(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれが画素を構成する複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーはオン状態とオフ状態とで異なる方向に光を反射し、オン状態のマイクロミラーからの反射光により画像が形成される、第1および第2の画像形成素子と、
前記第1および第2の画像形成素子に形成された画像を投射する投射レンズと、
1フレーム期間を分割した第1及び第2の表示期間のうち、前記第1の表示期間に、第1および第2の青色光を前記第1および第2の画像形成素子にそれぞれ照射し、前記第2の表示期間に、緑色光および赤色光を前記第1の画像形成素子および第2の画像形成素子にそれぞれ照射する光源/光学ユニットと、
階調が複数ビットで表現された赤色画像、青色画像および緑色画像の映像信号を受け付け、前記第1の表示期間は、前記青色画像の映像信号に基づいて前記第1および第2の画像形成素子の各マイクロミラーのオンオフを制御し、前記第2の表示期間は、前記緑色画像および赤色画像の映像信号に基づいて前記第1の画像形成素子および第2の画像形成素子の各マイクロミラーのオンオフをそれぞれ制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記青色画像の映像信号について、前記複数ビットを前記第1および第2の画像形成素子に割り振る、プロジェクター。
それぞれが画素を構成する複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーはオン状態とオフ状態とで異なる方向に光を反射し、オン状態のマイクロミラーからの反射光により画像が形成される、第1および第2の画像形成素子を有し、該第1および第2の画像形成素子に形成された画像が投射されるプロジェクターにて行われる画像表示方法であって、
1フレーム期間を分割した第1及び第2の表示期間のうち、前記第1の表示期間に、第1および第2の青色光を前記第1および第2の画像形成素子にそれぞれ照射し、前記第2の表示期間に、緑色光および赤色光を前記第1の画像形成素子および第2の画像形成素子にそれぞれ照射し、
階調が複数ビットで表現された赤色画像、青色画像および緑色画像の映像信号を受け付け、前記第1の表示期間は、前記青色画像の映像信号に基づいて前記第1および第2の画像形成素子の各マイクロミラーのオンオフを制御し、前記第2の表示期間は、前記緑色画像および赤色画像の映像信号に基づいて前記第1の画像形成素子および第2の画像形成素子の各マイクロミラーのオンオフをそれぞれ制御し、
前記青色画像の映像信号について、前記複数ビットを前記第1および第2の画像形成素子に割り振る、画像表示方法。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターには、表示パネルの枚数に応じて、3板式、2板式、単板式の3つの方式がある。
3板式プロジェクターは、光源、色分離合成光学系、3つの表示パネル及び投射レンズを有する。光源からの白色光は、色分離合成光学系にて赤色光、青色光及び緑色光に分離される。赤色光、青色光、緑色光はそれぞれ、第1、第2、第3の表示パネルに照射される。第1から第3の表示パネルにて形成された各色の画像光は、色分離合成光学系にて合成された後、投射レンズに入射する。この3板式プロジェクターによれば、光源からの白色光を効率よく利用することができる利点があるが、色分離や合成のための光学系が複雑であり、部品点数が多いという問題がある。
【0003】
単板式プロジェクターは、光源、カラーホイール、表示パネル及び投射レンズを有する。カラーホイールには、赤色フィルタ、青色フィルタ及び緑色フィルタが周方向に沿って形成されており、ホイールが回転することで、光源からの白色光が赤色フィルタ、青色フィルタ及び緑色フィルタに順に照射される。赤色フィルタは、赤色波長の光を透過し、それ以外の波長域の光を反射又は吸収する。青色フィルタは、青色波長の光を透過し、それ以外の波長域の光を反射又は吸収する。緑色フィルタは、緑色波長の光を透過し、それ以外の波長域の光を反射又は吸収する。
赤色フィルタを透過した赤色光、青色フィルタを透過した青色光及び緑色フィルタを透過した緑色光が順に表示パネルに照射され、表示パネルには、赤色画像、青色画像及び緑色画像が時分割で形成される。投射レンズは、表示パネルに形成された赤色画像、青色画像及び緑色画像を投射する。
上記の単板式プロジェクターによれば、3板式プロジェクターと比較して、色分離や合成のための光学系が不要であるため、部品点数が少ないという利点がある。しかし、赤色フィルタ、青色フィルタ及び緑色フィルタでの光の吸収又は反射のために、光源からの白色光の約3分の1しか利用することができないため、光利用効率が低いという問題がある。
【0004】
2板式プロジェクターは、上記の単板式及び3板式のプロジェクターの問題を改善することができる。2板式プロジェクターの一例が特許文献1に記載されている。
図1に、2板式プロジェクターの構成を示す。この2板式プロジェクターは、発光装置100、分光システム101及びDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)211、213を有する。
発光装置100は、励起光原201、波長変換層203を備えたカラーホイール、及びカラーホイールを回転させる駆動装置205を有する。励起光原201は、励起光(青色)を出力する。波長変換層203は、周方向に第1及び第2の領域に区画されている。第1の領域は、黄色蛍光体を含む蛍光体領域である。第2の領域は、少なくとも青色の波長域の光を透過する透過領域である。
【0005】
カラーホイールを回転させた状態で、励起光原201からの励起光(青色)が波長変換層203の第1及び第2の領域に順に照射される。第1の領域では、励起光(青色)を受光した黄色蛍光体から黄色蛍光が放出される。すなわち、励起光(青色)は第1の領域にて黄色蛍光に変換される。一方、励起光(青色)は第2の領域をそのまま透過する。波長変換層203からは、黄色蛍光と青色光とが交互に射出される。
