(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マルチドロップ方式のインクジェット印刷装置では、用紙種類および印刷解像度によって最大ドロップ数が決まる。最大ドロップ数は、1画素あたりの1色分のインクのドロップ数の最大値である。インクの受容量が大きい用紙種類ほど、最大ドロップ数が大きくなる。また、印刷解像度が高いほど、単位面積あたりの画素数が多くなるため、最大ドロップ数は小さくなる。
【0006】
また、用紙を搬送しつつ、マルチドロップ方式のインクジェットヘッドで用紙に印刷するインクジェット印刷装置では、用紙の搬送速度は、最大ドロップ数に応じて決まる。最大ドロップ数が大きいほど、1画素あたりの吐出開始から吐出終了までに要する時間が長くなるため、用紙の搬送速度は遅く設定される。
【0007】
このため、最大ドロップ数によって、印刷物の生産性が決まる。印刷時の最大ドロップ数を用紙種類および印刷解像度によって決まる最大ドロップ数よりも小さくすれば、用紙の搬送速度を高速化し、印刷物の生産性を向上させることができる。このためには、所定色のインクについて、もとの最大ドロップ数より低い新たな最大ドロップ数を超えたドロップ数については、所定色と同等の色となる複数の他の色のインクのドロップ数に分配することで、最大ドロップ数の低下に基づく印刷物の生産性向上を図ることができる。
【0008】
この際、インクの発注効率を考えると、全ての色のインクの発注を同じ時期にすることが好ましい。これは、ユーザが予算管理を行う場合には、まとめて全ての色のインクの発注を行えれば、ユーザの利便性につながることになるからである。
【0009】
このためには、全ての色のインクの消費をできるだけ同じようにする必要がある。この結果、所定色のインクのドロップ数を、複数の他の色のインクのドロップ数に分配する場合、全ての色のインクのドロップ数を新たな最大ドロップ数以下にするとともに各色のインクドロップ数をできるだけ同じにすることが好ましい。
【0010】
一方、所定色のインクのドロップ数を、他の色のインクのドロップ数に分配する場合、新たな最大ドロップ数以下のドロップ数については、分配しない方が、分配に基づく印刷画質の低下を最小限に抑えることができる。
【0011】
印刷物の生産性を向上させつつ、印刷画質を優先するか否かに応じて、画質劣化を最小限に抑えるか、全てのインクの消費をできるだけ同じようにするように、分配の方法を変えることができれば、ユーザの利便性が向上する。
【0012】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、印刷物の生産性を向上させるとともに、印刷画質を優先するか否かに応じて、所定色のインクのドロップ数を、複数の他の色のインクのドロップ数に分配する方法を変えることができるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、用紙を搬送する搬送部と、印刷ジョブに基づいて、前記搬送部により搬送される用紙に、複数色のインクをマルチドロップ方式のインクジェットヘッドから吐出して印刷する印刷部と、1画素あたりの1色分のインクの最大ドロップ数として、印刷条件に応じた最大ドロップ数より小さい新たな最大ドロップ数を設定する最大ドロップ数設定変更部と、印刷条件に応じた最大ドロップ数を上限とする画素ごとのインクのドロップ数を示す各インク色のドロップデータを、画素ごとのインクのドロップ数の上限が前記新たな最大ドロップ数となるよう補正するドロップデータ補正部と、前記新たな最大ドロップ数に応じた搬送速度で用紙を搬送するよう前記搬送部を制御する搬送制御部と、前記ドロップデータ補正部による補正後の各インク色のドロップデータに基づき、各色のインクを吐出するよう前記印刷部を制御する印刷制御部と、印刷画質を優先する印刷画質優先モードを入力する入力部と、を備え、前記ドロップデータ補正部は、前記入力部により前記印刷画質優先モードが入力された場合には、他色のインクに分配可能な所定色のインクのドロップデータにおける各画素のドロップ数のうち、前記新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数を前記新たな最大ドロップ数に変更するとともに、前記新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数と、前記新たな最大ドロップ数の差分を、前記他色のインクのドロップ数に、分配する処理である第1の補正処理を行い、前記入力部により前記印刷画質優先モードが入力されない場合には、他色のインクに分配可能な所定色のインクのドロップデータにおける各画素のドロップ数のうち、前記新たな最大ドロップ数より大きいものを前記新たな最大ドロップ数以下のドロップ数に変更するとともに、前記新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数と前記新たな最大ドロップ数以下のドロップ数の差分を前記他色のインクのドロップ数に分配し、前記所定色のインクのドロップデータにおける各画素のドロップ数のうち、2ドロップ以上であって前記新たな最大ドロップ数以下のものを、少なくとも1ドロップ差し引くとともに、前記他色のインクのドロップ数に、前記少なくとも1ドロップ分配する処理である第2の補正処理を行うことを特徴とするものである。
【0014】
