(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第3の色データ(S3)を表す前記データが、3つ以上のプロセスカラー(シアン、マゼンタ、イエロー)を表すデータを含み、前記色重みが、対応するプロセスカラーに適用される、シアン色重み、マゼンタ色重み、およびイエロー色重みを含む、
請求項1に記載のシステム。
前記第3の色データ(S3)を表す前記データが、2つ以上のプロセスカラー(シアン、マゼンタ)を表すデータを含み、第2の色データ(S2)を表す前記データが第2の色を表す、請求項1に記載のシステム。
第3の色データ(S3)を表す前記データが、3つ以上のプロセスカラー(シアン、マゼンタ、イエロー)を表すデータを含み、前記色重みが、対応するプロセスカラーに適用される、シアン色重み、マゼンタ色重み、およびイエロー色重みを含む、
請求項12に記載の方法。
前記第3の色データ(S3)を表す前記データが、2つ以上のプロセスカラー(シアン、マゼンタ)を表すデータを含み、第2の色データ(S2)を表す前記データが第2の色を表す、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この詳細な説明には、続いて3つの主要な項目がある(I.適応埋め込みフレームワーク、II.スポットカラー及びプロセスカラーのデータ隠蔽、並びにIII.追加的な実装及び説明)。これらの項目とそれに割り当てられた見出しは、詳細な説明を系統立てる助けとして提供されるに過ぎない。無論、そのような項目の1つにある説明及び実装は、その他の同様の項目見出しにある説明及び実装と組み合わせ、共に実施することが意図される。そのため、本文書における項目及び見出しは、本説明の範囲を制限するものとは解釈すべきでない。
【0030】
I.適応埋め込みフレームワーク
本開示のいくつかの部分は、例えば、製品包装(本明細書では単に「包装」又は「パッケージ」と呼ぶこともある)及び他の印刷入りの物体のためのデータ隠蔽に関して説明される。それらの技術を使用して、例えば、カラーインクが様々な物理的基材に印刷される様態を改変又は変形することができる。改変又は変形の結果、好ましくは、印刷されたデザインが機械可読の標識を搬送する。そのようなデータ隠蔽技術は、有益な点として、下記の適応埋め込みフレームワークと相互に関係することができる。
【0031】
1.人間視覚系(HVS)モデルの設計。人間視覚系モデルは、画像に対する変更が可視となる度合いを示すために使用される。透かし信号は、目立ちにくい色又は空間的構造を用いて信号を構築することによって目立ちにくくなるように設計することができるが、このより精緻なモデルは、ホスト信号と比べた可視性の変化を分析する。そのため、透かし埋め込みプロセスは、既存の画像に行われる変更が可視となる度合いを考慮しなければならない。ホスト画像は変動がほとんどないか若しくは全くなく、又は色内容を持たないことさえあり、その場合、可視性モデルは透かし信号自体の可視性を査定し、可視性の尺度を提供する出力を生成する。透かし埋め込み器関数は、透かし信号の振幅、色、及び空間的構造を適合して、用途に依存する可視性の目標を実現する。例えば、ファッション雑誌は、包装された商品よりも低い可視性の目標を有することが考えられる。ホスト画像は色調の領域を持つことがあり、その場合、埋め込み器は、それらの領域内で埋め込みプロセスによって生じる色誤差を考慮する。多くの場合、ホスト画像は、異なる色及び空間的属性を持つ領域を含んでおり、その属性には一定であるものも可変のものもある。ホスト画像のうち可変性のあるエリアでは、透かし信号の可視性だけでなく、特にホスト信号に対する可視性と、透かし埋め込みに起因する変化を透かし信号がマスクすることも考慮に入れるように、埋め込みに起因する変化を適合しなければならない。
【0032】
a.透かし信号の設計。透かし信号は、それが後に埋め込まれる種々の種類のホスト画像内容の中で可視性が最小になるように設計される。この設計は、可視性が低い傾向のある空間周波数内容及び疑似ランダムな空間的パターンのような属性を選択することを含む。そのような実装のいくつかの例が、特許第6614914号に記載されている。しかし、透かし信号は、ランダムな性質を持つ必要はない。透かし信号は、ロバストな検出と信頼性の高いデータ抽出を容易にする、規則的又は反復されるパターン構造を有することができ、これについては、2015年5月28日に出願された、「Differential Modulation for Robust Signaling and Synchronization」という名称の我々の出願第14/724729号に詳述されている。また、透かしの設計は、好ましくは、米国出願公開第2010/0150434号に記載されるように、色チャネル内の符号化を活用して、埋め込みを可視性とロバスト性に関して最適化する。
【0033】
b.透かし処理のための人間視覚系(HVS)モデル。HVSモデル化の従来の研究は、少なくとも、透かし処理システム向けのHVSモデルを設計するための開始点を提供する。特に、Scott J.Daly, "Visible differences predictor: an algorithm for the assessment of image fidelity", Proc.SPIE 1666, Human Vision, Visual Processing, and Digital Display III, 2 (1992年8月27日); doi:10.1117/12.135952、及び「Method and apparatus for determining visually perceptible differences between images」という名称のDalyの米国特許第5394483号を参照されたい。DalyのHVSモデルは、3種類の視覚的感度変動、すなわち、光レベル、空間周波数、及び信号内容の関数としての変動に対処する。このHVSモデルは、次の3つの主要構成要素、すなわち、視覚的感度が輝度の非線形関数として適合される振幅非線形性関数、空間周波数の関数としての視覚的感度の変動を記述する眼のコントラスト感度関数モデル、及びマスキング効果のモデル、を持つ。1番目の構成要素は、点過程として実装される振幅非線形性である。CSFは、フィルタリングプロセスとして実装される。一連の動作における3番目の動作は、検出プロセスである。その出力は、画素の場所の関数として視覚的差を検出する確率のマップである。
【0034】
Dalyは、米国特許第5394483号で、HVSを使用して、ある画像を別の画像の中に隠す方法を開発した。Dalyに対する米国特許第5905819号、「Method and apparatus for hiding one image or pattern within another」を参照されたい。別のHVSが、「Spatial Standard Observer」という名称のWatsonに対する米国特許7783130号(米国出願公開第2006/0165311号としても公開されている)に記載される。
【0035】
我々の以前の研究で、我々は、透かし処理のための知覚マスキングモデルを開発しており、これは、眼のCSF並びに方向性エッジ分析の方法を取り込んで、ホスト信号中の方向性エッジの周囲への透かし埋め込みに起因する変化の知覚性を制御するものである。米国特許第6631198号を参照されたい。
【0036】
我々は、Daly及びWatsonの方法は有用であるが、色チャネルにおける我々の透かし処理技術にはさらなる研究が必要であることを見出した。したがって、我々は、色の視覚性モデルを取り込んだHVS方法を開発した。
【0037】
我々の出願第13/975919号に、色チャネルにおける透かし処理のためのフルカラーの視覚性モデルが記載される。米国出願第13/975919号は、「Geometric Enumerated Watermark Embedding for Spot Colors」という名称である。特有の使用法の1つは、ホスト画像の印刷に使用されるカラーインクに対応する色チャネルへの透かし処理である。色値の透かし変調は、CIE Lab値としてモデル化され、ここでは、Labは、どの色方向の単位差も等しい知覚差に相当する均等知覚色空間である。Lab軸は、空間CieLabモデルと同じようにして、像の中に符号化される透かしの空間周波数に関してスケーリングされる。X.Zhang及びB.A.Wandellの、例えば、“A Spatial extension of CIELAB for digital color image reproduction,” in Proceedings of the Society of Information Display Symposium (SID '96), vol.27, pp.731-734, San Jose, Calif, USA, June 1996を参照されたい。
【0038】
このスケーリングによって均等知覚色空間が得られ、この空間では、その空間周波数で透かし信号を符号化するために加えられる変更に起因して、どの色方向の単位差も等しい知覚差に相当する。許容可能な可視性の大きさは、カバー画像の空間マスキングによってスケーリングされる。このマスキングは、マスキング関数に基づいて算出される。マスキング関数の例には、上記で参照したWatsonの空間の標準観察者モデル、又はDalyのHVSモデル、並びに上記で参照した第6631198号及び第6614914号などの我々の以前の特許のマスキング構成要素が含まれる。
【0039】
これに関連して、我々の出願第14/588636号は、フルカラーの可視性モデルを用いて、色チャネルに透かしを埋め込む技術を記載する。「Full-Color Visibility Model Using CSF Which Varies Spatially with Local Luminance」という名称の特許出願第14/588636号。この手法は、色チャネルへの透かし処理にフルカラーの可視性モデルを使用する。この可視性モデルは、輝度及びクロミナンス(赤−緑及び青−黄)チャネルのコントラスト変動に別々のCSFを使用する。各チャネル内のCSFの幅は、局所的な画像内容の輝度に応じて空間的に変える。CSFは、局所的な領域の輝度が低下するにつれてより多くのぼけが発生するように調節される。ぼかされた元の画像とマークが入れられた画像のコントラストの差が、色差指標を使用して測定される。
【0040】
ホスト像の輝度内容は、透かし処理に起因するクロミナンスと輝度両方の変化の潜在的なマスキングを提供する。同様に、ホスト画像のクロミナンス内容は、透かし処理に起因する輝度並びに輝度の変化の潜在的なマスキングを提供する。ホスト像の輝度及びクロミナンス又はクロミナンスのみの変化によって埋め込みを行う我々の透かし処理システムでは、埋め込み関数は、ホスト像の輝度及びクロミナンス内容のマスキング可能性を活用する。画像中の所与の領域におけるマスキング可能性は、部分的には、透かしの変化をマスクする内容をホスト像がその領域に含む度合いに依存する。例えば、透かし信号が主として高周波成分からなる場合、ホスト画像のマスキング可能性は、高周波内容がある領域においてより大きくなる。ホスト画像中の大半の高周波内容は、輝度チャネルにあることが観察される。そのため、ホストの輝度内容は、透かし信号の高周波成分に関する輝度変化及びクロミナンス変化のマスキング可能性に対する支配的な要因である。