分光システム101は、三角柱状のTIR(Total Internal Reflection)プリズム207、209からなる。分光システム101は、波長変換層203からの黄色蛍光を緑色光と赤色光に分光し、緑色光をDMD211に照射し、赤色光をDMD213に照射する。また、分光システム101は、波長変換層203からの青色光をDMD211に照射する。
DMD211は、緑色画像と青色画像とを交互に形成し、DMD213は、赤色画像を形成する。DMD211からの緑色画像光と青色画像光は分光システム101を介して不図示の投射レンズに入射する。同様に、DMD213からの赤色画像光は分光システム101を介して投射レンズに入射する。投射レンズは、緑色画像光、青色画像光及び赤色画像光を投射する。
【0006】
図2Aに、発光装置100のカラーホイール後の発光の時系列を示す。カラーホイールの1周期に相当する時間Tに対して、0.25Tの期間に青色光が出力され、残りの0.75Tの期間には黄色光(蛍光)が出力される。
図2Bに、DMD211の変調動作の時系列を示し、
図2Cに、DMD213の変調動作の時系列を示す。
図2B及び
図2Cに示すように、0.25Tの期間は、DMD211にて青色光の変調が行われて青色画像が形成される。一方、0.75Tの期間では、DMD211にて緑色光の変調が行われて緑色画像が形成され、かつ、DMD213にて赤色光の変調が行われて赤色画像が形成される。
【0007】
通常、DMDでは、パルス幅変調を用いて画像の階調を表現する。
図3に、256階調を8ビットで表現する場合のDMDの映像信号を示す。
図3に示す例では、最下位ビット(第1ビット)を1/256の階調レベルを示す表示時間とし、最上位ビット(第8ビット)に向かってビット毎に表示時間を2倍ずつ長くすることで、256階調を表現する。なお、時間t0は、1色の階調表現に必要な時間であり、DMDの駆動周波数等を考慮して設定される。
図3に示すような8ビットの映像信号に基づいて、DMDの各マイクロミラーのオンオフを制御することで、256階調の画像を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態による2板式プロジェクターの光学系に関わる部分の構成を示す模式図である。
図4において、便宜上、青色光路が一点鎖線で示されている。
図4を参照すると、プロジェクターは、投射レンズ1、光源部2、レンズ3a〜3e、ライトトンネル4、位相差板5、偏光ダイクロイックプリズム6、10、TIRプリズム7a、7b、ミラー8a、8b及びDMD9a、9bを有する。
【0015】
DMD9a、9bは、同じ構造であって、それぞれが画素を構成する複数のマイクロミラーを備える。各マイクロミラーはオン状態とオフ状態とで異なる方向に光を反射し、オン状態のマイクロミラーからの反射光により画像が形成される。DMD9a、9bは、画像形成素子と呼ぶことができる。
光源部2は、青色レーザー20、ダイクロイックミラー21、蛍光体ホイール22、レンズ23a〜23f及びミラー24a〜24cを有する。
青色レーザー22は、直線偏光の青色光を出力する。この青色光は、蛍光体を励起するための励起光として利用され、かつ、青色照明光として利用される。
【0016】
ダイクロイックミラー21は、可視光のうちの青色の波長域の光を反射し、それ以外の波長域の光を透過する特性を有する。ダイクロイックミラー21は、青色レーザー22の光軸に対して45度の角で配置されている。青色レーザー22からの青色光は略45度の入射角で入射する。青色レーザー22からの青色光はダイクロイックミラー21で反射され、その反射光である青色光は、レンズ23a、23bを介して蛍光体ホイール22に入射する。
【0017】
図5に、蛍光体ホイール22の構成を示す。
図5に示すように、蛍光体ホイール22は円板状のものであって、周方向に2つのセグメントに区画されている。一方のセグメントには、黄色蛍光体領域22aが形成され、他方のセグメントには、透過領域22bが形成されている。黄色蛍光体領域22aは、黄色蛍光を放出する黄色蛍光体を含む。透過領域22bは、開口又は透過型拡散板からなる。透過型拡散板は、少なくとも青色の波長域の光を拡散し、かつ、透過する特性を有する。
蛍光体ホイール22は、モータ等の駆動部(不図示)によって回転され、青色光が黄色蛍光体領域22a及び透過領域22bに順に照射される。黄色蛍光体領域22aでは、青色光によって励起された黄色蛍光体から黄色蛍光が放出される。黄色蛍光体領域22aの青色光が入射する側(表面側)とは反対側(裏面側)には可視光を反射する反射膜が設けられており、裏面側に向かった黄色蛍光は反射膜にて表面側の方向に反射される。
【0018】
再び
図4を参照する。黄色蛍光体領域22aの表面から放射された黄色蛍光は、レンズ23a、23bを介してダイクロイックミラー21に入射する。レンズ23a、23bは、集光レンズであって、青色光を蛍光体ホイール22上に集光する役割と、黄色蛍光体領域22aから放射された黄色蛍光を略平行光束に変換する役割とを持つ。黄色蛍光体領域22aからの黄色蛍光は、ダイクロイックミラー21を透過する。
蛍光体ホイール22の透過領域22bを透過した青色光は、レンズ22を介してミラー24aに入射する。レンズ22は、集光レンズであって、透過領域22bからの青色光を略平行光束に変換する。ミラー24aは、レンズ22の光軸に対して45度の角度で配置されており、青色光が略45度の入射角で入射する。
【0019】
ミラー24aで反射された青色光は、レンズ23d、ミラー24b、レンズ23e、ミラー24c及びレンズ23fを順に通過して、ダイクロイックミラー21の青色レーザー20から青色光が入射した面とは反対側の面に入射する。レンズ23d〜23fはリレーレンズである。レンズ23fの光軸は、青色レーザー20の光軸と略一致している。
