(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705709
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】自転車用コンポーネント
(51)【国際特許分類】
B62J 43/13 20200101AFI20200525BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20200525BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
B62J43/13
B62M6/90
H01M2/10 U
【請求項の数】28
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-135511(P2016-135511)
(22)【出願日】2016年7月7日
(65)【公開番号】特開2018-2098(P2018-2098A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下田 真実
(72)【発明者】
【氏名】能勢 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】米田 友哉
(72)【発明者】
【氏名】西原 大平
【審査官】
杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−185894(JP,A)
【文献】
特開平09−161749(JP,A)
【文献】
特開2002−104266(JP,A)
【文献】
特開2008−062814(JP,A)
【文献】
特開平05−267858(JP,A)
【文献】
特開2004−178948(JP,A)
【文献】
特開2012−183943(JP,A)
【文献】
特開2003−034281(JP,A)
【文献】
特開平07−312806(JP,A)
【文献】
特開2002−249089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 43/13
B62M 6/90
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する基体と、
前記凹部を覆うことができるように構成される蓋と、
前記凹部に少なくとも一部が配置される被保護部材と、
前記基体および前記被保護部材とは別体で構成され、前記凹部に設けられ、前記凹部を覆っている前記蓋に係合する係合部と、
前記蓋が連結される連結部とを含み、
前記連結部は、前記凹部に取り付けられる取付部を含み、
前記取付部は、第1の取付部および第2の取付部を含み、
前記係合部は、前記第1の取付部と前記第2の取付部との間に設けられる、自転車用コンポーネント。
【請求項2】
凹部を有する基体と、
前記凹部を覆うことができるように構成される蓋と、
前記凹部に少なくとも一部が配置される被保護部材と、
前記基体および前記被保護部材とは別体で構成され、前記凹部に設けられ、前記凹部を覆っている前記蓋に係合する係合部と、
前記蓋が連結される連結部とを含み、
前記連結部は、前記凹部に設けられ、
前記蓋は、前記係合部に係合する蓋係合部を含み、
前記蓋係合部は、前記凹部の深さ方向に直交する方向に関して、前記係合部に対して前記蓋の中央寄りに設けられる、自転車用コンポーネント。
【請求項3】
前記凹部は、前記凹部の内底面の面積が前記凹部の開口の面積よりも小さくなるように形成される段差部を含む、請求項1または2に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項4】
前記連結部は、前記段差部に取り付けられる、請求項3に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項5】
凹部を有する基体と、
前記凹部を覆うことができるように構成される蓋と、
前記凹部に少なくとも一部が配置される被保護部材と、
前記基体および前記被保護部材とは別体で構成され、前記凹部に設けられ、前記凹部を覆っている前記蓋に係合する係合部と、
前記蓋が連結される連結部とを含み、
前記連結部は、前記凹部に設けられ、
前記凹部は、前記凹部の内底面の面積が前記凹部の開口の面積よりも小さくなるように形成される段差部を含み、
前記連結部は、前記段差部に取り付けられる、自転車用コンポーネント。
【請求項6】
前記連結部は、前記段差部に配置される連結基部を含む、請求項5に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項7】
凹部を有する基体と、
前記凹部を覆うことができるように構成される蓋と、
前記凹部に少なくとも一部が配置される被保護部材と、
前記基体および前記被保護部材とは別体で構成され、前記凹部に設けられ、前記凹部を覆っている前記蓋に係合する係合部と、
前記蓋が連結される連結部とを含み、
前記連結部は、前記凹部に設けられ、
