(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の透水排水性ブロックが敷き詰められている路面に隣接して前記境界に沿う領域には、その一部が前記透水排水性ブロックの下に位置するように集水ユニットが設置されており、
前記集水ユニットには、排水路に繋がる排水パイプが接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の舗装構造。
前記複数の透水排水性ブロックと前記複数の透水保水性ブロックは、防水処理された躯体基面上に敷き詰められていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の舗装構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の透水性ブロックの場合、短時間に大量の雨が降るなどして、地中に浸透する雨水よりも多くの雨水がブロック内に浸透すると、そのブロック表面に雨水が滞留し、路面に水溜りができてしまうことがあった。
また、建築構造物上にブロック舗装されている場合には、雨水を地中に浸透させることができないので、路面に水溜りができてしまう。
【0005】
本発明の目的は、より一層水溜りをでき難くする舗装構造
を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本出願に係る一の発明は、
屋内外の境界における屋内側の路面に構築される舗装構造であって、
前記屋内側の路面の前記境界寄りの領域には、表面から裏面に水を浸透させることができるブロック本体の裏面に所定方向に沿って並んだ複数の溝が形成されているとともに、その複数の溝を覆うように遮水シートが接合されている透水排水性ブロックが複数敷き詰められ、
前記複数の透水排水性ブロックが敷き詰められている領域に隣接する前記屋内側の路面には、ポーラス状の空隙を有する透水保水性ブロックが複数敷き詰められており、
前記複数の透水排水性ブロックは、前記複数の溝が屋内から屋外に向かって延在する向きにて設置されているようにした。
【0007】
かかる構成の舗装構造が、屋内外の境界における屋内側の路面に構築されていれば、雨が吹き込んで屋内側の路面に雨水が降りかかったり、通行人の靴や傘などを介して屋内側に雨水が持ち込まれたりした場合、雨水は速やかに透水排水性ブロックに浸み込むので、路面には水溜りができ難くなっている。
そして、透水排水性ブロックに浸み込んだ雨水は、ブロック本体の溝に沿って遮水シート上を流れるようになっており、複数の溝が屋内から屋外に向かって延在する向きに透水排水性ブロックが設置されていれば、透水排水性ブロックに浸み込んだ雨水は屋内から屋外側に排出されるようになるので、屋内側の路面により一層水溜りをでき難くすることができる。
また、複数の透水排水性ブロックが敷き詰められている領域に隣接する屋内側奥の路面に、ポーラス状の空隙を有する透水保水性ブロックが複数敷き詰められていれば、例えば、通行人の靴や傘などを介して屋内側に雨水が持ち込まれたりした場合、その雨水は速やかに透水保水性ブロックに浸み込み、保水されるので、路面には水溜りができ難くなっている。
そして、透水保水性ブロックに浸み込んだ雨水は、透水保水性ブロックのポーラス状の空隙を通じて拡散され、速やかに蒸発するようになっているので、より一層路面に水溜りをでき難くすることができる。
【0008】
このように、本発明に係る舗装構造は、複数の透水排水性ブロックを敷き詰めてなる排水床エリアと、複数の透水保水性ブロックを敷き詰めてなる保水床エリアを備えており、排水床エリアの透水排水性ブロックに浸み込んだ雨水は屋内から屋外側に排出され、保水床エリアの透水保水性ブロックに浸み込んだ雨水は速やかに蒸発するようになっているので、その相乗効果でより一層路面に水溜りをでき難くすることができる。
【0009】
また、望ましくは、
前記複数の透水排水性ブロックが敷き詰められている路面は、屋内から屋外に向かう下り勾配であるようにする。
こうすることで、複数の透水排水性ブロックに浸み込んだ雨水が、屋内から屋外に向かって流れ易くなり、雨水を屋外に排出し易くなる。
【0010】
また、望ましくは、
前記複数の透水排水性ブロックが敷き詰められている路面に隣接して前記境界に沿う領域には、その一部が前記透水排水性ブロックの下に位置するように集水ユニットが設置されており、
前記集水ユニットには、排水路に繋がる排水パイプが接続されているようにする。
このように集水ユニットの一部が透水排水性ブロックの下に設置されていることで、透水排水性ブロックを通じて集水ユニットに流れ込む雨水を受水し易くなっている。
そして、集水ユニットに流れ込んだ雨水を、排水パイプを通じて排水路に排出することができる。
【0011】
また、望ましくは、
前記複数の透水排水性ブロックと前記複数の透水保水性ブロックは、防水処理された躯体基面上に敷き詰められているようにする。
こうすることで、敷き詰められたブロックを通過した雨水が防水処理された層よりも下に浸透しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、路面に水溜りをでき難くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る透水排水性ブロックおよび舗装構造の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