上記発明において、前記複数色のインクは、シアン色のインク、マゼンタ色のインク、イエロー色のインク、ブラック色のインクを含むものであり、前記ドロップデータ補正部による第1の補正処理および第2の補正処理において、前記所定色は、ブラック色であり、前記他色は、シアン色であることを特徴とするものである。
【0015】
上記発明において、前記印刷ジョブは、1または複数のオブジェクトを印刷することを指示するものであり、前記ドロップデータ補正部は、前記第1の補正処理の分配および前記第2の補正処理の分配について、前記オブジェクトの画素のうちエッジ部以外の画素に対して実行し、前記エッジ部の各画素のドロップ数のうち、前記新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数を、前記新たな最大ドロップ数に変更することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の特徴によれば、最大ドロップ数設定変更部が、印刷条件に応じた最大ドロップ数より小さい新たな最大ドロップ数を設定する。ドロップデータ補正部は、各インク色のドロップデータを、画素ごとのインクのドロップ数の上限が新たな最大ドロップ数となるよう補正する。搬送制御部は、新たな最大ドロップ数に応じた搬送速度で用紙を搬送するよう搬送部を制御し、印刷制御部は、ドロップデータ補正部による補正後の各インク色のドロップデータに基づき、各色のインクを吐出するよう印刷部を制御する。これにより、印刷条件に応じた最大ドロップ数より小さい新たな最大ドロップ数に応じた搬送速度で用紙を搬送しつつ印刷するので、用紙の搬送速度を高速化して印刷できる。この結果、印刷物の生産性を向上させることができる。
【0017】
また、ドロップデータ補正部は、印刷画質優先モードが入力されない場合には、第2の補正処理を行うので、所定色のインクの各ドロップ数について、所定色のインクのドロップ数のうち、新たな最大ドロップ数を超えるドロップ数については、新たな最大ドロップ数以下にしつつ、新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数と前記新たな最大ドロップ数以下のドロップ数の差分を他の色のインクのドロップ数に分配するか、新たな最大ドロップ数以下のものを、少なくとも1ドロップ差し引くとともに、他の色のインクのドロップ数に、少なくとも1ドロップ分配する。このため、各色のインクのドロップ数が同じとなる色数をできるだけ多くすることができる。
【0018】
また、印刷画質優先モードが入力された場合には、第1の補正処理を行うので、所定色のインクの新たな最大ドロップ数以下のドロップ数については、変化させないので、低濃度に相当する上記ドロップ数の領域の画質低下を抑えることができる。
【0019】
従って、印刷物の生産性を向上させるとともに、印刷画質を優先するか否かに応じて、所定色のインクのドロップ数を、他の色のインクのドロップ数に分配する方法を変えることが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【0020】
また、ブラック色のインクにシアン色のインクを混ぜても、ブラック色の色味としてはおおむね変化しない。このため、本発明の第2の特徴によれば、上記発明において、所定色のインクは、ブラック色のインクであり、他色のインクは、シアン色のインクとすることができる。この結果、イエロー色またはマゼンタ色のインクが残量少ないような場合でも、ブラック色のインクのドロップ数をシアン色のインクのドロップ数に分配することで、上述の効果を達成することができる。
【0021】
また、複数色のインクを重ねて吐出するオブジェクトにおいては、エッジ部において、インクのドロップの位置ずれなどが起こったりすると、エッジ部がにじんでみえることがある。
【0022】
本発明の第3の特徴によれば、上記発明において、ドロップデータ補正部は、第1の補正処理の分配および第2の補正処理の分配において、オブジェクトの画素のうちエッジ部以外の画素に対して実行する。このため、各色のインク吐出位置精度が良好でない場合でも、オブジェクトのエッジ部は、所定色のインクで吐出し、エッジ部以外では、複数色のインクで吐出するので、上述の効果を達成するとともに、エッジ部のにじみを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0025】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示すインクジェット印刷装置の搬送部および印刷部の概略構成図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置1は、搬送部2と、印刷部3と、操作パネル部4と、記憶部5と、制御部6とを備える。
【0028】
搬送部2は、図示しない給紙部から給紙された印刷媒体である用紙Pを搬送する。
図2の左から右に向かう方向が、用紙Pの搬送方向である。搬送部2は、搬送ベルト11と、駆動ローラ12と、従動ローラ13,14,15とを備える。
【0029】
搬送ベルト11は、用紙Pを吸着保持して搬送する。搬送ベルト11は、駆動ローラ12および従動ローラ13〜15に掛け渡される環状のベルトである。搬送ベルト11には、用紙Pを吸着保持するためのベルト穴が多数形成されている。搬送ベルト11は、ファン(図示せず)の駆動によりベルト穴に発生する吸着力により、上面に用紙Pを吸着保持する。搬送ベルト11は、
図2における時計回り方向に回転することで、吸着保持した用紙Pを