【0041】
用途によっては、透かし信号はより低周波の空間周波数内容を有し、埋め込み関数は、透かし信号に対するその低周波内容のマスキング可能性も算出して、透かし信号の輝度成分及びクロミナンス成分に対する輝度及びクロミナンス両方のマスキングを考慮に入れる。
【0042】
我々の輝度及びクロミナンスチャネルにおける透かし処理技術も、それらのチャネルに特有の空間的構造のマスキングを活用する。そのような可視性効果は、ホスト画像と印刷技術の両方から生まれる。ホスト画像の内容は、ある角度に強い空間周波数を有することがあり、それが、その角度における透かしの同様の空間的構造をマスクする。同様に、米国特許6631198号に述べられるように、ホスト画像中の方向性エッジが、エッジに沿って透かし処理を制御する。
【0043】
印刷技術は、種々のインクに対して、異なる向き、形状、及び構造を用いてハーフトーンスクリーン又はラスターで印刷を行うことがある。例えばブラックインクを45度のスクリーン角度でハーフトーン点で印刷して、より高い印刷品質を実現することがある。この理由は、黒は眼に対して最も目立ちやすく、黒い点の空間的パターンを目立ちにくくすることが望ましいためである。種々のカラーインクのためのこれらの種類の印刷構造は、そのインクに対応する色チャネルの中に異なる形で透かし信号を隠蔽する機会をもたらす。印刷で使用されるハーフトーン構造及びラスター画像プロセッサを利用した透かし処理に関するさらなる内容については、我々の米国特許公開第2014/0119593号を参照されたい。
【0044】
2.ロバスト性のモデル化。ロバスト性に関して埋め込みを最適化することは、要求される視覚的品質を実現するためだけでなく、透かしを復号する際の信頼性も実現するように符号化が制御される別の制約を加える。ロバスト性の単純な考え方は、透かし信号の利得又は信号レベルに下限を設定するものであり得るが、これは、透かし信号構造がホスト画像内でどれほど良好に維持されるかを考慮しない場合、又は、修正が少ないか修正がないときの方が本質的に良好にデータを搬送することができるホスト画像の属性に起因して信号構造が維持される場合には、より少ない利得を適用する機会を考慮しない場合に、有用性が下がる可能性がある。より洗練された考え方は、透かし信号がどのようにその信号の色若しくは構造を通じて、又は、透かし信号がホスト信号構造を利用して透かしの変動をマスクする、及び/又はデータを搬送するときに作り出される色及び構造を通じてデータを伝達するかを考慮するものである(例えば、信号データが値間の関係の中に、又は画像中の領域から導出された属性の中に符号化される場合、その関係又は属性が、可視性を減らために加えられる修正にどのように影響されるか?)。したがって、透かし信号の強度を制御することは、その制御で信号の信頼性が損なわれないことも保証しなければならない。ロバスト性の指標は、例えば検出指標を通じた透かしの可読性に基づいて設計することができ、可視性の制約内に留まるように信号を修正することは、デジタルデータを伝達する信号の構造を維持しなければならない。
【0045】
我々の出願第13/975919号は、可視性及びロバスト性のモデルに基づいて埋め込みを最適化する透かし埋め込みのためのフレームワークを記載する。第13/975919号の付記Aである、Bradley、Reed、Stachの「Chrominance watermark embed using a full color visibility model」を参照されたい。
【0046】
3.チャネルの歪みのモデル化。ロバスト性の最適化に関連して、埋め込みプロセスは、印刷入りの物体の印刷、使用、又はスキャンで生じることが予期される歪みの影響を考慮に入れなければならない。特定の懸念事項は、画像を埋め込むための変更が、ディスプレイやプリンタなどその画像を描画するために使用される技術に起因して、より高い可視性になる度合いである。この種の描画による歪みをモデルに取り込んで、歪みの後の可視性及び/又はロバスト性の変化を予測し、その変化を補償するように埋め込みを調節することができる。同様に、描画による歪みは、ロバスト性に影響する可能性もある。そのため、ロバスト性のモデル化でもこの歪みを加味しなければならない。
【0047】
特に、適応埋め込み関数の中で描画デバイス(例えばディスプレイ又はプリンタ)のモデルを取り込んだモデルについて記載する、我々の特許第7352878号を参照されたい。埋め込み器はこのモデルを使用して、透かし信号の制御に使用される可視性マスクを適合し、可視性に対する描画装置の効果を考慮する。これらの技術は、本文書で参照されるフルカラーの可視性モデル及びロバスト性モデルとさらに組み合わせることができる。
【0048】
歪みモデル化の他の例には、ノイズの付加、幾何学的歪みの適用、画像の圧縮、及び画像捕捉歪みのモデル化が含まれる。パッケージ画像を既知形状の3D物体に印刷する場合には、画像に加わる幾何学的歪みが既知であり、パッケージデザインに透かしを埋め込む際に歪みの効果を補償することができる。例には、湾曲した物体(例えばヨーグルトカップやスープ缶)に巻かれるラベルが含まれる。透かし信号(及び場合によってはホスト信号自体)をあらかじめ歪ませて、透かし信号を物体に適用することによって生じる幾何学的変形を補償することが可能である。このノイズ源及び他のノイズ源をモデル化し、透かしが入れられた画像に適用して、ロバスト性モデル内でその信頼性を測定する。そして必要に応じて透かし処理プロセスを補正又は反復して、信頼性の高い検出指標を実現する。
【0049】
4.印刷技術の制限。関連する別の制約は、印刷技術の制限である。指摘したように、印刷技術の制限により、可視性及びロバスト性に影響する歪みが生じる可能性がある。印刷技術の制限は、透かし信号の色又は空間的構造を表すことができる方式に制限を与えることがある。特定の色、点構造、向き、若しくはサイズ/解像度を印刷することができない場合があり、又は、異なるインク層間の見当合わせ誤差を生じさせ、そのために色方向の符号化が実行できなくなる場合がある。ドットゲイン及び基材に画像を複製する際の他の制限に起因する歪みを加味する必要がある。ドットゲイン歪みは、透かし信号が歪みに対してロバストに埋め込まれるように、ロバスト性モデル内でモデル化することができる。
【0050】
5.画像捕捉デバイスの制限。デザインの別の考慮事項は、画像捕捉デバイスである。バーコードスキャナなど、ある形態の画像捕捉デバイスはフルカラー画像を捕捉しない。例えば、バーコードスキャナの中には、モノクロ画像センサを持ち、物体を赤色LED照明で照明するものがある。この種類の制限は、透かし信号が捕捉デバイスによって「見える」ように、つまり、透かし信号の少なくとも一部が、画像センサによって捕捉されるスペクトル帯域内で可読となるように、透かし信号を設計することを必要とする。我々は、これらの制限とそれに対処する方法について、我々の米国出願公開2013/0329006号で論じている。
【0051】
6.色の見かけ及び注意モデル。画像内の特定の場所で透かしの修正を制御するために可視性モデルを調節するために、注意(「顕著性(saliency)」とも呼ばれる)モデルも含めることができる。この種類のモデルをどのように透かし埋め込み器内で使用するかの説明については、我々の米国特許出願第14/588636号を参照されたい。注意モデルは、一般に、画像を見る時に人間の眼がどこに引き付けられるかを予測する。例えば、眼は、肌色がかった色とはっきりしたコントラストがあるエリアを探し出そうとすることがある。例示的な注意モデルの1つが、Ittiら, “A Model of Saliency-Based Visual Attention for Rapid Scene Analysis,” IEEE TRANSACTIONS ON PATTERN ANALYSIS AND MACHINE INTELLIGENCE, VOL.20, NO.11, NOVEMBER 1998, pgs.1254-1259に記載される。本来であれば比較的強い又は等しい透かし信号が埋め込まれるであろう、注意モデルで識別された視覚的データ量が高いエリアは、例えばホスト画像への透かし信号の適用を制御するために使用される可視性マップの調整を通じて、デジタル透かし埋め込み器によって回避するか、又は最小化することができる。
【0052】
多くの用途シナリオでは、埋め込みシステムが、色の見え方モデル(CAM(Color Appearance Model))を考慮に入れて、色の変化がホスト画像に存在する色と比べて目立つ可能性の度合いを査定することが有利である。CAMに関する情報については、Fairchild, Mark D.Color Appearance Models.Chichester: John Wiley & Sons, 2013を参照されたい。我々の包装へのデジタル透かし処理の適用は、CAMが自動化されて有利な効果のために埋め込み関数内で適用される方法を提供する。
【0053】
パッケージデザインは、通例、パッケージデザイナが他の色よりも重要視する色を含んでいる。例えば、消費者製品ブランドは、そのブランドと強固に結び付けられた色又は色の組み合わせを持つ場合がある。そのため、デザイナは、自身が手掛けるすべてのパッケージわたってその色を表現する際に、一貫性と正確さを実現することを目指す。これは、スポットカラーの使用を通じて実現することができる。別の例は、製品に対して特定のテーマを喚起するために、デザイナが特定の色又は色の組み合わせを選択する場合である(例えば、パイナップル味の製品は黄色を使用することがある)。その色が透かしによって修正される可能性もあるが、修正は、デザイナの意図を損なっても、消費者にとって不快に見えてもならない。最後に、パッケージ上のその他の色は重要性がより低い可能性があり、そのため修正を加えるためにより利用しやすい可能性がある。パッケージデザインのそのような部分の中に、デジタル透かしを伝達するためにティントを適用することが可能である領域、又はホスト画像を特定の色若しくは色の組で変調できる領域がある可能性がある。全体としては、画像のどの部分も、最も主要なブランドカラー、又は重要なテーマカラーに関するデザイナの目的を損なうような形で修正されてはならない。
【0054】
例示として、パッケージ画像をデザインするために使用されるデザインプログラムのプラグインへの適応透かし埋め込みの実装を考えたい。プラグインは、デザイナが色の重要度を指定することを可能にし、このことは次いで、プラグインが色を修正するかどうか、及び、修正する場合には修正が元の色から逸脱してもよい度合いを決定する。デザイン内の色について、CAMは、それらの色の優先度を求め、埋め込み関数で適用される色修正についての制約を提供する。元の色に代えて代替色を使用する(例えばスポットカラーに代えてプロセスインクを代用する)ための色一致誤差と、透かしによって生じる色誤差とが、色の優先度に応じて重み付けされる。また、CAMは、特定の色に対する修正の色空間内での方向に制約を課す。以下の例で例示する。