まず、透水排水性ブロック10について説明する。
本実施形態の透水排水性ブロック10は、
図1(a)(b)に示すように、透水性を有するブロック本体11と、ブロック本体11の裏面側に接合された遮水シート12を備えている。
ブロック本体11は、例えば、多孔質材料であるポーラスセラミックスやポーラスコンクリート、あるいは所定の粒度を有する骨材を結合剤などで固めたポーラスアスファルトなど、ポーラス状の空隙を有する材料からなる部材であり、表面から裏面に水を浸透させることができる。
また、ブロック本体11の裏面には、所定方向に沿って並んだ複数の溝11aが形成されている。
遮水シート12は、例えば、ゴム製のシート材であり、複数の溝11aを覆うようにブロック本体11の裏面に接着剤で貼付されている。
【0019】
そして、透水排水性ブロック10の表面から浸透して裏面に抜けた水は、複数の溝11aに沿って遮水シート12上を流れるようになっている。
この透水排水性ブロック10は、屋内外の境界における屋内側の路面の舗装に用いるよう設計されたブロックであり、ブロック本体11の複数の溝11aが屋内から屋外に向かって延在する向きとなるように、複数の透水排水性ブロック10を路面に敷き詰めて使用する。こうすることで、透水排水性ブロック10に浸み込んだ雨水は、ブロック本体11の溝11aに沿って遮水シート12上を流れて、屋内から屋外側に排出されるようになる。
【0020】
つまり、複数の透水排水性ブロック10を路面に敷き詰めて使用する場合、ブロック本体11の複数の溝11aが屋内から屋外に向かって延在する向きとなるように路面に設置することで、透水排水性ブロック10に浸み込んだ雨水を屋内から屋外側に排出させることが可能になる。
【0021】
次に、透水排水性ブロック10を用いて構築した舗装構造100について説明する。
本実施形態の舗装構造100は、例えば、駅やショッピングモールのコンコースなど、ルーフR下が開放された空間となっている施設において、屋内外の境界Bにおける屋内側の路面に構築することで、屋内側に吹き込むなどした雨水を屋外に排出し易く、また蒸発し易くした舗装構造である。本実施形態では、ルーフRの端面を基準にして屋内外の境界Bを定めている。
【0022】
舗装構造100は、例えば
図2〜
図4に示すように、複数の透水排水性ブロック10を敷き詰めてなる排水床エリアA1と、複数の透水保水性ブロック20を敷き詰めてなる保水床エリアA2と、集水ユニット30等を備えて構成されている。
【0023】
排水床エリアA1は、屋内側の路面の境界B寄りの領域に、複数の透水排水性ブロック10を敷き詰めて形成されている。例えば、排水床エリアA1は、境界Bから屋内側6mまでの範囲に形成されている。なお、ルーフR下の路面には、境界Bから屋内側2〜3m程度まで雨が吹き込むことを想定している。
この排水床エリアA1に敷き詰められている透水排水性ブロック10は、ブロック本体11の複数の溝11aが屋内から屋外に向かって延在する向きに設置されている。これら透水排水性ブロック10の複数の溝11aは、それぞれ一直線状に繋がっている。
そして、排水床エリアA1の透水排水性ブロック10に浸み込んだ雨水は、ブロック本体11の溝11aに沿って遮水シート12上を流れるようにして集水ユニット30に流れ込み、排水される。
【0024】
保水床エリアA2は、排水床エリアA1に隣接する屋内側の路面の領域に、複数の透水保水性ブロック20を敷き詰めて形成されている。例えば、保水床エリアA2は、排水床エリアA1よりも屋内側であって境界Bから10mまでの範囲、つまり排水床エリアA1との境目から屋内側4mまでの範囲に形成されている。
この保水床エリアA2に敷き詰められている透水保水性ブロック20は、ポーラス状の空隙を有するブロックであり、浸み込んだ水を一時的に保水するとともに速やかに蒸発させる機能を有している。
透水保水性ブロック20としては、例えば、多孔質材料であるポーラスセラミックスやポーラスコンクリート、あるいは所定の粒度を有する骨材を結合剤などで固めたポーラスアスファルトなどを、所定のサイズに成形したものを用いることができる。
【0025】
集水ユニット30は、排水床エリアA1に隣接する領域で境界Bに沿うように設けられている。ここでの集水ユニット30は、屋内外の境界Bにおける屋内側の領域に設けられている。
複数の透水排水性ブロック10が敷き詰められている排水床エリアA1の路面は、屋内から屋外に向かう下り勾配であるので、排水床エリアA1の透水排水性ブロック10に浸み込んだ雨水が集水ユニット30に流れ込むようになっている。舗装構造100での下り勾配は、例えば1/100の雨勾配である。
【0026】
この集水ユニット30は、例えば、
図4に示すように、トレー部材31と、トレー部材31内に収容されている集水用透水ブロック32、ユニット蓋33、ユニット蓋33下の空隙部34、透水目地35等を備えている。
【0027】
トレー部材31は、排水床エリアA1から流れ込む雨水を一時的に貯留可能に構成されている。
トレー部材31には、一時的に貯留した雨水を排出する排出口31aが設けられており、この排出口31aに排水路Dに繋がる排水パイプPが接続されている。なお、排出口31aは、境界Bに沿う方向に所定間隔をあけて複数設けられており、各排出口31aに排水パイプPが接続されている。
また、トレー部材31内に設置されているユニット蓋33の下面には、略簀子形状を有する下台部31bが設けられており、この下台部31bによってユニット蓋33の下に空隙部34が形成されている。この空隙部34に雨水が一時的に溜り、排出口31aを通じて排出されるようになっている。
