特許第6705622号(P6705622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705622
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】モルタル塗厚ガイド
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/04 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   E04F21/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-81486(P2015-81486)
(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公開番号】特開2016-199935(P2016-199935A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591078284
【氏名又は名称】BX西山鉄網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100115314
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】西山 栄一
(72)【発明者】
【氏名】西山 明良
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−174570(JP,A)
【文献】 特開2010−174571(JP,A)
【文献】 実開昭56−029145(JP,U)
【文献】 特開2006−342608(JP,A)
【文献】 特開2011−032668(JP,A)
【文献】 米国特許第05509241(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/04
E04F 21/00
E04F 21/02
E04F 21/20
E04F 21/22
E04F 13/02
E04F 13/04
E04B 1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルタル下地面に取り付けたラス網を埋設するようにモルタルを塗工してモルタル壁を形成する際に、モルタル層の塗り厚の目安として用いられるモルタル塗厚ガイドであって、
一端がモルタル下地面に当接される対向配置された1対の基板部と、この1対の基板部のそれぞれの他端に接続する連結板部とを具備する板状の弾性変形部と、
前記弾性変形部の長手方向の両端側において前記弾性変形部の長手方向に対して直交する幅方向の両側面に形成されたラス網の網目に嵌合される凹部とを有しており、
前記1対の基板部の間隔が縮小するように弾性変形した前記弾性変形部を前記基板部の一端側からラス網の網目に挿入した後、前記弾性変形部が弾性復帰してラス網の網目に前記凹部が嵌合することにより、前記弾性変形部がラス網の網目に取り付けられるとともに、前記基板部の一端がモルタル下地面に密着され、さらに、前記弾性変形部のモルタル下地面から最も離間した先端がモルタル層の表面の高さ位置に配置されるように形成されていることを特徴とするモルタル塗厚ガイド。
【請求項2】
前記連結板部は、長手方向中央部がモルタル下地面から離間する方向に凸の頂部とされた山形状に形成され、長手方向両端が前記基板部の他端に接続されており、
前記凹部は、前記基板部と前記連結板部との境界部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモルタル塗厚ガイド。
【請求項3】
ラス網の網目形状が対角線の長さを異ならせる菱形とされており、
前記1対の基板部の自由状態における間隔が前記ラス網の網目の手方向対角線の寸法より大きく形成されており、前記弾性変形部の幅寸法が、前記ラス網の網目の短手方向対角線寸法より小さく形成されており、前記1対の基板部を前記ラス網の網目の長手方向の対角線上に位置させて挿入可能に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモルタル塗厚ガイド。
【請求項4】
前記1対の基板部の一端側における間隔が、他端側における間隔より大きく形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のモルタル塗厚ガイド。
【請求項5】
