【文献】
KUNISHIMA, M. ET AL,Study on 1,3,5-Triazine Chemistry in Dehydrocondensation: Gauche Effect on the Generation of Active,Chemistry - A European Journal,2012年,18(49),15856-15867
【文献】
SAIGO, K. et al.,Bulletin of the Chemical Society of Japan,1977年,Vol. 50, No. 7,pp. 1863-1866
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0025】
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0026】
本明細書中、「置換されていてもよいアルキル基」における「アルキル基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1以上のアルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C
1−12アルキル基であり、中でも、C
1−6アルキル基がより好ましく、C
1−4アルキル基が特に好ましい。
【0027】
本明細書中、「C
1−6アルキル基」の好適な具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。また、「C
1−4アルキル基」の好適な具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。中でも、特にメチル、エチルまたはtert−ブチルが好ましい。
【0028】
本明細書中、「置換されていてもよいアルコキシ基」における「アルコキシ基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1以上のアルコキシ基を意味し、特に炭素数範囲は限定されないが、好ましくは、C
1−6アルコキシ基である。
【0029】
本明細書中、「C
1−6アルコキシ基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、C
1−4アルコキシ基が好ましい。
【0030】
本明細書中、「アルケニル基」としては、直鎖状または分岐鎖状のC
2−6アルケニル基等が好ましく、中でも、1−C
2−6アルケニル基(C
2−6アルケン−1−イル基)が好ましい。1−C
2−6アルケニル基の好適な具体例としては、例えば、ビニル、アリル(2−プロペニル)、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、1−ヘキセニル等が挙げられ、アリル基が特に好ましい。
【0031】
本明細書中、「アルキニル基」としては、C
2−6アルキニル基等が好ましく、中でも、1−C
2−6アルキニル基(C
2−6アルキン−1−イル基)が好ましい。1−C
2−6アルキニル基の好適な具体例としては、例えば、エチニル、プロパルギル(2−プロピニル)、1−プロピニル、1−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、1−ヘキシニル等が挙げられ、中でも、エチニル基又はプロパルギル基が特に好ましい。
【0032】
本明細書中、「シクロアルキル基」とは、炭素原子数3以上の環状アルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C
3−10シクロアルキル基である。
【0033】
本明細書中、「C
3−10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、C
3−8シクロアルキル基が好ましく、C
3−6シクロアルキル基がより好ましく、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基が特に好ましい。
【0034】
本明細書中、「シクロアルケニル基」とは、炭素原子数3以上の環状アルケニル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C
3−10シクロアルケニル基である。
【0035】
本明細書中、「C
3−10シクロアルケニル基」としては、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル等が挙げられる。中でも、C
3−6シクロアルケニル基が好ましい。
【0036】
上記のC
3−10シクロアルキル基及びC
3−10シクロアルケニル基は、それぞれベンゼン環と縮合して縮合環基を形成していてもよく、このような縮合環基としては、例えば、インダニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
【0037】
また、上記のC
3−10シクロアルキル基及びC
3−10シクロアルケニル基は、C
7−10橋かけ式炭化水素基であってもよい。C
7−10橋かけ式炭化水素基としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシル、アダマンチル等が挙げられる。
【0038】
さらに、上記のC
3−10シクロアルキル基及びC
3−10シクロアルケニル基は、それぞれC
3−10シクロアルカン又はC
3−10シクロアルケンとスピロ環基を形成していてもよい。ここで、C
3−10シクロアルカン及びC
3−10シクロアルケンとしては、上記のC
3−10シクロアルキル基及びC
3−10シクロアルケニル基に対応する環が挙げられる。このようなスピロ環基としては、スピロ[4.5]デカン−8−イル等が挙げられる。
【0039】
本明細書中、「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいアリールオキシ基」における「アリール基」とは、芳香族性を示す単環式或いは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、ターフェニル、ジフェニルナフチル、2−アンスリル、フェナントリル等のC
6−22アリール基を示す。中でも、C
6−10アリール基が好ましい。
【0040】
本明細書中、「C
6−10アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルが挙げられ、フェニルが特に好ましい。
【0041】
本明細書中、「置換されていてもよいアリールオキシ基」とは、酸素原子に「置換されていてもよいアリール基」が結合した基を意味する。「アリールオキシ基」としては、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ等のC
6−10アリールオキシ基が挙げられ、中でも、フェノキシ基が好ましい。
【0042】
本明細書中、「アラルキル」とは、「アルキル基」に「アリール基」が置換した基を意味し、好ましくは、「C
7−14アラルキル」である。
【0043】
本明細書中、「C
7−14アラルキル」とは、「C
1−4アルキル基」に「C
6−10アリール基」が置換した基を意味し、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、(ナフチル−1−イル)メチル、(ナフチル−2−イル)メチル、1−(ナフチル−1−イル)エチル、1−(ナフチル−2−イル)エチル、2−(ナフチル−1−イル)エチル、2−(ナフチル−2−イル)エチル、ビフェニリルメチル等が挙げられる。
【0044】
本明細書中、「置換されていてもよいアラルキルオキシ基」とは、酸素原子に「置換されていてもよいアラルキル基」が結合した基を意味する。「アラルキルオキシ基」としては、例えば、ベンジロキシ、1−ナフチルメチルオキシ、2−ナフチルメチルオキシ等のC
7−14アラルキルオキシ基が挙げられ、中でも、ベンジロキシ基が好ましい。
【0045】
本明細書中、「複素環基」としては、芳香族複素環基及び非芳香族複素環基が挙げられる。
【0046】
ここで、芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する4乃至7員(好ましくは5又は6員)の単環式芳香族複素環基及び縮合芳香族複素環基が挙げられる。該縮合芳香族複素環基としては、例えば、これら4乃至7員の単環式芳香族複素環基に対応する環と、1又は2個の窒素原子を含む5又は6員の芳香族複素環(例、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリジン、ピリミジン)、1個の硫黄原子を含む5員の芳香族複素環(例、チオフェン)及びベンゼン環から選ばれる1又は2個が縮合した環から誘導される基等が挙げられる。
【0047】
芳香族複素環基の好適な例としては、
フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル等の単環式芳香族複素環基;
キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、ピロロピラジニル、イミダゾピリジル、チエノピリジル、イミダゾピラジニル、ピラゾロピリジル、ピラゾロチエニル、ピラゾロトリアジニル、ピリドピリジル等の縮合芳香族複素環基;
等が挙げられる。
【0048】
芳香族複素環基がトリアジン環を構成する炭素原子に結合する場合、芳香族複素環基を構成するヘテロ原子又は炭素原子のいずれと結合を形成してもよく、また、芳香族複素環基を構成するヘテロ原子(特に窒素原子)と結合を形成する場合は、4級塩(例、1−ピリジニオ基)を形成してもよい。
【0049】
本明細書中、「含窒素芳香族複素環基」とは、前記「芳香族複素環基」として例示した「芳香族複素環基」の中で、環構成原子として少なくとも1個の窒素原子を含み、さらに酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1又は2個含有していてもよい単環式芳香族複素環基若しくは縮合芳香族複素環基を意味する。
【0050】
含窒素芳香族複素環基の好適な例としては、
ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル等の単環式含窒素芳香族複素環基;
キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、ピロロピラジニル、イミダゾピリジル、チエノピリジル、イミダゾピラジニル、ピラゾロピリジル、ピラゾロチエニル、ピラゾロトリアジニル、ピリドピリジル等の縮合含窒素芳香族複素環基;
等が挙げられる。
【0051】
非芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含有する3乃至7員(好ましくは4乃至7員、より好ましくは5又は6員)の単環式非芳香族複素環基及び縮合非芳香族複素環基が挙げられる。該縮合非芳香族複素環基としては、例えば、これら3乃至7員の単環式非芳香族複素環基に対応する環と、1又は2個の窒素原子を含む5又は6員の芳香族複素環(例、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリジン、ピリミジン)、1個の硫黄原子を含む5員の芳香族複素環(例、チオフェン)及びベンゼン環から選ばれる1又は2個の環が縮合した環から誘導される基、並びに該基の部分飽和により得られる基等が挙げられる。
【0052】
非芳香族複素環基の好適な例としては、
アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、イミダゾリニル、ジオキソリル、ジオキソラニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、チオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフリル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロトリアゾリル、テトラヒドロトリアゾリル等の単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾジオキセピニル、テトラヒドロベンゾフラニル、クロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロフタラジニル、ヘキサヒドロフロピロリル等の縮合非芳香族複素環基;
等が挙げられる。
【0053】
非芳香族複素環基は、架橋されていてもよい。架橋非芳香族複素環基の好適な例としては、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル等が挙げられる。
【0054】
本明細書中、前記「複素環基」は、置換可能な位置に1乃至3個の置換基を有していてもよい。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0055】
本明細書中、「置換アミノ基」とは、アミノ基の2個の水素原子のうちの少なくとも1個が水素原子以外の基で置換された基を意味し、2個の水素原子の両方が置換基により置換されている場合には、該置換基は、同一又は異なっていてもよい。
【0056】
本明細書中、「置換アミノ基」を構成する置換基としては、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons刊(1980)に記載のアミノ基の保護基等を使用し得、C
1−6アルキル基、C
1−6アルコキシ基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
6−10アリール基、複素環基、C
7−14アラルキル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、アシル基(例、ホルミル基、C
