特許第6705654号(P6705654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705654
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】リードフレーム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20200525BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H01L23/50 K
   H01L21/78 L
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-8045(P2016-8045)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-130524(P2017-130524A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】石橋 貴弘
【審査官】 井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−036129(JP,A)
【文献】 特開2001−320007(JP,A)
【文献】 特開2008−182175(JP,A)
【文献】 特開2004−023007(JP,A)
【文献】 米国特許第06608366(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に素子搭載部を、該素子搭載部の周囲に表裏に端子部が形成されたリードを備える単位リードフレームが、縦、横、又は、縦横に複数配置され、しかも、隣り合う前記単位リードフレームの前記リードがコネクティングバーを介して接続されるリードフレームにおいて、
前記コネクティングバーのコネクティングバー本体の裏面側及び表面側のいずれか一方又は双方には、
前記リードの前記コネクティングバーへの接続側端部が接続される第1の補強部と、
前記コネクティングバー本体の長手方向に隣り合う前記第1の補強部同士を連結し、前記コネクティングバー本体よりも幅狭となった第2の補強部とが、一体的に設けられ、
前記第1の補強部が形成された前記コネクティングバーの厚み方向片側又は両側でその中央部に凹部が設けられることを特徴とするリードフレーム。
【請求項2】
請求項1記載のリードフレームにおいて、前記リードの前記コネクティングバーへの接続側端部が有する接続部本体の表面側には、該接続部本体よりも幅狭となって、しかも、前記第1の補強部又は前記コネクティングバー本体に連続した第3の補強部が、一体的に設けられたことを特徴とするリードフレーム。
【請求項3】
請求項2記載のリードフレームにおいて、前記第1の補強部及び前記第2の補強部は、前記コネクティングバー本体の裏面側に設けられ、
前記第3の補強部は、前記コネクティングバー本体に連続して一体的に設けられたことを特徴とするリードフレーム。
【請求項4】
請求項2又は3記載のリードフレームにおいて、前記第3の補強部の幅は、0.02mm以上0.08mm以下であることを特徴とするリードフレーム。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載のリードフレームにおいて、前記第3の補強部は、ダイシングする際のダイシング領域の端面が位置する部分であり、前記第3の補強部の長さは、前記ダイシング領域の端面の位置を基準として両側にそれぞれ0.05mm以上であることを特徴とするリードフレーム。
【請求項6】
中央に素子搭載部を、該素子搭載部の周囲に表裏に端子部が形成されたリードを備える単位リードフレームを、リードフレーム材に、前記リードが接続されるコネクティングバーを介して、縦、横、又は、縦横に複数配置して形成するリードフレームの製造方法において、
前記リードフレーム材のうち、前記コネクティングバーの形成領域の裏面側及び表面側のいずれか一方又は双方をハーフエッチングして、
コネクティングバー本体を形成すると共に、
前記リードの前記コネクティングバーへの接続側端部が接続される領域に、第1の補強部を、前記コネクティングバー本体の長手方向に隣り合う前記第1の補強部間の領域に、隣り合う前記第1の補強部同士を連結する、前記コネクティングバー本体よりも幅狭の第2の補強部を、それぞれ形成し、
更に、前記第1の補強部が形成される領域の厚み方向片側又は両側でその中央部に凹部を形成することを特徴とするリードフレームの製造方法。
【請求項7】