前記弾性変形部および前記凹部が、ばね材からなる金属板の打ち抜き加工と打ち抜いた部材の曲げ加工とをこの順に行うことにより形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモルタル塗厚ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造の建築物にラス網を埋設してなるモルタル壁を形成する際に、モルタル層の塗り厚の目安として用いるのに好適なモルタル塗厚ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、木造軸組工法などにより建築された木造の建築物の外壁として、モルタルでラス網を埋設した防火性を具備するモルタル壁が広く用いられている。
【0003】
このようなモルタル壁は、木基材などからなるモルタル下地面に、メタルラスなどのラス網をステープルによりアスファルトフェルトなどの防水シートを介して取り付け、このラス網に支持させるようにセメントモルタル、軽量モルタルなどのモルタルを所定の厚さ、例えば15.0mm以上の厚さに塗り付ける塗工を行ってラス網をモルタル層に埋設するとともに、モルタル下地面をモルタル層で覆うことにより構成されている。なお、モルタル層は、複数回に分けて積層、例えば2回塗りにより、ラス網を埋設する下塗り層と、この下塗り層の上に積層される上塗り層との2層構造とすることが広く知られている。
【0004】
ここで、ラス網にモルタルを塗り付ける塗工作業は、作業者、主として左官職人によってなされており、モルタルが所定の塗厚で均一に塗工されているか否かは、作業者の技量に依存している。
【0005】
そこで、モルタル層の塗り厚の目安としてなるモルタル塗厚ガイドが提案されている。このようなモルタル塗厚ガイドとして、ラス網の網目の内側においてモルタル下地面に密着する密着ベース部と、この密着ベース部を挟んだ一方の側に突出する固定用針部と、密着ベース部を挟んだ他方の側に突出する厚さガイド部とを具備し、モルタル下地面にステープルによりラス網を取り付けた後、ラス網の網目内において、固定用針部をモルタル下地に刺して押し込むことにより密着ベース部をモルタル下地面に密着させるとともに、厚さガイド部の先端を所定の塗厚で塗工されるモルタル層の表面の位置に相当する高さ位置に配置して、モルタルの塗り厚の目安とすることで、作業者の技量に関わりなく、所定の塗厚が保持されるようにモルタルの塗工作業を行うことができるとともに、モルタルの塗厚を容易に確認することのできるモルタル塗厚ガイドがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、モルタル塗厚ガイドとして、モルタルと同様の防火性を有する左官材料により柱状とし、その一端をラス網の網目に差し込んで用いるものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−032668号公報
【特許文献2】特開2006−342608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のモルタル塗厚ガイドにおいては、モルタルを塗工する際に、塗工用のコテの接触により傾いてしまい、モルタルの塗り厚の目安として機能しない場合があるという問題点があった。
【0009】
そこで、モルタルを塗工する際に、塗工用のコテが接触してもラス網に取り付けた状態を確実に保持することのできるモルタル塗厚ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため本発明のモルタル塗厚ガイドの特徴は、モルタル下地面に取り付けたラス網を埋設するようにモルタルを塗工してモルタル壁を形成する際に、モルタル層の塗り厚の目安として用いられるモルタル塗厚ガイドであって、一端がモルタル下地面に当接される対向配置された1対の基板部と、この1対の基板部のそれぞれの他端に接続する連結板部とを具備する板状の弾性変形部と、前記弾性変形部の長手方向の両端側において前記弾性変形部の長手方向に対して直交する幅方向の両側面に形成されたラス網の網目に嵌合される凹部とを有しており、前記1対の基板部の間隔が縮小するように弾性変形した前記弾性変形部を前記基板部の一端側からラス網の網目に挿入した後、前記弾性変形部が弾性復帰してラス網の網目に前記凹部が嵌合することにより、前記弾性変形部がラス網の網目に取り付けられるとともに、前記基板部の一端がモルタル下地面に密着され、さらに、前記弾性変形部のモルタル下地面から最も離間した先端がモルタル層の表面の高さ位置に配置されるように形成されている点にある。