レンズ23fからの青色光はダイクロイックミラー21で反射され、この青色反射光はダイクロイックミラー21を透過した黄色蛍光と同一の光路でレンズ3aに入射する。黄色蛍光は赤色及び緑色の成分の光を含む混色光である。これら青色光と黄色蛍光(混色光)とが光源部2の出力光である。光源部2は、青色光と黄色蛍光(混色光)を交互に出力する。
【0020】
光源部2の出力光(青色光及び黄色蛍光)は、レンズ3aを介してライトトンネル4に入射する。レンズ3aは、集光レンズである。ライトトンネル4は、4枚のミラーを貼り合わせた中空の導光部を備える。ライトトンネル4では、一方の端面から入射した光が導光部内を反射を繰り返して進むことで、他方の端面における面内の光強度分布が均一になる。ライトトンネル4に代えて、ガラス等の透明の材質で構成された中実の導光部を備えるロッド(ロッドレンズとも呼ばれる)を用いてもよい。
ライトトンネル4の射出端側には、レンズ3b、3cが設けられている。レンズ3b、3cは、ライトトンネル4の射出面からなる面光源の光学像をDMD9a、9b上に結像させる。
【0021】
ライトトンネル4の射出面から射出した青色光及び黄色蛍光は、レンズ3b、3c及び位相差板5を介して偏光ダイクロイックプリズム6に入射する。青色レーザー20から出力された青色光は直線偏光である。この青色の直線偏光が偏光ダイクロイックプリズム6にて同じ光量の透過光及び反射光に偏光分離されるように、青色レーザー20の偏光軸及び位相差板5の光学軸(進相軸又は遅相軸)が設定されている。
位相差板5には、λ/2板又はλ/4板が用いられる。
図6に、λ/2板の遅相軸、λ/4板の遅相軸、及び青色レーザー20の偏光軸の関係を示す。
図6において、分図(a)にλ/2板の遅相軸が示され、分図(b)にλ/4板の遅相軸が示され、分図(c)に青色レーザー20の偏光軸が示されている。
【0022】
図6に示したλ/2板の遅相軸は青色レーザーの偏光軸に対して22.5°だけ傾いている。この場合、λ/2板は、青色レーザー20からの青色の直線偏光を45°だけ回転させる。これにより、λ/2板から射出した青色の直線偏光は、偏光ダイクロイックプリズム6にて同じ光量の透過光及び反射光に分離される。これら透過光及び反射光の一方はS偏光であり、他方はP偏光である。
また、
図6に示したλ/4板の遅相軸は青色レーザーの偏光軸に対して45°だけ傾いている。この場合、λ/4板は、青色レーザー20からの青色の直線偏光を円偏光に変換する。λ/4板から射出した青色の円偏光は、偏光ダイクロイックプリズム6にて同じ光量の透過光及び反射光に分離される。これら透過光及び反射光の一方はS偏光であり、他方はP偏光である。
【0023】
一方、黄色蛍光の偏光はランダムであるため、位相差板5を透過してもランダム偏光を維持する。位相差板5から射出した黄色蛍光は、偏光ダイクロイックプリズム6にて、緑色光と赤色光とに色分離される。
偏光ダイクロイックプリズム6、10の膜特性は同じである。
図7A及び
図7Bに、偏光ダイクロイックプリズム6、10に用いられる膜特性の一例を示す。
図7Aの膜特性によれば、P偏光に対して、青色(B)及び緑色(G)の波長域の光を透過し、赤色(R)の波長域の光を反射し、S偏光に対して、青色(B)及び赤色(R)の波長域の光を反射し、緑色(G)の波長域の光を透過する。一方、
図7Bの膜特性によれば、P偏光に対して、青色(B)及び赤色(R)の波長域の光を透過し、緑色(G)の波長域の光を反射し、S偏光に対して、青色(B)及び緑色(G)の波長域の光を反射し、赤色(R)の波長域の光を透過する。
【0024】
偏光ダイクロイックプリズム6が
図7Aの膜特性を有する場合、緑色透過光とP偏光の青色透過光とがTIRプリズム7aを介してDMD9aに交互に照射され、赤色反射光とS偏光の青色反射光とがレンズ3d、ミラー8a、レンズ3e、ミラー8b及びTIRプリズム7bを介してDMD9bに交互に照射される。レンズ3d、3eはリレーレンズである。
上記の場合、DMD9aが緑色画像と青色画像を交互に形成し、DMD9bが赤色画像と青色画像を交互に形成する。緑色画像光と青色画像光(P偏光)がDMD9aからTIRプリズム7aを介して偏光ダイクロイックプリズム10に入射し、赤色画像光と青色画像光(S偏光)がDMD9bからTIRプリズム7bを介して偏光ダイクロイックプリズム10に入射する。偏光ダイクロイックプリズム10も
図7Aの膜特性を有するので、緑色画像光と青色画像光(P偏光)は偏光ダイクロイックプリズム10を透過して投射レンズ1に入射し、赤色画像光と青色画像光(S偏光)は偏光ダイクロイックプリズム10で反射されて投射レンズ1に入射する。
【0025】
一方、偏光ダイクロイックプリズム6が
図7Bの膜特性を有する場合、赤色透過光とP偏光の青色透過光とがTIRプリズム7aを介してDMD9aに交互に照射され、緑色反射光とS偏光の青色反射光とがレンズ3d、ミラー8a、レンズ3e、ミラー8b及びTIRプリズム7bを介してDMD9bに交互に照射される。
上記の場合、DMD9aが赤色画像と青色画像を交互に形成し、DMD9bが緑色画像と青色画像を交互に形成する。赤色画像光と青色画像光(P偏光)がDMD9aからTIRプリズム7aを介して偏光ダイクロイックプリズム10に入射し、緑色画像光と青色画像光(S偏光)がDMD9bからTIRプリズム7bを介して偏光ダイクロイックプリズム10に入射する。偏光ダイクロイックプリズム10も
図7Bの膜特性を有するので、赤色画像光と青色画像光(P偏光)は偏光ダイクロイックプリズム10を透過して投射レンズ1に入射し、緑色画像光と青色画像光(S偏光)は偏光ダイクロイックプリズム10で反射されて投射レンズ1に入射する。
【0026】
以上説明した光学系によれば、DMD9a、9bの一方で赤色画像と青色画像を形成することができ、他方で緑色画像と青色画像を形成することができる。光源部2とこの光源部2からの光をDMD9a、9bに照射するための光学系とからなる部分を光源/光学ユニットと呼ぶことができる。
【0027】