1−6アルキル−カルボニル基、C
1−6アルコキシ−カルボニル基、C
2−6アルケニロキシカルボニル基、C
6−10アリール−カルボニル基、C
7−14アラルキル−カルボニル基、C
6−10アリールオキシ−カルボニル基、C
7−14アラルキルオキシ−カルボニル基、C
1−6アルキルスルホニル基、C
6−10アリールスルホニル基、モノ若しくはジ−C
1−6アルキル−カルバモイル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、フタロイル基等)、トリ置換シリル基等の基が挙げられる。上記の置換基は、ハロゲン原子、C
1−6アルキル基、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルコキシ−カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等でそれぞれ更に置換されていてもよい。当該置換アミノ基の置換基の具体例としては、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、ベンジル、フェニル、ピリジル、メトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、ナフトイル、tert−ブトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ベンズヒドリル、トリチル、フタロイル、アリルオキシカルボニル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、o−ニトロベンゼンスルホニル、トリメチルシリルエトキシカルボニル、ジメチルカルバモイル等が挙げられ、好ましくは、それぞれハロゲン原子、C
1−6アルキル基、C
1−6アルコキシ−カルボニル基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい、メチル、フェニル、メトキシ、アセチル、ベンゾイル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル等である。
【0057】
「置換アミノ基」の別の好適な例としては、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい第2級環状アミノ基等が挙げられる。
【0058】
本明細書中、「C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基」とは、アミノ基の窒素原子に1個又は2個のC
1−6アルキル基が結合した基を意味し、例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ等が挙げられる。好適には、C
1−6アルキル基でジ置換されたアミノ基(例、ジメチルアミノ等)である。
【0059】
本明細書中、「環状アミノ基」とは、アミノ基の窒素原子と共に形成される、第2級又は第3級の飽和又は部分不飽和の含窒素非芳香族複素環基を意味する。「環状アミノ基」としては、アミノ基の窒素原子の他の環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を有していてもよく、3乃至8員(好ましくは5又は6員)の単環式含窒素非芳香族複素環基及び縮合含窒素非芳香族複素環基が挙げられる。「環状アミノ基」の例としては、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、アゼパニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロトリアゾリル、テトラヒドロトリアゾリル等の3乃至8員の単環式含窒素非芳香族複素環基、該単環式含窒素非芳香族複素環と1又は2個の炭素環が縮合した環基等の第2級環状アミノ基、ならびにキヌクリジニル基等の第3級環状アミノ基が挙げられる。
【0060】
「置換されていてもよい(第2級)環状アミノ基」の好適な例としては、例えば、それぞれ置換されていてもよい、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、アゼパニル、モルホリニル、チオモルホリニル、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(コハク酸イミド基)、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド基)、2,5−ジオキソ−3−ピロリン−1−イル(マレインイミド基)、2−ピペリドン−1−イル、1,2−ジヒドロ−2−オキソピリジン−1−イル、1,4−ジヒドロ−4−オキソピリジン−1−イル、9H−カルバゾール−9−イル、1,3−ジオキソ−1,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−2H−イソインドール−2−イル(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、2−オキソイミダゾリン−1−イル等の第2級環状アミノ基が挙げられ、好ましくは、4−モルホリニル、1−ピロリジニル(ピロリジン−1−イル)又は1−ピペリジル(ピペリジン−1−イル)である。
【0061】
「置換されていてもよい第3級環状アミノ基」の好適な例としては、例えば、置換されていてもよいキヌクリジニル(例、キヌクリジニル、3−アミノキヌクリジニル、3−ヒドロキシキヌクリジニル等)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル(DABCO)、ストリキニーネ、ブルン、キニーネ、キニジン、メキタジン等由来の第3級アミノ基等が挙げられ、好ましくは、キヌクリジニルである。
【0062】
本明細書中、「置換メルカプト基」としては、例えば、それぞれ置換されていてもよい、C
1−20アルキル基、C
2−20アルケニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10シクロアルケニル基、C
6−10アリール基、C
7−14アラルキル基、アシル基(例、C
1−20アルキル−カルボニル基、C
6−10アリール−カルボニル基、C
1−20アルキルスルホニル基、C
6−10アリールスルホニル基等)、置換されていてもよいシリル基(例、トリC
1−4アルキルシリル基等)、複素環基等から選ばれる置換基で置換されたメルカプト基が挙げられる。
【0063】
「置換メルカプト基」の好適な例としては、例えば、製造時の取扱い易さの観点から無臭チオール由来の基が挙げられる。具体的には、例えば、Node, M. et al., Tetrahedron Lett., 2001, 42, 9207に記載のドデシルチオ基、4−ドデシルフェニルチオ基等が好ましく、市販品から誘導可能なドデシルチオ基が特に好ましい。
【0064】
本明細書中、「置換されていてもよいアシル基」における「アシル基」とは、例えば、ホルミル基、C
1−20アルキル−カルボニル基、C
1−20アルコキシ−カルボニル基、C
3−10シクロアルキル−カルボニル基、C
3−10シクロアルキルオキシ−カルボニル基、C
7−14アラルキル−カルボニル基、C
7−14アラルキルオキシ−カルボニル基、C
6−10アリール−カルボニル基、C
6−10アリールオキシ−カルボニル基、カルバモイル基(−CONH
2)、モノ若しくはジ−C
1−6アルキル−カルバモイル基、モノ若しくはジ−C
3−10シクロアルキル−カルバモイル基、モノ若しくはジ−複素環カルバモイル基、C
1−20アルキルスルホニル基、C
6−10アリールスルホニル基、環状アミノカルボニル基、複素環カルボニル基、チオカルバモイル基(−CSNH
2)、モノ若しくはジ−C
1−6アルキルチオカルバモイル基、モノ若しくはジ−C
3−10シクロアルキルチオカルバモイル基、環状アミノカルボニル基、複素環カルボニル基、スルファモイル基(−S(O)
2NH
2)、モノ若しくはジ−C
1−6アルキルスルファモイル基、モノ若しくはジ−C
3−10シクロアルキルスルファモイル基、環状アミノスルホニル基、複素環スルホニル基等を包含する基を意味する。
【0065】
「置換されていてもよいアシル基」の好適な例としては、置換されていてもよいC
1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、ピバロイル等)、置換されていてもよいC
1−6アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、置換されていてもよいC
7−14アラルキルオキシ−カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル等)、置換されていてもよいC
3−10シクロアルキル−カルボニル基(例、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、置換されていてもよいC
3−10シクロアルキルオキシ−カルボニル基、置換されていてもよいC
6−10アリール−カルボニル基(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等)、置換されていてもよいジ(C
1−6アルキル)カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル等)、置換されていてもよいC
1−20アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル等)、置換されていてもよいC
6−10アリールスルホニル基(例、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル等)、置換されていてもよいジ(C
1−6アルキル)スルファモイル基(例、ジメチルスルファモイル等)、置換されていてもよい環状アミノカルボニル基(例、ピロリジルカルボニル、ピペリジルカルボニル、モルホリニルカルボニル等)、置換されていてもよい環状アミノスルホニル基(例、ピロリジルスルホニル、ピペリジルスルホニル、モルホリニルスルホニル等)、置換されていてもよい複素環カルボニル基(例、ピリジルカルボニル等)等が挙げられる。中でも、アセチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンゾイル、メタンスルホニル、ドデシルスルホニル、ドデシルスルフィニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、ジメチルカルバモイル等のアシル基が特に好ましい。
【0066】
本明細書中、「環状アミノカルボニル基」又は「環状アミノスルホニル基」とは、前記環状アミノ基の環構成窒素原子にカルボニル又はスルホニルが結合したものであり、例えば、ピロリジニルカルボニル基、ピペリジルカルボニル基、モルホリニルカルボニル基、ピロリジニルスルホニル基、ピペリジルスルホニル基、モルホリニルスルホニル基、等が挙げられる。
【0067】
本明細書中、「複素環カルボニル基」又は「複素環スルホニル基」の複素環としては、前記「複素環基」として例示した「芳香族複素環基」及び「非芳香族複素環基」が挙げられる。
【0068】
「C
1−6アルキル−カルボニル基」とは、−C(=O)−に「C
1−6アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、ヘキシルカルボニル等が挙げられる。中でも、C
1−4アルキル−カルボニル基が好ましく、アセチル基が特に好ましい。
【0069】
本明細書中、「C
6−10アリール−カルボニル基」とは、−C(=O)−に「C
6−10アリール基」が結合した基を意味し、例えば、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等が挙げられる。中でも、ベンゾイル基が好ましい。
【0070】
本明細書中、「C
1−6アルコキシ−カルボニル基」とは、−C(=O)−に「C
1−6アルコキシ基」が結合した基を意味し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。中でも、C
1−4アルコキシ−カルボニル基が好ましい。
【0071】
本明細書中、「アルキルスルフィニル基」とは、−S(O)−に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec−ブチルスルフィニル、tert−ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、ヘキシルスルフィニル、ヘプチルスルフィニル、オクチルスルフィニル、ノニルスルフィニル、デシルスルフィニル、ウンデシルスルフィニル、ドデシルスルフィニル等のC
1−20アルキルスルフィニル基が挙げられる。中でも、ドデシルスルフィニル基が好ましい。
【0072】
本明細書中、「アリールスルフィニル基」とは、−S(O)−に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルフィニル、1−ナフチルスルフィニル、2−ナフチルスルフィニル等のC
6−10アリールスルフィニル基が挙げられる。中でも、フェニルスルフィニル基が好ましい。
【0073】
本明細書中、「アルキルスルホニル基」とは、−S(O)
2−に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル、ノニルスルホニル、デシルスルホニル、ウンデシルスルホニル、ドデシルスルホニル等のC
1−20アルキルスルホニル基が挙げられる。中でも、ドデシルスルホニル基が好ましい。
【0074】
本明細書中、「アリールスルホニル基」とは、−S(O)