請求項6記載のリードフレームの製造方法において、前記リードフレーム材のうち、前記リードの前記コネクティングバーへの接続側端部の表面側をハーフエッチングして、接続部本体を形成すると共に、該接続部本体よりも幅狭となって、しかも、前記第1の補強部又は前記コネクティングバー本体に連続する第3の補強部を形成することを特徴とするリードフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造に用いられるリードフレーム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、複数の半導体装置が一括して樹脂封止されるMAP(Mold Alley Process)タイプのQFN(Quad Flat Non−leaded)型半導体装置がある。このQFN型半導体装置に用いるリードフレームは、複数の単位リードフレームが、縦、横、又は、縦横に複数配置され、隣り合う単位リードフレームのリードがコネクティングバーを介して接続されたものである。
なお、一括して樹脂封止されたQFN型半導体装置は、樹脂封止後に、隣り合うQFN型半導体装置を、回転刃物によってダイシングすることで個片化される。
【0003】
しかし、ダイシングの際には、コネクティングバーの除去時に切断バリや回転刃物の磨耗が生じることから、これを抑制するため、図2(A)、(B)に示すように、コネクティングバー80の裏面側(表面側でもよい)をハーフエッチングして薄肉にしている(例えば、特許文献1参照)。なお、符号81は単位リードフレーム、符号82はリードであり、図2(B)中のハッチングで描いている部分はハーフエッチングされた箇所を示し、二点鎖線は回転刃物で切断されるダイシングラインを示し、このダイシングラインで挟まれた部位がダイシングによって除去される部位である(他の図も同様)。
【0004】
また、QFN型半導体装置に用いるリードフレームとしては、図3(A)に示す通常のQFN型半導体装置に用いるリードフレーム83と比較して、図3(B)に示すように、インナーリード84が長いロングリードタイプのリードフレーム85がある。なお、図3(A)、(B)はそれぞれリードフレーム83、85の裏面側を示しており、図3(A)中の符号86は、リードフレーム83を構成する単位リードフレームのインナーリードであり、また、インナーリード86、84は共に、ハーフエッチングによって薄肉となっている。
【0005】
リードフレーム85(単位リードフレーム)においては、ICチップ(半導体素子)を載置するパッド(素子搭載部)87とインナーリード84の距離が短くなるため、ICチップとインナーリード84を電気的に接合するボンディングワイヤー(図示しない)を短くすることができる。
これにより、樹脂封止の際のワイヤー流れによる短絡の防止や、ボンディングワイヤーの使用量の減少に伴う材料コストの削減が可能となる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−320007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ロングリードタイプのリードフレーム85においては、切断バリの発生抑制のため、コネクティングバー88を薄肉にしてしまうと、インナーリード84が長いため、図4(A)に示すように、コネクティングバー88を基点として板厚方向に変形したり、また、図4(B)に示すように、コネクティングバー88が水平面内で湾曲したりしてしまい、リードフレーム85が変形し易い状況となってしまう。
なお、コネクティングバーを薄肉にすることなく、切断バリの発生抑制のためにダイシング速度を落して生産するという対策を採用することも考えられるが、この場合、QFN型半導体装置の生産性が低下する。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、コネクティングバーの変形を防止しながら、ダイシングによる切断バリと回転刃物の磨耗を抑制でき、良好な品質の半導体装置を生産性よく経済的に製造可能なリードフレーム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的に沿う第1の発明に係るリードフレームは、中央に素子搭載部を、該素子搭載部の周囲に表裏に端子部が形成されたリードを備える単位リードフレームが、縦、横、又は、縦横に複数配置され、しかも、隣り合う前記単位リードフレームの前記リードがコネクティングバーを介して接続されるリードフレームにおいて、
前記コネクティングバーのコネクティングバー本体の裏面側及び表面側のいずれか一方又は双方には、
前記リードの前記コネクティングバーへの接続側端部が接続される第1の補強部と、
前記コネクティングバー本体の長手方向に隣り合う前記第1の補強部同士を連結し、前記コネクティングバー本体よりも幅狭となった第2の補強部とが、一体的に設けられ、
前記第1の補強部が形成された前記コネクティングバーの厚み方向片側又は両側でその中央部に凹部が設けられている