次に、画像形成に関わる信号処理/制御系の構成を説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態による2板式プロジェクターの画像形成に関わる信号処理/制御系の構成を示すブロック図である。
図8を参照すると、本実施形態のプロジェクターは、制御部11及びホイール駆動部12を有する。制御部11は、赤色画像、青色画像および緑色画像のそれぞれについて、各画素の階調が複数桁の二進数で表現された複数ビットの映像信号を入力とする。ここでは、8ビットのG用映像信号S1、8ビットのR用映像信号S2及び8ビットのB用映像信号S3が制御部11に入力されている。これら8ビットの映像信号S1〜S3は、外部映像機器(例えば、パーソナルコンピュータ等)からの映像信号(RGB信号)から得ることができる。
【0028】
ホイール駆動部12はモータ等であって、蛍光体ホイール22を回転させる。制御部11は、8ビットの映像信号S1〜S3に基づいてDMD9a、9bの動作を制御するDMD制御部11aと、ホイール駆動部12の動作及び青色レーザー20の動作を制御する光源制御部11bとを有する。
光源制御部11bは、不図示の操作部から所定の入力操作に応じた操作信号を受け付け、蛍光体ホイール22を回転させるための駆動信号をホイール駆動部13に供給するとともに青色レーザー20を点灯させる。ホイール駆動部13は、光源制御部11bからの駆動信号に応じて蛍光体ホイール22を所定の速度で回転させるとともに、蛍光体ホイール22からの青色光及び黄色蛍光の射出タイミングを示すタイミング信号をDMD制御部11aに供給する。例えば、ロータリエンコーダを用いてタイミング信号を生成することができる。
蛍光体ホイール22から青色光と黄色蛍光が交互に射出され、DMD9aに青色光と緑色光(又は赤色光)が交互に照射され、DMD9bに青色光と赤色光(又は緑色光)が交互に照射される。ここでは、便宜上、DMD9aが緑色画像と青色画像を交互に形成し、DMD9bが赤色画像と青色画像を交互に形成するものと仮定する。
【0029】
図9に、蛍光体ホイール22からの青色光及び黄色蛍光の射出タイミングと、DMD9aへの青色光及び緑色光の照射タイミングと、DMD9bへの青色光及び赤色光の照射タイミングとの関係を示す。
図9に示すように、DMD9aへの青色光の照射タイミングは、DMD9bへの青色光の照射タイミングと同じである。また、DMD9aへの緑色光の照射タイミングは、DMD9bへの赤色光の照射タイミングと同じである。青色照射期間をT1、緑色/赤色照射期間をT2とすると、T2<T1の関係を有する。期間T(=T1+T2)は、蛍光体ホイール22が1回転する時間(周期)である。ここで、期間T1及び期間T2は、1フレーム期間を分割した第1及び第2の表示期間と呼ぶことができる。
DMD制御部11aは、ホイール駆動部13からのタイミング信号に基づいて、青色照射期間T1と緑色/赤色照射期間T2を特定する。緑色/赤色照射期間T2において、DMD制御部11aは、8ビットのG用映像信号S1に基づいてDMD9aのマイクロミラーのオンオフを制御して緑色画像を形成させ、かつ、8ビットのR用映像信号S2に基づいてDMD9bのマイクロミラーのオンオフを制御して赤色画像を形成させる。青色照射期間T1において、DMD制御部11aは、B用映像信号S3に基づいてDMD9a、9bそれぞれのマイクロミラーのオンオフを制御して青色画像を形成させる。
青色画像の形成において、DMD制御部11aは、B用映像信号S3のビットをDMD9a、9bに割り振る処理(ビット割り振り処理)を行う。
【0030】
図10に、ビット割り振り処理の一例を示す。DMD制御部11aは、8ビットのB用映像信号S3のうち、第8ビットをDMD9aに割り振り、残りの第1から第7ビットをDMD9bに割り振る。DMD9aでは、B用映像信号S3の第8ビットにより示される期間に基づいてマイクロミラーのオンオフ制御が行われる。DMD9bでは、B用映像信号S3の第1から第7ビットにより示される期間に基づいてマイクロミラーのオンオフ制御が行われる。
本実施形態のプロジェクターによれば、DMD9aの第8ビットに基づく変調とDMD9bの第1から第7ビットに基づく変調とを組み合わせることで、256階調の青色画像を形成する。この場合の青色画像を表示するのに必要な時間は、1つのDMDで256階調の青色画像を表示するのに必要な時間t0の半分である。このように青色画像の表示時間をt0からt0/2に短くすることができるので、DMD9aの緑色画像の表示時間及びDMD9bの赤色画像の表示時間を長くすることが可能である。よって、明るい画像を提供することができる。
【0031】
なお、上記の説明では、DMD9aが緑色画像を表示し、DMD9bが赤色画像を表示しているが、反対に、DMD9aが赤色画像を表示し、DMD9bが緑色画像を表示してもよい。この場合も、青色画像の表示時間を短くすることができるので、DMD9aの赤色画像の表示時間及びDMD9bの緑色画像の表示時間を長くすることが可能である。よって、明るい画像を提供することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
本実施形態のプロジェクターは、第1の実施形態で説明した光学系及び信号処理/制御系を備えるが、DMD制御部11aのビット割り振り処理が第1の実施形態と異なる。ここでは、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同じ構成についての説明は省略する。
図11に、DMD制御部11aのビット割り振り処理の一例を示す。DMD制御部11aは、B用映像信号S3の第8ビットの期間を第8−1ビット、第8−2ビット、第8−3ビット及び第8−4ビットの4つの分割ビット期間に分割し、B用映像信号S3の第7ビットの期間を第7−1ビット及び第7−2ビットの2つの分割ビット期間に分割する。第8−1ビット、第8−2ビット、第8−3ビット及び第8−4ビットの各分割ビット期間と第7−1ビット及び第7−2ビットの各分割ビット期間はいずれも同じ時間長(t0/8)である。
