特許第6705688号(P6705688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6705688-ゴム手袋 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705688
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ゴム手袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/015 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   A41D19/015 610
   A41D19/015 140
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-82847(P2016-82847)
(22)【出願日】2016年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-193787(P2017-193787A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2018年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 洋司
【審査官】 住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−291428(JP,A)
【文献】 実開昭62−157917(JP,U)
【文献】 特開2011−063918(JP,A)
【文献】 特開2006−322125(JP,A)
【文献】 米国特許第01924617(US,A)
【文献】 実公昭40−034821(JP,Y1)
【文献】 特表2008−534794(JP,A)
【文献】 実開昭56−103011(JP,U)
【文献】 特開2015−175073(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3039793(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D19/00−19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用のゴム手袋であって、
腕を保護する腕保護部と、手を保護する手保護部と、を備え、
前記腕保護部の外周面から突出した突出部であって、前記手保護部側から前記腕保護部のうち前記保護部側とは反対側の末端側に向かって伝って流れる水の流路長を伸ばす突出部が設けられ、
前記突出部は、
前記腕保護部の軸周りに螺旋状に形成されていることを特徴とするゴム手袋。
【請求項2】
作業用のゴム手袋であって、
腕を保護する腕保護部と、手を保護する手保護部と、を備え、
前記腕保護部の外周面から突出した突出部であって、前記手保護部側から前記腕保護部のうち前記保護部側とは反対側の末端側に向かって伝って流れる水の流路長を伸ばす突出部が設けられ、
前記突出部は、
前記腕保護部の軸周りに形成された突出部位を、前記腕保護部の軸方向に複数並べ、前記突出部位に複数の切欠部を設けることでラビリンス構造を有する形状に形成されていることを特徴とするゴム手袋。
【請求項3】
請求項2に記載のゴム手袋であって、
前記突出部位は、前記手保護部の側に向かって凸な複数の凸形状部を、前記腕保護部の軸周りに並べた形状に形成されているとともに、前記凸形状部の間に隙間を設けて前記切欠部としたことを特徴とするゴム手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用のゴム手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
配電工事では、作業員は作業用のゴム手袋を着用して作業を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、屋外では雨が降ることがあり、その場合ゴム手袋をしていても、ゴム手袋を伝って流れる水を媒介として、電線等の作業対象物から作業員の体に電気が伝わってしまい、作業員が感電する可能性がある。
【0004】
本発明は、雨が降っても感電のおそれがある電気作業等の作業を継続可能なゴム手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る作業用のゴム手袋は、腕保護部20を保護する腕保護部20の外周面から突出した突出部であって、手保護部10を保護する手保護部側から、前記腕保護部20のうち前記腕保護部20側とは反対側の末端側に向かって伝って流れる水の流路長を伸ばす突出部が設けられ、前記突出部は、前記腕保護部20の軸周りに螺旋状に形成されていることを特徴とする。
【0006】
これによると、螺旋状に形成された突出部が、ゴム手袋の表面上を流れる水の流路長を伸ばしているので、ゴム手袋の表面上を流れる水が、ゴム手袋から離脱する確率が上がる。しかも、これによると、突出部は水が離脱しやすく、その突出部に沿って水が流れるので、水がゴム手袋から離脱する確率がさらに上がる。
【0007】
したがって、本発明のゴム手袋は、表面に水がついても、水は作業員に届く前に高確率で離脱してしまうので、このゴム手袋を用いると、雨が降っても感電のおそれがある作業を継続することができる。
【0008】
本開示の第2の態様に係る作業用のゴム手袋は、腕保護部20を保護する腕保護部20の外周面から突出した突出部であって、手保護部10を保護する手保護部側から前記腕保護部20のうち前記腕保護部20側とは反対側の末端側に向かって伝って流れる水の流路長を伸ばす突出部が設けられ、前記突出部は、前記腕保護部20の軸周りに形成された突出部位を、前記腕保護部20の軸方向に複数並べ、前記突出部位に複数の切欠部を設けることでラビリンス構造を有する形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
