(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側面で反射されて前記光学素子内を伝搬する拡散光には、前記側面の出射面側に到達する前に前記出射面で反射される光、前記側面の出射面側で反射された後に前記出射面に到達して前記出射面から出射される光、及び前記側面の出射面側で反射された後に前記出射面に到達して前記出射面で反射される光のうちの少なくともいずれかが含まれる
請求項2に記載の照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明を容易にするために、図面にはXYZ座標を示す。X軸方向は、照明装置1の左右方向である。+X軸方向は、照明装置1が光を照射する被照射物側から見て右方向である。−X軸方向は、照明装置1が光を照射する被照射物側から見て左方向である。Y軸方向は、照明装置1の上下方向である。+Y軸方向は、照明装置1の上方向である。−Y軸方向は、照明装置1の下方向である。Z軸方向は、前後方向である。+Z軸方向は、照明装置1が光を照射する被照射物側から見て奥側(後ろ)方向である。−Z軸方向は、照明装置1が光を照射する被照射物側から見て手前側(前)方向である。
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1の照明装置1の主要構成を概略的に示す構成図である。
図1(A)は、照明装置1を+Z軸方向側から見た構成図である。
図1(B)は、−Y軸方向側から見た構成図である。
図1に示されるように、照明装置1は、光を発する光源2と光源2から出射された光の配光を制御する光学素子3とを備えている。
【0010】
光源2は、例えば、発光ダイオードである。発光ダイオードは、赤色、緑色又は青色の単色光を出射する。また、発光ダイオードは、青色の発光ダイオードに黄色の蛍光体を用いて白色光を生成してもよい。また、発光ダイオードは、複数配列されていても構わない。また、発光ダイオードは、直径がφ6mm以上の大きなサイズでも構わない。
【0012】
光学素子3は、光軸C1に対して回転対称の形状を有している。つまり、光学素子3のZX平面における断面は円形である。
【0013】
光源2の光軸は、光源2の発光面2bの中心から、発光面2bに対して垂直な軸である。光源2の発光面は、レンズ側に位置する−Y軸方向の面全面である。
【0014】
入射面3aは、例えば、平面形状である。また、光源2は、入射面3aに対向して配置されている。
【0015】
出射面3bは、入射面3aに対向して配置されている。
【0016】
出射面3bは、光軸C1を回転軸とした回転体の形状をしている。出射面3bは、例えば、XY平面上に描いた曲線を、光軸C1まわりに回転させた形状をしている。出射面3bは、中心が凹形状であり、中心から外周に進むに従い凸形状となっている。出射面3bは凹面から徐々に凸面となることにより、光線を広げて出射させる効果がある。また、凹部が+Y軸方向に大きいほど、光線を広げる効果が高いが、光線が光軸C1から離れる方向に分離し、光軸C1方向に出射する光線が少なくなるため、凹部が+Y軸方向に大きすぎると好ましくない。
【0017】
側面3cは、入射面3aと出射面3bとを接続する面である。側面3cは、光軸C1側に突出した凹形状を有している。側面3cは、光軸C1を回転軸とした回転体の形状をしている。つまり、側面3cは、光軸C1を含む平面上では、光軸C1側に突出した形状をしている。
【0018】
入射面3aから入射した光線の一部は、出射面3bに到達する。出射面3bに到達した光線は、出射面3bで屈折して−Y軸方向に進行する。つまり、光学素子3の入射面3aに入射した光は、出射面3bで屈折して被照射物に照射される。
【0019】
