特許第6705633号(P6705633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705633
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】軒先通気構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20200525BHJP
   E04D 13/152 20060101ALI20200525BHJP
   F24F 7/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   E04B1/70 E
   E04D13/152 Z
   F24F7/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-181410(P2015-181410)
(22)【出願日】2015年9月15日
(65)【公開番号】特開2017-57589(P2017-57589A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115934
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 雅也
(72)【発明者】
【氏名】福島 健一
(72)【発明者】
【氏名】細谷 公隆
(72)【発明者】
【氏名】三澤 真
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−042414(JP,U)
【文献】 特開2010−265651(JP,A)
【文献】 特開2006−144497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/70
E04D 13/15
F24F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根下地、前記屋根下地に載置される野地板及び前記屋根下地に固定される下地材を少なくとも有し、軒裏と外気とを繋ぐ通気経路が設けられた軒先通気構造であって、
前記下地材は、前記屋根下地に固定される下地本体と、厚み方向に前記通気経路が形成された通気部材と、を備え、
前記通気部材は、
前記下地材の厚み方向に連通する通気口が設けられた通気部と、前記通気部の下方に前記下地本体の厚み幅に対応した離間距離を置いて並設された固定片を有し、当該固定片の間に前記下地本体の上端が挿入されることで、前記下地本体の上方に延在するように固定され、
前記下地材は、前記通気部材の上端が前記野地板に突き合わされた状態で、前記屋根下地の小口面に固定されることを特徴とする、軒先通気構造。
【請求項2】
前記通気部材は、前記下地本体の表面に固定される化粧板の上端を当接させるように前記下地本体の表面側に突出する、前記化粧板の位置決め用のガイド部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の軒先通気構造。
【請求項3】
前記通気部は筒状に構成され、内面側に高温環境下において前記通気口を閉塞し空気の遮断をする熱膨張部材が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の軒先通気構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下地板と野地板の間の換気通路から屋根裏と外気との間の換気を行なう軒先通気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の軒天井の取り付けなどに関する軒先構造として、屋根裏の劣化防止や法上の要請から、通気構造を備えた軒先構造が求められている。通気構造を有する軒先構造には、屋根裏と外気とを連通する通気経路が必要となるが、この通気経路を軒天と鼻板との間に設ける構造と、野地板と鼻板との間に設ける構造とが知られている。
【0003】
通気経路を軒天と鼻板との間に設ける構造としては、例えば、特許文献1(特開平10−30830号公報)等が知られている。特許文献1に記載の軒下通気構造は、垂木に固定された鼻隠し下地材と、軒天井材との間に隙間が形成されるように配置し、さらに鼻隠し化粧材を取り付け金具を介して鼻隠し下地材表面との間に隙間が形成されるように取り付けることで、鼻隠し下地材と鼻隠し化粧材及び軒天井材との間に形成される隙間を通気経路とするものである。
【0004】
一方、野地板と鼻板との間に通気経路を設ける構造としては、例えば、特許文献2(特開2010−265651号公報)や、特許文献3(特開2013−36204号公報)等が知られている。
【0005】