これによると、ラビリンス構造を有する突出部が、ゴム手袋の表面上を流れる水の流路長を伸ばしているので、ゴム手袋の表面上を流れる水が、ゴム手袋から離脱する確率が上がる。しかも、これによると、突出部は水が離脱しやすく、その突出部を迷路状に曲がりくねりながら水が流れるので、水がゴム手袋から離脱する確率がさらに上がる。
【0010】
したがって、本発明のゴム手袋は、表面に水がついても、水は作業員に届く前に高確率で離脱してしまうので、このゴム手袋を用いると、雨が降っても感電のおそれがある作業を継続することができる。
【0011】
なお、突出部位の形状は特に限定されるものではないが、例えば、ゴム手袋の手保護部10の側に向かって凸な複数の凸形状部を、腕保護部20の軸周りに並べるとともに、凸形状部の間に隙間を設けて切欠部としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態のゴム手袋であって(a)左手用のゴム手袋の正面図、及び(b)右手用のゴム手袋の正面図である。
図2】第2実施形態のゴム手袋であって(a)左手用のゴム手袋の正面図、及び(b)右手用のゴム手袋の正面図である。
図3】第3実施形態のゴム手袋であって(a)左手用のゴム手袋の正面図、及び(b)右手用のゴム手袋の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態のゴム手袋1は、作業員の手の部分が挿入される手保護部10と、作業員の腕の部分が挿入される腕保護部20とを有している。
【0014】
このうち手保護部10は、作業員の各指が挿入されるサック部11と、手の平及び手の甲の部分を覆う甲部12とを有している。
一方、腕保護部20は、甲部12に連通しており、手保護部10側とは反対側の端には、他の部分よりも突出した端部21が設けられている。
【0015】
また、腕保護部20は、手保護部10との境目近傍から端部21側に向かって、腕保護部20の軸周りに螺旋状に形成された突出部22が設けられている。この突出部22は、腕保護部20の外周面から突出した形状に形成されている。
【0016】
このように形成された作業用のゴム手袋1は、突出部22が形成されているので、手保護部10側の先端から腕保護部20の後端に至る水の流路長が、突出部22の螺旋に沿って伸びる。
【0017】
そのため、ゴム手袋1の表面上を流れる水が、ゴム手袋1から離脱する確率が上がる。しかも、突出部22は水が離脱しやすく、その突出部22に沿って水が流れるので、水がゴム手袋1から離脱する確率がさらに上がる。
【0018】
したがって、このゴム手袋1は、表面に水がついても、水は作業員に届く前に高確率で離脱してしまうので、このゴム手袋1を用いると、雨が降っても感電のおそれがある作業を継続することができる。
【0019】
また、このゴム手袋1は、突出部22を有さない手袋の手形に凹凸を付けるだけで形成できるので、製造コストがアップしない。
また、ゴム手袋1は、形状が視認できるので、雨でも感電のおそれなく作業できるかどうかをチェックする管理が楽であり、その効果に永続性がある。
【0020】
また、ゴム手袋1は、製品の安定性が良く、製品の良否の判断が簡単に行うことができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のゴム手袋1について説明する。
【0021】
ただし、第2実施形態では、第1実施形態と異なる点を説明し、同じ点については同じ符号を用いて説明する。
図2に示すように、本発明の第2実施形態のゴム手袋1は、第1実施形態の突出部22に相当する突出部23の形状が第1実施形態と異なる。
【0022】
第2実施形態の突出部23は、腕保護部20の軸周りに形成された突出部位24を、腕保護部20の軸方向に複数並べ、突出部位24に複数の切欠部25を設けることでラビリンス構造を有する形状に形成されている。
【0023】
これによると、ラビリンス構造を有する突出部23が、ゴム手袋1の表面上を流れる水の流路長を伸ばしているので、ゴム手袋1の表面上を流れる水が、ゴム手袋1から離脱する確率が上がる。しかも、これによると、突出部23は水が離脱しやすく、その突出部23を迷路状に曲がりくねりながら水が流れるので、水がゴム手袋1から離脱する確率がさらに上がる。
【0024】
したがって、本実施形態のゴム手袋1は、表面に水がついても、水は作業員に届く前に高確率で離脱してしまうので、このゴム手袋1を用いると、雨が降っても感電のおそれがある作業を継続することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態のゴム手袋1について説明する。
【0025】
ただし、第3実施形態では、第2実施形態と異なる点を説明し、同じ点については同じ符号を用いて説明する。
図3に示すように、本発明の第3実施形態のゴム手袋1は、第2実施形態の突出部22に相当する突出部26の形状が第2実施形態と異なる。
【0026】
第3実施形態の突出部26は、突出部位27が、手保護部10の側に向かって凸な複数の凸形状部28を、腕保護部20の軸周りに並べた形状に形成されているとともに、凸形状部28の間に隙間を設けて切欠部29を形成している。
【0027】
このようにすると、突出部26が第2実施形態に比べても複雑なラビリンス構造となるので、本実施形態のゴム手袋1は、表面に水がついても、水が作業員に届く前に高確率で離脱してしまう。そのため、このゴム手袋1を用いると、雨が降っても感電のおそれがある作業を継続することができる。
[他の実施形態]
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0028】
(1)上記実施形態では、突出部位として、直線的な形状、手保護部側に向かって凸な形状のものを示したが、これらに限るものではない。
(2)本発明の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…ゴム手袋、10…手保護部、11…サック部、12…甲部、20…腕保護部、
21…端部、22…突出部、23…突出部、24…突出部位、25…切欠部、
26…突出部、27…突出部位、28…凸形状部、29…切欠部。
図1
図2
図3