図2は、実施の形態1の照明装置1の光の進行を示す説明図である。光学素子3の入射面3aから入射した光線の一部は、側面3cに到達する。側面3cに到達した光線は、側面3cで反射して出射面3bに到達する。または、側面3cを屈折して、−Y軸方向に進行する。屈折した光線は、光線801のような拡散光となる。出射面3bに到達した光線は、出射面3bで全反射して、光線802のように+Y軸方向に進行し、入射面3aに到達する。または、出射面3bに到達した光線は、出射面3bで屈折して、−Y軸方向に進行する。入射面3aに到達した光線は、反射あるいは屈折する。入射面3aを反射した光線は、−Y軸方向に進行する。入射面3aを屈折した光線は、+Y軸方向に進行する。入射面3aを反射し、出射面3bを反射し、そして、側面3cを反射した光線も、入射面3aに到達する。このように、光線は出射面3bを屈折して、−Y軸方向に進行する、あるいは、入射面3aを屈折して+Y軸方向に進行する。側面3cで反射あるいは屈折された光線は広がるため、局所的に明るさが変化することで照度分布が不均一となる箇所の発生は抑制される。上述した全反射は、全反射の際に、光の角度によって、全てが全反射するとは限らず、一部屈折、一部フレネル反射する場合もあるため、全て全反射された光には限らない。
【0020】
また、出射面3bでフレネル反射された光線が側面3cで反射される。側面3cで反射された光は、側面3cの凹形状によって広がった光となるため、局所的に明るさが変化することで照度分布が不均一となる箇所の発生は抑制される。
【0021】
なお、側面3cを直線形状の拡散面とすることにより、同様に明るい箇所を発生することを抑制できる。しかし、本実施の形態1では、側面3cで屈折した光線が、被照射物に到達する構成としている。このため、光の利用効率を向上させることができる。また、側面3cを拡散面とするための加工工程を削減できる。ただし、側面3cを凹形状としてサンドブラスト加工等を施すことにより、照度分布が不均一で局所的に明るさが変化する箇所の発生をさらに抑制できる。
【0022】
図3は、被照射物に光を照射する場合の照明装置1の構成図である。
図3では、被照射物は壁面4である。
【0023】
照明装置1からの光を効率よく壁面4の上部(+Y軸方向)から床面まで照射するには、光軸C1は、壁面4側に傾いていることが好ましい。
図3では、光軸C1はY軸に平行である。そして、壁面4は、照明装置1に対して、−Z軸方向に位置して、Y軸に平行である。このため、光軸C1は、−Z軸方向に傾いていることが好ましい。
図3では、光軸C1の傾き角は、角αである。例えば、角αが20°である。照明装置1の配置の一例として後の記載にもこの配置を適用する。
【0024】
光学素子3の出射面3bは、曲面形状を有している。このため、出射面3bでフレネル反射した光は、側面3cへ集光した光となって到達する。従って、出射面3bから側面3cに到達した光を、側面3cで拡散させることが好ましい。
図4は、実施の形態1の照明装置1の光の進行を示す説明図である。光学素子3の入射面3aでフレネル反射した光線の一部は、光線804のように+Y軸方向に進行する。光学素子3の入射面3aから入射した光線の一部は、光線805のように出射面3bを屈折して、−Y軸方向に進行する。また、光学素子3の入射面3aから入射した光線の一部は、出射面3bでフレネル反射し、側面3cで全反射した後、入射面3aでフレネル反射し、光線806のように+Y軸方向に進行する。さらに、光学素子3の入射面3aから入射した光線の一部は、出射面3bでフレネル反射し、側面3cで全反射した後、入射面3aで屈折し、光線803のように+Y軸方向に進行する。
【0025】
図5は、壁面4を照明する照明装置21の配置の一例を示す説明図である。
図5では、壁面4は、XY平面に平行である。また、照明装置21は、壁面4に対して+Z軸方向側に配置されている。また、照明装置21は+Y軸方向側に配置され、床面(図示せず)は、−Y軸方向側に配置されている。
図5(A)は、−X軸方向側から見た説明図である。
図5(B)は、−Z軸方向側から見た説明図である。
【0026】
照明装置21は、光源及び光学素子等を含む。しかし、照明装置21から光が出射するものとして詳細構造は省略する。
【0027】
照明装置21は、壁面4に対して角度αだけ傾いて設置されている。ここで、角度αは、例えば、20度[°]である。なお、Y軸方向は、照明装置21を傾けないときの照明装置21の上下方向である。
【0028】
図6は、本実施の形態1のシミュレーション結果を示すコンター図である。
図6は、
図1の照明装置1が
