【実施例】
【0014】
図1は、本発明による空気調和機の実施形態を示すブロック図である。空気調和機1は、このブロック図に記載されている他に熱交換器、冷媒回路、送風ファンなどを備えているが、本発明の説明と直接関係がないため図示と説明を省略する。空気調和機1は、交流電源2が接続される室内機4と、室外機3と、省エネ運転要求手段であるリモコン41と、室内機4と室外機3との間を接続する通信線5と電源線6を備えている。
【0015】
室内機4は、室内機4内の各ブロックに電源を供給する室内機電源部42と、リモコン41と電波を用いて通信するリモコン通信部43と、室内機4を制御する室内機制御部44と、省エネ運転が可能か否かを判定する省エネ運転可否判定手段45と、室外機3から送られる単位時間の電力量を記憶する電力量記憶手段46と、省エネ運転になるか否かの分岐点となる分岐点時間を算出する分岐点算出手段47と、省エネ運転に関する情報を報知する報知手段48を備えている。尚、本実施例で記載する省エネ運転とは、空気調和機を運転中にユーザーが一時的に部屋を不在とする場合に、空気調和機の運転を一旦停止しユーザーが部屋に戻ったときに空気調和機を再起動して室温を設定温度に到達させる場合と、運転をそのまま継続した場合とで、消費するエネルギーが少ない場合の運転を示す。
【0016】
一方、室外機3は、インバータ装置36へ電源を供給するインバータ電源部35と、室外機3を制御する室外機制御部32と、外気温を検出する外気温検出部31と、インバータ電源部35に流れる電流を検出する電流検出手段34と、電流検出手段34で検出した電流に基づいて、運転開始から単位時間毎の電力量を算出する電力量算出手段33と、圧縮機37と、圧縮機37を駆動するインバータ装置36とを備えている。
【0017】
室内機電源部42は交流電源2と接続されており、さらに、交流電源2とインバータ電源部35は電流検出手段34を介して電源線6で接続されている。また、室内機制御部44と室外機制御部32とは通信線5で相互に通信可能に接続されている。尚、室内機制御部44と室外機制御部32で、本発明の制御手段が構成される。
【0018】
室外機制御部32には、外気温検出部31で検出された外気温のデータが入力され、この外気温のデータを室内機制御部44を介して省エネ運転可否判定手段45へ送信する。また、室外機制御部32は、電力量算出手段33が算出した単位時間電力量を室内機制御部44へ送信する。室内機制御部44は、受信した単位時間電力量を電力量記憶手段46へ送信する。
【0019】
電力量記憶手段46は、受信した単位時間電力量を2種類に分けて記憶する。1つは運転開始時(起動時)の単位時間電力である起動時電力量と、もう1つは起動時電力量に続けて順次受信する定常時電力量である。尚、電力量記憶手段46は、定常時電力量を常に最新のデータだけ記憶する。起動時電力量は次に同じ種類のデータが新しく来たときにこの新しいデータのみが保存される。尚、起動時電力量とは空気調和機1が運転を開始し、インバータ装置36によって圧縮機37を高速回転させ、室温を急速に設定温度にするときに使用される電力量であり、定常時電力量とは室温が設定温度となった後に、その室温を維持するために必要な電力量である。
【0020】
一方、室内機4のリモコン41は室内機制御部44と双方向通信が可能な無線リモコンであり、液晶表示からなる表示部41bと、図示しない複数の操作キーと共に運転キー41aと選択キー41cを備えている。表示部41bには、設定内容や指定された操作内容が表示される。また、表示部41bには、報知手段48から出力され室内機制御部44とリモコン通信部43を介して入力する省エネ運転に関する情報(後述する報知情報や判定情報)が表示される。
【0021】
リモコン41は、ユーザーが運転キー41aを押下する毎に運転開始/運転停止の信号をリモコン通信部43を介して室内機制御部44へ送信する。また、リモコン41は、ユーザーが選択キー41cを操作することで選択した運転モード(冷房/除湿/暖房、等)や風量(弱/中/強、等)といった運転に関わる情報を含む信号をリモコン通信部43を介して室内機制御部44へ送信する。さらに、ユーザーが運転キー41aを長押しする特定操作を行なうと、リモコン41は運転開始/運転停止の信号でなく、省エネ運転を要求する省エネ運転要求信号をリモコン通信部43を介して室内機制御部44へ送信する。このとき、表示部41bには、ユーザーが部屋を不在とする時間である不在時間を選択する画面が表示される。ユーザーは表示部41bに表示された不在時間(例えば、10分、20分、・・・)の中からいずれかを選択キー41cを操作して選択する。この選択された不在時間が、上述した省エネ運転要求信号に含まれる。尚、上記不在時間の選択に代えて、ユーザーが部屋に戻る時刻をリモコン41から入力できるようにしてもよい。この場合、空気調和機(例えば、リモコン41や室内機4の室内機制御部44等)でユーザーの戻り時刻と戻り時間が入力された時刻を用いて不在時間を算出する。
