディスプレイ321の表示画面にメニュー画面を表示させる。これにより、作業者は、溶接トーチ3を所定の姿勢とした状態で左ボタン332cを長押しすることで、メニュー画面を表示させることができる。そして、作業者は、メニュー画面で所望の画面を選択し、各操作ボタン332を操作することで所望の設定を行うことができる。したがって、設定可能な項目が多数設けられていても、所望の設定を容易に行うことができる。
【0064】
また、本実施形態によると、メニュー画面に切り替えるための条件の1つを、トーチ傾き角が0°以上45°以下の範囲内にあることとしている。作業者が溶接トーチ3のディスプレイ321の表示画面を見ながら各操作ボタン332を操作しようとした場合に、自然に当該条件を満たすことになる。したがって、作業者は、あまり意識することなく、当該条件を満たすことができる。また、メニュー画面に切り替えるための条件に左ボタン332cの長押しを加えているので、溶接トーチ3が偶然、所定の姿勢になった場合にメニュー画面に切り替わってしまうことを防止することができる。
【0065】
なお、本実施形態においては、加速度センサ351が検出した検出値から制御部36が演算したトーチ傾き角に基づいて、メニュー画面を表示させるための条件を判定したが、これに限られない。例えば、加速度センサ351の検出加速度に基づいて、メニュー画面を表示させるための条件を判定するようにしてもよい。この場合、加速度センサ351が本発明の「センサ部」に相当し、加速度センサ351が検出した各軸方向の加速度が本発明の「傾き情報」に相当する。
【0066】
また、本実施形態においては、トーチ傾き角が所定の範囲内にあり(第1の条件)、かつ、左ボタン332cが長押しされた(第2の条件)ときに、ディスプレイ321の表示画面にメニュー画面を表示させる場合について説明したがこれに限られない。例えば、第2の条件を、左ボタン332cとは異なる操作ボタン332が長押しされたこととしてもよい。また、操作ボタン332の長押しではなく、押下されたことを条件としてもよいし、所定回数の押下(例えばダブルクリック)を条件としてもよいし、所定の順番で所定の操作ボタン332を押下されたこと(コマンド入力)を条件としてもよい。また、第2の条件なしで、第1の条件だけでメニュー画面を表示させるようにしてもよい。ただし、この場合、意図せずメニュー画面に切り替わることを防ぐために、所定の範囲を狭く設定する方がいい。または、トーチ傾き角が所定の範囲内である状態が所定時間継続することを条件としてもよい。また、トーチ傾き角が所定の範囲内から範囲外に変化し、再度範囲内に入った場合など、トーチ傾き角が規定の変化をした場合に、メニュー画面を表示させるようにしてもよい。また、トーチ傾き角の判定に加えて、溶接トーチ3のひねる動きや移動を検出して判定するようにしてもよい。また、トーチ傾き角以外の溶接トーチ3の所定の角度を演算して、判定に用いるようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とが信号線8を介して通信を行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、パワーケーブル41,42または電力伝送線5に信号を重畳させて通信を行うようにしてもよい、この場合、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを接続する信号線8を必要としない。
【0068】
図6および図7は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。
【0069】
図6は、第2実施形態に係る溶接システムA2の機能構成を示すブロック図である。
【0070】
図6に示す溶接システムA2は、溶接トーチ3が溶接電源装置1と無線通信を行う点で、第1実施形態に係る溶接システムA1と異なる。
【0071】
通信部31は、アンテナを介して信号の送受信を行う。通信部31は、制御部36より入力される信号を変調して、電磁波として送信する。また、通信部31は、アンテナが受信した電磁波を復調して、制御部36に出力する。通信部31は、溶接電源装置1の通信部11と無線通信を行う。
【0072】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
図7は、第3実施形態に係る溶接システムA3の機能構成を示すブロック図である。
【0074】
図7に示す溶接システムA3は、ワイヤ送給装置2を備えていない点で、第1実施形態に係る溶接システムA1と異なる。溶接システムA3は、ワイヤ電極を用いない非消耗電極式の溶接システムである。
【0075】
溶接電源装置1と溶接トーチ3とは、トーチケーブル39によって接続されている。溶接電源装置1は、例えば凹型の接続用端子であるコネクタ12を備えている。コネクタ12は、溶接トーチ3のトーチケーブル39の一端に備えられた凸型のトーチプラグ(図示しない)を差し込まれることで、溶接トーチ3と溶接電源装置1とを接続する。このコネクタ12を介して、溶接電源装置1の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、電力伝送線5および信号線8が、それぞれ、トーチケーブル39の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、電力伝送線および信号線に接続される。
【0076】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0077】
上記第1〜第3実施形態においては、本発明を溶接トーチ(溶接システム)に適用した場合について説明したが、これに限られない。例えば、先端に発生させたアークによって被加工物Wを切断するアーク切断トーチ(アーク切断システム)や、被加工物Wに溝彫りを行うアークガウジングトーチ(アークガウジングシステム)などにおいても、本発明を適用することができる。また、アークによる熱加工に限定されず、ガス溶接や抵抗溶接などの熱加工を行う熱加工用トーチ(熱加工システム)においても、本発明を適用することができる。
【0078】
本発明に係る熱加工用トーチおよび熱加工システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る熱加工用トーチおよび熱加工システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0079】
A1,A2,A3:溶接システム(熱加工システム)
1 :溶接電源装置
11 :通信部
12 :コネクタ
2 :ワイヤ送給装置
21 :コネクタ
3 :溶接トーチ(熱加工用トーチ)
31 :通信部
32 :表示部
321 :ディスプレイ
33 :操作部
331 :トーチスイッチ
332 :操作ボタン
332a :上ボタン
332b :下ボタン
332c :左ボタン
332d :右ボタン
34 :記憶部
35 :センサ部
351 :加速度センサ
36 :制御部(センサ部)
37 :トーチボディ
371 :ノズル
38 :ハンドル
39 :トーチケーブル
41 :パワーケーブル
42 :パワーケーブル
5 :電力伝送線
6 :ガスボンベ
7 :ガス配管
8 :信号線
9 :リモコン
91 :制御ケーブル
P :電力系統
W :被加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8