特許文献2に記載された軒先構造は、垂木の上面に配置される野地板に対して隙間ができるように垂木の小口面に固定される鼻板下地材の表面に、その上面が野地板に接するように通気金具を固定し、当該通気金具の下側にシール部材を介して外装材を鼻板下地材の表面に固定する構造である。この構造によれば、通気金具により形成された隙間と鼻板下地材と野地板との間に形成された隙間が通気経路となり、野地板と鼻板との隙間から換気を行うことができる。
【0006】
また、特許文献3に記載された軒先構造は、鼻板下地材を垂木の上面に配置される野地板に対して隙間ができるように垂木の小口面に設け、さらに野地板の小口面に通気金具を野地板の下側に張り出すように取り付け、さらに外装材を通気金具の下側に接触するように鼻板下地材の表面に固定する構造である。この構造によれば、通気金具により形成された隙間と鼻板下地材と野地板との間に形成された隙間が通気経路となり、野地板と鼻板との隙間から換気を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−30830号公報
【特許文献2】特開2010−265651号公報
【特許文献3】特開2013−36204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載された軒先構造は、鼻板下地材と軒天井材とが直接連結されておらず、軒天井材は建物外壁と鼻隠し化粧材に連結することで支持されているものであるため、軒天井材の支持が不十分であるという問題がある。また、鼻隠し下地材に2種類の取り付け金具を固定し、さらに、その取り付け金具に鼻隠し化粧材を固定する作業を要するため、施工現場での組み立て作業の手間が大きく、作業性に問題が生じていた。
【0009】
また、特許文献2及び特許文献3に記載された軒先構造においては、鼻板下地材を垂木小口面に取り付ける際に、野地板との間に所定の隙間をおいて固定するため、取り付け位置及び取り付け角度の精度合わせの手間の負担が大きいという問題がある。すなわち、鼻板下地材の取り付け高さは、軒天井材の固定位置を決定することになるため、鼻板の長手方向に建物全長にわたって水平かつ均一な高さ位置に鼻板下地材を取り付ける必要がある。
【0010】
このため、例えば、特許文献2では、鼻板下地材の高さ方向の取り付け位置と角度の精度を高めるために鼻板下地材の裏面にスペーサーを固定し、スペーサーを垂木の下端に突き当てて鼻板下地材の位置と角度合わせを行っている。この作業は、細長い棒状のスペーサーを準備し、鼻板下地材の裏面に取り付け位置及び角度を計測した上で精度よく固定する必要があることから、施工現場での手間が大きく、作業性の問題がある。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、組み立て作業の軽減を図ることができる軒先通気構造及びその通気構造に用いる換気部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の軒先通気構造及び通気部材を提供する。
【0013】
本発明の第1態様によれば、屋根下地、前記屋根下地に載置される野地板及び前記屋根下地に固定される下地材を少なくとも有し、軒裏と外気とを繋ぐ通気経路が設けられた軒先通気構造であって、
前記下地材は、前記屋根下地に固定される下地本体と、厚み方向に前記通気経路が形成された通気部材と、を備え、
前記通気部材は、
前記下地材の厚み方向に連通する通気口が設けられた通気部と、前記通気部の下方に前記下地本体の厚み幅に対応した離間距離を置いて並設された固定片を有し、当該固定片の間に前記下地本体の上端が挿入されることで、前記下地本体の上方に延在するように固定され、
前記下地材は、前記通気部材の上端が前記野地板に突き合わされた状態で、前記屋根下地の小口面に固定されることを特徴とする、軒先通気構造を提供する。

【0014】
本発明の第2態様によれば、前記通気部材は、前記下地本体の表面に固定される化粧板の上端を当接させるように前記下地本体の表面側に突出する、前記化粧板の位置決め用のガイド部材を備えることを特徴とする、第1態様の軒先通気構造を提供する。
【0016】
本発明の第態様によれば、前記通気部は筒状に構成され、内面側に高温環境下において前記通気口を閉塞する熱膨張部材が設けられていることを特徴とする、第1又は第2態様の軒先通気構造を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、下地板の上端に位置する通気部材によって通気路が確保されるとともに、野地板に下地板の上端を突き合わせるように屋根下地の小口面に下地板を固定することができるため、下地板の取り付け位置及び取り付け角度の精度合わせの手間を軽減することができ、組み立て作業を軽減することができる。また、下地板の上側部分で通気路が確保されているため、下地板と軒天井材とをしっかりと固定することが可能で、軒先構造としての強度を十分に維持することができ、さらにスムーズな空気の流れを確保することができる。
