特許第6705582号(P6705582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルエス産電株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6705582-インバータ用制御電源供給装置 図000002
  • 特許6705582-インバータ用制御電源供給装置 図000003
  • 特許6705582-インバータ用制御電源供給装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705582
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】インバータ用制御電源供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20200525BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H02M7/48 E
   H02M7/48 M
   H02P27/08
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-110630(P2016-110630)
(22)【出願日】2016年6月2日
(65)【公開番号】特開2016-226283(P2016-226283A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年6月2日
【審判番号】不服2019-3656(P2019-3656/J1)
【審判請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0077695
(32)【優先日】2015年6月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】テ‐スック・ベ
(72)【発明者】
【氏名】チュン‐スック・ヤン
【合議体】
【審判長】 田中 秀人
【審判官】 仲間 晃
【審判官】 山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−8642(JP,A)
【文献】 特開平05−38077(JP,A)
【文献】 特開平09−288531(JP,A)
【文献】 特開2012−105414(JP,A)
【文献】 特開平06−178447(JP,A)
【文献】 特開2008−67559(JP,A)
【文献】 特開昭63−87193(JP,A)
【文献】 特開平06−351258(JP,A)
【文献】 特開2004−15881(JP,A)
【文献】 実開昭58−47918(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02P 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータの制御部および補助回路部に定格電圧を提供することができるメインSMPSと、
前記メインSMPSの動作が中断した場合に動作して前記インバータの前記制御部および前記補助回路部に前記定格電圧を提供することができる補助SMPSと、
前記メインSMPSの出力電圧を感知し、感知した感知電圧が正常範囲内にあるか否かを判断して、正常範囲でない場合、前記メインSMPSの動作を中断し、前記補助SMPSを動作させ、前記メインSMPSにSMPS障害が発生して前記補助SMPSを動作させたことを示すトリップ情報を前記制御部に伝達するSMPS制御部と、を含み、
前記SMPS制御部は、前記インバータのオンまたはオフの際に、前記インバータのDC‐リンク電圧が設定された電圧レベルより大きい場合にのみ前記メインSMPSの出力電圧を感知し、感知した感知電圧が正常範囲内にあるか否かを判断する、インバータ用制御電源供給装置。
【請求項2】
前記SMPS制御部は、前記感知電圧が正常範囲でない場合、メインSMPS障害履歴をメモリーに記録する、請求項1に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【請求項3】
前記SMPS制御部は、電源が供給される場合、前記メモリーに保存された前記メインSMPS障害履歴があるか否かを照会し、前記メインSMPS障害履歴がある場合、前記補助SMPSを動作させる、請求項2に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【請求項4】
前記設定された電圧レベルは、前記メインSMPSの動作電圧にマージン電圧を合算した電圧レベルである、請求項1に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【請求項5】
前記インバータのDC‐リンクからの電圧を降圧して前記SMPS制御部に出力するダウンコンバータをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【請求項6】
前記メインSMPSおよび前記補助SMPSは、前記インバータのDC‐リンクから動作電圧の供給を受ける、請求項1から4のいずれか1項に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記SMPS制御部から受信したトリップ情報をユーザに表示する、請求項1から4のいずれか1項に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【請求項8】