2−に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニル、1−ナフチルスルホニル、2−ナフチルスルホニル等のC
6−10アリールスルホニル基が挙げられる。中でも、フェニルスルホニル基が好ましい。
【0075】
本明細書中、「置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基」における「アルキルスルホニルオキシ基」とは、−S(O)
2−O−の硫黄原子に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ、ブチルスルホニルオキシ、イソブチルスルホニルオキシ、sec−ブチルスルホニルオキシ、tert−ブチルスルホニルオキシ、ペンチルスルホニルオキシ、イソペンチルスルホニルオキシ、ネオペンチルスルホニルオキシ、ヘキシルスルホニルオキシ等のC
1−6アルキルスルホニルオキシ基が挙げられる。中でも、C
1−4アルキルスルホニルオキシ基が好ましい。「置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基」としては、ハロゲン原子により置換されていてもよいメチルスルホニルオキシ基(例、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基)が特に好ましい。
【0076】
本明細書中、「置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基」とは、−S(O)
2−O−の硫黄原子に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホニルオキシ、1−ナフチルスルホニルオキシ、2−ナフチルスルホニルオキシ等が挙げられる。中でも、フェニルスルホニルオキシ基が好ましい。「置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基」としては、メチル基により置換されていてもよいフェニルスルホニルオキシ基(例、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基)が特に好ましい。
【0077】
本明細書中、「置換されていてもよいアルキルスルホナート」における「アルキルスルホナート」とは、−SO
3−に「アルキル基」が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホナート、エチルスルホナート、プロピルスルホナート、イソプロピルスルホナート、ブチルスルホナート、イソブチルスルホナート、sec−ブチルスルホナート、tert−ブチルスルホナート、ペンチルスルホナート、イソペンチルスルホナート、ネオペンチルスルホナート、ヘキシルスルホナート等が挙げられる。中でも、C
1−4アルキルスルホナートが好ましい。「置換されていてもよいアルキルスルホナート」としては、ハロゲン原子により置換されていてもよいメチルスルホナート(例、トリフルオロメタンスルホナート)が特に好ましい。
【0078】
本明細書中、「置換されていてもよいアリールスルホナート」における「アリールスルホナート」とは、−SO
3−に「アリール基」が結合した基を意味し、例えば、フェニルスルホナート、1−ナフチルスルホナート、2−ナフチルスルホナート等のC
6−10アリールスルホナートが挙げられる。中でも、フェニルスルホナートが好ましい。「置換されていてもよいアリールスルホナート」における「アリールスルホナート」としては、メチル基により置換されていてもよいフェニルスルホナート(例、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート)が特に好ましい。
【0079】
本明細書中、「トリ置換シリル基」とは、同一又は異なる3個の置換基(例、C
1−6アルキル基、C
6−10アリール基等)により置換されたシリル基を意味し、当該基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
【0080】
本明細書中、「置換されていてもよい」とは、特に規定する場合を除き、1個以上の置換基を有していてもよいことを意味し、該「置換基」としては、(1)ハロゲン原子、(2)ニトロ基、(3)シアノ基、(4)ヒドロキシ基、(5)置換アミノ基、(6)オキソ基、(7)チオキソ基、(8)置換メルカプト基、(9)C
1−6アルキル基、(10)C
3−8シクロアルキル基、(11)C
3−8シクロアルケニル基、(12)C
2−6アルケニル基、(13)C
2−6アルキニル基、(14)C
1−6アルコキシ基、(15)C
1−6アルコキシ−C
1−6アルコキシ基、(16)C
1−6アルキレンジオキシ基、(17)C
6−10アリール基、(18)C
6−10アリールオキシ基、(19)C
7−14アラルキル基、(20)C
7−14アラルキルオキシ基、(21)C
1−6アルコキシ−カルボニル基、(22)C
7−14アラルキルオキシ−カルボニル基、(23)C
1−6アルキル−カルボニル基、(24)C
6−10アリール−カルボニル基、(25)C
1−6アルキル−カルボニルオキシ基、(26)C
6−10アリール−カルボニルオキシ基、(27)C
6−10アリールオキシ−カルボニル基、(28)C
1−6アルキルスルホニル基、(29)C
6−10アリールスルホニル基、(30)ホルミル基、(31)アジド基、(32)C
1−20アルキルチオ基、(33)C
6−10アリールチオ基、(34)ジ(C
1−6アルキル)カルバモイル基、(35)トリ置換シリル基、(36)ウレイド基、(37)ジアルキルホスホノ基、(38)アミジノオキシ基、(39)複素環オキシ基等が挙げられる。中でも、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、メチレンジオキシ、C
1−6アルコキシ−カルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ベンジル、トリチル、フェニル、フェノキシ、ナフチル、アジド、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルアミノ、アセチル(メチル)アミノ、アセチル(フェニル)アミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノが好ましい。また、複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0081】
上記置換基は、さらに上記置換基で置換されていてもよい。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、好ましくは1乃至5個、より好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0082】
(本発明の化合物)
本発明の化合物は、下記式(I):
【0084】
[式中、
R
1は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示し;
R
2は、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換アミノ基、置換メルカプト基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示し;
R
3は、C
1−4アルキル基を示し;
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基を示すか、又はR
4及びR
5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよい第2級環状アミノ基を形成し、或いは、
R
3、R
4及びR
5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよい第3級環状アミノ基を形成し;ならびに
Y
−は、求核性がないか、又は求核性が低い対アニオンを示す。]
で表されるトリアジノン化合物(以下、化合物(I)と称することもある。)である。
【0085】
以下、化合物(I)の各基について説明する。
【0086】
R
1は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0087】
R
1は、好ましくは、C
1−6アルキル基又はC
2−6アルケニル基である。
【0088】
R
1は、より好ましくは、メチル基又はアリル基である。
【0089】
R
2は、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換アミノ基、置換メルカプト基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0090】
R
2は、好ましくは、C
1−6アルコキシ基、C
7−14アラルキルオキシ基、C
6−10アリールオキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい3〜8員の環状アミノ基、又は置換されていてもよいC
6−10アリール基である。
【0091】
R
2は、より好ましくは、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、5〜6員の環状アミノ基、又はハロゲン原子若しくはC
1−6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0092】
R
2は、さらに好ましくは、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基又はC
1−4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0093】
R
3は、C
1−4アルキル基を示し;且つ
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基を示すか、又はR
4及びR
5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよい第2級環状アミノ基を形成する。
また、別の態様として、R
3、R
4及びR
5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換されていてもよい第3級環状アミノ基を形成する。
【0094】
R
3、R
4及びR
5の好ましい態様としては、R
3が、メチル基であり、且つR
4及びR
5が、それぞれ独立して、C
1−6アルキル基であるか、又はR
4及びR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換されていてもよい3〜8員の第2級環状アミノ基を形成する。
【0095】
R
3、R
4及びR
5のより好ましい態様としては、R
3が、メチル基であり、且つR
4及びR
5が、それぞれ独立して、C
1−4アルキル基であるか、又はR
4及びR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5〜6員の第2級環状アミノ基を形成する。
【0096】
R
3、R
4及びR
5のさらに好ましい態様としては、R
3が、メチル基であり、且つR
4及びR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基又は1−ピペリジル基を形成する。
【0097】
Y
−は、求核性がないか、又は求核性が低い対アニオンを示す。
【0098】
Y
−は、好ましくは、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート及びアルセナートからなる群より選択される対アニオンである。
【0099】
Y
−は、より好ましくは、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ハロゲン原子で置換されていてもよいC
1−4アルキルスルホナート、置換されていてもよいフェニルスルホナート、及びペルクロラートからなる群より選択される対アニオンである。
【0100】
Y
−は、さらに好ましくは、クロリド、トリフルオロメタンスルホナート、メタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、トルエンスルホナート、2−ニトロベンゼンスルホナート及びペルクロラートからなる群より選択される対アニオンである、からなる群より選択される対アニオンである。
【0101】
化合物(I)としては、以下の化合物が好適である。
【0102】
[化合物(IA)]
R
1が、C
1−6アルキル基又はC
2−6アルケニル基であり、
R
2が、C
1−6アルコキシ基、C
7−14アラルキルオキシ基、C
6−10アリールオキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい3〜8員の環状アミノ基、又は置換されていてもよいC
6−10アリール基であり、
R
3が、メチル基であり;
R
4及びR
5が、それぞれ独立して、C
1−6アルキル基であるか、又はR
4及びR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって3〜8員の置換されていてもよい第2級環状アミノ基を形成し、ならびに
Y
−が、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、置換されていてもよいアルキルスルホナート、置換されていてもよいアリールスルホナート、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート及びアルセナートからなる群より選択される対アニオンである、化合物(I)。
