特許第6705440号(P6705440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705440
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】触覚呈示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20200525BHJP
   H01L 41/04 20060101ALI20200525BHJP
   H01L 41/187 20060101ALI20200525BHJP
   H01L 41/083 20060101ALI20200525BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B06B1/06 A
   H01L41/04
   H01L41/187
   H01L41/083
   H01L41/09
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-253068(P2017-253068)
(22)【出願日】2017年12月28日
(65)【公開番号】特開2019-118850(P2019-118850A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 薫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 和樹
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−299962(JP,A)
【文献】 特開2004−058695(JP,A)
【文献】 特開平08−251954(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0239844(US,A1)
【文献】 特開2000−042490(JP,A)
【文献】 特開2016−51894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
H01L 41/04
H01L 41/083
H01L 41/09
H01L 41/187
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子、前記圧電素子が接着されている振動部材、及び前記圧電素子と電気的に接続され、かつ、前記振動部材に接着されている配線部材を備えている振動デバイスを備える触覚呈示装置の駆動方法であって、
基本周波数成分を含む信号を、前記配線部材を通して前記圧電素子に入力し、
前記振動デバイスを、前記基本周波数成分を含み、かつ、前記基本周波数成分のn倍(nは、2以上の整数)の高次周波数成分を実質的に含まない振動モードで振動させ、
前記基本周波数成分は、前記振動デバイスの共振周波数成分より低い、触覚呈示装置の駆動方法
【請求項2】
前記基本周波数成分は、人間の可聴周波数帯域内に含まれる、請求項1に記載の触覚呈示装置の駆動方法
【請求項3】
前記振動デバイスは、車両に搭載されている、請求項2に記載の触覚呈示装置の駆動方法
【請求項4】
前記配線部材は、
樹脂からなり、前記振動部材に接着されているベースと、
前記ベース上に配置されており、前記圧電素子と電気的に接続されている複数の導体と、を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の触覚呈示装置の駆動方法
【請求項5】
前記振動デバイスの前記共振周波数成分は、人間の可聴周波数帯域の上限近傍又は当該可聴周波数帯域外にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触覚呈示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスの振動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子、圧電素子が接合されている振動部材、及び圧電素子と接続されている配線部材を備えている振動デバイスが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−051894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、振動デバイスの振動方法であって、振動デバイスの信頼性の低下を抑制する振動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らの調査研究の結果、以下の事項が判明した。振動デバイスの振動に伴い、振動デバイスの信頼性が低下するおそれがある。たとえば、振動に伴い、圧電素子と振動部材との接合状態が劣化するおそれがある。圧電素子と振動部材との接合状態が劣化した場合、圧電素子の変位が振動部材に適切に伝わらず、振動デバイスの変位量が低下する。また、振動に伴い、圧電素子と配線部材との接続状態が劣化するおそれがある。圧電素子と配線部材との接続状態が劣化した場合、圧電素子と配線部材との電気的な接続が劣化し、圧電素子が適切に駆動され難くなる。
【0006】
本発明者らは、振動デバイスの信頼性の低下を抑制する振動方法について、更なる調査研究を行った。その結果、本発明者らは、以下の事実を見出し、本発明を想到するに至った。振動デバイスを、振動デバイスの共振周波数成分より低い基本周波数成分を含み、かつ、基本周波数成分のn倍(nは、2以上の整数)の高次周波数成分を実質的に含まない振動モードで振動させることにより、圧電素子と振動部材との接合状態及び圧電素子と配線部材との接続状態の劣化が抑制される。
【0007】
本発明の一つの態様は、圧電素子、圧電素子が接合されている振動部材、及び圧電素子と接続されている配線部材を備えている振動デバイスの振動方法である。この振動方法では、基本周波数成分を含む信号を、配線部材を通して圧電素子に入力し、振動デバイスを、基本周波数成分を含み、かつ、基本周波数成分のn倍(nは、2以上の整数)の高次周波数成分を実質的に含まない振動モードで振動させる。基本周波数成分は、振動デバイスの共振周波数成分より低い。
【0008】
上記一つの態様では、圧電素子と振動部材との接合状態及び圧電素子と配線部材との接続状態の劣化が抑制されるので、振動デバイスの信頼性の低下が抑制される。
【0009】
本発明者らの調査研究の結果、以下の事項が判明した。基本周波数成分が人間の可聴周波数帯域内に含まれる場合、ユーザが操作触感(たとえば、クリック感)を強く知覚する。
【0010】
上記一つの態様では、基本周波数成分は、人間の可聴周波数帯域内に含まれていてもよい。この場合、ユーザが操作触感を強く知覚する。
【0011】
上記一つの態様では、振動デバイスは、車両に搭載されていてもよい。この場合、振動デバイス以外の振動源を備える車両内でも、ユーザが操作触感を強く知覚する。
【0012】
上記一つの態様では、配線部材は、ベースと、複数の導体とを有していてもよい。ベースは、樹脂からなり、振動部材に接合されている。複数の導体は、ベース上に配置されており、圧電素子と接続されている。この場合、配線部材と振動部材との接合状態の劣化が抑制される。この結果、圧電素子と配線部材との電気的な接続の劣化がより一層抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様によれば、振動デバイスの信頼性の低下を抑制する振動方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る触覚呈示装置を示す図である。
図2】振動デバイスの一例を示す平面図である。
図3】振動デバイスの断面構成を示す図である。
図4】振動デバイスの断面構成を示す図である。
図5】振動デバイスの断面構成を示す図である。
図6】振動デバイスの断面構成を示す図である。
図7】圧電素子の構成を示す分解斜視図である。
図8】圧電素子の平面図である。
図9】振動デバイスの配置の一例を示す概略図である。
図10】振動デバイスの配置の一例を示す模式図である。
図11】駆動装置の構成を示すブロック図である。
図12】駆動装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】振動デバイスに入力される駆動信号の周波数スペクトルを示す線図である。
図14】振動デバイスの振動出力の周波数スペクトルを示す線図である。
図15】比較例での、駆動信号及び振動出力の周波数スペクトルを示す線図である。
図16】比較例での、駆動信号及び振動出力の周波数スペクトルを示す線図である。