前記SMPS制御部は、前記制御部に前記トリップ情報を伝送し、前記補助SMPSが前記制御部にのみ前記定格電圧を供給するようにする第1モードを実行する、請求項1から4のいずれか1項に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【請求項9】
前記SMPS制御部は、前記制御部に前記トリップ情報を伝送し、前記補助SMPSが前記制御部および前記補助回路部にインバータ再起動のためのゲート駆動電源、I/O電源を含む最小電源を供給するように動作する第2モードを実行する、請求項1から4のいずれか1項に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【請求項10】
前記SMPS制御部は、前記制御部に前記トリップ情報を伝送し、前記補助SMPSが前記制御部および前記補助回路部にインバータ再起動のためのゲート駆動電源、I/O電源を含む電源と、通信、FAN制御のための電源を含む最大電源を供給するように動作する第3モードを実行する、請求項1から4のいずれか1項に記載のインバータ用制御電源供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ用制御電源供給装置に関し、詳細には、インバータに安定した電源を供給するためのメインSMPSの出力電圧を感知(sensing)し、感知した感知電圧が正常範囲でない場合、メインSMPSの動作を中断し、補助SMPSを動作させ、トリップ情報をインバータを制御する制御部に伝達するインバータ用制御電源供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータは、AC商用電源の入力を受け直流(DC)に変換した後、電動機の制御のためにまた交流(AC)に変換することで電動機を自由に制御することができる電力変換装置である。
【0003】
インバータは、ファン(Fan)、ポンプ、エレベータ、移送装置、生産ラインなど、産業全般において様々な形態で使用される。一般的なモータ駆動用汎用インバータの電力変換の原理は、三相AC商用電源の入力を受け、整流回路を経てDCに変換し、DC‐リンクのキャパシタに保存した後、インバータ部を介してACに変換する。
【0004】
インバータは、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)システムによりPWM(Pulse Width Modulation)出力に応じてACモータに入力される電圧と周波数を可変することでモータの速度を制御する。
【0005】
一般的に、電力変換装置であるインバータやコンバータには、メイン機能を行う回路だけでなく、通信、保護、制御などのための補助回路が必須として内蔵される。このような補助回路の動作のためには、各回路の定格に適合する安定した電圧を供給しなければならない。これを行うものが、スイッチモードパワーサプライ(Switched‐Mode Power Supply:SMPS)である。SMPSの動作に問題が生じると、インバータのメイン動作にも影響を及ぼすため、電力変換装置の構成の中でも特に重要な部分であると言える。
【0006】
SMPSは、インバータの全体を制御する制御部および他の主要機能回路の電源を供給する非常に重要な回路である。SMPSの安定した電源の供給に問題が生じた場合、制御部および主要回路の機能が停止するため、実質的にインバータ全体の機能が停止することになる。従来のインバータの構成は、インバータの主要回路であるSMPSが単独で構成されていることからユーザにとってはリスク(Risk)が高く、インバータの信頼性も低い。
【0007】
実際、既存の製品の市場クレーム(Field Claim)率を分析すると、SMPS電源無感現象が高い割合で現われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、インバータに安定した電源を供給するためのメインSMPSの出力電圧を感知し、感知した感知電圧が正常範囲でない場合、メインSMPSの動作を中断し、補助SMPSを動作させ、トリップ情報をインバータを制御する制御部に伝達するインバータ用制御電源供給装置を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から提案される実施形態が属する技術分野において通常の知識を有する者が明確に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によると、インバータの制御部および補助回路部に定格電圧を提供するメインSMPSと、前記メインSMPSの動作が中断した場合に動作して前記インバータの前記制御部および前記補助回路部に前記定格電圧を提供する補助SMPSと、前記メインSMPSの出力電圧を感知し、感知した感知電圧が正常範囲内にあるか否かを判断して、正常範囲でない場合、前記メインSMPSの動作を中断し、前記補助SMPSを動作させ、トリップ情報を前記制御部に伝達するSMPS制御部と、を含むインバータ用制御電源供給装置が提供される。
【0011】
前記SMPS制御部は、前記感知電圧が正常範囲でない場合、メインSMPS障害履歴をメモリーに記録することができる。
【0012】