【0103】
[化合物(IB)]
R
1が、メチル基又はアリル基であり;
R
2が、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、5〜6員の環状アミノ基、又はハロゲン原子若しくはC
1−6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、
R
3が、メチル基であり;
R
4及びR
5が、それぞれ独立して、C
1−4アルキル基であるか、又はR
4及びR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって5〜6員の第2級環状アミノ基を形成し、ならびに
Y
−が、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ハロゲン原子で置換されていてもよいC
1−4アルキルスルホナート、置換されていてもよいフェニルスルホナート、及びペルクロラートからなる群より選択される対アニオンである、化合物(I)。
【0104】
[化合物(IC)]
R
1が、メチル基又はアリル基であり;
R
2が、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、又はC
1−4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、
R
3が、メチル基であり;
R
4及びR
5が、それらが結合する窒素原子と一緒になって4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基又は1−ピペリジル基を形成し、ならびに
Y
−が、クロリド、トリフルオロメタンスルホナート、メタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、トルエンスルホナート、2−ニトロベンゼンスルホナート及びペルクロラートからなる群より選択される対アニオンである、化合物(I)。
【0105】
好適な化合物(I)としては、具体的には、後述する実施例に記載の化合物(I−1)〜化合物(I−5)が挙げられる。
【0106】
また、本願発明には、上記化合物(I)の合成前駆体である式(II):
【0108】
[式中、
R
1は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示し;
R
2は、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換アミノ基、置換メルカプト基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示し;ならびに
Y’は、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基を示す。]
で表されるトリアジノン化合物(以下、化合物(II)と称することもある。)も含まれる。
【0109】
以下、化合物(II)の各基について説明する。
【0110】
R
1は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0111】
R
1は、好ましくは、C
1−6アルキル基又はC
2−6アルケニル基である。
【0112】
R
1は、より好ましくは、メチル基又はアリル基である。
【0113】
R
2は、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換アミノ基、置換メルカプト基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0114】
R
2は、好ましくは、C
1−6アルコキシ基、C
7−14アラルキルオキシ基、C
6−10アリールオキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい3〜8員の環状アミノ基、又は置換されていてもよいC
6−10アリール基である。
【0115】
R
2は、より好ましくは、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、5〜6員の環状アミノ基、又はハロゲン原子若しくはC
1−6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0116】
R
2は、さらに好ましくは、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基又はC
1−4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0117】
Y’は、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基を示す。
【0118】
Y’は、好ましくは、塩素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又は2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基である。
【0119】
Y’は、より好ましくは、塩素原子である。
【0120】
化合物(II)としては、以下の化合物が好適である。
【0121】
[化合物(IIA)]
R
1が、C
1−6アルキル基又はC
2−6アルケニル基であり、
R
2が、C
1−6アルコキシ基、C
7−14アラルキルオキシ基、C
6−10アリールオキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい3〜8員の環状アミノ基、又は置換されていてもよいC
6−10アリール基であり、および
Y’が、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基である、化合物(II)。
【0122】
[化合物(IIB)]
R
1が、メチル基又はアリル基であり;
R
2が、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、5〜6員の環状アミノ基、又はハロゲン原子若しくはC
1−6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、および
Y’が、塩素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又は2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基である、化合物(II)。
【0123】
[化合物(IIC)]
R
1が、メチル基又はアリル基であり;
R
2が、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、又はC
1−4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、および
Y’が、塩素原子である、化合物(II)。
【0124】
好適な化合物(II)としては、具体的には、後述する実施例に記載の化合物(II−1)〜化合物(II−6)である。
【0125】
また、本願発明の別の態様として、上記化合物(I)の合成前駆体である式(II’):
【0127】
[式中、R
2bは、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換アミノ基、置換メルカプト基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示し;及び
Y
aは、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基を示す。]
で表されるトリアジノン化合物(以下、化合物(II’)と称することもある。)も含まれる。
【0128】
以下、化合物(II’)の各基について説明する。
【0129】
R
2bは、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換アミノ基、置換メルカプト基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0130】
R
2bは、好ましくは、C
1−6アルコキシ基、C
7−14アラルキルオキシ基、C
6−10アリールオキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい3〜8員の環状アミノ基、又は置換されていてもよいC
6−10アリール基である。
【0131】
R
2bは、より好ましくは、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、5〜6員の環状アミノ基、又はハロゲン原子若しくはC
1−6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0132】
R
2bは、さらに好ましくは、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基又はC
1−4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0133】
Y
aは、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基を示す。
【0134】
Y
aは、好ましくは、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又は2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基である。
【0135】
Y
aは、より好ましくは、塩素原子である。
【0136】
化合物(II’)としては、以下の化合物が好適である。
【0137】
[化合物(II’A)]
R
2bが、C
1−6アルコキシ基、C
7−14アラルキルオキシ基、C
6−10アリールオキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい3〜8員の環状アミノ基、又は置換されていてもよいC
6−10アリール基であり、および
Y
aが、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基である、化合物(II’)。
【0138】
[化合物(II’B)]
R
2bが、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、5〜6員の環状アミノ基、又はハロゲン原子若しくはC
1−6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、および
Y
aが、塩素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又は2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基である、化合物(II’)。
【0139】
[化合物(II’C)]
R
2bが、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、又はC
1−4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、および
Y
aが、塩素原子である、化合物(II’)。
【0140】
好適な化合物(II’)としては、具体的には、後述する実施例に記載の化合物(II−1)〜化合物(II−4)および化合物(II−6)である。
【0141】
また、本願発明のさらに別の態様として、上記化合物(I)の合成前駆体である式(IIa):
【0143】
[式中、R
2aは、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換アミノ基、置換メルカプト基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示し;及び
Y
aは、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基を示す。]
で表されるトリアジノン化合物(以下、化合物(IIa)と称することもある。)も含まれる。
【0144】
以下、化合物(IIa)の各基について説明する。
【0145】
R
2aは、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換アミノ基、置換メルカプト基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0146】
R
2aは、好ましくは、ハロゲン原子、C
1−6アルコキシ基、C
7−14アラルキルオキシ基、C
6−10アリールオキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい3〜8員の環状アミノ基、又は置換されていてもよいC
6−10アリール基である。
【0147】
R
2aは、より好ましくは、ハロゲン原子、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、5〜6員の環状アミノ基、又はハロゲン原子若しくはC
1−6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0148】
R
2aは、さらに好ましくは、塩素原子、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基又はC
1−4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
【0149】
Y
aは、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基を示す。
【0150】
Y