【0055】
データ信号を伝達するために明るい背景エリアが利用できる場合、CAMは、この明るいエリアをその画素値によって検出し、デザイン中の他の特徴の色を基準としたCAM制約を満たす、そのエリアを埋めるために使用されるティントの仕様を提供する。この明るい背景は、白又は白に近く見えることが意図され、背景に加えられる淡いティントは、そのティントがデザイン中で均一であり、且つ隣接する特徴の色と矛盾する色方向で変調されない限り、目立たない。このティントで覆われたエリアが、その他のデザイン要素よりも実質的に明るいままである限り、ティントは目立たない。ティントのない空白エリアの隣に位置する場合にのみ目立つ。CAM制約は、領域の見た目の目立ちやすい変化をあらかじめ防ぎ、また、そのようなエリアの変調が、より重要度の高い他の色がある領域の近くでは滑らかに漸減されるように設定されることも可能である。
【0056】
別の例は、CAMが色変調の方向を制限するか、又はそれに代えて透かし信号を伝達するために黒のティントを指定するテーマ色が存在するパッケージデザインである。パイナップル製品の黄色の例が、例示に適する。そのような場合には、CAMは、黄色について優先度の重み付けを求め、さらに、パッケージの黄色領域内の不快な色変化をあらかじめ防ぐように変調色方向を制約する。緑は、両立しないであろう色の一例であり、そのため、デザインの黄色領域に対してCAMによって設定される制約であらかじめ除外される。それに代えて、ロバスト性の尺度が、許容可能なクロミナンス変調方向又はチャネルで信頼性の高い信号が実現できないことを示す場合には、埋め込み器はブラックインクティントを代用する。
【0057】
II.スポットカラー及びプロセスカラーのデータ隠蔽
商取引されるパッケージのかなり多くが、上記で論じたように「スポットカラー」を使用するエリアを少なくともいくつか含むように印刷される。スポットカラーは、例えば、指定された基材に印刷されたときに特定の色を実現するようにデザインされた、個別仕様の事前混合インクを含むことができる。PANTONEは、製品包装業界でよく使用されるスポットカラーシステムの一例である。パッケージは、いわゆるプロセスカラーを含むこともある。上記で論じたように、プロセスカラーは、通例、それら様々なインクを基材上で混合することによって幅広い色を模擬的に作り出すために使用される、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び/又はブラック(K)インクを言う。プロセスカラーは、例えばハーフトーンの点で印刷されることがある。
【0058】
スポットカラー内のデータ隠蔽は、スポットカラーは変動性がほとんどないか、又は全くない単調なパッチとして見えることがあるため、難しいことがある。情報信号を搬送するように単調な色パッチを変調すると、色ずれ及び目立ちやすい可視のアーチファクトが生じる可能性がある。また、多くのパッケージデザイナは、独特の色を実現するためにスポットカラーを使用する。特定のスポットカラーを改変すると、デザイナから審美上の苦情が発生し、またその独特の色に逸脱が生じる可能性がある。
【0059】
本開示は、例えば、色ずれ及び可視性に関する懸念を最小に抑えながら、スポットカラー及び他の色エリアに情報を隠蔽する方法、システム、ソフトウェアプラグイン及びアプリケーション、並びに装置を提供する。場合によっては、隠蔽されたデータの可視性を低減するために、輝度ではなくクロミナンス領域でスポットカラーにデータを隠蔽する方が好ましいことがある。
【0060】
図12を参照すると、製品パッケージ10は、複数の異なる印刷エリア12、14、16を含むことができる。エリア12はスポットカラーインクを含む可能性があり、エリア14は1つ又は複数のプロセスカラーインクを含む可能性があり、エリア16は印刷されたテキストを含む可能性がある。パッケージ10は、パッケージのかなり多くの部分に機械可読の標識を伝達するために、複数の異なる形態のデータ隠蔽を含むことができる。例えば、エリア12のスポットカラーをスクリーニングし、次いでそれにCMYプロセスカラーをオーバープリントして透かし信号を伝達することができ、エリア14はすでにプロセスカラーを含んでいる場合があり、それを変調して情報信号を伝達させることができる。エリア16(及びあらゆる白色スペース)には、情報信号を含むCMY(K)の薄いティントを印刷することができる。それらのエリア内の情報信号は、好ましくは、エリア12、14、16のうちの1つ又は複数の中での信号検出からその情報信号が得られるように、重複する(又は同じ)情報を含む。実際、多くのパッケージデザインには、我々は、パッケージ表面のほぼすべて(例えば80〜100%の被覆)に情報信号を冗長に埋め込むことを好む。
【0061】
埋め込みを誘導するために使用される情報信号の一形態として、ロバストな拡散スペクトルデジタル透かし信号が挙げられる。1つのインスタンスが、線形UPCバーコードにしばしば見られるGlobal Trade Item Number(GTIN−14)で搬送されるのと同じ情報を符号化するのに十分な複数ビットのペイロード、例えば47ビットのペイロードを搬送することができる。透かしペイロードは、追加的な誤差補正ビット、チェックサム、ペイロードバージョンビット、及び他の情報も含むことができる。特定のペイロードを搬送する透かしは、例えば75DPIの空間解像度で、透かしタイルと呼ばれる128×128画素のグレースケール画像として表現することができる。
図8Aは、透かし信号値のヒストグラム(
図8B)と併せて透かしタイルの一事例を示す。無論、この図示される透かしタイルに代えて、透かし処理の異なる事例及び他の種類の機械可読標識を使用することができる。図示の場合、透かしタイルは、「ワクセル(waxels)」(例えば透かし画素)と呼ばれる正及び負の値を持つゼロ平均信号を含んでいる。透かしタイルは、互いと隣り合わせに連結して、より大きなエリアをカバーすることができる。伝統的なUPCバーコードと異なり、単一の透かしタイルのいくつかの部分を削ることができ、それでもその反復的な構造のために正常に復号することができる。印刷解像度が75DPIと異なるとき(例えば
図2Bを参照)、透かしタイルは、印刷解像度と一致するようにアップサンプリングすることができる。
【0062】
赤色LEDを用いる販売時点(POS)スキャナは、通例、ピーク応答が660nm又はその前後である、狭帯域のモノクロイメージャを含んでいる。そのような赤色LEDスキャナは、伝統的なUPCバーコードに備えて、食料品店のレジでしばしば見られる。典型的な赤色LED捕捉デバイスの分光応答に関しては
図3を参照されたい。また
図1Aも参照されたい。赤色LED捕捉デバイス(例えば販売時点スキャナ又はカメラ)は、660nm又はその前後で反射する色のみを「見る」。色がこの波長で強く反射する場合、捕捉デバイスは白色を「見る」。明るい黄色、マゼンタ、ピンク、オレンジ、及び白はすべて、赤色LED捕捉デバイスには白に「見える」。色の反射がこの波長で低い(例えばこの波長を吸収する)場合、捕捉デバイスは黒を「見る」。暗い青、シアン、緑、紫、及び黒はすべて、カメラには黒に「見える」。
図4にこれらの機構を示している。そのため、660nm又はその前後での分光反射率が低い色に加えられる変化は、スキャナにとって可視となり(例えば黒色画素値として記録され)、したがって情報信号を搬送するのに適する。狭帯域照明とモノクロセンサの組み合わせに起因して、典型的なバーコードスキャナは、660nm又はその前後におけるインク反射率の空間的変化(例えば赤色照明)によって作り出されるグレースケール画像だけしか見ることができない。より多くのインクがオーバープリントされる場合、グレースケール値Gは、分光Neugebauerモデルの660nm成分から、
G=感度×R(660nm)+オフセット (6)
として得ることができる。
【0063】
次いで、情報信号をスポットカラーに取り込む際の2つの手法を考える。
図5A、
図5B、及び
図5Dを参照すると、第1の手法はスポットカラー自体を変調する(
図5A)。透かし信号を搬送するために、Max(
図5D、左のパッチ)及びMin(
図5D、右のパッチ)微調整値(例えば、画素若しくは色の変化、色値量、及び/又は、信号若しくは色チャネルの変調若しくは変調の変化)を決定する。Maxパッチは、スポットカラーの100%バージョンとすることができ、Minパッチは、スポットカラーの逆スクリーニングされたバージョンとすることができる(例えば85%のスクリーン)。min/max微調整値は、情報信号に従って、スポットカラーパッチ上で元のスポットカラー値の代わりに使用され(又は情報信号に従って内挿され)、例えば、元の信号がmin/max微調整値で変調されて情報信号を伝達する。
【0064】
第2の手法は、
図5Aの逆スクリーニングされたバージョンのスポットカラー全体に適用(例えば印刷)されるティントとして、CMYのmin及びmax微調整値(
図5E参照)を使用する。その結果得られる透かしの入ったパッチ(
図5C参照)は、
図5Bと比べて
図5Aに対するより近い近似となる。このように、組み合わせられたスクリーニングされたスポットカラー+プロセスカラーの中でCMYティントを通じて情報信号を伝達することができる。組み合わせられたスクリーニングされたスポットカラーとプロセスカラーを提供して、元のスポットカラーを近似する。CMY微調整値又は信号変調に、スポットカラースクリーンの上に(又は場合によっては下に)重ねられたティントを追加することができる。上記で論じたように、用語「スクリーン」は、スポットカラーが、例えばその色パーセンテージ又はクロミナンス値において、逆にスケーリングされるか、又は低減されることを含意する。透かし微調整値(ΔC、ΔM、ΔY)は、モノクロスキャナに見られたときのスキャナ信号ΔGRAYを実現するために設けることができる。1つの最適化では、組み合わさって元のスポットカラーを近似する、min(例えば負)及びmax(例えば正)透かし信号微調整値を含むCMYティントを組み合わせる。
【0065】
図6A及び
図6Bは、
図5B及び
図5Cの埋め込まれたパッチを赤色LED捕捉デバイスがグレースケールで見たものを提示する。各パッチにある検出可能な信号は、標準偏差で2.2(
図6A)及び2.1(
図6B)と非常に近い。しかし、
図5Cと
図5Bとでは可視性低下の改善は著しい。これは、組み合わされたスクリーニングされたスポットカラーとプロセスカラーティントの利点を示すものである。
【0066】
この第2の手法について、
図7を参照して下記でさらに説明する。
【0067】
図7を参照すると、透かしが入っていないスポットカラー、PANTONE 221Cに関する埋め込みプロセスが示されている。以下の1〜6の番号が付けられた段落は、
図7の番号1〜6に対応している。
【0068】
1.スクリーニングされたスポットカラーでオーバープリントするためのCMY値を決定する。(例えば