【0033】
DMD制御部11aは、第8ビットの4つの分割ビット期間と第7ビットの2つの分割ビット期間とを時間t0/2になるように組み合わせた分割ビット期間をDMD9aに割り振り、残りのビットをDMD9bに割り振る。ここでは、DMD制御部11aは、第8−1ビット、第8−2ビット及び第8−4ビットと第7−2ビットをDMD9aに割り振り、残りのビット(第1〜第6ビット、第7−1ビット、第8−3ビット)をDMD9bに割り振る。
本実施形態のプロジェクターによれば、DMD9aの第8−1ビット、第8−2ビット及び第8−4ビットと第7−2ビットに基づく変調と、DMD9bの第1〜第6ビット、第7−1ビット、第8−3ビットに基づく変調とを組み合わせることで、256階調の青色画像を形成する。この場合も、第1の実施形態と同様、青色画像を表示するのに必要な時間は、1つのDMDで256階調の青色画像を表示するのに必要な時間t0の半分である。よって、青色画像の表示時間をt0からt0/2に短くし、DMD9aの緑色画像の表示時間及びDMD9bの赤色画像の表示時間を長くすることができ、その結果、明るい画像を提供することができる。
なお、分割するビットは第8及び第7のビットに限定されない。DMD9a、9bの青色画像の表示期間がそれぞれt0/2になるように、第2から第8ビットのうちの複数のビットを分割して組み合せてもよい。
【0034】
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態の2板式プロジェクターの光学系を示す模式図である。本実施形態のプロジェクターの光学系は、位相差板5を有していない点で、第1の実施形態で説明した光学系と異なる。
図12において、便宜上、青色光路が一点鎖線で示されている。
本実施形態では、青色レーザー20からの青色直線偏光が偏光ダイクロイックプリズム6にて同じ光量の青色透過光及び青色反射光に偏光分離される。この偏光分離を実現するために、青色レーザー20は、その偏光軸が45°方向になるように配置されている、又は、P偏光とS偏光の光量が同じになるように配置されている。
信号処理/制御系は、第1又は第2の実施形態で説明したものと同じである。本実施形態のプロジェクターにおいても、第1又は第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0035】
(第4の実施形態)
図13は、本発明の第4の実施形態の2板式プロジェクターの光学系を示す模式図である。本実施形態のプロジェクターの光学系は、レンズ23c〜23及びミラー24a〜24cを削除し、蛍光体ホイール22に代えて蛍光体ホイール26を用い、さらに青色レーザー27を用いる点で、第1の実施形態で説明した光学系と異なる。青色レーザー20は励起光源として用いられ、青色レーザー27は青色光源として用いられる。
図13において、便宜上、青色光路が一点鎖線で示されている。
図14に、蛍光体ホイール26の構成を示す。蛍光体ホイール26は円板状のものであって、全周に渡って黄色蛍光体領域26aが形成されている。蛍光体ホイール26は、モータ等の駆動部(不図示)によって回転され、青色レーザー20からの青色光が黄色蛍光体領域26aに照射される。黄色蛍光体領域26aでは、青色光によって励起された黄色蛍光体から黄色蛍光が放出される。黄色蛍光体領域26aの青色光が入射する側(表面側)とは反対側(裏面側)には可視光を反射する反射膜が設けられており、裏面側に向かった黄色蛍光は反射膜にて表面側の方向に反射される。
【0036】
青色レーザー27は、青色光を出力する。青色レーザー27からの青色光は、ダイクロイックミラー21の青色レーザー20からの青色光(励起光)が入射する面とは反対側の面に略45度の入射角で入射する。ダイクロイックミラー21は、青色レーザー27からの青色光をライトトンネル4に向けて反射する。
ダイクロイックミラー21からの青色光は、レンズ3a、ライトトンネル4、レンズ3b、レンズ3c、位相差板5を介して偏光ダイクロイックプリズム6に入射する。青色レーザー27から出力された青色光は直線偏光である。この青色の直線偏光が偏光ダイクロイックプリズム6にて同じ光量の透過光及び反射光に偏光分離されるように、青色レーザー27の偏光軸及び位相差板5の光学軸(進相軸又は遅相軸)が設定されている。具体的には、位相差板5はλ/2板又はλ/4板であり、
図6に示したように、青色レーザー27の偏光軸と位相差板5の光学軸(進相軸又は遅相軸)とが設定されている。
【0037】
信号処理/制御系は、第1又は第2の実施形態で説明した構成であるが、光源制御部11bが、青色レーザー20と青色レーザー27を所定の周期で交互に点灯させる点が異なる。この場合、青色レーザー20の点灯期間が
図9に示した期間T2に対応し、青色レーザー27の点灯期間が
図9に示した期間T1に対応する。これ以外の動作は、第1又は第2の実施形態で説明した通りである。
本実施形態のプロジェクターにおいても、第1又は第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0038】
なお、
図13に示した光学系において、位相差板5を取り除き、青色レーザー27からの青色直線偏光が偏光ダイクロイックプリズム6にて同じ光量の青色透過光及び青色反射光に偏光分離されるように構成しても良い。この偏光分離を実現するために、青色レーザー27は、その偏光軸が45°方向になるように配置される、又は、P偏光とS偏光の光量が同じになるように配置される。
また、
図13に示した光学系において、蛍光体ホイール22に代えて、回転しない固定型の黄色蛍光体部を用いてもよい。
さらに、白色のバランスが取る光量が確保できるのであれば、青色レーザー27に代えて、青色LED(Light Emitting Diode)を使用しても良い。この場合は、位相差板5は不要である。
【0039】
(第5の実施形態)