aは、好ましくは、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又は2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基である。
【0151】
Y
aは、より好ましくは、塩素原子である。
【0152】
化合物(IIa)としては、以下の化合物が好適である。
【0153】
[化合物(IIaA)]
R
2aが、ハロゲン原子、C
1−6アルコキシ基、C
7−14アラルキルオキシ基、C
6−10アリールオキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、置換されていてもよい3〜8員の環状アミノ基、又は置換されていてもよいC
6−10アリール基であり、および
Y
aが、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、又はトルエンスルホニルオキシ基である、化合物(IIa)。
【0154】
[化合物(IIaB)]
R
2aが、ハロゲン原子、C
1−6アルコキシ基、C
1−6アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、5〜6員の環状アミノ基、又はハロゲン原子若しくはC
1−6アルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、および
Y
aが、塩素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又は2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基である、化合物(IIa)。
【0155】
[化合物(IIaC)]
R
2aが、塩素原子、C
1−4アルコキシ基、C
1−4アルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、4−モルホリニル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、又はC
1−4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、および
Y
aが、塩素原子である、化合物(IIa)。
【0156】
本発明の化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)が、酸性基または塩基性基を有する場合に、塩基又は酸と反応させることにより、塩基性塩又は酸性塩にすることができる。化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)が、そのような塩の形態を取り得る場合には、その塩も本発明の化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)に含まれる。
【0157】
化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)の「塩基性塩」としては、好適には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;N−メチルモルホリン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、tert−ブチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチルピペリジン塩、ピリジン塩、4−ピロリジノピリジン塩、ピコリン塩のような有機塩基塩類又はグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり、より好適には、アルカリ金属塩である。
【0158】
化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)の「酸性塩」としては、好適には、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり、最も好適には、ハロゲン化水素酸塩(特に、塩酸塩)である。
【0159】
化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)に包含される。例えば、化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(例、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶)によりそれぞれを単品として得ることができる。
【0160】
化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)は、溶媒和物であっても、無溶媒和物であってもよい。
【0161】
化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)はまた、同位元素(例、
3H、
14C等)などで標識されていてもよい。
さらに、化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)は、重水素変換体であってもよい。
【0162】
(化合物(I)の合成)
化合物(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような反応を経て合成することができる。
【0163】
原料化合物は、特に述べない限り、市販品として容易に入手できるか、或いは、自体公知の方法又はこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
【0164】
なお、以下の反応式中の各工程で得られた化合物は、反応液のままか粗生成物として次の反応に用いることもできる。あるいは、該化合物は常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの通常の分離手段により容易に精製することができる。
(製造方法)
【0166】
[式中の各記号は、前記と同義である。]
【0167】
工程1
本工程は、化合物(II)と化合物(III)との反応により、化合物(I’)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
また、化合物(II)として、化合物(II’)又は化合物(IIa)(ただし、化合物(IIa)のR
2aが、ハロゲン原子以外の場合)を用いることもできる。
【0168】
化合物(III)の使用量は、化合物(II)1モルに対して、通常1〜4モルであり、好ましくは1〜1.5モルである。なお、好適な化合物(III)としては、前記した化合物(IA)、化合物(IB)及び化合物(IC)中のそれぞれのR
3、R
4及びR
5の各定義に該当する化合物が挙げられる。
【0169】
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグライム等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の尿素類;水あるいはリン酸塩等を含む緩衝液;それらの混合溶媒等が挙げられ、中でもジクロロメタン、クロロホルム、THF、アセトニトリル等が特に好ましい。
【0170】
反応温度は、通常0℃〜120℃、好ましくは室温〜80℃である。
反応時間は、通常0.1〜6時間である。
【0171】
工程2
本工程は、工程1により得られた化合物(I’)を、反応に影響を及ぼさない溶媒中、MYと混合することにより、対アニオンであるY’
−を他の対アニオンY
−へと変換し、化合物(I)を合成する工程である。なお、本工程は、Y’がYと同一の基である場合には、省略することができる。
【0172】
MYで表される反応剤におけるMは、金属原子、または4級アンモニウム基を示し、具体的には、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、金、銀等の貴金属、タリウム等の重金属、テトラメチルアンモニウム基等が挙げられ、中でも好ましくは、リチウム、ナトリウムまたは銀である。
【0173】
MYで表される反応剤におけるYは、前記Y
−に対応する基のうち、塩素原子、置換されていてもよいアルキルスルホニロキシ基及び置換されていてもよいアリールスルホニロキシ基のようなY’となり得る基以外の求核性がないか、又は求核性が低い基を示し、具体的には、例えば、ペルクロラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、テトラフェニルボラート、アルセナート等が挙げられる。
【0174】
該MYの使用量は、化合物(I)1モルに対して、通常1〜10モルであり、好ましくは、1〜3モルである。
【0175】
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類;1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグライム等のエーテル類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;メタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸エチル等のエステル類;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の尿素類;水;それらの混合溶媒(例、混合有機溶媒、水と有機溶媒の二層系等)等が挙げられ、中でもジクロロメタン又はアセトニトリルが特に好ましい。
【0176】
反応温度は、通常−30〜100℃、好ましくは0〜40℃である。
反応時間は、通常0.1〜30時間である。
【0177】
本発明の化合物(II)は、特に限定されないが、例えば、以下のような反応(反応式2又は3)を経て合成することができる。
【0179】
[式中、X
1及びX
2は脱離基(例、ハロゲン原子等)を示し、その他の各記号は、前記と同義である。]
【0180】
工程1
本工程は、塩化シアヌル(1)とR
2H(2)又はグリニャール試薬(R
2MgX
1)(3)との求核置換反応により、化合物(4)を製造する工程である。求核剤として化合物(2)を使用する場合は、必要に応じて塩基存在下で行われる。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
【0181】
化合物(2)又は化合物(3)の使用量は、塩化シアヌル1モルに対して、通常1〜2モルであり、好ましくは1〜1.2モルであり、より好ましくは1モルである。
【0182】
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグライム等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;アセトン等のケトン類;それらの混合溶媒等が挙げられ、中でもTHF、アセトニトリル、アセトン等が特に好ましい。
【0183】
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;水素化ナトリウム等の無機塩基を好適に使用することができる。
塩基の使用量は、塩化シアヌル1モルに対して、通常1〜2モルであり、好ましくは1〜1.2モルであり、より好ましくは1モルである。
【0184】
反応温度は、通常−40℃〜100℃、好ましくは−20℃〜室温である。
反応時間は、通常0.5〜6時間である。
【0185】
工程2
本工程は、化合物(4)を、アルカリ加水分解することにより、化合物(5)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
【0186】
溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグライム等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;アセトン等のケトン類;それらの混合溶媒等が挙げられ、中でもアセトニトリルが特に好ましい。
【0187】
使用するアルカリ水溶液としては、特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ金属水酸化物の水溶液が挙げられ、好ましくは、水酸化ナトリウム水溶液である。
アルカリ金属水酸化物の使用量は、化合物(4)1モルに対して、通常1〜4モルであり、好ましくは1.5〜3モルであり、より好ましくは2モルである。
【0188】
反応温度は、通常−40℃〜100℃、好ましくは−20℃〜室温である。
反応時間は、通常0.2〜6時間である。
【0189】
工程3
本工程は、化合物(5)のトリアジノン窒素原子を、塩基存在下、化合物(6)と反応させることにより、化合物(IIa−1)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
【0190】
溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグライム等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;アセトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;およびそれらの混合溶媒等が挙げられ、中でもアセトニトリル、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド又は1,4−ジオキサンとジメチルホルムアミドの混合溶媒が特に好ましい。
【0191】
使用する塩基としては、特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基や、ピリジン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられるが、中でも、水酸化ナトリウムや炭酸セシウム等の無機塩基が好ましい。