前記SMPS制御部は、電源が供給される場合、前記メモリーに保存された前記メインSMPS障害履歴があるか否かを照会し、前記メインSMPS障害履歴がある場合、前記メインSMPSの動作を中断し、前記補助SMPSを動作させ、トリップ情報を前記制御部に伝達することができる。
【0013】
前記SMPS制御部は、前記インバータのオンまたはオフの際に、前記インバータのDC‐リンク電圧が設定された電圧レベルより大きい場合にのみ前記メインSMPSの出力電圧を感知し、感知した感知電圧が正常範囲内にあるか否かを判断することができる。
【0014】
前記設定された電圧レベルは、前記メインSMPSの動作電圧にマージン電圧を合算した電圧レベルであることができる。
【0015】
前記インバータ用制御電源供給装置は、前記インバータのDC‐リンクからの電圧を降圧して前記SMPS制御部に出力するダウンコンバータをさらに含むことができる。
【0016】
前記メインSMPSおよび前記補助SMPSは、前記インバータのDC‐リンクから動作電圧の供給を受けることができる。
【0017】
前記制御部は、前記SMPS制御部から受信したトリップ情報をユーザに表示することができる。
【0018】
前記SMPS制御部は、前記制御部に前記トリップ情報を伝送し、前記補助SMPSが前記制御部にのみ電源を供給するようにする第1モードを実行することができる。
【0019】
前記SMPS制御部は、前記制御部に前記トリップ情報を伝送し、前記補助SMPSが前記制御部および前記補助回路部にインバータ再起動のためのゲート(Gate)駆動電源、I/O電源を含む最小電源を供給するように動作する第2モードを実行することができる。
【0020】
前記SMPS制御部は、前記制御部に前記トリップ情報を伝送し、前記補助SMPSが前記制御部および前記補助回路部にインバータ再起動のためのゲート(Gate)駆動電源、I/O電源を含む電源と、通信、FAN制御のための電源を含む最大電源を供給するように動作する第3モードを実行することができる。
【発明の効果】
【0021】
スタンダードクラス以上のプレミアムクラスの製品においては、サイズと値段よりも高信頼性がより重要な要素となる。一例として、クレーンや生産ラインなどで使用されていたインバータがSMPS無感現象によって停止した場合、金銭的に大きい損失と人命被害が起こり得るためである。このような面において、以上のような発明により信頼性を向上させることが、最終的にはコストの節約につながると言える。
【0022】
本発明によれば、ユーザにトリップ情報を伝達することにより、ユーザに状況を正確に認知させることができる。
【0023】
また、本発明によれば、様々な動作モードを行って補助SMPS運用方法にしたがって必要な電源を供給しトリップ情報の伝達あるいはインバータの動作を行い続けるようにすることで、ユーザのリスク減少および便宜性を図ることができ、高い信頼性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るインバータ用制御電源供給装置を説明するための図である。
図2】本発明の一実施形態に係るインバータ用制御電源供給装置での電源供給制御方法を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係るインバータ用制御電源供給装置での電源供給制御方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明の思想が、提示される実施形態に制限されるとは言えず、他の構成要素の追加、変更、削除などされた他の発明や、本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案することができる。
【0026】
本発明で使用される用語としては、できるだけ現在広く使用されている一般的な用語を選択しているが、特定の場合には出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、当該発明の説明の部分で詳細にその意味を記載したため、単純な用語の名称ではなく、用語が有する意味として本発明を把握しなければならないことを明らかにしておく。
【0027】
すなわち、以下の説明において、単語「含む」は、列挙されたものとは異なる構成要素または段階の存在を排除しない。
【0028】
図1は本発明の一実施形態に係るインバータ用制御電源供給装置を説明するための図である。
【0029】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るインバータ用制御電源供給装置100は、インバータ10に備えられることができる。インバータ10には、コンバータ部11、DC‐リンク12、インバータ部13、制御部14、補助回路部15がさらに備えられてもよい。
【0030】
コンバータ部11は、三相AC商用電源の入力を受け、整流回路を用いてDCに変換する。DC‐リンク12は、コンバータ部11を介して変換されたDC電圧をキャパシタを用いて保存する。インバータ部13は、DC‐リンク12に保存されたDC電圧をACに変換することでモータMを駆動させることができる。制御部14は、インバータ部13の動作を制御する。補助回路部15は、インバータ10内の補助的な動作を行うために設置されることができる。
【0031】
インバータ用制御電源供給装置100は、メインSMPSと補助SMPSの構造からなり、定格に適合する安定した電圧を制御部14および補助回路部15にそれぞれ供給することができる。
