(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クリップ座ベースは、断面が前記クリップ座の周囲を部分的に囲む略U字状を成して前記車体パネル側に向かって立設される周壁部と、該周壁部の内周面に沿って立設方向と交差する方向に延在する溝部を有するクリップ座取付部と、を備え、
前記クリップ座の周縁部が前記溝部に嵌着されることで前記クリップ座ベースに取り付けられるよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリップ取付構造。
前記クリップ座は、前記座面部を構成する板状の本体部と、該本体部の周囲に段差部を介して連続的に設けられ、前記クリップ座ベースの前記溝部に嵌着される前記周縁部とを有することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のクリップ取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、凸凹構造を備える専用クリップ座と該専用クリップ座の凸凹構造に係合する係合部を有する専用クリップを用意する必要がある。さらに、特許文献1のクリップ取付構造は、クリップ取付可能な高さのバリエーションを増やすためには、専用クリップ座の凸凹を増やす必要があり、専用クリップの係合部もまたこれに応じなければならず、特に製造コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明の少なくとも1実施形態は上述の問題点に鑑みなされたものであり、汎用的なクリップを流用しつつ、被取付部材を車体パネルに対して精度よく装着可能とするクリップ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも1実施形態に係るクリップ取付構造は上記課題を解決するために、車体パネルにクリップを介して装着される被取付部材に前記クリップを取り付けるためのクリップ取付構造であって、前記被取付部材の裏面に立設されたクリップ座ベースと、前記クリップが取り付けられる座面部を有し、前記車体パネルと対向するよう前記クリップ座ベースに着脱可能に設けられ、前記被取付部材に対する前記座面部の高さを設定するクリップ座と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記(1)の構成によれば、クリップ座をクリップ座ベースに着脱可能としたことで、クリップ座を自由に交換できるので、被取付部材に対する座面部の高さの設定が異なる複数のクリップ座を用意し、適宜交換することで、汎用クリップを流用しながらもクリップが取り付けられる座面部の高さ、すなわちクリップ取付位置(高さ)を精度よく調整することができる。
これにより、被取付部材を車体パネルに対して精度よく装着でき、車体パネルと被取付部材との隙間発生を効果的に防止できる。また、この際、クリップ座ベースについては高さ変更が不要であるため、コスト増加も抑えることができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記クリップ座は、前記クリップ座ベースに表裏反転して着脱可能なリバーシブル構造とされ、前記被取付部材に対する前記座面部の高さが表裏で異なるよう構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記(2)の構成によれば、クリップ座の表裏を反転してクリップ座ベースに取り付けることで、単一のクリップ座で2種類のクリップ取付位置(座面部の高さ)に対応できる。そのため、座面部の高さが異なるクリップ座を用意して交換する場合においても、高さ調整の自由度が増すので、より幅広くかつ細かな調整が可能となる。また、用意すべきクリップ座のバリエーション数を少なく抑えることができ、コスト削減に効果的である。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記クリップは、先端部側に前記車体パネルの取り付け孔に差し込まれて係合される挿入部と、基端部側に前記クリップ座の前記座面部に取り付けられる固定部とを有し、前記クリップ座の前記クリップ座ベースに対する着脱方向が、前記クリップの前記取り付け孔への差込み方向と交差する方向に設定されていることを特徴とする。
【0013】