塩基の使用量は、化合物(5)1モルに対して、通常1〜4モルであり、好ましくは1.5〜2モルである。
【0192】
化合物(6)の使用量は、化合物(5)1モルに対して、通常1〜10モルであり、好ましくは1〜5モルであり、より好ましくは2〜4モルである。
【0193】
反応温度は、通常0℃〜100℃、好ましくは室温〜90℃である。
反応時間は、通常0.5〜6時間である。
【0195】
[式中の各記号は、前記と同義である。]
【0196】
工程1
本工程は、塩基存在下、化合物(7)とアリルアルコールとの反応により、化合物(IV)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
【0197】
アリルアルコールの使用量は、化合物(7)1モルに対して、通常1〜2モルであり、好ましくは1〜1.2モルであり、より好ましくは1モルである。
【0198】
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、ジグライム等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;アセトン等のケトン類;それらの混合溶媒等が挙げられ、中でもTHFが特に好ましい。
【0199】
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;水素化ナトリウム等の無機塩基を好適に使用することができる。中でも、水素化ナトリウム等が好ましい。
塩基の使用量は、化合物(7)1モルに対して、通常1〜2モルであり、好ましくは1〜1.2モルであり、より好ましくは1モルである。
【0200】
反応温度は、通常−40℃〜100℃、好ましくは−20℃〜室温である。
反応時間は、通常0.5〜6時間である。
【0201】
工程2
本工程は、塩基存在下、パラジウム触媒と反応させることにより化合物(IV)から化合物(IIa)を製造する工程である。
当該反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
【0202】
溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられ、中でもジクロロメタン、クロロホルム等が特に好ましい。
【0203】
パラジウム触媒としては、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(0)テトラキストリフェニルホスフィン等が挙げられ、中でも、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリドが好ましい。
パラジウム触媒の使用量は、化合物(IV)1モルに対して、通常0.001〜0.5モルであり、好ましくは0.01〜0.2モルである。
【0204】
塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン,コリジン等の有機塩基等が挙げられ、中でも、炭酸水素ナトリウム又は炭酸カリウムが好ましい。
【0205】
塩基の使用量は、R
2aの種類と次の工程3で使用する化合物(8)の種類によって以下の通り決定される。
(1)R
2aがハロゲン原子以外(例えば、アルコキシ基、モルホリニル基、アリール基等)の場合は、塩基の使用量は、化合物(IV)1モルに対して、通常0.001〜0.5モルであり、好ましくは0.01〜0.2モルであり、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
(2)R
2aがハロゲン原子(塩素原子)であって、次の工程3で使用する化合物(8)がアルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)である場合は、塩基の使用量は、化合物(IV)1モルに対して、通常2モル〜4モルであり、好ましくは3モルである。塩基の量が多すぎると、次の工程3で2分子のアルコールがトリアジン環に導入されることがあり、塩基の量が少なすぎると、工程3でのアルコールの導入効率が悪くなる。
(3)R
2aがハロゲン原子(塩素原子)であって、次の工程3で使用する化合物(8)がアミンである場合は、塩基の使用量は、化合物(IV)1モルに対して、通常0.001〜0.5モルであり、好ましくは0.01〜0.2モルであり、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
【0206】
反応温度は、通常0℃〜100℃、好ましくは室温〜80℃である。
反応時間は、通常0.5〜8時間である。
【0207】
R
2aがハロゲン原子(例、塩素原子)であって、化合物(8)のR
2bをトリアジノン環上に導入する場合は、本工程後の後処理や精製を行うことなく、ワンポットで次の工程3を行う。
【0208】
工程3
本工程は、工程2により得られた化合物(IIa)を含む反応液を、低温に保ちながら化合物(8)をゆっくりとシリンジポンプを用いて滴下して反応させることにより、化合物(II’)を合成する工程である。本反応によれば、R
2bを、トリアジノン環上に位置選択的に(トリアジノン環のアリル基の導入された窒素原子の隣の炭素原子に)導入することができる。
当該反応は、工程2の反応液をそのまま用いて行われるので、溶媒、塩基及び塩基の使用量は、工程2において記載した通りである。
なお、本工程は、R
2aがハロゲン原子ではなく、R
2bと同一の基である場合には、省略することができる。
【0209】
化合物(8)の使用量は、化合物(8)の種類によって以下の通り決定される。
(1)化合物(8)がアルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)である場合は、化合物(IV)1モルに対して、通常10モル〜40モルであり、好ましくは20モルである。化合物(8)がアルコールである場合は、工程2で添加した塩基(炭酸水素ナトリウム)存在下で化合物(8)との反応を行う。
(2)化合物(8)がアミンである場合は、化合物(IV)1モルに対して、通常2〜3モルであり、好ましくは2モルである。アミン2モルのうちの1モル分は、置換反応により生じる塩化水素を捕捉するのに使用される。
【0210】
反応温度は、化合物(8)の種類によって以下の通り決定される。
(1)化合物(8)がアルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)である場合は、工程2の反応液を−18℃まで冷却し、化合物(8)をシリンジポンプにより滴下後、段階的に室温まで昇温するのが好ましい。
(2)化合物(8)がアミンである場合は、工程2の反応液を−78℃まで冷却し、化合物(8)をシリンジポンプにより滴下後、そのままの温度で反応を完結させるのが好ましい。
反応温度が、上記温度よりも高かったり、及び/又は滴下速度が上がると、化合物(8)が2分子導入された下記式:
【0212】
[式中の各記号は、前記と同義である。]
で表される化合物の割合が増加する。
反応時間は、化合物(8)がアルコールの場合は、通常12〜24時間であり、具体的には、化合物(8)がメタノールの場合は、約18時間である。化合物(8)がアミンの場合は、通常1時間程度である。
【0213】
(本発明の化合物(I)を脱水縮合剤として用いるカルボン酸誘導体の製造方法)
本発明の化合物(I)は、カルボキシ基を有する化合物(以下、カルボン酸化合物と称することもある。)と求核性官能基を有する化合物(例、アルコール化合物、メルカプト(チオール)化合物、アミン化合物等)とからカルボン酸誘導体(例、エステル化合物、チオエステル化合物、アミド化合物等)を製造する際の脱水縮合剤として好適に使用することができる。中でも、アミド化合物を製造する際の脱水縮合剤として、本発明の化合物(I)は、特に好適に使用することができる。
【0214】
本発明の化合物(I)を縮合剤として用いるカルボン酸誘導体の製造方法において、化合物(I)の種類及びその使用量は特に限定されず、反応系に応じて適宜決定すればよい。化合物(I)の使用量については、あまりに少ないと縮合反応が未完に終わり、またあまりに多いと副反応を起こす可能性があるので、副反応の起こり易さ等も考慮して、例えば、アミド化反応の場合には、カルボン酸1モルに対して通常0.9〜1.3モル、好ましくは0.95〜1.2モルであり、エステル化反応の場合には、カルボン酸1モルに対して通常0.9〜3モル、好ましくは0.95〜2.5モルである。
【0215】
カルボン酸誘導体の製造方法において使用されるカルボン酸化合物としては、カルボキシ基を有する化合物であれば何ら制限なく使用することができる。
【0216】
カルボン酸誘導体の製造方法の中で、アミド化合物の製造方法において使用されるアミン化合物としては、第1級アミノ基又は第2級アミノ基を有する化合物であれば何ら制限なく使用することができる。
本発明のアミド化合物の製造方法における、カルボン酸化合物及びアミン化合物の使用量は特に制限されないが、該製造方法におけるカルボキシ基とアミノ基との反応は量論反応であるため、各基をそれぞれ分子内に1個ずつ有する化合物同士の反応においては、カルボン酸1モルに対して、アミン化合物を、通常0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル使用する。
【0217】
アミド化合物の製造方法における脱水縮合反応(アミド化反応)は、溶媒中で行うのが好適である。通常、アミド化反応のように脱水を伴う縮合反応は、脱水された非プロトン性溶媒中で行うのが一般的であるが、本発明の化合物(I)を縮合剤として用いた場合には、非プロトン性溶媒中のみならず、水、プロトン性有機溶媒、又は含水有機溶媒のような広範な溶媒中で縮合反応を行うことができる。また、本発明のアミド化合物の製造方法における脱水縮合反応(アミド化反応)は、塩基存在下で行うのが好適である。
【0218】
アミド化反応の溶媒としては、工業的に使用できる溶媒が何等制限なく用いることができる。溶媒の具体例としては、例えば、水、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。中でも高い反応収率が期待できるという点で、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン
、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;又は水若しくはリン酸塩等を含む緩衝液が好適に使用される。これらの溶媒は単独で使用しても、二以上の溶媒を混合して使用してもよい。
リン酸塩等を含む緩衝液を溶媒として使用する場合のpHは、通常2〜12であり、好ましくは5〜9である。
【0219】
アミド化反応に使用する塩基としては、特に制限されないが、好ましくは、N−メチルモルホリン(NMM)又はトリエチルアミンである。
【0220】
アミド化反応における反応温度は、使用するカルボン酸化合物とアミン化合物の種類により最適な温度は異なるが、通常−30〜60℃、好ましくは室温である。
【0221】
アミド化反応における反応時間は、使用するカルボン酸化合物とアミン化合物の種類により異なるが、通常0.1〜6時間、好ましくは0.2〜2時間である。また、アミド化反応は、常圧、加圧、又は減圧のいずれでも実施できる。
【0222】
化合物(I)を縮合剤として用いるアミド化反応の操作手順(反応基質や化合物(I)を添加する順序等)は、特に限定されないが、3種類の反応試剤(すなわち、化合物(I)、カルボン酸化合物、及びアミン化合物)を混合して反応させるのが好適である。上記3種類の反応試剤の混合方法は特に限定されず、各反応試剤を同時に反応系に添加、混合してもよく、また、各反応試剤を順次に反応系に添加、混合してもよいが、操作性及び反応収率の点から、予め所定の温度に保たれた反応溶媒中に各反応試剤を順次且つ時間をおかずに添加、混合するのが特に好ましい。
【0223】
上記アミド化反応により得られるアミド化合物は、常法に従って反応混合物から単離することができ、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの通常の分離手段により容易に精製することができる。
【0224】
上記アミド化反応と同様の方法により、またはそれに準じて、他のカルボン酸誘導体(エステル化合物、チオエステル化合物等)も製造することができる。
【0225】
(本発明の化合物(II)(又は化合物(II’))と化合物(III)の混合物を用いるカルボン酸誘導体の製造方法)(本発明の化合物(I)を用いるカルボン酸誘導体の製造方法の別法)
化合物(I)を用いる前記カルボン酸誘導体の製造方法において、化合物(I)に換えて、化合物(II)(又は化合物(II’))と化合物(III)の混合物を用いることにより、反応系中で化合物(I)を生成させることを含む、カルボン酸誘導体の製造方法も、本発明のカルボン酸誘導体の製造方法に包含される。本製造方法によっても、化合物(I)を縮合剤として用いた場合と同様にカルボン酸誘導体を短時間且つ収率よく得ることができる。
【0226】
化合物(II)と化合物(III)の混合物を用いるカルボン酸誘導体の製造方法において使用する反応溶媒、反応温度、反応時間等の反応条件、及び反応基質(カルボン酸化合物、アミン化合物及びアルコール化合物)の使用量については、化合物(I)を用いる前記カルボン酸誘導体の製造方法と同様である。また、化合物(II)と化合物(III)の当量関係は、前記した化合物(I)の製造法の工程1における両者のモル比と同様である。
【0227】