【0032】
図2は本発明の一実施形態に係るインバータ用制御電源供給装置100を説明するための図である。
【0033】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るインバータ用制御電源供給装置100は、インバータ10に備えられた制御部14および補助回路部15に安定した電源を供給し、ダウンコンバータ110と、メインSMPS120と、補助SMPS130と、SMPS制御部140とを含んでなることができる。
【0034】
ダウンコンバータ110は、DC‐リンク12の電圧を降圧してメインSMPS120および補助SMPS130に出力する。ここで、ダウンコンバータ110としては、バックコンバータ(Buck Converter)が使用されてもよい。
【0035】
メインSMPS120および補助SMPS130は、インバータ10のDC‐リンク12を介して動作電圧の供給を受ける。メインSMPS120および補助SMPS130は、それぞれスイッチング回路を含み、例えば、メインSMPS120および補助SMPS130は、スイッチング回路としてMOSFETを含んでもよい。
【0036】
SMPS制御部140は、DC‐リンク12の電圧がダウンコンバータ110を介して降圧され入力されると、この降圧された電圧を動作電源として使用する。
【0037】
SMPS制御部140は、インバータ10の初期動作の際に、メインSMPS120のMOSFETをオンとし、補助SMPS130のMOSFETをオフとすることにより、一般動作の際にメインSMPS120が動作するようにする。
【0038】
SMPS制御部140は、メインSMPS120の動作中にリアルタイムでメインSMPS120から出力される電圧を感知(sensing)する。
【0039】
SMPS制御部140は、メインSMPS120から感知された感知電圧をモニタリングし、メインSMPS120の感知電圧が非正常範囲で動作する場合、メインSMPS120のMOSFETをオフとし、補助SMPS130のMOSFETをオンとすることで補助SMPS130が動作するようにする。
【0040】
補助SMPS130が動作する瞬間に、SMPS制御部140は、メモリーにメインSMPS障害履歴を記録し、制御部14にトリップ(Trip)情報を伝達してトリップ履歴を残すことにより、ユーザがトリップ(Trip)情報を確認できるようにする。ここで、トリップ情報は、メインSMPS120にSMPS障害が発生して補助SMPS130を動作させたことを意味する情報である。制御部14は、SMPS制御部140からトリップ情報を受信した場合にユーザにトリップ情報を提供することができる。
【0041】
補助SMPS130が動作すると、補助SMPS130を介してインバータ10が正常な動作を行うことができる。
【0042】
メインSMPS120および補助SMPS130は、インバータ製品の特徴に応じて、3.3V、5V、7V、15V、24Vのすべての電源を供給するか、あるいは選択的に必要な電源のみ供給する運用方式が可能である。例えば、制御部14は、メインSMPS120および補助SMPS130から3.3Vの電源の供給を受けてもよい。補助回路部15は、それぞれ5V、7V、15V、24Vの電源の供給を受けてもよく、それぞれI/O回路、通信回路、ゲート(Gate)駆動回路、FAN駆動回路の動作のためにそれぞれ設定された電源の供給を受けることができる。参考までに、本発明のメインSMPS120および補助SMPS130は、必ずしも3.3V、5V、7V、15V、24Vの電源を供給するものではなく、他のサイズの電源を供給してもよい。
【0043】
SMPS制御部140は、インバータ10の製品特徴に応じて、様々なモードで制御電源の供給を行うことができる。
【0044】
例えば、SMPS制御部140は、制御部14にトリップ情報を伝送し、補助SMPS130が制御部14にのみ電源を供給するようにする第1モードを実行してもよい。
【0045】
例えば、SMPS制御部140は、制御部14にトリップ情報を伝送し、補助SMPS130が制御部14および補助回路部15にインバータ10の再起動のためのゲート(Gate)駆動電源、I/O電源を含む最小電源を供給するように動作する第2モードを実行してもよい。
【0046】
例えば、SMPS制御部140は、制御部14にトリップ情報を伝送し、補助SMPS130が制御部14および補助回路部15にインバータ10の再起動のためのゲート(Gate)駆動電源、I/O電源を含む電源と、通信、FAN制御のための電源を含む最大電源を供給するように動作する第3モードを実行してもよい。
【0047】
例えば、コンパクトな製品の場合、スペースとコストの制約がある。そのため、このような場合には第1モードを実行し、補助SMPS130で制御部14の電源のみ供給してトリップ情報のみを伝達することでユーザがトリップ履歴を確認できるように補助SMPS130を運用してもよい。
【0048】
例えば、スタンダードクラスの製品では、インバータ動作では第2モードを実行し、補助SMPS130で最小限の電源である制御部14の電源、I/O、ゲートドライブ(Gate drive)電源のみを供給することでユーザがトリップ履歴の確認およびインバータの再起動まで行うように補助SMPS130を運用してもよい。
【0049】