【0011】
そして、このような構成を採用したことにより、弾性変形部は、外側から外力を加えるという簡便な操作で、1対の基板部の相互間の間隔を縮小するように弾性変形させることができるので、モルタル下地面に取り付けたラス網の網目に弾性変形部を基板部の一端側から容易に挿入することができる。また、凹部は、弾性変形部に加えた外力を除去するという簡便な操作で、弾性変形させた弾性変形部が弾性復帰する途中でラス網の網目に嵌合することができる。この状態で、凹部には、網目により基板部が弾性復帰するのを阻止する方向の付勢力が加わるし、基板部の一端には、モルタル下地面に取り付けたラス網によりモルタル下地面に向かって押圧する付勢力が加わるので、弾性変形部の姿勢を確実に保持することができる。これにより、モルタルを塗工する際に、モルタル塗厚ガイドに塗工用のコテが接触しても、基板部の一端がモルタル下地面に当接した状態を確実に保持することができるので、ラス網に取り付けた状態を確実に保持することができる。また、凹部は、モルタル下地面からのラス網の高さ位置を容易に規制することができる。したがって、モルタル層の表面の高さ位置の目安を容易かつ確実に得ることができる。
【0012】
また、本発明において、前記連結板部は、長手方向中央部がモルタル下地面から離間する方向に凸の頂部とされた山形状に形成され、長手方向両端が前記基板部の他端に接続されており、前記凹部は、前記基板部と前記連結板部との境界部分に形成されている構成とすることができる。そして、このような構成を採用したことにより、連結板部は、弾性変形部に対して1対の基板部の間隔が縮小する弾性を容易に付与することができる。また、凹部は、モルタル下地面からのラス網の高さ位置を容易に規制することができる。
【0013】
さらに、本発明において、ラス網の網目形状が対角線の長さを異ならせる菱形とされており、前記1対の基板部の自由状態における間隔が、記ラス網の網目の手方向対角線の寸法より大きく形成されており、前記弾性変形部の幅寸法が、前記ラス網の網目の短手方向対角線寸法より小さく形成されており、前記1対の基板部を前記ラス網の網目の長手方向の対角線上に位置させて前記網目に挿入可能に形成された構成とすることができる。そして、このように前記1対の基板部の自由状態における間隔を前記ラス網の網目の短手方向対角線の寸法より大きく形成する構成を採用したことにより、作業者が指で挟むなどして当該モルタル塗圧ガイドの外側から内側へ向かって外力を加える際に1対の基板部の間隔を容易に縮小させ、ラス網の網目の内側に弾性変形部をその自由端側から前記1対の基板部を前記ラス網の網目の長手方向の対角線上に位置させて挿入することができる。また、凹部は、ラス網の網目により4点支持されるので、モルタル塗厚ガイドをラス網の網目に取り付けた際の取付姿勢がより安定するとともに、取付状態をより確実に保持することができる。
【0014】
さらにまた、本発明において、前記1対の基板部の一端側における間隔が他端側における間隔より大きく形成されている構成とすることができる。そして、このような構成を採用したことにより、基板部の一端がモルタル下地面に当接した状態をより確実に保持することができるので、モルタル塗厚ガイドをラス網の網目に取り付けた取付姿勢をよりさらに安定させることができる。
【0015】
またさらに、本発明において、前記弾性変形部および前記凹部がばね材からなる金属板の打ち抜き加工と打ち抜いた部材の曲げ加工とをこの順に行うことにより形成されている構成とすることができる。そして、このような構成を採用したことにより、簡単な工程で弾性変形部および凹部を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のモルタル塗厚ガイドによれば、モルタルを塗工する際に、塗工用のコテが接触してもラス網に取り付けた状態を確実に保持することができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るモルタル塗厚ガイドの全体構成の要部を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図
図2図1のモルタル塗厚ガイドの展開図
図3図1のモルタル塗厚ガイドを用いたモルタル壁の施工例の途中経過を示すものであり、図1に示すモルタル塗厚ガイドを弾性変形させた状態を示す説明図