【0022】
室内機制御部44はリモコン41からの指示によって室内機4の運転を制御し、この室内機運転状態のデータ、例えば、運転モードや運転開始時間、運転経過時間を常に省エネ運転可否判定手段45へ出力している。また、室内機制御部44は、リモコン41から省エネ運転要求信号を受信すると、この省エネ運転要求信号を省エネ運転要求のデータとして省エネ運転可否判定手段45へ出力する。また、室内機制御部44は、省エネ運転要求信号を受信すると、省エネ運転要求信号に含まれる不在時間をデータとして運転停止/継続判定手段49に出力する。
【0023】
省エネ運転可否判定手段45は、室内機制御部44を介して室外機3に対して外気温要求のデータを出力し、これに対応した外気温のデータが室内機制御部44を介して入力される。また、省エネ運転可否判定手段45は、省エネ運転要求データが入力されたとき、室内機制御部44から出力される室内機運転状態のデータと入力された外気温とから省エネ運転が可能か否かを判定する。ここで、省エネ運転の可否とは、後述する運転停止/継続判定手段49で、運転の継続もしくは停止後に再起動のいずれが省エネ運転となるかを判定できるか否かを意味する。尚、省エネ運転可否の判定方法については後で詳細に説明する。
【0024】
省エネ運転可否判定手段45は省エネ運転ができない場合、報知手段48に省エネ運転不可の報知情報のデータを出力する。省エネ運転可否判定手段45は、省エネ運転が可能な場合は分岐点算出手段47に分岐点時間の算出指示のデータを出力する。
【0025】
分岐点算出手段47は、算出指示のデータが入力された場合、電力量記憶手段46が記憶している起動時電力量と定常時電力量とを読み出して、一旦運転が停止された運転停止時間の後に運転を開始して現在の室温と同じにするための電力量と、現在の運転条件で運転を継続した場合の電力量を同じにするための運転停止時間である分岐点時間を、判断情報のデータとして運転停止/継続判定手段49へ出力する。
【0026】
運転停止/継続判定手段49は、判定指示のデータが入力された場合、分岐点算出手段47から出力される分岐点時間を含む判断情報のデータを入力して、入力した分岐点時間と入力した判定指示のデータに含まれる不在時間を比較する。そして、運転停止/継続判定手段49は、分岐点時間と不在時間の比較結果に応じて空気調和機1を停止するあるいは運転を継続する、のいずれかを判定し、判定した結果を判定情報のデータとして室内機制御部44と報知手段48に出力する。
【0027】
報知手段48は、省エネ運転可否判定手段45が出力する省エネ運転不可の報知情報のデータ、あるいは、運転停止/継続判定手段49が出力する判定情報のデータを入力して報知手段48が備えている音声合成機能で報知する。また、報知手段48は、上記報知情報や判定情報を室内機制御部44を介してリモコン41へ送信し、これを受信したリモコン41は表示部41bにその報知情報や判定情報を表示する。
【0028】
次に室外機3の各ブロックについて説明する。室外機制御部32は室内機制御部44と双方向通信が可能であり、室外機制御部32は、室内機4の空調運転に関する指示に対応して圧縮機37をインバータ装置36を介して制御すると共に、図示しないファンモータの回転数や電子膨張弁の開度を制御することで室外機3の運転を制御する。また、室外機制御部32は、室外機3の室外機運転状態データ、例えば運転開始時間、運転経過時間、を常に電力量算出手段33へ出力している。また、室外機3は室内機制御部44が送信する外気温要求のデータを受信すると外気温検出部31が検出した外気温のデータを返信する。
【0029】