本発明のカルボン酸誘導体の製造方法としては、上記2つの製造方法、すなわち、化合物(I)を用いる方法と、化合物(II)と化合物(III)の混合物を用いる方法、が挙げられるが、脱水縮合剤(すなわち、化合物(I))の単離精製工程を省略できるので、実験操作の簡便性という点において、後者がより優れている。しかし、化合物(I)の単離精製が容易な場合には、前者も好適な方法である。
【0228】
以下に実施例及び実験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
反応は、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.25mm)を用いて、薄層クロマトグラフィーによりモニターした。
1H及び
13C−NMRスペクトルは、JEOL ECS400またはECS600を用い、重クロロホルムまたは重メタノールを溶媒として測定した。
1H−NMRについてのデータは、化学シフト(δppm)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、brs=ブロードシングレット、sep=セプテット)、カップリング定数(Hz)、積分及び割当てとして報告する。
高分解能質量スペクトル解析(HRMS)は、JEOL JMS-T100TDを用いて実行した。
融点(mp)測定は、柳本微量融点測定器を用いて行った。
元素分析は、Yanaco CHN Corder MT−5を用いて実行した。
分取薄層クロマトグラフィーは、Merck 60 F254 シリカゲルプレート(厚さ0.5mm)を用いて行った。フラッシュクロマトグラフィーは、関東化学株式会社(日本、東京)のシリカゲル60Nを用いて行った。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約30℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
【0229】
以下の実施例において、化合物(I)、化合物(II)、化合物(II’)又は化合物(IIa)の合成に使用した原料化合物である2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(塩化シアヌル)は、市販品(東京化成工業株式会社製)をそのまま使用した。その他の原料化合物は、市販品をそのまま使用するか、又は自体公知の方法(例えば、Hintermann, L. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2008, Vol.47, 8246-8250;Tanaka, H. et al., Heterocycles, 2009,79,609-616;Fujita, H. et al., J. Org. Chem. 2015, 80, 11200-11205)若しくはこれらに準ずる方法に従って製造することができる。
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、クロロホルムおよび1,4−ジオキサンは、試薬グレードのものを蒸留して用いた。ジクロロメタン,アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランは、無水溶媒グレードを購入し,そのまま用いた。その他の試薬は、必要に応じて精製してから用いた。
【実施例】
【0230】
実施例1
1−アリル−4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(化合物(II−1))の合成
【0231】
【化15】
【0232】
10mL二頚ナスフラスコ中に2−アリロキシ−4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(85.3mg,0.42mmol)、炭酸カリウム(2.9mg,0.21mmol)、クロロホルム(2.1mL)を加えた。この溶液に窒素雰囲気下、室温でビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド(8.1mg,0.21mmol)を加え、加熱還流した。1時間後,濃縮し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、化合物(II−1)(46.7mg,収率55%)を得た。
【0233】
実施例2
1−アリル−4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(化合物(II−1))の合成(別法)
【0234】
【化16】
【0235】
200mL二頚ナスフラスコ中に、2−アリルオキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(2.02g,9.79mmol)、炭酸水素ナトリウム(2.47g,29.4mmol)、クロロホルム(50mL)を加えた。この溶液に窒素雰囲気下、室温でビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド(113mg,0.29mmol)を加え、4時間加熱還流し、1−アリル−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オンを得た。生成物を取り出すことなく反応溶液を−18℃に冷却し、メタノール(7.9mL,196mmol)を、シリンジポンプを用いて2時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃まで昇温し、さらに9時間後、室温に昇温した。6時間後、セライト濾過し、酢酸エチル(200mL)を加え、飽和重曹水(200mL)、飽和食塩水(200mL)で洗浄した。それぞれの水溶液を酢酸エチル(30mL)で2回抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、化合物(II−1)(1.59g,収率81%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ 5.85(ddt,J=17,11,6.0Hz,1H),5.29(ddt,J=17,1.4,1.4Hz,1H),5.29(ddt,J=11,1.4,1.4Hz,1H),4.55(ddd,J=6.0,1.4,1.4Hz,2H),4.16(s,3H);13CNMR(100MHz,CDCl3):δ170.1,162.8,153.8,129.4,120.0,57.9,45.0;
HRMS(DART):計算値(C
7H
9ClN
3O
2([M+H]
+)):202.0383;実測値:202.0400;
Anal. Calcd for C
7H
8ClN
3O
2:C,41.70;H,4.00;N,20.84. Found:C,41.62;H,4.01;N,20.83.
【0236】
実施例3
1−アリル−4−クロロ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(化合物(II−2))の合成
【0237】
【化17】
【0238】
上記実施例2と同様の方法により、1−アリル−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オンを得、そこにメタノールに代えて、イソプロパノールを添加することにより、化合物(II−2)(収率80%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ 5.84(ddt,J=17,11,6.0Hz,1H),5.48(sep,J=6.4Hz,1H),5.28(ddt,J=16,1.4,1.4Hz,1H),5.28(ddt,J=11,1.4,1.4Hz,1H),4.53(ddd,J=6.0,1.4,1.4Hz,1H),1.43(d,J=6.4,6H);
13C−NMR(100MHz,CDCl
3):δ 170.3,161.8,154.1,129.7,120.0,77.0,44.9,21.8;
HRMS(DART):計算値(C
9H
13ClN
3O
2([M+H]
+)):230.0696;実測値:230.0713;
Anal. Calcd for C
9H
12ClN
3O
2:C,47.07;H,5.27;N,18.30.Found:C,46.97;H,5.30;N,18.50.
【0239】
実施例4
1−アリル−4−クロロ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(化合物(II−3))の合成
【0240】
【化18】
【0241】
化合物(II−3)は、上記実施例2と同様の方法により、1−アリル−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オンを得、そこにメタノールの代わりにジメチルアミンを−50℃で添加することにより、化合物(II−3)(収率62%)を得た。
1H−NMR(600MHz,CDCl
3):δ 6.02(ddt,17,11,5.2,1H),5.31−5.37(m,1H),5.20−5.26(m,1H),4.51−4.55(m,2H),3.17(s,6H);
13C−NMR(100MHz,CDCl
3):δ 168.9,162.5,156.2,131.9,118.3,50.3,41.5;
HRMS(DART):計算値(C
8H
12ClN
4O([M+H]
+)):215.0700;実測値:215.0703;
Anal. Calcd for C
8H
11N
4OCl:C,44.76;H,5.17;N,26.10.Found:C,44.67;H,5.15;N,25.98.
【0242】
実施例5
1−アリル−4−クロロ−6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(化合物(II−4))の合成
【0243】
【化19】
【0244】
上記実施例2と同様の方法により、1−アリル−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オンを得、そこにメタノールの代わりにモルホリンを−50℃で添加することにより、化合物(II−4)(収率57%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ 6.05(ddt,J=17,11,5.0Hz,1H),5.36(ddd,J=11,1.8,1.8Hz,1H),5.22(ddd,J=17,1.8,1.8Hz,1H),4.44(ddd,J=4.6,1.8,1.8Hz,1H),3.79(t,J=5.0Hz,4H),3.65(t,J=5.0Hz,4H);
13C−NMR(100MHz,CDCl
3):δ 169.6,162.6,155.9,131.4,118.7,66.4,50.9,49.5;
HRMS(DART):計算値(C
10H
14ClN
4O
2([M+H]
+)):257.0805;実測値:257.0784;
Anal. Calcd for C
10H
13ClN
4O
2:C,46.79;H,5.10;N,21.83.Found:C,46.74;H,5.06;N,21.78.
【0245】
実施例6
4−クロロ−1−メチル−6−(o−トリル)−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(化合物(II−5))の合成
【0246】
【化20】
【0247】
(1)6−クロロ−4−(o−トリル)−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オンの合成
【0248】
【化21】
【0249】
200mL二頚ナスフラスコ中に、2,4−ジクロロ−6−(o−トリル)−1,3,5−トリアジン(2.8g,11.66mmol)、アセトニトリル(58mL)を加えた。この溶液に窒素雰囲気下、室温で1M水酸化ナトリウム(23.3mL)を加え、30分間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、pH2になるまで1M塩酸を加えた。冷水を加え、析出した固体をろ取することにより、6−クロロ−4−(o−トリル)−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(796mg,収率31%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.71−7.65(m,1H),7.57−7.51(m,1H),7.44−7.36(m,2H),2.60(s,3H).
【0250】
(2)化合物(II−5)の合成
【0251】
【化22】
【0252】
20mL二頚ナスフラスコ中によう化メチル(168μL,2.7mmol)、炭酸セシウム(440mg,1.35mmol)、1,4−ジオキサン(2.25mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(2.25mL)を加えた。この溶液に窒素雰囲気下、室温で6−クロロ−4−(o−トリル)−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(200mg,0.90mmol)を加え、1.5時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、ジクロロメタン(30mL)を加え、水(30mL)、飽和食塩水(60mL)で洗浄した。それぞれの水溶液をジクロロメタン(10mL)で2回抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)で精製することにより化合物(II−5)(70mg,収率33%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.51−7.45(m,1H),7.41−7.34(m,2H),7.30−7.27(m,2H),3.35(s,3H),2.30(s,3H).