図4図3に続くモルタル壁の施工例の途中経過を示すものであり、図1のモルタル塗厚ガイドをラス網に取り付けた状態を説明するものであり、(a)は模式的正面図、(b)は模式的平面図
図5図4に続くモルタル壁の施工例を示すものであり、モルタルを塗工して完成した状態を示す構造図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0019】
本実施形態のモルタル塗厚ガイド10は、モルタルを支持するラス網20の網目20aに取り付けられるものである(図4図5)。本実施形態のモルタル塗厚ガイド10は、図1に示すように、例えばばね用ステンレス鋼帯などのばね材からなる金属板により形成された弾性変形部12と、この弾性変形部12に形成された凹部14とを有している。
【0020】
前記ラス網20としては、平ラス、こぶラス、波形ラスなどのメタルラス、菱形ラス、甲ラス、丸形ラスなどのワイヤラス、などの公知のものを用いることができる。本実施形態においては、菱形の網目20aを有するこぶラスが用いられている。
【0021】
前記弾性変形部12は、対向配置された1対の基板部16と、この1対の基板部16のそれぞれに接続する連結板部18とを有している。
【0022】
前記1対の基板部16は、それぞれ全体として図1(c)の上下方向に示す長手方向に沿って長い矩形平板状に形成されている。そして、両基板部16の長手方向の一端たる下端は、弾性変形部12の自由端とされており、後述するモルタル壁の施工時に、モルタル下地面22に当接されるようになっている(図4図5)。
【0023】
前記両基板部16の長手方向に対して直交する図1(c)の左右方向に示す幅寸法、および厚さ寸法のそれぞれは等しくされている。本実施形態においては、基板部16の長さ寸法が11.0mm程度、幅寸法が6.0mm程度、厚さ寸法が0.15mm程度とされている。さらに、両基板部16の下端における対向面間の間隔は、16.0mm程度とされており、15.0mm程度とされた両基板部16の上端における対向面間の間隔より大きく形成されている。これは、モルタル塗厚ガイド10をラス網20に取り付けた際に、各基板部16の下端における間隔が上端における間隔より若干大きいか、あるいは両基板部16平行にすることで、ラス網20に取り付けたモルタル塗厚ガイド10の取付姿勢を安定させて、基板部16の下端がモルタル下地面22に当接した状態を確実に保持できるようにするためである。
【0024】
前記1対の基板部16の下端における対向面間の間隔は、ラス網20の網目20aの手方向対角線の寸法より例えば1.0mm程度大きく形成されており、弾性変形部12の幅寸法は、ラス網20の網目20aの短手方向対角線寸法より例えば1.0mm程度小さく形成されている。これにより、ラス網20の網目20aの内側にモルタル塗厚ガイド10を弾性変形部12の自由端である基板部16の下端から容易に挿入することができるようになっている。
【0025】
前記連結板部18は、1対の基板部16を予め設定された間隔をもって連結するためのものである。本実施形態の連結板部18は、長手方向中央部がモルタル下地面22から離間する方向に凸の湾曲に形成された頂部18aを具備する山形状、すなわち図1(b)に示すように、全体として正面逆V字状に形成されており、長手方向の両端が両基板部16の長手方向の他端たる上端に接続されている。この連結板部18の幅寸法および厚さ寸法は、基板部16と等しくされている。そして、連結板部18の頂部18aは、ラス網20に取り付けた取付状態においてモルタル下地面22から最も離間した先端とされており、モルタル壁30の施工時に、モルタル層30の表面の高さ位置に配置され、モルタル層30の厚みの目印となるようにされている(図5)。また、基板部16の下端から頂部18aまでの高さ寸法は、30.0mm程度とされており、30.0mm程度のモルタル層30の厚みに対応させてある。
【0026】
なお、設計コンセプトなどの必要に応じて、連結板部18の幅寸法を、基板部16の幅寸法と異なる寸法とすることもできるし、連結板部18の厚さ寸法を、基板部16の厚さ寸法と異なる寸法とすることもできる。また、連結板部18の形状は一例であり、種々変更することができる。
【0027】
前記凹部14は、モルタル塗厚ガイド10をラス網20に取り付けた際に、ラス網20の網目20aに嵌合されるものであり、弾性変形部12の長手方向の両端側において弾性変形部12の幅方向の両側面、詳しくは、板部16と連結板部18との境界部分に形成されている。本実施形態の凹部14は、半円状に形成されており、弾性変形部12の幅方向の両側面に対称に配置されている。なお、凹部14の形状および大きさとしては、ラス網20の網目20aに嵌合できる形状および大きさであればよい。例えば、凹部の形状としては、矩形形状、半円形状、半楕円形状などの各種の形状を用いることができる。