電力量算出手段33は、室外機運転状態のデータによって空気調和機1の運転開始を認識すると、電流検出手段34からの消費電流のデータと、予め規定されている交流電源2の電圧及び空気調和機1の力率とから消費電力を算出し、これを単位時間である30分毎に積算して単位時間電力量を求め、求めた単位時間電力量を単位時間の終了時刻毎に室外機制御部32と室内機制御部44とを介して電力量記憶手段46へ送信する。
【0030】
尚、本実施形態では、空気調和機1の消費電力量を算出するため、インバータ装置36に流れる電流を検出するための電流検出手段34で検出した消費電流を流用している。このため、インバータ装置36を除く室外機3の消費電流や室内機4での消費電流は含まれないため、より正確に消費電力量を求めるために、電力量記憶手段46で単位時間電力量を記憶する時に予め定めた室内機4の平均的な消費電力量や、インバータ装置36を除く室外機3の消費電力量を単位時間電力量に加算するようにしてもよい。
【0031】
以上説明した構成を用いて本発明の動作を説明する。
図2は本発明による空気調和機1の動作を説明する説明図である。
図2において横軸は時間を示し、縦軸において
図2(1)は空気調和機1の運転状態を、
図2(2)は電流検出手段34で検出する消費電流を、
図2(3)は電力量算出手段33で算出する電力量を、
図2(4)は室内機制御部44が出力する省エネ運転要求を、
図2(5)は電力量算出手段33が出力する単位時間電力量を、
図2(6)は外気温検出部31が検出する外気温を、
図2(7)は省エネ運転可否判定手段45が出力する算出指示を、
図2(8)は分岐点算出手段47が実行する分岐点算出処理を、
図2(9)は報知手段48に入力される報知情報を、
図2(10)は室内機制御部44に入力される判定情報をそれぞれ示している。尚、t1〜t10は時刻である。また、本実施形態における単位時間は30分であり、空気調和機1が運転を開始してから30分毎の期間を示す。
【0032】
まずに、t1において運転停止中の空気調和機1のリモコン41の運転キー41aがユーザーによって押下されると、リモコン41はこれに対応して室内機制御部44に運転開始の指示を送信する。これをリモコン通信部43を介して受信した室内機制御部44は、室内機4を運転開始の動作に移行するとともに室外機制御部32に運転開始を指示する。この結果、室内機制御部44は省エネ運転可否判定手段45へ室内機運転状態(運転開始)のデータを出力し、一方、室外機制御部32は電力量算出手段33へ室外機運転状態(運転開始)のデータを出力する。
【0033】
電力量算出手段33は室外機運転状態(運転開始)のデータが入力されると、
図2(3)に示すようにt1から電力量の算出を開始し、
図2(5)に示すように単位時間の終了時刻であるt3になると算出したt1〜t3の期間の単位時間電力量、この実施例では1.0kwHを電力量記憶手段46へ送信する。また、電力量算出手段33は次の単位時間であるt3〜t5も同様にして電力量を算出し、t5の時点で単位時間電力量、この実施例では0.5kwHを電力量記憶手段46へ送信する。以下同様に運転状態である時はこの処理を繰り返す。
【0034】
一方、電力量記憶手段46は、電力量算出手段33から単位時間電力量を受信すると、これを記憶する。ただし、運転開始から最初に受信した単位時間電力量を起動時電力量として記憶し、それ以降に受信した単位時間電力量を定常時電力量として記憶する。尚、電力量記憶手段46は、定常時電力量に関して常に最新の単位時間における電力量だけを記憶している。
【0035】
ところで、本実施形態による空気調和機1は、インバータ制御方式を用いている。インバータ制御方式の特長は、起動運転つまり空調運転開始には圧縮機37を高回転で運転することで、空調運転開始時点から室温が設定温度に到達するまでの運転時間を早くできることと、室温が設定温度になった後に室温を設定温度に維持する定常運転では、圧縮機37を低回転として回転数を細かく制御することで室温を細かく制御できることである。
【0036】
このため、
図2(2)に示すように起動運転をしているt1〜t3の単位時間における消費電流が、定常運転時をしているt3〜t5の単位時間における消費電流よりも大きくなっている。そして空気調和機1は一旦、定常運転に入ると外気温が大きく変化しない限り消費電流も大きく変化することがない。
【0037】