図5に示す配置で、壁面4を照明した場合の照度分布を示す。
【0029】
図5に示すように、長さ4hは、壁面4のX軸方向の長さである。また、長さ4vは、壁面4のY軸方向の長さである。ここで、長さ4hは4800mmとし、長さ4vは2700mmとする。
【0030】
図6における横軸は、X軸方向の位置を示している。
図6における縦軸は、Y軸方向の位置を示している。
【0031】
また、
図6における等高線は、最大照度値で正規化した相対照度比を10分割している。周辺から中心に進むに従って明るくなっている。
【0032】
本実施の形態1の照明装置1の場合には、
図6に示したよう照度むらの少ない分布となっている。そして、局所的な照度むらは、発生していない。つまり、局所的に明るい箇所は、発生していない。
【0033】
ただし、光学素子3の側面3cの入射面3a側の曲率を大きくすると、入射面3aから直接側面3cに到達した光の一部が側面3cで屈折して出射する。このため、特に入射面3aに近い側(側面3cの+Y軸方向)から屈折して−Y軸方向に進行する光線は、光線の広がりが小さく照度分布上に、不均一で局所的に明るい箇所が発生する可能性がある。側面3cの曲率は、適宜設定される必要がある。
【0034】
また、光源2と光学素子3の入射面3aとの間隔は、近いことが好ましい。それにより、光学素子3の小型化が図れる。また、側面3cから屈折して出射される光線を抑制することが可能となる。
【0035】
さらに、例えば、光軸C1に対して80°以上の角度を有して出射する光線に対しては、光源2をソケット等で覆うことで、これらの光線をソケットで反射または散乱させることができる。そして、光源2から出射する光線の光軸C1に対する角度を小さくすることができる。
【0036】
ただし、直接側面3cから出射される光線があっても、本実施の形態1の光学素子3の側面3cの形状を用いることにより、照度分布が不均一で局所的に明るさが変化する箇所の発生を抑制する効果はなくならない。
【0037】
図7は、側面3cが光軸C1に対して平行な場合のシミュレーション結果を示すコンター図である。つまり、
図7は、
図1に示す光学素子1の側面3cが、2つの底面の直径が等しい円柱の側面の形状をしている場合である。
【0038】
図7における横軸は、X軸方向の位置を示している。
図7における縦軸は、Y軸方向の位置を示している。また、
図7における等高線は、最大照度値で正規化した相対照度比を10分割している。周辺から中心に進むに従って明るくなっている。
【0039】
図7において、領域500と領域501とにおいて、光の分布に不均一な箇所があることが確認される。
【0040】
領域500における照度分布の不均一性に影響している光線は、光学素子3の入射面3aから入射し、光学素子3の側面3cで全反射して、出射面3bから出射した光線または光学素子3内で多重反射して出射面3bから屈折して出射した光線である。また、領域501における光の分布の不均一性に影響している光線は、光学素子3内で多重反射して側面3cから屈折して出射した光線である
【0041】
図7に示すように、側面3cを円柱形状とすると、光の分布の不均一な箇所の発生が確認される。そして、本実施の形態1の光学素子3の側面3cの形状の効果が確認できる。
【0042】
図8(A)及び
図8(B)は、側面3cが円錐台の側面の形状をしている場合のシミュレーション結果を示すコンター図である。入射面3aの直径は、出射面3bの直径よりも大きい。つまり、光軸Cに垂直な平面上で、側面3cは、入射面3a側から出射面3b側にいくにつれて直径が小さくなる。
図8(A)は、側面3cが光軸C1に対して10度傾いている場合のシミュレーション結果である。
図8(B)は、側面3cが光軸C1に対して3度傾いている場合のシミュレーション結果である。なお、
図9は、側面3cの断面の輪郭線が直線となる場合の、実施の形態1の照明装置の構成図であり、光軸C1に対する傾きβを図中に示す。つまり、
図8(A)及び
図8(B)の照明装置の構成図を示しており、
図8(A)はβが10度、
図8(B)はβが3度の場合である。
【0043】
図8(A)及び
図8(B)における横軸は、X軸方向の位置を示している。