図17】比較例での、駆動信号及び振動出力の周波数スペクトルを示す線図である。
図18】振動デバイスの他の一例を示す平面図である。
図19】振動デバイスの分解斜視図である。
図20】振動デバイスの断面構成を示す図である。
図21】振動デバイスの断面構成を示す図である。
図22】振動デバイスの断面構成を示す図である。
図23】圧電素子の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1に示されているように、本実施形態に係る触覚呈示装置1は、振動デバイス3と、駆動装置5と、を備えている。まず、図2〜8を参照して、振動デバイス3の構成を説明する。図2は、振動デバイスの平面図である。図3図4図5、及び図6は、振動デバイスの断面構成を示す図である。図7は、圧電素子の構成を示す分解斜視図である。図8は、圧電素子の平面図である。本実施形態による開示は、振動デバイス3の振動方法を含んでいる。
【0017】
振動デバイス3は、図2に示されているように、圧電素子10と、配線部材40と、振動部材50とを備えている。圧電素子10は、圧電素体11と、複数の外部電極13,15と、を有している。本実施形態では、圧電素子10は、二つの外部電極13,15を有している。
【0018】
圧電素体11は、直方体形状を呈している。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11bと、四つの側面11cと、を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。主面11a,11bは、矩形状を呈している。本実施形態では、主面11a,11bは、正方形状を呈している。主面11a,11bの一辺の長さは、たとえば、30mmである。正方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。
【0019】
一対の主面11a,11bが対向している方向が第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向である。四つの側面11cは、一対の主面11a,11bの間を連結するように第一方向D1に延在している。主面11a,11bと各側面11cとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、各主面11a,11bと各側面11cとの間には、稜線部が位置する。圧電素体11の第一方向D1での長さ(圧電素体11の厚み)は、たとえば、100μmである。
【0020】
圧電素体11は、図7にも示されるように、第一方向D1に複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されて構成されている。圧電素体11は、積層されている複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。本実施形態では、圧電素体11は、四つの圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。圧電素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されている方向が第一方向D1と一致する。
【0021】
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0022】
圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。圧電体層17a,17dの厚みは、圧電体層17b,17cの厚みよりも小さい。圧電体層17a,17dの厚みは、たとえば、33μmであり、圧電体層17b,17cの厚みは、たとえば、16μmである。各圧電体層17a,17b,17c,17dの厚みは、同等であってもよい。
【0023】
圧電素子10は、図3図4図5、及び図7に示されているように、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極19,21,23を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、三つの内部電極19,21,23を備えている。各内部電極19,21,23は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各内部電極19,21,23は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、内部電極19,21,23は、略矩形状(たとえば、略正方形状)を呈している。
【0024】
各内部電極19,21,23は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極19と内部電極21とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極21と内部電極23とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極19は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極21は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。各内部電極19,21,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極19,21,23は、側面11cには露出していない。各内部電極19,21,23は、図8に示されるように、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
【0025】
各外部電極13,15は、主面11a上に配置されている。外部電極13と外部電極と15は、主面11aの一辺のみに沿って配置されている。外部電極13と外部電極15とは、隣り合っている。各外部電極13,15は、図8に示されているように、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、内部電極19,21,23の全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各外部電極13,15は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0026】
外部電極13は、複数のビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、内部電極19と同じ層に位置している。接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極19と接続導体25とは、離間している。接続導体25は、第一方向D1で、外部電極13と対向している。複数のビア導体31は、外部電極13と接続されていると共に、接続導体25と接続されている。接続導体25は、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続導体25は、第一方向D1で、内部電極21と対向している。複数のビア導体35は、接続導体25と接続されていると共に、内部電極21と接続されている。
【0027】
外部電極15は、複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されている。内部電極19は、第一方向D1で、外部電極15と対向している。複数のビア導体33は、外部電極15と接続されていると共に、内部電極19と接続されている。内部電極19は、複数のビア導体37を通して接続導体27と電気的に接続されている。
【0028】
接続導体27は、内部電極21と同じ層に位置している。接続導体27は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極21と接続導体27とは、離間している。接続導体27は、第一方向D1で、内部電極19と対向している。複数のビア導体37は、内部電極19と接続されていると共に、接続導体27と接続されている。接続導体27は、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続導体27は、第一方向D1で、内部電極23と対向している。複数のビア導体39は、接続導体27と接続されていると共に、内部電極23と接続されている。
【0029】