前記凹部は、前記凹部の内底面の面積が前記凹部の開口の面積よりも小さくなるように形成される段差部を含み、
前記連結部は、前記段差部に配置される連結基部を含む、自転車用コンポーネント。
【請求項8】
前記連結部は、前記蓋と係合する連結ピンをさらに含む、請求項6または7に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項9】
前記連結基部は、前記凹部の開口に対向する面、および、前記面に対して窪む凹部を含み、
前記連結ピンは、前記連結基部の凹部に設けられる、請求項8に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項10】
前記連結ピンは、前記連結基部とは異なる材料によって構成される、請求項8または9に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項11】
前記蓋は、被連結部を含み、
前記連結部は、前記被連結部に挿入される連結ピンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項12】
前記被保護部材は、電気コネクタまたはキー挿入部である、請求項1から11のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項13】
凹部を有する基体と、
前記凹部を覆うことができるように構成される蓋と、
前記凹部に少なくとも一部が配置される被保護部材と、
前記基体および前記被保護部材とは別体で構成され、前記凹部に設けられ、前記凹部を覆っている前記蓋に係合する係合部と、
前記蓋が連結される連結部とを含み、
前記連結部は、前記凹部に設けられ、
前記被保護部材は、電気コネクタまたはキー挿入部である、自転車用コンポーネント。
【請求項14】
前記凹部は、前記凹部の内底面の面積が前記凹部の開口の面積よりも小さくなるように形成される段差部を含む、請求項13に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項15】
前記連結部は、前記連結部に対して前記蓋が移動できるように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項16】
前記連結部は、前記係合部と一体に形成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項17】
前記蓋は、前記連結部に着脱不能に連結されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項18】
前記連結部を前記基体に着脱可能に固定するファスナーをさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項19】
前記ファスナーは、ねじを含む、請求項18に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項20】
凹部を有する基体と、
前記凹部を覆うことができるように構成される蓋と、
前記凹部に少なくとも一部が配置される被保護部材と、
前記基体および前記被保護部材とは別体で構成され、前記凹部に設けられ、前記凹部を覆っている前記蓋に係合する係合部とを含み、
前記蓋は、前記係合部と係合する第2の溝を含み、
前記被保護部材は、電気コネクタまたはキー挿入部である、自転車用コンポーネント。
【請求項21】
前記蓋は、前記係合部と係合する第1の突起を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項22】
前記係合部は、前記第1の突起と係合する第1の溝を含む、請求項21に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項23】
凹部を有する基体と、
前記凹部を覆うことができるように構成される蓋と、
前記凹部に少なくとも一部が配置される被保護部材と、
前記基体および前記被保護部材とは別体で構成され、前記凹部に設けられ、前記凹部を覆っている前記蓋に係合する係合部とを含み、
前記蓋は、前記係合部と係合する第1の突起を含み、
前記係合部は、前記第1の突起と係合する第1の溝を含み、
前記被保護部材は、電気コネクタまたはキー挿入部である、自転車用コンポーネント。
【請求項24】
前記蓋は、
前記凹部の開口を塞ぐ第1の部分と、
前記第1の部分から前記凹部の深さ方向に延びる第2の部分とを含み、
前記第1の突起は、前記第2の部分に設けられている、請求項21から23のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項25】
前記蓋は、前記係合部と係合する第2の溝を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項26】
前記係合部は、前記基体に着脱可能に固定されている、請求項1から25のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項27】
ハウジングをさらに含み、