図1の左から右に向かう方向に搬送する。
【0030】
駆動ローラ12は、搬送ベルト11を回転させる。駆動ローラ12は、図示しないモータにより駆動される。
【0031】
従動ローラ13〜15は、駆動ローラ12とともに搬送ベルト11を支持する。従動ローラ13〜15は、搬送ベルト11を介して駆動ローラ12に従動する。従動ローラ13は、駆動ローラ12と同じ高さで、駆動ローラ12の左方に配置されている。従動ローラ14,15は、駆動ローラ12および従動ローラ13の下方において、互いに左右方向に離間して、同じ高さに配置されている。
【0032】
印刷部3は、搬送部2により搬送される用紙Pにインクを吐出して画像を印刷する。印刷部3は、インクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yを備える。なお、以下の説明において、インクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yの符号におけるアルファベットの添え字(C,K,M,Y)を省略して総括的に表記することがある。
【0033】
インクジェットヘッド21は、搬送部2により搬送される用紙Pにインクを吐出する。インクジェットヘッド21は、用紙Pの搬送方向に直交する主走査方向に沿って配置された複数のノズル(図示せず)を有し、ノズルからインクを吐出する。インクジェットヘッド21は、1つのノズルから1つの画素に対して複数のインク滴を吐出可能なマルチドロップ方式のものであり、インク滴の数(ドロップ数)により濃度を表現する階調印刷を行う。インクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yは、それぞれシアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する。
【0034】
操作パネル部4は、各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。操作パネル部4は、表示部26と、入力部27とを備える。
【0035】
表示部26は、各種の入力画面等を表示する。表示部26は、液晶表示パネル等を有する。
【0036】
入力部27は、ユーザによる入力操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力部27は、各種の操作キー、タッチパネル等を有する。また、入力部27は、ユーザが印刷ジョブの印刷画質を優先する印刷画質優先モード、印刷ジョブの印刷画質を優先しない印刷画質非優先モードを入力するものである。入力されたモードは、ドロップデータ補正部55に設定される。また、入力部27は、設定された印刷画質優先モード、印刷画質非優先モードを解除する旨を入力するものでもある。
【0037】
記憶部5は、各種のプログラム等を記憶している。また、記憶部5は、
図3に示す最大ドロップ数テーブル31と、
図4に示すドロップ数削減量テーブル32とを記憶している。記憶部5は、HDD等の記憶装置により構成される。
【0038】
最大ドロップ数テーブル31は、用紙種類と印刷解像度と標準最大ドロップ数とが関連付けられたテーブルである。標準最大ドロップ数は、用紙種類および印刷解像度に応じて決まる最大ドロップ数である。最大ドロップ数は、1画素あたりの1色分のインクのドロップ数の最大値である。インクの受容量が大きい用紙種類ほど標準最大ドロップ数が大きくなる。
図3の例では、インクの受容量が最も大きい光沢紙における標準最大ドロップ数が最も大きく、インクの受容量が最も小さい普通紙における標準最大ドロップ数が最も小さい。また、印刷解像度が高いほど、単位面積あたりの画素数が多くなるため、標準最大ドロップ数は小さくなる。
図3の例では、用紙種類が同じであれば、印刷解像度が600dpiの方が300dpiよりも標準最大ドロップ数が小さい。
【0039】
ドロップ数削減量テーブル32は、印刷速度モードと、印刷速度モードに応じて印刷時の最大ドロップ数を標準最大ドロップ数から変更するための削減ドロップ数とを関連付けたテーブルである。
【0040】
印刷速度モードは、印刷速度を設定するモードである。印刷速度は、単位時間あたりの印刷ページ数、具体的には1分間あたりの印刷ページ数(ppm)によって表されるものである。1分間あたりの印刷ページ数が多いほど、印刷速度が速い。印刷時における搬送部2による用紙Pの搬送速度を速くするほど、印刷速度を速くすることができる。
【0041】
図4に示すように、インクジェット印刷装置1では、印刷速度モードとして、標準モード、および、高速モードである第1〜第3高速モードが設けられている。標準モードは、搬送部2による用紙Pの搬送速度を標準最大ドロップ数に応じた搬送速度として印刷を行うモードである。第1〜第3高速モードは、搬送部2による用紙Pの搬送速度を、標準最大ドロップ数からドロップ数を削減した新たな最大ドロップ数に応じた搬送速度として印刷を行うモードである。
【0042】
印刷時の最大ドロップ数が小さいほど、1画素あたりの吐出開始から吐出終了までに要する時間が短くなるため、用紙Pの搬送速度を速くすることができる。このため、
図4に示すように、第1高速モード、第2高速モード、第3高速モードでは、それぞれ1ドロップ、2ドロップ、3ドロップを標準最大ドロップ数から削減したドロップ数を、印刷時の最大ドロップ数とする。これにより、第1〜第3高速モードでは、標準モードよりも、搬送部2による用紙Pの搬送速度を速くして、印刷速度を速くする。高速モードでは、第1高速モード、第2高速モード、第3高速モードの順で、印刷時の最大ドロップ数が小さくなるので、第3高速モードが最も印刷時の用紙Pの搬送速度が速く、印刷速度が速い。