外部電極13は、複数のビア導体31、接続導体25、及び、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。外部電極15は、複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されている。外部電極15は、複数のビア導体33、内部電極19、複数のビア導体37、接続導体27、及び、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な領域を構成する。
【0030】
接続導体25,27及びビア導体31,33,35,37,39は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。接続導体25,27及びビア導体31,33,35,37,39は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,27は、略矩形状を呈している。ビア導体31,33,35,37,39は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0031】
圧電素体11の主面11bには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。圧電素体11の各側面11cには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、各側面11cを当該側面11cと直交する方向から見たとき、各側面11cの全体が露出している。本実施形態では、各側面11cは、自然面である。
【0032】
配線部材40は、図6にも示されているように、ベース41と、複数の導体43,45と、カバー47と、を有している。本実施形態では、配線部材40は、一対の導体43,45を備えている。配線部材40は、たとえばフレキシブルプリント基板(FPC)である。配線部材40は、所定の方向に延在している。配線部材40は、たとえば、第一方向D1から見て、圧電素体11(主面11a,11b)の一辺と交差する方向に延在している。本実施形態では、第一方向D1から見て、圧電素体11(主面11a,11b)の一辺と直交する方向に延在している。
【0033】
ベース41は、互いに対向している一対の主面41a,41bと、端面41cと、互いに対向している一対の側面41dと、を有している。ベース41は、電気絶縁性を有している。ベース41は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。端面41cは、一対の主面41a,41bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面41cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面41dは、一対の主面41a,41bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面41dは、上記所定の方向に沿って延在している。本実施形態では、主面41bを主面41aと主面41bとが対向している方向から見たとき、主面41bの全体が露出している。
【0034】
一対の導体43,45は、ベース41(主面41a)上に配置されている。一対の導体43,45は、接着層(不図示)によって、ベース41に接合されている。導体43と導体45とは、上記所定の方向に延在している。導体43と導体45とは、導体43,45が延在している方向と交差する方向で離間している。各導体43,45は、たとえば銅からなる。
【0035】
導体43は、互いに対向している一対の主面43a,43bと、端面43cと、互いに対向している一対の側面43dと、を有している。主面43bは、主面41aと接している。端面43cは、一対の主面43a,43bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面43cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面43dは、一対の主面43a,43bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面43dは、上記所定の方向に沿って延在している。本実施形態では、端面41cと端面43cとは、略同一平面上に位置している。
【0036】
導体45は、互いに対向している一対の主面45a,45bと、端面45cと、互いに対向している一対の側面45dと、を有している。主面45bは、主面41aと接している。端面45cは、一対の主面45a,45bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面45cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面45dは、一対の主面45a,45bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面45dは、上記所定の方向に沿って延在している。側面43dと側面45dとは、互いに対向している。本実施形態では、端面41cと端面45cとは、略同一平面上に位置している。
【0037】
カバー47は、各導体43,45の一部を覆うように、各導体43,45上に配置されている。各導体43,45は、配線部材40の一端部及び他端部で、カバー47から露出している。カバー47は、主面41aにおける各導体43,45から露出している領域を覆うように、主面41aにも配置されている。上記所定の方向でのベース41の両端部も、カバー47から露出している。カバー47は、接着層(不図示)によって、各導体43,45に接合されている。
【0038】
ベース41は、配線部材40の一端部及び他端部で、カバー47から露出している。ベース41とカバー47とは、各導体43,45から露出している領域で互いに接合されている。カバー47は、樹脂からなる。カバー47は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。各導体43,45の、カバー47から露出している領域には、たとえば、ニッケルめっき及び金フラッシュめっきが施されている。
【0039】
主面41aと主面41bとが対向している方向での配線部材40の長さ(配線部材40の厚み)は、主面41aと主面41bとが対向している方向でのベース41の長さ(ベース41の厚み)と、主面41aと主面41bとが対向している方向での導体43,45の長さ(導体43,45の厚み)と、主面41aと主面41bとが対向している方向でのカバー47の長さ(カバー47の厚み)との合計で規定される。本実施形態では、配線部材40の厚みは、たとえば、70μmである。ベース41の厚みは、たとえば、20μmである。各導体43,45の厚みは、たとえば、20μmである。ベース41の厚みと各導体43,45の厚みとは、異なっていてもよい。
【0040】
振動部材50は、互いに対向している主面50a,50bを有している。本実施形態では、振動部材50は、板状の部材である。振動部材50は、たとえば、金属からなる。振動部材50は、たとえば、Ni−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。振動部材50(主面50a,50b)は、主面50aと主面50bとが対向している方向から見たとき、矩形状を呈している。矩形状も、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。
【0041】
各主面50a,50bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面50a,50bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、振動部材50は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。振動部材50の長辺方向での長さは、たとえば、80mmである。振動部材50の短辺方向での長さは、たとえば、60mmである。主面50aと主面50bとが対向している方向での振動部材50の長さ(振動部材50の厚み)は、たとえば250μmである。
【0042】
圧電素子10及び配線部材40は、振動部材50と接着されている。圧電素体11の主面11bと振動部材50の主面50aとが互いに対向しており、ベース41の主面41bと振動部材50の主面50aとが互いに対向している。すなわち、主面11bと主面50aとが接着されていると共に、主面41bと主面50aとが接着されている。圧電素子10及び配線部材40が振動部材50に接着された状態では、第一方向D1と、主面41aと主面41bとが対向している方向と、主面50aと主面50bとが対向している方向と、は略同じである。第一方向D1から見て、圧電素子10は、振動部材50の中央部に配置されている。