【0010】
第1の発明に係るリードフレームにおいて、前記リードの前記コネクティングバーへの接続側端部が有する接続部本体の表面側に、該接続部本体よりも幅狭となって、しかも、前記第1の補強部又は前記コネクティングバー本体に連続した第3の補強部を、一体的に設けることができる。
ここで、前記第3の補強部の幅は、0.02mm以上0.08mm以下であるのがよい。
また、前記第3の補強部は、ダイシングする際のダイシング領域の端面が位置する部分であり、前記第3の補強部の長さは、前記ダイシング領域の端面の位置を基準として両側にそれぞれ0.05mm以上であるのがよい。
【0011】
第1の発明に係るリードフレームにおいて、前記凹部の幅は、前記コネクティングバー本体の幅以下であることが好ましい。
【0012】
前記目的に沿う第2の発明に係るリードフレームの製造方法は、中央に素子搭載部を、該素子搭載部の周囲に表裏に端子部が形成されたリードを備える単位リードフレームを、リードフレーム材に、前記リードが接続されるコネクティングバーを介して、縦、横、又は、縦横に複数配置して形成するリードフレームの製造方法において、
前記リードフレーム材のうち、前記コネクティングバーの形成領域の裏面側及び表面側のいずれか一方又は双方をハーフエッチングして、
コネクティングバー本体を形成すると共に、
前記リードの前記コネクティングバーへの接続側端部が接続される領域に、第1の補強部を、前記コネクティングバー本体の長手方向に隣り合う前記第1の補強部間の領域に、隣り合う前記第1の補強部同士を連結する、前記コネクティングバー本体よりも幅狭の第2の補強部を、それぞれ形成し、
更に、前記第1の補強部が形成される領域の厚み方向片側又は両側でその中央部に凹部を形成する。
【0013】
第2の発明に係るリードフレームの製造方法において、前記リードフレーム材のうち、前記リードの前記コネクティングバーへの接続側端部の表面側をハーフエッチングして、接続部本体を形成すると共に、該接続部本体よりも幅狭となって、しかも、前記第1の補強部又は前記コネクティングバー本体に連続する第3の補強部を形成することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るリードフレーム及びその製造方法は、コネクティングバー本体に、その長手方向に隣り合う第1の補強部同士を連結する、コネクティングバー本体よりも幅狭の第2の補強部が設けられているので、コネクティングバーの強度を維持しながら、ダイシングによって除去するコネクティングバー量(金属量)を減らすことができる。
更に、第1の補強部が形成されたコネクティングバーの厚み方向片側又は両側に凹部を形成するので、凹部の形成部分の厚みを薄くできるため、ダイシングによって除去するコネクティングバー量を更に減らすことができる。
従って、コネクティングバーの変形を防止しながら、ダイシングによる切断バリと回転刃物の磨耗を抑制でき、良好な品質の半導体装置を生産性よく経済的に製造できる。
【0015】
また、リードのコネクティングバーへの接続側端部が有する接続部本体の表面側に、第1の補強部又はコネクティングバー本体に連続する、接続部本体よりも幅狭の第3の補強部を設ける場合、ダイシングによって除去する部分を更に減らすことができるため、切断バリと回転刃物の磨耗の抑制効果を、更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係るリードフレームのコネクティングバー近傍の表面側を示す平面図、裏面側を示す底面図、(C)は(A)のX1−X1矢視断面図、(D)、(E)はそれぞれ(B)のX2−X2矢視断面図、X3−X3矢視断面図である。
図2】(A)、(B)はそれぞれ第1の従来例に係るリードフレームのコネクティングバー近傍の表面側を示す平面図、裏面側を示す底面図である。
図3】(A)、(B)はそれぞれ第2、第3の従来例に係るリードフレームの裏面側を示す底面図である。
図4】(A)、(B)はそれぞれ第3の従来例に係るリードフレームのコネクティングバー近傍の変形状態を示す側断面図、裏面側を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)〜(E)に示すように、本発明の一実施の形態に係るリードフレーム10は、QFN型半導体装置(以下、単に半導体装置ともいう)を製造するために用いられ、半導体素子(ICチップ)が搭載される素子搭載部を中央に、リード(導体接続端子)11を素子搭載部の周囲に備える単位リードフレーム12が、複数配置されたものである(図3(A)、(B)参照)。以下、詳しく説明する。
【0018】
リードフレーム10は、銅、銅合金、又は、銅めっきが施された鉄系合金を素材とする板状のリードフレーム材に、エッチング加工等を施して形成されたものである。