【0028】
この集水ユニット30に空隙部34が設けられているので、トレー部材31に急激に多量の雨水が流れ込んでも好適に受水することができる。
また、ユニット蓋33と下台部31bとが接着されて一体になっているので、これらユニット蓋33と下台部31bを集水ユニット30(トレー部材31)から取り外すことによって、空隙部34の清掃を容易に行うことができる。
【0029】
集水用透水ブロック32は、透水性を有するブロックであり、トレー部材31に流れ込んだ雨水が空隙部34および排出口31aを通じて排水パイプPに流れ出すように誘導する機能を有している。
【0030】
ここで、トレー部材31の一部と集水用透水ブロック32の一部が、排水床エリアA1の透水排水性ブロック10の下に位置するように設置されているので、透水排水性ブロック10を通じて集水ユニット30に流れ込む雨水を受水し易くなっている。
また、集水ユニット30の一部が透水排水性ブロック10の下に設置され、透水排水性ブロック10と集水ユニット30とが重なっている箇所において、透水排水性ブロック10の遮水シート12の一部が切除されており、透水排水性ブロック10から集水ユニット30に雨水が流れ込み易くなっている。
【0031】
また、舗装構造100をより詳細に説明すると、複数の透水排水性ブロック10と複数の透水保水性ブロック20は、防水処理された躯体基面G上に敷き詰められている。
本実施形態では、スラブなどの躯体基面G上に防水剤を塗布して形成した第1防水層40と、第1防水層40上に積層した第2防水層50と、第2防水層50上に積層した第3防水層60とによって防水処理を施している。
【0032】
第1防水層40は、例えば、シラン・シロキサン系の防水剤を躯体基面G上に塗布して形成した下地の塗膜である。
第2防水層50は、例えば、珪酸ナトリウム系防水剤:セメント:砂=0.2:1:3で配合した防水カラ練りを、第1防水層40上に敷いて形成した下地層である。
第3防水層60は、例えば、SBRラテックス系防水剤:セメント=0.6:1で配合した防水ペーストを、第2防水層50上に塗工して形成した下地層である。
なお、第2防水層50と第3防水層60の一部は、集水ユニット30のトレー部材31内に入り込むように形成されている。
【0033】
そして、下地である第1防水層40と第2防水層50と第3防水層60とによって防水処理を施した躯体基面G上に、複数の透水排水性ブロック10を敷き詰めて排水床エリアA1が形成されており、複数の透水保水性ブロック20を敷き詰めて保水床エリアA2が形成されている。
これら防水層上に透水排水性ブロック10や透水保水性ブロック20が敷き詰められているので、敷き詰めたブロックを通過した雨水が防水層よりも下に浸透しないようになっている。
【0034】
このような舗装構造100が、屋内外の境界Bにおける屋内側の路面に構築されていれば、屋内側の路面の境界B寄りの領域には排水床エリアA1があるので、ルーフRの下まで雨が吹き込んで屋内側の路面に雨水が降りかかったり、通行人の靴や傘などを介して屋内側に雨水が持ち込まれたりした場合、雨水は速やかに透水排水性ブロック10に浸み込んで集水ユニット30にまで流され、さらに排水路Dに向けて排水される。
つまり、複数の透水排水性ブロック10が敷き詰められている排水床エリアA1が雨水で濡れることはあっても、その路面には水溜りができ難くなっている。
【0035】
また、排水床エリアA1よりも奥にある保水床エリアA2には直接雨水が降りかからないものの、通行人の靴や傘などを介して雨水が持ち込まれることがあるが、その程度の雨水であれば速やかに透水保水性ブロック20に浸み込むので、路面には水溜りができないようになっている。
そして、複数の透水保水性ブロック20が敷き詰められている保水床エリアA2に浸み込んだ雨水は、透水保水性ブロック20のポーラス状の空隙を通じて拡散され、速やかに蒸発するようになっているので、保水床エリアA2の路面には水溜りができ難くなっている。
【0036】
以上のように、本実施形態の舗装構造100であれば、排水床エリアA1の透水排水性ブロック10に浸み込んだ雨水を集水ユニット30に集めて排水することができ、保水床エリアA2の透水保水性ブロック20に浸み込んだ雨水を速やかに蒸発させることができるので、この舗装構造100を構築した路面に水溜りをでき難くすることができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図5に示すように、屋内外の境界Bにおける屋外側の領域に集水ユニット30が設けられていてもよい。
また、透水排水性ブロック10の一部が屋外側の路面に設置されていてもよい。
【0038】
なお、以上の実施の形態においては、排水床エリアA1は、境界Bから屋内側6mまでの範囲に形成され、保水床エリアA2は、排水床エリアA1よりも屋内側であって境界Bから10mまでの範囲(排水床エリアA1との境目から屋内側4mまでの範囲)に形成されているとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、排水床エリアA1や保水床エリアA2の範囲は、想定される通行人の量や、屋内外の施設の形態、ルーフRの高さなどに応じて適宜設定すればよい。
【0039】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。