【0043】
圧電素子10は、接着部材55によって、主面11bと四つの側面11cとで振動部材50と接着されている。接着部材55は、圧電素子10と振動部材50とを接着する部材である。本実施形態では、主面11bと四つの側面11cとの全体が、接着部材55で覆われている。すなわち、主面11bと四つの側面11cとの全体が、接着部材55と接している。主面11aは、接着部材55に覆われておらず、接着部材55から露出している。主面11bと主面50aとは、接着部材55を介して、間接的に対向している。
【0044】
配線部材40は、接着部材57によって、ベース41の主面41bで振動部材50と接着されている。すなわち、ベース41は、振動部材50に接合されている。接着部材57は、配線部材40と振動部材50とを接着する部材である。本実施形態では、主面41bの、振動部材50上に位置している領域の全体が、接着部材57で覆われている。すなわち、主面41bの上記領域の全体が、接着部材57と接している。一対の側面41dは、接着部材57に覆われておらず、接着部材57から露出している。一対の側面41dは、接着部材55にも覆われておらず、接着部材55から露出している。主面41bと主面50aとは、接着部材57を介して、間接的に対向している。
【0045】
ベース41の端面41cと、一対の導体43,45の各端面43c,45cとは、接着部材57に覆われておらず、接着部材57から露出している。各端面41c,43c,45cは、接着部材55に覆われており、接着部材55と接している。本実施形態では、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55と接している。すなわち、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55によって、振動部材50と接着されている。
【0046】
接着部材55,57は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂)が用いられる。接着部材55,57は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。接着部材55と接着部材57とは、異なる樹脂からなっていてもよく、同じ樹脂からなっていてもよい。
【0047】
圧電素子10と配線部材40とは、振動部材50上で隣り合っている。配線部材40は、第一方向D1から見て、二つの外部電極13,15が沿って配置されている主面11aの一辺と隣り合っている。第一方向D1から見て、圧電素子10と配線部材40とは離れている。圧電素子10と配線部材40との間隔は、たとえば、0mmより大きく、1mm以下である。
【0048】
第一方向D1から見て、導体43,45が延在している方向(上記所定の方向)と、外部電極13,15が沿って配置されている上記一辺とは、交差している。本実施形態では、導体43,45が延在している方向と、外部電極13,15が沿って配置されている上記一辺とは、略直交している。
【0049】
図3及び図4に示されているように、一対の導体43,45の各主面43a,45aの振動部材50(主面50a)からの高さ位置(以下、「第一高さ位置」と称する)と、各外部電極13,15の振動部材50(主面50a)からの高さ位置(以下、「第二高さ位置」と称する)とが異なっている。本実施形態では、第一高さ位置が、第二高さ位置よりも低い。本実施形態では、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55を介して、一つの側面11cと間接的に対向している。
【0050】
互いに対向する側面11cと端面41c,43c,45cとの間には、接着部材55が存在している。接着部材55の表面55aは、主面11aと主面43aとを連結すると共に主面11aと主面45aとを連結するように、延在している。表面55aは、第一高さ位置と第二高さ位置との差に応じて、主面11aから主面43a,45aに向けて傾斜している。
【0051】
振動デバイス3は、図2図4に示されるように、接続部材61と、接続部材63とを備えている。接続部材61は、外部電極13と導体43とを接続している。外部電極13と導体43とは、接続部材61を通して電気的に接続されている。接続部材63は、外部電極15と導体45とを電気的に接続している。外部電極15と導体45とは、接続部材63を通して電気的に接続されている。配線部材40は、圧電素子10と接続されている。
【0052】
接続部材61は、外部電極13と接続されている一端部61aと、導体43(主面43a)と接続されている他端部61bとを有している。他端部61bは、導体43におけるカバー47から露出している一端部と接続されている。他端部61bは、主面43aと接している。導体43は、接続部材61、外部電極13、複数のビア導体31、接続導体25、及び、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続部材61は、外部電極13と導体43の一端部(主面43a)とに接するように、接着部材55上に配置されている。接続部材61は、接着部材55と接している。
【0053】
接続部材63は、外部電極15と接続されている一端部63aと、導体45(主面45a)と接続されている他端部63bとを有している。他端部63bは、導体45におけるカバー47から露出している一端部と接続されている。他端部63bは、主面45aと接している。導体45は、接続部材63、外部電極15、複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されていると共に、更に、複数のビア導体37、接続導体27、及び、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続部材63は、外部電極15と導体45の一端部(主面45a)とに接するように、接着部材55上に配置されている。接続部材63は、接着部材55と接している。
【0054】
接続部材61,63は、導電性樹脂からなる。導電性樹脂は、樹脂(たとえば、熱硬化性樹脂)と導電性材料(たとえば、金属粉末)とを含んでいる。金属粉末には、たとえば、Ag粉末が用いられる。熱硬化性樹脂には、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂が用いられる。接続部材61,63の硬度は、接着部材55の硬度よりも小さい。
【0055】
極性が異なる駆動電圧が、導体43,45を通して、外部電極13と外部電極15とに印加されると、内部電極21と内部電極19,23との間で電界が発生する。圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とに変位が発生する。圧電素子10は、外部電極13,15に交流信号が印加されると、印加された交流信号の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子10と振動部材50とは、互いに接着されているので、振動部材50は、圧電素子10における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子10と一体に撓み振動を行う。
【0056】
振動デバイス3は、図9及び図10に示されているように、たとえば、車両Vに搭載されている。振動デバイス3は、車両VのインストルメントパネルIPに配置されている表示装置DD内に配置されている。振動デバイス3は、たとえば、表示装置DDのディスプレイパネルDPの裏面に接合されている。振動デバイス3は、たとえば、ステアリングホイールSW内に配置されていてもよい。図9は、振動デバイスの配置の一例を示す概略図である。図10は、振動デバイスの配置の一例を示す模式図である。
【0057】
次に、図11を参照して、駆動装置5の構成を説明する。駆動装置5は、制御部5aと、駆動電圧生成部5bと、出力部5cと、を備えている。駆動装置5は、振動デバイス3に信号(駆動信号)を出力し、振動デバイス3(圧電素子10)を駆動させる。制御部5aは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えている。この場合、制御部5aは、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することによって各種の処理を行う。図11は、駆動装置の構成を示すブロック図である。