このリードフレーム10には、半導体素子がそれぞれ搭載される複数の単位リードフレーム12が、縦、横、又は、縦横に配置され、隣り合う単位リードフレーム12のリード11が、コネクティングバー(枠リード)13を介して接続されている。
【0019】
複数のリード11は、素子搭載部の周囲に間隔を有して配置されている。
このリード11の表裏には端子部14、15が形成され、半導体装置においては、素子搭載部の表面側に搭載された半導体素子と表面側の端子部14とを、ボンディングワイヤーによって電気的に接合し、裏面側の端子部15と外部とを、電気的に接合する。
また、コネクティングバー13は、素子搭載部とは間隔を有して配置されている。このコネクティングバー13には、素子搭載部を支持する支持リード(図示しない)も連結されている(図3(A)、(B)参照)。
【0020】
なお、単位リードフレーム12は、上記した素子搭載部、リード11、コネクティングバー13、及び、支持リード、を除いた部分が、表面側から裏面側まで貫通した状態になっている。
このリード11の端子部15を除いた部分と支持リード(以下、リード11等ともいう)は、リードフレーム材の裏面側をハーフエッチングすることで形成されている。なお、ハーフエッチング後のリード11等の厚みは、例えば、リードフレーム材の厚みの30〜70%(更には、下限が40%、上限が60%)程度である。
【0021】
通常リードは、その幅が、例えば、0.2mm程度であり、薄肉にした部分の長手方向の長さが、0.3mm程度のもの(図3(A)参照)である。しかし、図1(A)、(B)に示すように、薄肉にした部分の長さLを、例えば、0.5mm以上としたロングリードタイプのリードフレーム10においては、前記したように、リードフレームに変形が発生し易い状況となる(図3(B)、図4(A)、(B)参照)。なお、長さLは、リードフレームの種類に応じて種々変更でき、その上限は、特に限定されるものではないが、例えば、1〜2mm程度である。
そこで、図1(B)、(D)、(E)に示すように、コネクティングバー13のコネクティングバー本体13aの裏面側に、第1、第2の補強部16、17を一体的に設けている(即ち、コネクティングバー13のうち、第1、第2の補強部16、17を除いた部分がコネクティングバー本体13aとなる)。
【0022】
第1の補強部16は、リード11のコネクティングバー13への接続側端部(端子部15を含む)18を接続する部分に設けられている。この接続する部分とは、コネクティングバー13(コネクティングバー本体13a)の長手方向とリード11の長手方向とが交差する領域である。また、第1の補強部16が設けられた部分のコネクティングバー13(第1の補強部16とコネクティングバー本体13a)の断面形状は、長方形状(正方形状や台形状でもよい)となっている。
第1の補強部16とコネクティングバー本体13aの合計厚みは、リードフレーム材の厚みと同等(フルメタル部)である。この第1の補強部16は、上記したリード11等の形成に際し、リードフレーム材をハーフエッチングしないことで形成できる。
【0023】
第2の補強部17は、コネクティングバー本体13aの長手方向に隣り合う第1の補強部16、16同士を連結するものである。この第2の補強部17が設けられた部分のコネクティングバー13(第2の補強部17とコネクティングバー本体13a)の断面形状は、図1(E)に示すように、凸状となっている。
第2の補強部17は、コネクティングバー13の幅方向両側に形成されたハーフエッチング部(第1の薄肉部)19、20により、コネクティングバー本体13aの幅W1(第1の補強部16の幅)よりも幅狭(例えば、幅W1の0.1〜0.3倍程度)となって、しかも、コネクティングバー本体13aの幅方向中央部に設けられている。なお、第2の補強部は、コネクティングバー本体の幅方向片側に設けることもできる。
【0024】
第2の補強部17の厚みは、上記した第1の補強部16の厚みと同等であり、第2の補強部17とコネクティングバー本体13aの合計厚みが、リードフレーム材の厚みと同等(フルメタル部)である。
この第2の補強部17は、上記したリード11等の形成に際し、リードフレーム材のうち、コネクティングバー13の幅方向両側に該当する領域をハーフエッチングして、ハーフエッチング部19、20を形成することで設けることができる。
【0025】
第2の補強部17は、コネクティングバー13の強度を維持すると共に、ダイシングによって除去するコネクティングバー13量を減らすためのものであるため、形成位置は特に限定されるものではない。
従って、本実施の形態においては、複数の第2の補強部17を、コネクティングバー13の長手方向に一直線状に形成しているが、コネクティングバー13の幅方向一方側又は他方側に、部分的にずらしてもよい。
【0026】