【0043】
ここで、
図3に示すように、用紙種類および印刷解像度によって標準最大ドロップ数が変化するため、標準モードおよび第1〜第3高速モードにおける印刷時の最大ドロップ数は、用紙種類および印刷解像度によって変化する。このため、標準モードおよび第1〜第3高速モードにおける印刷時の用紙Pの搬送速度および印刷速度は、用紙種類および印刷解像度によって変化する。また、標準ドロップ数から削減できるドロップ数に限度があるため、用紙種類および印刷解像度によっては、第2および第3高速モードのうちの少なくともいずれかが選択不可能になっている。
【0044】
制御部6は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御する。制御部6は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。制御部6は、搬送制御部41と、画像処理部42と、印刷制御部43と、表示制御部44とを備える。制御部6の各部は、CPUが記憶部5に格納されたプログラムにしたがって動作すること等により構成される。
【0045】
搬送制御部41は、搬送部2を制御して用紙Pを搬送させる。
【0046】
画像処理部42は、外部のパーソナルコンピュータ等から送信されたPDL(Page Description Language)形式の印刷ジョブデータに基づき、インク色であるC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)の各色のドロップデータを生成する。各色のドロップデータは、各色の画素ごとのインクのドロップ数を示すデータである。画像処理部42は、RIP(Raster Image Processor)処理部51と、色変換部52と、ハーフトーン処理部53と、最大ドロップ数設定変更部54と、ドロップデータ補正部55とを備える。
【0047】
RIP処理部51は、印刷ジョブデータをRIP処理して、RGB形式の画像データを生成する。RIP処理は、印刷ジョブデータの構文解析を行った後、印刷ジョブデータをラスタライズして画像データを生成する処理である。
【0048】
色変換部52は、RIP処理部51で生成されたRGB形式の画像データを、CMYK形式の画像データに変換する。この色変換は、あらかじめRGB値とCMYK値との対応関係が記録されたテーブルを用いて行うことができる。
【0049】
ハーフトーン処理部53は、CMYKの各色の画像データをハーフトーン処理して、各色のドロップデータを生成する。ハーフトーン処理としては、誤差拡散処理やディザマスク処理を適用できる。ハーフトーン処理部53は、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数を最大ドロップ数とするドロップデータを生成する。すなわち、ハーフトーン処理部53が生成するのは、標準最大ドロップ数を画素ごとのドロップ数の上限とするドロップデータである。
【0050】
最大ドロップ数設定変更部54は、印刷速度モードとして第1〜第3高速モードのいずれかが指定された場合に、印刷時の最大ドロップ数として、印刷条件に応じた最大ドロップ数より小さい新たな最大ドロップ数を設定する。具体的には、最大ドロップ数設定変更部54は、第1〜第3高速モードにおける印刷時の最大ドロップ数として、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数より小さい新たな最大ドロップ数を設定する。第1〜第3高速モードにおける新たな最大ドロップ数は、標準最大ドロップ数からドロップ数削減量テーブル32における各モードの削減ドロップ数の分だけ削減したドロップ数である。
【0051】
ドロップデータ補正部55は、印刷速度モードが第1〜第3高速モードのいずれかである場合において、ドロップデータ補正処理を行う。ドロップデータ補正処理は、ハーフトーン処理部53で生成された各色のドロップデータを、画素ごとのインクのドロップ数の上限が新たな最大ドロップ数となるよう補正する処理である。
【0052】
具体的には、ドロップデータ補正部55は、入力部27により印刷画質優先モードが入力された場合には、他色のインクに分配可能なブラック色のインクのドロップデータにおける各画素のドロップ数のうち、新たな最大ドロップ数より大きいものを新たな最大ドロップ数に変更する(第1の変更処理)。また、ドロップデータ補正部55は、新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数と新たな最大ドロップ数の差分を、他色のインクのドロップ数が新たな最大ドロップ数を超えない範囲で、分配する(第1の分配処理)。
【0053】
また、ドロップデータ補正部55は、入力部27により印刷画質優先モードが入力されない場合には、他色のインクに分配可能なブラック色のインクのドロップデータにおける各画素のドロップ数のうち、新たな最大ドロップ数より大きいものを新たな最大ドロップ数以下のドロップ数に変更するとともに、新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数と、新たな最大ドロップ数以下のドロップ数の差分を、他色のインクのドロップ数が新たな最大ドロップ数を超えない範囲で、分配する。