【0058】
制御部5aは、駆動装置5を統括的に制御する。制御部5aには、振動デバイス3の駆動を指示する制御信号が入力される。制御部5aは、制御信号を受け取ると、制御信号に応じて、駆動電圧生成部5bに対して、駆動電圧の波形生成に係る生成信号を出力する。制御信号は、たとえば、ユーザによるディスプレイパネルDPの操作の有無を示す信号である。この場合、制御信号は、表示装置DDから駆動装置5(制御部5a)に入力される。制御部5aは、制御信号に基づいて、ユーザによるディスプレイパネルDPの操作の有無を判定する。制御部5aは、表示装置DDの制御部に含まれていてもよい。
【0059】
駆動電圧生成部5bは、駆動電圧を生成する。駆動電圧生成部5bは、波形発生回路5dを有している。波形発生回路5dは、制御部5aから出力された生成信号に応じて、駆動電圧の波形を生成する。波形発生回路5dは、接地電位に対して正側と負側とに変動する交流成分を含む電圧の波形を生成する。波形発生回路5dは、たとえば、正弦波波形を生成する。駆動電圧生成部5bは、正弦波波形に基づく駆動信号を生成する。駆動電圧生成部5bは、生成した駆動電圧を示す電圧信号(アナログ信号)を出力部5cに出力する。出力部5cは、駆動電圧生成部5bから出力された電圧信号を増幅する。出力部5cは、増幅した電圧信号に基づく駆動信号を振動デバイス3(配線部材40)に出力する。
【0060】
次に、図12を参照して、駆動装置5の動作を説明する。図12は、駆動装置の動作の一例を示すフローチャートである。図12に示されたフローチャートの処理は、車両Vの電源がONされた場合に、周期的に実行される。
【0061】
表示装置DDは、周期的に制御信号を出力する。制御部5aは、表示装置DDから出力された制御信号に基づいて、ユーザがディスプレイパネルDPを操作したか否かを判定する(S101)。制御部5aが、ユーザがディスプレイパネルDPを操作したと判定した場合、駆動装置5は振動デバイス3に駆動信号を出力する(S103)。この場合、制御部5aは、駆動電圧生成部5bに生成信号を出力する。その後、制御部5aは、今回の処理を終える。駆動電圧生成部5bは、生成信号が入力されると、電圧信号を出力部5cに出力する。出力部5cは、電圧信号が入力されると、駆動信号を振動デバイス3に出力する。振動デバイス3に駆動信号が入力されると、振動デバイス3が振動する。振動デバイス3の振動がディスプレイパネルDPに伝わることにより、ユーザに触覚が呈示される。制御部5aが、ユーザがディスプレイパネルDPを操作していないと判定した場合、駆動装置5は振動デバイス3に駆動信号を出力することなく、今回の処理を終える。
【0062】
触覚呈示装置1では、上述したように、駆動信号が、駆動装置5から配線部材40を通して圧電素子10に入力される。駆動装置5から圧電素子10に入力される駆動信号は、図13に示されるように、基本周波数成分を含んでいる。図13は、振動デバイスに入力される駆動信号の周波数スペクトルを示す線図である。
【0063】
駆動信号に含まれる基本周波数成分は、たとえば、人間の可聴周波数帯域内に含まれる。人間の可聴周波数帯域は、一般に、20〜20,000Hzである。人間の指先は、たとえば、20〜400Hz程度の周波数を感知し得る。したがって、本実施形態では、基本周波数成分は、たとえば、200Hzに設定される。基本周波数成分は、たとえば、80Hzに設定されてもよい。駆動信号に含まれる基本周波数成分は、振動デバイス3の共振周波数成分より低い。振動デバイス3の共振周波数成分は、可聴周波数帯域の上限近傍、又は、可聴周波数帯域外にある。本実施形態では、振動デバイス3の共振周波数成分は、約40kHzであり、可聴周波数帯域外にある。駆動信号は、基本周波数成分のn倍(nは、2以上の整数)の高次周波数成分を実質的に含んでいない。高次周波数成分を実質的に含んでいないとは、駆動信号を高速フーリエ変換(FFT)解析して得られた周波数スペクトルにおいて、高次周波数成分の振幅スペクトルが基本周波数成分の振幅スペクトルの1/10以下であることを意味する。
【0064】
触覚呈示装置1は、上述した駆動信号を圧電素子10に入力し、図14に示されるように、振動デバイス3を、基本周波数成分を含み、かつ、基本周波数成分のn倍(nは、2以上の整数)の高次周波数成分を実質的に含まない振動モードで振動させる。高次周波数成分を実質的に含んでいないとは、振動デバイス3の振動を高速フーリエ変換解析して得られた周波数スペクトルにおいて、高次周波数成分の振幅スペクトルが基本周波数成分の振幅スペクトルの1/10以下であることを意味する。ここでは、振動デバイス3の振動を振動デバイス3の音圧変動としてマイクロフォンで検出し、マイクロフォンで検出した音圧変動を高速フーリエ変換解析した。この場合、振動デバイス3は、ポリカーボネート樹脂からなる振動板に面接着されている。振動板のサイズは、120mm×90mmであり、振動板の厚みは2.5mmである。マイクロフォンと振動板との間隔は、0.1mである。振動デバイス3が面接着された振動板の共振周波数成分は、約20kHzである。図14の(a)及び(b)は、振動デバイスの振動出力の周波数スペクトルを示す線図である。図14の(b)は、図14の(a)に示された周波数スペクトルの一部を拡大した線図である。
【0065】
以上のように、本実施形態では、触覚呈示装置1は、振動デバイスの共振周波数成分より低い基本周波数成分(たとえば、200Hz)を含む信号を、配線部材40を通して圧電素子10に入力する。触覚呈示装置1は、振動デバイス3を、基本周波数成分(たとえば、200Hz)を含み、かつ、基本周波数成分のn倍の高次周波数成分を実質的に含まない振動モードで振動させる。この結果、本実施形態では、圧電素子10と振動部材50との接合状態及び圧電素子10と配線部材40との接続状態の劣化が抑制されるので、振動デバイス3の信頼性の低下が抑制される。
【0066】
本実施形態では、基本周波数成分は、人間の可聴周波数帯域内に含まれている。この結果、ユーザが操作触感を強く知覚する。
【0067】
本実施形態では、振動デバイス3は、車両Vに搭載されている。この場合、振動デバイス3以外の振動源を備える車両V内でも、ユーザが操作触感を強く知覚する。
【0068】
本実施形態では、配線部材40は、ベース41と、複数の導体43,45とを有している。ベース41は、樹脂からなり、振動部材50に接合されている。複数の導体43,45は、ベース41上に配置されており、圧電素子10と接続されている。この場合、配線部材40と振動部材50との接合状態の劣化が抑制される。この結果、圧電素子10と配線部材40との電気的な接続の劣化がより一層抑制される。
【0069】
本発明者らの調査研究の結果、図15図16、及び図17に示されている各比較例のように、駆動信号が、基本周波数成分のn倍の高次周波数成分を含んでいると共に、振動デバイス3を、基本周波数成分のn倍の高次周波数成分を含む振動モードで振動させた場合、振動デバイス3の信頼性の低下だけでなく、ユーザが操作触感を知覚し難いことが確認された。図15図16、及び図17に示されている各比較例では、基本周波数成分は200Hzに設定されている。振動デバイス3は、上述した振動板に面接着されている。ここでも、振動デバイス3の振動を振動デバイス3の音圧変動としてマイクロフォンで検出し、マイクロフォンで検出した音圧変動を高速フーリエ変換解析して、周波数スペクトルを得た。マイクロフォンと振動板との間隔は、0.1mである。図15図17の各(a)〜(c)は、比較例での、駆動信号及び振動出力の周波数スペクトルを示す線図である。図15図17の各(a)は、振動デバイスに入力される駆動信号の周波数スペクトルを示す線図である。図15図17の各(b)は、振動デバイスの振動出力の周波数スペクトルを示す線図である。図15図17の各(c)は、対応する(b)に示された周波数スペクトルの一部を拡大した線図である。
【0070】
次に、図18図23を参照して、振動デバイス3の他の一例の構成を説明する。図18は、振動デバイスを示す平面図である。図19は、振動デバイスの分解斜視図である。図20図21、及び図22は、振動デバイスの断面構成を示す図である。図23は、圧電素子の構成を示す分解斜視図である。
【0071】
振動デバイス3は、図18及び図19に示されているように、圧電素子110、配線部材150、及び振動部材160を備えている。圧電素子110は、圧電素体111と、複数の外部電極113,115と、を有している。本例では、圧電素子110は、二つの外部電極113,115を有している。