上記(3)の構成によれば、クリップの取り付け孔への差込み方向とクリップ座のクリップ座ベースへの着脱方向を交差(直交)するように設定したので、被取付部材の車体パネルへの着脱時にクリップを介してクリップ座に作用する力の方向と、クリップ座の抜け方向とが異なる方向とされる。これにより、クリップ座が容易にクリップ座ベースから外れることがなく、クリップを確実に支持することができる。従ってクリップ座を脱着式にしても、被取付部材の車体パネルへの装着や取り外しの作業を確実に行うことができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)のいずれか1の構成において、前記クリップ座ベースは、断面が前記クリップ座の周囲を部分的に囲む略U字状を成して前記車体パネル側に向かって立設される周壁部と、該周壁部の内周面に沿って立設方向と交差する方向に延在する溝部を有するクリップ座取付部と、を備え、前記クリップ座の周縁部が前記溝部に嵌着されることで前記クリップ座ベースに取り付けられるよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記(4)の構成によれば、クリップ座の周囲を囲む周壁部の内周面に立設方向と交差する方向に延設したクリップ座取付部の溝部にクリップ座が嵌着されるよう構成されているので、クリップ座をクリップ座ベースに安定して取り付けることができる。このため、着脱式であってもクリップ座が安定性を有するため、車体パネルに対して被取付部材をより確実に装着または取り外しすることができ、信頼性を向上できる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、前記クリップ座取付部は、前記クリップの差込み方向に並んだ複数の前記溝部を有して構成される、ことを特徴とする。
【0017】
上記(5)の構成によれば、クリップ座ベースへのクリップ座の取付位置(溝部)を変更することによって、クリップ座を変更(交換)することなく、クリップ取付位置(座面部の高さ)の調整が可能となる。また、クリップ座の変更と組み合わせることにより、クリップ取付位置(高さ)をより広範囲に亘って調整することが可能となる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記(4)又は(5)のいずれかの構成において、前記クリップ座の前記座面部には、前記クリップが係合可能な開口部が設けられ、前記開口部は、前記クリップ座の前記周縁部で開放されて前記開口部内に前記クリップを挿入するための開口入口部を有し、前記クリップ座は、前記開口入口部と前記周壁部とが対向するよう前記クリップ座ベースに取り付けられることを特徴とする。
【0019】
上記(6)の構成によれば、クリップ座がクリップ座ベースに取り付けられた際に、クリップ座の開口入口部がクリップ座ベースの周壁部によって塞がれ、開口部に係合されたクリップが開口入口部から抜け出すことが防止されるので、クリップをクリップ座に確実に保持することができる。このため、例えば、被取付部材を車体パネルから取り外す際などに、クリップがクリップ座から外れて車体パネル側に残ってしまうようなことがない。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記(4)から(6)のいずれか1の構成において、前記クリップ座は、前記座面部を構成する板状の本体部と、該本体部の周囲に段差部を介して連続的に設けられ、前記クリップ座ベースの前記溝部に嵌着される前記周縁部とを有することを特徴とする。
【0021】
上記(7)の構成によれば、クリップ座の座面部を成す本体部とクリップ座ベースに嵌着される周縁部との間に段差部を設けることで、本体部の周囲に設けられた段差部の段差すなわち高さを変えただけの簡単な構成で、座面部の高さ、すなわちクリップ取付位置の異なる複数のクリップ座を用意することができる。また、この段差を利用することでクリップ座の表裏で座面部の高さを容易に異なる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、汎用的に使用されているクリップで、クリップ取付位置を調整可能とするクリップ取付構造を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0025】
本発明の一実施形態を
図1〜