【0028】
本実施形態のモルタル塗厚ガイド10は、ポンチとダイスを用いてプレスによりばね材からなる金属板、すなわちスケッチ材あるいはフープ材を打ち抜いて図2の展開図に示す予め設定された形状に打ち抜いた部材である中間品を得る打ち抜き工程と、金型を用いてプレスにより中間品を曲げ加工して完成品(モルタル塗厚ガイド10)を得る曲げ工程とをこの順に行うことで容易に得ることができる。
【0029】
なお、モルタル塗厚ガイド10の材料としては、ばね用冷間圧延鋼帯などのばね用炭素鋼帯、ばね用りん青銅板などの金属や、プラスチックなどの各種の高分子材料を用いることができる。ここで、モルタル塗厚ガイド10の材料としてプラスチックを用いる場合の製造方法としては、射出成形を挙げることができる。また、プラスチックを用いる場合、破損せずに容易に弾性変形させることができるように厚さ寸法、幅寸法などを設定することが肝要である。勿論、厚さ寸法および幅寸法のそれぞれを一様にしなくてもよい。
【0030】
なお、モルタル塗厚ガイド10の各寸法は、モルタル層30の厚み、ラス網20の種類やサイズなどにより設定することができる。
【0031】
ここで、本実施形態のモルタル塗厚ガイド10を用いたモルタル壁30の施工例について説明する。
【0032】
本実施形態のモルタル塗厚ガイド10を用いたモルタル壁30の施工は、図3の2点鎖線にて示す自由状態におけるモルタル塗厚ガイド10を作業者が指で挟むなどして、図3の太矢印にて示すように、モルタル塗厚ガイド10の外側から内側に向かって外力を加えることで、図3の実線にて示すように、1対の基板部16の間隔が縮小するように弾性変形させる。これにより、両基板部16の下端がラス網20の網目20aに挿入可能になる。この状態で、弾性変形部12を基板部16の下端側からモルタル下地面22にステープルにより取り付けられたラス網20の網目20aに挿入する。その後、モルタル塗厚ガイド10に加えた外力を除去して弾性変形部12を弾性復帰させる。
【0033】
この時、ラス網20の網目20aに凹部14を嵌合させる。これにより、弾性変形部12がラス網20の網目20aに取り付けられるとともに、基板部16の下端がモルタル下地面22に密着され、さらに、弾性変形部12のモルタル下地面22から最も離間した先端がモルタル層30の表面の高さ位置に配置される。これにより、モルタル塗厚ガイド10の取り付けが終了する。このモルタル塗厚ガイド10をラス網20の網目20aに取り付けた取付状態を図4に示す。なお、本実施形態におけるモルタル下地面22は、図4に示すように、木基材24に貼り付けられたアスファルトフェルトなどの防水シート26の表面とされている。また、モルタル塗厚ガイド10の設置間隔は、特に限定されるものではないが、ラス網20の種類、ラス網20の設置面積、設置作業の作業量や、設置コストなどに応じて設定すればよい。例えば、設置間隔を1.8m程度とするとよい。
【0034】
ついで、モルタル塗厚ガイド10をラス網20の網目20aに取り付けた取付状態で、モルタル下地面22にモルタルを作業者が塗工用のコテで塗工してモルタル層30を形成することでモルタル壁30を形成する。この時、作業者は、連結板部18の頂部18aをモルタル層30の表面の高さ位置の目安として作業を行う。また、連結板部18の頂部18aは、塗工したモルタル層30の塗厚の確認に用いることができる。このモルタル壁30の構造を図5に示す。
【0035】
なお、モルタル塗厚ガイド10をラス網20の網目20aに予め取り付け、モルタル塗厚ガイド10を取り付けたラス網20をモルタル下地面22に取り付けることもできる。
【0036】
また、モルタル下地面22としては、木基材24としての構造用合板、ラス網20に貼り付けられた防水シート26などを挙げることができる。
【0037】
さらに、モルタル層30としては、図5に示すように、モルタルの下塗り層32aによりラス網20を埋設し、この下塗り層32aの上に、さらにモルタルの上塗り層32bを積層した2層構造としてもよい。
【0038】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0039】