図15は、本発明の第5の実施形態の2板式プロジェクターの光学系を示す模式図である。本実施形態のプロジェクターの光学系は、位相差板5を取り除き、光源部2に代えて、光源部2aを用いる点で、第1の実施形態で説明した光学系と異なる。
図15において、便宜上、青色光路が一点鎖線で示されている。
光源部2aは、緑色LED28G、赤色LED28R、青色LED28B及びダイクロイックミラー29、30を有する。赤色LED28Rの光軸と青色LED28Bの光軸とが直交しており、これら光軸の交差部にダイクロイックミラー29が配置されている。ダイクロイックミラー29は、青色の波長域の光を透過し、赤色の波長域の光を反射する膜特性を有する。
【0040】
青色LED28Bからの青色光は略45度の入射角でダイクロイックミラー29の一方の面に入射し、赤色LED28Rからの赤色光は略45度の入射角でダイクロイックミラー29の他方の面に入射する。青色LED28Bからの青色光はダイクロイックミラー29を透過し、赤色LED28Rからの赤色光はダイクロイックミラー29で青色透過光と同じ方向に向けて反射される。ダイクロイックミラー29の射出光(青色透過光及び赤色反射光)の光軸は青色LED28Bの光軸と一致している。
ダイクロイックミラー29の射出光の光軸と緑色LED28Gの光軸とが直交しており、これら光軸の交差部にダイクロイックミラー30が配置されている。ダイクロイックミラー30は、青色の波長域の光及び赤色の波長域の光を透過し、緑色の波長域の光を反射する膜特性を有する。
【0041】
ダイクロイックミラー29の射出光(青色/赤色)は略45度の入射角でダイクロイックミラー30の一方の面に入射し、緑色LED28Gからの緑色光は略45度の入射角でダイクロイックミラー30の他方の面に入射する。ダイクロイックミラー29からの青色光及び赤色光はダイクロイックミラー30を透過し、緑色LED28Gからの緑色光はダイクロイックミラー30で青色/赤色透過光と同じ方向に向けて反射される。ダイクロイックミラー30の射出光(青色/赤色透過光及び緑色反射光)の光軸は青色LED28Bの光軸と一致している。
ダイクロイックミラー30の射出光(青色/赤色/緑色)が光源部2aの出力光である。光源部2aの出力光(青色/赤色/緑色)は、レンズ3a、ライトトンネル4、レンズ3b、レンズ3cを介して偏光ダイクロイックプリズム6に入射する。
【0042】
偏光ダイクロイックプリズム6が
図7Aの膜特性を有する場合は、緑色光は偏光ダイクロイックプリズム6を透過し、赤色光は偏光ダイクロイックプリズム6にて反射される。青色光は、偏光ダイクロイックプリズム6にて同じ光量の透過光と反射光とに偏光分離される。
一方、偏光ダイクロイックプリズム6が
図7Bの膜特性を有する場合は、赤色光は偏光ダイクロイックプリズム6を透過し、緑色光は偏光ダイクロイックプリズム6にて反射される。青色光は、偏光ダイクロイックプリズム6にて同じ光量の透過光と反射光とに偏光分離される。
【0043】
信号処理/制御系は、第1又は第2の実施形態で説明した構成であるが、光源制御部11bが、緑色LED28G、赤色LED28R及び青色LED28Bを所定の周期で点灯させる。具体的には、光源制御部11bは、
図9に示した期間T1において、緑色LED28G及び赤色LED28Rを消灯し、青色LED28Bを点灯し、
図9に示した期間T2において、緑色LED28G及び赤色LED28Rの両方を点灯し、青色LED28Bを消灯する。これ以外の動作は、第1又は第2の実施形態で説明した通りである。
本実施形態のプロジェクターにおいても、第1又は第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0044】
(第6の実施形態)
図16は、本発明の第6の実施形態の2板式プロジェクターの光学系を示す模式図である。本実施形態のプロジェクターの光学系では、偏光ダイクロイックプリズム6、10に代えて偏光プリズム6a、10aが用いられ、レンズ3a〜3c、ライトトンネル4及び位相差板5に代えて、レンズ31、32、フライアイインテグレータ33、34、偏光変換素子35、フィールドレンズ36及び波長選択型位相差板37が用いられる。これら以外は、第1の実施形態で説明した光学系と同じである。
図16において、便宜上、青色光路が一点鎖線で示されている。
光源2の出力光(青色光及び黄色蛍光)は、レンズ31、32及びフライアイインテグレータ33、34を介して偏光変換素子35に入射する。レンズ31、32は、光源2の出力光(青色光及び黄色蛍光)を略平行光束に変換する。フライアイインテグレータ33、34は、レンズ31、32を通過した光束の光強度を均一化するものであって、マトリクス状に配置された複数のレンズセルを備える。偏光変換素子35は、フライアイインテグレータ33、34からの光束の偏光方向を揃えるものであって、偏光ビームスプリッタや位相板などより構成される。
【0045】
直線偏光変換された光(青色/黄色)が、偏光変換素子35からフィールドレンズ36を介して波長選択型位相差板37に入射する。波長選択型位相差板37では、入射光(青色/黄色)のうち、赤色光はS偏光に変換され、緑色光はP偏光に変換され、青色光は円偏光に変換される。
偏光プリズム6a、10aは、P偏光を透過し、S偏光を反射する第1の膜特性、又はP偏光を透過し、S偏光を反射する第2の膜特性を有する。ここでは、偏光プリズム6a、10aは、第1の膜特性を有するものと仮定する。
波長選択型位相差板37の射出光(赤色/緑色/青色)は、偏光プリズム6aに入射する。緑色光(P偏光)は偏光プリズム6aを透過し、赤色光(S偏光)は偏光プリズム6aにて反射される。青色光(円偏光)は、偏光プリズム6aにて同じ光量の透過光と反射光に偏光分離される。
【0046】
偏光プリズム6aの透過光(緑色/青色)は、TIRプリズム7aを介してDMD9aに入射する。DMD9aでは、緑色画像と青色画像が交互に形成される。一方、偏光プリズム6aの反射光(赤色/青色)は、レンズ3d、ミラー8a、レンズ3e、ミラー8b及びTIRプリズム7bを介してDMD9bに入射する。DMD9bでは、赤色画像と青色画像が交互に形成される。