【0018】
さらに、野地板に近接して通気路が設けられているため雨やゴミなどが入りにくく下地板に鼻隠しなどの化粧板を取り付けることもできるため、美観を損なうことがない。したがって、通気部材による形成される通気路と屋根下地の間の部分が通気路として利用することができ、施工の手間を軽減した軒先通気構造とすることができる。
【0019】
また、下地板そのものに通気機能を持たせることで軒先の出寸法を小さくすることが可能であり、通気部材を下地本体の上側に取り付けるだけでよいので、従来通りの工法で通気構造を実現することが可能である。
【0020】
さらに、通気部材に下地板の表面に付される化粧板の位置決めガイドを設けることで、化粧板の取り付け位置を精度よく行なうことができ、組み立て作業を軽減することができる。
【0021】
通気部材を通気部と固定片とを設けることにより、簡単な構成で、下地本体の上に通気部を固定することができ、取り付けを容易にすることができる。また、固定片の長さを屋根下地よりも下側まで伸びるようにすることにより、下地板を屋根下地の小口面にガタツキなくしっかりと固定することができる。
【0022】
筒状に構成された通気部の内面側に火災発生時などの高温環境下において通気口を閉塞し、空気の流れを遮断する熱膨張部材を設けることで、取り付け作業などの邪魔になることなく、確実に熱膨張部材の機能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態にかかる軒先構造の例を示す図である。
図2図1の軒先構造の一部断面拡大斜視図である。
図3図1の軒先構造のIII-III線における断面図である。
図4図1の軒先構造に使用される通気金具の構成を示す斜視図である。
図5図4の通気金具の構成を示す断面図である。
図6図1の軒先構造の通気経路を示す説明図である。
図7】通気金具の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る通気部材及び当該通気部材を用いた軒先構造について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかる軒先構造の例を示す図である。図2は、図1の軒先構造の一部断面斜視図である。本実施形態にかかる軒先通気構造100においては、図1に示すように、本発明の下地板を軒先における鼻隠しとして用いているが、妻側における破風板としても同様に適用可能である。本実施形態にかかる軒先構造は、家屋100の天井101に用いられる破風102あるいは鼻隠し103と天井101との間に通気口を設けることによって軒裏換気を可能とするものである。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態にかかる軒先通気構造の例を示す断面図である。図2は、本発明の軒先通気構造の部分断面斜視図である。図3図1のIII-III線における断面図である。図2及び図3は、鼻隠しを用いた軒先通気構造を例として説明するものであり、鼻隠しを使用した軒先通気構造を例にとって説明する。
【0027】
本実施形態にかかる軒先通気構造1においては、上記の通り本発明にかかる下地板を鼻隠し板として用いている。本実施形態にかかる軒先通気構造1では、垂木3の上に野地板4を敷いて、瓦などの屋根化粧材5を載せる。野地板4の先端部分には水切り板(図示なし)が設けられる。
【0028】
また、垂木3の先端側の小口面には鼻板下地材6が設けられている。鼻板下地材6は、所定の間隔をおいて配置される複数の垂木3を跨ぐように設けられており、ビス12により垂木3の小口面3aに固定される。なお、鼻板下地材6の固定は、ビスに限らず、釘、ねじ、金具等の固定部材を用いることができる。当該鼻板下地材6に化粧板の一例としての鼻隠し化粧板7及び野縁8が固定される。
【0029】
鼻隠し化粧板7は、比重が0.8〜1.5程度のセメント系押出成形体からなり、曲げ載荷に際して、好ましくは、引っ張り応力の作用に対しても、多重亀裂を生じて破壊する高い靱性を有するものが好適に使用される。さらに具体的には、繊維補強水硬性組成物の押出成形体を採用し、これにより曲げ載荷に際して、多重亀裂を生じて破壊する性質を持たせたものなどを好適に使用できる。
【0030】
本実施形態において、鼻隠し化粧板7は、例えば、長手方向の寸法が3000mm、高さ方向寸法が180mm程度、厚み寸法が25mm程度の長尺平板上の部材である。なお、鼻隠し板7の大きさは、必ずしも上記サイズに限定されるものではなく、軒裏天井構造の大きさに応じて適宜変更することができる。