【0072】
圧電素体111は、直方体形状を呈している。圧電素体111は、互いに対向している一対の主面111a,111b、互いに対向している一対の側面111c、互いに対向している一対の側面111eを有している。直方体形状には、たとえば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。一対の主面111a,111bが対向している方向が第一方向D101である。第一方向D101は、各主面111a,111bに直交する方向でもある。一対の側面111cが対向している方向が、第二方向D102である。第二方向D102は、各側面111cに直交する方向でもある。一対の側面111eが対向している方向が、第三方向D103である。第三方向D103は、各側面111eに直交する方向でもある。
【0073】
各主面111a,111bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面111a,111bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、圧電素子110(圧電素体111)は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。長方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。本例では、主面111a,111bの長辺方向は、第三方向D103と一致する。主面111a,111bの短辺方向は、第二方向D102方向と一致する。
【0074】
一対の側面111cは、一対の主面111a,111bを連結するように第一方向D101に延在している。一対の側面111cは、第三方向D103にも延在している。一対の側面111eは、一対の主面111a,111bを連結するように第一方向D101に延在している。一対の側面111eは、第二方向D102にも延在している。圧電素体111の第二方向D102での長さは、たとえば、10mmである。圧電素体111の第三方向D103での長さは、たとえば、20mmである。圧電素体111の第一方向D101での長さは、たとえば、200μmである。各主面111a,111bと各側面111c,111eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、各主面111a,111bと各側面111c,111eとの間には、稜線部が位置する。
【0075】
圧電素体111は、図20図23に示されるように、複数の圧電体層117a,117b,117c,117dが第一方向D101に積層されて構成されている。圧電素体111は、積層されている複数の圧電体層117a,117b,117c,117dを有している。本例では、圧電素体111は、四つの圧電体層117a,117b,117c,117dを有している。圧電素体11では、複数の圧電体層117a,117b,117c,117dが積層されている方向が第一方向D101と一致する。圧電体層117aは、主面111aを有している。圧電体層117dは、主面111bを有している。圧電体層117b,117cは、圧電体層117aと圧電体層117dとの間に位置している。
【0076】
各圧電体層117a,117b,117c,117dは、圧電材料からなる。本例では、各圧電体層117a,117b,117c,117dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)が用いられる。各圧電体層117a,117b,117c,117dは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体111では、各圧電体層117a,117b,117c,117dは、各圧電体層117a,117b,117c,117dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0077】
圧電素子110は、図20図23に示されるように、圧電素体111内に配置されている複数の内部電極119,121,123を備えている。本例では、圧電素子110は、三つの内部電極119,121,123を備えている。各内部電極119,121,123は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各内部電極119,121,123は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本例では、各内部電極119,121,123の外形形状は、長方形状である。
【0078】
各内部電極119,121,123は、第一方向D101において異なる位置(層)に配置されている。内部電極119と内部電極121とは、第一方向D101に間隔を有して対向している。内部電極121と内部電極123とは、第一方向D101に間隔を有して対向している。内部電極119は、圧電体層117aと圧電体層117bとの間に位置している。内部電極121は、圧電体層117bと圧電体層117cとの間に位置している。内部電極123は、圧電体層117cと圧電体層117dとの間に位置している。各内部電極119,121,123は、圧電素体111の表面には露出していない。すなわち、各内部電極119,121,123は、各側面111c,111eには露出していない。各内部電極119,121,123は、第一方向D101から見て、主面111a,111bの全ての縁(四辺)から離間している。
【0079】
各外部電極113,115は、主面111a上に配置されている。外部電極113と外部電極115とは、第三方向D103に並んでいる。外部電極113と外部電極115とは、第三方向D103で隣り合っている。各外部電極113,115は、第一方向D101から見て、主面111aの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極113,115は、第一方向D101から見て、矩形状を呈している。矩形状も、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。各外部電極113,115は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各外部電極113,115は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0080】
外部電極113は、ビア導体131を通して接続導体125と電気的に接続されている。接続導体125は、内部電極119と同じ層に位置している。接続導体125は、内部電極119の内側に位置している。内部電極119には、第一方向D101から見て、外部電極113に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体125は、内部電極119に形成されている開口内に位置している。第一方向D101から見て、接続導体125の全縁が、内部電極119で囲まれている。
【0081】
接続導体125は、圧電体層117aと圧電体層117bとの間に位置している。内部電極119と接続導体125とは、離間している。接続導体125は、第一方向D101で、外部電極113と対向している。ビア導体131は、外部電極113と接続されていると共に、接続導体125と接続されている。接続導体125は、ビア導体133を通して内部電極121と電気的に接続されている。接続導体125は、第一方向D101で、内部電極121と対向している。ビア導体133は、接続導体125と接続されていると共に、内部電極121と接続されている。
【0082】
内部電極121は、ビア導体135を通して接続導体127と電気的に接続されている。接続導体127は、内部電極123と同じ層に位置している。接続導体127は、内部電極123の内側に位置している。内部電極123には、第一方向D101から見て、外部電極113(接続導体125)に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体127は、内部電極123に形成されている開口内に位置している。第一方向D101から見て、接続導体127の全縁が、内部電極123で囲まれている。
【0083】
外部電極115は、ビア導体137を通して内部電極119と電気的に接続されている。内部電極119は、第一方向D101で、外部電極115と対向している。ビア導体137は、外部電極115と接続されていると共に、内部電極119と接続されている。
【0084】