図4を参照して説明する。一実施形態では、車両のボディを形成する車体パネルに対して、ドアトリムやガーニッシュのような内装部材である被取付部材を装着する際に用いられるクリップ取付構造を例に説明する。特に、被取付部材であるドアトリム1をドアパネル2に取り付ける際に用いられるクリップ取付構造について説明する。
【0026】
図1は、被取付部材であるドアトリム1をドアパネル2側から見た図であり、スピーカ10、インサイドハンドル11、オーナメント12等(破線部)を備え、ドアパネル2に室内側からクリップ3を介して取り付けられる。
【0027】
ドアトリム1には、ドアトリム周縁部6に沿って複数箇所にクリップ取付部7が設けられている。これらのクリップ取付部7の各々は、
図2〜
図4に示すようにクリップ取付構造によって構成されている。
【0028】
クリップ取付構造は、ドアトリム1の裏面に立設されたクリップ座ベース5と、クリップ3を取付可能な座面部46を有し、クリップ座ベース5に着脱可能であるクリップ座4と、先端部側にドアパネル2に形成された取り付け孔8に差し込まれて係合される挿入部31及び基端部側にクリップ座4の座面部46に係合離脱可能に係合する固定部32を備えるクリップ3と、を備えている。
【0029】
クリップ座ベース5について説明する。
クリップ座ベース5は、
図4に示すように、断面形状が略U字形状をしてドアトリム1の裏面から立設された柱状部材である。
柱状部材は、略U字形状の底部を形成する板状の基部51と、略U字形状の互いに対向する板状の側部52(52a、52b)と、を備える。また、クリップ座ベース5は、基部51及び側部52によって囲まれることで形成される内部空間53を有する。本実施形態において、内部空間53はクリップ座ベース5の上方向及びドアトリム1の内側(ドアトリム周縁部6の内周側)方向に向かって開口している。また、クリップ座ベース5の位置及び数はドアトリム1を、クリップ3を介してドアパネル2に安定的に取付可能であればよく限定されるものではない。
【0030】
また、クリップ座ベース5は、基部51及び側部52から構成され、断面がクリップ座4の周囲を部分的に囲む略U字状の周壁部58と、周壁部58の内周面に沿って立設方向と交差する方向に延在する溝部60を有するクリップ座取付部55と、を備える。本実施形態において、周壁部58はクリップ座ベース5の立設方向の上側部分に形成されている。
【0031】
クリップ座取付部55は、溝部60に代わり、あるいは溝部60と共に、周壁部58の内周面に沿って立設方向と交差する方向に延在する少なくとも2つのリブ54(54a、54b)を備えてもよい。この場合、溝部60は2つのリブ54(54a、54b)間に位置する。本実施形態において、2つのリブのうち1つ(54a)は、クリップ座ベース5の最上部から連続的に延在しており、周壁部58に沿って内部空間53を囲むようにして設けられている。
【0032】
また、クリップ座ベース5は、合成樹脂材のようなドアトリム1と同じ部材で、一体形成されている。このようにすることで、容易な量産を可能としつつ、コスト削減が可能である。なお、ドアトリム1とクリップ座ベース5とは互いに別部材として構成されていてもよい。
【0033】
また、クリップ座ベース5は、
図4に示すように2つのリブ54(54a、54b)のうち上側にあるリブ54aであって、側部52a、52bから延在する部分にそれぞれ凹状のクリップ座被係合部56(56a、56b)を有する。
また、2つのリブのうち上側にあるリブ54aであって、基部51から延在する部分には、内部空間53に向かって凸状に突出する凸部57を有する。尚、本実施形態においては、最上のリブ54aにのみ凸部57が設けられているが、他のリブ(54b)に凸部57が設けられてもよい。
【0034】
次に、クリップ座4について説明する。
クリップ座4は、
図4に示すように、一定の厚み(t)を有する1つの板状の座面部46及び座面部46の周囲に沿ってドアトリム1側に向かって延在する段差部47を備える本体部40と、段差部47を介して連続的に設けられる周縁部41と、を備える。このようにすることで、クリップ3が取り付けられるクリップ取付位置は、段差部47の段差すなわち高さ(h)によって調整可能である。また、座面部46の厚み(t)は後述するクリップ3の固定部32を係合するために、固定部32の厚みよりも薄く設計されている。
【0035】