図25を参照して論じるように、スクリーニングされたスポットカラーに代えて、異なる色又は代替色を使用することも可能である。)組み合わされたスクリーニングされたスポットカラー+プロセスカラー(CMY)は、元のスポットカラーを近似するために提供される。我々は、一般に、用語「ティント」を使用して、選択されたCMYプロセスカラーを指す。CMYの近似又はティントは、試験によって決定することができ、又は、例えば、Deshpande, K. and Green, P. “A simplified method of predicting the colorimetry of spot colour overprints,” 18th Color Imaging Conference: Color Science and Engineering systems, Technologies and Applications, pg.213-216, San Antonio, USA 2010で論じられるようにオーバープリントのモデルを使用することもできる。又は、所与の基材に対して、PANTONEのインク見本を分光光度計でスキャンして、対応するプロセスカラー(又はL*a*b*)の対応関係を決定することができる。迅速に調査するために、そのような近似値、予測値、又は測定値のライブラリ、表、及び/又は索引を構築することができる。表に明示的に表されない値にプロセスカラーティントのパーセンテージを推定するために、内挿を用いることができる。例えば、表又はライブラリにアクセスしてCMY値を見つけることができ、CMY値は、特定のスポットカラーの逆スクリーニングされたバージョンと組み合わせられると、元のスポットカラーの近い近似をもたらす。
【0069】
2.スポットカラーをスクリーニングする。スクリーニングは、オーバー(又はアンダー)プリントされるCMYティントに情報信号のための余裕を提供する。上記から、CMYティントが情報信号を搬送することを思い出されたい。スクリーニングの量は、例えば、少なくとも部分的には、元のスポットカラーに関連するシアン吸収の量に依存する可能性がある。図示するPANTONE 221の例では、スポットカラーは75%にスクリーニングされる。無論、例えば可視性、ロバスト性、及びマスキングの考慮事項に基づいて他のパーセンテージが選択されることもあるため、このパーセンテージのスクリーンは制限的なものではない。この例に関して、図示されるPANTONE 221スポットカラーの色近似は、百分率(%)のスポット、C、M、及びYにおいて、75%、13、57、8であると決定された。
【0070】
3.CMYオーバープリント+スクリーニングされたスポットカラーを模擬的に作り出して、元のスポットカラーと、CMYオーバープリント+スクリーニングされたスポットカラーとの間の色一致誤差E
CMを評価する。このプロセスを使用してCMYティント値の選択を反復して、選択されたプロセスカラー及びスクリーンの誤差を最小にすることができる。例えば、ΔE
76、ΔE
94、ΔE
2000指標を使用して、プロセスカラーティント+スクリーニングされたスポットカラーと、元の100%のスポットカラーとの間の色誤差を最小にすることができる。種々のスクリーンパーセンテージと、予測される色又はその周辺におけるCMYティント値とを調べて、誤差が最小になる値を見つけることができる。
【0071】
4.CMYティントをMin及びMax微調整値に分解する。例えば、勾配探索プロセス又は最小自乗距離プロセスを行って、最適な微調整値を見つけることができる。これらのプロセスでは、他の要因も考慮することができる。例えば、最適化プロセスは、いずれも特定の分光応答(例えば、655〜670nmを中心とする630〜680nm)又はその前後における、元のスポットカラー、可視性の制約、ロバスト性要件、重み、k(ブラック)チャネル、他のスポットカラー等を考慮することができる。図示される例については、75、27、42、16のMin微調整値(%)、及び75、0、73、0のMax微調整値(%)が決定された。
図7では、E
WM=透かし誤差(又はより一般的には「情報変調誤差」)であり、これは、ΔL*、Δa*、及びΔb*の加重和とすることができ、このとき、CIE ΔL*を最も重く重み付けして、透かし信号が明度においてより高い可視性をもつことを加味し、その次にΔa*(赤−緑)、次いでΔb*(黄色−青)とすることができる。Min及びMax CMY微調整値の目標のいくつかとして、例えば以下が挙げられる。i)スクリーニングされたスポットでオーバープリントしたときに、知覚される可視性が元のスポットカラーに近い、ii)660nm(赤色LEDスキャナに対応する)又はその前後における微調整値差を最大にし、それによりスキャナへの可視性を最大にする、iii)輝度(CIE L*)差を最小にする。人間の視覚系は、輝度の変化に対して最も感度が高く、色差(CIE a*及びb*)は制御された状態に保つべきことを思い出されたい。
【0072】
5.Min微調整値とMax微調整値の間でCMYティントの一部又はすべてを空間的に様々に変化させることにより、情報信号を埋め込む。微調整値を使用して、情報信号を伝達するようにCMYティントを変調又は変形することができる。情報信号(例えば
図7の透かしタイルによって搬送されるような)は、透かしタイル値に基づいて、min微調整値とmax微調整値との間を内挿することによってCMYティントに埋め込むことができる。例えば、次の式、T
CMY=T
Min+(1+W)(T
Max−T
Min)/2を使用して、所与の画素又はエリア値について微調整値を内挿することができる。ここで、Wは、ある場所における透かしタイルのグレースケール値であり、Tmin及びTmaxは、それぞれmin CMY微調整値及びmax CMY微調整値である。各透かしタイル値に対するこのプロセスの結果が、変調された(例えば透かしが入れられた、又は埋め込みがされた)CMYティントをもたらす。無論、デジタル透かし処理のほかにも他の種類の符号化を使用して、CMYティントの埋め込みを誘導することができる。例えば、2Dバーコード、UPCバーコード、及び他の種類の機械可読標識を使用して、CMYティントを介して隠蔽される、又は埋め込まれるように情報信号の構築を誘導することができる。
【0073】
6.変調されたCMYティントを、逆スクリーニングされたスポットカラーの上にオーバープリントして、マークが入った、又は埋め込みがされたスポットカラーを得る。
【0074】
追加的な混色、信号の考慮事項、埋め込み及び微調整値決定の詳細等について以下で論じる。
【0075】
透かしタイルのような情報信号をアートワークに埋め込む際には、しばしば、人間ユーザによって観察されたときの埋め込まれた情報信号の可視性と、パッケージをスキャンする時の透かしのロバスト性とのバランスがとられる。
図3及び
図4に示される赤色LED照明下でのスキャナ応答に基づくと、シアン又はブラックで印刷されたインク変化はスキャナに対して可視となり、したがって情報信号を搬送するのに有用である可能性がある。しかし、人間の視覚系は、クロミナンスの変化(例えばシアンインクの変化によって生じる)よりも、輝度の変化(例えばブラックインクの変化によって生じる)に対して大幅に感度が高い。人間に対する可視性を低減するために、透かしタイルは、次のように、C、M、Yチャネルのそれぞれを、単位長色重みベクトルω=(ωC,ωM,ωY)の要素及び大域的な信号強度σで重み付けした透かしタイルWのグレースケール値で修正することによって埋め込むことができる。
【数8】
ここで、索引iは、各色分解の画素を表す。色重みωは透かし信号の色を決め、一方、σは信号の全体強度を変化させる。両方のパラメータが透かしの可視性に影響する。
【0076】
一般に、色重みωは、CMYKインクオーバープリントの色を捉える、CMYKアートワークに関するICC色プロファイルに関連付けることができる。典型的なGRACoLプロファイルの場合、色重みは、例えば、CMY=(0.69,−0.61,0.39)のωGRACoLに設定することができる。赤色LED捕捉デバイスにはマゼンタ及びイエローの変化は見えないものの、非ゼロの重みを選択して、透かし信号をシアンに埋め込むことによって生じる輝度変化を最小に抑えるのを助けることができる。
図9は、この方法で埋め込みがされたサンプルパッチを示す。
図9の左のパッチは、この段落で述べる色重みを使用して、中間グレーのパッチに埋め込まれた透かしタイルを示す。
図9の右のパッチは、シアンチャネルだけに変化を生じさせて中間グレーのパッチに埋め込まれた同じ透かしタイルを示す。シアンのみのパッチ(右のパッチ)は、クロミナンス(左のCMYで埋め込まれたパッチ)パッチと比較して、目に見えて「粒子が粗い」又は「ノイジー」である。
【0077】
赤色LED捕捉デバイスのスペクトル依存性のために、イエロー及びマゼンタ中の信号は捕捉デバイスには見えないので、シアン分解に埋め込まれた情報信号だけが検出器に入手可能となる。上述のωGRACoLの色重み(0.69、−0.61、0.39)の場合には、これは、捕捉デバイスによって抽出されるアートワークに埋め込まれている総信号エネルギーの約0.69
2=48%に相当するに過ぎない。スマートフォンなどでフルカラーの画像センサが利用可能な場合は、すべてのCMY平面に存在する埋め込まれた透かし信号を、グレースケール変換重みwを揃えることによって組み合わせることができる。
【数9】
RGB色空間では、このグレースケール変換は、0.52・R−0.81・G+0.29・Bとして近似することができる。
【0078】
CMYインクの組み合わせにブラック(K)をオーバープリントしてより暗い色を生成するときには、ブラックインクが光学フィルタのような働きをし、シアン分解に生じる変化の大きさを減らすことができる。その結果、赤色LEDスキャナによって見られるときにより弱い透かし信号となり、したがって透かしのロバスト性が低下する可能性がある。この損失は、増大させた信号強度σにより、又は、例えば下色加色(Under Color Addition)として知られるプロセスを使用して、ブラックインクの一部をCMYの組み合わせに置き換えて、最終的なCMYKの混合を透かし処理により適したものにすることにより、補償することができる。シアン成分を含まない色、又は100%のシアン成分を持つ色は、別の課題を呈する。式7を当てずっぽうに適用した場合、刈り込みに起因してワクセルの半分が埋め込まれない可能性があり、その結果ロバスト性が低下する。これは、アートワークの色域を圧縮することによって解決できる可能性がある。例えば、シアンゼロのインク、2%〜4%のシアンインクを含む画像を元のデザインの中に追加することができる。そして、このあらかじめ条件付けしたアートワークに、上記で説明した方法を使用して透かしを挿入することができる。
【0079】