従って、空気調和機1は、定常運転をしている空気調和機1が消費する次の単位時間以降における電力量を電力量記憶手段46が記憶している最新の定常時電力量に基づいて推測することが可能である。このため、起動時電力量と同じ電力量を次回の運転開始時に消費すると考えて、運転を継続して消費する定常時電力量と次回の運転開始時に消費する起動時電力量とが同じになる分岐点時間を算出する。
【0038】
そして、運転停止/継続判定手段49が、算出された分岐点時間とユーザーが入力した不在時間を比較して、空気調和機1の運転を継続するか、あるいは、一旦運転を停止するかを判定し、判定結果を判定情報のデータとして室内機制御部44に出力する。判定情報のデータを入力した室内機制御部44は、判定情報に応じて空気調和機1を制御するとともに、判定結果をユーザーに報知する。つまり、空気調和機1が、ユーザーの不在時間に応じて運転を継続するのと一旦運転を停止するのとでいずれが省エネ運転となるのかを判定し、判定結果に基づいて空気調和機1の動作を制御する。
【0039】
具体的には、ユーザーがt6の時点で空気調和機1の省エネ運転を要求する場合、ユーザーはリモコン41の運転キー41aを長押しする。この操作を受け付けたリモコン41は、表示部41bにユーザーが部屋を不在とする不在時間を入力する画面を表示する。そして、ユーザーが不在時間を入力すると、リモコン41はリモコン通信部43と室内機制御部44を介して入力された不在時間を含む省エネ運転要求データを省エネ運転可否判定手段45へ送信する。
【0040】
省エネ運転要求データが入力された省エネ運転可否判定手段45は、分岐点時間の算出に必要なデータが揃っていれば分岐点算出手段47に算出指示のデータを出力する。分岐点算出手段47は以下の式を用いて省エネ運転に関する分岐点の時間を算出する。
【0041】
分岐点時間=(起動時電力量/定常時電力量)×単位時間−単位時間・・・式1
式1で単位時間を減算する理由は、運転を継続して消費する定常時電力量の積算結果と次回の運転開始時に消費する起動時電力量とが同じになる単位時間を求めた後、その単位時間の開始時間(運転を再開する時間)を求めるためである。
【0042】
尚、ここでは起動時電力量と定常時電力量との測定期間は単位時間の期間であり、本実施形態では単位時間を30分としている。インバータ制御方式の場合、外気温や部屋の広さにもよるが、一般的に15〜20分程度で設定温度に到達して定常運転に移行するため、余裕を見込んで単位時間を30分としている。
【0043】
図2(5)に示すように、t1〜t3の起動時電力量(1.0キロワットアワー)と、t3〜t5の定常時電力量(0.5キロワットアワー)とが電力量記憶手段46に記憶されているため、分岐点算出手段47は算出指示のデータが入力された場合、式1を用いて分岐点時間=(1.0/0.5) 30分−30分=30分を算出する。
【0044】
つまり、ユーザーが省エネ運転要求を行ったt6の時点から30分後に運転を再開するか否かが省エネ運転か否かの分岐点の時間となる。この『分岐点時間は30分』の判断情報を分岐点算出手段47から入力した運転停止/継続判定手段49は、室内機制御部44から入力した判定指示のデータに含まれる不在時間と分岐点時間(30分)を比較し、省エネ運転の判定を行う。
【0045】
比較の結果が不在時間<分岐点時間である場合は、運転停止/継続判定手段49は『運転を継続する』と判定し、この判定情報のデータを室内機制御部44および報知手段48に出力する。比較の結果が不在時間>分岐点時間である場合、運転停止/継続判定手段49は『運転を停止する』と判定し、この判定情報のデータを室内機制御部44および報知手段48に出力する。尚、不在時間と分岐点時間が同じ場合はどちらでも良いことになるが、例えば、運転を継続する方が部屋が適温となっているためより快適であると考えて、『運転を継続する』とすればよい。
【0046】
判定情報のデータを入力した報知手段48は、省エネ運転の判定結果、つまり、運転を継続するか停止するかを報知手段48が備えている音声合成機能で報知する。また、報知手段48は、判定情報を表示情報のデータとして室内機制御部44を介してリモコン41に出力し、これを入力したリモコン41は、表示部41bに判定情報に含まれる省エネ運転の判定結果を表示する。
【0047】