座面部46は、クリップ3を係合するために開口されている開口部42と、開口部42にクリップ3を挿入するために座面部46の周縁の少なくとも一部が開口されている開口入口部59と、を備える。開口入口部59はクリップ座4がクリップ座ベース5に取付けられる際に周壁部58に面する側に開口されており、クリップ3を付したクリップ座4がクリップ座ベース5に取り付けられている場合において、クリップ座4からクリップの抜け出し防止が可能である。本実施形態において、基部51に面する側に開口入口部59が開口されている場合で説明しているが、側部52に面する側に、あるいはクリップ座ベース5が開口している方向と略同一方向に、開口入口部59は開口されてもよい。
【0036】
また、座面部46は、開口入口部59を介して開口部42にクリップ3を挿入するクリップ挿入方向両側から内側に向けて突出する突出部44(44a、44b)を有する。
【0037】
本体部40は、クリップ座ベース5にクリップ座4が取付けられた場合に、クリップ座ベース5の側部52a、52bの凹状のクリップ座被係合部56(56a、56b)に係合するように、側部52a、52bに向かって凸状に形成されたクリップ座係合部43(43a、43b)を有する。
【0038】
周縁部41はクリップ座取付部55(溝部60)に挿入可能に構成されており、クリップ座取付部55に挿入されると、2つのリブ54a、54bによって上下方向両側から挟持され、且つ、クリップ座ベース5によって周縁部41の側面は囲まれる。周縁部41の寸法がクリップ座取付部55の寸法より多少大きくても、クリップ座4そのものが挿入時に撓むことにより、クリップ座ベース5内に弾性的に保持可能になっている。
【0039】
次に、クリップ3について説明する。
クリップ3は、
図4に示すように、ドアトリム1をドアパネル2に取付ける場合に一般的に使用されるクリップ3であってよい。本実施形態においては、クリップ3は、ドアパネル2の取り付け孔8に挿入される挿入部31と、クリップ座4の開口部42に挿入される固定部32と、を有している。この挿入部31の形状は取り付け孔8に挿入される所定の部分から先端に向かうにつれて幅が狭くなるような形状であるが、これに限られない。
また、固定部32は、クリップ座4からクリップ3が上下方向に抜け出ないために固定部32の上端及び下端から径方向に延在する係止部33(33a、33b)を備える。上側の係止部33aは、下側の係止部33bよりも大径となっている。
【0040】
また、クリップ3は、
図4で示すように、クリップ座4に対して、開口入口部59から横方向からスライドされて、固定部32が開口部42に挿入されることで、クリップ座4に係合される。
クリップ座4に係合されたクリップ3は、突出部44(44a、44b)によって固定部32が係止されているため、開口部42からクリップ挿入方向とは反対方向に抜け出すことが防止される。尚、上下方向においては座面部46によって係止部33(33a、33b)が係止されているため、クリップ3が開口部42から上下方向に抜け出すことが防止されている。
【0041】
また、クリップ3をクリップ座4に係合する別の手段として、クリップ3又はクリップ座4のうち少なくともいずれかが弾性体であるのならば、クリップ座4の上方から一定以上の力を加えてクリップ3を押下することで、開口部42に固定部32が挿入され、クリップ座4にクリップ3が係合される。これにより、クリップ座ベース5にクリップ座4が開口入口部59を塞ぐようにして取付けられていても、クリップ3をクリップ座4に取付けることができる。
【0042】
以上のクリップ座4及びクリップ座ベース5によって、
図4で示すように、クリップ座4は、クリップ座ベース5に対して横方向からスライドされて、周縁部41がクリップ座取付部55を介して挿入されることで、クリップ座ベース5に取付けられる。クリップ3の固定部32をクリップ座4の開口部42に挿入する方向とクリップ座4の周縁部41をクリップ座ベース5のクリップ座取付部55に挿入する挿入方向とは略平行となっており、本開示におけるクリップ取付構造は、容易に組立て可能となっている。また、クリップ3の取り付け孔8への差込み方向とクリップ座4のクリップ座ベース5への着脱方向とが交差しているため、ドアトリム1のドアパネル2への着脱時にクリップ3を介してクリップ座4に作用する力の方向と、クリップ座4の抜け方向とが異なる方向とされる。これにより、クリップ座4が容易にクリップ座ベース5から外れることがなく、クリップ3を確実に支持することができる。従ってクリップ座4を脱着式にしても、ドアトリム1のドアパネル2への装着や取り外しの作業を確実に行うことができる。