【0031】
野縁8は、軒天井部材2を固定するための部材であり、垂木3と平行に所定の間隔をおいて配置される縦野縁8aと、それぞれの縦野縁の後端部分を連結して補強する横野縁8bとが設けられる。
【0032】
軒天井部材2は、壁9に対して庇状となるように、野縁8及び壁9に固定される。壁9は、柱9aの外側表面に通気胴縁9bとサイディング材9cとが積層された構成となっている。柱9aの家屋内側には、図示しない内装材が設けられている。サイディング材は、例えば窯業系のものを好適に使用することができる。また、軒天井部材2の野縁8への固定には、釘やドリルビスなどの固定手段が用いられる。なお、軒天井部材2の固定方法は、上記に限られるものではない。
【0033】
鼻板下地材6は、図3に示すように下地本体10と通気金具11とが組み合わされて構成されている。下地本体10は、共に所定の耐火性能を有する平板状の繊維混入セメントけい酸カルシウム材により形成されている。下地本体10の厚さは、それぞれ6mm〜25mmが好適に用いられる。本実施形態では、耐火性能の観点からは10〜20mm、特に好ましくは12〜16mmの厚さを有するものが用いられている。ここで、軒天井部材2の所定の耐火性能とは、例えば、軒天井部材2を敷設した軒に対して所定の耐火試験を行った際に、当該軒の軒裏空間と壁との間に設けられる板(標準板という)裏面の温度を所定時間の間一定の温度以下の雰囲気に維持することを可能とする性能のことを示すが、建築基準法により規定されている性能についても当然に含み、将来規定されるあらゆる評価試験において規定される性能のことをも含む。
【0034】
本実施形態においては、下地本体10の材料として繊維混入けい酸カルシウム板を採用しているが、このほかの材料として、繊維混入セメントけい酸カルシウム板、繊維補強セメント板、石灰・けい酸カルシウム板、硬質木片セメント板等のセメント系材料、木材等の木質系材料を用いることができる。
【0035】
通気金具11は、図4及び図5に示すように、筒状に構成された通気部13と通気部のした方に設けられた一対の固定片14a,14bとを備え、その長さ寸法Lが下地本体10の長さ寸法とほぼ同じに構成されている。筒状に構成された通気部13は、上面13uが垂木3の傾斜角度とほぼ同じに構成されており、図3に示すように、下地板6の垂木3への固定時に、ほぼ全面が野地板4の下面に当接する。また、通気部13の外気側及び垂木側の側面13sには、多数のスリット状の通気口15が設けられており、両側面に設けられた通気口を通じて、下地板の厚み方向に伸びる軒先と外気を繋ぐ通気経路を確保することができる。
【0036】
通気金具11の上下内面には、火災時等において、通気経路を遮断するための熱膨張部材18が設けられている。熱膨張部材18は、火災などによって周囲が高熱になると膨張して、通気部13の外気側及び垂木側の側面13sに設けられている通気口15を被覆し、屋根裏に高熱空気などが流れ込むことを防止する。
【0037】
一対の固定片14a,14bは、通気部13の側面13sと同一平面上に下方に伸びるように設けられ、下地本体10の厚み寸法に対応した距離T1をおいて並行に設けられる。1組の固定片14a,14bの間に形成される隙間14sには、下地本体10の上端が挿入される。本実施形態では、一対の固定片14a,14bは、下地本体10の表面形状に合わせて互いに平行に設けられた平板で構成されているが、例えば下地本体の形状に合わせて構成されたリブや凹溝などの脱落防止用の手段を備えることもできる。
【0038】
また、固定片14a,14bは、通気金具11の全長にわたって設けられている必要はなく、下地本体10に固定可能な幅であれば、部分的に設けられていてもよい。また、垂木側の固定片14bは、外気側の固定片14aに較べて長く構成されており、垂木3の小口面への取り付け時に固定片14bの先端部14cが小口面3aの下端よりも下側に延在することで、取り付け時のガタツキを防止できるように構成されている。
【0039】
通気金具11と下地本体10の取り付けは、固定片14a,14bにそれぞれ設けられているビス孔17に挿通されるビス12により、鼻板下地材6を垂木3の小口面3aに取り付ける際に同時に行われる。
【0040】
通気金具11の外気側の面には、鼻隠し化粧板7の位置決め用のガイド部材16が設けられている。本実施形態では、ガイド部材16は、固定片14aと通気部13との境界部分から外気側に突出する平板状の突状部材で構成されている。ガイド部材16の下端16aは、図3に示すように、鼻隠し化粧板7の上端に当接し、鼻隠し化粧材の取り付け高さ位置を決定する。
【0041】
次に、本実施形態にかかる軒裏天井構造の施工方法について説明する。軒下構造の骨組みである垂木3及び鼻板下地材6を組みあげる。これらの骨組み構造に野縁8を取り付ける。