図8(A)及び
図8(B)における縦軸は、Y軸方向の位置を示している。
【0044】
また、
図8(A)及び
図8(B)における等高線は、最大照度値で正規化した相対照度比を10分割している。周辺から中心に進むに従って明るくなっている。
【0045】
図8(A)に示すように、領域600と領域601とにおいて照度分布に不均一な箇所がある。領域600は、度合いとしては小さい。しかし、領域601は、
図7の領域501と比較しても照度分布の不均一性の度合いが大きい。
【0046】
図10は、実施の形態1の
図8(A)の場合の照明装置1の光の進行を示す説明図である。光学素子3の入射面3aでフレネル反射した光線は、光線810のように+Y軸方向に進行する。また、光学素子3の入射面3aから入射した光線の一部は、側面3cでフレネル反射した後、出射面3bで全反射し、入射面3aでも全反射し、光線808のように−Y軸方向に進行する。光線808は、光が広がっていないため、領域600における局所的な照度ムラの原因となる。また、光学素子3の入射面3aから入射した光線の一部は、側面3cで屈折し、光線809のように−Y軸方向に進行する。光線809は、領域601における照度ムラの原因となる。側面3cを光軸C1に対して10度傾ける場合には、側面3cを凹面の曲面形状とすることが好ましい。
【0047】
ここで、入射面3aから直接側面3cに到達して出射する光線を減らすために、側面3cが光軸Cに対して3度傾いた場合を
図8(B)に示す。
【0048】
図8(B)では、
図8(A)における領域601の照度分布の不均一性の度合いが、大幅に軽減していることが領域603から確認できる。領域603の照度不均一性に影響している光線は、光学素子3内で多重反射し、側面3cから屈折して出射した光線であるため、
図8(A)のように側面3cを直接出射する光線より光量が少なくなることから、大幅に照度分布の不均一性の度合いが軽減している。ただし、
図8(A)の領域600と同様の位置の領域602に、照度分布の不均一な箇所が観察される。領域602における照度分布の不均一の度合いは、
図7よりも少ない。しかし、本実施の形態1に比べて効果が小さいことが確認できる。
【0049】
領域602における照度分布の不均一性に影響している光線は、入射面3aで屈折後、出射面3bでフレネル反射した後に側面3cで全反射され、さらに入射面3aでフレネル反射して、出射面3bから出射した光線である。これより、側面3cを光軸Cに対して傾ける効果は確認できたが、側面3cを凹面形状とする方が、より効果的であることが確認できた。
【0050】
実施の形態2.
図11は、本発明に係る実施の形態2の照明装置71の主要構成を概略的に示す構成図である。
図11(A)は、照明装置71を+Z軸方向側から見た構成図である。
図11(B)は、−Y軸方向側から見た構成図である。
図7に示されるように、照明装置71は、光を発する光源2と光源2から出射された光の配光を制御する光学素子3とを備えている。
【0051】
実施の形態1で説明した照明装置71の構成要素と同様の構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略する。実施の形態1と同様の構成要素は光源2である。
【0053】
光学素子73のZX平面における断面は円形である。
【0054】
入射面73aは、例えば、平面形状である。また、光源2は、入射面73aに対向して配置されている。
【0055】
出射面73bは、入射面73aに対向して配置されている。
【0056】
出射面73bは、光軸C7を回転軸とした回転体の形状ではない。この点で実施の形態2の光学素子73は、実施の形態1の光学素子3と相違する。出射面73bは、例えば、円筒形状のように、一方向にのみ曲率を有する形状をしている。
図11では、X軸方向に曲率を有している。
【0057】
出射面73bは、X軸方向の端部よりも中心部が入射面73a側に位置している。つまり、出射面73bは、凹形状をしている。また、出射面73bは、中心部からX軸方向の端部に向けて凸形状をしている。つまり、出射面73bの中心部は、凹形状をしている。また、出射面73bの周辺部は、凸形状をしている。周辺部は、中心部から端部までの部分である。