このように、コネクティングバー13にハーフエッチング部19、20を形成して、コネクティングバー本体13aに第1、第2の補強部16、17を設けることで、コネクティングバー13の強度を維持すると共に、除去するコネクティングバー13量を減らすことができる。しかし、第1、第2の補強部16、17を設けることで、設けない場合(図2(B)参照)と比較して、除去するコネクティングバー13量が増加する。
そこで、除去するコネクティングバー13量を減らすため、第1の補強部16の厚み方向(第1の補強部16が形成されたコネクティングバー13の裏面側(厚み方向片側))に凹部21を形成する。この凹部21が形成された部分のコネクティングバー13(凹部21が形成された第1の補強部16とコネクティングバー本体13a)の断面形状は、図1(D)に示すように、凹状となっている。
【0027】
凹部21は、上記したハーフエッチングをすることで、リード11等の形成と共に形成できる。即ち、凹部21の深さは、第1、第2の補強部16、17の厚みと同等か、僅かに浅くなっている。また、凹部21の幅(コネクティングバー13の幅方向の幅)は、コネクティングバー13の幅W1(例えば、0.1〜0.2mm程度)以下である。
なお、凹部は、第1の補強部が形成されたコネクティングバーの表面側、即ちコネクティングバー本体(厚み方向片側)のみに形成することもでき、第1の補強部が形成されたコネクティングバーの裏面側と表面側の両側(厚み方向両側)に形成することもできる。
【0028】
また、凹部21は、ダイシングによって除去するコネクティングバー量を減らすためのものであるため、その形状は特に限定されるものではない。
従って、本実施の形態においては、平面視して円形(断面円形)にしているが、これに限定されるものではなく、例えば、楕円形や卵形、多角形等にすることもできる。
【0029】
図1(A)、(C)に示すように、リード11のコネクティングバー13への接続側端部18が有する接続部本体18aの表面側には、第3の補強部22が一体的に設けられている(即ち、接続側端部18のうち、第3の補強部22を除いた部分が接続部本体18aとなる)。この第3の補強部22が設けられた部分の接続側端部18(第3の補強部22と接続部本体18a)の断面形状は、凸状となっている。
第3の補強部22は、リード11の接続側端部18の幅方向両側に形成されたハーフエッチング部(第2の薄肉部)23、24により、接続部本体18aの幅W2よりも幅狭となって、しかも、接続部本体18aの幅方向中央部に設けられている。なお、第3の補強部は、接続部本体の幅方向片側に設けることもできる。
【0030】
従って、第3の補強部22が位置する接続側端部18の厚みは、リードフレーム材の厚みと同等(フルメタル部)であり、上記した第1の補強部16とコネクティングバー本体13aの合計厚み、また、第2の補強部17とコネクティングバー本体13aの合計厚みと、同等である。
なお、第3の補強部22は、コネクティングバー13に対するリード11の曲がりを防止するため、コネクティングバー本体13aに連続して設けられている。このため、第3の補強部22の幅W3は、例えば、0.02mm以上0.08mm以下(更には、下限を0.04mm、上限を0.06mm)であるのがよい。
【0031】
第3の補強部22(ハーフエッチング部23、24)は、ダイシングする際のダイシング領域25(二点鎖線で挟まれた領域)の端面(二点鎖線の位置)が位置する部分である。
なお、第3の補強部22(ハーフエッチング部23、24)の長さは、スムーズにダイシングするため、リード11及びコネクティングバー13と、ダイシングする際の回転刃物との位置関係を考慮して決定する。
【0032】
即ち、ダイシング領域25の端面の位置を基準として両側に、具体的には、端面からコネクティングバー13(コネクティングバー本体13a)までの距離L1と、端面からリード11の薄肉部(接続側端部18を除く)までの距離L2を、それぞれ0.05mm以上(合計0.1mm以上)にするのがよい。
なお、距離L1、L2の各上限値は、特に限定するものではないが、例えば、0.2mm程度である。
【0033】
続いて、本発明の一実施の形態に係るリードフレームの製造方法について、図1(A)〜(E)を参照しながら説明する。
前記したように、製造するリードフレーム10は、QFN型半導体装置を製造するために用いられ、半導体素子が搭載される素子搭載部を中央に、リード11を素子搭載部の周囲に備える単位リードフレーム12が、縦、横、又は、縦横に複数配置されたものである。以下、説明する。
【0034】
リードフレーム材に対し、エッチング処理を行う。
このエッチング処理に際しては、リードフレーム材の表面側と裏面側のエッチングを行わない領域に対してレジスト膜(所定パターンのレジスト膜)を、予め形成しておく。