製品包装向けのデジタル透かし処理の潜在能力を最大に利用するために、パッケージ表面の大部分に透かしを入れることができる(例えば80〜100%)。すなわち、パッケージは、パッケージ中に隠蔽された情報信号の冗長なインスタンスを多数含むことができる。パッケージの中には、インクの被覆が全くないかなりの数のエリアを含むものがある。そのようなエリアは結果として不感帯となり、改善された精算速度の最大の利益を減じてしまう可能性がある。これを解決するために、白色のエリアを淡いCMYティントで被覆して、それを印刷前に変調して情報信号を搬送させることができる。4%のC、2%のM、及び2%のYを含むティントを、その上に何もない白色エリア、又はテキストの背後にある白色エリアをオフセット印刷するために使用することができる。このティントの例を
図10に示しており、ここでは、左のパッチは提案される4%のC、2%のM、及び2%のYのティントを含み、右のパッチはシアンのみを含んでいる。
【0080】
図7の例のような単調なスポットカラーエリアだけでない、複雑なアートワークに透かしを埋め込む場合には、テクスチャのあるエリアには単調な領域よりも多くの信号を埋め込むことができる。この理由は、画像のテクスチャが透かし信号の存在をマスクするためである。この効果をよりうまく利用するために、色重みベクトルの方向と信号強度の両方を空間的に変動させて、透かしの可視性を均等にすることができる。これは、画像編集ソフトウェア内で手動で行うことも、又は、Q.Lin, J.P.Allebach, and Z.Fan, editors, Proceedings SPIE 9027, Imaging and Multimedia Analytics in a Web and Mobile World 2014, volume 9027, 2014のReedら, “Full-color visibility model using CSF which varies spatially with local luminance”に論じられるように自動的に行うこともできる。同様に、パッケージのフォームファクタが、信号強度を増大すべきことを示す場合がある。例えば、ソーダ缶の面積は、シリアルの箱の面積よりも大幅に小さい可能性がある。より大きい物体ほど、捕捉デバイスが隠蔽された信号の読み取りに成功する機会をより多く提供する。そのため、ソーダ缶には、シリアルの箱に比べてより強い信号強度を持たせることができる。同様に、パッケージの幾何学的形状が、増大した信号強度を決めることがある。例えば、湾曲した表面や角部に近いエリア(例えばスープの缶の包装や、パッケージの角部等)は、より強い信号強度の根拠となる可能性がある。3Dモデル又はユーザによって定義されたエリアを使用して、信号強度を増大させる角部エリア、又は湾曲した表面を特定することができ、表面全体にわたる信号強度を増大することができる。
【0081】
図7に関して論じたスポットカラーの埋め込みに戻ると、100%のスポットと、CMYティントがオーバープリントされたスクリーニングされた75%との間の色差がE
CMと表され、これは色一致誤差として参照することができ、上述のように様々な色差指標を使用して測定することができる。CMYティントは、いわゆるMax及びMin微調整値に分解することができ、これは例えば、それらの間の重み付けされた色差を最小にすることで行い、同時に、スクリーニングされた75%のスポットカラーでオーバープリントされたときに660nmで分光反射率の検出可能な差を実現する。
【0082】
E
WMと表される、75%のスポットがオーバープリントされたmin微調整値とmax微調整値との間の色差は、透かし誤差と呼ばれる。最終的な透かしは、75%でスクリーニングされたスポットと、変調されたCMYティントとをオーバープリントすることによって生成することができる。このプロセス中に、両方の色誤差が相互に連関付けられる。輝度変化を最小に保つために、CMY微調整値により多くの空間が使用されることがあり、そのために場合によっては色一致誤差E
CMが増す可能性がある。75%のスポットスクリーンも、変化させることが可能なパラメータである。660nmにおける分光反射率の差をΔ660と表し、これは、式(7)のパラメータσと同様に透かし信号強度の尺度として働く。Δ660のある値を仮定して、分光インクオーバープリントモデルを使用して、スポットスクリーンの最適値と、両方の色誤差の加重和を最小にするmin及びmax微調整値インクのパーセンテージとを見つけることができる。
【数10】
ここで、Rmax及びRminは、それぞれ、(スポット及びCMY)インクのパーセンテージαmax及びαminに対して得られた、式(2)によるNeugebauer分光反射率に対応する。RSは、基材に印刷された元のスポットカラーの分光反射率を指す。色差指標ΔE
76及びΔE
WMについては上記で論じている。両指標とも、一定のペナルティ項pで重み付けされたスカラー値を返すように構成することができる。一般に、重みpは色に依存する。専門職のデザイナと共に行われた実験から、我々は現在では重み因子のデフォルト値をp=1に設定することを好む。無論、pを変動させる結果、信号検出のロバスト性の追加又は低下をもたらすことができる。
【0083】
データ隠蔽を最適化問題として策定することにより、印刷機又はデザインに関連する他の制約を施行することができる。例えば、デザイナは、物理的な印刷機の理由からスポットカラーインクをスクリーニングさせない、又はスクリーニングの量を制限する可能性がある。制約なしにαmin及びαmaxにスポットインクを含めることにより、スポットインクを透かしタイルで変調することが可能になる。例えば、特定のスポットインクが、
図7の固定インク経路から最適化経路に移動され、CMYインクと共に最適化プロセスに含められる。すると、min微調整値及びmax微調整値がスポットインク成分を含むことができ、透かしタイルは、上記でCMYの場合に関して説明したようにそれら2つの色の間を内挿することによって埋め込むことができる。
【0084】
式(9)の最適化問題は、例えば、A.Wachter and L.T.Biegler, “On the implementation of a primal-dual interior point filter line search algorithm for large-scale nonlinear programming.” Mathematical Programming, Vol.106, issue (1): pages 25-57, 2006に詳述される基礎技術を使用して、例えばIPOPTライブラリを用いて、数学的に解くことができる。IPOPTコードは、オープンソースとして、http://www.coin-or.org/Ipoptで入手することができる。
【0085】
そのような最適化を所与の画像エリア、例えば同じ色値を有するスポットカラーエリアに実行することができる。また、最適化は、異なる色値を含んでいる各画像エリアに実行することができる。これは、画像全体又は画像エリアを、画素単位又はエリア単位で最適化することを含む可能性もある。
【0086】
図11は、例えば先に
図7に関連して論じた我々のカラー埋め込みの最適化技術のいくつかの態様を検討するためのグラフ式のフレームワークを提供する。SC1は第1の色を表す。最適化システムを一般化するには、次の少なくとも3つの構成要素、i)システム空間、ii)最適化する変数、及びiii)システム制約、がある可能性がある。一実装では、空間は、第1の色チャネル(SCチャネル)及び3つ以上のプロセスカラーCMY(K)によって定義される色域を含むことができる。無論、空間は追加的な色チャネルを含んでもよく、例えば2つ以上のスポットカラーを含むことができる。この実装では、最適化する変数は、例えば8つ以上の変数、例えばSC2、CMYティント、及びΔCMYKを含むことができる。制約は、例えば、制約となる特徴、インクの性質、プリンタの性質、使用、パッケージのフォームファクタ(例えば3Dモデル)、検出基準、性能標準、及び/又はシステム制限を含む可能性がある。
【0087】
図11に戻ると、SC1は、あるスポットカラーの100%値とすることができる。修正されない場合、SC1が隠蔽された信号を収容するための余裕が十分にない。そのため、SCチャネルに沿って移動すると共に、他の色チャネルと組み合わせることにより、SC1の近似を実現することができる。その他の色は、例えばプロセスカラーインク(CMYK)を含むことができる。距離(例えば色誤差指標)160は好ましくは最小化されて、SC色チャネル値SC2+その他の色チャネル(例えばCMYK)の何らかの組み合わせを使用して、SC1の近似を実現する。SC2は、SC1のスクリーニングしたバージョンである。
【0088】
情報信号を搬送するためにその他の色チャネルに取り込まれる微調整値162が決定される。隠蔽されるデータの特定のロバスト性を維持するために、最適化関数内に下限166を設定することができる。例えば、あるスペクトル帯域における反射を考慮することができる。他のロバスト性因子には、予想される印刷歪み(例えば版の見当ずれ)、スキャナノイズ、カラー画面の性質、プリンタ解像度、照明の考慮事項、画像特性、色値等が含まれる可能性がある。微調整値の大きさを最適化して要求されるロバスト性を保証することができる。可視性の制約を確立するために、可視性の上限164も設定することができる。このときの因子としては、インクの色域限界、インクの性質(例えば金属効果)、外観モデルの出力、画像マスキングの出力、印刷角度、画像特性、HVS出力、CSF出力等が含まれる可能性がある。そのようなロバスト性因子及び可視性因子が、最適化関数に対する制約として使用されてもよい。ロバスト性が重要であり、そのため距離関数160の重要性が166によって確立される下限と比べて低い状況があり得る。他の場合には、可視性の重要度がロバスト性を上回り、その結果、上限164を縮小させる可能性がある。
【0089】
スポットカラー及びプロセスカラーの埋め込みは、多くの形態で実装することができる。我々の好ましい手法では、Adobe Photoshop(登録商標)やAdobe Illustrator(登録商標)などのデジタルイメージングソフトウェアと協働するソフトウェアアプリケーションプラグインを利用する。プラグインは、データ隠蔽のためにデジタル画像ファイル中でエリアを選択するためのユーザインターフェースを提供するように、(例えば、Adobe Photoshop SDK又はAdobe Illustrator SDK、及びMicrosoftのVisual Studioなどのプログラミングツールを使用して)作成することができる。プラグインは、様々な関数、ルーチン、及び/又はライブラリを含むか、又は呼び出して、例えば最適化プロセス、例えばIPOPTライブラリ、情報信号の生成(例えば透かし埋め込み器ライブラリ)等を含む、本明細書に開示されるデータ隠蔽技術を行うことができる。ユーザインターフェースは、ユーザが、例えばスポットカラー埋め込み、プロセスカラーティント等の種々のデジタル画像エリアに対して、データ隠蔽の種類を選択できるようにすることができる。プラグインは、ロバスト性要件、可視性要件、大域的な信号利得等のパラメータを受け付けるユーザインターフェースを提供するように構築することができる。そのようなパラメータは、可動スケールによりグラフィックに、数値の入力により、関連する設定値の設定等により、入力することができる。プラグインは、自律的に動作するように構成することができる。例えば、プラグインは、デジタルバージョンのパッケージデザインをスキャンし、単調エリア(例えばスポットカラー)、プロセスカラー、及び白色スペースを決定することができる。プラグインは最適化を実行して、スポットカラーに関してプロセスカラーの相当値と微調整値とを決定し、白色スペース又はテキストスペースがある場合にはそのためのCMY(K)ティントを決定することができる。