【0042】
次いで、軒天井部材2の寸法を決定し、軒天井部材2と鼻板下地材6を建築物に合わせた大きさに適宜切断する。鼻板下地材6のサイズ調整は、下地本体10の上端を固定片14a,14bの間に形成される隙間14sに挿入して下地本体10と通気金具11を組み合わせた状態で軒天井部材2の高さ位置に合うように行われる。
【0043】
また、軒天井部材2の寸法は、その軒先側先端が鼻板下地材6の垂木側の表面又は下端に接するように軒天の寸法を決定する。その後、軒天井部材2が横野縁8b及び壁9に当接するように、軒天井部材2を位置あわせする。
【0044】
その後、鼻板下地材6を垂木3の小口面3aに固定する。鼻板下地材6の固定には、通気金具11の上面13uを野地板の下面に突き当てた状態に位置合わせし、ビス12を用いて固定する。次いで、野縁8に軒天井部材2を釘を用いて取り付ける。軒天井部材2を取り付けた後、軒天井部材2と鼻板下地材6との隙間をシール材で密閉する。
【0045】
その後、鼻隠し化粧板7の上面がガイド部材16に当接するように高さ位置を調整し、ビスや釘などを用いて鼻板下地材6に鼻隠し化粧板7を固定する。なお、ガイド部材16と鼻隠し化粧材7との隙間は、シール材で密閉してもよい。
【0046】
上記のようにして構成された本実施形態にかかる軒裏天井構造においては、図6に示すように、鼻板下地材6の上端部分に通気金具11が配置されているため、垂木3の間の隙間19の領域において、外気と軒下内とを繋ぐ通気経路を確保することができる。
【0047】
また、鼻板下地材6の上端に位置する通気金具11によって通気路が確保されるとともに、野地板4に鼻板下地材6の上端である通気金具の上面13uを突き合わせるように位置合わせして、垂木3の小口面3aに鼻板下地材6を固定することができるため、鼻板下地材6の取り付け位置及び取り付け角度の精度合わせの手間を軽減することができ、組み立て作業を軽減することができる。
【0048】
図7は、通気金具の変形例の構成を示す図である。この通気金具21は、固定片24が外気側にのみ設けられており、通気部21の側面23sに設けられている通気口25及びガイド部材26の形状が異なる。また、通気部21の上面23uは、野地板4の傾斜角度に応じて傾斜するように構成されておらず、下地本体10の上面と平行になるように構成されている。このため、鼻板下地材6の垂木3への取り付け時には、上面23u全体が野地板4の下面には当接せず、外気側の上縁23eのみが当接することになる。このように構成されたとしても、鼻板下地材6の取り付け位置及び取り付け角度は容易に決定することができ、組み立て作業を軽減することができる。
【0049】
また、通気口25を大きくすることで、通気経路面積を大きくすることができるが、ゴミなどの侵入を防止するために、通気口25の開口部分にメッシュ材などを設けることが好ましい。
【0050】
さらに、固定片24は、外気側にのみ設けられており、通気金具21と下地本体10との組み付け時には、下地本体10の垂木側面と通気部23との垂木側側面との間に段差が形成されないように構成されることが好ましい。また、ビス孔27は、下地本体10と通気金具21との固定のためだけに設けられ、鼻板下地材6の垂木3の小口面3aへの取り付けは、下地本体10に設けられた図示しないビス孔等を用いて行うことができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の軒裏天井構造によれば、鼻板下地材6の上端に位置する通気金具11によって通気路が確保されるとともに、野地板4に鼻板下地材6の上端である通気金具の上面13uを突き合わせるように垂木3の小口面3aに鼻板下地材6を固定することができるため、鼻板下地材6の取り付け位置及び取り付け角度の精度合わせの手間を軽減することができ、組み立て作業を軽減することができる。
【0052】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。たとえば、本発明の通気金具は、金属の他、合成樹脂などで構成することも可能である。また、通気金具を下地本体に取り付けるための固定片は、下地本体10の表面に当接するものでなくてもよく、例えば、下地本体10の上面に通気部をビス止めできるように構成されているものであってもよい。
【0053】
1 軒先通気構造
2 軒天井部材
3 垂木
4 野地板
5 屋根化粧材
6 鼻板下地材
7 鼻隠し化粧板
8 野縁
9 壁
10 下地本体
11,21 通気金具
12 ねじ
13,23 通気部
14a,14b,
24 固定片
15,25 通気口
16,26 ガイド部材
17,27 ビス孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7