前記基体は、前記ハウジングの少なくとも一部を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の自転車用コンポーネント。
【請求項28】
前記ハウジングに収容されるバッテリセルをさらに含む、請求項27に記載の自転車用コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケースの凹部に設けられるコネクタ、および、凹部に取り付け可能な蓋を有する自転車用バッテリケースが開示されている。凹部に蓋が取り付けられることによって、コネクタが覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−104266号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタ等の被保護部材を保護するために、振動によって蓋が凹部から外れにくいことが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕本発明に従う自転車用コンポーネントの一形態は、凹部を有する基体と、前記凹部を覆うことができるように構成される蓋と、前記凹部に少なくとも一部が配置される被保護部材と、前記基体および前記被保護部材とは別体で構成され、前記凹部に設けられ、前記凹部を覆っている前記蓋に係合する係合部とを含む。
凹部を覆っている蓋が、凹部に設けられる係合部に係合することによって、自転車用コンポーネントが振動しても蓋が凹部から外れにくい。係合部が基体および被保護部材とは別体で構成されるため、係合部を凹部の好ましい位置に配置することができる。係合部が基体とは別体で構成されるため、係合部を基体と一体に形成する場合と比較して、製造が容易になる。係合部が被保護部材とは別体で構成されるため、蓋の開閉によって被保護部材に負荷を与えないようにしたり、または、被保護部材に与えられる負荷を軽減したりすることができる。
【0006】
〔2〕前記〔1〕に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記被保護部材は、電気コネクタまたはキー挿入部である。
蓋によって電気コネクタまたはキー挿入部が覆われるため、電気コネクタまたはキー挿入部に異物が侵入しにくい。
【0007】
〔3〕前記〔1〕または〔2〕に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記係合部は前記基体に着脱可能に固定されている。
係合部が基体と着脱可能であるため、係合部を交換できる。
【0008】
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕にいずれか一項に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記蓋が移動可能に連結される連結部をさらに含み、前記連結部は、前記凹部に取り付けられている。
蓋が連結部に連結されているため、蓋を紛失しにくい。連結部が凹部に取り付けられているので、連結部も蓋で覆うことができる。
【0009】
〔5〕前記〔4〕に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記凹部は、前記凹部の内底面の面積が前記凹部の開口の面積よりも小さくなるように形成されている段差部を含み、前記連結部は、前記段差部に取り付けられている。
段差部に連結部を取り付けることによって、凹部の深さ方向における連結部の位置を容易に決めることができる。
【0010】
〔6〕前記〔4〕または〔5〕に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記連結部は、前記係合部と一体に形成されている。
連結部が係合部と一体に形成されるため、連結部と係合部とを別々に構成する場合と比較して、製造が容易になる。また、係合部と併せて連結部も交換できる。
【0011】
〔7〕前記〔4〕〜〔6〕にいずれか一項に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記蓋は、前記連結部に着脱不能に連結されている。
蓋が連結部に着脱不能に連結されているため、蓋がより紛失しにくい。
【0012】
〔8〕前記〔4〕〜〔7〕にいずれか一項に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記連結部を前記基体に着脱可能に固定するファスナーをさらに含む。
連結部がファスナーによって固定されるため、連結部と基体との着脱を容易に実施できる。
【0013】
〔9〕前記〔8〕に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記ファスナーは、ねじを含む。
ねじによって、連結部の着脱容易さと、連結部の固定の強さを両立できる。
【0014】