本実施形態のモルタル塗厚ガイド10によれば、弾性変形部12は、外側から外力を加えるという簡便な操作で、1対の基板部16の相互間の間隔を縮小するように弾性変形させることができるので、モルタル下地面22に取り付けたラス網20の網目20aに弾性変形部12をその自由端側から容易に挿入することができる。また、凹部14は、ラス網20の網目20aに弾性変形部12をその自由端側から挿入した後に、弾性変形部12に加えた外力を除去するという簡便な操作で、弾性変形させた弾性変形部12が弾性復帰する途中でラス網20の網目20aに凹部14を容易に嵌合させることができる。この状態で、凹部14には、網目20aにより基板部16が弾性復帰するのを阻止する方向の付勢力が加わるし、基板部16の下端には、モルタル下地面22に取り付けたラス網20によりモルタル下地面22に向かって押圧する付勢力が加わるので、弾性変形部12の姿勢を確実に保持することができる。これにより、モルタルを塗工する際に、塗工用のコテが接触しても、基板部16の下端がモルタル下地面22に当接した状態を確実に保持することができるので、ラス網20に取り付けた状態を確実に保持することができる。また、凹部14は、モルタル下地面22からのラス網20の高さ位置を容易に規制することができる。
【0040】
したがって、本実施形態のモルタル塗厚ガイド10によれば、モルタル層30の表面の高さ位置の目安を容易かつ確実に得ることができるし、モルタル層30の塗り厚を容易に確認することができる。また、工具を用いずにラス網20に容易に取り付けることができるので、作業者による作業性、ひいては使い勝手の向上を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態のモルタル塗厚ガイド10によれば、連結板部18は、長手方向中央部がモルタル下地面22から離間する方向に凸の頂部18aとされた山形状に形成され、長手方向両端が基板部16の他端に接続されており、凹部14は、基板部16と連結板部18との境界部分に形成されているから、連結板部18は、弾性変形部12に対して1対の基板部16の間隔が縮小する弾性を容易に付与することができる。また、凹部14は、モルタル下地面22からのラス網20の高さ位置を容易に規制することができる。これにより、モルタルを2層とする場合におけるラス網20を埋設する下塗り層32aの表面の高さ位置の目安とすることができる。
【0042】
さらに、本実施形態のモルタル塗厚ガイド10によれば、ラス網20の網目20a形状が対角線の長さを異ならせる菱形とされており、前記1対の基板部を前記ラス網の網目の長手方向の対角線上に位置させて前記網目に挿入するように、1対の基板部16の自由状態における間隔が、ラス網20の網目20aの手方向対角線の寸法より大きく形成されており、弾性変形部12の幅寸法がラス網20の網目20aの短手方向対角線寸法より小さく形成されている。よって、モルタル塗圧ガイドの外側から内側へ向かって外力を加えて短手方向対角線の寸法より大きい寸法で確保された1対の基板部16の自由状態における間隔を容易に撓ませて弾性変形させつつ、前記1対の基板部を前記ラス網の網目の長手方向の対角線上に位置させ、ラス網20の網目20aの内側にモルタル塗厚ガイド10を弾性変形部12の自由端側から容易に挿入することができる。また、凹部14は、ラス網20の網目20aにより4点支持されるので、モルタル塗厚ガイド10をラス網20の網目20aに取り付けた際の取付姿勢を安定させることができるとともに、取付状態を確実に保持することができる。したがって、作業者による使い勝手がよい。
【0043】
さらにまた、本実施形態のモルタル塗厚ガイド10によれば、1対の基板部16の下端側における間隔が上端側における間隔より大きく形成されているから、基板部16の下端がモルタル下地面22に当接した状態をより確実に保持することができる。つまり、モルタル塗厚ガイド10をラス網20の網目20aに取り付けた取付姿勢をよりさらに安定させることができる。
【0044】
またさらに、本実施形態のモルタル塗厚ガイド10によれば、弾性変形部12および凹部14が、ばね材からなる金属板を打ち抜き加工および曲げ加工することにより形成されているから、簡単な工程で弾性変形部12および凹部14を容易に得ることができる。
【0045】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 モルタル塗厚ガイド
12 弾性変形部
14 凹部
16 基板部
18 連結板部
18a 頂部
20 ラス網
20a 網目
22 モルタル下地面
30 モルタル壁
32 モルタル層
図1
図2
図3
図4
図5