【0090】
例示的なプラグインユーザインターフェースを
図24に示す。このインターフェースは、様々な調節可能な選択肢及び表示、例えば、特定のデジタル画像中のスポットカラーの名前、スポットカラーのスクリーン量又はそもそもスクリーニングを行うかどうか、CMYティント値、ペイロード情報(及び誤差補正チェックサムデータ)、埋め込み開始タブ、予測検出マップ(「LGSマップ」。これは、埋め込まれた信号がPOSスキャナにとってどれほど検出可能であるかについてのヒートマップシミュレーションである)、埋め込まれた信号の大域的な可視性を調節するための透かし微調整値ペナルティ、透かし信号を原因とする色相又は値を調節するための色一致ペナルティ、を提供することができる。多くの場合、プラグインは、上述のように自動化され、ユーザが介在しない(又はユーザが介在する前に)報告画面を提供するように構成することができる。
【0091】
プラグインの代わりに、本明細書に記載される動作及び機能は、デジタル画像ソフトウェアアプリケーション又は独立型アプリケーションに直接取り込むことができる。
【0092】
別の実装は、ウェブサービス又はクラウドベースのサービスを利用する。ウェブサービスは、製品包装に対応するデジタル像をアップロード又は作成するためのユーザインターフェースを提供する。ウェブサービス又はクラウドベースのサービスは、本明細書に記載される最適化を含む、スポットカラー及びプロセスカラーの埋め込みを実現するためのライブラリ、プログラム、関数、及び/又はルーチンを収容しているか、又は呼び出す。
【0093】
埋め込み及び最適化のための画像処理動作は、メモリに記憶されてプログラム可能コンピュータ(ソフトウェア命令とファームウェア命令の両方を含む)内で実行されるか、若しくは特殊目的デジタル回路内のデジタル論理回路として実装された1つ若しくは複数のプロセッサで実行される命令として実装されても、又は、1つ若しくは複数のプロセッサ及びデジタル論理回路モジュール内で実行される命令の組み合わせとして実装されてもよい。上記で説明した方法及びプロセスは、システムのメモリ(電子、光学、又は磁気記憶装置などのコンピュータ可読媒体)から実行されるプログラムとして実装されてもよい。方法、命令、及び回路は、電子信号、又は他の電磁気形態の信号に作用することができる。それらの信号はさらに、画像信号、インク値及びパーセンテージのような物理的信号、並びにセンサ内で捕捉される他の物理的信号の種類を表す。そのような電磁気信号表現が、上記で詳述したように異なる状態に変形されて、物理的な製品包装のためにインク値を改変又は修正する。
【0094】
埋め込み問題のこの策定は、スポットインクにCMYインクをオーバープリントすることに限定されない。同じ策定を、パッケージデザイン内でオーバープリントされる可能性のある任意のインクの組に使用することができる。例えば、2つのスポットカラーが使用されて情報信号を埋め込むことがあり得る。この技術は、例えばヘキサクローム(Hexachrome)印刷などの拡張色域印刷プロセスでスポットカラーに透かしを入れるために使用することができる。式(7)の追加的なグレースケール変換重みに関連する制約も、携帯電話などのフルカラーデバイスによって見られるときの信号強度を考慮するために追加することができる。
【0095】
III.追加的な実装及び説明
他の実装、説明、及び実施形態が以下に提供される。
【0096】
代替であるが関連する埋め込み技術の1つは、例えば4色のSWOPプロファイルを利用するブレンドモデルを使用し、5色のプロファイル(4つのSWOP色+S1a)を作成して5色の検索空間を作成する。この検索空間を検索して、ロバスト性、可読性、及び最小化された可視性変化の最適化された解決法を見つけることができる。(黒色が使用されない場合でも、4色空間を検索することは有利である可能性がある。)
SWOPプロファイルは、「Specifications for Web Offset Publications」の仕様によって提供される、又はそれに準拠したプロファイルを指す。SWOP仕様は、印刷物の作製に関係する多くのエリアを包含し、他の業界標準の中でそれらを補足、拡張、及び制限する。この仕様は、(これらに限定されないが)以下を含む。I)CMYK印刷で使用されるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びキー(ブラック)インクの色に関する仕様。この仕様に準拠したインクは、SWOPインクと呼ばれることがある。この仕様は、ISO標準、ISO2846−1:2006を参照するが、それと同じものではない。II)様々な技術で作り出される校正刷りの色に関する仕様。したがって、校正刷りは、最終的に印刷に使用されるSWOPインクの近似表現となる。これらの仕様を満たすシステムから作られる校正刷りは、SWOP校正刷りと呼ばれることがある。III)予想されるドットゲイン(インク点が吸収性の紙の上で拡大することによって生じる)に関する仕様。IV)ハーフトーン及び色分解を生成するための要件。V)反転印刷される、又は背景からくり抜かれる活字の最小サイズなど、判読性を保つためのデザインの制約。
【0097】
組み合わせられた色(例えばS1a+CMY)の最初の近似は、以下のプロセスを使用することができる。
1.a)スポットカラー(S1)のパーセンテージを下げて、逆スクリーニングされたスポットカラー(S1a)を得る。これは、POSスキャナによる透かしの検出性を助けることができる。及びb)プロセスカラーのパーセンテージを推定する(例えばスポットカラーの上に置くためのCMYの組み合わせ)。
2.合成色、例えば%S1a+xC+yM+zYのための比色係数を推定する。ここで、%は、スポットカラーのスクリーニングパーセンテージであり、x、y、及びzは、各自のプロセスカラーについての重み付け又はパーセンテージ係数である。
3.スポットオーバープリントのための色係数を補正する。
4.オーバープリント及びパーセントスポットカラーの値を決定する。
【0098】
別の(1つ又は複数の)インクがオーバープリントされる場合のスポットカラーインク又はその逆の場合の実際の色を予測することにより、各色を個別に特徴づけ、また、すべての色の反射率を線形に組み合わせることによってオーバープリントするベタ及びハーフトーンの色を予測することができる。組み合わせられる色を選択的に重み付けすることにより、この予測に改良を加えることができる。例えば、Deshpande, K.and Green, P.“A simplified method of predicting the colorimetry of spot colour overprints,” 18th Color Imaging Conference: Color Science and engineering systems, Technologies and Applications, pg.213-216, San Antonio, USA 2010を参照されたい。
【0099】
図13は、スポットカラー及びプロセスティントを用いたデジタル透かし処理を支援するための混色の一実装を説明する流れ図である。
【0100】
スポットカラー分析が、スポットカラーS1を評価することから開始する。スポットカラーS1は、その近似Lab値として表すことができ、例えば、Adobe Illustratorなどのグラフィックソフトウェアが、様々なスポットカラーを表すLabライブラリを含んでいる場合がある。インク製造者も、各スポットカラーに関連付けられたLab値を有する可能性が高い。Lab値が取得されると、その値をCMYK相当値に変換することができる。参照表、データシート、変換式、及び/又はライブラリをこの変換のために調査することができる。無論、CMYK値が最初から入手可能であれば、Labを飛ばしてCMYK変換に進める場合もある。次いで、そのCMYK相当値のシアン成分が75%以下であるかどうかが判定される。75%以下でない場合は、シアン成分が75%以下になるまで、スポットカラーS1が逆スクリーニングされる(例えば、Lab値へのドットゲイン補正を使用する)。
【0101】
ここで少しシアンへの着目を論じたい。上記から、我々が660nm又はその前後をピークとする赤色LED(又はレーザ)を用いるPOSスキャナの使用を企図していることを思い出されたい。シアンは(ブラックと同様に)660nm又はその前後では非常に反射率が低い。
【0102】
そのことを赤色LEDスキャナの分光応答と組み合わせると、透かし微調整値が赤色スキャナ/カメラで容易に「見る」ことができるように、シアンチャネルに透かし微調整値を取り込むことが好ましいことになる。そのような赤色LED捕捉デバイスは、モノクロである可能性が高い。したがって、捕捉デバイス(例えばカメラ)には、660nm又はその前後で反射する色のみを「見る」。色がこの波長で強く反射する場合、カメラは白を「見る」。明るい黄色、マゼンタ、ピンク、オレンジ、及び白はすべて、捕捉デバイスには白に「見える」。この波長で色の反射が0%である(例えばその波長を吸収する)場合、カメラは黒を「見る」。暗い青、シアン、緑、紫、及び黒はすべて、カメラには黒に「見える」。
【0103】
そのため、赤色LEDスキャナを使用する場合、透かしの検出はスペクトル依存性を含み、したがって、成功する透かし埋め込みは、その特定のスペクトル依存性に対して感受性のある埋め込みを含む。
【0104】
図13の流れ図の解説は、CMYK相当値が75%以下でない場合にスポットカラーS1を逆スクリーニングするところで中断していた。逆スクリーニングされたスポットカラーS1aを、好ましくはそのプロセスカラーによって搬送されている透かし信号と共に、プロセスカラーの相当値と組み合わせるようとしていることを思い出されたい。そして、赤色レーザ又はLEDを使用する場合には、赤色をシアンの微調整値と一致させて、それらが捕捉デバイスによってより容易に見えるようにしたい。そのため、スポットカラーS1aがシアンを多く含む場合は、印刷されたCMYを弱めてしまうおそれがある。すなわち、シアンを多く含むS1aはノイズを取り込み、下にあるプロセスカラーの透かし微調整値が検出しにくくなる。用途及びノイズの許容値に応じて、例えば60〜85%の範囲のシアントリガを使用して、スポットカラーS1をスクリーニングするかどうかを決めることができる。
【0105】