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕にいずれか1つに記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記蓋は、前記係合部と係合する第1の突起を含む。
蓋が第1の突起を含むため、蓋と係合部とが適切に係合する。
【0015】
〔11〕前記〔10〕に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記蓋は、前記凹部の開口を塞ぐ第1の部分と、前記第1の部分から前記凹部の深さ方向に延びる第2の部分とを含み、前記第1の突起は、前記第2の部分に設けられている。
第1の突起が第2の部分に設けられるため、凹部内における係合部の位置に関する選択の幅が広くなる。
【0016】
〔12〕前記〔10〕または〔11〕に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記係合部は、前記第1の突起と係合する第1の溝を含む。
係合部が第1の溝を含むため、蓋と係合部とが適切に係合する。
【0017】
〔13〕前記〔1〕〜〔12〕にいずれか1つに記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記蓋は、前記係合部と係合する第2の溝を含む。
蓋が第2の溝を含むため、蓋と係合部とが適切に係合する。
【0018】
〔14〕前記〔1〕〜〔13〕にいずれか1つに記載の自転車用コンポーネントにおいて、ハウジングをさらに含み、前記基体は、前記ハウジングの少なくとも一部を含む。
蓋によってハウジングに設けられる被保護部
材を保護することができる。
【0019】
〔15〕前記〔14〕に記載の自転車用コンポーネントにおいて、前記ハウジングに収容されるバッテリセルをさらに含む。
ハウジングにバッテリセルが収容されるので、電動コンポーネントをバッテリユニットとして構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
上記自転車用コンポーネントによれば、自転車用コンポーネントが振動しても蓋が凹部から外れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態の自転車用コンポーネントおよび収容部材の斜視図。
【
図2】
図1に示される蓋およびその付近を拡大した斜視図。
【
図3】
図2に示される蓋が開けられた状態を示す斜視図。
【
図4】
図2に示される蓋が省略された状態を示す正面図。
【
図5】
図3に示される着脱部材が取り外された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態)
図1に示されるように、自転車用コンポーネント10は、自転車に設けられる収容部材90内に配置できるように構成される。収容部材90の一例は、自転車を構成するフレームである。収容部材90は、収容凹部92を含む。自転車用コンポーネント10は、基体34、蓋50、被保護部材P(
図3参照)、および、係合部70(
図3参照)を含む。基体34は、凹部40(
図3参照)を有する。蓋50は、凹部40を覆うことができるように構成される。被保護部材Pは、凹部40に少なくとも一部が配置される。係合部70は、基体34および被保護部材Pとは別体で構成される。蓋50および係合部70は、係合構造74(
図6参照)を構成する。係合部70は、凹部40に設けられる。係合部70は、凹部40を覆っている蓋50に係合する。蓋50と係合部70とが係合することにより、蓋50が凹部40を覆った状態が保たれる。自転車用コンポーネント10は、連結部60(
図3参照)をさらに含む。連結部60は、凹部40に設けられる。
連結部60は、基体34および被保護部材Pとは別体で構成される。蓋50は、連結部60に移動可能に連結されている。蓋50は、連結部60に着脱不能に連結されている。自転車用コンポーネント10は、ファスナー62(
図3参照)をさらに含む。ファスナー62は、連結部60を基体34に着脱可能に固定する。
【0023】
自転車用コンポーネント10は、バッテリコンポーネント20を含む。バッテリコンポーネント20は、バッテリホルダ22およびバッテリユニット30を含む。一例では、バッテリユニット30が、基体34、蓋50、被保護部材P、係合部70、連結部60、および、ファスナー62を含む。バッテリユニット30は、長手方向および短手方向を規定可能な形状を有する。バッテリユニット30は、ハウジング32、複数のバッテリセル80をさらに含む。バッテリユニット30は、バッテリユニット30の長手方向に関する第1の端部30Aおよび第2の端部30Bを有する。基体34は、ハウジング32の一部を構成する。各バッテリセル80は、ハウジング32内に収容される。ハウジング32は、露出面32Aを含む。バッテリユニット30がバッテリホルダ22に取り付けられた状態において、露出面32Aは、収容凹部92の開口から露出する。
【0024】