【0043】
また、クリップ座4がクリップ座ベース5に取付けられると、周縁部41は2つのリブ54a、54bとクリップ座ベース5に囲まれるため、クリップ座4はクリップ座ベース5内に安定的に保持され、且つ、容易に着脱できる。高さ方向においては、周縁部41が2つのリブ54a、54bから十分な挟み込みの力を受けて挟持されるので、クリップ座4をクリップ座ベース5内により安定して保持される。
【0044】
また、クリップ座4がクリップ座ベース5に取付けられると、凹状のクリップ座被係合部56に凸状のクリップ座係合部43が係合される。そのため、クリップ座ベース5から不意にクリップ座4が脱落されるのを防止される。尚、凹状のクリップ座被係合部56と凸状のクリップ座係合部43の凹凸関係が逆であってもよい。
【0045】
また、クリップ座4がクリップ座ベース5に取付けられると、開口入口部59は基部51に面しているため、開口部42に挿入されているクリップ3は(主に固定部32は)、クリップ座ベース5及びクリップ座4によって規制される。そのため、クリップ座4に係合されたクリップ3が開口部42から抜け出すことが防止される。
【0046】
さらに、凸部57によって、クリップ座4の開口部42の挿入方向前方の開口入口部59が少なくとも部分的に被われる。そのため、クリップ座4に係合されたクリップ3が開口入口部59を介して脱落することがより効果的に防止される。尚、凸部57の位置や形状は、開口入口部59の位置及び形状に合わせて形成されている。
【0047】
本実施形態によれば、クリップ3をクリップ座4に係合して、その後にクリップ座4をクリップ座ベース5に取付けることで、ドアトリム1はドアパネル2に装着可能となる。
また、本実施形態によれば、クリップ座4をクリップ座ベース5に着脱可能としたことによって、クリップ座4だけをクリップ座ベース5とは別に自由に交換できる。
これによって、ドアトリム1に対する座面部46の高さの設定が異なる複数のクリップ座4を用意し、適宜交換することで、汎用クリップを流用しながらもクリップ3が取り付けられる座面部46の高さ、すなわちクリップ取付位置(高さ)を精度よく調整することができる。
【0048】
従って、クリップ3を付したドアトリム1をドアパネル2に装着すると、温度・湿度のような環境条件や、ドアトリム1及びドアパネル2が有する公差によってドアトリム1とドアパネル2との間に隙間が生じることがあるが、クリップ3が係合されるクリップ座4の高さを、クリップ座4を変えるだけで調整できる。
これにより、ドアトリム1をドアパネル2に対して精度よく装着でき、隙間発生を効果的に防止できる。また、この隙間発生の際、クリップ座ベース5については高さ変更が不要であるため、コスト増加も抑えることができる。
【0049】
本発明の幾つかの実施形態を
図5に示す。
図5は、
図3、4における第1のクリップ座4とは別の実施形態に係る第2のクリップ座61と、クリップ座ベース5と、を示す斜視図である。
第2のクリップ座61は、
図3、4における第1のクリップ座4の段差部47の高さ(H1)と異なる高さを有し、第2のクリップ座61は第1のクリップ座4の段差部47の高さ(H1)より高い高さ(H2)の段差部67を有している。
これにより、クリップ3が取付けられるクリップ取付位置は、段差部47、67の高さが異なる複数のクリップ座4、61を用意することで、各クリップ座4、67が有する段差部47、67の寸法に応じて調整される。さらに、段差部67の高さを調整するだけで、汎用クリップを流用しながらもクリップ取付位置を精度よく調整できる。その結果、ドアトリム1をドアパネル2に対して精度よく装着でき、隙間発生を効果的に防止できる。また、この際にはクリップ座ベース5についての形状変更は不要であるため、コスト増加も少なく抑えることができる。
【0050】
本発明の幾つかの実施形態を
図6に示す。
図6は、
図3、4における第1のクリップ座4とは別の実施形態に係る第3のクリップ座71(71a、71b)と、クリップ座ベース81と、を示す斜視図である。
第3のクリップ座71(71a、71b)は、表裏反転してクリップ座ベース81に取付けられる構造である。クリップ座ベース81と第3のクリップ座71(71a、71b)とは互いに干渉することなく、表裏反転して取付可能である。