【0054】
また、ドロップデータ補正部55は、ブラック色のインクのドロップデータにおける各画素のドロップ数のうち、2ドロップ以上であって新たな最大ドロップ数以下のものを、少なくとも1ドロップ差し引くとともに、他色のインクのドロップ数が新たな最大ドロップ数を超えない範囲で、上記少なくとも1ドロップ分配する(印刷画質優先モードが入力されない場合の分配処理を第2の分配処理という)。
【0055】
ここでは、一例として、印刷部3がモノクロ印刷を行う場合について説明する。この際、ドロップデータ補正部55は、上記第1の分配処理において、ブラック色の最大ドロップ数より大きいドロップ数と、新たな最大ドロップ数の差分を、他色(シアン色、マゼンタ色、イエロー色)のインクのドロップ数に分配する。
【0056】
また、ドロップデータ補正部55は、第2の分配処理において、最大ドロップ数より大きいドロップ数と、新たな最大ドロップ数以下のドロップ数の差分を、他色(シアン色、マゼンタ色、イエロー色)のインクのドロップ数に分配する。また、ドロップデータ補正部55は、第2の分配処理において、ブラック色の新たな最大ドロップ数以下のもの(2ドロップ以上)を、1ドロップ差し引くとともに、他色(シアン色、マゼンタ色、イエロー色)のインクのドロップ数に1ドロップ分配する。
【0057】
また、ドロップデータ補正部55は、第1のインクドロップ数分配テーブル(以下、第1テーブル)および第2のインクドロップ数分配テーブル(以下、第2テーブル)を保持する。なお、第1テーブルおよび第2テーブルは記憶部5に記憶されてもよい。第1テーブルおよび第2テーブルの一例をそれぞれ
図5(a)、(b)に示す。
図5においては、もとの最大インクドロップ数は6であり、新たな最大インクドロップ数が3の場合の各テーブルを示している。
【0058】
第1テーブルにおいては、分配前の最大インクドロップ数6の場合のブラック色の取りうるインクドロップ数(0〜6)に対して、分配後のブラック色、シアン色、マゼンタ色、イエロー色のインクドロップ数を示している。分配前のブラック色の新たな最大ドロップ数3より大きいインクドロップ数4〜6については、分配後のブラック色のインクドロップ数は、新たな最大インクドロップ数3とし、分配前のブラック色のインクドロップ数と、新たな最大インクドロップ数の差分が、分配後のシアン色、マゼンタ色、イエロー色のインクドロップ数に分配される。
【0059】
分配前のブラック色のインクドロップ数3(新たな最大インクドロップ数)以下については、分配前の新たな最大インクドロップ数以下の画質を担保するように、分配後もそのまま変更しない。この際、シアン色、マゼンタ色、イエロー色のインクドロップ数へのドロップ数の分配は行われない。
【0060】
第2テーブルにおいては、分配前の最大インクドロップ数6の場合のブラック色の取りうるインクドロップ数(0〜6)に対して、分配後のブラック色、シアン色、マゼンタ色、イエロー色のインクドロップ数を示している。分配前のブラック色のインクドロップ数4〜6については、新たな最大インクドロップ数3以下になるように変更されるが、各色のインクドロップ数がなるべく均等になるように分配される。
【0061】
また、分配前のブラック色の新たな最大インクドロップ数(3)以下のインクドロップ数3、2についても、分配後の各色のインクドロップ数がなるべく均等になるように分配される。ドロップデータ補正部55は、第1の分配処理を行う際には、第1テーブルを参照して行い、第2の分配処理を行う際には、第2テーブルを参照して行う。
【0062】
なお、第1テーブル、第2テーブルは、新たな最大ドロップ数毎に設けられている。本実施形態では、一例として、最大ドロップ数は6であり、新たな最大ドロップ数が3の場合について説明する。
【0063】
印刷制御部43は、各色のドロップデータに基づき、各色のインクを吐出するよう印刷部3のインクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yを制御する。印刷制御部43は、標準モードの場合、ハーフトーン処理部53で生成された各色のドロップデータに基づき、インクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yを制御する。第1〜第3高速モードのいずれかの場合、印刷制御部43は、ドロップデータ補正部55による補正後の各色のドロップデータに基づき、インクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yを制御する。
【0064】
表示制御部44は、操作パネル部4の表示部26の表示制御を行う。
【0065】
次に、インクジェット印刷装置1の動作について説明する。
【0066】
図6は、インクジェット印刷装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
図6のフローチャートの処理は、インクジェット印刷装置1にPDL形式の印刷ジョブデータが入力されることにより開始となる。
【0067】
図6のステップS1において、画像処理部42のRIP処理部51は、印刷ジョブデータをRIP処理して、RGB形式の画像データを生成する。ここで、RIP処理部51は、RIP処理により、印刷ジョブデータから、印刷に使用する用紙種類および印刷解像度を示す情報を取得する。そして、RIP処理部51は、印刷解像度の画像データを生成する。