バッテリホルダ22は、第1のバッテリホルダ24および第2のバッテリホルダ26を含む。各バッテリホルダ24、26は、収容凹部92に取り付けられる。第1のバッテリホルダ24は、収容凹部92内において、収容凹部92の長手方向に関する第1の端部92Aに設けられる。第1のバッテリホルダ24は、バッテリユニット30の第1の端部30Aを保持できるように構成される。第2のバッテリホルダ26は、収容凹部92内において、収容凹部92の長手方向に関する第2の端部92Bに設けられる。第2のバッテリホルダ26は、バッテリユニット30の第2の端部30Bを保持できるように構成される。
【0025】
第1のバッテリホルダ24と第2のバッテリホルダ26との間には、バッテリコンポーネント20を配置可能な収容空間94が形成される。第1のバッテリホルダ24と第2のバッテリホルダ26との間にバッテリコンポーネント20が配置されることにより、バッテリコンポーネント20が各ホルダ24、26によって保持される。この状態では、バッテリユニット30がバッテリホルダ22を介して、自転車に設けられる電動コンポーネント(図示略)と電気的に接続され、バッテリユニット30から電動コンポーネントに電力を供給できる。
【0026】
第1のバッテリホルダ24は、係合爪(図示略)、ロック機構24A、および、キー挿入部24Bを含む。係合爪は、第1のバッテリホルダ24の側壁から収容空間94に突出可能に構成される。係合爪は、収容空間94に配置されるバッテリユニット30に係合可能な第1の位置と、バッテリユニット30から離反する第2の位置との間で移動可能である。係合爪は、第1の位置に付勢部材(図示略)によって付勢されている。ロック機構24Aは、係合爪を移動可能に構成される。キー挿入部24Bは、ロック機構24Aを動かすためのキー(図示略)を挿入できるように構成される。キー挿入部24Bにキーを挿入した状態で、第1の操作が実施された場合、係合爪が第1の位置から第2の位置に移動し、バッテリユニット30と係合爪との係合を解除することができる。キー挿入部24Bからキーを取り外すと、係合爪が第2の位置から第1の位置に移動する。第1の操作は、例えばキーを回転させる操作、または、キーを回転させた状態で押し込む操作を含む。
【0027】
図2に示されるように、蓋50は、凹部40を覆う。蓋50の形状は、凹部40の形状に依存する。一例では、蓋50が凹部40に取り付けられた状態で、蓋50のうち外部に露出する部分の形状は、長方形である。蓋50の形状は、任意に変更可能である。
蓋50が凹部40に取り付けられた状態で、蓋50のうち外部に露出する部分形状は、正方形、円形、または、楕円形とすることができる。蓋50を構成する材料は、例えば、樹脂または金属を含む。蓋50は、第1の表面50Aを含む。蓋50が凹部40に取り付けられた状態で、第1の表面50Aは、ハウジング32の露出面32Aと実質的に同一の面上に配置される。第1の表面50Aには、取っ手50Bが設けられている。取っ手50Bは、蓋50を凹部40から取り外すときに、ユーザが把持できる形状であれば、どのような形状であってもよい。取っ手50Bは、第1の表面50Aにおいて、第1の方向Xの一端部寄りに設けられるのが好ましい。
【0028】
図3および
図4に示されるように、凹部40は、露出面32Aに開口46を有する。被保護部材Pの一例は、電気コネクタ82である。凹部40は、内底面44を有する。凹部40の内底面44には、ハウジング32の内部空間(図示略)に繋がる孔41が形成されている。凹部40に電気コネクタ82の一部が配置され、ハウジング32の内部空間に電気コネクタ82の他の部分が配置される。凹部40内に電気コネクタ82の全てを配置する構成とすることもできる。バッテリセル80と電気コネクタ82とは、ケーブル(図示略)によって電気的に接続可能である。バッテリセル80と電気コネクタ82とは、バッテリセル80の充放電を制御する電子回路を介して、電気的に接続されるのが好ましい。電気コネクタ82に充電用プラグを接続することによって、電気コネクタ82を介して、バッテリセル80に充電可能である。
【0029】
係合部70を構成する材料は、例えば、樹脂および金属の少なくともいずれか一方を含む。連結部60を構成する材料は、例えば、樹脂および金属の少なくともいずれか一方を含む。係合部70および連結部60は、一体に形成されている。一体に形成された係合部70および連結部60は、着脱部材66を構成している。着脱部材66は、基体34および被保護部材Pとは別体で構成される。連結部60は、連結ピン60Aと、連結基部60Bとを含む。連結ピン60Aの軸方向の両端部は、それぞれ連結基部60Bに保持される。本実施の形態では、連結基部60Bと、係合部70とが樹脂によって一体成型されている。本実施の形態では、連結ピン60Aは、金属によって形成され、その軸方向の両端部が連結基部60Bに埋め込まれて、着脱不能に固定されている。連結基部60Bと、係合部70とが、金属によって一体成型されていてもよい。連結ピン60Aは、樹脂によって形成されていてもよい。連結ピン60Aは、連結基部60Bに着脱可能に取り付けられていてもよい。着脱部材66は、環状に形成されている。