【0253】
実施例7
4−クロロ−1−アリル−6−(o−トリル)−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(化合物(II−6))の合成
【0254】
【化23】
【0255】
(1)2−アリルオキシ−4−クロロ−6−(o−トリル)−1,3,5−トリアジンの合成
【0256】
【化24】
【0257】
50mL二頚ナスフラスコに窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(504mg, 12.6mmol)、テトラヒドロフラン(24mL)を加え、0℃に冷却し,アリルアルコール(856μL,12.6mmol)を加え、室温に戻して撹拌した。別の50mL二頚ナスフラスコに窒素雰囲気下、2,4−ジクロロ−6−(o−トリル)−1,3,5−トリアジン(2.02g, 8.4mmol)、テトラヒドロフラン(12mL)を加え、この溶液に対して、先に調製したナトリウムアリルオキシド/THF溶液(16mL,8.4mmol相当)を滴下し、30分間撹拌した。更にナトリウムアリルオキシド/THF溶液(4mL,2.1mmol相当)を加え、30分撹拌後、水、飽和食塩水で洗浄した。水層はジクロロメタンで3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=29:1)で精製することにより、標題化合物(1.21g,収率55%)を得た。
【0258】
(2)化合物(II−6)の合成
【0259】
【化25】
【0260】
10mL二頚ナスフラスコ中に2−アリルオキシ−4−クロロ−6−(o−トリル)−1,3,5−トリアジン(100mg,0.38mmol)、炭酸カリウム(11mg,0.076mmol)およびジクロロメタン(1.9mL)を加えた。この溶液に窒素雰囲気下、室温でビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド(29mg,0.076mmol)を加え、7時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、化合物(II−6)(46.8mg,収率47%)を得た。
【0261】
実施例8
4−(5−アリル−6−メトキシ−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリン−4−イウム クロリド(化合物(I−1))の合成
【0262】
【化26】
【0263】
30mLナスフラスコ中に、実施例1又は2で得られた1−アリル−4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2(1H)−オン(200mg,0.99mmol)、テトラヒドロフラン(10mL)を加えた。この溶液に窒素雰囲気下、0℃でN−メチルモルホリン(120μL,1.09mmol)を加え、1.5時間撹拌した。反応終了後、沈殿をろ取することで化合物(I−1)(225 mg,収率75%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD
3OD):δ 5.92(ddt,J=17,11,6.0Hz,1H),5.41(ddt,J=17,1.4,1.4Hz,1H),5.32(ddt,J=11,1.4,1.4Hz,1H),4.62(ddd,J=6.0,1.4,1.4Hz,2H),4.50−4.40(m,2H),4.26(s,3H),4.10−4.01(m,2H),3.95−3.86(m,2H),3.86−3.76(m,2H),3.51(s,3H);
13C−NMR(100MHz,CD
3OD):δ 168.4,167.4,156.2,130.7,120.4,63.3,61.3,59.6,55.9,47.0;
HRMS(ESI):計算値(C
12H
19N
4O
3([M−Cl]
+)):267.1457,実測値:267.14599.
【0264】
実施例9
4−(5−アリル−6−イソプロポキシ−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリン−4−イウム クロリド(化合物(I−2))の合成
【0265】
【化27】
【0266】
上記実施例8の方法に従い、実施例3で得られた化合物(II−2)を用いることにより、化合物(I−2)(収率82%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD
3OD):δ 5.92(ddt,J=17,10,6.0Hz,1H),5.52(sep,J=6.4,1H),5.40(dd,J=17,1.4Hz,1H),5.32(dd,J=10,1.4Hz,1H),4.89(s,3H),4.61(ddd,J=6.0,1.4,1.4Hz,2H),4.47−4.38(m,2H),4.11−4.01(m,2H),3.96−3.86(m,2H),3.86−3.76(m,2H),3.51(s,3H),1.48(d,J=6.4Hz,6H);
13C−NMR(100MHz,CD
3OD):δ 168.6,166.2,156.4,130.8,120.4,80.4,63.3,61.2,55.7,46.9,21.9;
HRMS(ESI):計算値(C
14H
23N
4O
3([M−Cl]
+)):295.1770,実測値:295.1792.
【0267】
実施例10
4−(5−アリル−6−ジメチルアミノ−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリン−4−イウム クロリド(化合物(I−3))の合成
【0268】
【化28】
【0269】
上記実施例8の方法に従い、実施例4で得られた化合物(II−3)を用いることにより、化合物(I−3)(収率96%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD
3OD):δ 6.11(ddt,J=17,11,5.0Hz,1H),5.28−5.41(m,2H),4.56−4.64(m,2H),3.64−4.47(m,8H),3.46(s,3H),3.28(s,6H);
13C−NMR(100MHz,CD
3OD):δ 166.8,164.8,159.6,133.8,118.4,63.5,60.8,56.1,52.2,42.3;
HRMS(ESI):計算値(C
13H
22N
5O
2([M−Cl]
+)):280.1774,実測値:280.1790.
【0270】
実施例11
4−メチル−4−(5−メチル−4−オキソ−6−(o−トリル)−4,5−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イル)モルホリン−4−イウム クロリド(化合物(I−4))の合成
【0271】
【化29】
【0272】
上記実施例8の方法に従い、実施例7で得られた化合物(II−6)を用いることにより、化合物(I−4)(収率80%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD
3OD):δ 7.60−7.53(m,1H),7.50−7.40(m,3H),4.51−4.43(m,2H),4.13−4.04(m,2H),3.99−3.89(m,2H),3.89−3.79(m,2H),3.54(s,3H),3.47(s,3H),2.36(s,3H);
HRMS(ESI):計算値(C
16H
21N
4O
2([M−Cl]
+)):301.1665,実測値:301.1637.
【0273】
実施例12
1−(5−アリル−6−ジメチルアミノ−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1−メチルピロリジン−4−イウム クロリド(化合物(I−5))の合成
【0274】
【化30】
【0275】
上記実施例8の方法に従い、実施例4で得られた化合物(II−3)を用い、N−メチルモルホリンに代えてN−メチルピロリジンを用いることにより、化合物(I−5)(収率72%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CD
3OD):δ 6.09(ddt,J=17.5,10.5,5.0Hz,1H),5.38−5.26(m,2H),4.61−4,56(m,2H),4.46−4.37(m,2H),4.65−3.75(m,2H),3.46(s,3H),3.28(s,6H),2.35−2.15(m,2H);
13C−NMR(100MHz,CD
3OD):δ 168.6,164.6,159.7,133.8,118.4,65.8,56,7,52.0,42.1,23.3;
HRMS(ESI):計算値(C
13H
22N
5O([M−Cl]
+)):264.1842,実測値:264.1797.
【0276】
実験例1
脱水縮合剤として化合物(I)を用いる、本発明のアミド化合物の製造方法(方法1)
【0277】
【化31】
【0278】
(実験操作例1)10mLのナスフラスコにメタノール(溶媒)(2mL)、3−フェニルプロピオン酸(60.1mg,0.40mmol)、2−フェネチルアミン(55μL,0.44mmol)及びN−メチルモルホリン(塩基)(48μL,0.44mmol)を加えた。その溶液に、化合物(I−1)(146mg,0.44mmol)を加え、室温下で30分間撹拌した。1M硫酸水素カリウム水溶液(4mL)を加え反応を終了させた。溶液をエバポレーターで留去したのち、残渣にジクロロメタンを加えて希釈し、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過にて硫酸ナトリウムを除去し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することによりN−フェネチル−3−フェニルプロパナミド(90.8mg,収率89%)を得た。
【0279】
(実験操作例2)20mLのナスフラスコにTHF(溶媒)(2mL)、3−フェニルプロピオン酸(60.1mg,0.40mmol)、2−フェネチルアミン(55μL,0.44mmol)及びトリエチルアミン(塩基)(61μL,0.44mmol)を加えた。その溶液に、化合物(I−1)(146mg,0.44mmol)を加え、室温下で30分間撹拌した。1M硫酸水素カリウム水溶液(4mL)を加え反応を終了させた。溶液をエバポレーターで留去したのち、残渣にジクロロメタンを加えて希釈し、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過にて硫酸ナトリウムを除去し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することによりN−フェネチル−3−フェニルプロパナミド(96.4mg,収率95%)を得た。
【0280】
実験例2
化合物(II)及びN−メチルモルホリン(NMM)(化合物(III))の添加により反応系中で生成する脱水縮合剤を用いる、本発明のアミド化合物の製造方法(方法2)
【0281】
【化32】
【0282】
(実験操作例)10mLのナスフラスコにメタノール(溶媒)(2mL)、3−フェニルプロピオン酸(60.1mg,0.40mmol)、2−フェネチルアミン(55μL,0.44mmol)及びN−メチルモルホリン(化合物(III))(53μL,0.48mmol)を加えた。その溶液に、化合物(II−1)(0.44mmol)を加え、室温下で2時間撹拌した。1M硫酸水素カリウム水溶液(4mL)を加え反応を終了させた。溶液をエバポレーターで留去したのち、残渣にクロロホルムを加えて希釈し、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過にて硫酸ナトリウムを除去し、濃縮した。残渣をNMRで検量することによりN−フェネチル−3−フェニルプロパナミド(85mg,収率84%)を得た。
【0283】
種々の化合物(I)、又は化合物(II)及び化合物(III)を用いて、上記実験例1又は2の方法に従い、カルボン酸化合物とアミン化合物との縮合反応を行い、得られた結果を表1に示す。
【0284】
【表1】
【0285】
表1に示すように、本発明の化合物(I)又はその前駆体である化合物(II)及び化合物(III)(すなわち、NMM)の混合物を縮合剤として用いることにより、種々のカルボン酸化合物と、アミン化合物の縮合反応において、メタノールのようなプロトン性有機溶媒、又はTHFのような非プロトン性有機溶媒のいずれの溶媒中でも短時間且つ良好な収率で、対応するアミド化合物が得られた。