組み合わせられたスクリーニングされたスポットカラー+変調されたプロセスカラーを、100%のスポットと比較して評価して、組み合わせられたティントが許容可能な輝度誤差を有するかどうかを決定することができる。例えば、ΔE76、ΔE94、及び/又はΔE2000値を計算することができる。組み合わせられたティントが大きな誤差を示す場合には、許容可能な誤差が見つかるまで異なる透かし信号微調整値を反復的に利用することができる。この文脈における許容可能とは、使用に基づいてあらかじめ決めることができる。例えば、検出のロバスト性が主要な懸念事項である場合には、より高い透かし可視性を許容することができる。
【0106】
次に、CYMプロセスカラーに透かし微調整値が計算される。この微調整値は、例えば、決定されたプロセスカラーパーセンテージ値の大きさの変化として表すことができる。微調整値が計算されると、それを使用して、デジタル透かし信号を伝達するようにプロセスカラーを選択的に変形することができる。いくつかの例では、決定された微調整値が線形RGBに変換され、線形RGBにおける下にあるスポットの反射率についてスケーリングされる。そのスケーリングされた値が変換されてCMYに戻され、埋め込みの大きさ、又は大きさに対応する重みになる。
【0107】
我々は、例えば赤色LED捕捉デバイス/カメラで透かしを読み取る際のスペクトル依存性について論じた。しかし、そのような狭帯域照明を使用すると、透かし信号の多くが検出器によって使用できないままになる。上記から、シアン(及びイエロー)の中の透かし微調整値は、逆の極性を持つマゼンタの変化でオフセットできることを思い出されたい。これは、輝度変化を最小に保つことによって透かしの可視性を低減する助けとなる。例えば、シアンプレーン、マゼンタプレーン、及びイエロープレーンをモノクロで見たもの(例えばインクビュー)を、相対的な大きさ微調整値の変化と共に
図14に示す。C、M、及びYプレーンが印刷で重畳されると(左上のパッチ)、透かし処理微調整値が原因と考えられる輝度変化が減る。
【0108】
しかし、赤色LEDスキャナ/カメラで捕捉される場合には、シアン微調整値だけが透かし読み取りの目的のために見られる。単位可視性あたりの透かし信号は、例えば2つ以上のカラー照明を使用することによって増加させることができる。例えば、
図15を参照すると、赤色及び青色LED両方で照明する(モノクロセンサと併せて)ときに相対的な信号標準偏差が増し(中央のグラフを参照)、白色LEDで照明し、RGBセンサで捕捉するときにさらに増大する(右のグラフ)。シアンプレーンは、赤色LEDのスキャナ/センサによって見られ、マゼンタは緑色LEDのスキャナ/センサによって見られ、イエローは青色LEDのスキャナ/センサによって見られる。
【0109】
図16を参照して、(1つ又は複数の)モノクロセンサと共に2色の照明を使用した相対的なタイミングを示す。赤色LED及び緑色LEDによる照明は、より良好な捕捉及びタイミングを可能にすることができる。例えば、1つのみのモノクロセンサを使用する場合は、赤色LED及び緑色LEDの照明を遅延させるか又は間隔を空けることにより、赤色照明に対応する画像データが捕捉されてバッファリングされた後に、緑色照明に対応する画像データが同じセンサで捕捉されるようにすることができる。赤色照明に対応して捕捉されたデータを、緑色照明に対応して捕捉されたデータと組み合わせて、隠蔽された信号対ノイズ比を増強することができる。
【0110】
例えば3色照明及び複数のモノクロセンサなどの他の機構では、各センサは、それ専用の特定のカラーフィルタを含む。例えば、各センサがシアン、マゼンタ、又はイエローを見ることができるように、各センサが特定のフィルタを含む。それらのセンサからの情報を組み合わせて、埋め込みの前に信号強度をさらに増大させることができる。
【0111】
フレキソ印刷は、食品業界で使用されるものを含むプラスチック及び箔に使用されることがある。この種類の印刷は、細かいインクパーセンテージ変化(例えば透かし処理のため)を取り込む、又は版の細密な色見当合わせを実現することを試みる場合には、しばしば難しい。この種類の印刷は、通例スポットカラーを使用し、またスクリーンサイズが大きいために通例はプロセスカラーインクを使用しない。
【0112】
上記実装の一部は、プロセスカラー+スクリーニングされたスポットカラーを、プロセスカラーを変調することによって伝達される透かし信号と共に利用する。フレキソ印刷は通例プロセスカラーを含まないので、異なる手法を用いることができる。
【0113】
そのような手法の1つは、フレキソスポットカラー、場合によってはさらにはそのスクリーニングされたバージョンを組み合わせ、好ましくは淡色で、660nm又はその前後を除くすべての波長、及び場合によっては別のエリアで高い反射率を有する追加的なスポットカラーと組み合わせるものである。
図17、
図18、及び
図19は、シアン、緑、及び紫を含む追加的なスポットカラーのいくつかの可能な候補を示す。元のスポットカラーを微調整値で変調して透かし信号を伝達させ、透かし信号は、追加的なスポットカラーからオフセットされた輝度を有することができる。
【0114】
適切なオーバープリントスポットカラーを選択するためのいくつかの基準は、
(赤色LEDスキャナを使用する場合は)660nmで50%〜80%の反射率、82〜90の間のCIE L*を含むことができ、最初の調査における、あらゆるCIE色相の18度の増分/計20色の代表色である。
【0115】
別の手法ではスポットカラーを対にする。例えば、あるスポットカラーを与えられると、デジタル透かし信号を含むようにそれぞれ変調することが可能な2つの異なるスポットカラーが特定される。変調された2つの異なるスポットカラーは、組み合わせられると、視覚的に元のスポットカラーの近い近似となる。
【0116】
図25を参照すると、さらに別のデータ隠蔽技術は、スポットカラーの代替を伴う。例えば、上記で論じたようにスポットカラーを逆スクリーニングする代わりに、第1のスポットカラーS
aを、第2のスポットカラーS
b+オーバープリントされたCMY(K)ティントに置き換えるか、又は代替することができる。第2のスポットカラーS
bを選択することで、カラースクリーンを含むようにワークフロー動作を変更することを回避する。時に、スクリーンを制御することは、正確なスクリーンの量を得られないことを含めて、扱いにくいことがある。プリンタの中には、正確に色及びインクをスクリーニングする能力を欠くものがある。スクリーニングを回避するために、代替の第2のスポットカラーS
bは100%で印刷することができ、その後CMY(K)のオーバープリントされたティントを追加する。オーバープリントされるCMY(K)ティントは、好ましくはデジタル透かし信号を伝達する。オーバープリントされる第2のスポットカラーS
b+CMY(K)ティントは、好ましくは、100%の第1のスポットカラーS
aの近い近似である。
【0117】
代替プロセスは、1つ又は複数の代替スポットカラーを選択することによって開始する。例えば、スポットカラー情報(及び、対応するLab、CMYK、及び/又はRGB情報)を含むデータベースを調査して、候補の組を決定することができる。候補の選択は、第1のスポットカラーS
aに対して「近い」スポットカラーの組を見つけることを伴う可能性がある。近いことは、例えば、対応するLab、CMYK、又はRGB値に基づく、第1のスポットカラーS
aと候補の代替スポットカラーとの間の色距離指標によって決定することができる。その結果得られる候補の組は、好ましくは2つ以上の代替スポットカラー、例えば2〜12個のスポットカラー(例えばS
b1〜S
b12と呼ぶ)を含んでいる。
【0118】
スポットカラーライブラリ全体にわたって網羅的な検索を実行して、近い候補を見つけることができる。例えば、2014年バージョンのPANTONE+コート紙色見本帳は1755色のスポットカラーを含んでおり、そのうちの1つが第1のスポットカラーS
aである場合には、その他の1754色をS
aに対して評価することができる(例えばS
aに対する1754色のスポットカラーそれぞれについての距離指標又は色誤差指標)。最も短い距離又は最も低い誤差指標のスポットカラーを候補の組に含めることができる。(PANTONE色見本帳はあまり系統立てられていない(例えば、似た色に必ずしも連続した索引が付されていない)ので、網羅的な検索で潜在的な近い候補を見つけられる可能性が高い。他の場合には、例えば、隣り合う色、以前の検索で観察された色に基づいて、又はシステム制約若しくはユーザ制約に基づいて、全色空間のサブセットを検索する。
【0119】
所与のスポットカラーライブラリに対して、検索空間は、網羅的な検索を実行する前に制限することができる。例えば、プリンタの色域、反射率基準等を使用して、検索空間を制限する、又は削減することができる。候補の検索は、その制限又は削減された検索空間に対して実行することができる。
【0120】
候補を選択する際に任意選択で他の制約を考慮することができる。例えば、所定の波長(例えば660nm又はその前後)でシアン(C)と比べて高い反射率を持つスポットカラーだけを、考え得るスポットカラーの代替と考えることができる。
【0121】
別の任意選択の選択として、代替スポットカラーの短いリスト(例えば3つのスポットカラーB、C、及びDが元のスポットカラーAの可能な代替として特定される)を作成した後に、相対的に高い輝度を持つスポットカラーだけを選択する。例えば、輝度において上位から3つ若しくは半分(又は上位の2〜5個)の候補が維持される。輝度を考慮することで、色を鮮明に保つことを助け、元のスポットカラーAを入れ替えた後に色が濁るのを回避することができる。
【0122】
候補の組(例えばS
b1〜S
b12)が選択されると、対応するCMY(K)ティント(又は他の色ティント)を、候補スポットカラーの組(例えばS
b1〜S
b12)にあるスポットカラーS
biごとに決定することができ、ここでiは整数である。例えば、表又はデータベースを調査して、対応するCMYカラーのパーセンテージ、又は第1のスポットカラーS
aに対応する重み付けを見つけることができる。それらの値をティントとして使用することができる。別の代替例では、例えば、
図7を参照すると、75%でスクリーニングされたスポットカラー(2)の代わりに、候補スポットカラーS
biを使用することができる。S
bi+ティントと第1のスポットカラーS
aとの間の色一致誤差E
CMを、その特定のS
biに最適なCMYティントを決定する際に最小にすることができる。代替の実装では、上記で式9に関して論じた最適化プロセスを(スポットカラースクリーンではなく)各S
biを用いて実行して、最適化されたE
CM及びE
WM(透かし誤差)を見つけることができる。その結果得られる透かしタイルで変調されたCMYティントをさらなる評価で使用することができる。
【0123】
各S
biにCMYティントが選択されると、1つ又は複数の最終候補が選択される。例えば、S
bi+オーバープリントされたCMYティントのデジタルシミュレーションを分析し、第1のスポットカラーS
aと比較することができる。最終候補は、Lab距離又はクロマ距離が最も小さい候補を含むことができる。Lab距離について、及び
【数11】
クロマ距離は似ているように見えるかもしれないが、最初の(L
2−L
1)