着脱部材66は、略直方体状に形成され、中央部に貫通孔66Aが形成されている。貫通孔66Aは、略直方体形状である。連結ピン60Aは、着脱部材66の一端部に設けられている。着脱部材66の形状はこれに限らず、L字状としてもよく、I字状に形成してもよい。本実施の形態では、着脱部材66のうち連結ピン60Aを除く部分が、連結基部60Bを構成する。
【0030】
連結部60は、基体34にファスナー62によって着脱可能に固定されている。係合部70は、基体34に着脱可能に固定されている。着脱部材66は、ファスナー62によって基体34に着脱可能に固定されている。
図3に示される例では、ファスナー62は、ねじ64を含む。ねじ64は、着脱部材66を基体34に着脱可能に固定する。着脱部材66には、ねじ64が挿入される孔66Bが形成されている。孔66Bは、貫通孔66Aを挟む位置に形成されている。孔66Bは、ねじ64の頭部が配置される大径部分と、ねじ64の雄ねじ部が配置される小径部分とを有する。着脱部材66のうち、凹部40の開口46に対向する面66Cの少なくとも一部は、蓋50が凹部40に取り付けられた状態で、蓋50に接触するように構成される。孔66Bの大径部分は、ねじ64の頭部を完全に収容する大きさに形成されるのが好ましい。孔66Bは、大径部分を有さず、ねじ64の頭部が着脱部材66の面66Cから突出する構成としてもよい。ファスナー62は、スナップフィットであってもよく、面ファスナーであってもよく、着脱可能に固定できる構造であれば、どのような構造であっても採用することができる。連結部60および係合部70の少なくとも一方は、基体34に着脱不能に固定されていてもよい。この場合、連結部60および係合部70の少なくとも一方は、例えば接着、溶着、またはリベットによって、基体34に固定される。
【0031】
図5に示されるように、凹部40は、段差部42、および、内底面44を含む。凹部40は、さらに内側壁面48を含む。内側壁面48は、凹部40の開口46から凹部40の深さ方向に延びる面である。本実施の形態では、凹部40の開口46は長方形に形成されている。蓋50の第1の表面50A(
図2参照)の形状は、凹部40の開口46の形状と相似となるように形成されている。蓋50の第1の表面50Aの形状は、凹部40の開口46の形状よりもわずかに小さくなるように形成されている。内側壁面48は、第1の内側壁面48A、第2の内側壁面48B、第3の内側壁面48C、および、第4の内側壁面48Dを含む。第1の内側壁面48Aおよび第2の内側壁面48Bは、互いに対向する。第3の内側壁面48Cおよび第4の内側壁面48Dは、相互に対向する。本実施の形態では、第1の内側壁面48Aおよび第2の内側壁面48Bが、バッテリユニット30の長手方向に沿って延びるように形成されているが、これに限定されず、バッテリユニット30に対して凹部40は、どのように配置されていてもよい。本実施の形態では、第1の内側壁面48Aおよび第2の内側壁面48Bは、実質的に平行に設けられ、第3の内側壁面48Cおよび第4の内側壁面48Dは、実質的に平行に設けられる。他の形態では、第1の内側壁面48Aおよび第2の内側壁面48Bと、第3の内側壁面48Cおよび第4の内側壁面48Dとの少なくとも一方の組み合わせが、開口46から内底面44に向かって近づくように設けられてもよい。
【0032】
段差部42は、凹部40の内底面44の面積が凹部40の開口46の面積よりも小さくなるように形成されている。段差部42は、第1の段差部42A、第2の段差部42B、および、第3の段差部42Cを含む。
【0033】
第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bは、内底面44を挟んで配置されている。第1の段差部42Aは第1の内側壁面48Aに連なって形成される。第1の段差部42Aは、第3の内側壁面48Cおよび第4の内側壁面48Dの間にわたって形成されている。第2の段差部42Bは、第2の内側壁面48Bに連なって形成される。第1の段差部42Aは、開口46から内底面44側に退避した位置に設けられる。第1の段差部42Aは、第1の段差面42A1と第2の段差面42A2とを有する。第1の段差面42A1は、開口46に対向する。第2の段差面42A2は、第1の段差面42A1の第2の段差部42B寄りの端部から内底面44側に延びる。第2の段差部42Bは、開口46から内底面44側に退避した位置に設けられる。第2の段差部42Bは、第1の段差面42B1と第2の段差面42B2とを有する。第1の段差面42B1は、開口46に対向する。第2の段差面42B2は、第1の段差面42B1の第1の段差部42A寄りの端部から内底面44側に延びる。第2の段差面42B2は、第3の段差部42Cに連なる。第1の段差部42Aの第2の段差面42A2と、第2の段差部42Bの第2の段差面42B2とは、対向する。第3の段差部42Cは、第2の段差部42Bと内底面44との間に設けられる。第3の段差部42Cは、第1の段差面42C1と第2の段差面42C2とを有する。第1の段差面42C1は、開口46に対向する。第1の段差面42C1は、第2の段差部42Bの第2の段差面42B2に連なる。第2の段差面42C2は、第1の段差面42C1の第1の段差部42A寄りの端部から内底面44側に延びる。