これにより、単一の第3のクリップ座71ながらも、2種類のクリップ取付位置に対応できる。そのため、予め異なる大きさ(高さ)の第3のクリップ座71を用意する場合においても、用意すべき第3のクリップ座71のバリエーション数を少なく抑えることができ、コスト削減に効果的である。
【0051】
本実施形態において、クリップ座ベース81は両方のリブ54(54a、54b)に凹状のクリップ座被係合部56(56a、56b、56c、56d)を備える。
また、
図6に示すように、クリップ座ベース81には、最上のリブ54aに凸部57aが設けられ、他のリブ54bに凸部57bが設けられており、下側の凸部57bによって、表裏反転した第3のクリップ座71(71b)の開口入口部59が部分的に被われるようになっている。
また、
図6に示すように、表裏反転した第3のクリップ座71(71b)は、周縁部41の上面から上方向に突出する突起部45(45a、45b)を有する。クリップ座係合部43(43a、43b)及び突起部45(45a、45b)は、表裏反転した第3のクリップ座71(71b)がクリップ座ベース5に取付けられた場合においても、クリップ座被係合部56(56a、56b、56c、56d)に係合するようになっている。これにより、クリップ座ベース81から表裏反転した第3のクリップ座71(71b)が不意に脱落されるのが防止される。
尚、第3のクリップ座71に形成されるクリップ座係合部43や突起部45は、本実施形態の位置や形状に限るものではなく、クリップ座被係合部56の位置や形状に応じて形成されるようにしてもよい。
【0052】
本発明の幾つかの実施形態を
図7に示す。
図7は、
図3、4におけるクリップ座ベース5とは別の実施形態に係るクリップ座ベース91の斜視図である。このクリップ座ベース91は、立設方向に沿って少なくとも3つのリブ54が設けられる。本実施形態においては、3つのリブ54(54a、54b、54c)が設けられている。これにより、上下方向に2連続するリブ(54a−54b又は54b−54c)とクリップ座ベース91とによって、内部空間53の一部が囲まれ、高さの位置が異なる2つのクリップ座取付部55(55a、55b)が形成される。このように少なくとも3つのリブ54が設けられることで、複数のクリップ座取付部55が形成されるため、クリップ座4の段差部47の高さを変更することなく、周縁部41を挿入するクリップ座取付部55を変更することで、クリップ3のクリップ取付位置が調整可能である。尚、3つのリブのうち上部のリブ(54a)及び中部のリブ(54b)は、凹状のクリップ座被係合部56(56a、56b、56c、56d)を有している。クリップ座4がいずれかのクリップ座取付部55に取り付けられると、凹状のクリップ座被係合部56に凸状のクリップ座係合部43が係合される。そのため、クリップ座ベース91から不意にクリップ座4が脱落されるのを防止される。
【0053】
本発明の幾つかの実施形態について説明する。
この実施形態は、
図2〜
図7に示したクリップ座4、61、71及びクリップ座ベース5、81、91を用いて、クリップ3の取付位置の調整方法について説明する。
まず、クリップ座ベース5、81、91に取り付けられるクリップ座4の高さをクリップ座取付部55によって設定する。次に、クリップ3をクリップ座4、61に取り付ける。つぎに、クリップ3が取り付けられたクリップ座4、61をクリップ座取付部55に取り付けることにより、クリップ3をクリップ座ベース5、81、91に取り付ける。次に、クリップ座ベース5、81、91に取り付けられたクリップ3をドアパネル2に取り付けることにより、ドアトリム1をドアパネル2に装着する。
【0054】
クリップ取付位置を調整するには、例えば、
図5に示すように段差部47、67の高さ(H1、H2)が異なる複数のクリップ座4、61を用意する。または、
図6に示すように、クリップ座71(71a、71b)を反転してクリップ座ベース5に取付ける。または、
図7のようにクリップ座取付部55における取付位置を変更することで行うことができる。
さらに、これら
図5、
図6、
図7に示す構造を組合せることにより、より広範囲に亘ってクリップ取付位置を調整可能である。また、これらの方法は、クリップ座ベース5、81、91及びクリップ3の大きさを変更することなく、クリップ取付位置を調整可能であり、製造コストを抑えつつ隙間の解消が可能である。