内部電極119は、ビア導体139を通して接続導体129と電気的に接続されている。接続導体129は、内部電極121と同じ層に位置している。接続導体129は、内部電極121の内側に位置している。内部電極121には、第一方向D101から見て、外部電極115に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体129は、内部電極121に形成されている開口内に位置している。第一方向D101から見て、接続導体129の全縁が、内部電極121で囲まれている。
【0085】
接続導体129は、圧電体層117bと圧電体層117cとの間に位置している。内部電極121と接続導体129とは、離間している。接続導体129は、第一方向D101で、内部電極119と対向している。ビア導体139は、内部電極119と接続されていると共に、接続導体129と接続されている。接続導体129は、ビア導体141を通して内部電極123と電気的に接続されている。接続導体129は、第一方向D101で、内部電極123と対向している。ビア導体141は、接続導体129と接続されていると共に、内部電極123と接続されている。
【0086】
外部電極113は、ビア導体131、接続導体125、及び、ビア導体133を通して、内部電極121と電気的に接続されている。外部電極115は、ビア導体137を通して、内部電極119と電気的に接続されている。外部電極115は、ビア導体137、内部電極119、ビア導体139、接続導体129、及び、ビア導体141を通して、内部電極123と電気的に接続されている。
【0087】
接続導体125,127,129及びビア導体131,133,135,137,139,141は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。接続導体125,127,129及びビア導体131,133,135,137,139,141は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体125,127,129は、矩形状を呈している。ビア導体131,133,135,137,139,141は、対応する圧電体層117a,117b,117cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0088】
圧電素体111の主面111bには、内部電極119,123と電気的に接続されている導体と、内部電極121と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本例では、主面111bを第一方向D101から見たとき、主面111bの全体が露出している。主面111a,111bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
【0089】
圧電素体111の各側面111c,111eにも、内部電極119,123と電気的に接続されている導体と、内部電極121と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本例では、各側面111cを第二方向D102から見たとき、各側面111cの全体が露出している。各側面111eを第三方向D103から見たとき、各側面111eの全体が露出している。本例では、各側面111c,111eも、自然面である。
【0090】
圧電体層117bにおける内部電極119と内部電極121とで挟まれた領域と、圧電体層117cにおける内部電極121と内部電極23とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な領域を構成する。本例では、圧電的に活性な領域は、第一方向D101から見て、複数の外部電極113,115を囲むように位置している。第一方向D101から見て、圧電素体111は、外部電極113と外部電極115との間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を含んでいる。第一方向D101から見て、圧電素体111は、外部電極113と外部電極115とが位置している領域の外側にも、圧電的に活性な領域を含んでいる。
【0091】
配線部材150は、図20図22も示されているように、ベース151、複数の導体153,155、カバー157、及び補強部材159を有している。本例では、配線部材150は、一対の導体153,155を備えている。配線部材150は、たとえば、フレキシブルプリント基板である。配線部材150は、主面111a,111bの長辺と交差するように配置されている。配線部材150が延在している方向は、第二方向D102と交差している。本例では、配線部材150は、主面111a,111bの長辺と直交するように配置されている。配線部材150が延在している方向は、第二方向D102と直交している。配線部材150は、第二方向D102に延在している。配線部材150は、圧電素子110と電気的かつ物理的に接続されている一端部と、振動デバイス3が搭載される電子機器(不図示)と電気的かつ物理的に接続される他端部とを有している。
【0092】
ベース151は、互いに対向している一対の主面151a,151bを有している。ベース151は、電気絶縁性を有している。ベース151は、樹脂からなる。ベース151は、たとえばポリイミド樹脂からなる。
【0093】
一対の導体153,155は、ベース151(主面151a)上に配置されている。一対の導体153,155は、接着層152によって、ベース151に接合されている。接着層152は、各導体153,155とベース151との間に位置している。導体153と導体155とは、配線部材150が延在している方向に延在している。導体153と導体155とは、導体153,155が延在している方向と交差する方向で離間している。各導体153,155は、たとえば、銅からなる。
【0094】
カバー157は、各導体153,155の一部を覆うように、各導体153,155上に配置されている。各導体153,155は、配線部材150の一端部及び他端部で、カバー157から露出している。カバー157は、ベース151における各導体153,155から露出している領域を覆うように、主面151a上にも配置されている。カバー157は、接着層156によって、各導体153,155に接合されている。
【0095】
ベース151は、配線部材150の一端部及び他端部で、カバー157から露出している。ベース151とカバー157とは、各導体153,155から露出している領域で互いに接合されている。カバー157は、樹脂からなる。カバー157は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。各導体153,155の、カバー157から露出している領域には、たとえば、ニッケルめっき及び金フラッシュめっきが施されている。
【0096】
補強部材159は、配線部材150の他端部に配置されている。補強部材159は、ベース151(主面151b)上に配置されている。補強部材159は、接着層158によって、ベース151に接合されている。接着層158は、補強部材159とベース151との間に位置している。補強部材159は、電気絶縁性を有する板状の部材である。補強部材159は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。
【0097】
振動部材160は、図20図22に示されるように、互いに対向している主面160a,160bを有している。本例では、振動部材160は、板状の部材である。振動部材160は、たとえば、金属からなる。振動部材160は、たとえば、Ni−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。各主面160a,160bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面160a,160bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、振動部材160は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。本例では、主面160a,160bの長辺方向は、第三方向D103と一致する。主面160a,160bの短辺方向は、第二方向D102方向と一致する。振動部材160の第二方向D102での長さは、たとえば、15mmである。振動部材160の第三方向D103での長さは、たとえば、30mmである。振動部材160の第一方向D101での長さは、たとえば、100μmである。
【0098】