第2の段差面42C2は、内底面44に連なる。第3の段差部42Cの第2の段差面42C2と、第1の段差部42Aの第2の段差面42A2とは、対向する。第1の段差面42A1、42B1、42C1、第2の段差面42A2、42B2、42C2、および、内底面44は、実質的に平面に形成されるのが好ましい。第1の段差部42Aの第1の段差面42A1と、第2の段差部42Bの第1の段差面42B1とは、実質的に同一平面に含まれるように構成されるのが好ましい。他の形態では、第1の段差部42Aの第1の段差面42A1の開口46からの距離と、第2の段差部42Bの第1の段差面42B1の開口46からの距離を異ならせてもよい。本実施の形態では、第2の段差面42A2と、第2の段差面42B2、42C2とは、実質的に平行に設けられている。他の形態では、第2の段差面42A2と、第2の段差面42B2、42C2とは、開口46から内底面44に向かって近づくように設けられてもよい。段差部42から、第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bのうちの一方と、第3の段差部42Cとは省略されてもよい。電気コネクタ82の挿入口は、凹部40が形成する空間Sに露出するように内底面44に配置、または、内底面44から開口46側に突出した位置に配置される。
【0034】
連結部60は、段差部42に取り付けられている。連結部60は、段差部42のうち第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bに着脱可能に取り付けられている。連結部60は、
段差部42の第1の段差部42Aの第1の段差面42A1および第2の段差部42Bの第1の段差面42B1に配置されている。第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bには、ねじ孔43がそれぞれ形成されている。各ねじ孔43は、第1の段差面42A1および第1の段差面42B1に開口を有する。連結部60は、ねじ64およびねじ孔43によって第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bに取り付けられている。連結部60は、第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bの一方のみに着脱可能に取り付けられていてもよい。この場合、第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bの一方のみにねじ孔43が形成される。連結部60を、接着または溶着によって着脱不能に段差部42に取り付ける場合には、ねじ孔43は省略されてもよい。
【0035】
係合部70は、第1の段差部42Aの第1の段差面42A1と開口46との間、および、第2の段差部42Bの第1の段差面42B1と開口46との間に配置されている。係合部70は、第1の段差部42Aの第1の段差面42A1と開口46との間、および、第2の段差部42Bの第1の段差面42B1と開口46との間の一方のみに配置されていてもよい。係合部70は、ねじ64およびねじ孔43によって第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bに取り付けられている。連結部60および係合部70が一体に形成されているので、連結部60が段差部42に取り付けられることにより、係合部70も段差部42に取り付けられる。連結部60および係合部70は、別体で形成してもよい。連結部60および係合部70を別体で形成する場合、連結部60および係合部70のそれぞれにねじが挿通する貫通孔を形成し、第1の段差部42Aおよび第2の段差部42Bのそれぞれに対応するねじ孔を形成しておけばよい。
【0036】
図3に示されるように、蓋50は、第1の部分52および第2の部分54を含む。蓋50は、係合部70と係合する第1の突起56をさらに含む。第1の部分52、第2の部分54、および、第1の突起56は、一体に形成されている。蓋50は、樹脂によって形成されるのが好ましい。
図3に示される例では、第1の突起56の数は、2個である。別の例では、第1の突起の数は、1個または3個以上である。第1の部分52は、凹部40の開口46を塞ぐことができるように構成される。第1の部分52は、第1の表面52Aを含む。蓋50を凹部40に取り付けた状態で、第1の部分52の第1の表面52Aとは反対側の面が、着脱部材66に接触する。第2の部分54は、第1の部分52から凹部40の深さ方向に延びる。第2の部分54は、着脱部材66の貫通孔66Aに挿入可能に構成されている。蓋50を凹部40に取り付けた状態で、第2の部分54は、貫通孔66Aを貫通するのが好ましい。蓋50を凹部40に取り付けた状態で、第2の部分54は、第3の段差部42Cの第1の段差面42C1に接触してもよい。第2の部分54は、蓋50を凹部40に取り付けた状態で、着脱部材66の内周面に接触するように構成されていてもよい。第1の突起56は、第2の部分54に設けられている。第1の突起56は、第2の部分54の側面から外側に突出する。