例えば、高信頼性が求められるプレミアムクラスの製品では第3モードを実行し、補助SMPS130で制御部14および補助回路部15にすべての電源を供給してTrip履歴の確認およびインバータの再起動、通信およびFAN起動などの主要補助動作まで行うように補助SMPS130を運用してもよい。
【0050】
図3は本発明の一実施形態に係るインバータ用制御電源供給装置での電源供給制御方法を説明するための図である。
【0051】
図3を参照すると、インバータ10は、電源が供給されると、オン状態となる(S1)。インバータ10に電源が供給されると、SMPS制御部140は、インバータ10のDC‐リンク12から電源の供給を受けてオン状態となる(S2)。SMPS制御部140は、メモリーを検索して、メインSMPS障害履歴(SMPS fault)が保存されているか否かを判断する(S3)。このために、SMPS制御部140は、メインSMPS障害履歴をメモリーに保存している。メインSMPS障害履歴は、メインSMPS120に障害が発生してメインSMPS120の動作が中断し、補助SMPS130が動作する場合に、SMPS制御部140により生成されメモリーに保存されてもよい。メモリーに保存されているメインSMPS障害履歴は、メインSMPS120の修理または交替によりメインSMPS120の動作が正常に戻った場合に、SMPS制御部140により削除されることができる。メインSMPS120の動作が正常に戻ったか否かの判断とメインSMPS障害履歴の削除は、システム運営者の操作によりSMPS制御部140で行われてもよい。しかし、本発明はこれに制限されず、SMPS制御部140が、周期的に、メインSMPS120の動作が正常に戻ったか否かの判断を行い、正常に戻ったと判断した場合、メインSMPS障害履歴をメモリーから削除するように構成されてもよい。
【0052】
S3段階の判断結果、メインSMPS障害履歴があった場合、SMPS制御部140は、メインSMPS120に問題があると認識し、補助SMPS130の動作をオンとして補助SMPS130が動作するようにする(S4)。このために、SMPS制御部140は、補助SMPS130のMOSFETをオンとする。これにより、SMPS制御が完了する(S5)。
【0053】
S3段階の判断結果、メインSMPS障害履歴がない場合、SMPS制御部140は、メインSMPS120の動作電圧レベル+マージン電圧とDC‐リンク電圧を比較してDC‐リンク電圧がより大きいかを判断する(S6)。ここで、マージン電圧は、メインSMPS120のスペック上設定されている動作電圧レベルの下方または上方に正常動作範囲として許容可能な電圧誤差を意味する。例えば、マージン電圧は、+10Vであり得る。
【0054】
S6段階の判断結果、DC‐リンク電圧がメインSMPS120の動作電圧レベル+10Vより大きい場合、SMPS制御部140は、メインSMPS120から感知される電圧情報が有効な情報であると認識し、メインSMPS120の動作をオンとする(S7)。このために、メインSMPS120のMOSFETをオンとする。ここで、SMPS制御部140によりメインSMPS120から感知される出力電圧の有効性を判断するための感知情報有効性判断マージン10Vと設定されている。
【0055】
DC‐リンク電圧とメインSMPS120の動作電圧レベル+10Vを比較して感知情報の有効性を判別する理由は、このような基準が設定されていない場合、インバータの電源が供給される瞬間にメインSMPS120にはまだ電源が供給されないためである。
【0056】
このようになると、メインSMPS120の動作がなく、メインSMPS120からの感知情報が正常範囲から離脱するため、SMPS制御部140は、メインSMPS120に対してSMPS障害として認知し得るためである。
【0057】
インバータ10の電源がオフとなる場合にも、SMPS制御部140は、DC‐リンク電圧とメインSMPS120の動作電圧レベル+10Vを比較して、メインSMPS120が完全にオフとなった後、メインSMPS120の感知情報が有効でないということを判断するため安全である。
【0058】
メインSMPS120の動作状態がオンとなると、SMPS制御部140は、メインSMPS120の出力電圧を感知して、感知電圧が予め設定された正常範囲であるかを判断する(S8)。
【0059】
判断結果、感知電圧が正常範囲である場合には、メインSMPS120の動作状態をオン状態に維持し続ける。一方、判断結果、感知電圧が正常範囲でない場合には、メインSMPS120の動作をオフとし、メインSMPS障害をメモリーに記録する(S9)。次に、補助SMPS130の動作をオンとし(S4)、SMPS制御を完了する(S5)。
【0060】
以上、本発明に係る具体的な実施形態について説明しているが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内では様々な変形が可能であることは言うまでもない。したがって、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等なものなどにより定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、インバータ用制御電源供給装置に適用できる。
【符号の説明】
【0062】
10 インバータ
12 DC−リンク
14 制御部
15 補助回路部
100 インバータ用制御電源供給装置
120 メインSMPS
130 補助SMPS
140 SMPS制御部
図1
図2
図3