【0068】
次いで、ステップS2において、色変換部52は、RIP処理部51で生成されたRGB形式の画像データを、CMYK形式の画像データに変換する。
【0069】
次いで、ステップS3において、ハーフトーン処理部53は、CMYKの各色の画像データをハーフトーン処理して、各色のドロップデータを生成する。具体的には、ハーフトーン処理部53は、RIP処理部51から印刷に使用する用紙種類および印刷解像度を示す情報を取得し、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数を最大ドロップ数テーブル31から取得する。そして、ハーフトーン処理部53は、CMYKの各色の画像データに対して、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数を最大ドロップ数とするハーフトーン処理を行い、各色のドロップデータを生成する。
【0070】
次いで、ステップS4において、最大ドロップ数設定変更部54は、指定された印刷速度モードが標準モードであるか否かを判断する。ここで、印刷速度モードは、事前に指定されている。印刷速度モードの指定は、例えば、ユーザが操作パネル部4の表示部26に表示された印刷速度設定画面(図示せず)を見ながら入力部27に対して入力操作することにより行われる。
【0071】
指定された印刷速度モードが標準モードであると最大ドロップ数設定変更部54が判断した場合(ステップS4:YES)、ステップS5において、制御部6は、標準モードでの印刷を行う。
【0072】
具体的には、最大ドロップ数設定変更部54は、RIP処理部51から印刷に使用する用紙種類および印刷解像度を示す情報を取得し、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数を最大ドロップ数テーブル31から取得する。最大ドロップ数設定変更部54は、印刷時の最大ドロップ数を標準最大ドロップ数から変更せず、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数を、今回の印刷における最大ドロップ数として搬送制御部41および印刷制御部43に通知する。ハーフトーン処理部53は、生成した各色のドロップデータを印刷制御部43へ送る。
【0073】
搬送制御部41は、用紙Pの搬送速度が、今回の印刷における最大ドロップ数である、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数に対応する搬送速度となるよう搬送部2を駆動させる。
【0074】
搬送部2には、標準最大ドロップ数に対応する用紙Pの搬送速度に応じた印刷速度を実現するための時間間隔で、図示しない給紙部から用紙Pが順次給紙される。搬送部2に給紙された用紙Pは、搬送部2の搬送ベルト11により搬送される。
【0075】
印刷制御部43は、ハーフトーン処理部53で生成された各色のドロップデータに基づきインクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yを制御して、搬送部2により搬送される用紙Pにインクを吐出させる。これにより、用紙Pに画像が印刷される。ここで、印刷制御部43は、画像の各ラインへの吐出動作を、今回の印刷における最大ドロップ数に対応する用紙Pの搬送速度に応じたタイミングで行うようインクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yを制御する。
【0076】
印刷枚数分の印刷が終了すると、搬送制御部41により搬送部2が停止され、一連の動作が終了となる。
【0077】
ステップS4において、指定された印刷速度モードが第1〜第3高速モードのいずれかであると判断した場合(ステップS4:NO)、ステップS6において、最大ドロップ数設定変更部54は、新たな最大ドロップ数を設定する。
【0078】
具体的には、最大ドロップ数設定変更部54は、RIP処理部51から印刷に使用する用紙種類および印刷解像度を示す情報を取得し、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数を最大ドロップ数テーブル31から取得する。次いで、最大ドロップ数設定変更部54は、第1〜第3高速モードのうちの指定されたモードに対応する削減ドロップ数を、ドロップ数削減量テーブル32から選択して取得する。そして、最大ドロップ数設定変更部54は、用紙種類および印刷解像度に応じた標準最大ドロップ数から、指定されたモードに対応する削減ドロップ数を差し引いたドロップ数を、新たな最大ドロップ数とする。ここでは一例として、
図8、
図9の処理においては、標準最大ドロップ数が6であり、新たな最大ドロップ数が3の場合を例にして説明する。
【0079】
次いで、ステップS7において、ドロップデータ補正部55は、ドロップデータ補正処理を行う。ドロップデータ補正処理の内容は後述する。
【0080】
次いで、ステップS8において、制御部6は、高速モード(第1〜第3高速モード)のうちの指定されたモードでの印刷を行う。
【0081】
具体的には、最大ドロップ数設定変更部54は、新たな最大ドロップ数を、今回の印刷における最大ドロップ数として搬送制御部41および印刷制御部43に通知する。また、印刷制御部43は、ドロップデータ補正部55による補正後の各色のドロップデータを受け取る。ここで、ドロップデータ補正部55による補正後の各色のドロップデータは、ステップS6で設定された新たな最大ドロップ数を、画素ごとのインクのドロップ数の上限とするデータになっている。