【0058】
側面73cは、入射面73aと出射面73bとを接続する面である。なお、側面73cと入射面73aとの間に、例えば、C面取り等の他の面が形成されていても構わない。側面73cは、実施の形態1で示した側面3cと同様の形状をしている。
【0059】
入射面73aから入射した光線の一部は、出射面73bに到達する。出射面73bに到達した光線は、出射面73bで屈折して−Y軸方向に進行する。つまり、光学素子73の入射面73aに入射した光は、出射面73bで屈折して被照射物に照射される。
【0060】
また、出射面73bでフレネル反射された光線が側面73cで反射される。側面73cで反射された光は、側面73cの凹形状によって広がった光となるため、局所的に明るさが変化することで照度分布が不均一となる箇所の発生は抑制される。
【0061】
また、光学素子73の入射面73aから入射した光線の一部は、側面73cに到達する。側面73cに到達した光線は、側面73cで反射して出射面73bに到達する。出射面73bに到達した光線は、出射面73bで全反射して、+Y軸方向に進行する。入射面3aに到達した光線は、反射あるいは屈折する。従って、光線は側面73cを屈折して、−Y軸方向に進行するあるいは、入射面73aを屈折して+Y軸方向に進行する。側面73cで反射あるいは屈折された光線は広がるため、局所的に明るさが変化することで照度分布が不均一となる箇所の発生は抑制される。上述した全反射は、全反射の際に、光の角度によって、全てが全反射するとは限らず、一部屈折、一部フレネル反射する場合もあるため、全て全反射された光には限らない。
【0062】
ここで、側面73cは凹形状を有している。このため、出射面73bでフレネル反射された光は、側面73cの凹形状の部分で広がった光となって反射される。そして、光が広がっているため、局所的に明るさが変化することで照度分布が不均一となる箇所の発生は抑制される。
【0063】
なお、側面73cを直線形状の拡散面とすることにより、同様に明るい箇所を発生することを抑制できる。しかし、本実施の形態2では、側面73cで屈折した光線が、被照射物に到達する構成としている。このため、光の利用効率を向上させることができる。また、側面73cを拡散面とするための加工工程を削減できる。ただし、側面73cを凹形状としてサンドブラスト加工等を施すことにより、照度分布が不均一で局所的に明るさが変化する箇所の発生をさらに抑制できる。
【0064】
図12は、本実施の形態2のシミュレーション結果を示すコンター図である。
図12は、
図11の照明装置71が
図5に示す配置で、壁面4を照明した場合の照度分布を示す。
【0065】
また、
図12における等高線は、最大照度値で正規化した相対照度比を10分割している。周辺から中心に進むに従って明るくなっている。
【0066】
本実施の形態2の照明装置71の場合には、
図12に示したよう均一な照度分布となっている。つまり、局所的な照度むら(照度分布の不均一な箇所)は発生していない。
【0067】
ただし、光学素子73の側面73cの入射面73a側の曲率を大きくすると、入射面73aから直接側面73cに到達した光の一部が側面73c(特に入射面73に近い+Y軸方向)で屈折して出射する。このため、照度分布上に、不均一で局所的に明るい箇所が発生する可能性がある。側面73cの曲率は、適宜設定される必要がある。
【0068】
また、光源2と光学素子73の入射面73aとの間隔は、近いことが好ましい。それにより、光学素子3の小型化が図れる。また、側面73cから屈折して出射される光線を抑制することが可能となる。
【0069】
さらに、例えば、光軸C7に対して80°以上の角度を有して出射する光線に対しては、光源2をソケット等で覆うことで、これらの光線をソケットで反射または散乱させることができる。そして、光源2から出射する光線の光軸C7に対する角度を小さくすることができる。
【0070】
ただし、直接側面73cから出射される光線があっても、本実施の形態1の光学素子73の側面73cの形状を用いることにより、照度分布が不均一で局所的に明るさが変化する箇所の発生を抑制する効果はなくならない。