一方、判定情報のデータを入力した室内機制御部44は、省エネ運転の判定結果に応じた制御を行う。具体的には、判定結果が『運転を継続する』であれば、室内機制御部44は、現在の運転を継続する。判定結果が『運転を停止する』であれば、室内機制御部44は、室内機4の運転を停止するとともに、室外機制御部32に運転を停止する旨の信号を送信する。また、室内機制御部44から運転を停止する旨の信号を受信した室外機制御部32は、室外機3の運転を停止する。
【0048】
ところで、上述した省エネ運転の判定を正確に行うためには分岐点時間を正確に算出する必要があり、そのためには、起動時電力量と定常時電力量とはそれぞれ測定して電力量記憶手段46に記憶済である必要がある。つまり、運転開始から単位時間の2倍の時間が経過している必要がある。また、外気温は起動時と省エネ運転要求を受け付けた時とで大きく変化してないことも必要である。本実施形態では、この温度差を所定温度差として5℃以内の場合を省エネ運転可能としている。
【0049】
以上のことを踏まえて、省エネ運転可否判定手段45は、以下の処理を実行する。
【0050】
省エネ運転可否判定手段45は、t1において室内機制御部44から出力される室内機運転状態のデータによって運転開始を認識すると、室内機制御部44へ外気温要求のデータを出力し、これと対応する外気温のデータを室内機制御部44から入力する。省エネ運転可否判定手段45は、入力したデータを運転開始外気温として記憶する。また、省エネ運転可否判定手段45は運転開始を認識すると単位時間の経過回数のカウントを開始する。
【0051】
次に、省エネ運転可否判定手段45は、省エネ運転要求のデータが入力された時、室内機制御部44へ外気温要求のデータを出力し、これと対応する外気温のデータを室内機制御部44から入力する。省エネ運転可否判定手段45は、この入力したデータを現在外気温として記憶する。そして、省エネ運転可否判定手段45は、運転開始外気温と現在の外気温との差を算出する。
【0052】
省エネ運転可否判定手段45は、この温度差が予め定めた所定温度差(5℃)よりも大きい場合は、もしくは、
図2(4)のt2やt4に示すように、省エネ運転要求がされた時に運転開始からの単位時間の経過回数が2未満(60分未満)の場合は、省エネ運転要求に対応できる条件が揃わないとして、
図2(9)のt2やt4に示すように、報知手段48に『省エネ運転不可』の報知情報を出力する。
【0053】
一方、省エネ運転可否判定手段45は、省エネ運転要求のデータが入力された時、運転開始外気温と現在の外気温との差を算出し、この温度差が予め定めた所定温度差(5℃)以下であり、かつ、運転開始からの単位時間の経過回数が2以上の場合は、省エネ運転要求に対応できる条件が揃ったとして、分岐点算出手段47に算出指示のデータを出力する。
【0054】
尚、省エネ運転可否判定手段45は、条件が揃わない場合、省エネ運転を実行しないようにしているが、これに限るものでなく、条件が揃わない場合は分岐点算出に使用する電力量データを補正するようにしてもよい。例えば、運転開始外気温と現在の外気温との差が所定温度差よりも大きい時に分岐点算出手段47が、この算出した温度差に比例して起動時電力量の値を増加させるようにしてもよい。
【0055】
また、他の方法として、電力量データとして実測値を用いないで、外気温と、設定温度と室温との温度差との組み合わせに対応して、標準的な起動時電力量と定常時電力量とを予めテーブル化して分岐点算出手段47に記憶しておき、分岐点算出手段47が実際の外気温と設定温度と室温との温度差とにより、このテーブルから電力量データを抽出して分岐点時間を算出するようにしてもよい。
【0056】
以上説明した本発明の空気調和機では、空気調和機1が、ユーザーの不在時間に応じて運転を継続するのと一旦運転を停止するのとでいずれが省エネ運転となるのかを判定し、判定結果に基づいて空気調和機1の動作を制御する。従って、ユーザーは省エネ運転の要求と不在時間の入力を行うのみで、空気調和機1が適切な省エネ運転を行うので、ユーザーの利便性が向上し、ユーザーの判断ミスや操作ミスにより空気調和機1で適切な省エネ運転を行うことができないといったことを防止できる。
【0057】
また、ユーザーから省エネ運転の要求があったときに、不在時間と分岐点時間の比較結果により空気調和機1を停止した場合に、不在時間が経過した時点でタイマー運転開始するように設定できる構成としてもよい。この場合は、ユーザーがリモコン41を操作して不在時間経過後にタイマー設定する/しないを選択できるようにすればよい。