【0082】
搬送制御部41は、用紙Pの搬送速度が、新たな最大ドロップ数に応じた搬送速度となるよう搬送部2を駆動させる。
【0083】
搬送部2には、新たな最大ドロップ数に対応する用紙Pの搬送速度に応じた印刷速度を実現するための時間間隔で、図示しない給紙部から用紙Pが順次給紙される。搬送部2に給紙された用紙Pは、搬送部2の搬送ベルト11により搬送される。
【0084】
印刷制御部43は、ドロップデータ補正部55による補正後の各色のドロップデータに基づきインクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yを制御して、搬送部2により搬送される用紙Pにインクを吐出させる。これにより、用紙Pに画像が印刷される。ここで、印刷制御部43は、画像の各ラインへの吐出動作を、今回の印刷における最大ドロップ数に対応する用紙Pの搬送速度に応じたタイミングで行うようインクジェットヘッド21C,21K,21M,21Yを制御する。
【0085】
印刷枚数分の印刷が終了すると、搬送制御部41により搬送部2が停止され、一連の動作が終了となる。
【0086】
次に、インクジェット印刷装置1が行う印刷画質優先モードの設定処理について
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0087】
ステップS11において、ドロップデータ補正部55は、入力部27により、モードを指定する情報(印刷画質優先モードまたは印刷画質非優先モードを指定する情報)が入力されたか否かを判断する。
【0088】
モードを指定する情報が入力されたと判断した場合、ドロップデータ補正部55は、ステップS12において、入力された情報に基づいて、印刷画質優先モードまたは印刷画質非優先モードを設定する。
【0089】
ステップS13において、ドロップデータ補正部55は、入力部27により、モードを解除する情報が入力された否かを判断する。モードを解除する情報が入力されないと判断した場合、ステップS13を繰りかえす。モードを解除する情報が入力されたと判断した場合、ドロップデータ補正部55は、ステップS14において、設定されている印刷画質優先モードまたは印刷画質非優先モードを解除し、ステップS11へ進む。
【0090】
次に、上述した
図6のステップS7で行われるドロップデータ補正処理について、
図8のフローチャートを参照して説明する。
図8の処理は、印刷ジョブデータが規定する印刷枚数の各印刷枚(ページ)ごとに行われる。
【0091】
図8のステップS21において、ドロップデータ補正部55は、ドロップデータにおけるライン番号を示す変数lに「1」を設定する。
【0092】
次いで、ステップS22において、ドロップデータ補正部55は、ライン上における画素番号を示す変数mに「1」を設定する。
【0093】
次いで、ステップS23において、ドロップデータ補正部55は、印刷画質優先モードが設定されているか否かを判断する。印刷画質優先モードが設定されている場合には、ステップS24において、ドロップデータ補正部55は、第1テーブルを参照して、ブラック色の新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数を、新たな最大ドロップ数3にするとともに、ブラック色の分配前のドロップ数と、新たな最大ドロップ数の差分をシアン色、マゼンタ色、イエロー色のドロップ数に分配する。
【0094】
印刷画質非優先モードが設定されている場合には、ステップS25において、ドロップデータ補正部55は、第2テーブルを参照して、ブラック色の新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数を、新たな最大ドロップ数3以下にするとともに、ブラック色の分配前のドロップ数と、新たな最大ドロップ数以下の差分をシアン色、マゼンタ色、イエロー色のドロップ数に分配する。
【0095】
また、ドロップデータ補正部55は、第2テーブルを参照して、ブラック色の新たな最大ドロップ数以下のドロップ数(2ドロップ以上)を、1差し引くとともに、差し引いたドロップ数1をシアン色、マゼンタ色、イエロー色のドロップ数に分配する。
【0096】
ステップS24、S25の後、ドロップデータ補正部55は、ステップS27へ進む。ステップS27では、ドロップデータ補正部55は、変数mが1ラインにおける最終画素であることを示すMであるか否かを判断する。
【0097】
m=Mではないと判断した場合(ステップS27:NO)、ステップS30において、ドロップデータ補正部55は、変数mに「1」を加算する。この後、ドロップデータ補正部55は、ステップS23へ戻る。
【0098】
m=Mであると判断した場合(ステップS27:YES)、ステップS28において、ドロップデータ補正部55は、変数lが最終ラインであることを示すLであるか否かを判断する。
【0099】
l=Lではないと判断した場合(ステップS28:NO)、ステップS31において、ドロップデータ補正部55は、変数lに「1」を加算する。この後、ドロップデータ補正部55は、ステップS22へ戻る。
【0100】
l=Lであると判断した場合(ステップS28:YES)、ドロップデータ補正部55は、ドロップデータ補正処理を終了する。
【0101】
(実施形態2)