DMD9aからの青色/緑色画像光(P偏光)は、TIRプリズム7aを介して偏光プリズム10aに入射する。DMD9bからの青色/赤色画像光(S偏光)は、TIRプリズム7bを介して偏光プリズム10aに入射する。青色/緑色画像光(P偏光)は、偏光プリズム10aを透過して投射レンズ1に入射する。青色/赤色画像光(S偏光)は、偏光プリズム10aにて反射されて投射レンズ1に入射する。
【0047】
なお、偏光プリズム6a、10aが第2の膜特性を有する場合は、緑色光(P偏光)は偏光プリズム6aにて反射され、赤色光(S偏光)は偏光プリズム6aを透過する。この場合は、DMD9aが、赤色画像と青色画像を交互に形成し、DMD9bが、緑色画像と青色画像を交互に形成する。DMD9aからの青色/赤色画像光(S偏光)が、偏光プリズム10aを透過して投射レンズ1に入射し、DMD9bからの青色/緑色画像光(P偏光)が、偏光プリズム10aにて反射されて投射レンズ1に入射する。
信号処理/制御系は、第1又は第2の実施形態で説明したものと同じである。本実施形態のプロジェクターにおいても、第1又は第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0048】
(第7の実施形態)
図17は、本発明の第7の実施形態の2板式プロジェクターの光学系を示す模式図である。本実施形態のプロジェクターの光学系では、位相差板5を取り除き、偏光ダイクロイックプリズム6、10に代えて偏光プリズム6a、10aが用いられ、光源部2に代えて、光源部2bが用いられる。これら以外は、第1の実施形態で説明した光学系と同じである。
図17において、便宜上、青色光路が一点鎖線で示されている。
光源部2bは、緑色LD38G、赤色LD38R、青色LD38B、ダイクロイックミラー39、40及びλ/4板41を有する。赤色LD38Rの光軸と青色LD38Bの光軸とが直交しており、これら光軸の交差部にダイクロイックミラー39が配置されている。ダイクロイックミラー39は、青色の波長域の光を透過し、赤色の波長域の光を反射する膜特性を有する。λ/4板41は、青色LD38Bとダイクロイックミラー39の間に配置されている。
【0049】
青色LD38Bからの青色光は略45度の入射角でダイクロイックミラー39の一方の面に入射し、赤色LD38Rからの赤色光は略45度の入射角でダイクロイックミラー39の他方の面に入射する。青色LD38Bからの青色光はダイクロイックミラー39を透過し、赤色LD38Rからの赤色光はダイクロイックミラー39で青色透過光と同じ方向に向けて反射される。ダイクロイックミラー39の射出光(青色透過光及び赤色反射光)の光軸は青色LD38Bの光軸と一致している。
ダイクロイックミラー39の射出光の光軸と緑色LD38Gの光軸とが直交しており、これら光軸の交差部にダイクロイックミラー40が配置されている。ダイクロイックミラー40は、青色の波長域の光及び赤色の波長域の光を透過し、緑色の波長域の光を反射する膜特性を有する。
【0050】
ダイクロイックミラー39の射出光(青色/赤色)は略45度の入射角でダイクロイックミラー40の一方の面に入射し、緑色LD38Gからの緑色光は略45度の入射角でダイクロイックミラー40の他方の面に入射する。ダイクロイックミラー39からの青色光及び赤色光はダイクロイックミラー40を透過し、緑色LD38Gからの緑色光はダイクロイックミラー40で青色/赤色透過光と同じ方向に向けて反射される。ダイクロイックミラー40の射出光(青色/赤色透過光及び緑色反射光)の光軸は青色LD38Bの光軸と一致している。
ダイクロイックミラー40の射出光(青色/赤色/緑色)が光源部2bの出力光である。光源部2bの出力光(青色/赤色/緑色)は、レンズ3a、ライトトンネル4、レンズ3b、レンズ3cを介して偏光プリズム6aに入射する。
【0051】
偏光プリズム6a、10aは、P偏光を透過し、S偏光を反射する第1の膜特性、又はP偏光を透過し、S偏光を反射する第2の膜特性を有する。ここでは、偏光プリズム6a、10aは、第1の膜特性を有するものと仮定する。
緑色LD38Gは、偏光プリズム6aに対してP偏光が入射するように配置され、赤色LD38Rは、偏光プリズム6aに対してS偏光が入射するように配置されている。一方、青色LD38Bとダイクロイックミラー39の間にはλ/4板41が配置されており、青色LD38Bは、偏光プリズム6aに対して円偏光が入射するように配置されている。
緑色光(P偏光)は偏光プリズム6aを透過し、赤色光(S偏光)は偏光プリズム6aにて反射される。青色光(円偏光)は、偏光プリズム6aにて同じ光量の透過光と反射光に偏光分離される。
【0052】
偏光プリズム6aの透過光(緑色/青色)は、TIRプリズム7aを介してDMD9aに入射する。DMD9aでは、緑色画像と青色画像が交互に形成される。一方、偏光プリズム6aの反射光(赤色/青色)は、レンズ3d、ミラー8a、レンズ3e、ミラー8b及びTIRプリズム7bを介してDMD9bに入射する。DMD9bでは、赤色画像と青色画像が交互に形成される。
DMD9aからの青色/緑色画像光(P偏光)は、TIRプリズム7aを介して偏光プリズム10aに入射する。DMD9bからの青色/赤色画像光(S偏光)は、TIRプリズム7bを介して偏光プリズム10aに入射する。青色/緑色画像光(P偏光)は、偏光プリズム10aを透過して投射レンズ1に入射する。青色/赤色画像光(S偏光)は、偏光プリズム10aにて反射されて投射レンズ1に入射する。
【0053】
なお、偏光プリズム6a、10aが第2の膜特性を有する場合は、緑色光(P偏光)は偏光プリズム6aにて反射され、赤色光(S偏光)は偏光プリズム6aを透過する。この場合は、DMD9aが、赤色画像と青色画像を交互に形成し、DMD9bが、緑色画像と青色画像を交互に形成する。DMD9aからの青色/赤色画像光(S偏光)が、偏光プリズム10aを透過して投射レンズ1に入射し、DMD9bからの青色/緑色画像光(P偏光)が、偏光プリズム10aにて反射されて投射レンズ1に入射する。