圧電素子110は、樹脂層161によって振動部材160に接合されている。圧電素体111の主面111bと振動部材160の主面160aとが互いに対向している。樹脂層161は、主面111bと主面160aとの間に位置している。主面111bと主面160aとが、樹脂層161によって接合されている。樹脂層161は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂)からなる。樹脂層161は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。圧電素子110が振動部材160に接合された状態では、第一方向D101と、主面160aと主面160bとが対向している方向とは略同じである。第一方向D101から見て、圧電素子110は、振動部材160(主面160a)の略中央に配置されている。
【0099】
配線部材150は、振動部材160の主面160a,160bの長辺と交差するようにも配置されている。本例では、配線部材150は、主面160a,160bの長辺と直交するように配置されている。配線部材150は、図20図21、及び図23に示されるように、三つの領域150A,150B,150Cを有している。
【0100】
領域150Aは、外部電極113,115上に位置している。領域150Aは、配線部材150の一端部に含まれる。領域150Aは、ベース151と導体153,155とを含んでいる。領域150Aは、第一方向D101から見て、外部電極113と外部電極115とを一体的に覆っている。領域150Aは、主面111aにおける、第一方向D101から見て外部電極113と外部電極115との間に位置している領域も覆っている。領域150Aは、外部電極113,115及び主面111a(外部電極113と外部電極115との間に位置している上記領域)と対向している。領域150Aでは、各導体153,155が露出している。領域150Aでは、ベース151と主面111aとが対向している。
【0101】
領域150Aは、接続部材170によって、圧電素子110と接合されている。領域150Aは、接続部材170によって、外部電極113,115と接合されている。接続部材170は、第一方向D101から見て外部電極113と外部電極115とを一体的に覆うように、領域150Aと圧電素子110との間に設けられている。接続部材170は、樹脂層171と、複数の金属粒子173とを有している。本例では、樹脂層171は、領域150Aと、外部電極113,115及び主面111aとの間に存在している。互いに対応する外部電極113,115と導体153,155との間には、樹脂層171が存在している。複数の金属粒子173は、樹脂層171内に配置されている。樹脂層171は、たとえば、熱硬化性エラストマーからなる。金属粒子173は、たとえば、金めっき粒子からなる。接続部材170は、たとえば、異方性導電ペースト又は異方性導電膜が硬化することにより形成される。
【0102】
互いに対応する外部電極113,115と導体153,155とは、金属粒子173によって接続されている。互いに対応する外部電極113,115と導体153,155とは、金属粒子173を通して電気的に接続されている。導体153は、金属粒子173及び外部電極113を通して、内部電極121と電気的に接続されている。導体155は、金属粒子173及び外部電極115を通して、内部電極119,123と電気的に接続されている。
【0103】
本例では、領域150Aは、樹脂層171によって、主面111aにおける、第一方向D101から見て外部電極113と外部電極115との間に位置している上記領域と接合されている。領域150Aでは、ベース151(接着層152)は、樹脂層171によって、主面111aと接合されている。領域150Aと、主面111a(外部電極113と外部電極115との間に位置している上記領域)との間には、少なくとも一つのスペーサ175が配置されている。スペーサ175は、樹脂層171内に配置されている。スペーサ175の第一方向D101での長さは、領域150Aと、主面111a(外部電極113と外部電極115との間に位置している上記領域)との間隔と同等である。スペーサ175は、たとえば、金めっき粒子からなる。
【0104】
領域150Bは、振動部材160の主面160a上に位置している。領域150Bは、ベース151、導体153,155、及びカバー157を含んでいる。領域150Bでは、導体153,155は露出していない。領域150Bは、主面160aと接合されている。本例では、領域150Bは、樹脂層163によって主面160aと接合されている。領域150Bに含まれるカバー157は、樹脂層163によって主面160aと接合されている。振動部材160(主面160a)と領域150B(カバー157)との接合面積は、外部電極113の面積と外部電極115の面積の合計値より大きい。
【0105】
樹脂層163は、樹脂層161と接している。樹脂層163は、樹脂層161と離間していてもよい。樹脂層163は、振動部材160の側面と接していてもよい。樹脂層163は、振動部材160の主面160bとは接していない。すなわち、樹脂層163は、主面160b上には設けられていない。樹脂層163は、たとえば、ニトリルゴムからなる。樹脂層163は、樹脂層161と同じ材料であってもよい。樹脂層163は、樹脂層161と異なる材料であってもよい。
【0106】
領域150Cは、領域150Aと領域150Bとの間で、圧電素体111の主面111a上に位置している。本例では、領域150Cと領域150Aとは連続していると共に、領域150Cと領域150Bとは連続している。領域150Cは、領域150Aと領域150Bとの間に位置している。領域150Cは、領域150A寄りの第一端150Cと領域150B寄りの第二端150Cとを有している。領域150Cは、ベース151、導体153,155、及びカバー157を含んでいる。領域150Cは、第二方向D102から見て、主面111aから離れる方向に凸状に湾曲した形状を呈している。
【0107】
本例の振動デバイス3でも、極性が異なる電圧が、導体153,155を通して、外部電極113と外部電極115とに印加されると、内部電極121と内部電極119,123との間で電界が発生する。圧電体層117bにおける内部電極119と内部電極121とで挟まれた領域と、圧電体層117cにおける内部電極121と内部電極123とで挟まれた領域とが、圧電的に活性な領域となり、これらの圧電的に活性な領域に変位が発生する。圧電素子110は、外部電極113,115に交流電圧が印加されると、印加された交流信号の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子110と振動部材160とは接合されている。したがって、振動部材160は、圧電素子110における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子110と一体に撓み振動を繰り返す。
【0108】
触覚呈示装置1が本例の振動デバイス3を備えている場合でも、触覚呈示装置1は、振動デバイスの共振周波数成分より低い基本周波数成分を含む信号を、配線部材150を通して圧電素子110に入力する。触覚呈示装置1は、振動デバイス3を、基本周波数成分を含み、かつ、基本周波数成分のn倍の高次周波数成分を実質的に含まない振動モードで振動させる。この結果、本実施形態では、圧電素子110と振動部材160との接合状態及び圧電素子110と配線部材150との接続状態の劣化が抑制されるので、振動デバイス3の信頼性の低下が抑制される。基本周波数成分が、人間の可聴周波数帯域内に含まれていることにより、ユーザが操作触感を強く知覚する。本例の振動デバイス3の共振周波数成分は、約70kHzである。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0110】
振動部材50,160は、電子機器などの筐体であってもよい。たとえば、振動部材50,160は、ディスプレイパネルDPであってもよい。振動部材50,160は、電子機器などの筐体とは別の部材であってもよい。この場合、振動部材50,160は、面接着によって筐体に装着されてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…触覚呈示装置、3…振動デバイス、5…駆動装置、10,110…圧電素子、40,150…配線部材、41,151…ベース、43,45,153,155…導体、50,160…振動部材、DD…表示装置、DP…ディスプレイパネル、V…車両。
図1
図2
図3
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