ここで、リードフレーム材のうち、前記した素子搭載部、リード11、コネクティングバー13、及び、支持リードの形成領域を除いた部分については、リードフレーム材の表面側と裏面側の双方にレジスト膜を形成していない。これにより、リードフレーム材は、表面側と裏面側の双方からエッチングされ、貫通した状態になる。
【0035】
また、リードフレーム材のうち、コネクティングバー13の形成領域については、リードフレーム材の表面側と裏面側の一部にレジスト膜を形成している。このため、リードフレーム材は、裏面側のレジスト膜を形成していない部分がハーフエッチングされ、ハーフエッチング部19、20が形成される。
これにより、コネクティングバー本体13aを形成できると共に、リード11の接続側端部18が接続される領域に、第1の補強部16を、隣り合う第1の補強部16、16間の領域に、隣り合う第1の補強部16、16同士を連結する、コネクティングバー本体13aよりも幅狭の第2の補強部17を、それぞれコネクティングバー本体13aに一体的に形成できる。更に、第1の補強部16(第1の補強部16が形成される領域)の厚み方向に凹部21も形成できる。
このとき、素子搭載部及びリード11の各薄肉部と支持リードも形成できる。
【0036】
そして、リードフレーム材のうち、リード11のコネクティングバー13への接続側端部18の形成領域については、リードフレーム材の表面側の一部と裏面側にレジスト膜を形成している。このため、リードフレーム材は、表面側のレジスト膜を形成していない部分がハーフエッチングされ、ハーフエッチング部23、24が形成される。
これにより、接続部本体18aを形成すると共に、コネクティングバー本体13aに連続する、接続部本体18aよりも幅狭の第3の補強部21を形成できる。
以上の方法により、リードフレーム10が完成する。
【0037】
このリードフレーム10の使用にあっては、半導体素子を素子搭載部に搭載し、ボンディングワイヤーによって半導体素子とリード11の端子部14を電気的に接続する。
そして、リードフレーム10の表面側から樹脂封止を行い、半導体素子等を樹脂によって封止する。このとき、素子搭載部の裏面とリード11の端子部15は、外部に露出した状態にする。
【0038】
この樹脂封止されたリードフレームを、その裏面側(又は表面側)から、回転刃物でダイシングすることにより、一体となった複数のQFN型半導体装置を個片化する。
以上のことから、本発明のリードフレーム及びその製造方法を用いることで、コネクティングバーの変形を防止しながら、ダイシングによる切断バリと回転刃物の磨耗を抑制でき、良好な品質の半導体装置を生産性よく経済的に製造できる。
【0039】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明のリードフレーム及びその製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、第1、第2の補強部の形成に際し、コネクティングバーの裏面側のみをハーフエッチングした場合(第1、第2の補強部をコネクティングバーの裏面側のみに突出させた場合)について説明した。しかし、ハーフエッチングを、コネクティングバーの表面側のみにしても(第1、第2の補強部をコネクティングバーの表面側のみに突出させても)よく、コネクティングバーの裏面側と表面側の両方にしても(第1、第2の補強部をコネクティングバーの裏面側と表面側の両方に突出させても)よい。なお、ハーフエッチングをコネクティングバーの表面側に行った(即ち、第1、第2の補強部をコネクティングバー本体の表面側に形成した)場合は、第3の補強部が第1の補強部に連続することになる。
【0040】
また、前記実施の形態においては、リードの接続側端部の表面側に、第3の補強部を設けた場合について説明したが、必要に応じて設けなくてもよい。この場合、第1、第2の補強部をリードフレームの裏面側のみに設けることで、リードフレーム材の表面側へのハーフエッチングが不要となる。
そして、前記実施の形態においては、ダイシングを回転刃物を用いて行った場合について説明したが、例えば、レーザ等を用いてもよい。
更に、前記実施の形態においては、リードフレーム(単位リードフレーム)を模式的に示しているため、リードフレームの形状は、前記した実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
10:リードフレーム、11:リード、12:単位リードフレーム、13:コネクティングバー、13a:コネクティングバー本体、14、15:端子部、16:第1の補強部、17:第2の補強部、18:接続側端部、18a:接続部本体、19、20:ハーフエッチング部、21:凹部、22:第3の補強部、23、24:ハーフエッチング部、25:ダイシング領域
図1
図2
図3
図4