上述した実施形態では、オブジェクト内の場所(オブジェクトを構成する画素の位置)に関わらず、ブラック色のインクのドロップ数を、シアン色、マゼンタ色、イエロー色のインクのドロップ数に置き換えるようにしていたが、オブジェクトのエッジ部においては、吐出位置がずれたりすると、ブラック色に、シアン色等が滲んで見えることになる。
【0102】
このため、本実施形態では、オブジェクトのエッジ部と非エッジ部で、ブラック色のドロップ数のシアン色、マゼンタ色、イエロー色のドロップ数への置き換え処理を変えるようにしている。
【0103】
本実施形態で、実施形態1と同一構成・同一処理については同一符号を付してその説明を省略する。
【0104】
図9は、インクジェット印刷装置1の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS31で、ドロップデータ補正部55は、印刷ジョブデータの画像データ中、オブジェクト(例えば、写真、文字、イラストなど)を特定し、オブジェクトのエッジ部と非エッジ部に対応する画素を特定する。このオブジェクトの特定は、ドロップ数が存在する連続する画素の領域に対して、諧調性に基づいて(全て同一ドロップ数か、各種のドロップ数かなど)、特定される。
【0105】
続いて、
図8に示したステップS21,22の処理が行われ、ステップS32で、ドロップデータ補正部55は、注目画素がエッジ部の画素であるか否かを判断する。注目画素がエッジ部の画素であると判断した場合(ステップS32:YES)、ドロップデータ補正部55は、ステップS33へ進む。
【0106】
注目画素がエッジ部の画素でないと判断した場合(ステップS32:NO)、ドロップデータ補正部55は、ステップS23以降へ進む。ステップS33で、ドロップデータ補正部55は、注目画素のブラック色のドロップ数が、新たな最大ドロップ数より大きいか否かを判断する。新たな最大ドロップ数より大きいと判断した場合(ステップS33:YES)、ステップS34でドロップ数を新たな最大ドロップ数に変更して、ステップS27へ進む。
【0107】
新たな最大ドロップ数以下と判断した場合(ステップS33:YES)、ドロップデータ補正部55は、ステップS27へ進む。
【0108】
領域の狭いエッジ部においては、画質において、ブラック色のドロップ数を下げることによる画質への影響は小さいが、各色のインクの位置ずれによる上記影響が大きい。このため、ドロップデータ補正部55は、新たな最大ドロップ数より大きいドロップ数を、新たな最大ドロップ数に変更するとともに他色のインクのドロップ数に分配しないようにしている。
【0109】
(実施形態3)
本実施形態では、ブラック色のドロップ数をシアン色、マゼンタ色、イエロー色のドロップ数に分配するのではなく、シアン色のドロップ数のみに分配する。本実施形態で、実施形態1と同一構成・同一処理については同一符号を付してその説明を省略する。
【0110】
本実施形態では、第1テーブルおよび第2テーブルにおいて、分配後のマゼンタ色、イエロー色のドロップ数が全て0の場合のテーブルが用いられる。そして、
図8に示すフローチャー図において、他の色が、シアン色のみである場合になる。
【0111】
(変形例)
(1)ステップS11にて、印刷画質非優先モードが入力されるようにしたが、これに限定されず、何も入力しないで、一定時間経過した場合に、印刷画質非優先モードが設定されるようにしてもよい。また、ステップS11にて、印刷画質非優先モードの代わりに、インク等量消費優先モードが入力されるようにしてもよい。
【0112】
(2)上述の実施形態では、ブラック色のインクのドロップ数をシアン色、マゼンタ色、イエロー色のドロップ数に分配する場合について説明したが。これに限定されず、レッド色のインクのドロップ数を、マゼンタ色、イエロー色のインクのドロップ数に分配する場合や、グリーン色のインクのドロップ数を、シアン色、イエロー色のインクのドロップ数に分配する場合や、ブルー色のインクのドロップ数を、マゼンタ色、シアン色のインクのドロップ数に分配する場合にも同様に適用が可能である。
【0113】
(3)上述の実施形態2では、
図9のフローチャートのステップS31において、エッジ部の特定処理を行っていたが、これに限定されない。例えば、
図9において、ステップS31を行わず、ステップS22とステップS32の間において、ドロップデータ補正部55は、公知のエッジ検出フィルタを用いて、画素毎(l、m)にエッジ部か否かの特定を行うようにしてもよい。
【0114】
(4)上述の実施形態2では、ブラック色のドロップ数をシアン色、マゼンタ色、イエロー色のドロップ数に分配する場合について説明したが、これに限定されず、ブラック色のドロップ数をシアン色のドロップ数に分配する場合にも同様に適用が可能である。また、上述の実施形態2は、上記(2)の場合にも適用が可能である。
【0115】
(5)また、インクジェット印刷装置1において、モノクロ印刷が設定されている場合は、自動的に第1〜第3高速モードのいずれかを選択するようにしてもよい。
【0116】
(6)また、上述した実施形態では、標準最大ドロップ数を決定する印刷条件の要素は用紙種類および印刷解像度であるものとしたが、標準最大ドロップ数を決定する印刷条件の要素はこの組み合わせに限らない。例えば、標準最大ドロップ数を決定する印刷条件の要素から印刷解像度が省略されていてもよい。
【0117】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。