本実施の形態では、第1の突起56は2つ設けられ、第1の方向Xにおいて互いに離反する方向に第2の部分54から突出する。第1の突起56は、蓋50を凹部40に取り付けた状態で、着脱部材66に向かって突出するように構成されていれば、第1の方向Xに交差する方向に突出していてもよい。蓋50は、連結部60に着脱不能に連結される。蓋50は、被連結部50Cをさらに含む。被連結部50Cは、環状に形成され、連結ピン60Aを挿入可能に構成される。被連結部50Cに連結ピン60Aが挿入された状態において、連結ピン60Aが被連結部50Cに着脱不能に固定される。連結ピン60Aが挿入される被連結部50Cの孔は、長孔に形成されるのが好ましい。連結ピン60Aが挿入される被連結部50Cの孔は、連結ピン60Aの直径とほぼ同じ円形に形成されてもよい。被連結部50Cは、好ましくは弾性を有する。被連結部50Cは、第1の方向Xにおいて取っ手50Bとは異なる端部に設けられるのが好ましい。
【0037】
図6に示されるように、係合部70は、第1の溝72を有する。第1の溝72は、蓋50の第1の突起56を挿入できるように構成される。第1の溝72は、凹部40の深さ方向に交差する方向に開口する。好ましくは、第1の溝72は、凹部40の深さ方向に垂直な方向に開口している。第1の溝72は、着脱部材66の貫通孔66Aに繋がっている。係合部70は、着脱部材66の貫通孔66Aを挟んで配置される。係合部70は、ファスナー62の近傍に設けられるのが好ましい。本実施の形態では、係合部70は、着脱部材66の貫通孔66Aと、ファスナー62との間にそれぞれ設けられている。これによって、蓋50を着脱するときに係合部70に負荷が与えられても、係合部70をより安定して基体34に保持させておくことができる。第1の突起56および第1の溝72は、係合構造74を構成する。蓋50を凹部40に取り付けると、第1の突起56が第1の溝72に挿入されることにより、蓋50と係合部70とが係合する。蓋50を凹部40から取り外す方向に力が加えられることにより、第1の突起56が係合部70から離脱して、蓋50が凹部40から外れ、被保護部材Pが露出する。
【0038】
(変形例)
上記実施の形態に関する説明は本発明に従う自転車用コンポーネントが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車用コンポーネントは実施の形態以外に例えば以下に示される上記実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0039】
・被保護部材Pの構成は、任意に変更可能である。一例では、被保護部材Pは、キー挿入部24Bである。この場合、キー挿入部24Bのキー挿入口が、凹部40によって形成される空間Sに露出するように、キー挿入部24Bが凹部40に配置される。キー挿入部24Bの一部は、ハウジングの内部空間に配置されてもよい。
【0040】
・係合構造74の構成は、任意に変更可能である。
図7は、係合構造74の変形例の一例を示す。蓋50は、第2の溝58を含む。係合部70は、第2の突起76を含む。第2の溝58は、係合部70の第2の突起76を挿入できるように構成される。第2の溝58は、前述した実施の形態において第1の突起56が形成されている位置に設けられる。第2の突起76は、前述した実施の形態において第1の溝72が形成されている位置に設けられる。第2の溝58および第2の突起76は、係合構造74を構成する。第2の突起76が第2の溝58に挿入されることにより、蓋50と係合部70とが係合する。
図6に示す係合構造74と、
図7に示す係合構造74とが混在するように、係合部70および蓋50を構成することもできる。
【0041】
・凹部40および蓋50を設ける対象は、任意に変更可能である。第1の例では、凹部40および蓋50は、バッテリコンポーネント20とは別の自転車用コンポーネントに設けられる。別の自転車用コンポーネントは、例えば、電動補助ユニット、サイクルコンピュータ、操作装置、変速機、サスペンション、および、撮影装置である。操作装置は、変速操作装置、ブレーキ操作装置、および、電動ユニット操作装置を含む。変速機は、内装変速機およびディレイラーを含む。第2の例では、凹部40および蓋50は、自転車本体、例えば、フレーム、フロントフォーク、ステム、ハンドルバー、サドル、および、シートポストの少なくともいずれかに設けられる。シートポストは、アジャスタブルシートポストを含む。第3の例では、バッテリホルダ22である。
・ハウジング32に収容されるバッテリセルは1つであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…自転車用コンポーネント、24B…キー挿入部、32…ハウジング、34…基体、40…凹部、42…段差部、44…内底面、46…開口、48…内側壁面、50…蓋、52…第1の部分、54…第2の部分、56…第1の突起、58…第2の溝、60…連結部、62…ファスナー、64…ねじ、70…係合部、72…第1の溝、80…バッテリセル、82…電気コネクタ、P…被保護部材。