信号処理/制御系は、第1又は第2の実施形態で説明した構成であるが、光源制御部11bが、緑色LD38G、赤色LD38R及び青色LD38Bを所定の周期で点灯させる。具体的には、光源制御部11bは、
図9に示した期間T1において、緑色LD38G及び赤色LD38Rを消灯し、青色LD38Bを点灯し、
図9に示した期間T2において、緑色LD38G及び赤色LD38Rの両方を点灯し、青色LD38Bを消灯する。これ以外の動作は、第1又は第2の実施形態で説明した通りである。
【0054】
本実施形態のプロジェクターにおいても、第1又は第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
なお、LDの偏光度のバラツキや偏光プリズム6aの膜特性のバラツキのために十分な偏光分離ができない場合には、偏光変換素子や偏光板、波長選択型位相差板などを配置することが望ましい。
また、青色LD38Bからの青色直線偏光が偏光プリズム6aにて同じ光量の青色透過光及び青色反射光に偏光分離されるのであれば、λ/4板41を取り除いてもよい。この場合、第3の実施形態で説明した青色レーザー20と同様、青色LD38Bは、その偏光軸が45°方向になるように配置され、又は、P偏光とS偏光の光量が同じになるように配置される。
【0055】
以上説明した第1乃至第7の実施形態において、映像信号は8ビットに限定されない。青色画像の映像信号について、ビットの割り振りが可能であれば、複数ビットの映像信号が用いられても良い。
【0056】
(第8の実施形態)
図18は、本発明の第8の実施形態のプロジェクターの構成を示すブロック図である。
図18を参照すると、プロジェクターは、制御部300、光源/光学ユニット301、第1および第2の画像形成素子302、303及び投射レンズ304を有する。
第1の画像形成素子302は、それぞれが画素を構成する複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーはオン状態とオフ状態とで異なる方向に光を反射し、オン状態のマイクロミラーからの反射光により画像が形成される。第2の画像形成素子303も、第1の画像形成素子302と同様の構成である。投射レンズ304は、第1および第2の画像形成素子302、303に形成された画像を投射する。
【0057】
光源/光学ユニット301は、1フレーム期間を分割した第1及び第2の表示期間のうち、第1の表示期間に、第1の青色光を第1の画像形成素子302に照射し、第2の青色光を第2の画像形成素子303に照射する。また、光源/光学ユニット301は、第2の表示期間に、緑色光を第1の画像形成素子302に照射し、かつ、赤色光を第2の画像形成素子303に照射する。ここで、第1の青色光の光量と第2の青色光の光量とは適宜に設定可能であり、例えば、同じ光量に設定することができる。
制御部300には、階調が複数ビットで表現された赤色画像、青色画像および緑色画像の映像信号が入力される。制御部300は、第1の表示期間は、青色画像の映像信号に基づいて第1の画像形成素子302および第2の画像形成素子303の各マイクロミラーのオンオフを制御し、第2の表示期間は、緑色画像および赤色画像の映像信号に基づいて第1の画像形成素子302および第2の画像形成素子203の各マイクロミラーのオンオフをそれぞれ制御する。制御部300は、青色画像の映像信号について、複数ビットを第1の画像形成素子302および第2の画像形成素子203に割り振る。
本実施形態のプロジェクターにおいても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0058】
本実施形態において、制御部300は、青色画像の映像信号について、複数ビットのうち、最下位ビットを第1および第2の画像形成素子302、303の一方に割り振ってもよい。この場合、制御部300は、複数ビットのうちの最下位ビット以外のビットを第1および第2の画像形成素子302、303に割り振ってもよい。さらに、制御部300は、複数ビットのうちの最上位ビットを含む2以上のビットについて、それぞれのビットにより示される期間を所定の時間毎に複数の分割期間に分割し、第1の表示期間に一致するように各ビットの分割期間を組み合わせてもよい。
また、制御部300は、青色画像の映像信号について、複数ビットのうち、最上位ビットを第1および第2の画像形成素子302、303の一方に割り振り、最上位ビット以外の下位ビットを第1および第2の画像形成素子302、303の他方に割り振ってもよい。
本実施形態のプロジェクターにおいて、光源/光学ユニット301は、第1乃至第7の実施形態の光学系のいずれかの構成を含んでいてもよい。
【0059】
(他の実施形態)
本他の実施形態のプロジェクターは、それぞれが画素を構成する複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーはオン状態とオフ状態とで異なる方向に光を反射し、オン状態のマイクロミラーからの反射光により画像が形成される、第1および第2の画像形成素子と、第1および第2の画像形成素子に形成された画像を投射する投射レンズと、1フレーム期間を分割した第1及び第2の表示期間のうち、第1の表示期間に、第1および第2の青色光を第1および第2の画像形成素子にそれぞれ照射し、第2の表示期間に、緑色光および赤色光を第1の画像形成素子および第2の画像形成素子にそれぞれ照射する光源/光学ユニットと、を有する。
【0060】
本他の実施形態のプロジェクターによれば、第1及び第2の画像形成素子の両方で青色画像を形成することで、青色画像の光量(又は輝度)を増大することができるので、その分、青色の表示期間を短くして、緑色及び赤色の表示期間を長くすることができる。よって、画像の明るさを増大することができる。
また、本他の実施形態のプロジェクターによれば、第1乃至第8の実施形態で説明したようなビット割り振りが可能な構成を提供することができる。