2の項がない。無論、例えばΔE94、ΔE2000などの他の距離指標を使用することができる。
【0124】
最終候補はユーザインターフェースを通じて提供されて、第1のスポットカラーS
aの代替として選択するためにデザイナが検討することができる。場合によっては、Lab距離指標によって決定された最良の1〜4個の最終候補と、クロマ距離指標によって決定された最良の1〜4個の最終候補がすべてデザイナに提供される。他の実装では、(S
aに対する最も短い距離値において)最も近く一致するS
bi+ティントが自動的に選択され、代替として使用することができる。任意選択の制約として、所定の波長(例えば660nm又はその前後)でS
aと比べて反射率が小さいS
bi+ティント候補だけを最終候補として選択してもよい。
【0125】
S
bi+CMYティントが選択されると、透かし信号を搬送するようにそのCMYティントを透かしタイルで変調することができる。そして、S
bi+変調されたティントを例えば製品包装に印刷することができる。
【0126】
包装上に追加されるテキストは、時に透かし信号に干渉することがある。例えば、黒色のテキストは、赤色LEDカメラには黒に見える場合がある(高い吸収)。対象とするピークスキャナ応答で高い反射率をもつ色を代わりにテキストに使用することができる。再度
図19を参照すると、オレンジはテキストに理想的な色である。
【0127】
しばしば、印刷入りの包装は平坦でない表面に適用される。例えば、印刷入りのプラスチック箔が容器の上及び周囲にシュリンクラップされることがある。例には、例えばヨーグルトカップ、エナジードリンクの瓶、トッピング容器等が含まれる。プラスチック箔は、シュリンクラップで容器に合わせてモデル化することができ、例えば加熱ラップされる。加熱ラップは印刷に歪みを生じさせる。ヨーグルトカップ向けの印刷入りの箔の場合の歪みを
図20A及び
図20Bでモデル化している。品目Bは、印刷されたプラスチック箔の収縮前ラップである。品目Aは、収縮後の品目Bのラップされたバージョンの歪みのモデル化を含んでいる。
図20Bでは、台形の歪みがグリッド化によって示されている。
【0128】
台形の歪みをモデル化する1つの方法は、ヨーグルトカップの上部及び底部に周縁点を決定する。線形変換で、上部の(より幅が広い)周縁にある点を底部の(より小さい)の周縁点へとマッピングし、対象とする3D容器の形状に応じた変形歪みが加わる。無論、他の3Dモデルを使用して、透かし信号が製品包装のような3D物体にどのようにマッピングされるかを推定又は予測することができる。そのような変形を使用してホスト画像を事前に条件付けすることができる。例えば、米国特許第8570343号で論じられる各種の3Dモデルを使用することができる。
【0129】
そのような歪みは、透かしの検出に悪影響を与える。例えば、透かしは向き成分を含む場合があり、その向き成分を参照テンプレートと比較して、向き成分を含む捕捉される像の歪みを決定する助けとすることができる。シュリンクラッププロセスは、向き及び歪みの解釈をさらに複雑にする可能性がある。
【0130】
1つの方法では、透かしの埋め込み前にホスト画像をゆがませる(例えば変形する)ことによって歪みに対処する。例えば、品目Bがホスト画像である場合には、予想される歪みをモデル化した変形T1を品目Bに適用して、品目Aを得る。透かし信号が画像Aに埋め込まれ、そして画像Aを逆変形して品目Bを得る。そして、歪んだ透かし信号を含んでいる逆変形された品目Bを、シュリンクラップ、又は他の方法で容器(ヨーグルトカップ)に適用する。シュリンクラップは、変形T1によって推定される歪みを生じさせ、これにより、最初に埋め込まれた透かし(例えば画像Aに埋め込まれた)により近く位置が合わせられた透かし信号を得る。
【0131】
我々は、次の場合に透かし検出のロバスト性が向上するかどうかを調べる試験を設計した。
画像を変形T1してから透かしを入れる =>A
画像に透かしを入れてから変形するT2 =>B
【0132】
この試験では、底部スキャナの上方約1/4インチにある赤色LEDスキャナの読み取り台に対して平行に移動する、マークを入れたヨーグルトカップを模擬的に作り出して、ヨーグルトカップをスキャンするレジ係を模擬した。カップは、紙基材に印刷された2つの異なるA及びBのグラフィックで模擬し、その後ヨーグルト容器の周囲に巻き付けた。そして、
図21に示すように、模擬したカップを様々な速度で垂直カメラの前を通過させる。結果を
図22に示しており、ここでは、異なる透かし解像度(インチあたり50個及び70個の透かし)と次第に増大するスキャン速度/インチで成功した透かし検出を示している。試験した各スキャン速度で、透かしは、画像変形後に埋め込まれた(B)ときにより高いパーセンテージで検出された。
【0133】
図23を全般的に参照して、様々なデジタル透かし処理埋め込みのワークフロープロセスを論じる。
【0134】
1)例えばセキュアFTPを介して、デジタルパッケージファイルを受け取る。
【0135】
2)プリフライト(Pre-Flight)して、すべての情報を持っていることを判定する。プリフライトは、受け取った情報を評価する予備ステップを表すために使用される用語であり、ファイルの再フォーマット、解凍、及び受け取ったデジタルページファイルをまとめて印刷可能なパッケージにすることができるかについての全体的な評価を含む可能性がある。パッケージのアートワークは通例、例えばビットマップ(*.tiff、*psd等)、ベクトル像(*.ps、*.ai等)、及びフォント(*.abf、*.ttf等)など各種の異なるフォーマットのファイルの集まりによって表される。最終的な描画パッケージは、1レイヤのビットマップから、複数のフォントを使用したベクトル及びビットマップ像の多数のレイヤに及ぶ、各種の異なる方策を使用して、上述のファイルを使用して「構築」することができる。
【0136】
3)CRMシステム、例えばMicrosoft Dynamics CRM(図示せず)で、パッケージ/小売業者/印刷業者/納入業者を入力する。任意選択で、素材は、これらの情報を自動的に入力するために使用できるXMLファイルを含む場合もある。その場合には、手動の検査により精度の保証を助ける。
【0137】
4)チームに割り当てる。例えば、種々の作業を異なるワークステーションに、又は利用可能な作業者に割り当てることができる。作業者の待ち行列を調べて利用可能性を判断することができる。
【0138】
5)識別管理システム(例えばクラウドに収容されている)で識別ファイルを作成し、GTINを関連付ける。それらのサービスの作成及び管理は、識別管理システムへのウェブポータルを通じて達成するか、又はウェブAPIを通じてプログラムにより達成することができる。包装材料が例えばGTIN形式のバーコード番号を含む場合は、その情報を取得して、透かしペイロード若しくは透かしペイロードの一部として、又は後に透かしがポイントする記憶場所に提供することができる。
【0139】
6)ファイルの点検−種々の分類。そのような分類には、パッケージ埋め込みの困難度の割り当てが含まれる可能性がある。これは、追加的なリソース又は課金要件を要する可能性がある。
【0140】
7)初回のクライアント校正刷りを印刷出力する。
【0141】
8)Digimarcバーコードを埋め込む。例えば、本明細書に開示されるスポットカラー及びプロセスカラー埋め込み方法及び技術をこのステップで用いることができる。
【0142】
8a)デジタル領域では、埋め込まれたDigimarcバーコードを評価付けする。例えば、パッケージ全体にわたる透かし信号強度に値を割り当てることができ、それらの値に対応する読み取り値に基づいて、パッケージの側面又はエリアごとに評価付けを割り当てることができる。
【0143】
9)透かしの入った校正刷りを印刷する。
【0144】
10)POSスキャナで試験する。これは、校正刷りが読み取れるかどうかを見るための予備試験である。
【0145】
11)手動試験のためにパッケージをまとめる。
【0146】
12)手動試験。これは、各パッケージ面が、例えば異なる読み取り角度で試験される、詳細化されたプロセスとすることができる。例えば、各側面が、垂直カメラ及び水平カメラを備えるPOSスキャナで試験される。パッケージを、例えば各側面につき2回、4回、又は8回スキャナを通し、次いで読み取り回数を記録する。側面を例えば90度回転させ、その側面に対してプロセスを繰り返し、再度回転させ再度試験する等する。各パッケージ側面をそのように試験し、結果を記録することができる。評価付けは、成功した読み取りに基づいて割り当てることができる。無論、このプロセスは、パッケージが、例えばロボットアーム、搬送ベルト、又は何らかの他の移動機構により、スキャナの前を通過させられる自動化から利益を得る。
【0147】
13)QCチェックリストを記入する。
【0148】
13a)デジタル式の評価付けと手動の評価付けの結果を比較し、埋め込みがされたパッケージを容認するか、又は改良するかを決める。
【0149】
14)承認済ファイルをFTPを介して顧客に送信する。
【0150】
結びの言葉
特定の実装を参照して本技術の原理を説明し、例示したが、この技術は、多くの他の異なる形態で実装可能であることは認識されよう。
【0151】
上記の方法、プロセス、構成要素、技術、装置、及びシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実装されてもよい。例えば、記載されるカラー埋め込み、誤差指標、及び最適化は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、ソフトウェアとファームウェアとハードウェアの組み合わせ、プログラム可能コンピュータ、電子処理回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィック処理ユニット(GPU)、プログラム可能コンピュータ、電子処理回路として、並びに/又は、1つ又は複数のプロセッサ、並列プロセッサ、マルチコアプロセッサ及び/若しくは他のマルチプロセッサ構成で、ソフトウェア若しくは命令を実行することにより実装可能である。
【0152】
上記の方法及びプロセス(例えば透かし埋め込み器及び検出器)は、メモリ(例えば、電子、光学、又は磁気記憶装置などのコンピュータ可読媒体)に記憶され、1つ又は複数のプロセッサ、並列プロセッサ、マルチコアプロセッサ、分散コンピューティングシステム、又は電子処理回路、ハードウェア、デジタル回路等によって実行される、ソフトウェアプログラム(例えば、C、C++、C#、R、Assembly、Objective−C、Shell、Scheme、Scratch、MATLAB、Visual Basic、Java(登録商標)、Python、Tcl、Perl、Scheme、Ruby、実行可能バイナリファイル等によって書かれる)として実装されることも可能である。
【0153】
上記で詳述した実施形態における要素及び特徴の特定の組み合わせは、例示的なものに過ぎず、本特許及び上記で参照した特許及び文献の中でそれらの教示を他の教示と相互に入れ替える、及び代替することも企図される。