【0071】
図12に示す照度分布を、
図6に示す照度分布と比較すると、Y軸方向の照度分布の広がりが大きくなっている。
【0072】
出射面73bにX軸方向のみの曲面形状を持たせることにより、壁面4上での照度分布のY軸方向の均一性が向上する。つまり、出射面73bにX軸方向のみの曲面形状を持たせることで、さらなる効果が得られることが確認された。
【0073】
また、
図12に示す照度分布を、
図6に示す照度分布と比較すると、X軸方向にも照度分布の拡がりが大きくなっている。つまり、壁面4上での照度分布のX軸方向の均一性も向上していることが確認される。
【0074】
これは、光軸C7を含む中心部分の光強度をX軸方向に広げることにより、照度分布の均一性が向上している。また、
図6に示す照度分布は、出射面が光軸C1に対して回転対称であるため、+Z軸方向に進行する光線は、
図3の+Z軸方向へ±X軸方向に広がりながら光が出射する傾向が高いが、
図12に示す照度分布は、出射面が光軸C1に対してX軸方向に曲率を有するため、Y軸方向の光は、角度α傾けた分、−Z軸方向へ±X軸方向に広がりながら進行する傾向が高くなることにより、Y軸方向への照度分布を広げる効果があると考えられる。
【0075】
つまり、特に
図5に示すように壁面4に対して傾けて照射する照明装置においては、実施の形態1のように回転対称に配光を広げるよりも、X軸方向又はY軸方向等の一方向に配光を広げる形状とする方が、被照射物上の照度分布の均一性を向上することができる。
【0076】
なお、実施の形態2は、壁面4に照射した際に、中心が最も明るく、かつ、光が広がるように出射面73bを形成している。このため、特許文献1とは異なる形状を採用している。
【0077】
本実施の形態2は、光学素子73の形状及び大きさを一例として示している。例えば、光学素子73の直径を大きくすれば、本実施の形態2を使用しない際の照度分布の不均一の発生は軽減される。しかし、照明装置71の大型化を招く。つまり、本実施の形態2を用いることにより、照明装置71の大型化を抑えて、照度むらの発生を抑制することが可能となる。
【0078】
なお、出射面73bにZ軸方向のみの曲面形状を持たせた場合は、X軸方向に照度分布は狭くなるが、Y軸方向へは強度の強い箇所の照度分布が広がる。つまり、出射面が光軸C1に対して回転対称である場合と比較すると、照度分布の均一性が向上するが、傾き角αの回転軸であるX軸方向に曲面形状を持たせた場合が最も照度分布の均一性が向上する。
【0079】
実施の形態3.
図13は、本発明に係る実施の形態3の照明装置91の主要構成を概略的に示す構成図である。
【0080】
図13(A)は、照明装置91を+Z軸方向側から見た構成図である。
図13(B)は、照明装置91を−Y軸方向側から見た構成図である。
図13に示されるように、照明装置91は、光を発する光源2と光源2から出射された光の配光を制御する光学素子93とを有している。
【0082】
光学素子93のZX平面における断面は四角形である。つまり、ZX平面における断面が円形でない点において、光学素子93は、光学素子73と異なる。
【0083】
入射面93aは、例えば、平面形状である。また、光源2は、入射面93aに対向して配置されている。
【0084】
出射面93bは、入射面93aに対向して配置されている。
【0085】
出射面93bは、例えば、円筒形状のように、一方向にのみ曲率を有する形状をしている。
図13では、X軸方向に曲率を有している。出射面93bの曲面形状は、出射面73bと同様の形状をしている。つまり、光軸C9に対して回転対称でない点において、出射面93bの曲面形状は実施の形態1と異なる。
【0086】
側面93cは、入射面93aと出射面93bとを接続する面である。なお、側面93cと入射面93aとの間に、例えば、C面取り等の他の面が形成されていても構わない。
【0087】
側面93cは、4つの側面93c
1,93c
2,93c
3,93c
4を備えている。
図13では、側面93c
1,93c
3は、YZ平面に面している。また、側面93c
2,93c
4は、XY平面に面している。
【0088】
図13では、側面93c
1,93c
3は、曲面形状をしている。側面93c
1,93c
3の曲面形状は、XY平面上で、光学素子73の側面73cと同様である。
【0089】
図13では、側面93c
2,93c
4は、平面形状をしている。側面93c
2,93c
4は、XY平面に平行な面である。つまり、側面93c
2,93c
4は、光軸C9に対して平行である。
【0090】
入射面93aから入射した光線の一部は、出射面93bに到達する。出射面93bに到達した光線は、出射面93bで屈折して−Y軸方向に進行する。つまり、光学素子93の入射面93aに入射した光は、出射面93bで屈折して被照射物に照射される。
【0091】
また、入射面93aで屈折後、出射面93bでフレネル反射された光線が側面93c
1,93c
3で反射される。側面93c
1,93c
3で反射された光は、側面93c
1,93c
3の凹形状によって広がった光となるため、局所的に明るさが変化することで照度分布が不均一となる箇所の発生は抑制される。
【0092】
光学素子93の入射面93aから入射した光線の一部は、側面93c
1,93c
3に到達する。側面93c
1,93c
3に到達した光線は、側面93c
1,93c
3で反射して出射面93bに到達する。または、側面93c
1,93c
3を屈折して−Y軸方向に進行する。出射面93bに到達した光線は、全反射して、+Y軸方向に進行する。入射面93aに到達した光線は、全反射あるいは屈折する。従って、光線は側面93c
1,93c
3を屈折して、−Y軸方向に進行するあるいは、入射面93aを屈折して+Y軸方向に進行する。側面93c
1,93c
3で屈折された光線は広がるため、局所的に明るさが変化することで照度分布が不均一となる箇所の発生は抑制される。
【0093】
また、光学素子93の入射面93aから入射した光線の一部は、側面93c
2,93c
4に到達する。側面93c
2,93c
4は平面である。側面93c
2,93c
4は、出射面93bの曲面が形成されているX軸方向に延びる面である。このため、側面93c
2,93c
4で反射した光線は、X軸方向に進行方向を変化させない。つまり、側面が円筒面の場合のように、光線が側面で反射した際に、X軸方向の進行方向を変化させることはない。このため、照度分布の不均一な箇所が発生することを抑制できる。
【0094】
なお、側面93c
1,93c
3を平面の拡散面とすることにより、同様に明るい箇所を発生することを抑制できる。しかし、本実施の形態3では、側面93c
1,93c
3で屈折した光線が、被照射物に到達する構成としている。このため、光の利用効率を向上させることができる。また、側面93c
1,93c
3を拡散面とするための加工工程を削減できる。ただし、側面93c
1,93c
3を凹形状としてサンドブラスト加工等を施すことにより、照度分布が不均一で局所的に明るさが変化する箇所の発生をさらに抑制できる。
【0095】
図14、
図15及び
図16は、本実施の形態3を説明するためのシミュレーション結果を示すコンター図である。
【0096】
図14は、
図13の照明装置91の側面93c
1,93c
3が光軸C9に平行な平面形状の光学研磨面の照明装置で、その照明装置が
図5に示す配置で、壁面4を照明した場合の照度分布を示す。
【0097】
図15は、
図13の照明装置91の側面93c
1,93c
3が光軸C9に平行な平面形状の拡散面の照明装置で、その照明装置が
図5に示す配置で、壁面4を照明した場合の照度分布を示す。
【0098】
図16は、
図13の照明装置91が
図5に示す配置で、壁面4を照明した場合の照度分布を示す。
【0099】
光学素子93は、側面93c
2,93c
4が壁面4と平行に配置された位置から、X軸に平行な回転軸を中心として、角度αだけ傾いている。
【0100】
また、
図14、
図15及び
図16における等高線は、最大照度値で正規化した相対照度比を10分割している。周辺から中心に進むに従って明るくなっている。
【0101】
図14に示すように、側面93c
1,93c
3が光軸C9に平行な平面形状の場合には、領域1000に局所的な照度むらが観察される。これは、側面93c
1,93c
3で反射された光が被照射物(壁面4)に到達することによって生じる。
【0102】
また、今回、側面93C
2,93C
4も光学研磨面としている。このため、側面93C
2,93C
4による影響も考えられる。そこで、側面93C
2,93C
4による影響が小さいことを確認するため、
図15に、側面93c
1,93c
3に拡散面として、側面93C
2,93C
4を光学研磨面とした場合のシミュレーション結果を示す。
【0103】
図15に示すように、局所的な照度むら(照度分布の不均一な箇所)は発生していないことが確認できる。これより、側面93c
1,93c
3を拡散面として、側面93c
2,93c
4を光学研磨面の平面である場合には、照度むらが抑制されることが分かる。
【0104】
さらに、側面93c
2,93c
4を光学研磨面の平面とすることで、反射により被照射物に到達する光が多くなる。このため、光利用効率が向上するという効果がある。
【0105】
なお、今回は、側面93c
1,93c
2,93c
3,93c
4は矩形形状としている。つまり、光学素子は、入射面93aの形状と出射面93bの形状とが等しい四角柱の場合の効果を示した。しかし、側面93c
1,93c
3が光軸C9に対して傾いて、側面93c
2,93c
4が光軸C9に平行な四角錘台の場合でも同様の効果がある。また、側面93c
2,93c
4が光軸C9に対して傾いていた場合でも同様の効果がある。
【0106】
図16に示す照度分布は、
図13の照明装置91を適用した場合のシミュレーション結果である。側面93c
1,93c
3は凹面形状の光学研磨面である。また、側面93c
2,93c
4は平面形状の光学研磨面である。
【0107】
図16に示すように、局所的な照度むら(照度分布の不均一な箇所)は発生していないことが確認できる。これより、側面93c
1,93c
3を凹面形状として、側面93c
2,93c
4を光学研磨面の平面とした場合には、照度分布の不均一な箇所が抑制されることが確認できる。さらに、側面93c
1,93c
3を拡散面としないため、製造工程が削減できる。
【0108】
以上から、光学素子91の光軸C2に垂直な平面上での形状が四角形状であり、出射面93bが一方向のみに曲面形状を有する場合には、この曲面形状を有する方向の端部に位置する側面93を凹面形状とするか、拡散面とすることにより、照度分布むらを抑制することができる。
図13では、この曲面形状を有する方向の端部に位置する側面93は、側面93c
1,93c
3である。
【0109】
さらに、残りの側面93を光学研磨面の平面としても、照度分布むらへの影響は小さい。
図13では、この残りの側面93は、側面93c
2,93c
4である。残りの側面93(側面93c
2,93c
4)を配光制御面として使用することができる。このため、
図1または
図11に示す光学素子1,71の円筒形状の場合と比較して、光学素子91は光利用効率を向上させることができる。
【0110】
なお、本実施の形態2では、光学素子91を四角柱形状の場合として示したが、これに限るものではない。例えば、底面が六角形形状の六角柱の場合には、曲面形状を有する方向の端部を底面の対向する2辺とすることができる。この2辺の位置の側面のみを凹面形状とするか、または、拡散面とすれば、光学素子91と同様の効果が得られる。
【0111】
本実施の形態3は、光学素子93の形状及び大きさを一例として示している。例えば、光学素子93の直径を大きくすれば、本実施の形態3を採用しない際の照度分布の不均一の発生は軽減される。しかし、照明装置91の大型化を招く。つまり、本実施の形態3を用いることにより、照明装置91の大型化を抑えて、照度むらの発生を抑制することが可能となる。
【0112】
本実施の形態の
図2、
図4及び
図10の光学素子の出射面の形状は、あくまで一例であり、凹部がさらに+Y軸方向に位置していても局所的な照度むらの発生を抑制するという効果は得られる。
【0113】
なお、以上のように本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限るものではない。